JP4369569B2 - 強化ゴムの製造とタイヤにおけるその使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ系強化材を含有するゴム組成物の製造、およびゴム組成物と混合された有機シランジスルフィドの、少なくとも1つの非硬化発現混合段階における使用と、それに続く硬化発現混合段階における有機シランポリスルフィド化合物の使用に関する。
【0002】
本発明は、また、そのようにして製造されたゴム組成物、特にその組成物より成るトレッドを有するタイヤに関する。
【0003】
【従来の技術】
ゴムを利用する、高い強力と耐摩耗性を必要とする種々の用途、特にタイヤや各種工業製品のような用途には、強化用充填材を実質的な量で含む硫黄硬化ゴムが利用される。このような目的には一般にカーボンブラックが用いられ、そして、普通は、硫黄硬化ゴムに良好な物理的性質を与えるか、またはそれら性質を向上させる。粒状の沈降シリカも、ときには、そのような目的に、特にそのシリカがカップリング剤と共に用いられるときに使用されることがある。場合によっては、沈降シリカとカーボンブラックとの組み合わせが、タイヤ用トレッドを含めて様々なゴム製品のための充填材を補強するために利用される。
【0004】
例えば、ポリスルフィド橋中に平均3.5〜4個の硫黄原子を有する有機シランポリスルフィドのようなカップリング剤が、沈降シリカをエラストマーに連結させるために用いられた。
【0005】
このような有機シランポリスルフィドの典型的な例は、ポリスルフィド橋中に平均約3.8個の硫黄原子を有するビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。このようなポリスルフィドは、使用ポリスルフィドおよび混合温度とその時間に幾らか依存して、例えば100℃以上の温度のような昇温下におけるゴム組成物の典型的な高剪断混合中に、フリー硫黄を遊離することによって硫黄供与体となり得ると考えられる。
【0006】
その遊離した少量のフリー硫黄は、そのときジエン系エラストマーと混合されおよび/または多分そのエラストマーを一部加硫するのに利用可能である。
しかし、ポリスルフィド橋中に平均約2.6個以下の硫黄原子を有する有機シランポリスルフィド―これは主としてジスルフィドである―は、ポリスルフィド橋中に平均で少なくとも約3.5個の硫黄原子を有する有機シランポリスルフィドと比較して、有機シランジスルフィドの場合によく見られることであるが、硫黄−対−硫黄の結合が相対的に強いことに因り、上記のような混合条件下では普通良好な硫黄供与体とはならないと考えられる。
【0007】
従って、ポリスルフィド橋中に平均2.8個未満、特に約2〜約2.6個の硫黄原子を含む有機シランポリスルフィド化合物(ジスルフィド)では、フリー硫黄の遊離があっても、それは、混合時間それ自体を含めて総合的な混合条件に幾らかは依存して約150〜約185℃の範囲内の混合温度においても、高剪断ゴム混合段階中に起こるフリー硫黄遊離の速度は比較的遅い。
【0008】
例えば、米国特許第4,046,550号およびドイツ特許公開DT第2,360,471号明細書には、多種、多様な有機シランジスルフィドとしてのビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが、このジスルフィドが高度に純粋なものであっても、シリカ含有硫黄加硫性エラストマー組成物中で有用であると教示される。しかし、このようなジスルフィドは、普通、前記のゴム/シリカ/カップラーの混合操作においては、フリー硫黄を容易には遊離しないと考えられる。
【0009】
シリカカップラーとして使用するための有機シランポリスルフィドの例については、米国特許第4,076,550号、同第4,704,414号および同第3,873,489号明細書を参照されたい。
【0010】
ゴム組成物の予備非硬化発現混合工程で少量のフリー硫黄と共に加えられる有機シランジスルフィドの例については、米国特許第4,076,550号、同第5,580,912号および同第5,674,932号明細書を参照されたい。
【0011】
実際は、硫黄加硫エラストマー製品は、典型的には、ゴムと各種成分とを、逐次的かつ段階的方法で熱機械的に混合し、続いて加硫製品を形成するためにその混練ゴムを整形し、硬化させることによって製造される。
【0012】
まず、ゴムおよび種々の成分、典型的にはフリー硫黄と硫黄加硫促進剤を除いた諸成分との前記混合では、エラストマー(1種または複数種)と種々のゴム混練成分とは、典型的には、適当なミキサー中で、通常は密閉式ゴムミキサー中で、少なくとも1つの、通常は少なくとも2つの逐次的予備熱機械的混合段階(1つまたは2つ以上)でブレンドされる。このような予備混合は、しばしば、「非硬化発現(non-productive)混合」または「非硬化発現混合工程若しくは同段階」と称される。このような予備混合は、通常、約140〜190℃の範囲内、往々にして約140℃または150℃〜約185℃の範囲内の温度で行われる。
【0013】
そのような逐次的予備混合段階(1つまたは2つ以上)に続いて、フリー硫黄および硫黄加硫促進剤、そして多分1種または2種以上の追加の成分が、ゴムコンパウンド、即ち同組成物と、時にはゴム組成物の「スコーチ」と称される硫黄硬化性ゴムの早期硬化を防ぎまたは遅らせるために、最終の硬化発現(productive)混合段階で、典型的には、上記の予備混合段階(1つまたは2つ以上)で用いられる温度より低い温度である約100〜約130℃の範囲内の温度において混合される。
【0014】
そのような逐次的非硬化発現混合工程およびそれに続く硬化発現混合工程は、ゴム混合の技術分野の当業者には周知のものである。
熱機械的混合とは、ゴムコンパウンド、即ちゴムとゴム混練成分の組成物が、その混合の結果として、ゴムミキサー中のゴム混合物がその混合物内における剪断とそれに関連した摩擦に主として起因して、そのゴム混合物が温度上昇を伴って自己発生的に暖まる高剪断条件下においてゴム混合物中で混合されることを意味する。
【0015】
このようなゴムコンパウンドの熱機械的混合法、およびそれに関連した剪断とその剪断に伴う温度上昇の現象は、ゴムの製造、混合技術分野で経験のある人々には周知のことである。
【0016】
実際には、本発明者が述べる、(1)有機シランジスルフィドをゴム組成物の非硬化発現混合段階で加え、その非硬化発現混合段階に続いて(2)ポリスルフィド橋中に平均3.5〜4.5個の硫黄原子を含む有機ポリスルフィドを少量のフリー硫黄と共にシリカ系強化ゴム組成物の硬化発現ゴム組成物混合段階で加えることから成る、特に上記の関連硫黄/エラストマーの相互作用、並びに先行予備混合段階(1つまたは2つ以上)における上記有機シランジスルフィドの反応で生ずるシラン/シリカ網状構造物、即ち生成物との相互作用を制御する手段としての方法は、過去の実務経験から見て新規でかつ進歩性を有すると考えられる。
【0017】
1つの面から見ると、ゴム組成物の逐次的混合操作においてエラストマー(1種または2種以上)およびシラン/シリカ網状構造物と相互作用させるための、初めのシラン/シリカ反応の、その反応に続いてフリー硫黄の放出を伴う解連結(decoupling)、および追加のシラン反応は、本発明の方法により、有機シランジスルフィドの予備混合段階の別個の選択的添加と有機シランポリスルフィドの添加とを組み合わせた方法を用い、続いてゴム組成物を加硫することによって達成され、これは過去の方法とは著しく隔たるものであると考えられる。
【0018】
本明細書で用いられる「phr」という用語は、通常の用い方に従って、「ゴムまたはエラストマー100重量部当たりの、個々の材料の部数」を意味する。
本発明の説明において、「ゴム」と「エラストマー」という用語が用いられる場合、それらは、別に指示しない限り、互換的に用いることができる。「ゴム組成物」、「混練ゴム」および「ゴムコンパウンド」等の用語は、本明細書で用いられる場合、「各種の成分および材料とブレンドまたは混合されているゴム」を意味すべく互換的に用いられ、また「ゴム混練」または「混練」は「そのような材料の混合」を意味すべく用いることができる。このような用語は、ゴム混合またはゴム混練の技術分野の当業者にはよく知られているものである。
【0019】
本明細書でエラストマーの「Tg」なる表現が用いられている場合、それは「ガラス転移温度」を意味するが、それは示差走査熱量計で加熱速度10℃/分において測定することができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、加工性に優れ、そして高い引張強さ、伸びおよびモジュラスを有して、タイヤトレッドに使用したときその耐摩耗性を改善することができるゴム組成物およびその製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
発明の概要と実施
本発明によれば、ゴム組成物の製造法は、次の
(A)(1)共役ジエンの単独重合体および共重合体、並びに少なくとも1種の共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体から選ばれる少なくとも1種のジエン系エラストマー100重量部、(2)約30〜約100phr、あるいは約30〜約90phrの、次の:
約5〜約85重量%のカーボンブラック、および
そのカーボンブラックの量に対応して約15〜約95重量%の、アルミナ、並びに沈降シリカ、アルミノシリケートおよび表面に水酸化珪素を含む変性カーボンブラックの内の少なくとも1種から選ばれるシリカ系充填材より成る群の少なくとも1種から選ばれる少なくとも1種の追加の強化用充填材
を含んで成る粒状強化用充填材、および(3)上記のアルミナおよびシリカ系充填材1重量部当たり約0.05〜約20重量部、あるいは約0.05〜約10重量部の、少なくとも1種の、式(I):
【0022】
【化5】
【0023】
で表される有機シランジスルフィド化合物を、少なくとも1つの逐次的予備混合工程において、フリー硫黄が添加されていない状態で、約150〜約185℃の範囲内の温度になるまで熱機械的に混合し、続いて
