JP2001293781A - 加飾シート積層金属成形品の製造方法 - Google Patents

加飾シート積層金属成形品の製造方法

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JP2001293781A
JP2001293781A JP2000111095A JP2000111095A JP2001293781A JP 2001293781 A JP2001293781 A JP 2001293781A JP 2000111095 A JP2000111095 A JP 2000111095A JP 2000111095 A JP2000111095 A JP 2000111095A JP 2001293781 A JP2001293781 A JP 2001293781A
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Hajime Takemura
肇 竹村
Seiichi Yamazaki
成一 山崎
Kenichi Masaki
健一 正木
Tadahiro Ito
忠広 伊藤
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Nissha Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 立体形状を有する金属成形品に対して多色の
複雑な図柄などであっても少ない工程で容易に加飾で
き、異物付着やピンホールが生じることなく金属成形品
の表面を確実に覆うことができる加飾シート積層金属成
形品の製造方法を提供する。 【解決手段】 立体形状を有する金属成形品2の上に少
なくとも基体シート10からなる加飾シート1を配置
し、加飾シート1の上方空間に加圧媒体を作用させて加
飾シート1を加圧するか、加飾シート1の下方空間を減
圧することにより、加飾シート1の上下間に圧力差を発
生させて加飾シート1を変形させて金属成形品2の表面
に密着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属成形品の表
面に加飾シートを接着することで、金属成形品表面に文
字や絵柄など加飾したり、保護機能を有する被覆を形成
したりする加飾シート積層金属成形品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、立体形状を有する金属成形品へ加
飾する方法としては、印刷法、塗装法、水圧転写法、昇
華転写法のような方法があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、印刷法として
一般的な凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、スクリ
ーン印刷法は、凹凸の大きい面には印刷できず、多色印
刷の場合は各色ごとに乾燥工程が必要となり生産性が低
いという問題があった。その点、タンポ印刷法は、凹凸
面に対して印刷可能であるが、多色印刷の場合はやはり
各色ごとに乾燥工程が必要で生産性が低いという問題が
あった。また、マグネシウムやアルミニウムなどの錆び
やすい金属成形品を用いる場合は、化成処理や陽極酸化
処理が必要であったり、印刷層と金属成形品との密着性
を高めるためにプライマー層が必要であったりするとい
う問題があった。
【0004】また、塗装法は、多色で塗り分けるために
はマスキング工程が必要であったり、複雑な図柄を形成
するのが困難であったりするという問題があった。
【0005】また、水圧転写法は、図柄と金属成形品の
形状との位置合わせが困難であり、また塗装皮膜のよう
な金属保護膜としての機能に欠けるため、別途アンダー
コート層やオーバーコート層の形成工程が必要になると
いう問題があった。
【0006】また、昇華転写法は、アルミニウム成形品
を用いる場合を除き、被染着層の形成が必要であり、ま
た、オーバーコート層の形成が必要であるという問題が
あった。
【0007】さらに、上記したいずれの方法にも湿式工
程があり、異物付着やピンホールが生じると耐食性を低
下させるため、歩留まりが低くなり生産性が落ちるとい
う問題があった。
【0008】したがって、この発明は、上記のような問
題点を解消し、立体形状を有する金属成形品に対して多
色の複雑な図柄などであっても少ない工程で容易に加飾
でき、異物付着やピンホールが生じることなく金属成形
品の表面を確実に覆うことができる加飾シート積層金属
成形品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するため、以下のように構成した。
【0010】すなわち、この発明の加飾シート積層金属
成形品の製造方法は、立体形状を有する金属成形品の上
に少なくとも基体シートからなる加飾シートを配置し、
加飾シートの上方空間に加圧媒体を作用させて加飾シー
トを加圧し、および/または、加飾シートの下方空間を
減圧して、加飾シートの上下間に圧力差を発生させて加
飾シートを変形させ金属成形品の表面に密着するように
構成した。
【0011】また、上記の発明において、金属成形品
が、マグネシウム合金、アルミニウム合金、亜鉛合金の
いずれかからなるように構成してもよい。
【0012】また、上記の発明において、金属成形品ま
たは加飾シートの少なくとも一方の表面が、粗化または
エンボス加工されたものであるように構成してもよい。
【0013】また、上記の発明において、金属成形品ま
たは加飾シートの少なくとも一方に、接着層、図柄層、
金属層、金属酸化物層、金属化合物層の少なくとも一つ
が全面または部分的に形成されるように構成してもよ
い。
【0014】また、上記の発明において、金属成形品の
表面が、化成処理層、陽極酸化層、金属層、塗料層、印
刷インキ層のうちの少なくとも一つが形成された部分と
金属成形品が露出した部分とを有し、これらの部分の全
面または一部に加飾シートを積層するように構成しても
よい。
【0015】また、上記の発明において、金属成形品の
表面に、塗装膜が形成され、塗装膜が加飾シートとの接
着層を兼ねるように構成してもよい。
【0016】また、上記の発明において、金属成形品の
表面が、光沢研磨加工またはヘアライン加工されたもの
であるように構成してもよい。
【0017】また、上記の発明において、基体シートの
全光線光学透過率が80%以上であるように構成しても
よい。
【0018】また、上記の発明において、基体シート
が、染料、顔料、紫外線吸収剤の少なくとも一つを含有
するように構成してもよい。
【0019】また、上記の発明において、加飾シート
が、複数の基体シートを積層したものであるように構成
してもよい。
【0020】また、上記の発明において、加飾シート
が、金属成形品と接しない側の面にハードコート層を有
するように構成してもよい。
【0021】また、上記の発明において、加飾シート
が、光学反射制御層を有するように構成してもよい。
【0022】また、上記の発明において、加飾シート
が、厚さ10〜3000μmであるように構成してもよ
い。
【0023】また、上記の発明において、加飾シート
が、積層後の不要部分との境界線またはその近傍にハー
フカットまたはトリミングラインを有するように構成し
てもよい。
【0024】また、上記の発明において、接着層、図柄
層、金属薄膜層、金属酸化物層の少なくとも一つが、加
飾シートにおいて、加飾シートと金属成形品とが積層さ
れる部分の面積の200%以下であるように構成しても
よい。
【0025】また、上記の発明において、加飾シートの
金属成形品への固定が、金属成形品と加飾シートとの間
に接着剤または粘着剤を介在させることにより行われる
ように構成してもよい。
【0026】また、上記の発明において、加飾シートの
金属成形品への固定が、加飾シートの表面を溶着させる
ことにより行われるように構成してもよい。
【0027】また、上記の発明において、加飾シートの
金属成形品への固定が、加飾シートが金属成形品を覆い
込むように変形させるように構成してもよい。
【0028】また、上記の発明において、加飾シートま
たは金属成形品の少なくとも一方を昇温するように構成
してもよい。
【0029】また、上記の発明において、金属成形品上
で、加飾シートが金属成形品と接する部分と接しない部
分とが存在し、必要に応じて加飾シートが金属成形品と
接しない部分に別の部品を配置するように構成してもよ
い。
【0030】また、上記の発明において、金属成形品が
テーブル上に載置され、テーブルが上下して加飾シート
の不要部分を切断するように構成してもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】図面を参照しながらこの発明の実
施の形態について詳しく説明する。
【0032】図1〜2は、この発明の加飾シート積層金
属成形品の製造方法の一実施例を示す断面図である。図
3は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
に用いる金属成形品の一実施例を示す斜視図である。図
4は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
に用いる金属成形品の一実施例を示す断面図である。図
5は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。図
6は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
