JP3591719B2 - 成形用印刷シート及び押釦スイッチ用キートップ部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、押釦スイッチのキートップ、携帯電話等の筐体、液晶パネルカバー、付け爪等の多色プラスチック成形品に用いる成形用印刷シート及びこの成形用印刷シートを用いた押釦スイッチ用キートップ部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の多色プラスチック成形品は、予めスクリーン印刷法やグラビア印刷法、オフセット印刷法等によって印刷された成形用シートを使用して、真空成形や圧空成形、又は印刷フィルムを射出成形用金型にインサートし射出成形機によって樹脂を射出することによって、その樹脂の形状に沿った立体形状に成形する方法があった。
【0003】
また、昇華型熱転写による印刷は、樹脂シートに印刷するものとしては、2軸延伸ポリエステルフィルムにインキ受容層を塗布し、色素画像を印刷し、さらに傷つきや紫外線による変色を防止するためにインキ受容層の上に保護層を設けたものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形用シートにスクリーン印刷を用いた方法では、印刷意匠を印刷色に応じて版下と呼ばれるデザイン画を作り、さらに、これに対応するスクリーン版或いは凹版等を製作する必要があり、しかも文字、数字、符号(以下記号という)に応じた形状の印刷版を1色毎に用いるため、多色印刷の場合は使用する色数と同じ回数印刷しなければならず、手間がかかる割りには意匠性にも乏しく、高解像度の鮮明な写真、イラスト、絵等の印刷は事実上不可能であった。また、小ロット多品種印刷の場合は、製版費用がコスト高となるし、手数もかかり納期も長くなるし、デザイン変更に手間がかかるという問題があった。またグラビア印刷やオフセット印刷は大量印刷向きの方法であり、小ロット多品種印刷におけるデザイン変更に手間がかかるという問題があった。
【0005】
また、従来の2軸延伸ポリエステルフィルムへの昇華型熱転写印刷シートは、圧縮成形等によって成形を行う際に、金型と直接触れることで印刷が傷ついたり、或いは、射出成形用インサートフィルムとして用いる際に射出樹脂によって印刷インキが流れる等の問題があった。また、保護層を付加したものでもその厚みが5μm以下と薄く、金型による印刷の傷つき防止やインキ流れ防止としては不十分なものであった。
【0006】
この発明は、これら従来の問題点を排除したもので、グラビア印刷では非常に手間とコストのかかっていたデザイン変更や修正も簡単で、しかも製版を必要とせず、スクリーン印刷では不可能であったフルカラーで、意匠性の高い多色プラスチック成形品を成形するための成形用印刷シートを提供しようとするものである。
【0007】
この発明の他の課題は、外光による視認性の向上と鮮やかな発色により得られる高品位の成形用印刷シートを提供することにある。
【0008】
さらに、この発明の他の課題は、成形品の環境信頼性が高く、圧空成形や真空成形、圧縮成形、或いは、射出成形等を用いたインサートインジェクション法等、多様な成形法に用いることができる成形用印刷シートを提供しようとするものである。
【0009】
さらにまた、この発明の他の課題は、以上のような成形用印刷シートを用いた押釦スイッチ用キートップ部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、透明熱可塑性樹脂層の下面に複数色、例えば、シアン、マゼンダ、イエローの3色の微小ドットを用いて光透過性の色彩、図柄、記号からなる表示部を有する昇華型熱転写により形成された昇華印刷層を形成し、この光透過性の昇華印刷層の下面に、圧空成形や真空成形等の成形を行う際の金型と直接触れることに対する印刷の傷防止、滲み防止のため、或いは、射出成形用インサートフィルムとして用いる際の射出樹脂による印刷インキの流れ防止のために、熱可塑性樹脂層を積層するものとした。
【0011】
つまり、光透過性の昇華印刷層を透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とで挟まれた構成にすることで、昇華印刷層を外的要因から保護したことを特徴としている。
【0012】
