JP4331491B2 - フィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー表示される文字や図形、模様等のカラーデザイン画像を有し、種々の製品の一部に組み込まれて表示機能、装飾機能を発揮するフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法とそのフィルム一体型加飾樹脂成形体に関し、特に、カバーフィルムと樹脂成形体が一体化した構造を有し、携帯電話機、携帯情報端末機、AV機器などの各種電子機器に使用される液晶表示窓に用いられる液晶パネル用カバーや押釦スイッチ用キートップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機や携帯情報端末機等に使用される液晶パネル用カバーや押釦スイッチ用キートップなどとして用いられる樹脂成形体には、熱可塑性の樹脂フィルムからなるカバーフィルムと樹脂成形体とが一体化して形成されたフィルム一体型樹脂成形体が知られている。このようなフィルム一体型樹脂成形体には、表示機能、装飾機能を発揮するため、文字や図形、模様などを表わすカラーデザイン画像がその表面に表示されている。
【0003】
このカラーデザイン画像を有する加飾された樹脂成形体を製造するためには、まず、予めスクリーン印刷、パッド印刷等によってカバーフィルムにカラーデザイン画像を形成しておく。そして、樹脂成形体の形状に沿うように変形した後、樹脂成形体を貼り付けて一体化する方法を採用していた。また別の方法は、樹脂成形体を成形する金型内に、カラーデザイン画像が形成されたカバーフィルムを置き、金型への溶融樹脂の注入と同時にカバーフィルムを変形させて樹脂成形体と一体化していた。
【0004】
このような従来技術の一例として、押釦スイッチ用キートップに対して表示部を形成した例が、特開平10−172379号公報(特許文献1)、特開平10−289632号公報(特許文献2)、特開平11−176274号公報(特許文献3)、特開平11−213809号公報(特許文献4)、特開2000−182462号公報(特許文献5)、特開2000−182466号公報(特許文献6)、特開2000−231852号公報(特許文献7)、特開2001−351457号公報(特許文献8)、特開2002−216573号公報(特許文献9)に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−172379号公報
【特許文献2】
特開平10−289632号公報
【特許文献3】
特開平11−176274号公報
【特許文献4】
特開平11−213809号公報
【特許文献5】
特開2000−182462号公報
【特許文献6】
特開2000−182466号公報
【特許文献7】
特開2000−231852号公報
【特許文献8】
特開2001−351457号公報
【特許文献9】
特開2002−216573号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の電子機器の小型化・多機能化に伴い、加飾樹脂成形体も小型化が望まれることから、限られたスペース内に、より細かく鮮明な文字や模様などのデザインを表示する必要が生じてきた。しかし、従来のスクリーン印刷、パッド印刷等によりカラーデザイン画像を形成する方法では、1色毎に印刷版を必要とし、デザインの多様化、製品の短サイクル化に伴う迅速な対応が困難で、生産ステップの簡易化、低コスト化、そして高解像度化という要望に応えられなかった。また、溶融樹脂と一体化する際に、カバーフィルムが押圧され伸張されるため、カラーデザイン画像が歪んだり、切断されたりすることがあった。
【0007】
そこで、従来のスクリーン印刷やパッド印刷に代わる手法として、カバーフィルムにカラープリンタでカラーデザイン画像を印刷する方法を試みた。ところが、表面処理を施していない樹脂シートに対しては、解像度に優れた画像を得ることができず、画像の経時安定性も悪かった。一方、インク受容層が形成されている樹脂シートに対しては、鮮明で解像度に優れた画像を得ることができるものの、樹脂シート自体が白味や黄味を帯びており透明性が悪かった。さらに、樹脂成形体と一体化する際にカラーデザイン画像が歪んだり切断したりする欠点を解消することができなかった。
【0008】
本発明は、これらの欠点を解消し、鮮明で透明性に優れたフィルム一体型加飾樹脂成形体を得ることを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カラーデザイン画像による加飾を有し、樹脂フィルムでなるカバーフィルムに樹脂成形体を一体化してなるフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法について、
カバーフィルムに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、該着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成し、加飾層に樹脂成形体を固着してカバーフィルムに樹脂成形体を一体化することを特徴とするフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。
【0010】
このフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法によれば、カバーフィルムに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、該着色材層に透明性樹脂液を滲入させることで透明性樹脂層を担持させて成る加飾層を形成する工程を実行するため、フィルム一体型加飾樹脂成形体表面の小面積の部分に、多数の文字や複雑な図形、多色を有する模様などを鮮明に表示でき、かつ作業者によらず安定した生産が可能な、低コストで品質の高いフィルム一体型加飾樹脂成形体が得られる。また、多孔質の画像担持層を有しながらも、透明な加飾層を有するフィルム一体型加飾樹脂成形体が得られる。
【0011】
また、本発明は、転写シートに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、
該着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成し、転写シートの加飾層をカバーフィルムに転写する工程を実行することができる。
【0012】
転写シートから加飾層を剥離させるため、転写シートの厚みとは異なる厚みのカバーフィルムをフィルム一体型加飾樹脂成形体の表面に設けることができる。そのため、出力装置の被印刷物としては適当でない、薄い厚みのカバーフィルムや、厚い厚みのカバーフィルムを有するフィルム一体型加飾樹脂成形体とすることができる。また、後工程において転写シートを切り抜いたり、打ち抜いたりする必要がなく、バリの発生も少ない高品質のフィルム一体型加飾樹脂成形体となる。さらに、加飾層を形成してから転写を行えば、カラーデザイン画像の印刷面側から透明性樹脂液が滲入することとなり、画像担持層の表面が多孔質で透明性が悪くても透明な(より明るく見える)加飾層とすることができる。
【0013】
また、本発明は、転写シートに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、転写シートの着色材層をカバーフィルムに転写し、カバーフィルムに転写した着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成する工程を実行することができる。
【0014】
転写シートから着色材層を剥離させるため、転写シートの厚みとは異なる厚みのカバーフィルムをフィルム一体型加飾樹脂成形体の表面に設けることができ、また、後工程において転写シートを切り抜いたりする必要がなく、バリの発生が少ない。さらに、着色材層を転写してから、加飾層を形成するため、カラーデザイン画像の裏側から透明性樹脂液が滲入することとなり、画像担持層の裏側が多孔質で透明性の悪くても透明な(より明るく見える)加飾層とすることができる。
