JP2013049220A - 加飾フィルム及び加飾成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】小ロット及び短納期で商業生産することが可能であるとともに、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルム及び加飾成形品を提供する。
【解決手段】基材フィルム3の面上に、パターン層5、耐熱層7の順で積層されて形成された加飾フィルムであって、前記基材フィルム3は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムのいずれか1つで形成され、前記耐熱層7は、少なくとも発泡剤を含むシルクスクリーン印刷用インキで生成され、前記パターン層5は、オフセット印刷によって積層され、前記耐熱層7は、シルクスクリーン印刷によって積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、携帯電話などの小型デジタル機器に複雑な意匠を設けるために用いるフィルムインサート成形用の加飾フィルムと、それを用いて製造する加飾成形品に関するものである。
従来、プラスチック成形品に複雑な意匠(例えば、木目模様)を付与する方法としては、例えば、特許文献1〜3に記載されている方法がある。
特許文献1〜3に記載されている方法は、まず、アクリルフィルムやポリエチレンテレフタレートを用いて形成されている基材フィルム上に、印刷法によって絵柄を形成して、加飾フィルムを形成する。そして、上記のように形成した加飾フィルムを、射出成型用金型の中に入れて型閉めした後、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の溶融樹脂を用いて射出成形し、基材フィルムが最外層となるように絵柄と成形樹脂とを一体化させる方法である。すなわち、特許文献1〜3に記載されている方法は、いわゆる成形同時加飾法である。
上記の方法等において、絵柄を形成する方法としては、一般的な印刷法(例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷)が想定されるが、実際の製品には、グラビア印刷、またはシルクスクリーン印刷のうち一方のみを使用していることが多い。
両者(グラビア印刷、シルクスクリーン印刷)の使い分けに関し、少量多品種生産を行う場合には、製版の時間が短くて済むシルクスクリーン印刷が使用される場合が多い。一方、細やかな意匠が必要であり、ある程度のまとまった数量を生産する場合には、グラビア印刷が用いられる場合が多い。
上述したように、絵柄を形成する方法として、数ある印刷方法のうち、グラビア印刷とシルクスクリーン印刷の二種が多く使われている理由の一つは、射出成形を行う溶融樹脂が濃色であった場合にインキの膜厚を大きくして、成形樹脂の色を隠蔽する必要があるためである。
すなわち、オフセット印刷やフレキソ印刷といった、平版または凸版を使用する印刷法では、インキの膜厚は、1μm以上2μm以下の範囲内程度と薄い膜厚であり、条件検討(版仕様選択、インキ粘度調整等)によって、5μm以上10μm以下の範囲内程度の厚さで積層することが可能なシルクスクリーン印刷に比べて劣る。
また、印刷の絵柄にエンボス模様(例えば、壁紙模様)であったり、特別につや消し感を持たせたい場合には、シルクスクリーン印刷のインキに発泡剤を混ぜることがある。このインキに混合できる発泡剤として、特許文献4に記載されているような、マイクロカプセル型のものがある。このマイクロカプセルは、樹脂または無機物から成る外殻中に、常温で液体である炭化水素を閉じ込めた構造をしている。このマイクロカプセルに対し、一定の温度を与えると、外殻中の炭化水素が気化し、外殻が膨らんで容積が増すため、発泡剤として使用することができる。
このような発泡剤をシルクスクリーン用のインキに混合させ、独特の印刷意匠性をもつインキを生成させた例として、特許文献5のような例がある。
特開平10−16498号公報 特開平10−71680号公報 特許第4194670号公報 特許第4460768号公報 特開2006−225541号公報
ところで、グラビア印刷は、オフセット印刷と比較すると、インキの膜厚を大きくすることが可能であるとともに、濃淡の印刷に好適な印刷法である。
しかしながら、グラビア印刷は製版の手間がかかるために、小ロットや短納期の商業生産への適用は困難である。
一方、シルクスクリーン印刷を用いた場合には、グラビア印刷と比較すると、製版に時間がかからず、その結果、版の価格も安価となる。
