JP4375971B2 - 高強度ピニオンシャフト用鋼 - Google Patents
高強度ピニオンシャフト用鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4375971B2 JP4375971B2 JP2003014208A JP2003014208A JP4375971B2 JP 4375971 B2 JP4375971 B2 JP 4375971B2 JP 2003014208 A JP2003014208 A JP 2003014208A JP 2003014208 A JP2003014208 A JP 2003014208A JP 4375971 B2 JP4375971 B2 JP 4375971B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel
- hardness
- present
- ferrite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/02—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B62—LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
- B62D—MOTOR VEHICLES; TRAILERS
- B62D3/00—Steering gears
- B62D3/02—Steering gears mechanical
- B62D3/12—Steering gears mechanical of rack-and-pinion type
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D1/00—General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
- C21D1/06—Surface hardening
- C21D1/09—Surface hardening by direct application of electrical or wave energy; by particle radiation
- C21D1/10—Surface hardening by direct application of electrical or wave energy; by particle radiation by electric induction
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D7/00—Modifying the physical properties of iron or steel by deformation
- C21D7/13—Modifying the physical properties of iron or steel by deformation by hot working
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/32—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for gear wheels, worm wheels, or the like
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/04—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/12—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing tungsten, tantalum, molybdenum, vanadium, or niobium
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/14—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing titanium or zirconium
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
- C21D2211/002—Bainite
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
- C21D2211/005—Ferrite
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
- C21D2211/009—Pearlite
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/25—Process efficiency
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Combustion & Propulsion (AREA)
- Transportation (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車操舵装置(ステアリングシステム)に使用するピニオンシャフトを製造するための高強度ピニオンシャフト用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のステアリングシステムは、油圧を利用したラッグ&ピニオン式が主流であり、このシステムにはピニオンシャフトが用いられている。このピニオンシャフトの役割は、ステアリングホイールをドライバーが操作した際の回転トルクを伝達し、ラックバーの歯部と噛み合うことにより回転運動を直線運動に変換するための部品であり、ステアリングシステムの中では重要な部品の一つである。
【0003】
このピニオンシャフトは、肌焼鋼(JIS SMnC420 、SCM420など)を用い、浸炭焼入れ焼戻しを行うもの、炭素鋼(JIS S45Cなど)や強靱鋼(JIS SCM440,SCM445 など)を用い、高周波焼入れ焼戻しを行うものなどのように、鋼種と表面硬化熱処理の組み合わせで製造されている。
しかし、肌焼鋼に浸炭焼入れ焼戻しを行う場合には、熱処理コストが高くなるとともに、熱処理歪みや熱処理異常層が発生するという問題がある。
他方、炭素鋼や強靱鋼を高周波焼入れ焼戻しを行う場合には、肌焼鋼に浸炭焼入れ焼戻しを行うものより低コスト、低歪みであるが、ピニオンシャフトの内部硬さと高周波焼入れの容易性を確保するために調質処理を施した材料を用いると、調質によるコストアップの問題があり、また、調質処理を施した材料の代わりに非調質鋼を用いると、衝撃強度が低いためにピニオンシャフトの性能が低下するという問題がある。
【0004】