【0015】
また、カバーフィルムと樹脂成形体の一体化は、加飾層を有するカバーフィルムを成形金型のキャビティ内に配置し、溶融樹脂の注入によりカバーフィルムに少なくとも部分的な湾曲面を形成し、該溶融樹脂を固化して行うことができる。すなわち、溶融樹脂の注入による温度、圧力などによってカバーフィルムを湾曲させて一体化した場合であっても、着色材層に透明性樹脂液を滲入させることで透明性樹脂層を担持させて成る加飾層を形成しており、透明性が悪化せず、加飾層に割れや歪みなどの生じないフィルム一体型加飾樹脂成形体を得ることができる。なお、本明細書において“湾曲”とは、弓状に曲がっている状態や、弓状に曲げる場合をいうが、弓状に連続的に曲がっている、曲げる場合以外にも、部分的に甚だしく曲がっている、曲げる場合、例えば凸状に変形している場合なども含めるものとする。
【0016】
本発明のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法は、加飾層を有するカバーフィルムに少なくとも部分的な湾曲面を予め形成しておいてから、該カバーフィルムに樹脂成形体を固着してカバーフィルムと樹脂成形体を一体化することもできる。少なくとも部分的な湾曲面を予め形成したため、形状の歪みが少なく寸法安定性に優れたフィルム一体型加飾樹脂成形体を得ることができる。
【0017】
また本発明は、バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材でなる画像担持層に対してインクジェットプリンタでカラーデザイン画像を印刷することで、着色材層の形成を行うフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法を提供する。バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材でなる画像担持層に対してインクジェットプリンタでカラーデザイン画像を印刷することで、着色材層の形成を行うため、描画のきめ細かさや画質の滑らかさといった解像度が高く、精緻な画像を得ることができる。
【0018】
そして、着色材層への透明性樹脂液を塗布後、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置し、着色材層に透明性樹脂液を滲入させ、着色材層に透明性樹脂層を担持させることで、加飾層の形成を行うフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法である。透明性樹脂液を塗布した後、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置したので、着色材層の空隙を透明性樹脂液が埋めるとともに透明性樹脂層が着色材層表面を平滑にするため透明な加飾層を得ることができる。
【0019】
加飾層とは別の色彩を与える着色補助層の形成工程をさらに加えれば、加飾層と着色保護層との両者により、加飾層だけでは形成することができない優れた加飾を施すことができる。
【0020】
また、カラーデザイン画像による加飾を有し、樹脂フィルムでなるカバーフィルムに樹脂成形体を一体化してなるフィルム一体型加飾樹脂成形体について、カラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を多孔質の画像担持層に印刷して成る着色材層と、着色材層の空隙に滲入しつつ着色材層の表面を覆う透明性樹脂で成る透明性樹脂層と、で加飾層を形成したことを特徴とするフィルム一体側加飾樹脂成形体を提供する。
【0021】
このフィルム一体型加飾樹脂成形体によれば、カラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を多孔質の画像担持層に印刷して成る着色材層と、着色材層の空隙に滲入しつつ着色材層の表面を覆う透明性樹脂で成る透明性樹脂層と、で加飾層を形成したので、文字や模様等の解像度が高く、精緻であり、デザイン性に優れ、加飾層が透明なフィルム一体型加飾樹脂成形体である。
【0022】
そして、本発明は、湾曲面が形成されたカバーフィルムに樹脂成形体を一体化したフィルム一体型加飾樹脂成形体とすることができ、湾曲面が形成されていても、出力装置によって印刷されたカラーデザイン画像に変形や割れなどがない加飾層を有するフィルム一体型加飾樹脂成形体である。
【0023】
このようなフィルム一体型加飾樹脂成形体は、携帯電話機等に利用される液晶パネルの表示窓となる液晶パネル用カバーや、社名や機種名、エンブレム、バッジを表出した樹脂成形体、押釦スイッチ用のキートップなどとして用いられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフィルム一体型加飾樹脂成形体およびその製造方法について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、図1に示すように折り畳み式携帯電話機1等に利用される液晶パネルの表示窓となるフィルム一体型液晶パネル用カバー(以下「フィルム一体型パネルカバー」という)2について適用したものである。このフィルム一体型パネルカバー2は、液晶パネル(図示せず)の上方に配置して、携帯電話機1の筐体3に開口する窓枠4にはめこまれるものである。
【0025】
1.フィルム一体型パネルカバー2の構成とその製造方法
【0026】
先ず、本発明のフィルム一体型パネルカバー2の構成について説明する。図2にその断面を模式的に示すように、フィルム一体型パネルカバー2には、透明性のカバーフィルム5と樹脂成形体6との間に加飾層7が形成されている。この加飾層7は、多孔質の画像担持層7a上にカラープリンタで印刷されたカラーデザイン画像7bを有する着色材層7abと、着色材層7abに担持される透明性樹脂層7cとで形成される層である。ここで、“担持”とは、着色材層7abの表面に透明性樹脂層7cが載っている、または単に積層している状態を表すのではなく、透明性樹脂が着色材層7ab内に滲入しつつ、その表面を覆う状態をいうものである。すなわち、着色材層7abの空隙部分にも透明性樹脂が滲入して硬化している状態をいうものである。
【0027】
なお、図3に示したフィルム一体型パネルカバー2aのように加飾層7と樹脂成形体6との間に、加飾層7とは別の色彩を与える着色補助層8aを形成したり、図4に示したフィルム一体型パネルカバー2bのようにカバーフィルム5と樹脂成形体6とを一体化した後に加飾層7の端部に着色補助層8bを形成した構造とすることも可能である。
【0028】
次にこのフィルム一体型パネルカバー2の製造方法について説明する。
【0029】
第1の製造方法; 第1の製造方法は、多孔質の画像担持層7aを備えたカバーフィルム5を基材シートとして、これに直接カラープリンターによる印刷を行う方法である。まず、カバーフィルム5の画像担持層7a(図5)に、インクジェットプリンタ等のカラーデザインデータを一括出力する出力装置にて、カラーデザイン画像7bを印刷する。これによって、画像担持層7a上にカラーデザイン画像7bを有する着色材層7abを形成する(図6)。次に、着色材層7abに、所定の粘度の透明性樹脂液を塗布し、透明性樹脂液の種類、粘度に応じて決定される所定時間放置して、着色材層7abの空隙に透明性樹脂液を滲入させつつ、着色材層7abの表面が透明性樹脂層7cで覆われた加飾層7を得る(図7)。その後、加飾層7が形成されたカバーフィルム5を樹脂成形体6の形状に沿うように湾曲変形(図8)させた後、既に成形されている樹脂成形体6と熱融着や接着剤によって一体化させる。最後に不要となる樹脂成形体6からはみ出した余分なカバーフィルム5の部分をカットして、フィルム一体型パネルカバー2を得る(図2)。
【0030】