また、昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透過性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであって、昇華印刷層と熱可塑性樹脂層との間に、昇華印刷層に接する外光を反射する光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して熱可塑性樹脂層が設けられていると共に、熱可塑性樹脂層が半透明白色であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記光反射層は、金属薄膜形成方法又は光反射性インキによるメタリック印刷によって型抜き状の抜き文字、記号、図柄等の所定形状に形成したものであることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透過性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであって、前記昇華印刷層と前記熱可塑性樹脂層との間に、前記昇華印刷層に接する外光を反射する遮光性高濃度着色インキからなる光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して前記熱可塑性樹脂層が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成に加えて、前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層との間に透明接着層が設けられていると共に、該透明接着層が前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層とに接触していることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成に加えて、前記熱可塑性樹脂層の厚さが10μm以上であることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成に加えて、前記インキ保護層の厚さが0.5〜500μmの範囲にあることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の発明は、所定間隔を置いて配置された複数のキートップが請求項1乃至6のいずれか1つに記載の成形用印刷シートで被覆されていることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0020】
[発明の実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1を示す拡大断面図である。
【0021】
実施の形態1に示したものは、透明熱可塑性樹脂層1の第1層と、透明熱可塑性樹脂層1の背面に昇華型熱転写により形成された光透過性の昇華印刷層2の第2層と、光透過性の昇華印刷層2の背面に形成された光反射層7の第3層と、光反射層7の背面に形成されたインキ保護層4の第4層と、インキ保護層4の背面に形成された最下層(第5層)の熱可塑性樹脂層3を張り合わせている。
【0022】
第1層の透明熱可塑性樹脂層1は、ポリカーボネート系、ポリエステル系、アクリルポリマー系、塩化ビニル系、アクリルニトリル系、ポリスチレン系等の樹脂シートが用いられ、これにインキ受容層(図示せず)を形成して昇華型熱転写方式のプリンタを用いて、例えば、シアン、マゼンダ、イエローの3種類の複数の微小ドットで光透過性の色彩、図柄、記号からなる表示部を有するグラフィック印刷層が形成されるものである。
【0023】
すなわち、透明熱可塑性樹脂層1に用いる樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂、結晶性の熱可塑性樹脂又はこれらの共重合体若しくは混合物からなるものでもよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が例示され、無色透明或いは有色透明、若しくは半透明の樹脂シートを用いる。なお、成形適性、印刷適性等の観点から、ポリエステル系、ポリカーボネート系、アクリルポリマー系の10μmから500μmの厚みのものを選択するのがよい。具体的には、2軸延伸ポリエステルを用いる場合には、成形性の点から10μmから200μmが適当であり、ポリカーボネート系、アクリルポリマー系を用いる場合には、熱転写プリンターにおける熱の影響で樹脂シートが伸びる傾向にあるため、50μmから300μmが適当である。また、透明熱可塑性樹脂層1に透明性を損なわない程度の量で、難燃剤や紫外線吸収剤等を添加することは任意 とされる。
【0024】
さらに、透明熱可塑性樹脂層1の背面には、印刷層が形成されるのであるが、昇華型印刷のインキ受容層として、塩化ビニル酢酸ビニル系又はポリエステル系のコーティング層を形成しておけばよい。また、密着性を改善するために、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線処理、プライマー処理等を施すことは任意である。さらに、紫外線等による昇華型インキ染料の退色、変色を防止するために、素材の樹脂シートに紫外線吸収剤を添加することや、樹脂シート表面を艶消しにするために、樹脂シート表面に微小な凹凸をつけたり、数μから数十μのアクリル樹脂ビーズ、スチレン樹脂ビーズ等を添加すること等も任意である。
【0025】
