JP4331475B2 - 加飾樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に設けた液晶表示部を被い機器の筐体に嵌めこまれて使用される「加飾パネル」などに例示される樹脂成形体に関し、特に文字や模様などのデザインが施された加飾樹脂成形体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機、PDA等の電子機器において、例えば図11に示した携帯電話機1のように、液晶表示部2に臨む筐体3の開口4を被うために、筐体3とは別体として形成されたパネル5が嵌めこまれている。このパネル5は、通常、液晶表示部2を視認可能とする窓部となるように透明な樹脂から形成されるものである。ところが、携帯機器のデザインの多様化により、パネル5の端部側の液晶表示が妨げられない部分に、文字や記号、イラスト、デザイン模様などを表示した加飾6が施されるようになってきた。
【0003】
パネルに対する加飾形成は、樹脂成形体に文字、記号等の形状をスクリーン印刷、パッド印刷等によって印刷することによりなされるが、印刷では1色毎に印刷版を必要とする為、多色になればなるほど印刷工程が増加し、微妙な位置合わせを行う高度な印刷技術や、異物混入防止のための方策が必要となっていた。また、デザイン変更時には印刷版を作製し直す必要があり、各製品毎に必要色に応じた印刷版が作られるため、印刷版の保存、管理には多大な時間と労力、費用が費やされていた。以上のような理由から従来の印刷による方法では、デザインの変更に対する適応性が悪く、デザインの数が豊富な種々の加飾樹脂成形体を生産するにはコスト高となっていた。
【0004】
また、近年の電子機器の小型化に伴い、小さな限られたスペース内に、細かく複雑なデザイン模様を表示する必要が生じてきたが、従来の印刷による手法では、描画のきめ細かさや画質の滑らかさといった解像度を高くすることが困難であった。
【0005】
一方、従来の印刷方法に代わる加飾の作成方法として、プリンタを用いて樹脂シートにグラフィック印画した印画シートをパネルに貼り合わせてなる方法が考えられる。特開2000−231849号公報(特許公報1)には押釦スイッチ用のキートップに対する類似の技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−231849号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術を加飾パネルに応用した場合には、貼り合わせ後に、印画シートを炭酸ガスレーザーや打ち抜き刃にて個々のパネルの外周形状に沿って切断する後工程が必要であるし、厚みのある印画シートを切断するため切断面にバリが発生し易かった。また、印画シートがパネルに一体化されているため薄厚化への対応に適していないものであった。このため、見易さが要求されるパネルの窓部における視認性が悪くなる問題がある。
【0008】
以上の問題点は、加飾パネルに限られるものではなく、電子機器の外装部材として、社名のロゴタイプや機種名が表示されて筐体に貼り付けられるバッジ状の樹脂成形体や、電子機器の外枠となる樹脂製の筐体自体のような樹脂成形体についても当てはまる問題点であった。
【0009】
そこで、本発明は、パネルなどの樹脂成形体に対する加飾を、きれいに解像度を高く施すことができ、多種類のデザインを有する種々の加飾樹脂成形体を安価に製造することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、文字、記号、図柄などをカラー表示するカラーデザイン画像をカラープリンタによって基材シートに印刷して着色材層を形成する工程と、該着色材層に接着剤を塗布して樹脂成形体に該着色材層を転写する工程と、樹脂成形体に転写した着色材層を残して基材シートを剥離し、樹脂成形体に該着色材層による加飾層を形成する工程と、を実行する加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0011】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、文字、記号、図柄などをカラー表示するカラーデザイン画像をカラープリンタによって基材シートに印刷して着色材層を形成する工程と、該着色材層に接着剤を塗布して樹脂成形体に該着色材層を転写する工程と、樹脂成形体に転写した着色材層を残して基材シートを剥離し、樹脂成形体に該着色材層による加飾層を形成する工程と、を実行したため、加飾樹脂成形体表面の小さな部分に、多数の文字、数字、記号、図形や、複雑な構成、多色を有する模様などを鮮明に表示でき、かつ作業者によらず安定した生産が可能な、低コストで品質の高い加飾樹脂成形体が得られる。特に、基材シートを剥離するため、加飾層を薄層化した薄厚の加飾樹脂成形体を得ることができる。また、着色材層を転写するため、その後の工程において基材シートを切り抜いたり、打ち抜いたりすることなく、かつバリの発生も少ない高品質の加飾樹脂成形体となる。
【0012】
本発明については、電子機器の外装部材としての加飾樹脂成形体に適用することができる。社名のロゴタイプや機種名が表示されて筐体に貼り付けられるバッジ状の樹脂成形体や、電子機器の外枠となる樹脂製の筐体自体のような樹脂成形体に適用すれば、安価に個性的な加飾表示を行うことができる。
【0013】
また、外装部材が、電子機器に設けた液晶表示部を視認可能とする窓部となる加飾パネルに適用することができる。本発明によれば、加飾パネルの隅の部分にも精緻な加飾を施すことができ、デザインに優れた安価な加飾パネルを得ることができる。また、基材シートを剥離するため加飾層を薄く形成でき、また切断面のバリの発生を抑えることができるため、見易さが要求される加飾パネルの窓部における視認性が良くなる。
【0014】