カバーフィルム5と樹脂成形体6とを一体化させる際に接着剤を用いる場合は、カバーフィルム5と樹脂成形体6との間に接着剤を塗布する他、透明性樹脂液を固化させる前に樹脂成形体6と接触させることにより、透明性樹脂液を接着剤として用いることも、透明性樹脂液の種類によっては可能である。また、カバーフィルム5を湾曲変形した後、その凹んだ部分に樹脂成形体6となる溶融樹脂を流し込んで一体化することも可能である。さらに、場合によっては、カバーフィルム5を湾曲変形させずに、樹脂成形体6成形用の金型内にカバーフィルム5を置き、樹脂成形体6となる溶融樹脂を金型内に射出するときにカバーフィルム5を湾曲させて一体化する方法も可能である。
【0031】
第2の製造方法; 第2の製造方法は、一旦、転写シートに加飾層を形成した後、この加飾層をカバーフィルムに転写する方法であり、転写工程を含む点が、第1の製造方法と異なる。
【0032】
この第2の製造方法を、図9〜図12にもとづいて説明する。第2の製造方法は、画像担持層17aを有する転写シート10に対し、第1の製造方法と同様にして、カラープリンターによる印刷を行い、カラーデザイン画像17bを有する着色材層17abを形成し、その上に透明性樹脂液を塗布し、透明性樹脂液の種類、粘度に応じて決定される所定時間放置して、着色材層17abと透明性樹脂層17cとからなる加飾層17を形成する(図9)。一方、この加飾層17が転写されるカバーフィルム15上には予め接着剤13を塗布しておく。そして、カバーフィルム15の接着剤13側と、転写シート10の加飾層17側とを圧着し(図10)、ホットスタンプなどの方法で加飾層17をカバーフィルム15に転写して転写シート10を引き剥がし、カバーフィルム15上に加飾層17を形成する(図11)。その後は第1の製造方法で示した方法と同様にして、このカバーフィルム15と樹脂成形体16を一体化したフィルム一体型パネルカバー12を得る(図12)。
【0033】
第2の製造方法によれば、転写シート10がフィルム一体型パネルカバー2の構成要素とならないため、プリンタによる印刷がし易い素材を利用することができる。そのため、層厚が厚く、透明性が悪い転写シート10を利用することもできる。
【0034】
第3の製造方法; 第3の製造方法は“転写”を行う点は第2の製造方法と同様であるが、第2の製造方法が、透明性樹脂液を塗布してから転写したのに対し、透明性樹脂液を塗布する前に転写する点が異なる。
【0035】
この第3の製造方法を図13〜図16に基づいて説明する。第3の製造方法は、画像担持層27aが形成されている転写シート20に、プリンターでカラーデザイン画像27bを印刷して着色材層27abを得る。一方、カバーフィルム25には接着剤23を塗布しておく。ここまでは、第2の製造方法と同様である。次に、接着剤23が塗布されているカバーフィルム25の接着剤23側と、転写シート20の着色材層27ab側とを圧着し(図13)、ホットスタンプなどの方法で着色材層27abをカバーフィルム25に転写して、転写シート20を引き剥がす(図14)。その後、カバーフィルム25に転写された着色材層27abの上に透明性樹脂液を塗布し、透明性樹脂液の種類、粘度に応じて決定される所定時間放置して、透明性樹脂液が着色材層27abに滲入しつつ、着色材層27abの表面に透明性樹脂層27cを有する加飾層27を形成する(図15)。その後は第2の製造方法と同様にして、樹脂成形体26を一体化したフィルム一体型パネルカバー22を得る(図16)。
【0036】
第3の製造方法によれば、着色材層27abの裏側から透明性樹脂液を塗布することとなるため、カラーデザイン画像27bが画像担持層27aの全体を覆うように形成される場合にも、着色材層27abの空隙に透明性樹脂液を滲入させることが可能であり、加飾層27を透明にすることができる。
【0037】
第1〜第3の製造方法においては、当業者が考えられる程度の変更は可能であり、例えば、第2の製造方法において、接着剤13はカバーフィルム15側に塗布するのではなく、加飾層17の上に塗布しても良い。
【0038】
2.フィルム一体型パネルカバーを構成する各部の説明
【0039】
次に、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22を構成する各部材やこれを製造するために用いる材料等について説明する。
【0040】
基材シート5,10,20; 基材シート5,10,20は、多孔質の画像担持層7a,17a,27aを有する樹脂などからなるシートであって、インクジェット方式のカラープリンタのようなカラーデザイン画像を一括出力する出力装置で印刷するための被印刷物である。基材シート5,10,20は、それ自体がカバーフィルム5になる場合と、転写シート10,20からなる場合がある。
【0041】
カバーフィルム5,15,25は、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22の表面を被う部材であり、その裏面に形成される加飾層7,17,27を保護する機能を有する。カバーフィルム5,15,25は、加飾層7,17,27の傷つき防止や耐環境特性(耐湿性、耐光性、耐候性など)に有意に働くものが好ましい。フィルム一体型加飾樹脂成形体のなかでも特にフィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22などとして用いられるときは、液晶表示などを視認できるように透明性の高いフィルムが好ましい。また、樹脂成形体6,16,26と一体化するため寸法安定性の高いフィルムが好ましい。
【0042】
一方、転写シート10,20は、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22の一部となる部材ではなく、カラーデザイン画像17b,27bが転写されれば廃棄が可能なため、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22としての耐環境特性や透明性までは要求されない。但し、被印刷物としての寸法安定性や、カラーデザイン画像17b,27bの転写性が良いことが要求される。
【0043】
したがって上記理由から、カバーフィルム5,15,25としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリル系フィルムやこれらの共重合体などの無延伸、一軸延伸、ニ軸延伸のフィルムを用いることが好ましく、なかでも、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネートフィルムとポリブチレンテレフタレートフィルムの共重合体がより好ましい。また、転写シート10,20にはカバーフィルム5,15,25に用いる樹脂フィルムを用いることができ、上記以外にも例えば、アート紙、コート紙等の紙を用いることも可能である。
【0044】
これらのカバーフィルム5,15,25や転写シート10,20には添加剤として、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤等が含まれていても良い。また、傷つき防止を目的として表面にシリコーン系やアクリル系樹脂からなる層を一層設けても良い。但し、カバーフィルム5,15,25として用いるときには、透明性を悪化させず、樹脂成形体6,16,26との一体成形時に割れや濁りなどを生じないことが必要である。
【0045】
基材シート5,10,20の厚みは、樹脂成形体6,16,26と一体化する際の成形性や、カラーデザイン画像を出力する出力装置での印刷可能性、作製目的のフィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22の大きさなどを考慮して決定し、通常、10μm〜300μmであり、より好ましくは、50μm〜125μmである。
【0046】