の一実施例を示す断面図である。図7は、この発明の加
飾シート積層金属成形品の製造方法によって得られた加
飾シート積層金属成形品の一実施例を示す断面図であ
る。図8は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製
造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図であ
る。図9は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製
造方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一
実施例を示す断面図である。図10は、この発明の加飾
シート積層金属成形品の製造方法の一実施例を示す断面
図である。図11〜14は、この発明の加飾シート積層
金属成形品の製造方法によって得られた加飾シート積層
金属成形品の一実施例を示す断面図である。図15は、
この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法によっ
て得られた加飾シート積層金属成形品の一実施例を示す
斜視図である。図16〜17は、この発明の加飾シート
積層金属成形品の製造方法によって得られた加飾シート
積層金属成形品の一実施例を示す断面図である。図18
は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法に
用いる金属成形品の一実施例を示す斜視図である。図1
9は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。図
20は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実施
例を示す断面図である。図21は、この発明の加飾シー
ト積層金属成形品の製造方法によって得られた加飾シー
ト積層金属成形品の一実施例を示す斜視図である。図2
2は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法
に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。図
23は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実施
例を示す断面図である。図24は、この発明の加飾シー
ト積層金属成形品の製造方法に用いる加飾シートの一実
施例を示す断面図である。図25は、この発明の加飾シ
ート積層金属成形品の製造方法によって得られた加飾シ
ート積層金属成形品の一実施例を示す断面図である。図
26は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法に用いる加飾シートの一実施例を示す平面図および断
面図である。図27は、この発明の加飾シート積層金属
成形品の製造方法によって得られた加飾シート積層金属
成形品の一実施例を示す断面図である。図28〜29
は、この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方法の
一実施例を示す断面図である。
【0033】図中、1は加飾シート、2は金属成形品、
3は加飾シート積層金属成形品、4は積層装置、10は
基体シート、11は図柄層、12は接着層、13は第二
の基体シート、14は非印刷部、15は抜き文字部分、
16は染料、17は紫外線吸収剤、18は低反射層、1
9はハードコート層、20は金属薄膜層、21は化成処
理層、22はクラック、24は巣、25は外面または表
側、26は内面または裏側、27はラッカー層、28は
プライマー層、29は光沢研磨加工面、31はアクリル
板、32は両面粘着テープ、33は透明開口部、34は
LED発光素子、35は空隙、36は粗化部分、37は
エンボス加工部分、41は上容器、42は下容器、43
はテーブル、44は回転軸、45はXY移動手段、46
は上下移動手段、47は支持板、48は上容器上下移動
兼締付手段、49はサポート治具、51はリークバル
ブ、52は排気バルブ、53は高圧ガス注入バルブ、5
4は温調ガス注入バルブである。
【0034】この発明の加飾シート積層金属成形品23
の製造方法は、立体形状を有する金属成形品2の上に少
なくとも基体シート10からなる加飾シート1を配置
し、加飾シート1の上方空間に加圧媒体を作用させて加
飾シート1を加圧するか、加飾シート1の下方空間を減
圧することにより、加飾シート1の上下間に圧力差を発
生させて加飾シート1を変形させて金属成形品2の表面
に密着する方法である(図1〜2参照)。
【0035】金属成形品2としては、立体形状を有する
ものを用いる。このような高低差を有する立体形状の金
属成形品2は、印刷法などによる加飾の適用が困難であ
るが、加飾シート1を適用することにより、多色の複雑
な図柄などであっても、少ない工程で立体形状を有する
金属成形品2に対して容易に加飾でき、異物付着やピン
ホールが生じることなく金属成形品2の表面を確実に覆
うことができる。
【0036】金属成形品2としては、その素材が、鉄、
銅、金、アルミニウム、クロム、マグネシウム、マンガ
ン、ニッケル、鉛、白金、スズ、チタン、タングステ
ン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデンなど、またはこれ
らの合金からなるものを用いるとよい。
【0037】特に、金属成形品2がマグネシウム合金、
アルミニウム合金、亜鉛合金のいずれかであるのが好ま
しい。これらの金属成形品2は、情報家電製品、自動車
用部品、雑貨関係などで使用が増え、プレス、ダイキャ
スト、チクソモールディング(THIXOMOLDIN
G、登録商標)などの方法で凹凸を有する立体形状に成
形されているが、表面欠陥の修正の必要性、加飾工程の
メッキおよび塗装の生産性や品質の低さや環境問題、立
体表面全面への複雑な図柄を直接印刷する困難さなどが
あり、これらの要求に対応することができる。
【0038】具体的には、次のような金属成形品2を用
いることができる。たとえば、携帯電話機用筐体、ノー
トパソコン用筐体、ポータブルMDプレーヤー用筐体、
ビデオカメラ用筐体などである。
【0039】また、金属成形品2の表面を粗化またはエ
ンボス加工したものであってもよい。表面積を増加させ
ることにより、接着強度を向上させることができ、ま
た、金属成形品2表面の欠陥を除去または緩和すること
ができる。粗化またはエンボス加工は、ブラスト、エン
ボス加工などの手段によるとよい。
【0040】また、金属成形品2の表面は、バフ仕上げ
や電解研磨などの光沢研磨加工や、ヘアライン加工した
ものであってもよい。金属光沢調やヘアライン調の加飾
効果を得ることができる。
【0041】また、金属成形品2の表面に、接着層1
2、粘着層、塗料層、印刷インキ層、金属層、金属酸化
物層、金属化合物層の少なくとも一つを全面または部分
的に形成してもよい。通常、金属成形品2の凹凸の激し
い面に印刷法などでこれらの層を形成するのは困難であ
る。しかし、たとえば接着層12を形成するために樹脂
を溶剤で希釈してコーティングすると、その溶剤によっ
て加飾シート1の基体シート10が侵されるなど、材料
上や工法上の理由によって加飾シート1にこれらの層を
形成するのが困難である場合は、金属成形品2の表面に
これらの層を形成してもよい。接着層12、粘着層、塗
料層は、吹付け塗装法、粉体塗装法、ディッピング法、
ブラスト法などよって塗布するとよい。また、金属層
は、金属成形品2とは異なる種類の金属を、湿式メッキ
法、溶射法、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、塗装
法などで形成するとよい。そのような金属の種類として
は、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、鉛、金、銀、
インジウムなどがある。
【0042】また、金属成形品2の表面に、プライマー
層28、中塗り層などの塗装膜を形成し、塗装膜が加飾
シート1との接着層12を兼ねるようにしてもよい。プ
ライマー層28は、金属成形品2と加飾シート1との接
着強度改善、成形欠陥補修効果、耐食性確保のために形
成する層である。また、加飾シート1として透明フィル
ムを積層すると、クリアコート代替の効果を発揮できる
ため、中塗り層は、金属成形品2の着色層として利用す
ることとなる。また、加飾シート1との接着層12とし
て機能させることもできる。
【0043】また、金属成形品2上に形成する接着層1
2、塗料層、印刷インキ層などの厚さを大きくすること
で、金属成形品2表面の凹凸欠陥や加飾シート1の貼り
合わせ時に混入する異物による凹凸を目立たなくするこ
とができる。各層の流動性を調整したりフィラーなどを
スペーサーとして配合したりすることにより、これらの
各層の厚さを大きくするとよい。
【0044】加飾シート1の構成は、通常は、基体シー
ト10上に、図柄層11などの加飾層が設けられたもの
である。
【0045】基体シート10の材質としては、アクリル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、
塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの少なくとも
一つを含むのが好ましい。これらのうち、成形性に優れ