また本発明は、樹脂成形体が透明性または半透明性樹脂でなり、該樹脂成形体の裏面に対して接着剤を塗布した着色材層の前記転写工程を実行する加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0015】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、樹脂成形体が透明性または半透明性樹脂でなり、該樹脂成形体の裏面に対して接着剤を塗布した着色材層の転写工程を実行したため、着色材層が転写されても、プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認することができ、解像度が高く高品位の文字、記号、模様等の画像を加飾層に形成することができる。印刷面側とは反対側から視認する場合は、基材シートや基材シート上に形成されている受容層等へのインクのにじみが発生し、このインクがにじんだ面を視認することとなる。そのため、印刷面とは反対側から視認する場合に比べて解像度が優れるのではないかと考えられる。また、透明性または半透明性樹脂であるため、液晶表示部を被う加飾パネルに適用する場合には液晶表示部を鮮明に視認することができる。
【0016】
また本発明は、基材シートが基材上に画像担持層を形成したものであり、カラープリンタによって該画像担持層にカラーデザイン画像を印刷して前記着色材層を形成する加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0017】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、基材シートが基材上に画像担持層を形成したものであり、カラープリンタによって該画像担持層にカラーデザイン画像を印刷して着色材層を形成したため、インクやトナー等の着色材の付着、吸収に優れ、解像度に優れた画像が再現できる。また、着色材が画像担持層で保護された、耐水性、耐候性に優れる加飾層が得られるとともに、転写時においても着色材層を正確に樹脂成形体側に転写することができるため、解像度、画質に優れた高品位の加飾樹脂成形体を得ることができる。特に、画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材であれば、転写性に優れ基材シートを除去した際にもバリなどを発生しにくく、かつインクの吸着性、加飾層としての保存性、画質の高品位性に優れる加飾樹脂成形体となる。また、画像担持層が基材の面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであれば、転写時における画像担持層の箔切れが良く転写性に優れるだけでなく、インクジェットプリンタを用いた場合には、インクの吸着力に優れ瞬時にインクが吸着されるため、液だれ等がなく高品位の画質を有する加飾樹脂成形体となる。
【0018】
また本発明は、樹脂成形体に着色材層を転写する前にまたは樹脂成形体に着色材層を転写した後に、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を該樹脂成形体にまたは着色材層に形成する工程を実行する加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0019】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を該樹脂成形体にまたは着色材層に形成する工程を実行したため、例えば金色や銀色などのメタリック色、白色やパール色などといった一般的にCMYK系インクを用いるカラープリンタでは再現が困難な色彩をもつ画像を容易に形成することができ、画質、デザインに優れた色再現性の良い加飾樹脂成形体を得ることができる。
【0020】
また本発明は、着色材層に塗布する接着剤が透明性または半透明性のホットメルト接着剤であり、熱転写によって着色材層の前記転写工程を実行する加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0021】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、透明性または半透明性のホットメルト接着剤を用いて熱転写によって着色材層の転写工程を実行したため、接着剤の硬化時間が短縮され転写が瞬時に終了し作業性が良く、また、硬化設備の除去等を達成でき生産性が高い。加えて、要求する部位を正確に樹脂成形体に転写でき、高品質でバリ等の発生も少ない歩留まりに優れた方法である。さらにこの方法により得られる加飾樹脂成形体は、ホットメルト接着剤を用いているため、耐湿性、保存性に優れている。また、透明性又は半透明性の接着剤であるため、光を十分に透過することができ、液晶表示部が視認しやすい加飾樹脂成形体とすることができる。
【0022】
また本発明は、カラープリンタの印刷方式がインクジェット方式である加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0023】
この加飾樹脂成形体の製造方法によれば、プリンタにインクジェットプリンタを用いたため、フルカラー化や高速印刷が容易で、カラーデザインデータを瞬時に画像化できる。また、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を有する加飾樹脂成形体を得ることができる。さらに、インクジェットプリンタ用インクが、多孔質材に浸透したまま転写されるため、耐候性、発色性に優れた表示層を有する加飾樹脂成形体を得ることができる。
【0024】
さらに本発明は、文字、記号、図柄などをカラー表示する加飾部を有する加飾樹脂成形体について、樹脂成形体に一面側を接合した接着層と、加飾部をなすカラーデザイン画像をカラープリンタで印刷して得られる、該接着層の他面側に接合された加飾層と、を備えることを特徴とする加飾樹脂成形体を提供する。
【0025】
この加飾樹脂成形体によれば、樹脂成形体に一面側を接合した接着層と、加飾部をなすカラーデザイン画像をカラープリンタで印刷して得られる、該接着層の他面側に接合された加飾層を有するため、加飾樹脂成形体表面の小さな部分に、多数の文字、数字、図形、記号や、複雑な構成、多色を有する模様などを鮮明に、高解像度で表示した加飾樹脂成形体である。
【0026】
本発明は、電子機器の外装部材とすることができ、また、電子機器に設けた液晶表示部を視認可能とする窓部となる加飾パネルとして形成することができる。これらの加飾樹脂成形体は安価であり、加飾部が精緻でデザイン的に優れたものとなる。また、加飾部が薄く形成されるため、光の透過率を下げることない。そのため、加飾樹脂成形体の表面全体に加飾層が形成されるような場合であっても液晶表示部の視認性を悪化させることはない。
【0027】