画像担持層7a,17a,27a; 基材シート5,10,20の印刷面には、インクやトナー等の着色材が付着し、担持されて、鮮明で解像度の高いカラーデザイン画像7b,17b,27bが形成されるような多孔質材からなる画像担持層7a,17a,27aが形成されている。この画像担持層7a,17a,27aは、無機微粒子をバインダー樹脂で結合して結合相とした多孔質材から形成することができ、さらに、基材シート5,10,20の面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものが好ましい。このような画像担持層7a,17a,27aを有する基材シート5,10,20を用いると、プリンタ印刷時に、画像担持層7a,17a,27aの孔内にインクが染み込むので、インクの吸収性に優れる。また、基材シート5,10,20の水平方向へのインク流れが抑えられるため、真円に近いドットが得られ、高解像度であるカラーデザイン画像7b,17b,27bとなる。この画像担持層7a,17a,27aは、転写シート10,20に形成される場合は、転写時のバリの発生を抑え、カラーデザイン画像17b,27bの転写シート10,20からの剥離が容易になるように剥離層としての役割を担うことも必要である。
【0047】
画像担持層7a,17a,27aを形成する無機微粒子には、無機酸化物またはその水酸化物等の微粒子を用いることができ、具体例としてはシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、シリカアルミナ複合体などが挙げられる。アルミナ水和物の凝集体であるベーマイトや、シリカアルミナ複合ゾルを用いて形成した画像担持層7a,17a,27aは、細孔容積と平均細孔径が大きく、インク吸収性に優れ、かつ透明性、耐水性、光沢性に優れる点で好ましい。無機微粒子の平均粒子径は、画像担持層7a,17a,27aとしての透明性を高めるためには、光散乱がほとんど無い領域にまで小さくすることが求められる。しかしながら、インクの吸着性、転写性、画像担持層7a,17a,27aの透明性等の観点から総合的に判断すると、画像担持層7a,17a,27aが無色透明とはならず乳白色となるが、無機微粒子の平均粒子径は100〜1000nmが好ましく、より好ましくは200〜800nmである。無機微粒子の形状は、非球状微粒子を配向させて直線的な細孔を形成した構造、即ち、画像担持層7a,17a,27aが基材シート5,10,20の面直方向に開口する多数の縦細孔を形成したものであると、インク吸収性はより高められ、ドットの形状はより真円に近くなり好ましい。
【0048】
無機微粒子を結合するバインダーとしては、でんぷんおよびその変性体、ポリビニルアルコールおよびその変性体、セルロース誘導体、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリル・ブタジエンゴムラテックス、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。そしてこれらの中でも、ポリビニルアルコール及びその変性体が、インクの親和性に優れるとともに、転写時に使用する接着剤13,23との親和性が良く転写性が優れる点で好ましい。
【0049】
無機微粒子がバインダーにより固定されて多孔質層を形成するが、その細孔構造については、平均細孔径が3〜25nmであり、細孔容積が0.3〜2.0cm3/gであることが好ましい。平均細孔径が3nm未満や、細孔容積が0.3cm3/gより小さい場合は、インクが浸透し難くなり、また、平均細孔径が25nmを超え、細孔容積が2.0cm3/gを超える場合は、真円に近いドットの形成が困難になるからである。
【0050】
画像担持層7a,17a,27aの層厚は、プリンタによって印刷されたインク等の着色材が浸透する程度に十分な層厚が好ましく、通常2〜50μmであり、好ましくは、7〜45μmである。7μmより薄いとインクの浸透が十分でなく、45μmより厚いと転写がきれいに行われないか、樹脂成形体6,16,26の形状と同形状に湾曲させて一体化する場合に追従せずに割れが発生する場合がある。
【0051】
カラーデザイン画像7b,17b,27b; カラーデザイン画像7b,17b,27bは、文字や図形、模様などのカラーデザインデータを一括出力するプリンタなどの出力装置によって印刷して得られ、プリンタ用のインクやトナーなどから形成される。カラーデザイン画像7b,17b,27bを表出するインクやトナー等の着色材には、各種出力装置に対応する材料を用いることができるが、顔料や染料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたインキやトナーが通常用いられる。カラーを表示するために、これらの着色材は、CMY系(シアン、マゼンダ、イエロー)、CMYK系(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)またはRGB系(レッド、グリーン、ブルー)が採用される。
【0052】
カラーデザイン画像7b,17b,27bを形成する出力装置として代表的なものはプリンタである。プリンタには、熱転写方式、昇華方式、インクジェット方式、レーザー露光熱現像転写方式などの各種印刷方式が採用されているが、そのなかでもインクジェットプリンタを用いることが好ましい。インクジェットプリンタによれば、フルカラー化や高速印刷が容易で、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を得ることができるからである。そして、前記画像担持層7a,17a,27aに印刷されることで、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に劣るインクジェットプリンタ用インクを用いても、そのインクが、画像担持層7a,17a,27aに付着・吸収されるため、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に優れた着色材層7ab,17ab,27abとなるからである。
【0053】
昇華方式(昇華型熱転写方式)を採用した場合は、デザインの視認性が高く、鮮やかな発色の画像が得られる点で優れているが、昇華方式に用いる基材シートが、黄色味を帯びたり、白濁したりして透明性が悪いため、フィルム一体型加飾成形体とするためには一見好ましくないように思われる。しかしながら、昇華方式を用いた場合であっても、透明性樹脂液を画像担持層中に滲入させ、透明性樹脂層を担持することにより透明にすることが可能なため、昇華方式のプリンタを用いることも好ましい。
【0054】
着色材層7ab,17ab,27ab; 着色材層7ab,17ab,27abは、画像担持層7a,17a,27aにカラーデザイン画像7b,17b,27bとなるインクやトナーなどの着色材が付着、浸透してできる層である。着色材層7ab,17ab,27abによって文字や図形、模様などのカラーデザインを表出するため、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22に描画のきめ細かさや画質の滑らかさを表す解像度が高いカラーデザイン画像が形成される。
【0055】
加飾層7,17,27; 加飾層7,17,27は、着色材層7ab,17ab,27abの表面に透明性樹脂液を塗布し、その透明性樹脂液に応じて決定した所定時間放置することにより、着色材層7ab,17ab,27ab中に透明性樹脂液を滲入させるとともに、この着色材層7ab,17ab,27abの上に透明性樹脂層7c、17c、27cを担持させて得た層である。加飾層7,17,27の形成は、着色材層7ab,17ab,27ab表面に所定の透明性樹脂液をスクリーン印刷法やPAD印刷法、スプレー塗装法、ポッティング法、ディスペンサーによる塗布などの種々の方法にて塗布し、所定時間放置し、透明性樹脂を着色材層7ab,17ab,27abに担持させた後硬化して形成する。このようにして形成された加飾層7,17,27は、カバーフィルム5,15,25が湾曲変形したものであっても、加飾層が割れたり、濁ったり、文字が過度に歪んだりすることがなく、湾曲変形前と比べて画像の変化がない加飾層7,17,27となる。