るのは、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であ
る。また、透明性に優れるのは、アクリル系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂である。ま
た、耐候性に優れるのは、アクリル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂である。また、耐溶剤、薬品性に優れるのは、
ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニ
ル系樹脂である。
【0046】また、基体シート10単独の全光線光学透
過率が80%以上であってもよい。加飾シート1の金属
成形品2と接する側または金属成形品2の表面に加飾層
を形成した場合、基体シート10の透明性が優れるの
で、金属成形品2と加飾シート1との間に存在する加飾
層が見える。また、金属成形品2の金属素地が見えるよ
うなデザインとすることも可能である。
【0047】また、加飾シート1の基体シート10が、
染料16、顔料、紫外線吸収剤17の少なくとも一つを
含有したものであってもよい。染料16や顔料で基体シ
ート10自体を着色することにより、コーティングや印
刷での着色が不要で、容易に色替えが可能となる。ま
た、有色透明層を重ねることになるので、カラークリア
層効果で色の深みが増す。また、紫外線吸収剤17を基
体シート10が含有することにより、紫外線を吸収させ
て、基体シート10自体や基体シート10に含有される
染料16などの内部の物質、あるいは、基体シート10
の下に位置する図柄層11や接着層12などの劣化を防
止することができる。
【0048】また、加飾シート1が、複数の基体シート
10、13を積層したものであってもよい。たとえば、
外観は優れるがもろくて巻き取り難いアクリルフィルム
を第一の基体シート10とし、薄くても強靭なポリエチ
レンテレフタレートフィルムを第二の基体シート13と
し、これらを積層したものなどを用いることができる。
また、複数の基体シート10、13の間に、接着層1
2、塗料層、図柄層11、金属層、金属酸化物層、金属
酸化物層の少なくとも一つが全面または部分的に存在す
るように構成してもよい。複数の基体シート10、13
でこれらの層を挟み込むことによりこれらの層を保護す
ることができる。
【0049】加飾層は、基体シート10上に、通常は印
刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ア
クリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタ
ール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロース
エステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダー
とし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有す
る着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法として
は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印
刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。印刷層
は、表現したい図柄に応じて、全面的に設ける場合や部
分的に設ける場合もある。
【0050】また、加飾層は、金属薄膜層20からなる
もの、あるいは印刷層と金属薄膜層20との組み合わせ
からなるものでもよい。金属薄膜層20は、加飾層とし
て金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法な
どで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミ
ニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、
インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、こ
れらの合金、金属酸化物、金属化合物などを使用するこ
とができる。金属薄膜層20は部分的に形成してもよ
い。また、金属薄膜層20を設ける際に、金属薄膜層2
0の密着性を向上させるために、アンカー層を設けても
よい。
【0051】また、加飾シート1には必要に応じて接着
層12を設けてもよい。接着層12は、金属成形品2の
表面に加飾シート1を接着するものである。接着層12
は、全面的または部分的に形成することができる。接着
層12としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノー
ル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニ
ル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタンゴム、クロロプ
レンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエン系ゴム、
天然ゴムなどを使用すればよい。接着層12の形成方法
としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマ
コート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン
印刷法などの印刷法がある。また上記の材質からなる接
着性を持つシートをラミネート法などにより貼り合せて
接着層12とすることも可能である。なお、後に述べる
ように、加飾シート1を金属成形品2に積層する際に接
着剤を塗布して接着層12とする場合は、加飾シート1
に接着層12を設ける必要はない。
【0052】また、必要に応じてハードコート層19を
形成してもよい。ハードコート層19は、加飾シート1
を保護するための層である。ハードコート層19を得る
には、既知の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線
硬化性樹脂、金属酸化物などの層を形成するとよい。ま
た、表面硬化したフィルムやアクリルフィルムのような
比較的固いフィルムを積層してハードコート層19とす
ることができる。
【0053】また、必要に応じて光学反射制御層を形成
してもよい。金属薄膜層、金属化合物層、金属酸化物層
などを設けることにより、ミラーや干渉薄膜などの光学
反射制御層として作用させることができる。また、低屈
折率樹脂層、金属フッ化物層、金属酸化物層などを設け
ることにより、反射低減などの光学反射制御層として作
用させることができる。
【0054】加飾シート1の構成は、上記した態様に限
定されるものではなく、たとえば、加飾シート1は、基
体シート10のみからなるものであってもよい。また、
加飾層の材質として金属成形品2との接着性に優れたも
のを使用する場合には、接着層12を省略してもよい。
また、加飾層に隠蔽が必要な場合は、隠蔽層を設けても
よい。隠蔽層は、加飾層と同様にして形成するとよい。
【0055】加飾シート1の金属成形品2と接する側の
面に加飾層を形成すると、加飾シート1の積層後は加飾
層が基体シート10と金属成形品2との間にサンドイッ
チされる構造となるので、加飾層を保護することができ
る。この際、基体シート10が透明であればクリアコー
トの代替ができ、光沢のある高級感ある加飾を容易に得
ることができる。
【0056】加飾シート1の厚さは、好ましくは10〜
3000μm、さらに好ましくは25〜1000μmで
あるとよい。この範囲内であれば、加飾シート1が金属
成形品2の凹凸への追従性に優れる。また、加飾シート
1が透明である場合は、その厚みにより立体感や深みを
表現することができる。厚さ10μmに満たないと、金
属成形品2の成形欠陥や研磨による凹凸が、加飾シート
1表面に再現されやすい。また、3000μmを越える
と、金属成形品2の凹凸への追従性が劣り高コストのも
のとなる。
【0057】また、加飾シート1が、積層後の不要部分
との境界線またはその近傍にハーフカットまたはトリミ
ングラインを有するものであってもよい。ハーフカット
は、打ち抜き機やプレス機を用いて形成でき、ハーフカ
ットにより加飾シート1の不要部分の切断除去が容易に
なる。また、トリミングラインは、基体シート10を少
し劣化するインキまたは溶剤をトリミングライン状に印
刷法やディスペンサを用いる方法などで形成でき、基体
シート10を侵し、割りやすくすることによって、加飾
シート1の不要部分の切断除去が容易になる。特に、ア
クリルフィルムやポリカーボネートフィルム、PET−
Gは、溶剤に弱いのでこのような手段に好適である。
【0058】また、接着層12、粘着層、塗料層、印刷
インキ層、金属層、金属酸化物層の少なくとも一つが、
加飾シート1と金属成形品2とが積層される部分の面積
の200%以下であるように構成してもよい。これらの
層が加飾シート1上に形成される面積を制限することに
よって、各層を構成する材料を節約することができる。
また、不要となって切断除去する部分にこれらの層が付
着することを抑えることができるので、加飾シート1の
切断除去部分のリサイクルが容易になる。
【0059】また、加飾シート1上に形成する接着層1