(B)フリー硫黄、および少なくとも1種の、式(II):
【0024】
【化6】
【0025】
で表される有機シランポリスルフィド化合物を、工程(A)の混合物と、工程(A)に続く混合工程において、約100〜約130℃の範囲内の温度になるまで混合する、
工程を含んで成る:但し、上記の式において:
R1は合計1〜18個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基および合計6〜12個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基より成る群から選ばれる基であり、ここでR1はエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるのが好ましく;
nは2〜約6の数で、かつnの平均は約2〜約2.6の範囲内にあり;
mは2〜約8の数で、かつmの平均は約3.5〜約4.5の範囲内にあり;そして
Zは次の:
【0026】
【化7】
【0027】
で表される基より群から選ばれ、ここで
R2は同一の基であってもよいし、或いは異なる基であってもよく、そして各々独立に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル基より成る群から、好ましくはメチル基およびエチル基から選ばれ、そして
R3は同一の基であってもよいし、或いは異なる基であってもよく、そして各々独立に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、1〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基および5〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基より成る群から、好ましくはメチル基およびエチル基から選ばれる。
【0028】
実施に際して、上記の混合工程(B)で、フリー硫黄と、式(II)の有機シランポリスルフィドのポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとの合計は約0.93〜約4phr、あるいは約0.93〜約2.8phrの範囲にあるのが好ましい。
【0029】
実施に際して、各混合工程間で、ゴム組成物は、これを、例えば約40〜約20℃の範囲内の温度のような、約40℃以下の温度まで冷却することができる。
実施に際して、予備(非硬化発現)混合工程の総混合時間は約2〜約20分、あるいは約4〜約15分の範囲であることができ、また後続の(硬化発現)混合工程ではその総混合時間は約1〜約3分であることができる。
【0030】
有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)は、アルコキシ成分のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル基のアルキル基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであるのが好ましい。
【0031】
式(I)では、その有機シランジスルフィド化合物は有機シランジスルフィドを主とするものであって、それは、通常、nの少なくとも55パーセント、普通は少なくとも65パーセントが2であり、そして好ましくはnの約80〜約100パーセントが2である有機シランポリスルフィドの混合物である。
【0032】
式(II)の有機シランポリスルフィド化合物では、一般に、mの少なくとも70パーセント、好ましくは約80〜約100パーセントが約3.5〜約4.5の範囲内にある。
【0033】
1つの態様において、式(II)の有機シランポリスルフィドは約150〜約185℃の範囲内の温度でその硫黄の少なくとも一部を放出する性質を有する。特に、使用される有機シランポリスルフィドの選択と量に依存して、約140〜約185℃の範囲内の昇温下でのゴム組成物の成形、硬化中に、その有機シランポリスルフィド(II)から放出されるフリー硫黄は、そのポリスルフィドのポリスルフィド橋における硫黄原子の約40〜約60パーセントがフリー硫黄として遊離されると仮定して、例えば約0.13〜約1phrの範囲内であることができる。
【0034】
本発明の包括的な思想は、フリー硫黄の放出を早め過ぎずに、まず強化用充填材とのシラン反応を別個にかつ選択的に促進し、続いて有機シランジスルフィド化合物(I)により前もって促進された第一シラン反応の生成物との更なるシラン反応と、有機シランポリスルフィド(II)の引き続く添加によるフリー硫黄の放出の両者を促進すると言う認識にあると考えられるものである。エラストマーの予備混合段階(1つまたは2つ以上)中のフリー硫黄の早期放出を妨げることは、ゴム組成物の粘度をその混合中により低くするのを可能にし、従ってゴム組成物が混合されるとそれにつれてその加工を一層し易くすると言う1つの特定の利点が認められる。この発明の方法のさらにもう1つの利点は、第一シラン反応の生成物とのシラン反応が引き続き行われること、それと共にフリー硫黄の生成が引き続き起こるということである。
【0035】
これは、有機シランジスルフィド(I)とエラストマー(1種または2種以上)および強化用充填材との第一混合、およびそれに続いて別個に行われる有機シランポリスルフィド化合物(II)とゴムおよびシラン−充填材網状構造生成物との混合の操作により達成される。
【0036】
このような方法は新規であって、過去の実務経験からは著しく隔たるものであると考えられる。
実際、このとき、ポリスルフィド橋中に平均約3.5〜約4.5個の硫黄原子を有する有機シランポリスルフィド化合物(II)からフリー硫黄が放出されることに因る早期の部分的加硫に起因して予備非硬化発現混合段階(1つまたは2つ以上)中に起こるゴム組成物の粘度増加が避けられる。しかし、有機シランジスルフィド化合物(I)の有機シラン成分と強化用充填材との反応の利点は、依然として得られる。
【0037】
続いて、有機シランポリスルフィド化合物(II)を硬化発現段階においてより低温の混合条件下で加え、そしてその添加有機シランポリスルフィド化合物(II)をしてゴム組成物の加硫を助けるようにするすることによって、その有機シランポリスルフィド化合物(II)のシラン部分は先に形成された有機シラン/シリカ複合物またはそのような複合物の網状構造物と相互作用することが可能となり、それはまたより高い硬化温度でフリー硫黄を放出させることになる。
【0038】
本発明のこの態様は、理解されるように、活性シラン部位を有するが、フリー硫黄が予備非硬化発現混合段階(1つまたは2つ以上)中には遊離されず、かつ硫黄は、後に、ゴム組成物の加硫の際に前記の有機シランポリスルフィド化合物(II)により別個に加え得るように、フリー硫黄をあまり放出しない有機シランジスルフィド化合物(I)をまず用いることによって達成される。こうして、有機シランジスルフィド化合物のシラン部分とシリカ系充填材とは初めに選択的に反応するが、フリー硫黄の放出と追加のシラン相互作用とは、より高い混合温度における予備非硬化発現混合工程(1つまたは2つ以上)とそれに続くより低い混合温度における硬化発現混合工程の両工程のあとまで、そしてより高温でのゴム組成物の加硫まで、遅らされると言う利点が得られる。
【0039】
本発明による方法の機構は完全には理解されていないが、昇温下におけるゴム組成物の加硫は、有機シランポリスルフィドのシラン成分の存在、およびそのようなシラン成分が存在する結果として得られる、有機シランジスルフィドのシラン部分とアルミナおよび/またはシリカ系充填材との相互作用によって前もって形成された有機シラン/シリカ複合物および/または網状構造物との組み合わせの存在によって高められると考えられる。
【0040】
本発明の1つの態様においては、前記の予備混合が、混合工程の少なくとも2つは約140〜約185℃の範囲内の温度になるまで行われる少なくとも2つの逐次的熱機械的混合工程で行われ、その場合それら混合工程の少なくとも2つの工程間でのゴム組成物の中間冷却は約40℃以下の温度になるまで行われる前記の方法が提供される。
【0041】
本発明によれば、さらに、本発明の方法、特にゴム組成物を約140〜約185℃の範囲内の昇温下において硫黄硬化させる方法によって製造されるゴム組成物が提供される。
【0042】
本発明によれば、さらに、前記ゴム組成物を少なくとも1つの構成部材として有する物品が提供される。
本発明によれば、さらに、前記ゴム組成物を少なくとも1つの構成部材として有するタイヤが提供される。
【0043】
本発明によれば、さらに、前記ゴム組成物のトレッドを有するタイヤ、特にそのタイヤトレッドが接地するように設計されている場合のタイヤが提供される。
1つの態様では、本発明に従って製造されたゴム組成物は、適当な金型の中で約140〜約190℃の範囲内の昇温下において加硫される。
【0044】
本発明によれば、さらに、その方法は、本発明の方法により製造された前記ゴム組成物を含んで成るトレッドを具えるタイヤまたは硫黄加硫性ゴムの集成体を製造し、そしてその集成体を約140〜約185℃または約190℃の範囲内の温度で加硫する追加の工程を含む。
【0045】
従って、本発明はそのような方法によって製造された、加硫されたタイヤも意図するものである。
実施に際して、式(I)の有機シランジスルフィドおよび式(II)の有機シランポリスルフィドは、典型的には液体であり、そして両化合物は、それぞれ、有機シランジスルフィド(I)とカーボンブラックとの複合物、および有機シランポリスルフィド(II)とカーボンブラックとの複合物の形で与えられるのが好ましい。それは、それら成分をカーボンブラックがキャリアーとして作用する比較的乾燥したまたは実質的に乾燥した粉末として提供するためである。
【0046】
有機シランジスルフィドおよび同ポリスルフィドをそのような粒状形態で加える意図された利点は、それら成分がそれらに関係した混合工程でゴム組成物と共に分散するのを助長することである。
【0047】