【0056】
透明性樹脂層7c,17c,27c; 透明性樹脂層7c,17c,27cは、透明性樹脂液によって着色材層7ab,17ab,27abの表面に形成される層である。透明性樹脂液を用い、着色材層7ab,17ab,27ab上に透明性樹脂を担持させる理由は次の通りである。基材シート5,10,20に設けられた画像担持層7a,17a,27aは、鮮明で解像度の高い画像を得るために、インキやトナーなどの着色材の吸着性や浸透性、または転写シート10,20からの転写性、画像の安定性などの見地から前述の所定の層として形成されることが好ましい。ところが、画像担持層7a,17a,27aにプリンタで印刷した画像は、白味や黄味を帯びて透明性が悪化し視認性が劣る場合がある。そのため、透明性樹脂液を着色材層7ab,17ab,27abに塗布して、その透明性樹脂液の種類、粘度に応じて決定する所定時間放置した後、硬化させれることにより、この白味や黄味を帯びて透明性が悪化する問題が生じないか、生じても極めて僅かになるからである。透明性樹脂液を用いることにより透明性の問題が解消する理由は定かではないが、本発明者が考えるところでは多孔質な着色材層7ab,17ab,27ab中を散乱する光が影響を与えていたものが、透明性樹脂液を着色材層7ab,17ab,27abの空隙に滲入しつつ、着色材層7ab,17ab,27abの表面を覆うことで光の散乱を抑止したものと思われる。
【0057】
前述の第1の製造方法や第2の製造方法では、カラーデザイン画像7b,17bが形成された面側、すなわち印刷面側に透明性樹脂層7c,17cが形成されることになり、第3の製造方法では、着色材層27abが転写された後に透明性樹脂液が塗布されるため、カラーデザイン画像27bが形成された裏側に透明性樹脂層27cが形成されることになる。
【0058】
透明性樹脂層7c,17c,27cは、透明性の高い加飾層7,17,27の形成に寄与するだけでなく、カラーデザイン画像7b,17b,27bの保護や、カバーフィルム5,15,25と樹脂成形体6,16,26との接着剤としての機能を有する場合もある。また、着色材層7ab,17ab,27abの表面を覆って加飾層7,17,27を形成するため、伸びや曲げなどの変形に対して強い加飾層7,17,27とすることができる。本明細書において透明性樹脂液や透明性樹脂層7c,17c,27cといった場合の“透明”には、無色透明、有色透明の他、半透明も含めることができるが、フィルム一体型加飾樹脂成形体のなかでも特にフィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22などとして使用する際には、無色透明の透明性の高い樹脂が好ましい。
【0059】
透明性樹脂液には、紫外線硬化型樹脂液、電子線硬化型樹脂液などの活性エネルギー線硬化型樹脂液や二液硬化型樹脂液のうち以下の所定の条件を満たす樹脂液を用いることができる。
【0060】
透明性樹脂液に、紫外線硬化型樹脂液、電子線硬化型樹脂液などの活性エネルギー線硬化型樹脂液を用いる場合は、これらの透明性樹脂液の25℃における粘度が、1×10−3Pa・s〜20Pa・sの範囲内であれば良く、一般的に用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂液の多くを用いることができる。即ち、粘度が低い、または粘度が高いと思われる活性エネルギー線硬化型樹脂液であっても加飾層7,17,27を透明にすることができる。1×10−3Pa・s以上としたのは、粘度が1×10−3Pa・sより低いと塗布作業が困難であり、また硬化までの間に液だれや他の部分への付着汚れを起こし易く作業性が悪化するからである。また、粘度が20Pa・sを超えると、着色材層7ab,17ab,27abへの染み込みが遅くなり、画像の透明性が得られにくいからである。
【0061】
活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて塗布した後、硬化させるまで所定時間放置して、透明性樹脂液を着色材層7ab,17ab,27ab中に滲入させる。透明性樹脂液の粘度と放置時間の間には相関があり、粘度に応じて決定する所定時間放置することが好ましい。すなわち、25℃における粘度が1×10−3Pa・s〜1×10−2Pa・sであれば、放置時間は0.1秒〜1秒、25℃における粘度が1×10−2Pa・s〜0.1Pa・sであれば、放置時間は0.5秒〜60秒、25℃における粘度が0.1Pa・s〜1.0Pa・sであれば、放置時間は10秒〜10分、25℃における粘度が1.0Pa・s〜5.0Pa・sであれば、放置時間は1分〜60分、25℃における粘度が5.0Pa・s〜20Pa・sであれば、放置時間は10分〜3時間である。したがって、活性エネルギー線硬化型樹脂液を用いる場合は、かなり高い粘度を有する樹脂液であっても、放置時間を長くとれば加飾層7,17,27が透明になるという効果を得ることができる。但し、透明性樹脂液の塗布から硬化までをフィルム一体型加飾樹脂成形体6,16,26の一連の製造工程中に行うことを考慮すると、活性エネルギー線硬化型樹脂液の25℃における粘度は、好ましくは1×10−2Pa・s〜20.0Pa・sであり、さらに好ましくは0.1Pa・s〜5.0Pa・sである。1×10−2Pa・s〜20.0Pa・sであれば、放置時間は、0.5秒〜3時間であり、画像担持層7a,17a,27aへの染み込みに対する作業時間が適度であり、0.1Pa・s〜5.0Pa・sであれば、放置時間が10秒〜60分となるため、画像担持層7a,17a,27aへの染み込みに対する作業効率に優れるだけでなく、透明性も高まるからである。以上の説明における透明性樹脂液の「放置時間」は25℃において放置したときの時間であり、放置温度を変化させれば放置時間も変わり得る。放置が必要な理由についても定かではないが、所定の放置時間をおけば、透明性樹脂液が着色材層7ab,17ab,27abの空隙に十分染み込むため、光の散乱が少なくなり透明になるものと考えられる。
【0062】
紫外線硬化型樹脂液(UV硬化型樹脂液)は、光重合開始剤、反応性モノマーまたはオリゴマーから構成される。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、アシルフォスフィン系等が用いられる。反応性モノマーまたはオリゴマーとしては、アクリル系モノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、シアノアクリレート等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂液は添加剤を含んでいても良く、添加剤としては、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、表面潤滑剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤及び充填剤等が挙げられる。また、粘度調整等のため2種類以上の樹脂を混合したり、有機溶剤にて希釈したりすることもできる。
【0063】
また、透明性樹脂液として二液硬化型樹脂液を用いる場合の粘度及び放置時間の関係も活性エネルギー線硬化型樹脂液を用いる場合と同様に考えられるが、時間の経過とともに粘度が変化することを考慮すると、所期粘度が同一の場合、活性エネルギー線硬化型樹脂液を用いる場合よりは放置時間が長いものと考えられる。また、二液硬化型樹脂液を用いる場合は、放置時間経過後に硬化が完了することが必要である。
【0064】
なお、透明性樹脂液に揮発性溶剤希釈型樹脂液を用いることは好ましくない。揮発性溶剤希釈型樹脂液の樹脂固形分が20wt%〜70wt%のもので実験を行ったが、この揮発性溶剤希釈型樹脂を用いた場合は、塗布後、溶剤が揮発して樹脂が硬化(乾燥)すると、着色材層への透明性樹脂液の滲入が起こらないからである。
【0065】
