JP4219023B2 - 高強度ドライブシャフトとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度ドライブシャフトとその製造方法に関するものである。本発明で言う強度特性とは、主として捩り強度、捩り疲労強度である。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品の一つであるのドライブシャフトは、近年の自動車エンジンの高出力化あるいは環境規制対応にともない、高強度化の指向が強い。ドライブシャフトの必要な強度特性は、捩り強度、捩り疲労強度である。
これに対して、特公昭63−62571号公報には、C:0.30〜0.38%、Mn:0.6〜1.5%、B:0.0005〜0.0030%、Ti:0.01〜0.04、Al:0.01〜0.04%からなる鋼をドライブシャフトに成形し、高周波焼入れによる高周波焼入れ深さと鋼材部半径の比を0.4以上とし、高周波焼入れ後の焼戻し処理を省略するドライブシャフトの製造方法が示されている。該公報には、本願発明で強度特性として特に注目している捩り疲労強度については、言及されていない。
【0003】
また、特開平5−179400公報には、C:0.38〜0.45%、Si:0.35%以下、Mn:1.0%超〜1.5%、B:0.0005〜0.0035%、Ti:0.01〜0.05、Al:0.01〜0.06%、N:0.01%以下、フェライト結晶粒度番号:6以上の細粒組織を有する直接切削・高周波焼入れ用鋼材が示されている。該公報にも、捩り強度は記載されているが、捩り疲労強度は記載されていない。また、Mn量、N量またはSi量が高いために、冷間加工性が良くないと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような開示された鋼材では、ドライブシャフト用鋼として、優れた強度特性、とりわけ優れた捩り疲労強度特性を得ることができない。本発明はこのような問題を解決して、高強度ドライブシャフトとその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以下の手段を用いて上記の課題を解決した。すなわち、本発明の請求項1、2の発明は、質量%で、C:0.48〜0.58%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.35〜0.75%、S:0.005〜0.15%、Mo:0.1〜0.35%、B:0.0005〜0.005%、Al:0.015〜0.05%、Ti:0.039〜0.08%を含有し、N:0.005%以下(0%を含む)、Cr:0.1%以下(0%を含む)、P:0.02%以下(0%を含む)、O:0.002%以下(0%を含む)に各々制限し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を素材とし、インボリュートセレーション部の端部における、表面硬度がHV730以上であり、有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7であり、またはさらに、インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上であることを特徴とする高強度ドライブシャフトである。
【0006】
本発明の請求項3、4の発明は、上記に記載の成分で、硬さがHRB85〜95である鋼を切削加工、転造加工により所定の形状に成形加工し、引き続いて、高周波焼入れ、120−200℃での焼戻しを行い、これによって、インボリュートセレーション部の端部における、表面硬度がHV730以上であり、有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7となる様にし、またはさらに、インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上となる様にすることを特徴とする高強度ドライブシャフトの製造方法である。本発明の高強度ドライブシャフトとその製造方法を用いることにより、優れた捩り強度、捩り疲労強度特性を有するドライブシャフト製品を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、高強度ドライブシャフトとその製造方法を実現するために、鋭意調査し、次の点を明らかにした。
(1)軸部の捩り破壊、捩り疲労破壊はともに、インボリュートセレーション部の端部の切欠き部で起きる。軸部の疲労強度は、硬化層深さが深いほど向上するが、過度に深くすると焼き割れが懸念されるので、硬化層深さの上限を規定する必要がある。
(2)硬化層の硬さを確保するためには、高C化とCr量低減が重要である。低Cr化の効果は、低Cr化により、セメンタイトが短時間加熱でも溶体化しやすくなり、炭化物の溶け込み不良が防止できるためである。
【0008】
(3)捩り強度、捩り疲労強度に対して、粒界強度も強く影響する。硬化層硬さの増加を狙いとして高C化を図ると、通常は、粒界強度が低下する。これに対して、B添加、Mo添加、Si添加、低P化により、粒界強度の増加を図る。さらに高Ti−低Nとすることにより、TiCが多量微細分散し、旧オーステナイト粒度は微細化し、粒界強度はさらに向上する。以上による粒界強度の増加により、軸部の捩り強度、捩り疲労強度は向上する。