しかしながら、シルクスクリーン印刷を用いた場合では、シルクスクリーン版の解像可能な最小開口径の制限があるために、濃淡の階調表現が困難であり、グラビア印刷やオフセット印刷と比較して、印刷スピードも遅くなる。
すなわち、プラスチック成形品に複雑な意匠を付与する方法として、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷を用いた場合には、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルムを、小ロット及び短納期で商業生産することが困難であった。
また、射出成形を行う際に、濃色の成形樹脂の色を隠蔽するために、グラビア印刷またはシルクスクリーン印刷によってインキの膜厚を大きくすることがあると述べたが、それとは別に、高温・高圧の溶融樹脂の流れから意匠を保護するために、インキの膜厚を大きくとるなどの対策が必要となることがあった。この際、十分な膜厚を確保するためにグラビア印刷またはスクリーン印刷の回数を増やしたりする必要があることから、原価が嵩む。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、小ロット及び短納期で商業生産することが可能であるとともに、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルム及び加飾成形品を安価に提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、基材フィルムの面上に、パターン層、耐熱層、接着層の順で積層されて形成された加飾フィルムであって、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムのいずれか1つで形成され、前記耐熱層は、少なくとも発泡剤を含むシルクスクリーン印刷用インキで生成され、前記パターン層は、オフセット印刷によって積層され、前記耐熱層は、シルクスクリーン印刷によって積層されていることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に従属する発明であって、前記耐熱層は、少なくとも顔料と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物から生成されるインキに対し、外殻が熱可塑性高分子、内包物が常温で液体である炭化水素から成るマイクロカプセル型発泡剤を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成され、前記パターン層は、少なくとも顔料と、紫外線硬化型樹脂を混合した混合物で生成され、前記耐熱層の厚さは、10μm以上50μm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に従属する発明であって、前記耐熱層の面上に積層された接着層を備え、前記接着層は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成され、前記接着層の厚さは、3μm以上10μm以下の範囲内であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載した加飾フィルムと、前記接着層の面上に積層された成形樹脂とを備えた加飾成形品であって、前記加飾フィルムと前記成形樹脂は、インサート成形、または真空成形によって固着されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、小ロット及び短納期で商業生産することが可能であるとともに、階調表現が求められる意匠を付与した加飾フィルム及び加飾成形品を安価に提供することができるようになる。
図1は、本発明の一実施形態における、加飾フィルムの概略構成を示す該加飾フィルムの断面図である。 図2は、本実施形態における、加飾成形品(フィルムインサート成形品)の概略構成を示す該加飾成形品の断面図である。 図3は、加飾成形品の製造に用いる射出成形用の金型(成形金型)の概略構成を示す型開き状態の該金型の断面図である。 図4は、加飾成形品の製造に用いる射出成形用の金型(成形金型)の概略構成を示す型閉じ状態の該金型の断面図である。 図5は、中間加飾成形品の一例を示す説明図である。 図6は、図5のVI―VI線に沿う中間加飾成形品の断面図である。 図7は、加飾成形品の一部を示す説明図である。 図8は、図7の加飾成形品を同図7のVIII−VIII線に沿っての断面図である。
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態は本発明の一例であって、これは、本発明を限定するものでない。
