JP4380854B2 - エンジンブロック - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプ又は他の付属品などの補助ユニットを取付ける為の開孔が形成された側部フランジを一端に有するエンジンブロックに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
本発明は特に、農業用トラクタで使用されるいわゆる構造エンジン（structural engine）に適用され得るものである。この構造エンジンは、車体の取付台に支持される代わりに、駆動伝動列と協働し、車両のバネ下荷重又はシャーシを形成する。この為、そのエンジンブロックは、強度及び剛性を提供すべく設計されねばならない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンブロックの後端は通常フランジを有する。該フランジは、側方に突出していて、クランクシャフトにより駆動されるべき燃料ポンプ及び油圧ポンプなどの補助ユニットを支持すべく用いられる。この補助ユニットは、上記側部フランジの前向き表面（前面）と係合することから、該前面はエンジンブロックが鋳造された後に精密に機械加工されねばならない。付加的に構造エンジンの強度を上げる為に、上記エンジンブロックは側方突出リブを有する。該リブは、補助ユニットが取付けられる側部フランジに結合されているが、これらのリブは上記フランジの前面の加工を阻害する。
【０００４】
故に本発明の目的は、側部フランジの前面の機械加工を要さずにエンジンの側部フランジ上への補助ユニットの取付けを可能とするにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明に依れば、ポンプなどの補助ユニットを取付ける為の開孔が形成された側部フランジを一端に有するエンジンブロックが提供される。
【０００６】
該エンジンブロックにおいて、上記側部フランジの端面には、上記補助ユニットに対する上記開孔と重なり合うアダプタプレートが取付けられ、上記開孔に面する上記アダプタプレートの表面は、使用時において上記フランジの他側に配設されると共に上記フランジの上記開孔を介して当該アダプタプレートに固定される補助ユニット、と係合すべく加工されることが特徴である。
【０００７】
以下の記述においては便宜の為に、側部フランジが形成されるブロックの端部は、ギヤボックスハウジングが接続される後端であると仮定されるが、本発明はエンジンのいずれの端部にも同様に適用され得る。
【０００８】
本発明は、補助ユニットが側部フランジではなくアダプタプレートと係合する如く、該アダプタプレートを側部フランジの後側に取付けることにより、側部フランジの前面を機械加工する必要性を回避する。これによれば、補助ユニットが係合する面は上記エンジンブロックの一切の部分から妨げられずに機械加工され得る。而して、上記アダプタプレート自体は、上記側部フランジの被加工面上に取付けられる必要があるが、この被加工面は後ろ向き表面（後面）であることから、該被加工面は、ギヤボックスと係合するエンジンブロックの端部表面の他の部分と同時に容易に機械加工され得る。
【０００９】
エンジンに対して補助ユニットを取付ける上でアダプタプレートを使用することの更なる利点は、アダプタプレートを変更するだけで、異なる設計態様の補助ユニットを同一のエンジンブロックにて使用し得ることである。故に、代替的なアダプタプレートを使用することにより、補助ユニットの駆動の中心をクランクシャフト軸心に関して径方向に移動できる。
【００１０】
本発明の更なる利点は、エンジンの側部フランジから離間した側においてアダプタプレートには、補助ユニット駆動用シャフトの突出端部を支持するオイル含浸ブッシュ又は耐摩擦軸受を収容する延出部が形成され得るという事実に在る。補助ユニット駆動用シャフトに対する斯かる改良支持は、補助ユニットの内部軸受の寿命を延ばすものである。
【００１１】
上記アダプタプレートに延出部を形成することにより、上記補助ユニット駆動用シャフトの引抜き後においてさえも、該補助ユニット駆動用シャフトに連結されるギヤは、上記アダプタプレートと近傍の当接表面との間に捕捉されたままとなるのが確かなものとされ得る。これにより、クランクシャフトにより駆動される各ギヤに対する上記ギヤの噛合を阻害すること無く、故に、エンジンタイミングを阻害すること無く、上記補助ユニットは保守の為に取外され得る。