2、塗料層、印刷インキ層などの厚さを大きくすること
で、金属成形品2表面の凹凸欠陥や金属成形品2との貼
り合わせ時に混入する異物による凹凸を目立たなくする
ことができる。各層の流動性を調整したりフィラーなど
をスペーサーとして配合したりすることにより、これら
の各層の厚さを大きくするとよい。
【0060】このように、加飾シート1は、コーティン
グ、印刷、金属や金属酸化物、金属化合物により、全面
または部分的に着色、図柄形成、表面硬化、その他機能
のうちの少なくとも一つが付与されたものとなる。
【0061】金属成形品2の上に、加飾シート1を配置
する。
【0062】加飾シート1が、木目模様や砂目模様のよ
うな抽象的な図柄ではなく、金属成形品2の形状に対応
した具体的な図柄を有する場合は、加飾シート1と成形
品を位置合わせする。たとえば、金属成形品2が携帯電
話機用筐体であって、加飾シート1が携帯電話機用の図
柄を有する場合、ボタン部分などの所定の位置に文字、
図柄が位置し、液晶表示窓の位置に加飾シート1の透明
窓部分が位置するように配置する。
【0063】また、図柄層11の形成面積を必要最小限
にできるので、図柄層11を形成する材料の消費量は低
減する。また、不要部分として除去された加飾シート1
には図柄層11が形成されないので、リサイクルも容易
となる。
【0064】加飾シート1の上方空間に加圧媒体を作用
させて加飾シート1を加圧するか、加飾シート1の下方
空間を減圧することにより、加飾シート1の上下間に圧
力差を発生させて加飾シート1を変形させて金属成形品
2の表面に密着する(図1〜2参照)。
【0065】たとえば、密閉容器内に金属成形品2を配
置し、その上に加飾シート1が密閉容器を上下に分割す
るように配置し、加飾シート1を境にして加飾シート1
の上方空間に存在する加圧媒体の圧力が、加飾シート1
の下方空間の圧力よりも高くなるように構成すること
で、金属成形品2の表面に加飾シート1を密着させるこ
とができる。
【0066】金属成形品2は、下方空間内に設けたテー
ブル43上に固定するとよい。金属成形品2を固定する
には、真空吸着手段や機械的固定手段を用いるとよい。
また、形状の異なる複数の種類の金属成形品2を用いる
場合は、テーブル43上に、それぞれの金属成形品2の
形状に合致させたサポート治具49をテーブル43上に
固定し、サポート治具49に金属成形品2を載せるよう
に構成してもよい。
【0067】加圧媒体としては、空気や窒素ガスなどの
気体、水やオイルなどの液体、ゴムやエラストマーなど
の固体を用いることができる。
【0068】下方空間を減圧すると、加飾シート1を金
属成形品2に密着させる力が作用するとともに、加飾シ
ート1と金属成形品2との間に存在する空気や、接着
剤、塗料からの残留溶剤、反応生成ガスや、小さな異物
を除去することができ、泡噛みや異物混入を防ぐことが
できる。
【0069】また、上方空間を加圧しても、上記と同様
の効果を得ることができる。また、下方空間を減圧する
とともに上方空間を加圧すると、下方空間の減圧または
上方空間の加圧のみでは変形性が乏しい加飾シート1で
あっても、金属成形品2により強く密着させることがで
きる。
【0070】金属成形品2と加飾シート1との間に接着
層12を介在させることによって、金属成形品2に加飾
シート1を固定することができる。接着層12は、先に
述べたように加飾シート1上に形成するほか、接着剤や
粘着剤を金属成形品2に、吹付け塗装法、刷毛塗り法、
粉体塗装法、ディッピング法、ブラスト法、タンポ印刷
法、カーテンコート法などによって塗布することができ
る。接着層12は、金属成形品2上に全面的または部分
的に形成することができる。接着剤としては、熱硬化性
接着剤、熱可塑性接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線
硬化型接着剤、二液型常温接着剤などを用いるとよい。
【0071】また、加飾シート1表面を溶着させること
によって、加飾シート1を金属成形品2に接着すること
ができる。加飾シート1自体が接着作用を発揮するの
で、接着剤の塗布工程が不要となる。具体的には、加飾
シート1上に、溶着によって接着機能を発揮する図柄層
11などを形成するとよい。また、加飾シート1が基体
シート10のみからなる場合は、基体シート10を融着
させるとよい。
【0072】また、加飾シート1が金属成形品2を覆い
込むよう成形することによって、金属成形品2に加飾シ
ート1を固定することができる(図11〜13参照)。
他の固定手段に加えてこのような手段を兼用すると、加
飾シート1融着や接着剤、粘着剤の接合強度を補うこと
ができ、また、接着層12を部分的に形成することによ
り、接着剤の使用量を低減することができ、また、リサ
イクル時に成形品と加飾シート1を分離するのも容易に
なる。
【0073】また、加飾シート1の変形と密着を促進す
るため、加飾シート1または金属成形品2の少なくとも
一方を昇温してもよい。加飾シート1を昇温すると、加
飾シート1そのものを軟化するのと同時に、接着剤や粘
着剤の接着性や流動性を高めることができる。また、金
属成形品2を昇温すると、加飾シート1の軟化が促進さ
れ、また、接着剤の粘着性、流動性を活性化するので、
加飾シート1の変形工程や加飾シート1と金属成形品2
との接着工程の時間を短縮することができる。また、金
属成形品2が昇温されていると、昇温された加飾シート
1が金属成形品2と接触したときに加飾シート1が冷却
されるのを防ぐことができる。
【0074】金属成形品2の昇温手段として、雰囲気加
熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波誘導加熱などを用いる
とよい。高周波誘導加熱は金属成形品2を選択的に短時
間で昇温できる。昇温は、加圧時または減圧時、あるい
は、加圧または減圧の前に行うとよい。
【0075】加飾シート1の金属成形品2と接する側の
面に、加飾層を形成すると、基体シート10が保護層、
絶縁層、クリアオーバーコート層などとして機能するこ
とになり、また、加飾シート積層金属成形品23の表面
の艶向上が図れる。
【0076】また、金属成形品2の表面に、化成処理層
21、陽極酸化層、金属層、塗料層、印刷インキ層のう
ちの少なくとも一つがある部分と金属成形品2が露出し
た部分とが存在し、これらの部分の全面または一部に加
飾シート1を積層してもよい。化成処理層21、陽極酸
化層は、金属の耐食性確保、金属と塗装膜やフィルムの
接着強度改善のために形成する層である。金属成形品2
の外面に、化成処理層21、陽極酸化層、金属層、塗料
層、印刷インキ層を設けないことにより、金属素地が加
飾シート1の透明部分を介して見えるようにできる。実
際の工法としては、マスキング塗装したり全面処理後に
表面を研磨したりすることにより、金属成形品2の地肌
を出すことができる。このようにして、処理層、陽極酸
化層、メッキ層は、金属成形品2内面のみとし、外面は
金属成形品2の素地が加飾シート1の透明部分を介して
全面的または部分的に見えるようにすることができる。
【0077】また、同一の金属成形品2上で、加飾シー
ト1が金属成形品2と接する部分と接しない部分とが存
在する場合、必要に応じて加飾シート1が金属成形品2
と接しない部分に別の部品を配置してもよい。加飾シー
ト1が金属成形品2と接しない部分は、たとえば、金属
成形品2が携帯電話機用筐体の場合、液晶表示窓となる
開口部分であり、加飾シート1を透明にすることにより
加飾シート1を通して内部の液晶ディスプレイを見るこ
とができる。その際、加飾シート1の液晶表示部に相当
する部分に透明樹脂を注型するか、透明樹脂やガラスの
成形品を、加飾シート1に密着または接近して取り付け
るとよい。
【0078】また、加飾シート1の表面を粗化またはエ
ンボス加工したものであってもよい。表面積を増加させ
ることにより、接着強度を向上させることができる。ま
た、光拡散機能によるノングレア効果を得ることができ
る。また、マット調の外観や、部分マット処理やエンボ
ス加工による文字や図柄を表現することもできる。粗化
またはエンボス加工は、ブラスト加工、エンボス加工、
マットインキ塗布などの手段によるとよい。
【0079】また、金属成形品2がテーブル43上に載
置され、テーブル43が上下して加飾シート1の不要部
分を切断するように構成してもよい(図28〜29参
照)。また、上下する治具を用い、加飾シート1をカッ
トまたは折り曲げるように構成してもよい。
【0080】
【実施例】(実施例1)金属成形品2として、外形寸法
50×50×5mm、肉厚0.8mmの弁当箱形状にチ
クソモールディング法で製作したマグネシウム合金AZ
91Dの成形品で、表面研磨後、全面にJIS規格MX
1化成処理を施したものを用いた(図3〜4参照)。
【0081】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmアクリルフィルムを基体シート10とし、その上に
図柄層11としてグラビア印刷法で銀色べた層を形成し
たものを用いた。図柄層11の面積は、金属成形品2の
表側の展開形状にほぼ相似させ、面積は加飾シート1全
体の200%以下となるようにした(図5参照)。
【0082】金属成形品2と加飾シート1とを積層する
ために、上下に分割可能な上容器41と下容器42とか
らなり、最高5.0×10Paの耐圧性を有する積層
装置4を用いた(図1〜2参照)。
【0083】上容器41と下容器42は、加飾シート1