そして、加飾層のカラープリンタで印刷した面側が前記接着層に接合されていれば、プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認することができ、解像度が高く高品位の文字、記号、模様等の画像を加飾層に有することができる。また、加飾部が電子機器の内側に形成されることになるため、加飾部が傷つくことがない加飾樹脂成形体である。
【0028】
また、加飾層が多孔質の画像担持層にカラープリンタによって出力されたインクを含浸させて形成されたものであれば、インクの着色材への吸収に優れ、より真円に近いドットを形成することができ、解像度に優れた画像が再現できる。また、着色材が画像担持層で保護された、耐水性、耐候性に優れる加飾層が得られるとともに、転写時においても着色材層を正確に樹脂成形体側に転写することができるため、解像度、画質に優れた高品位の加飾樹脂成形体である。
【0029】
特に、画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材からなる層であれば、インクの吸着性、加飾層としての保存性、画質の高品位性、耐湿性に優れる加飾樹脂成形体である。また、画像担持層が基材の面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであれば、インクの吸着力に優れ瞬時にインクが吸着されるため、液だれ等がなく高品位の画質を有する加飾樹脂成形体である。
【0030】
さらに、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を設けた加飾樹脂成形体であれば、例えば金色や銀色などのメタリック色、白色やパール色などといった一般的にCMYK系インクを用いるカラープリンタでは再現が困難な色彩をもつ画像を鮮明に表すことができ、画質、デザインに優れた色再現性の良い加飾樹脂成形体となる。
【0031】
そして、接着層がホットメルト接着剤からなれば、加飾樹脂成形体作製時に、接着剤の硬化時間が短縮され転写が瞬時に終了し作業性が良く、硬化設備の除去等を達成できる。加えて、要求する部位を正確に樹脂成形体に転写でき、高品質でバリ等の発生も少なく歩留まりに優れている。これらの理由から、生産性が高くなるためより安価な加飾樹脂成形体となる。また、耐湿性、保存性に優れている加飾樹脂成形体が得られる。
【0032】
また、インクジェットプリンタによって印刷された加飾層を有すれば、加飾樹脂成形体作製時に、フルカラー化や高速印刷が容易で、カラーデザインデータを瞬時に画像化できる。さらに、インクジェットプリンタ用インクが、多孔質材に浸透したまま転写されるため、耐候性、発色性に優れるだけでなく、写真に近い解像度に優れた画質を有する加飾樹脂成形体である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の加飾樹脂成形体の実施形態として、「加飾パネル」について図面を参照して説明する。まず、本発明の加飾パネルの層構成及び製造方法について説明し、次に、各層を形成する材質に言及する。なお、添付の図において、構成材の厚さや長さは、説明の便宜や見易さのため実際の縮尺とは異なる。
【0034】
(1)加飾パネルの層構成及び製造方法;
【0035】
本発明の加飾パネルは、通常、硬質樹脂からなるパネル成形体の表面や裏面に、加飾層、着色補助層、及びこれらを結合する接着層などの機能層が積層されて形成されているが、これらの各層の配置の相違によりいくつかの形態に分けることが可能である。
【0036】
第1実施形態: 図1には、本発明の第1実施形態による加飾パネル11の断面図を示す。透明性又は半透明性樹脂からなるパネル成形体12の裏面12aに、文字、記号等を表し、カラーデザインデータを一括出力してなる着色材層が転写された加飾層13と、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層14が、接着層15を介して積層されている。
【0037】
第1実施形態による加飾パネル11の製造は次のように行う。まず、プリンタ等のカラーデザインデータを一括出力する出力装置(図示せず)にて、基材シート19上に、カラーデザイン画像を印刷して着色材層18を形成する(図2(a))。次に、この着色材層18の表面、又はパネル成形体12の裏面12aに接着剤15を塗布する(図2(b))。その後、パネル成形体12に基材シート19を圧着させて(図2(c))、着色材層18を基材シート19からパネル成形体12に転写する。それから基材シート19を引き剥がす(図2(d))。転写されてパネル成形体12に形成された加飾層13に、さらに着色補助層14を塗布して(図2(e))、加飾パネル11を得る。
【0038】
第2実施形態: 図3には、本発明の第2実施形態による加飾パネル21の断面図を示す。樹脂からなるパネル成形体22の表面22aに、着色補助層24が塗布され、その上に接着層25を介して加飾層23が積層されている。
【0039】
第2実施形態による加飾パネル21の製造は次のように行う。着色材層28を形成する過程は第1実施形態と同様である(図4(a))。本実施形態では、パネル成形体22の表(おもて)面22aに、まず、着色補助層24を塗布形成する(図4(b))。次に、この着色補助層24、又は着色材層28の上に接着剤25を塗布する(図4(c))。その後、パネル成形体22に基材シート29を圧着させて(図4(d))、着色材層28を基材シート29からパネル成形体22に転写する。そして、基材シート29を引き剥がす(図4(e))。これにより、パネル成形体22の表面側に加飾層23が設けられた加飾パネルを得る。
【0040】
第3実施形態: 図5には、本発明の第3実施形態による加飾パネル31の断面図を示す。樹脂からなるパネル成形体32の表面32aに、加飾層33が接着層35を介して積層され、またパネル成形体32の裏面32bに着色補助層34が設けられている。
【0041】
第3実施形態による加飾パネルの製造は次のように行う。着色材層38を形成する過程は第1、第2実施形態と同様である(図6(a))。次に、本実施形態では、パネル成形体32の裏面32bに着色補助層34を塗布して形成する(図6(b))。パネル成形体32の表面32a又は着色材38の上に接着剤35を塗布する(図6(c))。その後、パネル成形体32に基材シート39を圧着させて(図6(d))、着色材層38を基材シート39からパネル成形体32に転写する。そして、基材シート39を引き剥がす(図6(e))。これにより、パネル成形体32の表面32a側に加飾層33を設けた加飾パネル31を得る。