まず、図1を用いて、本実施形態の加飾フィルムの構成を説明する。図1は、本実施形態における、加飾フィルムの概略構成を示す断面図である。
加飾フィルム1は、加飾成形品であるフィルムインサート成形品を形成する部材であり、図1に示すように、基材フィルム3の面上に、パターン層5、耐熱層7、接着層9を順に積層して形成されている。なお、以下の説明において、「加飾成形品」と「フィルムインサート成形品」は、同じ部材を表している。
基材フィルム3としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、またはポリカーボネートフィルムのいずれか1つ、あるいはこれらのフィルムの2種以上を貼り合わせた複合フィルムを用いている。すなわち、基材フィルム3は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、またはポリカーボネートフィルムのいずれかで生成されている。基材フィルム3の厚さは、特に規定しないが、50μm以上200μm以内の範囲内が印刷時に扱いやすいために好適である。なお、基材フィルム3は、該基材フィルム3を形成する工程の後工程であるところの、パターン層5を形成する工程を行う前に、一定寸法の四辺形(長方形、正方形)に形成しておく。
また、基材フィルム3の材料としては、紫外線吸収剤を練り込んだものを使用するのが好適である。これは、基材フィルム3は、フィルムインサート成形品の最表面層になるフィルムであるので、基材フィルム3に紫外線吸収機能を付与することにより、パターン層5、隠蔽層である耐熱層7の紫外線暴露による変色を軽減することが可能となる。
この場合、基材フィルム3の材料として適用可能な、代表的な紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンや、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール等がある。
なお、基材フィルム3の片面(パターン層5を積層する面と反対側の面、図1中では、上側の面)には、加飾フィルム1またはフィルムインサート成形品の成形後に、基材フィルム3が最表層となるように、コート層(図示せず)を設けてもよい。この場合、たとえば、基材フィルム3として表面硬度に劣る基材を用いる場合に、コート層によるハードコートを、基材フィルム3の片面に設けることにより、表面硬度を改善することが可能となる。
パターン層5は、基材フィルム3の面上(図1では、下側の面上)に積層されている層であり、オフセット印刷法によって基材フィルム3の面上に積層されて形成されている。また、パターン層5の厚さは、2μm以下である。
なお、パターン層5を、オフセット印刷法により形成する際には、本実施形態における効果のひとつである、階調表現に優れた意匠を形成するために、スクリーン線数が175線以上となるような製版を行って印刷することが望ましい。この場合、印刷するデザインパターンは、裏刷り(本実施形態の加飾フィルム1を用いた成形品では、基材フィルム3を通して、印刷した面と反対側からデザインパターンを見ることになる)であることに留意する。
パターン層5を形成するインキには、紫外線硬化型樹脂を混合した、紫外線硬化型のオフセット印刷用インキを使用する。紫外線硬化型のオフセットインキを使用する理由としては、基材フィルム3が非吸収性の基材であるために、基材に対するインキ成分の浸透が前提となっている溶剤使用型のインキでは基材フィルム3への密着性が得られにくいことが挙げられる。また、紫外線硬化型のインキであれば溶剤使用型に比べ乾燥時間も短くてすむため、時間当たりの生産効率もよいことが挙げられる。
パターン層5を形成するオフセットインキの色には、CMYK(シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、キー・プレート(Key Plate))から成るプロセスカラーの他、補助的に用いられる金赤(ブロンズ・レッド)や草(グリーン)、紫(バイオレット)等の中間色、調色による特色インキ、金属粒子を分散したインキや透明インキ等、多数の色が存在し、多数の色表現が可能である。
特に、耐光性が求められる成形製品の製造を行う場合においては、パターン層5を形成するオフセット印刷インキとして、耐光性の高い色材成分(例えば、シアン色材のフタロシアニンブルー、マゼンタ色材のキナクリドンレッド、イエロー色材のモノアゾイエロー)を含む印刷インキを用いることが可能である。
すなわち、パターン層5を形成するオフセット印刷インキには、上述した紫外線硬化型樹脂とともに、上記のインキ等からなる顔料が混合されている。したがって、パターン層5は、少なくとも顔料と紫外線硬化型樹脂とを混合した混合物で生成されている。