ピニオンシャフトなどのシャフト用非調質鋼のとしては、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.70%、Mn:0.60を超え1.00%まで、S:0.01〜0.07%、V:0.02〜0.50%、N:0.002〜0.03%、P:0〜0.050%、Cu:0〜0.30%、Ni:0〜0.30%、Cr:0〜1.00%、Mo:0〜0.30、Al:0〜0.050%、Pb:0〜0.30%、Ca:0〜0.0100%:Te:0〜0.10%、Bi:0〜0.100%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、かつfn1≧0及びfn2≦0であることを特徴とする非調質鋼が特許文献1に開示されている。
fn1=C+(Si/10)+(Mn/6)+5N
+1.65V+(Cr/3)−0.6
fn2=〔C/(fn1+0.6)〕−0.6
【0005】
また、ピニオンシャフトは製造工程において歯切り加工を行うが、この歯切り加工を行う際に用いる材料によっては硬さと組織の影響で(特に調質、焼鈍などの前熱処理をしないもの)歯切り面の粗さが大きくなり、歯形精度が低下する場合がある。このように歯形精度が低下すると、ラックとピニオンの歯部の噛み合い面状態が悪くなるため、耐摩耗性や耐ピッチング性が低下する場合がある。また歯形精度の低下レベルによっては、噛み合い面での摩擦状態の変化が大きくなり、操舵フィーリングが低下するという問題がある。
【0006】
更に最近の地球環境問題からくる省エネルギー対応のため、油圧式のパワーステアリングに替わってモータを利用した電動式のパワーステアリング(EPS)が開発され、増加する傾向にある。
このEPSでは、従来のステアリングシステムと異なるアシスト機構を持つ場合もあり、特にピニオンシャフトの回転トルクをアシストするタイプでは、ラックとピニオンの歯部の噛み合い部に従来に比べて大きな力が作用するため、従来にも増して使用条件が厳しくなる傾向にある。
【0007】
上記のように調質処理を省略する鋼、すなわち非調質鋼をそのままホブなどで歯切り加工をすると、歯切り面粗さが大きくなり歯形精度が低下し、耐摩耗性や耐ピッチング性が低下するという問題があるが、さらに一般の非調質鋼に高周波焼入れを施した場合、フェライトが多いために通常の高周波加熱条件では、高周波焼入れ層にフェライトが残留し、所定の表面硬さが得られないことにより、耐摩耗性や耐ピッチング性が低下するという問題がある。フェライトを残留させないために高周波加熱条件を高温または長時間加熱すると硬化層深さが深くなり、大きな熱処理歪みが発生したり、結晶粒が粗大化して強度が低下するという問題が発生する。また、従来の非調質鋼に高周波焼入れ処理を施した場合、所望のねじり、曲げ、衝撃ねじり、衝撃曲げ強度が得られないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−195000号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するもので、ホブ加工時にむしれの発生が少なく、高周波焼入れ後の表面硬さ、衝撃値およびねじり強度が高く、高周波焼入れ時における熱処理歪みが小さい非調質で、高周波焼入れをして使用する高強度ピニオンシャフト用鋼を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、ホブ加工時にむしれの発生が少なく、高周波焼入れ時における熱処理歪みが小さく、かつ表面硬さ、衝撃値およびねじり強度が高いピニオンシャフト用鋼について鋭意研究したところ、ホブ加工時のむしれの発生防止には、主として成分組成の適正化とミクロ組織の微細化をすればよいこと、高周波焼入れ時における熱処理歪みの発生の抑制には、主として成分組成の適正化と高周波焼入れ前の組織を調整すればよいこと、ピニオンシャフトの耐ピッチング性および耐摩耗性の向上には、高周波焼入れ層の硬さと硬さに大きく影響を及ぼすC含有量を適正にすればよいことなどの知見を得た。
【0011】
また、ねじり、曲げ、衝撃ねじり、衝撃曲げ強度の向上には、主として成分、特にMoとBを複合添加することおよび高周波焼入れ前の組織の調整によって達成できること、上記成分組成は、特許請求の範囲に記載した成分組成にすればよいこと、組織をフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織で、かつフェライト面積率が40%以下および最大パーライトブロックサイズが円相当径で100μm以下にするには、上記成分組成の鋼を850℃以下の温度で減面率10%以上の圧下率で加工すればよいことなどの知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づいて発明をされたものである。
【0012】
すなわち、本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼においては、C:0.45〜0.55%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.50〜1.20%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Mo:0.15〜0.25%、B:0.0005〜0.005%、Ti:0.005〜0.10%およびN:0.015%以下を含有し、更に必要に応じてCu:0.50%以下、Ni:0.50%以下およびCr:0.50%以下のうちの1種又は2種以上を含有し、また必要に応じてNb:0.20%以下、Ta:0.20%以下、Zr:0.10%以下およびAl:0.10%以下のうちの1種または2種以上を含有し、かつ下記式1および式2を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、熱間圧延後の組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織で、かつフェライト面積率が40%以下および最大パーライトブロックサイズが円相当径で100μm以下であり、更に熱間圧延後の硬さが24〜30HRCであり、高周波焼入れ後の表面硬さが650HV以上になるものとすることである。
式1・・・0.80≦Ceq≦0.95
ただし、Ceq=C+0.07×Si+0.16×Mn+0.20×Cr+0.72×Mo
式2・・・f値≦1.0
ただし、f値=2.78−3.2 ×C+0.05×Si−0.60×Mn
−0.55×Cu−0.80×Ni−0.75×Cr
【0013】
また、本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼においては、C:0.45〜0.55%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.50〜1.20%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Mo:0.15〜0.25%、B:0.0005〜0.005%、Ti:0.005〜0.10%およびN:0.015%以下を含有し、更に必要に応じてCu:0.50%以下、Ni:0.50%以下およびCr:0.50%以下のうちの1種又は2種以上を含有し、また必要に応じてNb:0.20%以下、Ta:0.20%以下、Zr:0.10%以下およびAl:0.10%以下のうちの1種または2種以上を含有し、かつ下記式1および式2を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、熱間圧延後の組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織で、かつフェライト面積率が40%以下および最大パーライトブロックサイズが円相当径で100μm以下であり、更に熱間圧延後の硬さが24〜30HRCであり、高周波焼入れ後の表面硬さが650HV以上になるとともに、焼入れ層の旧オーステナイト結晶粒度が粒度番号8以上になるものとすることである。