を挟んで固定すると同時に、加飾シート1で積層装置4
を上下に仕切るよう構成される。上容器41と下容器4
2は、それぞれリークバルブ51、温度調整されたガス
注入口と開閉バルブ54、排気口と開閉バルブ52とを
備える。温度調整されたガスとして、実施例1では空気
を用いた。
【0084】上容器41は上下移動可能であり、容器内
部の圧力を上げた際に容器が開かないための締め付け機
構48を備える。上容器41は加圧媒体供給源に接続さ
れ、開閉バルブ53を備える。実施例1においては加圧
媒体として空気を用いた。
【0085】下容器42は、金属成形品2を載置して固
定し、上下、XY方向の移動と回転とが可能なテーブル
43を備え、加飾シート1と金属成形品2との間隔と向
きが調整できるように構成されている。また、真空吸引
口と排気バルブ52を備える。また、加飾シート1の不
必要な変形を抑えるための支持板47をテーブル43と
下容器42の周縁との間に備える。
【0086】以上のような積層装置4を用い、金属成形
品2と加飾シート1を積層する。
【0087】まず、金属成形品2に、接着剤として常温
硬化型エポキシ系接着剤を用いて刷毛塗りし、溶剤成分
を自然乾燥させて接着層2を形成した後、金属成形品2
をテーブル43上に載置した。
【0088】また、加飾シート1の図柄層11側を下面
として上容器41の周縁外側にレジスターピンで仮固定
した後、上容器41と下容器42を閉じて加飾シート1
を挟んで固定した(図1参照)。
【0089】次いで、上容器41と下容器42の排気口
のバルブ52を開けて、100℃の温風を温調ガス注入
バルブ54から1分間注入し、加飾シート1を軟化させ
るとともに、金属成形品2を昇温した。1分後、温風注
入を停止し、排気バルブ52を閉じた。
【0090】次いで、金属成形品2と加飾シート1との
最小間隔が5mmとなるようにテーブル43の高さを調
整した。また、上容器41のリークバルブ51を開放
し、加飾シート1と上容器41で囲まれた上容器41内
を大気圧とした。また、下容器42のリークバルブ51
を閉じた。
【0091】次いで、加飾シート1と下容器42で囲ま
れた下容器42内を排気バルブ52から真空ポンプで減
圧し、金属成形品2表面の残留溶剤を揮発させると同時
に泡かみを防止し、加飾シート1を加飾シート1の表裏
の圧力差で変形させて金属成形品2に接触させた後、減
圧を停止し、排気バルブ52を閉じた。
【0092】次いで、上容器41のリークバルブ51を
閉じ、上容器41内に加圧空気を注入し、内部圧力を
4.0×10Paとして、加飾シート1を金属成形品
2表面に完全密着させた(図2参照)。
【0093】次いで、加圧の20秒後に加圧空気のバル
ブ53を閉じた後、上容器41および下容器42のリー
クバルブ51を開放して上容器41内および下容器42
内を大気圧に戻した。
【0094】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。1時間放置して接着層12を硬化させた後、余分な
加飾シート1を切り取って加飾シート積層金属成形品2
3を完成した(図7参照)。
【0095】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、表面にアクリルフィルムの透明保護層を有
する銀色の美麗な加飾を有するものであった。
【0096】吹付け塗装法で形成する方法に比べ、加飾
シート1の金属成形品2への積層は、排出溶剤の発生、
異物の混入、ピンホールの発生が極めて少なく、環境へ
の影響、雰囲気による品質への影響も少ないものであっ
た。また、仮に加飾シート1の積層に失敗しても、接着
剤の硬化前であれば、加飾シート1を引き剥がすことに
より、金属成形品2を再利用できるものであった。ま
た、図柄層11を加飾シート1の全面ではなく、金属成
形品2表側の展開面積の200%以下としたので、印刷
インキ消費が節減できるとともに、加飾シート1の図柄
層11が形成されない部分はインキ層が存在しないの
で、リサイクル性が高いものであった(図6参照)。
【0097】(実施例2)加飾シート1として、厚さ
0.025mmのポリエステルフィルムを基体シート1
0とし、その上にグラビア印刷法にて大理石柄の図柄層
11を全面に形成し、その上にウレタン系接着剤を介し
て厚さ0.10mmのアクリルフィルムを第二の基体シ
ート13として貼り合わせたものを用いた(図8参
照)。
【0098】その他の条件は実施例1と同様にして加飾
シート積層金属成形品23を得た。
【0099】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、アクリルフィルム13より形状追従性の低
いポリエステルフィルム10が、金属成形品2の巣24
やクラック22などの凹凸欠陥に追従せず、上層のアク
リルフィルム13の表面を平滑面とするように機能した
ものであった(図9参照)。また、アクリルフィルム1
3は元来溶剤に弱いので、図柄層11の形成はポリエス
テルフィルム10に行うことにより、美麗な図柄を得る
ことができた。さらに、加飾シート1の接着剤が接する
面にポリエステルフィルム10があるので、強い溶剤を
含む接着剤を利用でき、金属成形品2との間で安定した
接着力が得られた。
【0100】(実施例3)金属成形品2として、外形寸
法100×100×5mm、肉厚0.8mmの弁当箱形
状にプレス成形法で製作したアルミニウム合金成形品
で、表面研磨後、全面陽極処理を施したものを用いた。
【0101】また、加飾シート1として、厚さ0.10
mmのポリカーボネイトフィルムを用いた。
【0102】積層装置4のテーブル43上には、金属成
形品2の内面寸法よりも外周が2mm小さくなる形状の
サポート治具49を固定した。
【0103】金属成形品2に、接着剤としてエポキシア
クリレート系紫外線硬化型接着剤を用い、ディスペンサ
ーで20mm四方につき直径1.0mmで1か所塗布す
るように接着層12を形成した。
【0104】その後の工程は実施例1と同様にして、加
飾シート1を金属成形品2に密着させたところ、加飾シ
ート1は、金属成形品2とサポート治具49間の隙間に
入り込み、加飾シート1が金属成形品2の内面にまで回
り込んで、加飾シート1が金属成形品2を覆い込む形状
となった(図10参照)。
【0105】次いで、金属成形品2を積層装置4から取
り出し、紫外線を照射して接着層12を硬化させた後、
余分な加飾シート1を切り取って加飾シート積層金属成
形品23を完成した(図11参照)。
【0106】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、金属成形品2上に加飾シート1がスポット
状に接着すると同時に、金属成形品2の下端部には加飾
シート1が廻り込んで覆い込むように変形されて固定さ
れたものであった。したがって、接着剤の塗布面積が最
小で、塗布箇所がスポット状でも加飾シート1の固定が
できて、接着剤の消費量を減らせるものとなった。ま
た、接着面積が小さいので、必要に応じて剥がしやす
く、リサイクルのために金属成形品2と加飾シート1と
を容易に分離できるものとなった。
【0107】(実施例4)金属成形品2として、外形寸
法100×100×5mm、肉厚0.8mmの弁当箱形
状であって底面中央には20×30mmの開口部がある
形状にチクソモールディング法で製作したマグネシウム
合金AZ91Dの成形品で、表面研磨後、JIS規格M
X1化成処理を施したものを用いた。
【0108】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmのアクリルフィルムを基体シート10とし、その上
に、黒文字と銀ベタとからなる図柄層11をグラビア印
刷法で形成し、次いで常温硬化型エポキシ系接着剤から
なる接着層12をスクリーン印刷法で形成し、乾燥した
ものを用いた。なお、図柄層11および接着層12は、
開口部に対応する18×28mmの部分を除いて形成し
た。
【0109】以上のような金属成形品2と加飾シート1
を用い、加飾シート1の開口部に対応する部分がテーブ
ル43上の金属成形品2の開口部に合致するように位置
合わせし、上容器41と下容器42で挟んで固定し、そ
の後の工程は接着剤を塗布しないこと以外は実施例1と
同様にして加飾シート1を金属成形品2に積層した。
【0110】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。6時間放置して接着層12を硬化させた後、周囲の
余分な加飾シート1を切り取った。
【0111】次いで、19.5×29.5×2mmで外
周につば部を有するアクリル板31を開口部の内面から
はめ込み、つば部を両面粘着テープ32で金属成形品2
に固定して加飾シート1の開口部に相当する部分を補強
して加飾シート積層金属成形品23を完成した(図1
4、15参照)。
【0112】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、表面に銀色アクリルフィルムからなる美麗
な保護層と印刷文字表示を有するものであり、金属成形
品2の開口部は、透明なアクリルフィルムの窓が形成で
き、これを通して液晶表示素子やEL発光素子を観察で
きるものであった。
【0113】(実施例5)金属成形品2として実施例4
と同様のものを用いた。
【0114】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmのポリエステルフィルムを基体シート10とし、ビ
ニルテープを文字状に切ったマスキングテープを加飾シ