また、パターン層5を形成するオフセット印刷インキとしては、基材フィルム3に対して密着性が高いものを用いることが望ましい。この場合、基材フィルム3に対して必要な密着性の目安としては、「JIS K 5600−5−6」に規定されている方法で試験を行った後に、剥れている部位が認められない程度が目安となる。
また、パターン層5を形成するオフセット印刷インキと基材フィルム3との密着性を向上させるためには、上述した方法の他に、例えば、基材フィルム3に対してコロナ放電等の易接着処理を施してもよい。
耐熱層7は、パターン層5の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、シルクスクリーン印刷によりパターン層5の面上に積層されて形成されている。また、耐熱層7は、フィルムインサート成形品を形成する際に、パターン層5の下地となる部分であり、耐熱層7を形成する工程の後工程において形成される接着層9や、後述する成形樹脂の色味を隠蔽する役割を持たせることができる。その場合には、不透明な色(例えば、顔料成分として、白色の酸化チタンを多く含む色)のシルクスクリーンインキを使用する。
また、耐熱層7は、シルクスクリーンインキをベースとし、加熱によって発泡する性質をもつ発泡剤10を加えることで生成する。この発泡剤10のひとつの例として後述のマイクロカプセルが挙げられる。ここでいう発泡剤10として用いることができるものは、加温によって発泡剤を構成する成分が膨張し気泡を生成する発泡反応を起こし、なおかつその発泡反応が吸熱的な反応であるものに限られる。
これは、射出成形の際に耐熱層7およびパターン層5にかかる高温を発泡剤10の発泡反応によって吸収させることによって、パターン層5を高温による影響から保護することを、耐熱層7を形成する目的としているからである。
なお、発泡剤10が射出成形以前にかかった熱(例えば、耐熱層7をシルクスクリーン印刷した後のインキ乾燥に必要な熱)によって予め発泡した場合においても、発泡して生成した気泡は耐熱層7を形成する樹脂成分よりも熱伝導性が低いため、パターン層5を保護するための熱遮断性を発揮する。
耐熱層7を構成するシルクスクリーンインキは、具体的には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合物、または、ポリエステル樹脂が主成分となって形成されており、さらに、ポリイソシアネート樹脂等の触媒を添加して80℃〜100℃程度の温度で乾燥させることにより、触媒を加えない場合と比較して樹脂架橋密度が上昇する性質を持っているものを使用する。このような性質をもつインキとしては、例えば、十条ケミカル社製の「3100シリーズ FM」や帝国インキ社製「IPX」「INQ」などが挙げられる。
耐熱層7に混合させる発泡剤10は、ポリアクリロニトリルやポリ塩化ビニリデン等から生成される外殻を持ち、外殻内に常温で液体の炭化水素(例えば、ノルマルペンタン、イソペンタンなど)を有する熱膨張マイクロカプセルを用いることができる。マイクロカプセルと呼ばれるものには、他にはアルミナシリケートや炭酸カルシウムから生成される外殻を持つ無機系のマイクロカプセルがあるが、こちらは熱を加えても通常膨張しないため、有機系の外殻を持つ熱膨張マイクロカプセルを用いる。熱膨張マイクロカプセルの例としては、日本フィライト社製の「EXPANCEL シリーズ」や松本油脂薬品社製の「マツモトマイクロスフェアー FN シリーズ」などがある。いずれの製品も、平均粒子径や膨張開始温度の違いにより多数のグレードがあるが(平均粒子径は5μmから70μmの間が多い)、後述する、耐熱層7全体の許容されうる最大厚みである50μmとの関係より、マイクロカプセルの最大粒子径は45μmまでの大きさとするのが望ましい。積層に使用するスクリーン印刷版の開口径にも留意する。前記マイクロカプセルの外殻である有機系樹脂は、スクリーン印刷インキに含まれる有機溶剤成分に対して、溶解しないものを選択する。
ここで、耐熱層7を形成する際には、ベースとなるシルクスクリーンインキに対して質量比30%を超える割合で発泡剤10を混合すると、シルクスクリーン版の開口部に発泡剤の粒子が詰まることがあり、また、インキの粘度が高くなりすぎ、印刷が容易でなくなるため、ベースとなるシルクスクリーンインキに対する発泡剤10の混合割合を、質量比として30%以下としている。
耐熱層7の厚さは、10μm以上50μm以下の範囲内において、厚みを決定することが好適である。ここで、下限の厚みを10μmとしている理由は、耐熱層7に発泡剤10としてマイクロカプセルを含む場合、このマイクロカプセルの粒径は最も小さい場合でも5μm程度あるため、これを耐熱層7内に保持するために10μm程度の厚みは少なくとも必要なためである。また、耐熱層7の厚さを、50μmを超える厚さとした場合には、層自体の凝集破壊が発生しやすくなるため、好ましくない。