式1・・・0.80≦Ceq≦0.95
ただし、Ceq=C+0.07×Si+0.16×Mn+0.20×Cr+0.72×Mo
式2・・・f値≦1.0
ただし、f値=2.78−3.2 ×C+0.05×Si−0.60×Mn
−0.55×Cu−0.80×Ni−0.75×Cr
【0014】
【作用】
本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼は、上記構成にすることにより、ホブ加工時にむしれの発生が少なく、高周波焼入れ後の表面硬さ、衝撃値およびねじり強度が高く、高周波焼入れ時における熱処理歪みが小さいものとなる。この高強度ピニオンシャフト用鋼は、高周波焼入れ後の表面硬さ、衝撃値およびねじり強度が高いため、ステアリングシステムの中でも使用条件が過酷な電動式のパワーステアリングにも使用することができ、さらにステアリングシステムの小型化に対応する軽量化をすることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼の成分組成、Ceqおよびf値を上記のように特定している理由を説明する。
C:0.45〜0.55%
Cは、高周波焼入れ層の硬さを高め、耐ピッチング性や耐摩耗性を向上させるので、そのために含有させる元素である。それらの作用効果を得るためには0.45%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎると製造した高強度ピニオンシャフトのねじり、曲げ、衝撃ねじり、衝撃曲げ等の強度が低下するので、上限を0.55%とする。
【0016】
Si:0.10〜0.50%
Siは、鋼溶製時において脱酸作用を有しているので、そのために含有させる元素である。その作用効果を得るためには0.10%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎると鋼の靱性を低下するので、上限を0.50%とする。
【0017】
Mn:0.50〜1.20%
Mnは、鋼溶製時において脱酸作用を有しているとともに、鋼の焼入性を向上させるので、それらのために含有させる元素である。それらの作用効果を得るためには0.50%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎると硬さが高くなり過ぎるので、上限を1.2%とする。
【0018】
P:0.025%以下
Pは、不可避な不純物であり、粒界に偏析して靱性を低下させるとともに、高周波焼入れ時の焼割れの発生を助長する元素であるので、低いほうが好ましいが、低くしても効果が飽和し、またコストも高くなるので、上限を0.025%とする。
【0019】
S:0.025%以下
Sは、不可避な不純物であり、硫化物系介在物を形成して疲労破壊の起点となるので、疲労強度を低下し、焼割れの原因となるので、低いほうが好ましいが、著しく低くなると被削性を低下するので、上限を0.025%とする。
【0020】
Mo:0.15〜0.25%
Moは、焼入性を高めるとともに、高周波焼入れによって得られる硬化層の衝撃応力の作用に対する抵抗を向上させることにより耐衝撃き裂生成エネルギーを大きくするので、それらのために含有させる元素である。それらの作用効果を得るには0.15%以上含有させる必要があるが、多量に含有させると圧延状態でマルテンサイトが発生して硬くなり、被削性を低下させるので、上限を0.25%とする。また、Bと複合添加すると高周波焼入れ層の靱性改善効果がさらに助長される。
【0021】
B:0.0005〜0.005%
Bは、焼入性を向上させるとともに、Pの粒界偏析を抑制して高周波焼入れ層の靱性を向上させるので、それらのために含有させる元素である。それらの作用効果を得るためには0.0005%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎると結晶粒を粗大化させて靱性を低下させるので、上限を0.005%とする。また、Moと複合添加すると高周波焼入れ層の靱性改善効果がさらに助長される。
【0022】
Ti:0.005〜0.10%
Tiは、TiNを生成して鋼中のNを固定し、BNの生成を妨げて有効なB量を多くするので、そのために含有させる元素である。Nを固定して上記Bの効果を発揮させるためには0.005%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎると靱性を低下させるので、上限を0.10%とする。
【0023】
N:0.015%以下
Nは、不可避な不純物であり、鋼中で窒化物系非金属介在物を形成して製造するピニオンシャフトの疲労強度を低下させるので、上限を0.015%とする。
【0024】
Cu:0.50%以下
Cuは、f値をコントロールするために含有させてもよいが、多量に含有させると鋼の熱間加工性を低下するので、上限を0.50%とする。
Ni:0.50%以下
Niは、f値をコントロールするために含有させてもよいが、多量に含有させると鋼の被削性を低下させるので、上限を0.50%とする。
Cr:0.50%以下
Crは、f値をコントロールするために含有させてもよいが、多量に含有させると鋼の焼入性が増加して圧延状態でマルテンサイトが発生し、硬さが高くなって被削性を低下させるので、上限を0.50%とする。
【0025】
Nb:0.20%以下、Ta:0.20%以下
NbおよびTaは、高周波焼入れ層の組織を微細化して靱性を改善させるので、そのために含有させる元素であるが、多く含有すると効果が飽和するので、上限を0.20%とする。
Zr:0.10%以下、
Zrは、高周波焼入れ層の組織を微細化して靱性を改善させるとともに、酸化物を形成して硫化物の核となり、かつMnSの延伸性を改善して粒状硫化物となるため、ねじり疲労強度を向上させるので、それらのために含有させる元素であるが、多く含有すると効果が飽和するので、上限を0.10%とする。
Al:0.10%以下
Alは、鋼溶製時において強い脱酸作用を有しているとともに、結晶粒を微細化して靱性を改善するので、それらのために含有させる元素であるが、多くなり過ぎるとAl2 O3 系介在物が増加して疲労強度を低下させるので、上限を0.10%とする。
【0026】
0.80≦Ceq≦0.95
ただし、Ceq=C+0.07×Si+0.16×Mn+0.20×Cr+0.72×Mo