本発明の1つの態様においては、場合によっては、合計約0.05〜約5phrの少なくとも1種のアルキルアルコキシシラン、特にそのアルキルシランが式:R'−Si−(OR)3(式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基であり、そしてR’は1〜18個の炭素原子を有する飽和アルキル基または6〜12個の炭素原子を有するアリール基もしくは飽和アルキル置換アリール基である)を有するアルキルアルコキシシランを予備混合段階(1つまたは2つ以上)で熱機械的に混合することができる。そのようなアリール基または置換アリール基は、例えばベンジル基、フェニル基、トリル基、メチルトリル基およびアルファーメチルトリル基であるだろう。
【0048】
アルキルアルコキシシランの目的は、例えば充填材の配合性とコンパウンドの熟成性(aging)を改善することである。アルキルシランの代表的な例は、例えばプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランであるが、これらに限定しようと言うものではない。
【0049】
実施に際しては、前記のとおり、式(II)の有機シランポリスルフィド化合物はより低温の硬化発現混合工程、即ち同段階で加えられ、続いて、その有機シランポリスルフィド化合物(II)は、そのシラン成分を、先に添加された式(I)の有機シランジスルフィド化合物との前段の反応により先に形成されたシラン/充填材網状構造物と反応させる、得られるゴム組成物の成形、硬化中に経験されるより高い温度で硫黄を遊離する。硬化発現混合段階、即ち同工程で加えられるべきフリー硫黄の量プラス式(II)の有機シランポリスルフィド化合物により遊離されるフリー硫黄の量は、実際の計算は、必ず、硫黄橋中の硫黄原子の実際の数、その他の因子に依存して、個別の基準で行われなければならないだろうが、約0.93〜約4phr、あるいは約0.93〜約2.8phrの範囲内にあるものとする。これは、式(II)の有機シランポリスルフィド化合物の硫黄の約40〜約60パーセントが硬化工程中に硫黄として遊離されると言う仮定に基づいている。
【0050】
実施に際しては、少なくとも1phrのフリー硫黄と少なくとも1phrの式(II)の有機シランポリスルフィド化合物を硬化発現混合段階で加えるのが好ましい。
【0051】
加硫促進剤は、通常、硬化発現混合段階で加えられる。ある種の加硫促進剤はフリー硫黄を遊離すると言う意味では硫黄供与体とは通常見なされないが、理解されるように、それらは、例えばベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体およびチオカルバメート類のようなタイプのものであることができる。このような促進剤の代表的な例は、例えばメルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、ジチオカルバミン酸亜鉛、アルキルフェノールジスルフィド、ブチルキサントゲン酸亜鉛、N−ジシクロヘキシル−2−ベゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、亜鉛−2−メルカプトトルイミダゾール、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−β−ヒドロキシエチルピペラジン)およびジチオビス(ジベンジルアミン)であるが、これらに限定される訳ではない。このような物質が、ゴム混練技術分野の当業者には硫黄加硫性エラストマー用の硫黄加硫促進剤として周知であることは知られている。
【0052】
所望によっては、本発明の実施には好ましくないけれども、最終の硬化発現混合段階で、常用の、追加の硫黄供与体を、硬化発現混合段階で加えられるフリー硫黄と、前記の有機シランポリスルフィド化合物と添加剤としての硫黄供与体から硬化段階で遊離されるフリー硫黄との総量が約0.93〜約4phrの範囲内にある限り、加えてもよい。このような追加の硫黄供与体の代表的な例は、例えばチルラム誘導体およびモルホリン誘導体である。このような物質の代表的な例は、例えばジモルホリンジスルフィド、ジモルホリンテトラスルフィド、テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンゾチアジル−2,N−ジチオモルホリド、チオプラスト類(thioplasts)、ジペンタメチレンチウラヘキサスルフィドおよびジスルフィドカプロラクタムである。このような物質がゴム混練技術分野の当業者には周知の硫黄供与体であることは知られている。加えられるべきフリー硫黄の量は、そのような硫黄供与体が硬化発現混合段階で加えられる程度に対応して減少される。
【0053】
本発明の充填材強化材については、カーボンブラックと併用することができるシリカ系顔料が考えられる。
本発明の1つの態様では、シリカ系充填材は沈降シリカであるのが好ましい。
【0054】
本発明のもう1つの態様では、シリカ系充填材は外表面に水酸化珪素を有するカーボンブラックであるのが好ましい。
本発明のさらにもう1つの態様では、シリカ系充填材はシリカとアルミニウムとの共沈物としてのアルミノシリケートであって、そのようなシリカ/アルミニウム充填材複合物に対して約0.05〜約10パーセントの範囲内のアルミニウム含有量を有するものであるのが好ましい。
【0055】
表面に水酸化珪素を有するカーボンブラックは、例えば有機シランとオイルとを昇温下で共−発煙させることによって製造することができる。
実施に際して、強化用充填材は約15〜約95重量パーセントの沈降シリカ、アルミナ、アルミノシリケートおよび/または表面に水酸化珪素を有するカーボンブラックと、それに対応して約5〜約85重量パーセントのカーボンブラックとから成ることができる。
【0056】
沈降シリカ、アルミナ、アルミノシリケート類および/または表面に水酸化珪素を有するカーボンブラックのようなシリカ系充填材、またカーボンブラック強化用充填材の両充填材を含有するゴム組成物が望まれる場合、そのようなシリカ系充填材(1種または2種以上)対カーボンブラックの重量比は少なくとも1.1/1、しばしば少なくとも3/1であるのが好ましいことが多く、少なくとも10/1でもよく、かくして約1.1/1〜約30/1の範囲内であることができる。
【0057】
前記式(I)の有機シランジスルフィドおよび式(II)の有機シランポリスルフィドに関し、代表的なR2基はアルキル基であり、また代表的なR1基はアルカリール、フェニルおよびハロアリール基から選ばれる。
【0058】
かくして、本発明の1つの態様では、基R2およびR1はお互い相手を含まない。このような基はアルキルであるのが好ましい。
そのようなアルキル基の代表的な例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびn−デシル基で、n−プロピル基が好ましい。
【0059】
アラルキル基が用いられるべき場合、その代表的な例はベンジル基であって、α、α−ジメチルベンジル基が好ましい。
アルカリール基が用いられる場合、その代表的な例はp−トリルおよびp−ノニルフェニル基である。
【0060】
ハロアリール基が用いられる場合、その代表的な例はp−クロロフェノール基である。
式(II)の化合物である有機シランポリスルフィドの代表的な例は、例えばビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチルトリレン)トリスルフィドおよびビス(3−トリエトキシシリルエチルトリレン)テトラスルフィドであるが、これらに限定しようとするものではない。
【0061】
式(I)のブレンドである有機シランジスルフィド化合物の代表的な例は、例えば次のものである:2,2'-ビス(トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐sec‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐t‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリメトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(2'‐エチルヘキソキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメトキシエトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシエトキシプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシジメチルシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(シクロヘキソキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリプロポキシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシメチルシリル‐3‐エチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリメトキシシリルドデシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリエトキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(メトキシジメチルシリルオクタデシル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィドおよび2,2'-ビス(トリオクトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド。
【0062】
式(I)の好ましい有機シランジスルフィドは3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドであって、これもビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドで代表されることが知られている。