【0042】
第4実施形態: 図7には、本発明の第4実施形態による加飾パネル41の断面図を示す。樹脂からなるパネル成形体42の表面42aに、加飾層43、着色補助層44が接着層45を介して積層されている。
【0043】
第4実施形態による加飾パネルの製造は次のように行う。着色材層48を形成する過程は第1〜第3実施形態と同様である(図8(a))。本実施形態では、次に着色材層48の上に着色補助層44を塗布して積層する(図8(b))。そして、パネル成形体42の表面42a、又は着色補助層44の上に接着剤45を塗布する(図8(c))。その後、パネル成形体42に基材シート49を圧着させて(図8(d))、着色材層48を基材シート49からパネル成形体42に転写する。そして、基材シート49を引き剥がす(図8(e))。これにより、加飾パネル41を得る。
【0044】
以上の実施形態を説明する図においては、各層をパネル成形体12、22、32、42の表面や裏面の全体に設ける構成にしているが、パネル成形体12、22、32、42の表面や裏面の一部に設けることも可能である。
【0045】
他の実施形態: 表面処理が施されていない基材シート19、29、39、49だけでなく、基材シート19、29、39、49と着色材層18、28、38、48との分離を良くするための剥離層や、着色材層がきれいに印刷されるための受容層が、基材シート19、29、39、49上に形成されていてもよい。また、着色補助層14、24、34、44は、特に必要でなければ設ける必要はない。但し、第2〜第4実施形態において着色補助層24、34、44を設けなければ、いずれも同じ構成となる。
【0046】
必要に応じて、加飾層13、23、33、43を保護するための保護層を設けたり、紫外線吸収剤を含めた耐候性樹脂層を設けるなど、新たな層を上記加飾パネルの構成の一部に設けるなどの適宜の変更がなされていても良い。また、例えば第1実施形態による加飾パネル11において、接着層15とパネル成形体12との間に加飾層13とは別の任意の図柄や模様、色彩等を表す層を挿入してもよい。この層をパネル成形体12の裏面12aに形成した場合に、パネル成形体裏面12aに段差を生じることもあるが、ホットメルト接着剤を用いて転写を行えばこの段差が緩和されるため転写性は変わらない。
【0047】
基材シート19、29、39、49からパネル成形体12、22、32、42に着色材層を転写する方法としては、圧着転写の他、熱転写が行われる。熱転写する場合の条件は、接着層15、25、35、45、パネル成形体12、22、32、42等の材質、層厚、気温等の種々の条件にもよるが、接着剤にはホットメルト接着剤を用い、150〜240℃、2秒間、0.3Mpaで基材シート19、29、39、49とパネル成形体を押圧して転写させる。
【0048】
図9に本発明の一実施形態による加飾パネル11と従来品の加飾パネルのそれぞれに加飾層を形成する製造工程をフローチャートを用いて比較する。パネル裏面に3色の色材からなる加飾層13を設け、さらにパネル成形体12裏面に白色の着色補助層14を設ける場合を想定すると、従来品(図9(a))は各色ごとに印刷工程があり、さらにそれぞれ乾燥工程が必要であった。それに対して本発明の加飾パネル11(図9(b))では、文字、模様等を表す着色材層18の作成工程が一工程で良く、ホットメルト接着剤15を介してパネルに熱転写することで加飾層13が設けられるために大幅な工程減となる。さらに多色のデザインになればなるほど製造工程の削減効果が顕著となることは明らかである。
【0049】
(2)各層の材質
【0050】
次に、本発明の加飾パネル11、21、31、41を構成する各部分及びこの加飾パネル11、21、31、41を製造するために用いる材料について以下に説明するが、加飾パネル11、21、31、41以外の加飾樹脂成形体についても適用できるものである。
【0051】
基材シート19、29、39、49; 加飾パネル11、21、31、41の表面又は裏面に設けられる文字や記号、模様等を表示する加飾層13、23、33、43は、プリンタ等のカラーデザインデータを一括出力する出力装置から基材シート19、29、39、49に印刷される着色材層18、28、38、48が転写されて形成される。即ち、基材シート19、29、39、49は、カラーデザイン画像が形成される基板となるシートであるが、着色材層18、28、38、48を転写した後、引き剥がされるため、加飾パネル11、21、31、41の構成要素にはならない。この基材シート19、29、39、49には、樹脂フィルムや紙が用いられる。樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどを用いることができる。また、紙としては、例えばアート紙、コート紙等を用いることができる。基材シート19、29、39、49の種類は、加飾層13、23、33、43を形成する出力装置や、インクやトナー等の着色材の特性に応じて上記の樹脂フィルムや紙の中から選択されて使用される。基材シート19、29、39、49の膜厚は、カラーデザイン画像を印刷する出力装置で印刷可能な範囲にあればよい。
【0052】
基材シート19、29、39、49の表面には、出力装置や、インクやトナー等の着色材に応じて、それらの着色材が付着し、担持されやすいような受容層を形成したり、転写によるバリの発生を抑え、着色材層18、28、38、48が容易に転写するような剥離層を形成したり、基材シート19、29、39、49自体の表面処理を施したりすることが望ましい。特にインクジェットプリンタを用いて加飾層13、23、33、43を形成する場合は、インクの吸収性を高め、印刷される各ドットが真円に近づくような受容層(又は剥離層)を設けることが好ましい。
【0053】
このような受容層(又は剥離層)としては、バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材からなる画像担持層を挙げることができる。この画像担持層は、プリンタから印刷されると、孔内にインクが染み込み、インクの吸収性に優れ、また、基材シート水平方向へのインク流れが抑えられ、真円に近いドットが得られることから、高解像度である加飾層13、23、33、43を得ることができる。
【0054】