以上により、耐熱層7は、少なくとも塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物から成るシルクスクリーン印刷インキに対し、発泡剤10を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成されている。
また、発泡剤10としては、外殻が熱可塑性高分子、内包物が常温で液体である炭化水素から成るマイクロカプセル型発泡剤を使用できる。
本実施形態では、耐熱層7の厚さを、10μm以上50μm以下の範囲内に設定する。
接着層9は、耐熱層7の面上(図1中では、下側の面上)に積層されている層であり、シルクスクリーン印刷により耐熱層7の面上に積層されて形成されている。
前記接着層9が、必要な機能を果たすためには、少なくとも3μmの厚みが必要である。また、10μmを超える厚みを積層すると、接着層9の凝集破壊が引き起こされる可能性がある。よって、本実施形態では接着層9の厚みを、3μm以上10μm以下の範囲内とする。
また、接着層9は、上記の耐熱層7と後述する成形樹脂との間に配置される層であり、耐熱層7と成形樹脂を密着させて、フィルムインサート成形品としての一体性を得るために配置される層である。
接着層9は、耐熱層7やパターン層5の色調に影響を与えないために、無色透明とすることが好適である。
接着層9を形成するシルクスクリーンインキとしては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つで生成されているものを用いる。この場合、希釈溶剤成分として、シクロヘキサノンや、キシレンを含むものを用いることが可能である。
以上により、第一実施形態の接着層9は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成されており、その厚さが、3μm以上10μm以下の範囲内となっている。
以下、図1を参照しつつ、図2を用いて、本実施形態の加飾フィルム1を備えた加飾成形品の構成について説明する。
図2は、本実施形態における、加飾成形品(フィルムインサート成形品)の概略構成を示す断面図である。
図2中に示すように、加飾成形品13は、上述した加飾フィルム1と、成形樹脂11を備えている。
成形樹脂11は、加飾フィルム1のうち、接着層9側に射出した溶融樹脂を固化させて形成された層であり、加飾フィルム1に積層されている。すなわち、成形樹脂11は、接着層9の面上(図2中では、下側の面上)に積層されている層である。また、成形樹脂11と加飾フィルム1とは、インサート成形、または、真空成形により固着されている。
以下、図1及び図2を参照しつつ、図3から図9を用いて、本実施形態の加飾成形品の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、成形樹脂11と加飾フィルム1とを、インサート成形により固着する場合について説明する。
以下、射出成型用の金型内に、一定寸法の四辺形に形成されている加飾フィルム1を配置して型閉めを行い、その後、溶融樹脂を金型内に射出して、射出樹脂が固化したところで取り出すことによって、加飾フィルム1が表面に接着した加飾成形品13を製造する工程について説明する。
上記の工程により、加飾フィルム1は、三次元的な形状に成形されるため、加飾フィルム1上に形成されている二次元的パターンは、射出成形時の加飾フィルム1の伸縮に合わせて、大きさを調整する必要がある。
図3及び図4は、加飾成形品の製造に用いる射出成形用の金型(成形金型)の概略構成を示す断面図である。図3は、型開き状態の成形金型を示す図であり、図4は、型閉じ状態の成形金型を示す図である。
図3及び図4中に示すように、成形金型23は、雌型25と、雄型27を備えており、雌型25の内周面となる成形面に加飾フィルム1を配置した後に、図4中に示すように型閉めを行う。ここで、成形金型23内に加飾フィルム1を配置する前には、加飾フィルム1を図外の他の金型を用いてプレフォームすることにより、三次元形状をあらかじめ付与しておき、成形金型23に供給することも可能である。
また、成形金型23内に加飾フィルム1を配置する際には、成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせが必要となる。成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行う方法としては、雌型25が有する位置合わせ穴29へ、雄型27が有する固定ピン31を挿入して保持する方法がある。