熱間圧延のままでの硬さは、主として鋼の化学組成、圧延材の寸法、圧延条件および冷却条件によって決まるものである。ピニオンシャフト用鋼の場合、その鋼材の寸法が直径20〜30mmであり、熱間圧延条件が850℃以下の温度で減面率10%以上の圧下率であり、また冷却方法が著しいコスト増加を招かない衝風冷却、大気放冷またはポット冷却であるので、その硬さは、ほとんどCeqの大小によって決まるものである。この硬さをピニオンシャフト用鋼に必要な24〜30HRC(下記で詳細に説明する。)にするには、Ceqを0.80〜0.95にすることが必要である。Ceqが0.80未満では熱間圧延後の硬さが24HRC以上にならないからであり、0.95より大きいと硬さが30HRCより高くなって硬くなり過ぎて被削性が低下するからである。
【0027】
f値≦1.0
ただし、f値=2.78−3.2 ×C+0.05×Si−0.60×Mn
−0.55×Cu−0.80×Ni−0.75×Cr
フェライト量は、主として鋼の化学組成、圧延材の寸法、圧延条件および冷却条件によって決まるものである。ピニオンシャフト用鋼の場合、その鋼材の寸法が直径20〜30mmであり、熱間圧延条件が850℃以下の温度で減面率10%以上の圧下率であり、また冷却方法が著しいコスト増加を招かない衝風冷却、大気放冷またはポット冷却であるので、フェライト量は、ほとんどf値の大小によって決まるものである。このフェライト量をピニオンシャフト用鋼に必要な40%以下(下記で詳細に説明する。)にするには、f値を1.0以下にすることが必要である。f値が1.0より大きいとフェライト量がピニオンシャフト用鋼に必要な40%以下にならないからである。
【0028】
次に、熱間圧延後の組織、フェライト面積率、最大パーライトブロックサイズ、熱間圧延後の硬さ、高周波焼入れ後の表面硬さおよび焼入れ層の旧オーステナイト結晶粒度を上記のように特定した理由を説明する。
熱間圧延後の組織:フェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織
マルテンサイトが存在すると硬さが著しく高くなるとともに、衝撃値が低下するので、フェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織とする。
【0029】
フェライト面積率:40%以下
高周波焼入れ前の組織に多量のフェライトが存在すると、高周波焼入れのような短時間の加熱処理においては、フェライト中へCの拡散が不十分となり、高周波焼入れ後の組織にフェライトが残留することになる。この残留フェライトは、曲げおよびねじり強度を低下する原因になる。また均一な硬さが得にくくなり、耐摩耗性も低下することになる。残留フェライトを少なくするために高周波焼入れにおいて長時間加熱または高温加熱することが考えられるが、長時間加熱をした場合には硬化層深さが深くなり、製造するピニオンシャフトの歪みが大きくなるとともに、表面近傍の残留応力の低下により疲労強度が低下する原因となる。他方、高温加熱をした場合には高周波焼入れ層の結晶粒が粗大化して靱性の低下を招くことになる。したがって、高周波焼入れ前のフェライト面積率を40%以下にする。なお、パーライトおよびベイナイトは、フェライトに比べて有害でないので、この量は規制しない。
【0030】
最大パーライトブロックサイズ:円相当径で100μm以下
ホブ加工時のむしれの発生を抑制するためには、組織の微細化を図るのが有効である。特にパーライトブロックが粗大であると、ホブ加工時に剥離してむしれを発生するからである。実用のピニオンシャフトの表面仕上げ精度を考慮すると、パーライトブロックの円相当径を100μm以下にする必要があるので、この値を100μm以下とする。
【0031】
熱間圧延後の硬さ:24〜30HRC
ピニオンシャフトの機械加工における工具寿命およびピニオンシャフトの強度を確保するためには、24〜30HRCにする。24HRC以下であるとピニオンシャフトに必要な強度が得られず、また30HRC以上であると工具寿命が低下してコストを増加し、加工に長時間を必要とするようになるからである。
【0032】
高周波焼入れ後の表面硬さが650HV以上
ピニオンシャフトの強度および耐摩耗性の確保、特に耐摩耗性を確保するためには、高周波焼入れ後の表面硬さを650HV以上にする。
高周波焼入れ後の焼入れ層の旧オーステナイト結晶粒度:粒度番号8以上
旧オーステナイト結晶粒が大きいと高周波焼入れ、焼戻し後の靱性が低下するので、旧オーステナイト結晶粒度を粒度番号8以上にするのが望ましい。
【0033】
次に、本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼を製造する方法における熱間圧延条件について説明する。
圧延温度が低く、また圧下率を大きくすると組織が微細化するが、圧延温度が低すぎたり、圧下率が小さするぎると圧延後未再結晶組織を呈し、組織が粗くなる。圧延後の鋼材のミクロ組織を微細で、かつパーライトブロックサイズを100μm以下にするためには、850℃以下、好ましくは700℃以上の温度で、10%以上の圧下率を施す必要がある。
【0034】
本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼は、上記理由により上記成分組成の範囲内で、かつ上記2つの式を満たし、残部をFeおよび不可避不純物からなり、熱間圧延後の組織、フェライト面積率、最大パーライトブロックサイズ、熱間圧延後の硬さ、高周波焼入れ後の表面硬さを上記のように特定したものであるか、または、さらにこれらに焼入れ層の旧オーステナイト結晶粒度を上記のように特定したものである。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
実施例1
下記表1に示す成分組成の本発明例および比較例の鋼を溶製したのちビレットにし、800℃以下の温度で圧下率15%の熱間圧延をしてφ23mmの丸棒にした後空冷した。この丸棒からミクロ組織、フェライト面積率および最大パーライトブロックサイズ測定用試験片、圧延材硬さ測定用試験片、ホブ加工用試験片、高周波焼入れ表面硬さ測定用試験片、高周波焼入れによる歪み測定用試験片およびねじり強度測定用試験片を作製した。これらの試験片を用いて下記の試験方法によってそれぞれの測定を行った。その結果を下記表2に示す。
【0036】
ミクロ組織、フェライト面積率および最大パーライトブロックサイズの測定
上記試験片を用い、その横断面を研磨し、エッチングした後、光学顕微鏡により測定した。
圧延材硬さ(圧延後の硬さ)測定
上記試験片の硬さをロックウエル硬度計を用いてCスケールで測定した。
ホブ加工におけるむしれ測定
上記ホブ加工用試験片(軸部分φ15mm、歯切り部分φ22mm、長さ130mm)を用い、ハイスのホブを使用し、回転速度425rpm、送り速度0.73mm/分で歯切りを行い、切削面の粗さを粗さ測定器で測定した。
【0037】
高周波焼入れ表面硬さ測定
上記φ23mmの丸棒よりφ20mm、長さ150mmの試験片を作製し、高周波加熱装置により表面加熱温度約900〜1000℃、加熱時間2〜5秒で加熱した後水冷し、170℃に加熱して焼戻しをした。この供試材を用いてビッカース硬度計により測定した。
【0038】
高周波焼入れによる歯形の歪み測定
上記φ23mmの丸棒より軸部分φ15mm、歯切り部分φ22mm、長さ130mmのピニオンシャフトを作製し、高周波加熱装置により表面加熱温度約900〜1000℃、加熱時間2〜5秒で加熱した後水冷し、170℃に加熱して焼戻しをした後歯形精度を測定した。