(4)高強度特性・高周波焼入れ性を確保して切削性・転造性を劣化させないために、低SiでB添加鋼とする。Bは焼入れ性増とともに、上記のように粒界強化の効果もある。また、B添加鋼ではTi添加が必須のために、通常は、粗大なTiNによる冷間加工性の劣化をもたらすが、本発明では、窒素を極力低減し粗大なTiNの生成を防止しているため、このような弊害を抑制している。
本発明は以上の新規なる知見にもとづいてなされたものである。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
Cは鋼に必要な強度を与えるのに有効な元素であるが、0.48%未満では捩り強度等の必要な強さを確保することができず、0.58%を越えると硬くなって冷間加工性、特に切削性が劣化するので、0.48〜0.58%の範囲内にする必要がある。
Siは鋼の脱酸に有効な元素であるが、0.01%未満ではその効果は不十分である。一方、0.15%を越えると、硬さの上昇を招き冷間加工性、特に切削性が劣化する。以上の理由から、その含有量を0.01〜0.15%の範囲内にする必要がある。
【0010】
Mnは、高周波焼入れ性の向上に有効な元素である。十分な焼入れ性を確保するためには、0.35%未満ではその効果は不十分である。一方、0.75%を越えると、硬さの顕著な上昇を招き冷間加工性、切削性が劣化するので、0.35%〜0.75%の範囲内にする必要がある。
Sは鋼中でMnSを形成し、これによる被削性の向上を目的として添加するが、0.005%未満ではその効果は不十分である。一方、0.15%を超えるとその効果は飽和し、むしろ粒界偏析を起こし粒界脆化を招く。以上の理由から、Sの含有量を0.005〜0.15%の範囲内にする必要がある。好適範囲は0.005〜0.04%である。
【0011】
Moは鋼に強度、焼入れ性を与えるとともに、高周波焼入れ後の粒界強度を向上させて強度特性を増加させるのに有効な元素であるが、0.1%未満ではその効果は不十分であり、0.35%を越えて添加すると硬さの上昇を招き冷間加工性、切削性が劣化する。以上の理由から、その含有量を0.1〜0.35%の範囲内にする必要がある。
Bは次の3点を狙いとして添加する。▲1▼棒鋼・線材圧延において、圧延後の冷却過程でボロン鉄炭化物を生成することにより、フェライトの成長速度を増加させ、圧延ままでの軟質化を促進し、素材の冷間加工性、切削性を向上させる。▲2▼高周波焼入れに際して、鋼に焼入れ性を付与する。▲3▼高周波焼入れ材の粒界強度を向上させることにより、機械部品としての疲労強度・衝撃強度を向上させる。0.0005%未満の添加では、上記の効果は不十分であり、0.005%を超えるとその効果は飽和するので、その含有量を0.0005〜0.005%の範囲内にする必要がある。
【0012】
Alは脱酸剤として添加する。0.015%未満ではその効果は不十分である。一方、0.05%を越えると、その効果は飽和し、逆に硬さの増加を招き、冷間加工性、切削性を劣化させる。以上の理由から、その含有量を0.015〜0.05%の範囲内にする必要がある。
Tiは鋼中でTiNおよびTiCを生成する。Tiの添加は、▲1▼TiN生成によって、固溶Nの固定によるBNの析出を防止、つまり固溶Bの確保、および▲2▼TiCの微細分散による旧オーステナイト結晶粒の細粒化を目的として添加する。しかしながら、0.02%未満ではその効果は不十分である。一方、Tiを0.08%を超えて添加すると、TiCによる析出硬化が顕著になり、冷間加工性、切削性が顕著に劣化する。以上の理由から、その含有量を0.02〜0.08%の範囲内にする必要がある。
【0013】
Nは以下の2点の理由から極力制限することが望ましい。▲1▼Bは上記のように焼入れ性向上、粒界強化等を目的として添加するが、これらのBの効果は鋼中で固溶Bの状態で初めて効果を発揮するため、N量を低減してBNの生成を抑制することが必須である。▲2▼また、Nは鋼中のTiと結びつくと粗大なTiNを生成し、硬さを増加させるとともに、TiNが冷鍛割れの原因となるため、冷間加工性が顕著に劣化する。上記の悪影響はN量が0.005%を超えた場合に特に顕著である。以上の理由から、その含有量を0.005%以下にする必要がある。Crはセメンタイト中に固溶してセメンタイトを安定化する。そのために、高周波焼入れの短時間加熱時にセメンタイトの溶け込み不良を起こしやすくなり、硬さムラの原因となる。この挙動は、特に0.1%を超えると顕著になる。以上の理由から、その含有量を0.1%以下に制限する必要がある。
【0014】
Pは冷間鍛造時の変形抵抗を高め、靱性を劣化させる元素であるため、冷間加工性が劣化する。また、高周波焼入れ、焼戻し後の部品の結晶粒界を脆化させることによって、最終製品の捩り強度、捩り疲労強度を劣化させるのでできるだけ低減することが望ましい。従ってその含有量を0.02%以下に制限する必要がある。
また、Oは鋼中でAl2 O3 のような酸化物系介在物を形成する。酸化物系介在物が鋼中に多量に存在すると、冷間加工性、切削性が劣化する。O含有量が0.002%を超えると特にその傾向が顕著になる。以上の理由から、その含有量を0.002%以下に制限する必要がある。
【0015】