加飾層7,17,27の層厚は、文字や模様等が鮮明に表示される程度に十分であり、かつ転写させる場合には転写に支障のない厚さとすることが好ましく、1μm〜50μmである。また、透明性樹脂層7c,17c,27cの厚さは、加飾層7,17,27に十分浸透する厚さが必要であり、少なくとも10μm以上であり、好ましくは100μm程度である。
【0066】
樹脂成形体6,16,26; 樹脂成形体6,16,26は、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22の基体となる部分をいう。樹脂成形体6,16,26は、例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂等のアクリル樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合体)樹脂、結晶性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等の各種の熱可塑性、熱硬化性、湿気硬化性、光硬化性等の樹脂を挙げることができる。フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22として用いる場合には、液晶表示を視認する必要があるため、これらの樹脂のなかでも透明性の高い樹脂が選択される。
【0067】
接着剤13,23; 転写シート10,20上に設けた着色材層27abや加飾層17をカバーフィルム15,25に転写する際には、転写する着色材層27abや加飾層17、または、これらの層が転写されるカバーフィルム15,25に接着剤13,23が塗布される。この接着剤13,23が固化して接着層を形成する。接着剤の種類は、圧着転写、熱転写など、転写方法に応じて選択されるが、種々の粘着剤や溶剤揮発型(蒸発乾燥型)インキなどを含めた接着性のある樹脂液などが用いられる。溶剤揮発型インキとしては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を1種又は2種以上混合して有機溶剤に溶解させたものを用いることができる。有機溶剤には、シクロヘキサノン、トルエン、イソホロン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。シリコーン系、変性シリコーン系、フッ素系等のレベリング剤を少量添加すると、接着剤のレベリング性が向上する。
【0068】
熱転写させる場合に用いるホットメルト接着剤には、例えばアクリル系、塩ビ系、ポリエステル系、ウレタン系などのホットメルト接着剤を挙げることができる。これらのホットメルト接着剤の中でもガラス転移温度が50〜100℃となる接着剤が、転写性に優れる点で好ましい。転写条件は、接着剤13,23やカバーフィルム15,25等の材質、層厚、気温等に影響を受けるが、例えば、ポリカーボネート樹脂製のカバーフィルム15,25とポリエステル・塩化ビニル等を含む接着剤を用いる場合は、アップダウン式やロール式のホットスタンプ機にて170℃〜230℃にてホットスタンプを行うことができる。
【0069】
接着剤13,23には、耐候性の改善のため、紫外線吸収剤、安定剤などの各種添加剤を加えることができる。フィルム一体型加飾樹脂成形体のなかでも特にフィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22などに用いる場合には、透明性の高い接着剤が用いられる。接着剤13,23が固化して得られた接着層の層厚は、着色材層17ab,27abや加飾層17,27を転写する接着力が必要なことから1〜30μmが好ましい。
【0070】
着色補助層8a,8b; 着色補助層8a,8bは、カラープリンタで表現するには困難である金色や銀色などのメタリック色や白色、パール色などの色彩を補完したり、湿度などから加飾層7の劣化を防止する保護層としての役割を果たしたりする層である。着色補助層8a,8bは、樹脂インキを印刷して形成するだけでなく、蒸着層とすることや、金属薄膜層として形成することもできる。また、色彩の異なる層を2層以上積層して形成したものであっても良い。樹脂インキには、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を1種又は2種以上混合して着色材とともに1種又は2種以上の有機溶剤に溶解、分散させた溶剤揮発型インキを用いることができる。有機溶剤には、シクロヘキサノン、トルエン、イソホロン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。着色補助層8a,8bの層厚は、1〜30μmであることが好ましい。1μm未満であると、白色又は銀色等の色彩を補完する効果が不十分である。一方、30μmを超えても着色補完効果がそれ以上向上しないだけでなく、透光性が悪くなるからである。着色補助層8a,8bは、第1の製造方法において設けることを説明したが、第2や第3の製造方法の過程において、形成することも可能である。
【0071】
以上、フィルム一体型パネルカバー2,2a,2b,12,22について説明したが、本発明のフィルム一体型加飾樹脂成型体は、これらの例に限定されるものではなく、フィルムと樹脂成形体が一体となって形成されるフィルム一体型加飾樹脂成形体に適用できるものであり、上記説明が適用される。
【0072】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0073】
【実施例1】
厚みが140μmのポリエステルフィルムからなるカバーフィルム5に無機微粒子としてのベーマイトと、ベーマイトを結合するバインダーとしてのポリビニルアルコールとを用いて厚みが20μmの画像担持層7aを形成した。このカバーフィルム5にパーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータをインクジェットプリンタ「PM890」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて印刷し、カバーフィルム5上に着色材層7abを形成した。印刷用インクには当該プリンタ用の純正インクを用いた。そしてこの着色材層7abの表面に、所定の透明性樹脂液をスクリーン印刷法によって塗布し、所定時間放置して透明性樹脂液を着色材層中に滲入させた後、透明性樹脂液の種類に応じた方法によって硬化させ透明性樹脂層7cを有する加飾層7を得た。次に、ポリエステル系ポリオールとキシリレンジイソシアネートからなるウレタン系樹脂からなる接着剤を用い、スクリーン印刷にて、乾燥硬化後の厚みが40μm程度になるように透明性樹脂層7cの上に接着剤を設けた。このカバーフィルム5をプレス機にセットした金型に挟持して、100℃〜90℃、60sの条件で樹脂成形体6と同形状に湾曲させる。湾曲変形したカバーフィルム5をインジェクション型にセットし、ポリカーボネート樹脂を注入して樹脂成形体6を形成しつつ前記カバーフィルム5と熱融着して一体化させ、表1の試料1〜13に示した液晶表示窓用のフィルム一体型パネルカバー2を得た。用いた透明性樹脂液の種類や放置時間等の条件は表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
用いたUV硬化型透明性樹脂液は、全て光重合開始剤として「イルガキュア651」(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン):日本チバガイギー株式会社製を含んでいる。その添加量も表1中に示す。表1中の「重合開始剤の添加量」は、それぞれ反応性モノマーまたはオリゴマーあたりの添加量(重量部)を表している。例えば試料3において「2/100」とあるのは、“M−305”が100重量部に対して“イルガキュア651”が2重量部混合されていることを示す。
【0076】
表1において示した透明性樹脂液(UV硬化型の場合は反応性モノマーまたはオリゴマーの種類)は以下のものである。