ねじり強度の測定
上記φ23mmの丸棒より試験部直径12mmの試験片を作製し、この試験片を高周波焼入れ焼戻しをし、油圧式ねじり試験機によってねじり強度を測定した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表2の結果よると、本発明例は、何れもミクロ組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織であり、かつフェライト面積率が20%以下、最大パーライトブロックサイズが円相当径で35〜55μm、圧延材硬さ(圧延後の硬さ)が24.4〜29.7HRC、高周波焼入れ後の表面硬さが650〜760HVであり、ホブ加工におけるむしれは小さく、さらに歯形の歪みは小さく、またねじり強度は1670〜1800MPaであった。
【0042】
これに対して、C含有量およびCeqが本発明より低く、またf値が本発明より高い比較例1は、フェライト面積率が本発明例より高く、圧延材硬さ(圧延後の硬さ)が本発明例よりかなり低く、ホブ加工におけるむしれおよび高周波焼入れによる歯形の歪みが本発明例より大きかった。
さらに、Si含有量が本発明より多く、Ceqが本発明より高い比較例2は、最大パーライトブロックサイズが本発明例より大きく、ホブ加工におけるむしれおよび高周波焼入れによる歯形の歪みが本発明例より大きかった。
【0043】
また、Ceqが本発明よりやや低い比較例3は、フェライト面積率が本発明例よりやや高く、高周波焼入れ後の表面硬さが本発明例よりやや低く、ホブ加工におけるむしれおよび高周波焼入れによる歯形の歪みが本発明例より大きかった。
また、C含有量が本発明よりやや少なく、Si含有量が本発明よりかなり多く、またf値が本発明より高い比較例4は、フェライト面積率が本発明例より高く、圧延材硬さが本発明例よりやや低く、高周波焼入れ後の表面硬さが本発明例よりかなり低く、またホブ加工におけるむしれおよび高周波焼入れによる歯形の歪みが本発明例より大きかった。
【0044】
また、C含有量が本発明よりやや少なく、またCeqが本発明より低い比較例5は、フェライト面積率が本発明例よりやや高く、圧延材硬さおよび高周波焼入れ後の表面硬さが本発明例よりかなり低く、さらにホブ加工におけるむしれおよび高周波焼入れによる歯形の歪みが本発明例より大きく、またねじり強度が本発明例よりやや低かった。
また、C含有量が本発明より多い比較例6は、最大パーライトブロックサイズが本発明例よりやや大きく、さらにホブ加工におけるむしれが本発明例より大きく、またねじり強度が本発明例よりかなり低かった。
【0045】
また、Mo含有量が本発明よりやや少なく、またCeqが本発明よりやや低い比較例7は、圧延材硬さが本発明例よりやや低く、さらにホブ加工におけるむしれが本発明例より大きく、またねじり強度が本発明例よりやや低かった。
また、Mo含有量が本発明より多い比較例8は、組織にマルテンサイトが存在しており、ホブ加工におけるむしれが本発明例より大きかった。
また、Si含有量が本発明より多く、B含有量が本発明より少ない比較例9は、ねじり強度が本発明例よりかなり低かった。
また、Ti含有量およびN含有量が本発明よりやや多い比較例10は、ねじり強度が本発明例よりかなり低かった。
【0046】
実施例2
上記実施例1で作成したビレットのうちの表1の本発明例3および比較例2の成分組成を有するビレットを用い、熱間圧延の際の加熱温度を1100〜1250℃、圧延温度を750〜950℃、冷却条件を衝風冷却、大気冷却またはポット冷却の範囲でそれぞれ調節して旧オーステナイト結晶粒度が下記表3に記載した結晶粒度番号になる試験材を作製した。この試験材より下記き裂生成エネルギー測定用試験片を作製し、下記き裂生成エネルギー試験を行った。その結果を下記表3に示す。なお、旧オーステナイト結晶粒度は、試験片のノッチ底断面を研磨し、エッチングした後、光学顕微鏡により測定した。
【0047】
き裂生成エネルギー試験
JIS2mmUノッチ試験片を高周波加熱装置により表面加熱温度900〜1100℃、加熱時間2〜5秒で加熱した後水冷し、170℃で焼戻しした。この試験片を用いて計装化シャルピー試験にてき裂生成エネルギーを求めた。この結果を下記表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表3の結果によると、旧オーステナイト結晶粒度が8.6と10.5の本発明例10と11は、き裂生成エネルギーが15Jと20Jであった。
これに対して、旧オーステナイト結晶粒度が5.5と8.5(供試材の比較例2は、Si含有量が本発明より多く、Ceqが本発明より高い。)の比較例11と12は、き裂生成エネルギーが本発明例の半分以下の6Jと9Jであった。
【0050】
実施例3
上記実施例1で作成したビレットのうちの表1の本発明例2、3、5および6並びに比較例1,4および6の成分組成を有するビレットからφ53mm、厚さ5mmの試験片を作製した。この試験片を高周波焼入れ焼戻した後、表面硬さを測定するとともに、下記方法で摩耗量を測定した。その結果を下記表4に示す。
摩耗減量測定用試験
上記試験片を用い、ピンオンディスク式の摩耗試験機によって、荷重:2MPa、周速:1m/分、潤滑:ドライおよび相手ピン:SUJ2の焼入れ焼戻し材(62HRC)の条件で2時間摩耗試験を実施した後供試材の摩耗減量を測定した。
【0051】
【表4】
【0052】
表4の結果によると、本発明例は、高周波焼入れ材表面硬さが650〜724HVであり、また摩耗減量が0.002〜0.004gであった。
これに対して、比較例は、540〜580HVであり、摩耗減量が本発明例の10倍以上の0.043〜0.060gであった。
【0053】
【効果】
本発明の高強度ピニオンシャフト用鋼は、上記構成にしたことにより、ホブ加工時にむしれの発生が少なく、高周波焼入れ後の表面硬さ、衝撃値およびねじり強度が高く、高周波焼入れ時における熱処理歪みが小さいという優れた効果を奏する。
Claims (4)
- 質量%で(以下同じ)、C:0.45〜0.55%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.50〜1.20%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Mo:0.15〜0.25%、B:0.0005〜0.005%、Ti:0.005〜0.10%およびN:0.015%以下を含有し、かつ下記式1および式2を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、熱間圧延後の組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織で、かつフェライト面積率が40%以下および最大パーライトブロックサイズが円相当径で100μm以下であり、更に熱間圧延後の硬さが24〜30HRCであり、高周波焼入れ後の表面硬さが650HV以上になることを特徴とする高強度ピニオンシャフト用鋼。
式1・・・0.80≦Ceq≦0.95
ただし、Ceq=C+0.07×Si+0.16×Mn+0.20×Cr+0.72×Mo