次に、本願発明では、上記の鋼を素材とし、インボリュートセレーション部の端部の有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7とする。本願発明で言う有効硬化層深さは、JISG0559で規定する高周波焼入れ硬化層深さ測定方法に基づく有効硬化層深さである。本発明において、有効硬化層深さをこのように限定した理由を以下に述べる。
【0016】
軸部の捩り破壊、捩り疲労破壊はインボリュートセレーション部の端部の切欠き部で起きる。軸部の捩り強度、捩り疲労強度は、インボリュートセレーション部の端部の有効硬化層深さが深いほど向上する。有効硬化層深さが有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3未満では、その効果は不十分である。
一方、有効硬化層深さがt/rで0.7を越えると、その効果は飽和し、逆に、表面の圧縮残留応力が減少して、焼き割れが懸念される。以上の理由から、インボリュートセレーション部の端部の有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7とする。
【0017】
次に、本願発明の請求項2は、軸部の強度特性の一層の向上を狙いとして、インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上とする。これは次の理由による。軸部の捩り強度、捩り疲労硬度は旧オーステナイトの粒界強度の影響を受ける。結晶粒が微細なほど、粒界への不純物の偏析量が低減し、粒界強度が向上する。この効果は、特に旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上のときに顕著である。
以上の理由から、インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上とした。旧オーステナイト結晶粒度を8番以上に微細にする方法としては、素材である棒鋼を熱間圧延工程で製造する際に、加熱温度を1100℃以上とし、できる限り多量のTiCを一旦溶体化することにより、高周波焼入れ加熱時に微細なTiCを多量分散させる方法が有効である。
【0018】
次に、本願発明の請求項3,4は、高強度ドライブシャフトの製造方法に関する発明である。本願発明では、素材の硬さをHRB85〜95とする。硬さがHRB85未満では切削時にむしれが生じ、面粗さが不良となる。一方、硬さがHRB95を越えると、切削工具の摩耗量が顕著になる。以上の理由から、素材の硬さをHRB85〜95とする。
なお、素材の硬さを熱間圧延のままでこの範囲にする方法としては、素材である棒鋼を熱間圧延工程で製造する際に、熱間圧延の仕上げ温度を700〜860゜Cの範囲とし、さらに、熱間圧延に引き続いて750〜500゜Cの温度範囲を1゜C/秒以下の冷却速度で徐冷する方法が挙げられる。冷却速度を小さくする方法としては、圧延ラインの後方に保温カバーまたは熱源付き保温カバーを設置し、これにより、徐冷を行う方法が挙げられる。
【0019】
次に、本願発明の請求項3,4では、上記の鋼を切削加工、転造加工により所定の形状に成形加工し、引き続いて、高周波焼入れ、120−200℃での焼戻しを行う。本願発明では、切削加工の前に必要により軟化焼鈍を入れることができる。高周波焼入れ後、120−200℃の温度範囲で焼戻しを行うのは、高周波焼入れ後の鋼材の靱性を回復させ、捩り強度、捩り疲労強度を向上させるためであり、120℃未満の焼戻し温度ではその効果は小さく、200℃を越えると逆に強度が低下するためである。請求項3,4におけるその他の限定理由は請求項1,2の説明の欄で述べた通りである。
【0020】
【実施例】
鋼の組成を表1に示した。発明鋼No.1−3はそれぞれJISのS50C、S53C、S55C相当の鋼に対しSi、Mn、Pを低減し、Mo、Bを添加し、さらにTiを0.039−0.060を添加した鋼である。それに対して、比較鋼No.4,5はそれぞれS40C、S53C相当の鋼にB添加とTiを0.029−0.031%添加した鋼である。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示す化学成分組成の供試材をそれぞれ150kg真空溶解炉にて溶製し、熱間鍛造により162mmの角材に成形した後、熱間圧延により直径25mmの棒鋼を製造した。発明鋼の圧延仕上げ温度は700−860℃であり、圧延後、徐冷カバー装置を用いて750℃−500℃の温度範囲を0.8℃/秒以下の冷却速度で徐冷却した。これらの棒鋼素材の硬さはロックウェル硬度計を用いて測定した。これらの棒鋼を切削加工および転造加工により、図1に示す形状のシャフトに加工し、高周波焼入れを行った。焼戻し条件は180℃×1時間である。シャフトの両端のセレーション部を固定し、捩り強度試験および捩り疲労試験を実施した。強度試験片は、インボリュートセレーション部の端部の硬化層比率がt/r=0.50を狙いとして高周波焼入れ焼戻しを行った。また、結晶粒度測定は、JISG0551に記載の方法で行い、硬化層深さの測定は、JISG0559で規定する高周波焼入れ硬化層深さ測定方法に基づいて測定し、硬化層比率を求めた。
【0023】