“M−305”は、アクリル系モノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート)「アロニックスM−305」(東亞合成株式会社製)の略語である。
“BP4PA”は、アクリル系モノマー(PO変性ビスフェノールAジアクリレート)「ライトアクリレートBP4PA」(共栄社化学株式会社製)の略語である。
“M8060”は、ポリエステルアクリレート「アロニックスM8060」(東亞合成株式会社製)の略語である。
“M−1200”は、ウレタンアクリレート「アロニックスM−1200」(東亞合成株式会社製)の略語である。
“M−150”は、N−ビニル−2−ピロリドン「アロニックスM−150」(東亞合成株式会社製)の略語である。
“シクロヘキサノン”は、和光純薬株式会社製の特級である。
“U−53”は、ポリエステルポリオール「U−53」(固形分100%)(三井武田ケミカル社製)の略語である。
“D−177N”は、イソシアネート「D−177N」(固形分100%)(三井武田ケミカル社製)の略語である。
“CAVメイバン”は、アクリル系の蒸発乾燥型インキ(揮発性溶剤希釈型樹脂液)「CAVメイバン」(株式会社セイコーアドバンス製)の略語である。
“SG−740”は、熱硬化型インキ(熱硬化型樹脂液)「SG−740」(株式会社セイコーアドバンス製)の略語である。
“D−165N”は、イソシアネート「D−165N」(固形分100%)(三井武田ケミカル社製)の略語である。
【0077】
透明性評価: 得られた試料についての透明性の評価を行った。試料の裏面に液晶板を配置して、その液晶板に文字や記号を表示させる。この表示が鮮明にかつ無色透明に視認できる場合を“○”とし、不鮮明に表示されたり、白味や黄味を帯びて表示される場合を“×”とした。透明性の評価結果も表1に示した。
【0078】
加飾層の変形評価: カバーフィルムを樹脂成形体と一体化してフィルム一体型パネルカバーとした後の加飾層の様子について評価した。カバーフィルムの湾曲変形前と比べて変化がない場合を“○”とし、加飾層が切れたり、濁ったり、文字が過度に歪んだりして、加飾層が湾曲変形前と比べて変化があったものを“×”とした。加飾層の変形評価も表1に示した。
【0079】
【実施例2】
インクジェットプリンタ用専用紙(無機微粒子としてのベーマイトと、ベーマイトを結合するバインダーとしてのポリビニルアルコールとを用いて形成した厚みが20μmの画像担持層17aを、厚みが140μmのポリエステルフィルムからなる転写シート10上に有するシート)に、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータをインクジェットプリンタ「PM890」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて印刷し、転写シート10上に着色材層17abを形成した。印刷用インクには当該プリンタ用の純正インクを用いた。そしてこの着色材層17abの表面に、所定の透明性樹脂液をスクリーン印刷法によって塗布し、所定時間放置して透明性樹脂液を着色材層17ab中に滲入させた後、透明性樹脂液の種類に応じた方法によって硬化して、透明樹樹脂層17cを有する加飾層17を形成した。一方、厚みが100μmのポリエステルフィルムからなるカバーフィルム15の裏面に、接着剤13の層厚が5μmとなるように、アクリル系の蒸発乾燥型インキ「CAVメイバン」(株式会社セイコーアドバンス製)をスクリーン印刷によって均一に塗布した。その後、カバーフィルム15と転写シート10を合わせて、転写温度190℃、転写スピード5cm/secの条件でロール式ホットスタンプにてカバーフィルム15の裏面に加飾層17を転写した。その後は実施例1と同様にして表1の試料14〜26に示したフィルム一体型パネルカバー12を得た。用いた透明性樹脂液の種類や放置時間等の条件は表1に示した。また、実施例1と同じ評価を行った。評価結果も表1に示した。
【0080】
【実施例3】
インクジェットプリンタ用専用紙(無機微粒子としてのベーマイトと、ベーマイトを結合するバインダーとしてのポリビニルアルコールとを用いて形成した厚みが20μmの画像担持層27aを、厚みが140μmのポリエステルフィルムからなる転写シート20上に有するシート)に、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータをインクジェットプリンタ「PM890」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて印刷し、転写シート20上に着色材層27abを形成した。印刷用インクには当該プリンタ用の純正インクを用いた。一方、厚みが100μmのポリエステルフィルムからなるカバーフィルム25の裏面に接着剤23として層厚5μmとなるように、アクリル系の蒸発乾燥型インキ「CAVメイバン」(株式会社セイコーアドバンス製)をスクリーン印刷によって均一に塗布した。その後、カバーフィルム25と転写シート20を合わせて、転写温度190℃、転写スピード5cm/secの条件でロール式ホットスタンプにてカバーフィルム25の裏面に着色材層27abを転写した。次に、この着色材層27abの表面に、所定の透明性樹脂液をスクリーン印刷法によって塗布し、所定時間放置して着色材層27ab中に透明性樹脂液を滲入させた後、透明性樹脂液の種類に応じた方法によって硬化して透明樹脂層27cを有する加飾層27を形成した。その後は実施例1と同様にして表1の試料27〜39に示したフィルム一体型パネルカバー22を得た。用いた透明性樹脂液の種類や放置時間等の条件は表1に示した。また、実施例1と同じ評価を行った。評価結果も表1に示した。
【0081】
【比較例1】
実施例1で作製した試料1〜13のフィルム一体型パネルカバー2と比較して、透明性樹脂液の種類、粘度、塗布後の放置時間、硬化条件を表2に示したように変化させた以外は実施例1と同様にして試料51〜66に示したフィルム一体型パネルカバーを作製した。同様に、透明性樹脂液の種類、粘度、塗布後の放置時間、硬化条件を変化させて、実施例2で作製した試料14〜26に代えて試料67〜82、実施例3で作製した試料27〜39に代えて試料83〜98に示したフィルム一体型パネルカバーを作製した。条件を表2に示した。また、実施例1と同様にして透明性、加飾層の様子を評価した。
【0082】
【表2】
【0083】
【比較例2】
実施例1において、透明性樹脂液を塗布する工程を省略し、透明性樹脂層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして試料101〜113のフィルム一体型パネルカバーを得た。実施例1と同様にして透明性、加飾層の様子を評価した。その結果を表3に示した。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例1〜3、比較例1、2に示した透明性や加飾層の様子の評価からもわかるように、透明性樹脂液を着色材層に塗布し、透明性樹脂液の種類、粘度に応じた所定の時間放置して透明性樹脂液を着色材層中に滲入させた後、硬化させることにより、透明性が高く、裏面に配置される液晶板の表示が鮮明に認識できるカラーデザイン画像を有する液晶表示窓用のフィルム一体型液晶パネル用カバーを得ることができた。また、このフィルム一体型液晶パネル用カバーは、カバーフィルムを湾曲変形させているにもかかわらず、加飾層が切れたり、濁ったり、文字が過度に歪んだりすることがなく、湾曲変形前と比べて画質の変化がない加飾層を有するものであった。
【0086】
一方、比較例1で得られたフィルム一体型パネルカバーは、透明性が悪かった。また、比較例2で得られたフィルム一体型パネルカバーは、カバーフィルムの変形時に、加飾層が歪んだり、割れたりするものがあった。
【0087】
【発明の効果】
本発明のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法、およびその製造方法によって得られたフィルム一体型加飾樹脂成形体によれば、多数の文字や模様等を小面積部分に解像度良く表示でき、デザイン性に優れ、かつ透明性が高い加飾層を有するフィルム一体型加飾成形体である。また、耐湿性、耐候性、耐久性などにも優れたフィルム一体型加飾成形体である。さらに、加飾層の変形(歪み)が起きにくいフィルム一体型加飾樹脂成形体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム一体型加飾成形体を用いた携帯電話機の正面図。
【図2】本発明の一実施形態によるフィルム一体型加飾成形体の断面図。
【図3】本発明の別の実施形態によるフィルム一体型加飾成形体の断面図。
【図4】本発明のさらに別の実施形態によるフィルム一体型加飾成形体の断面図。
【図5】本発明のフィルム一体型加飾成形体の製造過程を示す断面図であり、画像担持層を有するカバーフィルムを示す。
【図6】本発明のフィルム一体型加飾成形体の製造過程を示す断面図であり、カラーデザイン画像が形成された状態を示す。
【図7】本発明のフィルム一体型加飾成形体の製造過程を示す断面図であり、透明性樹脂層が形成された状態を示す。
【図8】本発明のフィルム一体型加飾成形体の製造過程を示す断面図であり、カバーフィルムを凸状に形成した状態を示す。
【図9】本発明のフィルム一体型加飾成形体の別の製造過程を示す断面図であり、転写シートにカラーデザイン画像と透明性樹脂層を形成した状態を示す。
【図10】本発明のフィルム一体型加飾成形体の別の製造過程を示す断面図であり、加飾層を転写する状態を示す。
【図11】本発明のフィルム一体型加飾成形体の別の製造過程を示す断面図であり、転写シートを剥離した状態を示す。
【図12】本発明のフィルム一体型加飾成形体の別の製造過程によって得られたフィルム一体型加飾成形体の断面図である。
【図13】本発明のフィルム一体型加飾成形体のさらに別の製造過程を示す断面図であり、着色材層を転写する状態を示す。
【図14】本発明のフィルム一体型加飾成形体のさらに別の製造過程を示す断面図であり、転写シートを剥離する状態を示す。
【図15】本発明のフィルム一体型加飾成形体のさらに別の製造過程を示す断面図であり、加飾層を形成した状態を示す。
【図16】本発明のフィルム一体型加飾成形体のさらに別の製造過程によって得られたフィルム一体型加飾成形体の断面図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機
2 フィルム一体型液晶パネル用カバー(フィルム一体型パネルカバー)
3 筐体
4 窓
5 カバーフィルム(基材シート)
6,16,26 樹脂成形体
7,17,27 加飾層
7a,17a,27a 画像担持層
7b,17b,27b カラーデザイン画像
7c,17c,27c 透明性樹脂層
7ab,17ab,27ab 着色材層
8,8a,8b 着色補助層
10,20 転写シート(基材シート)
13,23 接着剤
Claims (9)
- カラーデザイン画像による加飾を有し、樹脂フィルムでなるカバーフィルムに樹脂成形体を一体化してなるフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法において、
カバーフィルムに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、
該着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成し、
加飾層に樹脂成形体を固着してカバーフィルムに樹脂成形体を一体化することを特徴とするフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。 - カラーデザイン画像による加飾を有し、樹脂フィルムでなるカバーフィルムに樹脂成形体を一体化してなるフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法において、
転写シートに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、
該着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成し、
転写シートの加飾層をカバーフィルムに転写し、
カバーフィルムに転写した加飾層に樹脂成形体を固着してカバーフィルムに樹脂成形体を一体化することを特徴とするフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。 - カラーデザイン画像による加飾を有し、樹脂フィルムでなるカバーフィルムに樹脂成形体を一体化してなるフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法において、
転写シートに設けた多孔質の画像担持層にカラーデザインデータを一括出力する出力装置によってカラーデザイン画像を印刷して成る着色材層を形成し、
転写シートの着色材層をカバーフィルムに転写し、
カバーフィルムに転写した着色材層に透明性樹脂液を塗布し、該透明性樹脂液の粘度に応じて決定した所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させて充填することで透明性樹脂層を担持させて光の散乱を低減する加飾層を形成し、
該加飾層に樹脂成形体を固着してカバーフィルムに樹脂成形体を一体化することを特徴とするフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。 - 加飾層を有するカバーフィルムを成形金型のキャビティ内に配置し、溶融樹脂の注入によりカバーフィルムに少なくとも部分的な湾曲面を形成し、該溶融樹脂を固化してカバーフィルムに樹脂成形体を一体化する請求項1〜請求項3何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
- 加飾層を有するカバーフィルムに少なくとも部分的な湾曲面を予め形成しておいてから、該カバーフィルムに樹脂成形体を固着して一体化する請求項1〜請求項3何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
- バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材でなる画像担持層に対してインクジェットプリンタでカラーデザイン画像を印刷することで、着色材層の形成を行う請求項1〜請求項5何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
- 透明性樹脂液が活性エネルギー線硬化型樹脂でなり、該透明性樹脂液の塗布後、硬化させずに前記所定時間放置して着色材層の空隙に透明性樹脂液を滲入させ充填した後、該透明性樹脂液を硬化させて透明性樹脂層を担持させる請求項1〜請求項6何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
- 透明性樹脂液の25℃における粘度が1×10−3Pa・s〜1×10−2Pa・sのときの放置時間を0.1秒〜1秒、25℃における粘度が1×10−2Pa・s〜0.1Pa・sのときの放置時間を0.5秒〜60秒、25℃における粘度が0.1Pa・s〜1.0Pa・sのときの放置時間を10秒〜10分、25℃における粘度が1.0Pa・s〜5.0Pa・sのときの放置時間を1分〜60分、25℃における粘度が5.0Pa・s〜20Pa・sのときの放置時間を10分〜3時間とする請求項1〜請求項7何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
- 加飾層とは別の色彩を与える着色補助層の形成工程を含む請求項1〜請求項8何れか1項記載のフィルム一体型加飾樹脂成形体の製造方法。
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