昇華型熱転写により形成される光透過性の昇華印刷層2は、昇華型プリンタで印刷するので、多彩な色、パターン、文字、図柄等が少なくともシアン、マゼンダ、イエローの3種類の微小ドット色を用いてフルカラー印刷が一度に行われる。すなわち、従来のスクリーン印刷等の手法にみられるような多色刷りの際の重ねた層構成という概念ではなく、樹脂シートの裏に施されたインキ受容層のごく薄いインキ吸収層に直径0.01mmから0.2mm程度の微小ドット単位で全色が印刷されるものである。
【0026】
印刷インキは強い隠蔽性を持つ濃度の濃いインキではなく、さらに、ドット単位の印刷であるので、この印刷層に印刷された文字、図柄等は(たとえ黒色であっても)すべて透過光を通すものである。すなわち、どんな図柄であっても光を通す通さないという意味での抜き文字という概念はない。しかも、3原色ドット単位でプリンタで印刷するので、一般的には微妙な中間調の色表現、グラデーション、写真、グラフィックデザイン等の印刷が可能になる。この3原色はCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)が用いられ、さらには黒を強調するためにブラックが追加されることもある。例えば、3原色それぞれが256階調の濃度を表現すれば、シアン、マゼンダ、イエローの3つの微小ドットで256階調の3乗である16777216色の実質的なフルカラー表現が可能となる。また、3原色としてはRGB(レッド、グリーン、ブルー)という定義方法もあるが印刷で用いられることは希である。
【0027】
一般に、印刷機によって形成された微小ドット色を用いた光透過性の色彩、図柄、符号からなる表示部を有するグラフィック印刷層は、光を透過しやすい着色であり、外光に対しての反射率が低いため、特に押釦スイッチのキートップの裏面に配置され、電子機器の外装ケース等に覆われた状態では、外光が少ないことから、明度が低く、視認性の悪いものとなってしまう。
【0028】
そこで、図1に示したように第3層として、この昇華印刷層2の裏面に光反射率50〜100%の光反射層7を設けることによってこの問題を解決している。つまり、外から入った光は透明熱可塑性樹脂1と光透過性の昇華印刷層2を通過して、昇華印刷層2の裏面の光反射率50〜100%の光反射層7で反射され、この光が使用者の目に見えて、結果として昇華印刷層2が高輝度で明度が高く、視認性のよいものとなって見えるわけである。この結果、電子機器の外装ケース等に組み込まれた押釦スイッチに適用した場合であっても、少量の外光ではっきりと印刷が見えるため視認性が高く、実用性の高いものとすることができる。
【0029】
光反射層7としては、金属薄膜(アルミ、クロム、金、銀、銅等)を熱転写、ホットスタンプ、メッキ、蒸着、スッパッタリング、イオンメッキ等の金属薄膜形成手法によって型抜き状の抜き文字、記号、図柄等所定形状に形成する。その他、遮光性高濃度着色インキをスクリーン印刷、転写印刷等により、所望の図柄形状を形成してもよい。
【0030】
図1に示したインキ保護層4は、厚さが0.5μmから500μmの範囲であることが好ましい。インキ保護層4の厚さが0.5μmから10μmの範囲であれば、昇華型熱転写プリンタで転写形成することもできる。また、500μm以上になると立体形状に成形すると、インキ保護層4と昇華印刷層2の間に剥がれが生じたり、インキ保護層4にひび割れが生じる。
【0031】
また、インキ保護層4はポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリルスチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等を用いればよく、これらを熱転写又は熱ラミネート法によって張り合わせればよい。
【0032】
図1に示した最下層の熱可塑性樹脂層3は、圧空成形や真空成形等の成形を行う際の印刷が傷つき防止、或いは、射出成形用インサートフィルムとして用いる際の射出樹脂による印刷インキの流れ防止、そして成形品としての保護目的であるため、少なくとも10μm以上の厚みが必要である。樹脂の種類としては、透明熱可塑性樹脂層1と同様に、ポリカーボネート系、ポリエステル系、アクリルポリマー系、塩化ビニル系、アクリルニトリル系、ポリスチレン系、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂シートが用いられるが、透明熱可塑性樹脂層1と熱可塑性樹脂層3は、高温や低温環境での保存安定性を考慮すると、熱膨張係数がそろったもので、且つ熱変形温度の近いものがよい。
【0033】
また、熱可塑性樹脂層3が半透明白色に着色されていてもよいし、透明であってもよい。透明であれば、成形品の表裏の両方から記号を認識することも可能である。熱可塑性樹脂層3を半透明白色にすれば、光反射層7を部分的に形成して型抜き状の抜き文字形状等とした場合、抜き文字に当たる部分は、下に配置された光源からの光で透過光を通して見るとき、すなわち文字照光として見る場合は優れたものとなる。