式2・・・f値≦1.0
ただし、f値=2.78−3.2 ×C+0.05×Si−0.60×Mn
−0.55×Cu−0.80×Ni−0.75×Cr - C:0.45〜0.55%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.50〜1.20%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Mo:0.15〜0.25%、B:0.0005〜0.005%、Ti:0.005〜0.10%およびN:0.015%以下を含有し、かつ下記式1および式2を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、熱間圧延後の組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの3相組織で、かつフェライト面積率が40%以下および最大パーライトブロックサイズが円相当径で100μm以下であり、更に熱間圧延後の硬さが24〜30HRCであり、高周波焼入れ後の表面硬さが650HV以上になるとともに、焼入れ層の旧オーステナイト結晶粒度が粒度番号8以上になることを特徴とする高強度ピニオンシャフト用鋼。
式1・・・0.80≦Ceq≦0.95
ただし、Ceq=C+0.07×Si+0.16×Mn+0.20×Cr+0.72×Mo
式2・・・f値≦1.0
ただし、f値=2.78−3.2 ×C+0.05×Si−0.60×Mn
−0.55×Cu−0.80×Ni−0.75×Cr - 上記残部のFeの一部に代えてCu:0.50%以下、Ni:0.50%以下およびCr:0.50%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の高強度ピニオンシャフト用鋼。
- 上記残部のFeの一部に代えてNb:0.20%以下、Ta:0.20%以下、Zr:0.10%以下およびAl:0.10%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項記載の高強度ピニオンシャフト用鋼。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014208A JP4375971B2 (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 高強度ピニオンシャフト用鋼 |
FR0400638A FR2850399B1 (fr) | 2003-01-23 | 2004-01-23 | Acier pour utilisation dans un arbre de pignon de haute resistance et procede de fabrication de celui-ci |
DE102004003541A DE102004003541B4 (de) | 2003-01-23 | 2004-01-23 | Stahl zur Verwendung in einer hochfesten Ritzelwelle und Herstellungsverfahren hierfür |
US10/762,559 US7740722B2 (en) | 2003-01-23 | 2004-01-23 | Steel for use in high strength pinion shaft and manufacturing method thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014208A JP4375971B2 (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 高強度ピニオンシャフト用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004225102A JP2004225102A (ja) | 2004-08-12 |
JP4375971B2 true JP4375971B2 (ja) | 2009-12-02 |
Family
ID=32677540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003014208A Expired - Fee Related JP4375971B2 (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 高強度ピニオンシャフト用鋼 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7740722B2 (ja) |
JP (1) | JP4375971B2 (ja) |
DE (1) | DE102004003541B4 (ja) |
FR (1) | FR2850399B1 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4828321B2 (ja) * | 2006-06-16 | 2011-11-30 | 新日本製鐵株式会社 | 低サイクル疲労特性に優れた高周波焼入れ鋼材及び高周波焼入れ部品 |
JP5682161B2 (ja) * | 2009-08-10 | 2015-03-11 | 株式会社ジェイテクト | 転がり摺動部材の製造方法 |
JP5521885B2 (ja) | 2010-08-17 | 2014-06-18 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度かつ耐水素脆化特性に優れた機械部品用鋼線、および機械部品とその製造方法 |
DE102010048134A1 (de) * | 2010-10-11 | 2012-04-12 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Vergütungsstahl |
JP5687945B2 (ja) * | 2011-04-08 | 2015-03-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 被削性と高温強度に優れた高周波焼入れ用鋼、及びその製造方法 |
DE102011079955B4 (de) | 2011-07-28 | 2023-10-19 | Aktiebolaget Skf | Stahl, Bauteil und Verfahren zum Herstellen von Stahl |
KR101781647B1 (ko) | 2011-08-09 | 2017-09-25 | 엘지이노텍 주식회사 | 트랙션 모터 및 트랙션 모터의 프레임축의 열처리 방법 |
CN102433513B (zh) * | 2011-11-29 | 2013-05-08 | 宁波兴柯汽车新材料科技有限公司 | 一种低合金耐热高强钢构件的制备及热处理方法 |
CN102505098B (zh) * | 2011-11-29 | 2013-06-26 | 宁波市博祥新材料科技有限公司 | 一种低合金耐热高强钢构件 |