画像担持層を形成する無機微粒子としては、無機酸化物またはその水和物等の無機顔料を用いることができ、具体例としてはシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、シリカアルミナ複合体等が挙げられる。アルミナ水和物の凝集体であるベーマイトや、シリカアルミナ複合ゾルを用いて形成した画像担持層は、細孔容積と平均細孔径が大きく、インク吸収性に優れ、かつ透明性、耐水性、光沢性に優れる点で好ましい。無機微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmであり、好ましくは、200〜800nmである。画像担持層の透明性を高めるためには、光散乱がほとんど無い領域にまで微粒子径を小さくすることが求められるが、上記の好ましい粒子径とした場合は、画像担持層が乳白色となり、照光式のパネルとして用いた場合においても十分な光透過率が達成できる。無機微粒子の形状は、非球状微粒子を配向させて直線的な細孔を形成した構造、即ち、画像担持層が基材シートの面直方向に開口する多数の縦細孔を形成したものであると、インク吸収性はより高められ、ドットの形状はより真円に近くなりさらに好ましい。
【0055】
また、無機微粒子を結合するバインダーとしては、でんぷんおよびその変性物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、セルロース誘導体、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリル・ブタジエンゴムラテックス、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、これらの中でも、ポリビニルアルコール及びその変性物が、インクの親和性に優れるとともに、ガラス転移点が比較的低く転写性がよい点で好ましい。
【0056】
無機微粒がバインダーにより結合し画像担持層を形成する。その細孔構造については、平均細孔径が3〜25nmであり、細孔容積が0.3〜2.0cm3/gであることが好ましい。平均細孔径が3nm未満や、細孔容積が0.3cm3/gより小さい場合は、インクが浸透し難くなり、また、平均細孔径が25nmを超え、細孔容積が2.0cm3/gを超える場合は、真円に近いドットの形成が困難になり好ましくない。
【0057】
画像担持層は、それが基材の面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであると、画質の向上だけでなく、熱転写時にも好影響を及ぼす。即ち、着色材層18、28、38、48のうち、所望の箇所をパネル側に熱転写する際に、これらの画像担持層を有しない場合は、転写する部位としない部位の境界面がシャープにならず、いわゆる箔切れが悪い状態となる。これに対して、この画像担持層を設けた場合は、転写する面と転写しない面との境界面がシャープに分かれ、さらに、着色材層18、28、38、48が基材シート19、29、39、49からきれいに分離して色残りを起こさない。
【0058】
画像担持層の層厚は、プリンタによって印刷されたインク等の着色材が浸透する程度に十分な層厚が好ましく、2〜50μmであり、好ましくは、7〜45μmである。7μmより薄いとインクの浸透が十分でなく、45μmより厚いと熱転写がきれいに行われない場合がある。
【0059】
加飾層13、23、33、43; 加飾層13、23、33、43は、プリンタでカラーデザイン画像を基材シート19、29、39、49に印刷して、文字、記号等やデザイン模様等を形成した着色材層18、28、38、48が、パネル成形体12、22、32、42に転写されて得られる層である。この加飾層13、23、33、43の元となる着色材層18、28、38、48は、カラーデザイン画像を一括出力する出力装置で形成される。出力装置として代表的なものとして、プリンタがあり、このプリンタには、熱転写昇華方式、インクジェット方式、レーザー露光熱現像転写方式などの各種印刷方式によるプリンタがあるが、インクジェットプリンタであることが好ましい。インクジェットプリンタによれば、フルカラー化や高速印刷が容易で、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を得ることができるからである。また、前記画像担持層を設けることで、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に劣るインクジェットプリンタ用インクを用いても、そのインクが、多孔質材に浸透したまま多孔質材ごと転写されるため、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に優れた加飾層13、23、33、43が形成できる。
【0060】
受容層(又は剥離層)などが設けられていない基材シート19、29、39、49に直接画像が印刷されるときは、プリンタのインクやトナー等の着色材からなる着色材層18、28、38、48が転写されて加飾層13、23、33、43となるが、基材シート19、29、39、49上に設けられた画像担持層が着色材を吸収し、多孔質材と着色材が共に転写される場合は、多孔質材をも含めて転写された着色材層18、28、38、48が加飾層13、23、33、43となる。前記画像担持層以外の受容層や剥離層を設けた場合には、剥離層は基材シート19、29、39、49側に残って転写されなくとも解像度、転写性に優れるが、受容層は基材シート19、29、39、49側に残らない方が解像度、転写性の点で好ましい。
【0061】
カラーデザイン画像を表出するインクやトナー等の着色材は、各種出力装置に対応するが、顔料や染料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたインキやトナーが通常用いられる。カラーを表示するために、これらの着色材は、CMY系(シアン、マゼンダ、イエロー)、CMYK系(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)またはRGB系(レッド、グリーン、ブルー)が採用される。これらの着色材は、カラープリンタによる一括出力によってフルカラーを表現し、パネルの小面積部分に、細かく多くの文字や数字、又は、複雑な図形や記号、色模様などを鮮明に表示でき、描画のきめ細かさや画質の滑らかさを表す解像度の高い加飾部が形成される。