高周波焼入れ焼戻し後の、インボリュートセレーション部の端部における硬化層比率の実績は0.44−0.55である。このときの高周波焼入れ材の破壊形態と捩り強度、高周波焼入れ後のインボリュートセレーション部の端部における表面硬さ、旧オーステナイト結晶粒度番号および素材硬さを図2に示す。本発明鋼は、素材硬さが本願発明の範囲を満足しているので、シャフト製造時の切削性、転造加工性に優れている。一方、比較鋼5の素材硬さは本願発明の範囲を上回っており、切削性、転造加工性は良くない。比較鋼5は、Mn、Cr、Nが本願発明の範囲を上回っている。また、本発明鋼は、比較鋼に対して、高周波焼入れ焼戻し後の旧オーステナイト結晶粒が微細である。比較鋼4,5で細粒化が不十分なのは、Nが本願発明の範囲を上回っており、TiNが多量に生成し、微細なTiCの生成量が不十分となるためである。
【0024】
さらに、本発明鋼は、破壊形態が延性破壊となっており、比較鋼に対して捩り強度も高い。比較鋼4で強度が不足するのは、C、Moが本願発明の範囲を下回っており、Cr、Nが本願発明の範囲を上回っているためである。また、比較鋼5で強度が不足するのは、Moが本願発明の範囲を下回っており、Cr、Nが本願発明の範囲を上回っているためである。
発明鋼2と比較鋼4について、高周波焼入れ焼戻しをした前記のシャフトについて、捩り疲労試験を実施し、捩り応力と破断までの応力繰り返し数をまとめた結果を図3に示した。この結果、発明鋼の疲労強度は全寿命域で比較鋼よりも高い。
【0025】
次に、No.3の材料について、上記と同様にシャフトを製造した。高周波焼入れ条件を調整して、インボリュートセレーション部の端部の硬化層比率を表2の範囲で変化させた。この時の捩り強度をインボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト粒度とあわせて表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明例では優れた捩り強度を有する。本発明例1と2を比較すると、本発明例1は旧オーステナイト粒が微細なために、硬化層深さが浅い割には、良好な強度特性を示すことがわかる。これに対して、比較例4は有効硬化層深さが本発明の範囲を下回っており、また比較例5は有効硬化層深さが本発明の範囲を上回っており、捩り強度が劣る。
【0028】
【発明の効果】
本願発明の高強度ドライブシャフトとその製造方法を用いれば、ドライブシャフトとして優れた捩り強度、優れた捩り疲労強度特性を得ることができる。さらに、素材硬さを適正な範囲にしており、旋削加工性や転造性も良好である。以上のように、本発明による産業上の効果は極めて顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】捩り強度試験および捩り疲労試験に用いたドライブシャフト形状を示した図。
【図2】高周波焼入れ材の材質と捩り強度特性を示した図。
【図3】高周波焼入れ材の捩り疲労強度特性を示した図。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.48〜0.58%、
Si:0.01〜0.15%、
Mn:0.35〜0.75%、
S:0.005〜0.15%、
Mo:0.1〜0.35%、
B:0.0005〜0.005%、
Al:0.015〜0.05%、
Ti:0.039〜0.08%を含有し、
N:0.005%以下(0%を含む)
Cr:0.1%以下(0%を含む)、
P:0.02%以下(0%を含む)、
O:0.002%以下(0%を含む)に各々制限し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を素材とし、インボリュートセレーション部の端部における、表面硬度がHV730以上であり、有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7であることを特徴とする高強度ドライブシャフト。 - インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度ドライブシャフト。
- 質量%で、
C:0.48〜0.58%、
Si:0.01〜0.15%、
Mn:0.35〜0.75%、
S:0.005〜0.15%、
Mo:0.1〜0.35%、
B:0.0005〜0.005%、
Al:0.015〜0.05%、
Ti:0.039〜0.08%を含有し、
N:0.005%以下(0%を含む)
Cr:0.1%以下(0%を含む)、
P:0.02%以下(0%を含む)、
O:0.002%以下(0%を含む)に各々制限し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、硬さがHRB85〜95である鋼を切削加工、転造加工により所定の形状に成形加工し、引き続いて、高周波焼入れ、120−200℃での焼戻しを行い、これによって、インボリュートセレーション部の端部における、表面硬度がHV730以上であり、有効硬化層深さが、有効硬化層深さtと半径rの比t/rで0.3〜0.7となる様にすることを特徴とする高強度ドライブシャフトの製造方法。 - インボリュートセレーション部の端部における旧オーステナイト結晶粒度がJIS粒度番号で8以上となる様にすることを特徴とする請求項3記載の高強度ドライブシャフトの製造方法。
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