KR101417260B1 (ko) * | 2012-04-10 | 2014-07-08 | 주식회사 포스코 | 재질 균일성이 우수한 고탄소 열연강판 및 이의 제조방법 |
DE102018212009A1 (de) | 2018-07-18 | 2020-01-23 | Volkswagen Aktiengesellschaft | Hochfestes Lenkritzel |
Family Cites Families (33)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01156420A (ja) * | 1987-12-11 | 1989-06-20 | Kawasaki Steel Corp | Cu析出型高張力綱の製造方法 |
JPH02179841A (ja) | 1988-12-29 | 1990-07-12 | Aichi Steel Works Ltd | 高周波焼入用非調質鋼およびその製造方法 |
US5279688A (en) * | 1989-12-06 | 1994-01-18 | Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha | Steel shaft material which is capable of being directly cut and induction hardened and a method for manufacturing the same |
JP2725747B2 (ja) | 1990-11-16 | 1998-03-11 | 大同特殊鋼株式会社 | 高周波焼入れ用鋼材 |
JPH05125438A (ja) | 1991-11-06 | 1993-05-21 | Nippon Steel Corp | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
DE69430835T2 (de) * | 1993-03-12 | 2003-02-13 | Nippon Steel Corp., Tokio/Tokyo | Stahlmaterial für induktionsgehärteten schaftteil und damit hergestellter schaftteil |
JP3304550B2 (ja) | 1993-09-17 | 2002-07-22 | 新日本製鐵株式会社 | 切欠き付き高周波焼入れ部品の製造方法 |
JPH0853714A (ja) | 1994-08-09 | 1996-02-27 | Kobe Steel Ltd | ねじり疲労強度に優れた機械構造用軸物部品 |
JP3432944B2 (ja) | 1995-03-16 | 2003-08-04 | 新日本製鐵株式会社 | 捩り疲労強度の優れた高周波焼入れ軸部品用鋼材 |
JP3432950B2 (ja) | 1995-04-17 | 2003-08-04 | 新日本製鐵株式会社 | 冷間加工性と捩り疲労強度特性を兼備した高周波焼入れ軸部品用鋼材 |
JPH09195000A (ja) | 1996-01-22 | 1997-07-29 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 非調質鋼 |
FR2744733B1 (fr) * | 1996-02-08 | 1998-04-24 | Ascometal Sa | Acier pour la fabrication de piece forgee et procede de fabrication d'une piece forgee |
JPH108189A (ja) | 1996-06-14 | 1998-01-13 | Daido Steel Co Ltd | 曲げ特性に優れる高周波焼入れ用鋼ならびにその 鋼材を用いた曲げ特性に優れる高周波焼入れ部品 |
US5922145A (en) * | 1996-11-25 | 1999-07-13 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel products excellent in machinability and machined steel parts |
JPH10195589A (ja) * | 1996-12-26 | 1998-07-28 | Nippon Steel Corp | 高捩り疲労強度高周波焼入れ鋼材 |
JPH1129836A (ja) | 1997-05-13 | 1999-02-02 | Kawasaki Steel Corp | 高周波焼入れ用機械構造用鋼 |
JP3606024B2 (ja) | 1997-10-28 | 2005-01-05 | Jfeスチール株式会社 | 高周波焼入部品およびその製造方法 |
JP3809004B2 (ja) | 1998-02-24 | 2006-08-16 | 新日本製鐵株式会社 | 高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法 |
JP3593255B2 (ja) * | 1998-04-17 | 2004-11-24 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高強度シャフトの製造方法 |
DE19928775C2 (de) * | 1998-06-29 | 2001-10-31 | Nsk Ltd | Induktionsgehärtete Wälzlagervorrichtung |
US6395108B2 (en) * | 1998-07-08 | 2002-05-28 | Recherche Et Developpement Du Groupe Cockerill Sambre | Flat product, such as sheet, made of steel having a high yield strength and exhibiting good ductility and process for manufacturing this product |
WO2000005514A1 (fr) * | 1998-07-22 | 2000-02-03 | Ntn Corporation | Mecanisme de transmission de puissance |
JP4219023B2 (ja) * | 1998-11-19 | 2009-02-04 | 新日本製鐵株式会社 | 高強度ドライブシャフトとその製造方法 |
EP1069198A4 (en) * | 1999-01-28 | 2002-02-06 | Sumitomo Metal Ind | STEEL PRODUCT FOR STRUCTURAL PARTS OF MACHINERY |
US6319337B1 (en) * | 1999-02-10 | 2001-11-20 | Ntn Corporation | Power transmission shaft |
JP3966493B2 (ja) * | 1999-05-26 | 2007-08-29 | 新日本製鐵株式会社 | 冷間鍛造用線材及びその製造方法 |