ート1上に貼り付けた後に湿式ブラスト処理を行ってマ
スキングした部分以外を表面粗化して半透明とし、次い
で黒色インキからなるベタ膜をグラビア印刷法で形成し
て図柄層11とし、次いで接着剤としてポリエステル系
樹脂を用いグラビア印刷法で接着層12を形成したもの
を用いた。なお、図柄層11および接着層12は、開口
部に対応する18×28mmの部分を除いて形成した。
【0115】以上のような金属成形品2と加飾シート1
を用い、金属成形品2に対して接着剤を塗布しないこと
以外は実施例1と同様にして加飾シート1を金属成形品
2に積層した。
【0116】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。3時間放置して接着層12を硬化させた後、周囲の
余分な加飾シート1を切り取って加飾シート積層金属成
形品23を得た(図16参照)。
【0117】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、表面が黒色に着色され、ポリエステルフィ
ルムからなる美麗な保護層を有するものであった。ま
た、開口部は、乳白色のポリエステルフィルムの窓が形
成でき、これを通じて発光素子の光を拡散し、面光源的
な状態にできて、素子見えを軽減できるものであった。
【0118】金属成形品2と加飾シート1との接着強度
を確認するため、塗膜の付着力、凝集力試験に用いられ
る碁盤目密着試験をしたところ、100個/100個と
優れた密着性を有するものであった。なお、比較例とし
て、基体シート10にブラスト加工を行わないほかは実
施例5と同様にして加飾シート積層金属成形品23を得
たところ、碁盤目密着試験の結果は5個/100個とな
り、密着性に劣るものであった。
【0119】(実施例6)金属成形品2として実施例1
と同様のものを用いた。
【0120】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmのアクリルフィルムを基体シート10とし、その上
に抜き文字形状で黒インキ層を形成し、次いで全面的に
アルミニウムを蒸着して黒地に金属光沢色の文字を表現
する図柄層11とし、次いで文字部のみをダイヤカット
形状のエンボス加工し、裏面凹部を紫外線硬化性樹脂で
埋め、スキージングして面一とした後、紫外線照射して
硬化したものを用いた。
【0121】以上のような金属成形品2と加飾シート1
を用い、接着剤としてエポキシ樹脂系接着剤を金属成形
品2の表面に刷毛塗りした後は実施例1と同様にして加
飾シート1を金属成形品2に積層した。
【0122】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。3時間放置して接着層12を硬化させた後、周囲の
余分な加飾シート1を切り取って加飾シート積層金属成
形品23を得た(図17参照)。
【0123】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、表面にアルミニウムの高反射ダイヤカット
文字を有するものであった。従来は、個々のマグネシウ
ム合金成形品をダイヤカット切削加工していたが、切削
により内部巣24などの成形欠陥の出現による不良が発
生したり、また、切削面を透明化成処理していたが、透
明化成処理の性能が不十分でマグネシウムが黒変する問
題があったところ、これらの問題点を解消することがで
きた。
【0124】(実施例7)金属成形品2として、外形寸
法100×100×15mm、肉厚0.8mmの弁当箱
形状であって底面中央には20×30mmの開口部があ
る形状にチクソモールディング法で製作したマグネシウ
ム合金AZ91Dの成形品で、表面研磨後、JIS規格
MX1化成処理を施し、さらに外面のみウェットブラス
ト研磨したものを用いた(図18参照)。
【0125】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mm、全光線透過率92%の透明アクリルフィルムを基
体シート10とし、その上に抜き文字をグラビア印刷法
で形成して図柄層11とし、さらに接着剤としてアクリ
ル系UV硬化接着剤を用いてリップコート法で接着層1
2を形成したものを用いた。なお、図柄層11は、開口
部に対応する18×28mmの部分を除いて形成した
(図19参照)。
【0126】加飾シート1を130℃の雰囲気オーブン
で2分加熱後、直ちに加飾シート1の開口部に対応する
部分がテーブル43上の金属成形品2の開口部に合致す
るように位置合わせし、上容器41と下容器42で挟ん
で固定し、その後の工程は、接着剤の塗布と温風の注入
を行わないことのほかは実施例1と同様にして、加飾シ
ート1を金属成形品2に積層した。
【0127】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。紫外線を照射して接着層12を硬化させた後、周囲
の余分な加飾シート1を切り取って加飾シート積層金属
成形品23を得た(図20〜21参照)。
【0128】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、加飾シート1を加熱したので、深い絞りの
金属成形品2形状に追従性よく加飾シート1が積層され
たものであった。また、金属成形品2の表面に無色透明
なアクリルフィルムからなる美麗な保護層と印刷文字表
示を形成したので、マグネシウム合金素地を活かした美
しい外観を有するものであった。金属成形品2の外側
は、アクリルフィルムが保護層として機能し、金属成形
品2の内側は化成処理層21があるので、充分な耐食性
を有するものであった。
【0129】(実施例8)金属成形品2として実施例3
と同様のものを用いた。
【0130】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmの透明アクリルフィルム中に黄染料16とヒドロキ
シルフェニルベンゾトリアゾール紫外線吸収剤17とが
練り込まれたものを基体シート10とし、その上に文字
をグラビア印刷法で形成して図柄層11としたものを用
いた(図22参照)。
【0131】接着剤としてアクリル系接着剤を用い、金
属成形品2に吹き付け、溶剤を自然乾燥させた。その後
の工程は実施例1と同様にして加飾シート積層金属成形
品23を得た(図23参照)。
【0132】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、黄色透明なアクリルフィルムからなる美麗
な保護層を形成したので、印刷文字表示と塗膜を保護
し、金属成形品2の光沢との組み合わせで深みのある金
色の美しい外観を有するものであった。また、紫外線吸
収剤17が基体シート10中に含有されているので、染
料16の発色機能が保護されるものであった。
【0133】(実施例9)金属成形品2として、外形寸
法100×100×5mm、肉厚0.8mmの弁当箱形
状であって底面中央には20×30mmの開口部がある
形状にチクソモールディング法で製作したマグネシウム
合金AZ91Dの成形品で、表面研磨後、JIS規格M
X1化成処理を施し、さらにエポキシプライマー塗装と
アクリル系紺色ラッカー塗装を施したものを用いた。
【0134】また、加飾シート1として、厚さ0.15
mmのアクリルフィルムを基体シート10とし、その全
面に二酸化珪素と酸化チタンの膜を蒸着法で交互に積層
した低反射干渉膜18を形成し、次いで金属成形品2と
接する側の面に銀色の文字をグラビア印刷法で形成して
図柄層11としたものを用いた(図24参照)。
【0135】まず、金属成形品2を150℃に加熱昇温
してラッカー皮膜を軟化したのち、接着剤を塗布しない
こと以外は実施例1と同様にして処理し、最後に実施例
4と同様のアクリル板31を開口部の内面から固定し
て、加飾シート積層金属成形品23を得た(図25参
照)。
【0136】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、金属成形品2の着色にラッカー塗装を使用
したので、ラッカー層27が接着層12を兼用できたも
のであった。また、金属酸化物からなる低反射干渉膜1
8を形成した加飾シート1を積層したので、透明開口部
33の表面反射が減り、透過率が向上した。また、金属
成形品2表面を紺色としたので、青系干渉色の美しい外
観を有するものであった。なお、本実施例において、加
飾シート1の透明開口部33に、マスク蒸着、メッキ形
成後エッチングパターン化あるいは導電ペースト印刷に
より導電回路を形成すれば、加飾シート1をタッチパネ
ルや液晶の制御、駆動、表示回路などとしても利用でき
る。
【0137】(実施例10)金属成形品2として実施例
1と同様のものを用いた。
【0138】また、加飾シート1として、厚さ0.02
5mmのポリエステルフィルムを基体シート10とし、
その一方の面に、石目調図柄の図柄層11とウレタン系
接着剤からなる接着層12をグラビア印刷法で形成し、
他方の面にハードコート層19がグラビア印刷法で形成
されたものを、第二の基体シート13である厚さ0.1
0mmのアクリルフィルムと貼り合わせた積層フィルム
を用いた。
【0139】加飾シート1には、アクリルフィルムのみ
をトムソン加工で切断し、カットラインを形成した。カ
ットライン形状は、金属成形品2の表側展開形状より5
±2mm大きいほぼ相似形とした(図26参照)。
【0140】まず、金属成形品2の表面に常温硬化型エ
ポキシ系接着剤を刷毛で塗布、乾燥させた。