ここで、位置合わせ穴29は、雌型25において、加飾フィルム1に形成されているパターンのうち、最終製品である加飾成形品13に付与されないエリアに、予め形成されている。また、固定ピン31は、雄型27において、位置合わせ穴29と嵌合するエリアに、予め形成されている。
また、成形金型23へ加飾フィルム1を挿入した状態で、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行う方法としては、位置合わせ穴29へ固定ピン31を挿入する方法以外にも、以下の方法を用いることが可能である。この方法は、例えば、加飾フィルム1に形成されているパターンのうち最終製品に付与されないエリアに予め形成した位置合わせマーク(図示せず)を射出成形装置側に設けた画像認識装置(図示せず)により視認し、加飾フィルム1の搬送装置(図示せず)側の駆動により微調整して合わせ込むことも可能である。位置合わせマークは、射出成形品(加飾成形品13)の製品部分から見て、対角2点以上で認識するのが望ましい。
この場合、各位置合わせマーク位置で画像パターンの伸縮に合わせ上下左右の位置を均等割りする制御方法や、加飾フィルム1の搬送時の張力の制御により微調整をかけて上下左右の位置を均等割りする制御方法が望ましい。
そして、加飾フィルム1と成形金型23との位置合わせを行い、成形金型23を型閉じした後に、加飾フィルム1を挿入した成形金型23内に溶融樹脂を射出する。この時、加飾フィルム1の接着層9側に溶融樹脂を射出する。
なお、本実施形態で用いる成形機は、溶融樹脂を成形金型23内に射出する方式のものである。ここで、成形金型23内に射出される溶融樹脂の温度は、使用する樹脂の物性等に応じて設定する。これは、例えば、使用する樹脂がアクリル樹脂であれば、240℃以上260℃以下の範囲内とし、使用する樹脂がABS樹脂であれば、230℃とする。
なお、雄型27が有する注入口33(射出口)の位置を、溶融樹脂を成形金型23内へ射出する際に発生する熱やガスにより、加飾フィルム1が異常に変形しないように、成形金型23の形状や溶融樹脂の種類に合わせて設定してもよい。
加飾フィルム1を挿入した成形金型23内に射出した溶融樹脂が固化した後、成形金型23を型開きして、成形金型23から、図5及び図6中に示すような、固化した溶融樹脂と加飾フィルム1から成る中間加飾成形品15を取り出す。なお、図5は、中間加飾成形品15の一例を示す図であり、図6は、図5のVI―VI線に沿う中間加飾成形品15の断面図である。
図5及び図6中に示すように、中間加飾成形品15は、最終的に製品(加飾成形品13)となる加飾部17の周囲に、バリ(図示せず)と、加飾成形品13のダミー部分19が一体化している。ここで、ダミー部分19には、上述した位置合わせにおいて、固定ピン31が挿通されて成形された挿通孔21が存在している。
そして、加飾部17から、上記のバリとダミー部分19を取り除くことにより、図7及び図8中に示すような、加飾成形品13を製造する。なお、図7は、加飾成形品13の一部を示す図であり、図8は、図7のVIII−VIII線に沿う加飾成形品13の断面図である。
(実施例)
以下、図1から図8を参照して、第一実施形態の加飾フィルム1及び加飾成形品13を製造し、この加飾成形品13の物性を検証した結果を説明する。
加飾フィルム1を製造する際には、基材フィルム3として、厚さ125μmポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製「コスモシャイン A4300」)を用い、ロールで供給された基材フィルム3を、断裁工程により枚葉状(一定寸法の四辺形)にした。
そして、枚葉オフセット印刷機(UV乾燥ユニット付き)を用いて、シアン(藍)、マゼンタ(紅)、イエロー(黄)、キー・プレート(墨)による4色印刷を行い、パターン層5を形成した。このとき、基材フィルム3への密着性を得るため、ポリエステル樹脂を主成分とするUV乾燥型インキ(東洋インキ社製「FD Oニュー HW−PT」)を用いた。また、枚葉オフセット印刷の、版交換に時間がかからないという利点を生かし、数種類の印刷版を用いて印刷を行った。
上記のUVオフセット印刷を行った後、シルクスクリーン印刷によって耐熱層7を設けた。
ここで、耐熱層7を設けるシルクスクリーン印刷には、ポリエステル系樹脂を含むインキ(帝国インキ社製「IPX−675白」)に対し、発泡剤としてマイクロカプセル(松本油脂薬品社製「マツモトマイクロスフェアー FN−100SS」、外殻:アクリロニトリル系樹脂、平均粒子径:6〜11μm)を10%の割合で混合して生成させたシルクスクリーンインキを用いた。