【0062】
転写して得られる加飾層13、23、33、43の層厚は、カラーデザイン画像を表示するのに十分な着色材層18、28、38、48を形成し、かつ転写に支障のない厚さとすることが好ましく、1〜50μmである。
【0063】
カラーデザイン画像をカラープリンタによって印刷して得た着色材層18、28、38、48が転写されて得た加飾層13、23、33、43は、例えば、図10に示すような、黄色と水色のグラデーションの中に、黄橙色文字、黒色文字等を備えた加飾部を形成するデザインが、一印刷工程で形成でき、細かなデザインを有する加飾パネル11、21、31、41を安価に作成することができる。
【0064】
接着層15、25、35、45; 加飾層13、23、33、43をパネル成形体12、22、32、42に結合する接着層15、25、35、45には、着色材層18、28、38、48を圧転写させる場合は粘着材、接着剤が用いられるが、熱転写させる場合は、ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。ホットメルト接着剤には、例えばアクリル系、塩ビ系、ポリエステル系、ウレタン系などのホットメルト接着剤を挙げることができる。これらのホットメルト接着剤の中でもガラス転移温度が50〜100℃となる接着剤が、転写性に優れる点で好ましい。
【0065】
接着層15、25、35、45となる粘着剤、接着剤は、パネル成形体12、22、32、42上又は、基材シート19、29、39、49に形成された着色材層18、28、38、48上に、部分的、または全体に均一に印刷、塗工によって塗布する。また、照光式パネルとすると光を透過させる必要があることから、透明または半透明であることが好ましいが、着色されていてもよく、これによってさらに意匠表現の幅が広がる。また、紫外線吸収剤、安定剤などの添加剤を加えることによって、大幅な耐候性の改善を図ることができる。これらの接着剤等は、被着体となるパネル成形体12、22、32、42に対して接着性が良いことが好ましい。接着層15、25、35、45の層厚は、着色材層18、28、38、48をパネル成形体12、22、32、42に転写できる厚みがあればよく、1〜30μmである。
【0066】
着色補助層14、24、34、44; カラープリンタで表現するには困難である金色や銀色などのメタリック色や白色、パール色などは、別途、これらの色彩を補完する着色補助層14、24、34、44を形成することによって解決する。即ち、白色や銀色等からなる着色補助層14、24、34、44を着色材層18、28、38、48に積層して設ける。着色補助層14、24、34、44にはアクリル系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、エポキシ系より選ばれる少なくとも1種のインキを用いることが好ましい。着色補助層14、24、34、44は、照光式のパネルとする場合は透光性であることが好ましい。着色補助層14、24、34、44の層厚は、1〜30μmであることが好ましい。1μm未満であると、白色又は銀色等の色彩を補完する効果が不十分である。一方、30μmを超えても着色補完効果がそれ以上向上しないだけでなく、透光性が悪くなるからである。但し、第4実施形態で示したような着色補助層14、24、34、44を基材シート19、29、39、49側に設けて、着色補助層14、24、34、44もパネル成形体12、22、32、42に転写させる場合は、転写性の観点から層厚は薄い方が好ましい。
【0067】
パネル成形体12、22、32、42; パネル成形体12、22、32、42は、加飾層13、23、33、43や接着層15、25、35、45などの各種機能層が加飾パネル11、21、31、41に形成される前の基体の部分をいう。パネル成形体12、22、32、42の原料樹脂には、加飾パネル11、21、31、41を通して液晶画面を視認する必要があるため、透明性又は半透明性の樹脂が用いられる。但し、加飾パネル11、21、31、41以外の加飾樹脂成形体、例えば、会社のロゴを表示するバッジ状の樹脂部材を作製する場合は、透明であることが要求されない場合もある。
【0068】
パネル成形体12、22、32、42として用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の他、各種の熱可塑性、熱硬化性、湿気硬化性、光硬化性等の樹脂を用いることができる。このパネル成形体12、22、32、42は、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、回転成形などによって加熱溶融させた樹脂あるいは液状の未硬化樹脂を所望の形状の金型に充填させて固化させて製造する。
【0069】
加飾パネルについて説明したが、本発明は加飾パネルに限定されるものではなく、電子機器の外装部材として、社名のロゴタイプや機種名が表示されて筐体に貼り付けられるバッジ状の加飾樹脂成形体や、電子機器の外枠となる樹脂製の筐体自体のような加飾樹脂成形体についても適用できるものである。
【0070】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
【0071】
実施例1:(図1、図2)
【0072】
所定の基材シート19に、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータを所定のプリンタを用いて印刷し、基材シート19上に着色材層18を形成した。この基材シート19には所定の受容層(図示せず)を設けた試料も用意した。射出成形機によって成形したポリカーボネート樹脂からなるパネル成形体12の裏面12a、又は着色材層18上に層厚5μmとなるように、透光性の所定のホットメルト接着剤15をスクリーン印刷によって均一に塗布し乾燥固化させた。その後、パネル成形体裏面12aへ着色材層18が転写されるようにパネル成形体12と基材シート19の位置合わせをし、圧力0.3MPaにてパネル成形体12と基材シート19を押圧して、2秒間、所定の温度を印加して熱転写した後、基材シート19を剥がし、パネル成形体12の裏面12aに加飾層13を形成した。試料によっては、その加飾層13の上に所定の着色補助層14を厚さ5μmとなるように塗布した。こうして試料1〜11の加飾パネル11を得た。ここで用いた材料及び製造条件を表1及び表2に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004331475