【0063】
本発明の実施に際しては、前記で指摘したとおり、ゴム組成物は少なくとも1種のジエン系エラストマー、即ちゴムを含んで成る。適した共役ジエンはイソプレンおよび1,3−ブタジエンであり、また適したビニル芳香族化合物はスチレンおよびα−メチルスチレンである。かくして、そのエラストマーは硫黄硬化性エラストマーであると考えられる。そのようなジエン系エラストマー、即ちゴムは、例えばシス1,4−ポリイソプレンゴム(天然および/または合成)、好ましくは天然ゴム、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合で合成されたスチレン/ブタジエンゴム、3,4‐ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元重合体ゴム、シス1,4‐ポリブタジエンゴム、中ビニルポリブタジエンゴム(ビニル35〜50パーセント)、高ビニルポリブタジエンゴム(ビニル50〜75パーセント)、スチレン/イソプレン共重合体ゴム、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元共重合体ゴムおよびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの内の少なくとも1種から選ばれることができる。
【0064】
乳化重合で合成されたE-SBRとは、スチレンと1,3−ブタジエンとが水性エマルジョンとして共重合されたことを意味する。このことはそのような技術分野の当業者には周知である。その結合スチレン含有量は、例えば約5〜50%の範囲内で変えることができる。
【0065】
溶液重合で合成されたSBR(S-SBR)は、典型的には、約5〜約50パーセント、好ましくは約9〜約36パーセントの範囲内の結合スチレン含有量を有する。このS-SBRは、例えば有機炭化水素系溶媒の存在下で有機リチウム触媒の作用で都合よく合成することができる。
【0066】
前記のように、本発明で用いられる沈降シリカは、例えば可溶性シリケート、例えば珪酸ナトリウムの酸処理で得られるもののような沈降シリカである。このような沈降シリカはこの技術分野の当業者には周知である。また、前記のように、意図したアルミノシリケートはシリカとアルミニウムとを共沈殿することにより色々なものが得られる。
【0067】
このような沈降シリカは、例えば窒素ガスを用いて測定して、好ましくは約40〜約600m2/gの範囲内、より普通には約50〜約300m2/gの範囲内のBET表面積を有すると言う特徴がある。表面積を測定するBET法は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)、第60巻、304頁(1930年)に記載されている。
【0068】
シリカは、また、典型的には、約100〜約350ml/100g、より普通には約150〜約300ml/100gの範囲内のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有すると言う特徴もある。
【0069】
さらに、シリカ、そしてまた上記のアルミナおよびアルミノシリケートは、約100〜約220の範囲内のCTAB表面積を有すると予想される。CTAB表面積は、pH9のセチル・トリメチルアンモニウムブロミドによって評価される外表面積である。この方法は、その設定(setup)と評価法がASTM D3849に説明されている。CTAB表面積はよく知られているシリカの特性化法である。
【0070】
水銀表面積/多孔度は、水銀ポロシメトリーによって測定される比表面積である。この方法では、水銀は、揮発物を除去する熱処理後に試料の孔の中に浸透せしめられる。設定条件は、100mgの試料を用い;揮発物を105℃、常圧で2時間にわたって除去し;常圧〜2000バールの圧力範囲で測定するとして説明するのが適当である。この評価は、ASTMビュレチン、39頁(1959年)におけるウインスロー(Winslow)およびシャピロ(Shapiro)に説明されている方法またはDIN 66133の方法により行うことができる。この評価には、カルロ−エルバ(CARLO‐ERBA)ポロシメーター2000を用いることもある。
【0071】
沈降シリカの水銀多孔度に基づく平均比表面積は、望ましくは約100〜300m2/gの範囲内であるべきである。
シリカ、アルミナおよびアルミノシリケートについてのこのような水銀多孔度評価法による適切な孔径分布は、本発明では、望ましくは、その孔の5パーセント以下が約10nm以下の直径を有し;その孔の60〜90パーセントが約10〜約100nmの直径を有し;その孔の10〜30パーセントが約100〜約1000nmの直径を有し;そしてその孔の5〜20パーセントが約1000nm以上の直径を有する、そのような分布であると考えられる。
【0072】
シリカは、電子顕微鏡で測定して、平均最大粒径が、例えば0.01〜0.05ミクロンの範囲内にあると予想されるが、但しシリカ粒子の大きさは上記粒径よりもさらに小さくてもよいし、或いは、恐らくはそれより大きくてもよいだろう。
【0073】
市場から入手できる各種のシリカが本発明での使用に考慮することができる。ここで、単なる例として、制限を付けずに示すと、PPGインダストリーズ社(PPG Industries)からハイ−シル(Hi-Sil)という商標名で、ハイ−シル210、243などの表示で市販されているシリカ;ローン・プーラン社(Rhone-Poulenc)から、例えばゼオシル(Zeosil)1165MPという名称で市販されているシリカ;デグッサ社(Degussa GmgH)から、例えばVN2およびVN3などの名称で市販されているシリカ;およびフーバー社(Huber)から、例えばフーバー・シル(Huber Sil)8745なる名称で市販されているシリカがある。
【0074】
本発明の目的には、アルミナは天然および合成の酸化アルミニウム(Al2O3)である。場合によっては、アルミナはそのような目的のために単独かまたはシリカとの組み合わせのいずれかで用いられる。「アルミナ」なる用語は、本明細書では「酸化アルミニウム」または「Al2O3」と記載することもできる。ゴム組成物中でのアルミナの使用は、例えば米国特許第5,116,886号および欧州特許出願公開 EPO第631,982 A2号明細書に認めることができる。
【0075】
認められるように、アルミナは色々な形、即ち酸性形、中性形および塩基性形をしていることができる。一般的に言えば、中性形のものが好ましいだろうと考えられる。
【0076】
アルミノシリケートとして、本発明の目的には、中性物質または合成的に製造されたもの、特に共沈シリカ/アルミニウムが使用できる。例えば、米国特許第5,723,529号明細書を参照されたい。
【0077】
一般に、「アルミノシリケート」なる用語は、二酸化珪素の珪素原子がアルミニウム原子で自然にまたは合成的に一部置き換えられ、即ち置換されている天然または合成の物質と記述することができる。例えば、二酸化珪素の珪素原子の約5〜約90パーセント、あるいは約10〜約80パーセントがアルミニウム原子で自然にまたは合成的に置き換えられ、即ち置換されてアルミノシリケートを生成させる。適したそのような製造法は、例えばシリケートとアルミン酸塩との塩基性溶液、即ち混合物のpH調整による共沈、また例えばSiO2、即ち二酸化珪素の表面上のシラノールとNaAlO2との化学反応によると説明することができる。例えば、そのような共沈法では、合成共沈アルミノシリケートはその表面の約5〜約95パーセントをシリカ部位から構成させ、それに対応してその表面の約95〜約5パーセントをアルミニウム部位から構成させることができる。
【0078】
天然アルミノシリケートの例は、例えば白雲母、緑柱石、菫青石、海泡石およびカオリナイトである。合成アルミノシリケートは、例えばゼオライト、および、例えば[(Al2O3)x・(SiO2)y・(H2O)z];[(Al2O3)x・(SiO2)y・MO](但し、Mはマグネシウムまたはカルシウムである)のような式で表すことができるものである。アルミノシリケートのゴム組成物中での使用に関しては、例えば米国特許第5,116886号;欧州特許公開EPO第063,982 A2号明細書;Rubber Chem. Tech.、第50巻、606頁(1988年)および同第60巻、84頁(1983年)を示すことができる。
【0079】
この技術分野の当業者であれば容易に理解できるように、ゴム組成物は、ゴム混練技術分野で一般に知られている方法、例えば各種の硫黄加硫性成分ゴムを、例えば硫黄、活性化剤、硬化遅延剤および硬化促進剤のような硬化助剤、オイルのような加工助剤、粘着性付与樹脂を含めて樹脂類、シリカ、可塑剤、充填材、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、酸化防止剤とオゾン亀裂防止剤、素練り促進剤(peptizing agent)、並びに、例えばカーボンブラックのような強化用材料のような一般に使用される種々の添加剤材料と混合するなどの方法によって混練される。この技術分野の当業者に知られているように、上記の添加物は、硫黄加硫性のおよび硫黄硬化された材料(ゴム)の意図される用途に応じて選ばれ、普通は常用の量で使用される。
【0080】
本発明では、強化タイプのカーボンブラック(1種または2種以上)が使用される場合、その典型的な量は前に述べたとおりである。ここで、シリカカップラーをカーボンブラックと共に使用する、即ちゴム組成物に加える前にカーボンブラックと予備混合することができ、そしてそのようなカーボンブラックはゴム組成物の処方物用の前記カーボンブラック量に含められるべきであることを理解すべきである。粘着性付与樹脂を使用する場合、その典型的な量は約0.5〜約10phr、通常は約1〜約5phrの範囲である。加工助剤の典型的な量は約1〜約50phrである。このような加工助剤として、例えば芳香族系、ナフテン系および/またはパラフィン系のプロセスオイルを挙げることができる。酸化防止剤の典型的な量は約1〜約5phrである。代表的な酸化防止剤は、例えばジフェニル‐p‐フェニレンジアミン、および、例えばヴァンデルビルトのゴムハンドブック( Vanderbilt Rubber Handbook )(1978年)、344−346頁に開示されているもののような他の酸化防止剤であることができる。オゾン亀裂防止剤の典型的な量は約1〜約5phrである。例としてステアリン酸を挙げることができるが、脂肪酸を使用する場合、その典型的な量は約0.5〜約3phrである。酸化亜鉛の典型的な量は約2〜約5phrである。ワックスの典型的な量は約1〜約5phrである。マイクロクリスタリンワックスもよく用いられる。素練り促進剤の典型的な量は約0.1〜約1phrである。典型的な素練り促進剤としては、例えばペンタクロロチオフェノールおよびジベンズアミドジフェニルジスルフィドであることができる。
【0081】
加硫は硫黄加硫剤の存在下で行われる。適した硫黄加硫剤の例に、例えば元素硫黄(フリー硫黄)、または前記の有機シランポリスルフィド(II)を含めて硫黄供与性加硫剤がある。前記のように、所望によっては、例えばアミンジスルフィド、高分子ポリスルフィドまたは硫黄−オレフィン付加体のような追加の硫黄供与体化合物を使用することができる。硫黄加硫剤は、普通、最終の硬化発現ゴム組成物混合工程で加えられる。
【0082】
加硫促進剤は加硫に必要とされる時間および/または温度を調節し、加硫物の性質を改善するために用いられる。一つの態様では、単一の促進剤系、即ち一次促進剤を用いることができる。一次促進剤(一種または複数種)は、普通、総量で約0.5〜約4phr、好ましくは約0.8〜約1.5phrの範囲の量で用いるのが好ましい。もう一つの態様では、加硫を活性化し、加硫物の性質を改善するために、一次促進剤と二次促進剤との組み合わせが用いられることもあり、この場合二次促進剤は(約0.05〜約3phrと言った)より少量で用いられる。これら促進剤の組み合わせは、最終製品の性質に対して相乗効果を生むと予想され、そしていずれか一方の促進剤を単独で用いることで得られる性質よりも幾分良い性質となる。さらに、標準の加工温度では影響を受けないが、普通の加硫温度で満足な硬化をもたらす遅効型促進剤を用いることもできる。加硫遅延剤が用いられることもある。本発明で使用することができる適したタイプの促進剤は、アミン類、ジスルフィド類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、チウラム類、スルフェンアミド類、ジチオカルバメート類およびザンテート類である。一次促進剤はスルフェンアミド類であるのが好ましい。二次促進剤を用いる場合、二次促進剤はグアニジン系化合物、ジチオカルバメート系化合物またはチウラム系化合物であるのが好ましい。
【0083】
本発明のゴム組成物は様々な目的に使用することができる。例えば、それは各種のタイヤ用コンパウンドに使用することができる。このようなタイヤは、この技術分野の当業者に知られ、直ちに明らかになる種々の方法で組み立てられ、整形され、成形され、そして硬化させることができる。
【0084】
【実施例】
本発明は次の実施例を参照すればさらによく理解できるだろう。それらの実施例において、部および百分率は、特に明記されない限りは、重量による。
【0085】
実施例1
シリカ強化材を含有する硫黄加硫性ゴム混合物を調製した。それらは、ここでは実験(例)1、実験2および実験3として報告される。
【0086】
特に、実験1は、ポリスルフィド橋中に平均約3.8個の硫黄原子を含むビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド化合物(式II)が、ゴム組成物と、密閉式ゴムミキサー中で、予備非硬化発現混合段階で混合される第一の対照例とされる。
【0087】
特に、実験2は、ポリスルフィド橋中に平均約2.2個の硫黄原子を含むビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド化合物(式I)が、ゴム組成物と、密閉式ゴムミキサー中で、予備非硬化発現混合段階で混合される第二の対照例とされる。
【0088】
最後に、本発明に従って、ポリスルフィド橋中に平均約2.2個の硫黄原子を含むビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド化合物(式I)が、ゴム組成物と、密閉式ゴムミキサー中で、予備非硬化発現混合段階で混合され、続いてポリスルフィド橋中に平均約3.8個の硫黄原子を含むビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド化合物(式II)が、ゴム組成物に、密閉式ゴムミキサー中で、最終硬化発現混合段階で別個に添加される。
【0089】
特に、本発明の典型例とされる実験3の試料では、予備非硬化発現混合段階で式(I)の有機シランジスルフィド化合物6.64phrが加えられ、そして硬化発現混合段階で式(II)の有機シランポリスルフィド化合物1phrおよび硫黄1.4phrが加えられている。
【0090】
従って、硬化発現混合に関しては、有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋中の硫黄原子の50パーセントを基準としての添加硫黄の計算量は1.4phr(フリー硫黄)プラス0.13phr(上記有機シランポリスルフィドに由来する硫黄)であって、それは合計1.53phrに等しいことになる。ここで理解すべきは、実際の硫黄は、有機シランポリスルフィド化合物(II)から放出される硫黄の量に依存して、計算硫黄量とは若干異なるだろうと言うことである。
【0091】
各混合段階の後、ゴム混合物を2本ロール機でバッチに分け、短時間ミル混合し、そしてそのロール機からゴムのスラブまたはシートを取り出し、約30℃以下の温度まで冷却させた。
【0092】
表1に示される材料を含むゴム組成物は、BRバンバリー(Banbury)ミキサー中で、3つの別個の添加(混合)段階、即ち2つの予備混合段階と1つの最終混合段階を用いて、それら3つの総混合段階についてそれぞれ170℃、160℃および120℃の温度になるまで、約8分間、2分間および2分間混合、調製されたものである。有機シランジスルフィドおよび有機シランポリスルフィドの量は表1に「可変量」として示されるが、それらの添加量は表2にさらに具体的に記載されている。
【0093】
【表1】
【0094】
1)グッドイアー・タイア・アンド・ラバー社(Goodyear Tire & Rubber Company)から得られる、乳化重合で合成された、スチレンを約40パーセント含有し、Tgが約−31℃であるスチレン/ブタジエン共重合体ゴム。このE-SBRは表1ではエラストマーの乾燥重量基準で報告されているが、但しこのE-SBRは油展され、約25phrのSBRと約15phrのオイルから構成されている。
【0095】
2)グッドイアー・タイア・アンド・ラバー社から得られる、Tgが約−44℃であるイソプレン/ブタジエン(50/50イソプレン/ブタジエン)共重合体エラストマー。
【0096】
3)グッドイアー・タイア・アンド・ラバー社からブデン(BUDENE:登録商標)として得られるシス1,4−ポリブタジエンエラストマー。
4)天然シス1,4−ポリイソプレン。
【0097】
5)オイル。
6)主としてステアリン酸。
7)ローン・プーラン社からのゼオシル1165MP。
【0098】
8)デグッサ社からX266Sとして市販される、Si266(デグッサ社の商標)とカーボンブラックとの50/50ブレンドの形をした複合物。Si266はポリスルフィド橋中に約平均2.2個の硫黄原子を含んでいることが分かっているビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド化合物(I)である。従って、この複合物は式(I)に相当する有機シランジスルフィド化合物を50パーセント含有する。
【0099】
9)ドイツのカリ・ヘミー社(Kali Chemie Company)からS8元素硫黄として得られる。
10)フェニレンジアミンタイプのもの。
【0100】
11)デグッサ社からX50Sとして市販される、デグッサ社の商標であって、ポリスルフィド橋中に約平均3.8個の硫黄原子を含むビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド化合物(II)と称されるものであるSi69とカーボンブラックとの50/50ブレンドの形をした複合物である。かくして、式(II)の化合物に相当する上記有機シランテトラスルフィドは上記複合物の50%、従って活性50%であると考えられる。
【0101】
実験1、実験2および実験3の試料を適当な金型で成形し、約160℃の温度になるまで約16分間加熱して、硬化、即ち加硫させた。
上記ゴム組成物の種々の物理的性質を次の表2に示す。表2には、有機シランジスルフィドおよび有機シランポリスルフィドの添加量、並びにフリー硫黄の添加量も示されている。
【0102】
【表2】
【0103】
1)硬化発現混合段階から得られたゴム混合物の100℃におけるムーニー粘度(ML−4)。
特に、この実施例の実験3は、非硬化発現混合工程中の有機シランジスルフィド化合物(式I)の添加と、それに加えて硬化発現混合工程でのビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド化合物(式II)の後続の制御された添加は、第一および第二対照例、即ち実験1および実験2に比較して、高温および低温の反発弾性の値に有意の影響を及ぼすことなく、引張強さ、伸びおよびモジュラスをそれぞれ増大させたことを示している。
【0104】
このことは、本発明では、そのようなゴム組成物のトレッドを有するタイヤの湿潤時静止摩擦特性と転がり抵抗性に有意の影響を及ぼすことなく、さらに良好な耐摩耗性能を有することを予期させるものであるので、有益なことと考えられる。
【0105】
さらに、それらゴム組成物について表2に示される動的粘弾性に関する物理的性質(タンデルタ)は、高温反発弾性と同じ傾向を示している。
このことは、本発明では、実験3で示されるそのような配合の仕方はゴム組成物のヒステリシスに悪影響を及ぼさず、従ってそのようなゴム組成物のトレッドを有するタイヤの総合的なタイヤの転がり抵抗性に悪影響を及ぼさないと予期させるものであるので、対照例の実験1および実験2に比較して有益であると考えられる。
【0106】
さらに、実験3のDIN摩耗値は、実験1および実験2の両対照例の同摩耗値より有意に小さく、従ってこれはタイヤトレッドのトレッド摩耗性がより小さい(より良好)ことを示すもので、前記のモジュラス比の観察結果に符合すると考えられる。
【0107】
加えて、実験3、さらには実験2が示す、ゴム混合物の粘度の尺度としてのムーニー塑性値は、ゴム組成物の加工に関する限り、予備非硬化発現混合段階で有機シランポリスルフィドに代えて有機シランジスルフィドを添加することの利点が際だったものであることを示している。特に、表2に示されるムーニー値は、実験3および実験2の両者で実験1のムーニー値よりも著しく低い。
【0108】
それ故、有機シランジスルフィド(式I)を予備非硬化発現混合段階(1つまたは2つ以上)で使用し、一方有機シランポリスルフィド(式II)を後続の最終硬化発現混合段階で別個に加えることは、硬化ゴム組成物の種々の性質を著しく改善し、しかもこれにはまた非硬化発現混合段階でのゴムの有利な加工(即ち、より低いゴム粘度)が伴われることが観察された。
【0109】
従って、規定された有機シランジスルフィドとエラストマー(1種および2種以上)およびシリカとの予備非硬化発現混合段階(1つまたは2つ以上)での混合と、それに続く規定された有機シランポリスルフィドの後続硬化発現混合段階での非硬化発現混合段階よりも低い温度における添加と、それに続くそゴム組成物の昇温下での加硫との組み合わせは、硬化された、即ち加硫されたゴム組成物の物理的性質を向上させることが明らかになったと考える。
【0110】
ゴム組成物をこのようにして製造することで、規定の有機シランジスルフィドとシリカとのシラン相互作用は、続いて添加される有機シランポリスルフィド(II)からの規定される温度条件下でのフリー硫黄の遊離とは分離される。ここで、有機シランポリスルフィド化合物(II)の後続添加には、また、その有機シランポリスルフィド化合物のシラン成分と、有機シランジスルフィド化合物(I)とシリカとの予備非硬化発現混合段階における相互作用でもたらされた、先に形成されたシラン/充填材複合物または網状構造物との後続相互作用も含む。
【0111】
実施例2
トレッドに実施例1の実験1、2および3のゴム組成物がそれぞれ使用されたサイズ195/65R15のタイヤを製造した。これらの実験は本実施例2においても実施例1に対応してそれぞれ実験1、2および3と称される。表3に示されるとおり、次の結果が得られた。ここで、対照例である実験1の値が100と言う値に正規化され、そして実験2および実験3の対応する値は対照実験例1に対する比較値として報告されている。
【0112】
表3に報告される正規化値に関し、転がり抵抗性は値の高い方が転がり抵抗性が小さいことを意味し、従ってより高い値がより良好であり;トレッド摩耗性は値の高い方がトレッドの摩耗が少ないことを意味し、従ってより高い値がより良好であり;そして湿潤スキッド値は値の大きい方が静止摩擦特性および濡れた表面上でのスキッド抵抗性がより大きいことを意味し、従ってより高い値がより良好である。
【0113】
【表3】
【0114】
この実施例は、本発明、即ち実験3に従って製造されたゴム組成物のトレッドを有するタイヤは実験1および2のゴム組成物のトレッドを有するタイヤよりも(摩耗が少ない)良好なタイヤトレッド摩耗性を与えることが観察されたことを証明している。
【0115】
これは、表3に示される観察された湿潤スキッド性および転がり抵抗性は実質的に、また認め得るほど影響されないので、有利であると考えられる。さらに、そのゴム組成物の加工は実質的に影響されず、ムーニー(ML−4)粘度に関して表2に示されるように、実験1の製造例以上に改善されさえしている。
【0116】
特に、本発明の実施によれば、(1)ゴム組成物の加工性、(2)物理的性質および(3)ゴムタイヤ、特にタイヤトレッドの性質の組み合わされた性質における改善が明白である。
【0117】
以上、本発明を例示説明する目的から、一定の代表的な態様と細部を示したが、この技術分野の当業者には、本発明には、その精神と範囲から逸脱しない限り、様々な変更および修正をなし得ることは明らかであろう。
[本発明の態様]
[1] ゴム組成物の製造方法にして、次の:(A)(1)共役ジエンの単独重合体および共重合体、並びに少なくとも1種の共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体から選ばれる少なくとも1種のジエン系エラストマー100重量部、(2)約30〜約100phrの、次の:(a)約5〜約85重量%のカーボンブラック、および(b)(a)に対応して約15〜約95重量%の、アルミナ、並びに沈降シリカ、アルミノシリケートおよび表面に水酸化珪素を含む変性カーボンブラックの内の少なくとも1種から選ばれるシリカ系充填材より成る群の少なくとも1種から選ばれる少なくとも1種の追加の強化用充填材を含んで成る粒状強化用充填材、および(3)該アルミナおよびシリカ系充填材1重量部当たり約0.05〜約20重量部、あるいは約0.05〜約10重量部の、少なくとも1種の、式(I):
で表される有機シランジスルフィド化合物を、少なくとも1つの逐次的予備(非硬化発現)混合工程において、フリー硫黄が添加されていない状態で、約150〜約185℃の範囲内の温度になるまで熱機械的に混合し、続いて(B)フリー硫黄、および少なくとも1種の、式(II):
で表される有機シランポリスルフィド化合物を、工程(A)の混合物と、工程(A)に続く(硬化発現)混合工程において、約100〜約130℃の範囲内の温度になるまで混合する、工程を含んで成ることを特徴とする上記の方法:但し、上記の式において:R1は合計1〜18個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基および合計6〜12個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基より成る群から選ばれる基であり、nは2〜約6の数で、かつnの平均は2〜2.6の範囲内にあり;mは2〜約8の数で、かつmの平均は約3.5〜約4.5の範囲内にあり;そしてZは前記の式
で表される基より群から選ばれ、ここでR2は同一の基であってもよいし、或いは異なる基であってもよく、そして各々独立に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル基より成る群から選ばれ、そしてR3は同一の基であってもよいし、或いは異なる基であってもよく、そして各々独立に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、1〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基および5〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基より成る群から選ばれる。
[2] 前記の予備混合が、該予備(非硬化発現)混合工程の総密閉式混合時間が約4〜約15分の範囲内である少なくとも2つの密閉式混合工程で行われ、かつ前記の後続(硬化発現)密閉式混合工程の混合時間が約1〜約3分の範囲内であり、しかも各混合工程間でゴム組成物は開放式ロール機で約2〜約6分間混合され、次いで約40℃以下の温度まで冷却され;前記の有機シランジスルフィド化合物(I)と有機シランポリスルフィド化合物(II)は、アルコキシ成分のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル成分のアルキル基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして混合工程(B)で、フリー硫黄の添加量と、該有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとが合計で約0.93〜約4phrの範囲内にあることを特徴とする、1に記載の方法。
[3] 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、アルコキシ成分のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル成分のアルキル基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして混合工程(B)で、フリー硫黄の添加量と、該有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとが合計で約0.93〜約4phrの範囲内にあることを特徴とする、1または2に記載の方法。
[4] 前記有機シランジスルフィド化合物(I)の有機シラン成分が前記予備混合工程(1つまたは2つ以上)中に前記のアルミノシリケート、沈降シリカおよび変性カーボンブラックの少なくとも1種が持つヒドロキシル基と反応してシラン系複合物を形成し;そして前記の後続添加有機シランポリスルフィド(II)が、約140〜約190℃の範囲内の温度におけるゴム組成物の加硫中に、前もって形成された該シラン系複合物と相互作用してフリー硫黄を遊離することを特徴とする、1〜3のいずれかに記載の方法。
[5] 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、各々、個々に、約25〜約75重量パーセントの該スルフィド化合物(I)および(II)、およびそれに対応して約75〜25重量パーセントの粒状カーボンブラックから成る複合物の形で添加されることを特徴とする、1〜4のいずれかに記載の方法。
[6] 前記の粒状強化材が(a)前記カーボンブラックと(b)前記の少なくとも1種の沈降シリカ、アルミノシリケートおよび変性カーボンブラックを含んで成り;ここで該アルミノシリケートはシリケート電解質とアルミニウム電解質との共沈で約5〜約95重量パーセントのアルミニウムを含有するシリカ/アルミニウム複合物を形成することにより製造され、また該変性カーボンブラックは有機シランとカーボンブラックとを昇温下で反応させるか、または有機シランとオイルを昇温下で共−発煙させることにより製造されることを特徴とする、1〜5のいずらかに記載の方法。
[7] 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、(a)アルコキシ基のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル基のアルキレン基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして(b)該有機シランジスルフィド化合物(I)ではnの少なくとも55パーセントが2であることを特徴とする、1〜6のいずれかに記載の方法。
[8] 前記の予備熱機械的混合工程(1つまたは複数)に合計で約0.05〜約5phrの少なくとも1種のアルキルアルコキシシランが添加され、ここで該アルキルシランは式(III)
(式中、R’は1〜18個の炭素原子を有する飽和アルキル基若しくはアリール基または6〜12個の炭素原子を有する飽和アルキル置換アリール基であり、そしてR”はメチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基の内の少なくとも1種から選ばれる。)を有することを特徴とする、1〜7のいずれかに記載の方法。
[9] 前記のアルキルアルコキシシランが、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、8に記載の方法。
[10] 前記のジエン系エラストマーについて、その共役ジエンがイソプレンおよび1,3−ブタジエンから選ばれ、そしてそのビニル芳香族化合物がスチレンおよびα−メチルスチレンから選ばれることを特徴とする、1〜9のいずれかに記載の方法。
[11] 前記のジエン系エラストマーが、天然および合成シス1,4−ポリイソプレンゴム、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合で合成されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、3,4‐ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元共重合体ゴム、シス1,4‐ポリブタジエンゴム、中ビニルポリブタジエンゴム(ビニル35〜50パーセント)、高ビニルポリブタジエンゴム(ビニル50〜90パーセント)、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元共重合体ゴムおよびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、1〜9のいずれかに記載の方法。
[12] 前記式(I)の有機シランジスルフィド化合物が、2,2'-ビス(トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐sec‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐t‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(2'-エチルヘキソキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメトキシエトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシエトキシプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシジメチルシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(シクロヘキソキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリプロポキシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシメチルシリル‐3‐エチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリメトキシシリルドデシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリエトキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(メトキシジメチルシリルオクタデシル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィドおよび2,2'-ビス(トリオクトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィドの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、1〜11のいずれかに記載の方法。
[13] 前記式(I)の有機シランジスルフィド化合物が3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドであり、そして前記式(II)の有機シランポリスルフィド化合物がビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルエチルトリレン)トリスルフィドおよびビス(3‐トリエトキシシリルエチルトリレン)テトラスルフィドの内の少なくとも1種であることを特徴とする、1〜11のいずれかに記載の方法。
[14] 前記式(I)の有機シランジスルフィド化合物が3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドであり、そして前記式(II)の有機シランポリスルフィド化合物がビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィドおよびビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドの内の少なくとも1種であることを特徴とする、1〜11のいずれかに記載の方法。
[15] 得られた混合ゴム組成物を約140〜約190℃の範囲内の温度で硫黄加硫する追加の工程を含むことを特徴とする、1〜14のいずれかに記載の方法。
[16] 得られた混合ゴム組成物を約140〜約190℃の範囲内の温度で硫黄加硫する追加の工程を含み、ここでフリー硫黄と、前記有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとが合計で約0.93〜約4phrの範囲内にあることを特徴とする、1〜14のいずれかに記載の方法。
[17] 得られた混合ゴム組成物を約140〜約190℃の範囲内の温度で硫黄加硫する追加の工程を含み、ここでフリー硫黄と、前記有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとが合計で約0.93〜約2.8phrの範囲内にあることを特徴とする、1〜14のいずれかに記載の方法。
[18] 15〜17のいずれかに記載の方法に従って製造された加硫ゴム組成物。
[19] 前記のゴム組成物を整形してタイヤトレッドストック(stock)を形成し、該タイヤトレッドストックをゴムタイヤカーカスに施してそれらの集成体を形成し、そして該集成体を約140〜約190℃の範囲内の温度で成形および加硫してタイヤを形成することを特徴とする、1〜13のいずれかに記載の方法。
[20] フリー硫黄と、前記有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の約50パーセントとが合計で約0.93〜約4phrの範囲にあることを特徴とする、19に記載の方法。
[21] 19または20に記載の方法に従って製造された加硫ゴムタイヤ。
[22] 18に記載のゴム組成物を1つの構成部材として有するタイヤ。
[23] 18に記載のゴム組成物より成るトレッドを有するタイヤ。
[24] 18に記載のゴム組成物を少なくとも1つの構成部材として有する製品。
[25] 18に記載のゴム組成物を少なくとも1つの構成部材として有するベルトおよびホースの少なくとも1つから選ばれる工業製品。
Claims (20)
- ゴム組成物の製造方法にして、次の:(A)(1)共役ジエンの単独重合体および共重合体、並びに少なくとも1種の共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体から選ばれる少なくとも1種のジエン系エラストマー100重量部、(2)30〜100phrの、次の:(a)5〜85重量%のカーボンブラック、および(b)(a)に対応して15〜95重量%の、アルミナ、並びに沈降シリカ、アルミノシリケートおよび表面に水酸化珪素を含む変性カーボンブラックの内の少なくとも1種から選ばれるシリカ系充填材より成る群の少なくとも1種から選ばれる少なくとも1種の追加の強化用充填材を含んで成る粒状強化用充填材、および(3)該アルミナおよびシリカ系充填材1重量部当たり0.05〜20重量部の、少なくとも1種の、式(I):
- 前記の予備混合が、該予備(非硬化発現)混合工程の総密閉式混合時間が4〜15分の範囲内である少なくとも2つの密閉式混合工程で行われ、かつ前記の後続(硬化発現)密閉式混合工程の混合時間が1〜3分の範囲内であり、しかも各混合工程間でゴム組成物は開放式ロール機で2〜6分間混合され、次いで40℃以下の温度まで冷却され;前記の有機シランジスルフィド化合物(I)と有機シランポリスルフィド化合物(II)は、アルコキシ成分のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル成分のアルキル基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして混合工程(B)で、フリー硫黄の添加量と、該有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の50パーセントとが合計で0.93〜4phrの範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、アルコキシ成分のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル成分のアルキル基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして混合工程(B)で、フリー硫黄の添加量と、該有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の50パーセントとが合計で0.93〜4phrの範囲内にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 前記有機シランジスルフィド化合物(I)の有機シラン成分が前記予備混合工程(1つまたは2つ以上)中に前記のアルミノシリケート、沈降シリカおよび変性カーボンブラックの少なくとも1種が持つヒドロキシル基と反応してシラン系複合物を形成し;そして前記の後続添加有機シランポリスルフィド(II)が、140〜190℃の範囲内の温度におけるゴム組成物の加硫中に、前もって形成された該シラン系複合物と相互作用してフリー硫黄を遊離することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、各々、個々に、25〜75重量パーセントの該スルフィド化合物(I)および(II)、およびそれに対応して75〜25重量パーセントの粒状カーボンブラックから成る複合物の形で添加されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記の粒状強化材が(a)前記カーボンブラックと(b)前記の少なくとも1種の沈降シリカ、アルミノシリケートおよび変性カーボンブラックを含んで成り;ここで該アルミノシリケートはシリケート電解質とアルミニウム電解質との共沈で5〜95重量パーセントのアルミニウムを含有するシリカ/アルミニウム複合物を形成することにより製造され、また該変性カーボンブラックは有機シランとカーボンブラックとを昇温下で反応させるか、または有機シランとオイルを昇温下で共−発煙させることにより製造されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記の有機シランジスルフィド化合物(I)および有機シランポリスルフィド化合物(II)が、(a)アルコキシ基のアルキル基がメチル基およびエチル基から選ばれ、シリルアルキル基のアルキレン基がエチル基、プロピル基およびブチル基から選ばれるビス−(3−トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドであり、そして(b)該有機シランジスルフィド化合物(I)ではnの少なくとも55パーセントが2であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記の予備熱機械的混合工程(1つまたは複数)に合計で0.05〜5phrの少なくとも1種のアルキルアルコキシシランが添加され、ここで該アルキルシランは式(III):
- 前記のアルキルアルコキシシランが、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 前記のジエン系エラストマーについて、その共役ジエンがイソプレンおよび1,3−ブタジエンから選ばれ、そしてそのビニル芳香族化合物がスチレンおよびα−メチルスチレンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 前記のジエン系エラストマーが、天然および合成シス1,4−ポリイソプレンゴム、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合で合成されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、3,4‐ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元共重合体ゴム、シス1,4‐ポリブタジエンゴム、中ビニルポリブタジエンゴム(ビニル35〜50パーセント)、高ビニルポリブタジエンゴム(ビニル50〜90パーセント)、乳化重合で合成されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元共重合体ゴムおよびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 前記式(I)の有機シランジスルフィド化合物が、2,2'-ビス(トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリ‐sec‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリ‐t‐ブトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリエトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルエチルトリレン)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(2'-エチルヘキソキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメトキシエトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシエトキシプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(メトキシジメチルシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(シクロヘキソキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、4,4'-ビス(トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリプロポキシシリル‐3‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシメチルシリル‐3‐エチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル‐2‐メチルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリメトキシシリルドデシル)ジスルフィド、12,12'-ビス(トリエトキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)ジスルフィド、18,18'-ビス(メトキシジメチルシリルオクタデシル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリメトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリエトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィド、2,2'-ビス(トリプロポキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィドおよび2,2'-ビス(トリオクトキシシリル‐2‐メチルエチル)ジスルフィドの内の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 前記式(I)の有機シランジスルフィド化合物が3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドであり、そして前記式(II)の有機シランポリスルフィド化合物がビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルエチルトリレン)トリスルフィドおよびビス(3‐トリエトキシシリルエチルトリレン)テトラスルフィドの内の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 得られた混合ゴム組成物を140〜190℃の範囲内の温度で硫黄加硫する追加の工程を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 得られた混合ゴム組成物を140〜190℃の範囲内の温度で硫黄加硫する追加の工程を含み、ここでフリー硫黄と、前記有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の50パーセントとが合計で0.93〜2.8phrの範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 請求項14または15のいずれかに記載の方法に従って製造された加硫ゴム組成物。
- 前記のゴム組成物を整形してタイヤトレッドストック(stock)を形成し、該タイヤトレッドストックをゴムタイヤカーカスに施してそれらの集成体を形成し、そして該集成体を140〜190℃の範囲内の温度で成形および加硫してタイヤを形成することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- フリー硫黄と、前記有機シランポリスルフィド化合物(II)のポリスルフィド橋における硫黄の50パーセントとが合計で0.93〜4phrの範囲にあることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
- 請求項17に記載の方法に従って製造された加硫ゴムタイヤ。
- 請求項16に記載のゴム組成物を1つの構成部材として有するタイヤ。
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