【００１２】
上記アダプタプレートは、機械加工済みの構成要素であることから、該アダプタプレートには補助ユニットを取付け得る突出ボルト又は植込ボルトを形成するようにし、組立時におけるエンジンブロック上への補助ユニットの整列を簡素化することが可能である。
【００１３】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るエンジンブロックの実施の形態について図面に基づいて説明する。
図１は、燃料ポンプ１４及び液圧ポンプ(hydraulic pump)すなわち油圧ポンプ１６が取付けられる突出の側方フランジ１２を後端に有するエンジンブロック１０を示している。上記エンジンブロック１０はトラクタ用の構造エンジンとして企図されることから、上記側部フランジ１２まで延出する補強リブ１８、２０を備えている。上記補強リブ１８、２０は、上記燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６を受容係合すべく、側部フランジ１２の前面（同図における手前側）を機械加工すべく使用される一切の工具に対する障害物となることから、本発明はこの問題の克服を目的とする。
【００１４】
上記側部フランジ１２には、図４に示すように、上記燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６の夫々の取付プレート２６、２８よりも大きな開孔２２、２４が鋳造形成される。故に、燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６の各取付プレート２６、２８の全体が、側部フランジ１２の開孔２２、２４を通過し得る。
【００１５】
この開孔２２、２４には、図２又は図３に示すように、アダプタプレート３０、３２が夫々装着される。上記アダプタプレート３０、３２の各々は、それがカバーする開孔２２、２４よりも大きな領域を有すると共に、ボルト３４、３６により側部フランジ１２の後面（図３における手前側）に固定されて、上記開孔２２、２４の全体をカバーする。上記各アダプタプレート３０、３２は側方フランジ１２の後面にボルト締めされることから、上記アダプタプレート３０、３２をシールすべく機械加工される必要があるのは該後面だけであり、側部フランジ１２の前面と補強リブ１８、２０を機械加工する必要は完全に回避される。
【００１６】
上記側方フランジ１２と係合するアダプタプレート３０、３２の側面は完全に平坦である必要は無く、以下に更に記述される目的の為に、開孔２４に関して図６に最も良く示されるように、開孔２２、２４内に延出する延出部３３を有し得る。
【００１７】
上記エンジンブロック１０の後面の多くの部分は、該エンジンブロック１０が鋳造された後に機械加工されるべきであることから、アダプタプレート３０、３２と係合する表面の機械加工はコストを殆ど増大すること無く実行され得る。それがフランジ１２の後面又は延出部３３の前面とすれば、燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６と係合するアダプタプレート３０、３２の前面は当然、該アダプタプレート３０、３２がエンジンにボルト締めされる前に機械加工され、それらの製造は問題を呈さない。更に、エンジンの側部フランジ１２の後面と補助ユニットの取付プレートとに対して良好なシールを確立すべく、シールリングを受容する凹所を上記アダプタプレート３０、３２に機械加工することも可能である。また、上記延出部３３の径方向外面と上記開孔２４の径方向内面の中間には、更なるシール３５が配備され得る。
【００１８】
燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６が取付けられてシールされ得る表面を配備することに加え、上記アダプタプレート３０、３２には、燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６のシャフトを支持するオイル含浸ブッシュ又は耐摩擦軸受を保持し得る延出部４０、４２が形成される。図２、図５又は図６に示すように、駆動ギヤ３７、３９は、エンジンクランクシャフトにより駆動される更なるギヤと噛合するシャフトに装着され、エンジンから補助ユニットへと駆動力を伝達する。図６に示すように、延出部４２が側部フランジ１２の後面を越えて過剰に延在してエンジンの体積を増大するのを回避すべく、延出部４２もまた前方に部分的に延出し、これにより、上記延出部３３は延出部４２の一部として機能する。