JP4435954B2 (ja) * | 1999-12-24 | 2010-03-24 | 新日本製鐵株式会社 | 冷間鍛造用棒線材とその製造方法 |
JP4328924B2 (ja) * | 2000-01-13 | 2009-09-09 | 住友金属工業株式会社 | 高強度軸部品の製造方法 |
JP4405026B2 (ja) * | 2000-02-22 | 2010-01-27 | 新日本製鐵株式会社 | 結晶粒の微細な高靱性高張力鋼の製造方法 |
EP1231289B1 (en) * | 2000-06-07 | 2005-10-19 | Nippon Steel Corporation | Steel pipe having high formability and method for producing the same |
JP2002060901A (ja) | 2000-08-24 | 2002-02-28 | Nisshin Steel Co Ltd | 草刈刃用鋼板 |
JP3565428B2 (ja) | 2000-10-02 | 2004-09-15 | 株式会社住友金属小倉 | 機械構造用鋼材 |
JP4556334B2 (ja) * | 2001-02-01 | 2010-10-06 | 大同特殊鋼株式会社 | 軟窒化用非調質鋼熱間鍛造部品 |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014208A patent/JP4375971B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2004
- 2004-01-23 US US10/762,559 patent/US7740722B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2004-01-23 FR FR0400638A patent/FR2850399B1/fr not_active Expired - Fee Related
- 2004-01-23 DE DE102004003541A patent/DE102004003541B4/de not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US7740722B2 (en) | 2010-06-22 |
DE102004003541A1 (de) | 2004-08-19 |
DE102004003541B4 (de) | 2013-02-21 |
JP2004225102A (ja) | 2004-08-12 |
FR2850399B1 (fr) | 2006-07-14 |
FR2850399A1 (fr) | 2004-07-30 |
US20040202567A1 (en) | 2004-10-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2015098106A1 (ja) | 浸炭鋼部品の製造方法及び浸炭鋼部品 | |
JP6057014B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼材 | |
US9890446B2 (en) | Steel for induction hardening roughly shaped material for induction hardening | |
KR20080091705A (ko) | 고강도 침탄 고주파 담금질 부품 | |
CN112292471B (zh) | 机械部件 | |
JP4375971B2 (ja) | 高強度ピニオンシャフト用鋼 | |
WO2017115842A1 (ja) | 肌焼鋼、浸炭部品および肌焼鋼の製造方法 | |
JP3094856B2 (ja) | 高強度高靭性肌焼き用鋼 | |
JP4219023B2 (ja) | 高強度ドライブシャフトとその製造方法 | |
JP4938475B2 (ja) | 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車 | |
JP5111014B2 (ja) | 高周波焼入れ軸部品用鋼及び軸部品 | |
JP3842888B2 (ja) | 冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材の製造方法 | |
JP4464861B2 (ja) | 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた肌焼用鋼 | |
JP5583352B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼および静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品 | |
JP4938474B2 (ja) | 耐衝撃疲労特性、面疲労強度に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車 | |
JP3551573B2 (ja) | 歯切り性に優れた浸炭歯車用鋼 | |
JPH11181542A (ja) | 冷間加工性と高周波焼入れ性に優れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法 | |
JP6390685B2 (ja) | 非調質鋼およびその製造方法 | |
JP4170294B2 (ja) | 転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材およびドライブシャフト | |
JP5969204B2 (ja) | 耐摩耗性と面疲労特性に優れた高周波焼入歯車およびその製造方法 | |
JPH04154936A (ja) | 析出硬化型窒化用鋼 | |
JP4502892B2 (ja) | 被削性に優れたピニオン用高周波焼入れ用鋼及びその製造方法、並びに曲げ疲労特性に優れたピニオン | |
KR101984041B1 (ko) | 기소강 | |
JP5287183B2 (ja) | 浸炭用鋼の製造方法 | |
JPH09235654A (ja) | 高周波焼入れ用鋼及び高周波焼入れ部品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060920 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080909 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081107 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090908 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090908 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |