JP4341550B2 - 直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、機関冷間時の始動後に燃料を一度に噴射する一括噴射と複数回に分けて噴射する分割噴射との間で燃料噴射形態を切り替える直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関運転状態に基づいて設定される燃料噴射量を増量補正するに際し、機関始動後から所定期間が経過するまでは燃料噴射形態を前記分割噴射での燃料増量度合が前記一括噴射での燃料増量度合よりも大きく設定される第1の噴射形態に設定し、その後に燃料噴射形態を前記一括噴射での燃料増量度合が前記分割噴射での燃料増量度合よりも大きく設定される第2の噴射形態に設定するとともに、前記第1の噴射形態での一括噴射では燃料を圧縮行程終期に一度に噴射する一方、前記分割噴射では燃料を少なくとも圧縮行程終期を含む複数回の時期に噴射し、前記第2の噴射形態での一括噴射では燃料を吸気行程中に一度に噴射する一方、前記分割噴射では燃料を吸気行程中に複数回に分けて噴射することをその要旨とする。
図1に示すように、本実施の形態の適用される内燃機関10は大きくは、吸気通路11、燃焼室12、及び排気通路13を備えて構成されている。吸気通路11にはスロットルバルブ14が配設され、燃焼室12には点火プラグ15及び燃料噴射弁16が配設されている。また、排気通路13には排気浄化触媒17が配設されている。
ここでは先ず、触媒急速暖機制御について説明する。
触媒急速暖機制御は、以下の各条件が全て満たされていることを条件に実行される。
・内燃機関10の始動が完了しており、同内燃機関10が自律運転されていること。
・内燃機関10の始動開始時における冷却水温度THWが低いこと。
・内燃機関10がアイドル運転状態であること。
燃焼向上制御は、以下の条件が全て満たされていることを条件に実行される。
・内燃機関10の始動が完了しており、同内燃機関10が自律運転されていること。
・冷却水温度THWが低いこと。
・内燃機関10がアイドル運転状態であること。
・触媒急速暖機制御が実行されていないこと。
なお、図2のフローチャートに示す一連の処理は目標噴射量Qopを算出する処理の具体的な処理手順を示しており、図3のフローチャートに示す一連の処理は増量補正量Kcを算出する処理の具体的な処理手順を示している。また、これら一連の処理は、所定周期毎の処理として、電子制御装置20により実行される処理である。
一方、分割噴射の選択時には(ステップS202:YES)、冷却水温度THW及び始動後経過時間Tsに基づいてBマップから、分割噴射補正量Kc2が算出される(ステップS206)。なお、この分割噴射補正量Kc2としては、前述した燃焼室12内壁への燃料付着量の増大に起因する燃料噴射量の不足分のうち分割噴射の選択による不足分を補うことの可能な値が算出される。上記Bマップには、そうした分割噴射補正量Kc2と冷却水温度THW及び始動後経過時間Tsとの関係が実験結果などを通じて求められ、設定されている。分割噴射補正量Kc2としては、具体的には、冷却水温度THWが低いほど、また始動後経過時間Tsが短いほど大きい値が算出される。
更に、冷却水温度THWに基づいてCマップから、一回目の燃料噴射についての噴射量分割率Rtが算出される(ステップS210)。本実施の形態では、このステップS210の処理が、燃料噴射形態を分割噴射に設定するに際して各噴射の噴射量分割率を設定する分割率設定手段として機能する。以下、図5を参照しつつ、上記噴射量分割率Rtの算出態様について説明する。なお、図5はCマップを概念的に示したものである。
このとき各噴射により噴射される総燃料量が少なく、総燃料噴射量を不均等に分割した場合に、いずれかの噴射の燃料噴射量が燃料噴射弁16の最小燃料噴射量を下回って正常な噴射を行うことができなくなるといった状況になり得るとして、各噴射の噴射量分割率が等しくなるように上記噴射量分割率Rtが設定される。これにより、上記状況になることを極力回避することができ、分割噴射の実行機会を増やすことができるようになる。
このとき各噴射により噴射される総燃料量が多く、分割噴射における各噴射の噴射量分割率を設定する際の自由度が高いために、安定した状態で成層燃焼方式での機関燃焼を行うことのできる所定の値が上記噴射量分割率Rtとして算出される。なお、この所定の値は、実験結果などに基づき求められ設定されている。
そして、図2に示すように、目標噴射量Qopを算出する処理にあっては、このとき燃焼向上制御が実行されていないために(ステップS108:NO)、前記増量補正係数Kbとして燃料噴射量を増量補正しない値「1.0」が算出される(ステップS110)。
Qop←(Qcal+Kc+Ki+…)Kb …(1)
そして、一括噴射の選択時には(ステップS114:NO)、上記目標噴射量Qopに応じて燃料噴射弁16が駆動されて、燃料噴射量が調節される。
一回目噴射量Qop1←Qop・Rt …(2)
二回目噴射量Qop2←Qop・(1−Rt) …(3)
そして、一回目(圧縮行程初期)の噴射では一回目噴射量Qop1に応じて、また二回目(圧縮行程終期)の噴射では二回目噴射量Qop2に応じてそれぞれ燃料噴射弁16が駆動されて、各噴射における燃料噴射量が調節される。
同図6に示すように、分割噴射の選択時(時刻t10よりも前)における増量補正量Kcは、一括噴射の選択時における増量補正量Kcと比べて、分割噴射補正量Kc2の分だけ大きい値が算出される。そのため、分割噴射の選択時において燃焼室12内壁への燃料付着量が増大したとしても、その増大による実質的な燃料噴射量の不足、ひいてはこれに起因する燃焼状態の悪化を抑制することができるようになる。これにより、分割噴射の選択時及び一括噴射の選択時(時刻t10以降)において共に、内燃機関10の安定運転と排気浄化触媒17の早期暖機とを両立させることができるようになる。
なお、図7のフローチャートに示す一連の処理は、増量補正係数Kbを算出する処理の具体的な処理手順を示しており、所定周期毎の処理として、電子制御装置20により実行される。
一方、分割噴射が選択されているときには(ステップS114:YES)、目標噴射量Qop及び噴射量分割率Rtに基づいて前記関係式(2)及び(3)から、各噴射についての目標噴射量Qop1,Qop2がそれぞれ算出される(ステップS116)。そして、それら目標噴射量Qop1,Qop2に応じて燃料噴射弁16が駆動されて、各噴射にかかる燃料噴射量が調節される。
図9は、燃焼向上制御の実行中において分割噴射と一括噴射とが切り替わる場合における目標噴射量Qopの算出態様の一例を示している。
(1)触媒急速暖機制御における燃料噴射量の増量補正において、分割噴射時には一括噴射時よりもその増量補正量Kcとして大きい値を算出するようにした。そのため、分割噴射時において燃焼室12内壁への燃料付着量が増大したとしても、その増大による実質的な燃料噴射量の不足、ひいてはこれに起因する燃焼状態の悪化を抑制することができるようになる。
・噴射量分割率Rtの算出パラメータとしては、冷却水温度THWの他にも、例えば機関回転速度NEや吸入空気量GA、始動後経過時間Ts等、分割噴射の各噴射により噴射される総燃料量と相関の高い値であればこれを用いることが可能である。要は、それら算出パラメータを上記総燃料量の指標値として用い、総燃料量に即したかたちで各噴射の噴射量分割率を設定することができればよい。
・燃焼向上制御の分割噴射における二回目の燃料噴射時期は、圧縮行程初期に設定してもよい。
・本発明は、触媒急速暖機制御及び燃焼向上制御のいずれが一方のみが実行される内燃機関の燃料噴射制御装置にも適用することができる。なお、燃焼向上制御のみが実行される装置にあっては、燃料増量度合を始動後経過時間に基づいて算出するようにしてもよい。同構成によれば、機関始動後の経過時間が長いほど機関燃焼室の温度が高くなり噴射燃料の気化が促進されるようになるといった傾向に即して燃料増量度合を設定することができ、実際に燃焼に寄与する燃料の量を確保して燃焼状態の更なる安定を図ることができるようになる。
Claims (5)
- 機関冷間時の始動後に燃料を一度に噴射する一括噴射と複数回に分けて噴射する分割噴射との間で燃料噴射形態を切り替える直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
機関運転状態に基づいて設定される燃料噴射量を増量補正するに際し、機関始動後から所定期間が経過するまでは燃料噴射形態を前記分割噴射での燃料増量度合が前記一括噴射での燃料増量度合よりも大きく設定される第1の噴射形態に設定し、その後に燃料噴射形態を前記一括噴射での燃料増量度合が前記分割噴射での燃料増量度合よりも大きく設定される第2の噴射形態に設定するとともに、
前記第1の噴射形態での一括噴射では燃料を圧縮行程終期に一度に噴射する一方、前記分割噴射では燃料を少なくとも圧縮行程終期を含む複数回の時期に噴射し、前記第2の噴射形態での一括噴射では燃料を吸気行程中に一度に噴射する一方、前記分割噴射では燃料を吸気行程中に複数回に分けて噴射する
ことを特徴とする直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1に記載の直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料増量度合は機関温度及び始動後経過時間の少なくとも一方に基づいて設定される
ことを特徴とする直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 燃料噴射形態を前記分割噴射に設定するに際して各噴射の噴射量分割率を設定する分割率設定手段を更に備え、該分割率設定手段は前記分割噴射の各噴射により噴射される総燃料量が少ないときほど前記各噴射の噴射量分割率の差が小さくなるようにこれらを設定する
請求項1又は2に記載の直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項3に記載の直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記分割率設定手段は前記分割噴射の各噴射により噴射される総燃料量が所定量以下であるときに前記各噴射の噴射量分割率が等しくなるようにこれらを設定する
ことを特徴とする直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料噴射量の増量補正は機関始動後所定期間が経過するまでの機関アイドル運転時に行われる
ことを特徴とする直噴式内燃機関の燃料噴射制御装置。
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