また、乳剤の厚さを30μmとし、メッシュ数が100線/インチのシルクスクリーン版を用いてシルクスクリーン印刷を行うことで、耐熱層7全体の厚さを40μmとした。
続いて、シルクスクリーン印刷によって接着層9を設けた。
ここで、接着層9を設けるためのシルクスクリーン印刷用の接着剤には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂を主成分とする接着剤(帝国インキ社製「IMB−003」)を用い、接着層の厚さを4μmとした。
以上の工程によって形成された加飾フィルムを成形金型内に固定した。
ここで、加飾フィルム1を成形金型23内に固定する前に、位置合わせ穴29を、加飾フィルム1の端部(成形後ダミー部分19となる位置)に設けた。そして、位置合わせ穴29と成形金型23の固定ピン31とを合わせて、上記の位置合わせを行った。
なお、溶融樹脂を射出する前には、加飾フィルム1のプレフォームを、成形金型23内にて行った。
上記のプレフォームを行った加飾フィルム1を固定した状態で型閉めを行い、加飾フィルム1の接着層9側に240℃、射出速度100mm/秒の条件にて溶融したアクリル樹脂(三菱レイヨン社製「アクリペット」)を射出した。
次に、射出した溶融樹脂を固化させて得られた中間加飾成形品15の、周囲に残ったバリをトリミングし、さらに、ダミー部分19を断裁して除去し、バリ取りの仕上げを行って加飾成形品13を得た。
そして、以上のように製造した加飾成形品13と、加飾成形品13の製造方法により、オフセット印刷による細やかな階調性を有する加飾フィルムを得ることが可能であることが検証された。
本発明の成形品の構造及びその製造方法を用いることにより、高精細な階調意匠を有するプラスチック成形品を、少数多柄短納期という条件で製造できるようになる。携帯電話、パソコンなど電子機器のプラスチック筐体のほか、化粧品容器、おもちゃなどのプラスチック成形品への表面加飾への応用ができる。
1…加飾フィルム
3…基材フィルム
5…パターン層
7…耐熱層
9…接着層
10…発泡剤
11…成形樹脂
13…加飾成形品
15…中間加飾成形品
17…加飾部
19…ダミー部分
21…挿通孔
23…成形金型
25…雌型
27…雄型
29…位置合わせ穴
31…固定ピン
33…注入口

Claims (4)

  1. 基材フィルムの面上に、少なくともパターン層、耐熱層の順で積層されて形成された加飾フィルムであって、
    前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムのいずれか1つ、もしくは2種以上の複合フィルムで形成され、
    前記耐熱層は、少なくとも発泡剤を含むシルクスクリーン印刷用インキで生成され、
    前記パターン層は、オフセット印刷によって積層され、
    前記耐熱層は、シルクスクリーン印刷によって積層されていることを特徴とする加飾フィルム。
  2. 前記耐熱層は、少なくとも顔料と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を混合した混合物、または少なくとも顔料とポリエステル樹脂を混合した混合物から生成されるインキに対し、外殻が熱可塑性高分子、内包物が常温で液体である炭化水素から成るマイクロカプセル型発泡剤を質量比30%以下の割合で含む混合物で生成され、
    前記パターン層は、少なくとも顔料と、紫外線硬化型樹脂を混合した混合物で生成され、
    前記耐熱層の厚さは、10μm以上50μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載した加飾フィルム。
  3. 前記耐熱層の面上に積層された接着層を備え、
    前記接着層は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂のうち少なくとも一つを含んで生成され、
    前記接着層の厚さは、3μm以上10μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した加飾フィルム。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載した加飾フィルムと、前記接着層の面上に積層された成形樹脂とを備えた加飾成形品であって、
    前記加飾フィルムと前記成形樹脂は、インサート成形、または真空成形によって固着されていることを特徴とする加飾成形品。
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