【0141】次いで、加飾シート1のアクリルフィルム
側が金属成形品2と密着するように、実施例1と同様に
して同様にして加飾シート1を金属成形品2に積層し
た。
【0142】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。6時間放置して接着層12を硬化させた後、周囲の
余分な加飾シート1を切り取り加飾シート積層金属成形
品23を得た。
【0143】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、追従性は低いが耐溶剤性のよいポリエステ
ルフィルムに印刷図柄とアクリルフィルム用接着層12
を形成し、厚くても形状追従性がよいが、耐溶剤性の低
いアクリルフィルムとの間に印刷層を配置したので、印
刷層が保護され、耐久性が向上したものであった。ま
た、ポリエステルフィルムは、ハードコート層19が形
成されているので、耐擦傷性に優れたものとなった。ま
た、厚いアクリルフィルムのみすでにカットしてあるの
で、余分な加飾シート1の粗カットは薄いポリエステル
フィルムのみで済み、加工性が向上した。
【0144】(実施例11)金属成形品2として、外形
寸法50×50×5mm、肉厚0.8mmの弁当箱形状
にチクソモールディング法で製作したマグネシウム合金
AZ91Dの成形品で、全面にJIS規格MX1化成処
理を施した後、#400、#1500相当のサテンバフ
にて順に研磨した後、#3000相当の研磨紙で空研ぎ
して鏡面化したものを用いた。
【0145】また、加飾シート1として、厚さ0.2m
mの透明アクリルフィルムを基体シート10としたもの
を用いた。
【0146】まず、接着剤としてアクリル系紫外線硬化
型接着剤を金属成形品2に吹き付けた。
【0147】その後の工程は、実施例1と同様にして加
飾シート1を金属成形品2に積層した。
【0148】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。紫外線を照射して接着層12を硬化させた後、周囲
の余分な加飾シート1を切り取り加飾シート積層金属成
形品23を得た(図27参照)。
【0149】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、マグネシウムが腐食しやすいために従来維
持できなかった鏡面金属光沢の維持可能な透明保護層を
有するものであった。また、吹付け塗装法に比し、厚み
のある透明層を形成できるので、奥行きがあり高級感の
あるものであった。
【0150】(実施例12)金属成形品2として実施例
1と同様のものを用いた。
【0151】また、加飾シート1として、厚さ0.02
5mmのポリエステルフィルムを基体シート10とし、
その一方の面に、石目調図柄の図柄層11とウレタン系
接着剤からなる接着層12をグラビア印刷法で形成し、
他方の面にハードコート層19がグラビア印刷法で形成
されたものを、第二の基体シート13として用いる厚さ
0.10mmのアクリルフィルムと貼り合わせたものを
用いた。
【0152】加飾シート1には、ポリエステルフィルム
10のみをトムソン加工で切断し、カットラインを形成
した。カットライン形状は、金属成形品2の表側展開形
状より1±0.5mm大きいほぼ相似形とした。
【0153】まず、金属成形品2の表面にエポキシ系接
着剤を刷毛で塗布、乾燥させた。
【0154】次いで、加飾シート1のアクリルフィルム
13側が金属成形品2と密着するように、実施例1と同
様にして同様にして加飾シート1を金属成形品2に密着
させた(図28参照)。この時、上容器41を加圧した
まますべてのバルブを閉じる。
【0155】次いで、金属成形品2を載せたテーブル4
3を下降させると、支持板47のテーブル43側端部に
より、金属成形品2周囲の加飾シート1が上側に折り曲
げられた状態となり(図29参照)、さらにテーブル4
3を下降させると金属成形品2に密着した加飾シート1
と支持板47上の加飾シート1との間に大きな張力が加
わり、折り曲げ部分から切断された。
【0156】次いで、上容器41と下容器42を開き、
加飾シート1が貼り付けられた金属成形品2を取り出し
た。6時間放置して接着層12を硬化させて加飾シート
積層金属成形品23を得た。
【0157】このようにして得た加飾シート積層金属成
形品23は、追従性は低いが耐溶剤性のよいポリエステ
ルフィルム10に図柄層11とアクリルフィルム13用
の接着層12を形成し、厚くても形状追従性がよいが耐
溶剤性に低いアクリルフィルム13との間に図柄層11
を配置したので、図柄層11が保護され、耐久性が向上
したものであった。また、ポリエステルフィルム10
は、ハードコート層19が形成されているので、耐擦傷
性に優れたものとなった。また、ポリエステルフィルム
10のみあらかじめカットしてあり、脆いアクリルフィ
ルム13は折り曲げの結果切断されるので、余白カット
の自動化が実現できた。
【0158】
【発明の効果】この発明の加飾シート積層金属成形品の
製造方法は、以上のような構成を採るので、以下のよう
な効果を奏する。
【0159】すなわち、立体形状を有する金属成形品の
上に少なくとも基体シートからなる加飾シートを配置
し、加飾シートの上方空間に加圧媒体を作用させて加飾
シートを加圧し、および/または、加飾シートの下方空
間を減圧して、加飾シートの上下間に圧力差を発生させ
て加飾シートを変形させ金属成形品の表面に密着するよ
うに構成したので、多色の複雑な図柄などであっても、
少ない工程で立体形状を有する金属成形品に対して容易
に加飾でき、異物付着やピンホールが生じることなく金
属成形品の表面を確実に覆うことができる加飾シート積
層金属成形品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法の一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法の一実施例を示す断面図である。
【図3】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法に用いる金属成形品の一実施例を示す斜視図である。
【図4】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法に用いる金属成形品の一実施例を示す断面図である。
【図5】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図6】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法の一実施例を示す断面図である。
【図7】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実施
例を示す断面図である。
【図8】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図9】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造方
法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実施
例を示す断面図である。
【図10】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法の一実施例を示す断面図である。
【図11】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図12】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図13】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図14】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図15】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す斜視図である。
【図16】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図17】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図18】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法に用いる金属成形品の一実施例を示す斜視図であ
る。
【図19】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図であ
る。
【図20】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図21】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す斜視図である。
【図22】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図であ
る。
【図23】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図24】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図であ
る。