【0074】
【表2】
Figure 0004331475
【0075】
表1、表2において、基材シートとしてのPETフィルムは、ルミラー(東レ株式会社製)を、ポリカーボネートフィルムは、マクロホール(バイエル株式会社製)を、アクリルフィルムは、アクリプレンHBS001(三菱レイヨン株式会社製)を用いた。受容層としては、ポリビニルアルコールで結合したベーマイトを結合相とする多孔質材からなる画像担持層、シリカアルミナ複合ゾルから溶媒を除去したキセロゲルを、ポリビニルアルコールで結合した多孔質材からなる画像担持層、又は、ポリビニルアルコール樹脂/ポリエステル樹脂(NS−244LX(高松油脂株式会社製))からなる受容層が、厚み25μmにて基材シート19上に形成されているものを用いた。また、表1、表2中に示した材料等を具体的に示すと以下のようになる。「アクリル系」ホットメルト接着剤は、SNAPインク(十条ケミカル株式会社製)を、「ウレタン系」ホットメルト接着剤は、SG740インク(株式会社セイコーアドバンス社製)をそれぞれ用いた。また、「アクリル系」着色補助層は、STRインク(株式会社セイコーアドバンス社製)を、「ウレタン系」着色補助層は、SG410インク(株式会社セイコーアドバンス社製)をそれぞれ用いた。また、「インクジェット」プリンタは、試料9において、SOLJET SJ−500(ローランド.ディー.ジー.株式会社製)を用いた以外は、PM890(セイコーエプソン株式会社製)を用い、「熱転写」プリンタは、MD5000(アルプス電気株式会社製)を、「レーザー露光熱現像転写」プリンタは、Docuprint C620(富士ゼロックス株式会社製)をそれぞれ用いた。プリンタ用インクはそれぞれのプリンタに用いられる純正品を使用した。なお、着色補助層14を設けていない試料1、2、4、8は、表1、表2においては比較の便宜のため、層構成を図1としているが、正確には図1の構成から着色補助層14を省いた構成となる。
【0076】
実施例2:(図3、図4)
【0077】
所定の基材シート29に、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータを所定の方式のカラープリンタを用いて印刷し、所定の受容層(図示せず)を設けた基材シート29上に着色材層28を形成した。射出成形機によって成形したポリカーボネート樹脂からなるパネル成形体22の表面22aに、試料によっては、所定の着色補助層24を厚さ5μmとなるように塗布した。そして、透光性の所定のホットメルト接着剤25を着色材層28かパネル成形体22の表面22a上にスクリーン印刷によって均一に塗布し乾燥固化させた。パネル成形体22側に着色材層28が転写されるようにパネル成形体22と基材シート29との位置合わせをし、圧力0.3MPaにてパネル成形体22と基材シート29を押圧して、2秒間、所定の温度を印加して熱転写した後、基材シート29を剥がし、試料12及び試料13の加飾パネル21を得た。ここで用いた材料及び製造条件を表3に示す。なお、着色補助層24を設けていない試料13は、表3においては比較の便宜のため、層構成を図3としているが、正確には図3の構成から着色補助層24を省いた構成となる。
【0078】
【表3】
Figure 0004331475
【0079】
表3において表1や表2と同様の記載は、表1において説明した材料が表3についても適用される。
【0080】
実施例3:(図5、6)
【0081】
実施例2の試料12において、着色補助層24をパネル成形体22の表面22aに設けた代わりに、パネル成形体32の裏面32aに設けた以外は試料12と同様にして試料14を得た。
【0082】
実施例4:(図7、8)
【0083】
実施例2の試料12において、着色補助層24をパネル成形体22の表面22aに設けた代わりに、着色材層48の表面に塗布して設け、その着色補助層44の上にホットメルト接着剤45を塗布して設けた以外は、試料12と同様にして試料15を得た。
【0084】
上述の実施例1〜4における試料1〜15について印刷性(解像度)、転写性、保存安定性、画質(色再現性)についての評価を行った。印刷性としては、転写後の表示画像について解像度がたいへん優れているものを◎、解像度が優れているものを○、従来のスクリーン印刷等によるものと同程度のものを×とした。転写性としては、転写する部分としない部分の境界面がシャープに剥離し、基材シート上にも転写残りが生じないものを◎、転写する部分としない部分の境界面はシャープに剥離するが、基材シート上に転写残りが生じるものを○、転写する部分としない部分の境界面にバリが生じるものを×とした。また、保存安定性は、耐湿試験(45℃、95%RH、120時間)によって行い、初期画像から画質が変化しないものを◎、初期画像から画質が多少なりとも変化するものを○、初期画像から明らかに退行するものを×とした。画質(色再現性)としては、写真に近いフルカラーが表現できたものを◎、色相によってはやや色あせているものを○、劣っているものを×とした。結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
Figure 0004331475
【0086】
プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認することができる構成となる実施例1の試料1〜6は、カラーデザイン画像を裏(印刷面とは反対側)から視認する構成となる試料12〜15に比べて印刷性において優れていた。また、バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材からなる画像担持層を基材シート上に設けて、この画像担持層ごと転写されて加飾層となる試料1〜6、12〜15においては転写性、保存安定性に特に優れていた。さらに、着色補助層を設けた試料3、5〜7、12、14、15は画質(色再現性)に特に優れていた。但し、試料9〜11の画質の評価が「○」であるのは、受容層を設けていないためであると思われる。
【0087】
【発明の効果】
本発明による加飾樹脂成形体の製造方法では、樹脂成形体中の小さな部分にも多数の文字や記号等を表示でき、細かく、複雑な絵柄、色模様などを表す加飾層を形成するので、加飾層として表出させる文字や模様等の解像度に優れるとともにデザイン性に優れる加飾樹脂成形体を製造できる