【００１９】
エンジンが上記駆動伝動列へと組立てられたとき、上記側方フランジ１２はギヤボックスの前端におけるハウジング５０と係合する。該ハウジング５０は、燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６がエンジンに取付けられた後に該燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６のシャフトに駆動ギヤが装着されるのを許容する開孔５１、５３を有し得る。
【００２０】
代替的に、図５を参照すると、アダプタプレート３０の延出部４０が自身とハウジング５０との間に燃料ポンプ１４の駆動ギヤ３７を挟持すべく作用する。故に、燃料ポンプ１４が保守の為に取外されても、該燃料ポンプ１４の駆動ギヤ３７は捕捉されたままでその駆動伝達列の他のギヤと噛合したままとされ得る。
【００２１】
たとえば駆動ギヤ３７はエンジンのカムシャフトを駆動するギア列の一部を構成することから、それが捕捉されたままで他のギヤと噛合するという事実は、燃料ポンプ１４を保守の為に取外してもエンジンのタイミングは影響を受けないことを意味する。
【００２２】
同一のエンジンの別の変更例においては、相互に異なる速度で駆動される必要のある複数のポンプを使用し得る。これは、各ポンプを異なる中心上に取付けると共に、クランクシャフトから各ポンプを駆動する異なるレシオのギヤを使用して達成される。故に、図４における油圧ポンプ１６の場合、そのシャフト軸心５５は開孔２４の中心上に位置せず、該シャフト軸心５５は内径方向に移動されていることが理解される。従来は、これを行う為にエンジンブロック１０の加工方法、場合によっては該エンジンブロックの鋳造方法までも変更することが必要であった。
【００２３】
本発明においては対照的に、油圧ポンプ１６に対するアダプタプレート３２の場合のように、エンジンブロックに対しては何らの変更も行わず、駆動シャフトの中心が取付開孔の中心からオフセットされた代替形状のアダプタプレート３２のみを装着することが可能である。
【００２４】
上記エンジンの側部フランジ１２の後面上のアダプタプレート３０、３２の正確な位置決めは重要である。と言うのも、それは補助ユニットの駆動シャフトの軸心の位置を決定するからである。上記アダプタプレートが不正確な配向では取付られないことを確かなものとすべく、ボルト３４、３６を非対称的に位置決めし、アダプタプレート３０、３２が単一の配向においてのみ装着され得るようにすることが可能である。もし、各ボルト３４、３６と、これらのボルト３４、３６が貫通するアダプタプレート３０、３２の開口との間の自由遊び以上の精度を以てアダプタプレート３０、３２を位置決めすることが必要であれば、アダプタプレート３０、３２に１個又はそれ以上の合せピンを配備し、エンジンの側部フランジ１２の後面において所望の精度で穿孔された開口内に該合せピンを配置することが可能である。
【００２５】
燃料ポンプ１４及び油圧ポンプ１６の各取付プレート２６、２８における開口を貫通するボルト３４、３６を受容すべく、アダプタプレート３０、３２に螺条付開口を形成することは可能であるが、アダプタプレート３０、３２に突出式植込ボルトを配備し、螺条付き植込ボルトに対してナットが装着される間にポンプが容易に位置決めされ得るのが好適である。
【００２６】
【発明の効果】
本発明によれば、ポンプなどの補助ユニットを取付ける為の開孔が形成された側部フランジを一端に有するエンジンブロックにおいて、上記側部フランジの後端面には、上記補助ユニットに対する上記開孔と重なり合うアダプタプレートが取付けられ、上記開孔に面する上記アダプタプレートの表面は、使用時において上記フランジの他側に配設されると共に上記フランジの上記開孔を介してアダプタプレートに固定された補助ユニットと係合すべく加工されることから、端部フランジの前向き表面の加工を要せずに上記側部フランジ上への補助ユニットの取付けが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図１】オイルパンを備えると共に、燃料ポンプ及び油圧ポンプが取付けられる突出側部フランジを有するエンジンブロックの斜視図である。