【図25】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図26】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法に用いる加飾シートの一実施例を示す平面図および
断面図である。
【図27】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法によって得られた加飾シート積層金属成形品の一実
施例を示す断面図である。
【図28】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法の一実施例を示す断面図である。
【図29】この発明の加飾シート積層金属成形品の製造
方法の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加飾シート 2 金属成形品 3 加飾シート積層金属成形品 4 積層装置 10 基体シート 11 図柄層 12 接着層 13 第二の基体シート 14 非印刷部 15 抜き文字部分 16 染料 17 紫外線吸収剤 18 低反射干渉膜 19 ハードコート層 20 金属薄膜層 21 化成処理層 22 クラック 24 巣 25 外面または表側 26 内面または裏側 27 ラッカー層 28 プライマー層 29 光沢研磨加工面 31 アクリル板 32 両面粘着テープ 33 透明開口部 34 LED発光素子 35 空隙 36 粗化部分 37 エンボス加工部分 41 上容器 42 下容器 43 テーブル 44 回転軸 45 XY移動手段 46 上下移動手段 47 支持板 48 上容器上下移動兼締付手段 49 サポート治具 51 リークバルブ 52 排気バルブ 53 高圧ガス注入バルブ 54 温調ガス注入バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 忠広 京都府京都市中京区壬生花井町3番地 日 本写真印刷株式会社内 Fターム(参考) 4F211 AC03 AD03 AD05 AG03 SA02 SD01 SD16 SH10 SN01 SP17 SP45 4K044 AA01 AB05 AB10 BA02 BA06 BA08 BA10 BA12 BB02 BB10 BC04 BC09 CA11 CA13 CA14 CA17 CA53 CA64 CA67

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立体形状を有する金属成形品の上に少な
    くとも基体シートからなる加飾シートを配置し、加飾シ
    ートの上方空間に加圧媒体を作用させて加飾シートを加
    圧し、および/または、加飾シートの下方空間を減圧し
    て、加飾シートの上下間に圧力差を発生させて加飾シー
    トを変形させ金属成形品の表面に密着することを特徴と
    する加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属成形品が、マグネシウム合金、アル
    ミニウム合金、亜鉛合金のいずれかからなるものである
    請求項1に記載の加飾シート積層金属成形品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 金属成形品または加飾シートの少なくと
    も一方の表面が、粗化またはエンボス加工されたもので
    ある請求項1〜2のいずれかに記載の加飾シート積層金
    属成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属成形品または加飾シートの少なくと
    も一方に、接着層、図柄層、金属層、金属酸化物層、金
    属化合物層の少なくとも一つが全面または部分的に形成
    された請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート積層
    金属成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属成形品の表面が、化成処理層、陽極
    酸化層、金属層、塗料層、印刷インキ層のうちの少なく
    とも一つが形成された部分と金属成形品が露出した部分
    とを有するものであり、これらの部分の全面または一部
    に加飾シートを積層した請求項1〜4のいずれかに記載
    の加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属成形品の表面に、塗装膜が形成さ
    れ、塗装膜が加飾シートとの接着層を兼ねている請求項
    1〜5のいずれかに記載の加飾シート積層金属成形品の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 金属成形品の表面が、光沢研磨加工また
    はヘアライン加工されたものである請求項1〜6のいず
    れかに記載の加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】 基体シートの全光線光学透過率が80%
    以上である請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート
    積層金属成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 基体シートが、染料、顔料、紫外線吸収
    剤の少なくとも一つを含有したものである請求項1〜8
    のいずれかに記載の加飾シート積層金属成形品の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 加飾シートが、複数の基体シートを積
    層したものである請求項1〜9のいずれかに記載の加飾
    シート積層金属成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 加飾シートが、金属成形品と接しない
    側の面にハードコート層を有するものである請求項1〜
    10のいずれかに記載の加飾シート積層金属成形品の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 加飾シートが、光学反射制御層を有す
    るものである請求項1〜11のいずれかに記載の加飾シ
    ート積層金属成形品の製造方法。
  13. 【請求項13】 加飾シートが、厚さ10〜3000μ
    mである請求項1〜12のいずれかに記載の加飾シート
    積層金属成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】 加飾シートが、積層後の不要部分との
    境界線またはその近傍にハーフカットまたはトリミング
    ラインを有するものである請求項1〜13のいずれかに
    記載の加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  15. 【請求項15】 接着層、図柄層、金属薄膜層、金属酸
    化物層の少なくとも一つが、加飾シートにおいて、加飾
    シートと金属成形品とが積層される部分の面積の200
    %以下である請求項1〜14のいずれかに記載の加飾シ
    ート積層金属成形品の製造方法。
  16. 【請求項16】 加飾シートの金属成形品への固定が、
    金属成形品と加飾シートとの間に接着剤または粘着剤を
    介在させることにより行われる請求項1〜15のいずれ
    かに記載の加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  17. 【請求項17】 加飾シートの金属成形品への固定が、
    加飾シートの表面を溶着させることにより行われる請求
    項1〜16のいずれかに記載の加飾シート積層金属成形
    品の製造方法。
  18. 【請求項18】 加飾シートの金属成形品への固定が、
    加飾シートが金属成形品を覆い込むように変形させるこ
    とにより行われる請求項1〜17のいずれかに記載の加
    飾シート積層金属成形品の製造方法。
  19. 【請求項19】 加飾シートまたは金属成形品の少なく
    とも一方を昇温する請求項1〜18のいずれかに記載の
    加飾シート積層金属成形品の製造方法。
  20. 【請求項20】 金属成形品上で、加飾シートが金属成
    形品と接する部分と接しない部分とが存在し、必要に応
    じて加飾シートが金属成形品と接しない部分に別の部品
    を配置する請求項1〜19のいずれかに記載の加飾シー
    ト積層金属成形品の製造方法。
  21. 【請求項21】 金属成形品がテーブル上に載置され、
    テーブルが上下して加飾シートの不要部分を切断する請
    求項1〜20のいずれかに記載の加飾シート積層金属成
    形品の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005284809A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Xanavi Informatics Corp 表示装置
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WO2024010037A1 (ja) * 2022-07-07 2024-01-11 輝創株式会社 接合方法

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