また、インクジェットプリンタを用いて加飾層を形成する本発明は、単色、多色に関係無く従来の印刷工程のような製造工程が不要であり、印刷技術に起因する熟練や位置ずれ、異物混入などの問題が生じることがなく、生産数量の多少に関わらず安価に生産が可能である
さらに、着色材が画像担持層に浸透した加飾層を形成する本発明は、高画質で、耐水性の高い加飾層を有する加飾樹脂成形体が得られる
また、加飾層を、透明または半透明のホットメルト接着剤を介して、樹脂成形体に熱転写することで形成する本発明は、印刷シートを所望の形状に切断するような後工程が必要なく、簡単にかつ歩留まりの良い生産が可能である
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による加飾パネルの断面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態による加飾パネルの製造工程毎の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による加飾パネルの断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による加飾パネルの製造工程毎の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による加飾パネルの断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による加飾パネルの製造工程毎の断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による加飾パネルの断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による加飾パネルの製造工程毎の断面図である。
【図9】本発明の加飾パネルと従来の成形体の製造工程を比較するフローチャートである。
【図10】本発明の加飾パネルの一実施形態による平面図である。
【図11】携帯電話機を表す平面図である。
【符号の説明】
11、21、31、41 加飾パネル(加飾樹脂成形体)
12、22、32、42 パネル成形体(樹脂成形体)
13、23、33、43 加飾層
14、24、34、44 着色補助層
15、25、35、45 接着層(接着剤)
18、28、38、48 着色材層
19、29、39、49 基材シート
12a、32b 樹脂成形体裏面
22a、32a、43a 樹脂成形体表面

Claims (10)

  1. 文字、記号、図柄等のカラーデザイン画像を表示する着色材層を樹脂成形体に転写することで、樹脂成形体に加飾層を形成する加飾樹脂成形体の製造方法であって、
    シート状の基材にバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相としてその面直方向に開孔する多数の縦細孔を有する画像担持層が形成されており且つ画像担持層の表面が樹脂成形体の被転写面よりも大きい基材シートを用い、カラーデザイン画像をカラープリンタによって基材シートの画像担持層に印刷して着色材層を形成する工程と、
    接着層を介して基材シートの画像担持層における該着色材層の部分を成形された樹脂成形体に転写して接着する工程と、
    樹脂成形体に転写して接着した着色材層の部分を画像担持層から箔切りしつつ樹脂成形体から基材シートを剥離し、樹脂成形体に該着色材層による加飾層を形成する工程と、を実行する加飾樹脂成形体の製造方法。
  2. 樹脂成形体が透明性または半透明性樹脂でなり、該樹脂成形体の裏面に対して接着剤を塗布した着色材層の前記転写工程を実行する請求項1記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  3. 画像担持層を構成する多孔質材がベーマイトをポリビニルアルコールで結合した多孔質材またはシリカアルミナ複合ゾルから溶媒を除去したキセロゲルをポリビニルアルコールで結合した多孔質材である請求項1または請求項2記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  4. 画像担持層を構成する無機微粒子の平均粒子径を200nm〜800nmとして照光可能な加飾樹脂成形体を製造する請求項1〜請求項3何れか1項記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  5. 樹脂成形体に着色材層を転写する前にまたは樹脂成形体に着色材層を転写した後に、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を該樹脂成形体にまたは着色材層に形成する工程を実行する請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  6. 着色補助層が白色である請求項5記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  7. 着色補助層を1μm〜30μmの層厚に形成し、照光可能な加飾樹脂成形体を製造する請求項5または請求項6記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  8. カラープリンタの印刷方式がインクジェット方式である請求項1〜請求項7何れか1項記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  9. 着色材層に塗布する接着剤が透明性または半透明性のホットメルト接着剤であり、熱転写によって着色材層の前記転写工程を実行する請求項1〜請求項8何れか1項記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
  10. 樹脂成形体が、電子機器に設けた液晶表示部を視認可能とする窓部となる加飾パネルまたは、社名のロゴタイプ、機種名が表示されるバッジ、電子機器の筐体の少なくとも何れか一つを含む電子機器の外装部材である請求項1〜請求項9何れか1項記載の加飾樹脂成形体の製造方法。
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