【図２】燃料ポンプ及び油圧ポンプを取付ける為のアダプタプレートを備えたエンジンブロックの後端のみを示す図である。
【図３】燃料ポンプがそのアダプタプレートにより上記側部フランジに取付けられた後に後側の一方から見た上記エンジンブロックのみの斜視図である。
【図４】上記ポンプ取付用アダプタプレート無しで所望の取付位置に各ポンプが配置された上記エンジンブロックのみを後方から見た図である。
【図５】燃料ポンプがそのアダプタプレートにより取付けられる手法を示すべく上記側部フランジ及びギヤボックスハウジングの一部を破断した上記エンジンの側面図である。
【図６】油圧ポンプがそのアダプタプレートにより取付けられる手法を示すべく図５と同様に破断された部分的破断の側面図である。
【符号の説明】
１０ エンジンブロック
１２ 側方フランジ
１４ 燃料ポンプ
１６ 油圧ポンプ
１８、２０ 補強リブ
２２、２４、５１、５３ 開孔
２６、２８ 取付プレート
３０、３２ アダプタプレート
３３、４０、４２ 延出部
３４、３６ ボルト
３５ シール
３７、３９ 駆動ギヤ
５０ ハウジング
５５ シャフト軸心

Claims (8)

  1. ポンプ(14、16)などの補助ユニットを取付ける為の開孔(22、24)が形成された側部フランジ(12)を一端に有するエンジンブロックにおいて、
    上記側部フランジ(12)の上記補助ユニット取付側と反対側の端面には、上記補助ユニット(14、16)に対する上記開孔(22、24)と重なり合うアダプタプレート(30、32)が取付けられ、上記開孔(22、24)に面する上記アダプタプレート(30、32)の表面は、使用時において上記側部フランジ(12)の他側に配設されると共に上記側部フランジ(12)の上記開孔(22、24)を介して当該アダプタプレート(30、32)に固定される補助ユニット(14、16)と係合するように加工され、上記アダプタプレート(30、32)には、補助ユニット駆動用シャフトの突出端部を支持するオイル含浸ブッシュ又は耐摩擦軸受を収容する延出部(33、40、42)が形成されていることを特徴とするエンジンブロック。
  2. 上記延出部(33、40、42)は、上記側部フランジ(12)の上記アダプタプレート取付側の端面から離間する方向に、且つ／又は、上記開孔(22、24)を貫通して延伸することを特徴とする請求項１に記載のエンジンブロック。
  3. 上記補助ユニット(14、16)の駆動シャフトの引抜き後も、該駆動シャフトに連結されるギヤ(37、39)が上記アダプタプレート(30、32)とその近傍の当接面(50)との間に捕捉されたままとなるのを確かなものとする役割を果たす延出部(40、42)が上記アダプタプレート(30、32)に形成されていることを特徴とする請求項１または２に記載のエンジンブロック。
  4. 上記近傍の当接面はギヤボックスハウジング(50)に形成されることを特徴とする請求項３に記載のエンジンブロック。
  5. 上記アダプタプレート(30、32)には、上記補助ユニット(14、16)が取付けられ得る突出式植込ボルトが形成されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のエンジンブロック。
  6. 上記アダプタプレート(30、32)は、該アダプタプレート(30、32)をエンジンの上記側部フランジ(12)上に正確に配置すべく、該フランジ(12)に穿孔されたピン取付用孔内に受容される突出合せピンを備えることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のエンジンブロック。
  7. 上記アダプタプレート(30、32)は、上記補助ユニット(14、16)の駆動シャフト軸心(55)が上記開孔(22、24)の中心からオフセットされる如く形成されることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のエンジンブロック。
  8. 上記アダプタプレート(30、32)が代替形状のアダプタプレートと置換されていて、各アダプタプレートは、上記補助ユニット(14、16)の相互にオフセットされた駆動シャフト軸心(55)を有することを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載のエンジンブロック。
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