【0034】
ここで、インキ保護層4は熱可塑性樹脂でできているため、熱可塑性樹脂層3と熱ラミネート接着が可能である。この場合には、インキ保護層4が接着層としての役割も果すため、インキ保護層4と熱可塑性樹脂層3との間に透明接着層を設けなくともよい。
【0035】
また、インキ保護層4が光反射層7と接しているから光反射層7として金属薄膜以外のインキが使用でき、遮光性高濃度着色インキをスクリーン印刷、転写印刷等により、所望の図柄形状を形成することができる。
【0036】
[発明の実施の形態2]
図2は、この発明の実施の形態2を示す拡大断面図である。
【0037】
実施の形態2にあっては、実施の形態1の構成に加えて、インキ保護層4と熱可塑性樹脂層3との間に透明接着層6が設けられており、該透明接着層6がインキ保護層4と熱可塑性樹脂層3とに接触している。
【0038】
ここで、熱可塑性樹脂層3が軟質塩化ビニール系樹脂の場合には、昇華インキが熱可塑性樹脂層3に滲み出す現象が起きるため、この現象を防止するにはインキ保護層4と熱可塑性樹脂層3との間に透明接着層6が必要となる。また、透明接着層6を設けることで、熱ラミネート接着以外の方法で熱可塑性樹脂層3を接着できることにもなる。
【0039】
これにより、透明接着層6によってインキ保護層4と熱可塑性樹脂層3とがしっかりと固定されるため、より成形による応力に耐えることができ、耐久性の高い成形用印刷シートが完成できる。
【0040】
透明接着層6は、インキ保護層4の背面に熱転写画像を形成したものと熱可塑性樹脂3 を張り合わせるために用いる。透明接着層6としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、感圧型粘着剤、熱活性型粘着剤、ドライラミ接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等から選べばよいが、微量でも溶剤が含まれていたり、低分子量のモノマーやオリゴマーが含まれていると、昇華印刷画像の滲みの原因となるため、低分子量成分を含まないものが好ましい。また、成形条件によっては成形用シートを加熱した際、透明接着層6に発泡や剥がれが生じたり、昇華印刷画像に滲みを生じるため、成形条件に応じて弾性率と伸びの高いものを選択するのがよい。樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等があげられる。
【0041】
なお、インキ保護層4の背面に形成する熱転写画像としては、金属薄膜(アルミ、クロム、金、銀、銅等)を熱転写、ホットスタンプ、メッキ、蒸着、スッパッタリング、イオンメッキ等の金属薄膜形成手法によって型抜き状の抜き文字、記号、図柄等所定形状に形成する。その他、遮光性高濃度着色インキ(金属系顔料、白顔料、蛍光染料、パール顔料、雲母粉等が高充填されている実質的に光を反射し、光を通さないインキ)を熱転写プリンタ等により、所望の図柄形状等に形成することでもよい。
【0042】
金属薄膜形成法又はメタリックインキ(特に、金属系顔料若しくは雲母粉が配合されたものをメタリックインキという。)印刷法を用いると、メタリック調の特殊な反射光意匠表現が可能になる。
【0043】
以上のように、この発明に係る成形用印刷シート10は、透明熱可塑性樹脂1と、光透過性の昇華印刷層2と、熱可塑性樹脂3とを有する3層構造を基本としており、隠蔽性の高い白や黒、或いは光反射層7として、光透光性の昇華印刷層2よりも背面にこれらの熱転写画像や光反射層7をインキ保護層4と共に設けている。
【0044】
具体的には、透明熱可塑性樹脂1の背面に昇華型プリンターによってインキ受容層を形成し、これをCMYの昇華型インキを熱転写して所望の印刷デザインを形成し、光透光性の昇華印刷層2を挟み込むような状態で半透明白色の熱可塑性樹脂3と熱ラミネートによって張り合わせれば、実質的にフルカラーの鮮やかな成形用印刷シート10を得ることができる。
【0045】
インキ保護層4の背面に隠蔽性の高い黒色を熱転写等の方法で印刷した熱転写画像を形成し、視認性のよい記号を形成することもできるし、光反射率が80%以上の光反射層7をホットスタンプして実質的に遮光部分を得ることもできる。光反射層7の上にある昇華印刷層2は光透過性であるため、レッドメタリックやブルーメタリックに見える意匠を形成することもできる。さらに、熱可塑性樹脂層3を半透明白色に着色すると、光透過性のフルカラーの明度が向上し、写真のような画像も得ることができる。
【0046】
以上のように、この発明に係る成形用印刷シート10は様々なデザインを表現することができるため、例えば、以下のような用途が考えられる。
【0047】
付け爪を成形する場合には、所望の形に象った真空成形型を用いて、この成形型の凹部に設けられた真空孔からエアを排除して凹部を真空にすることによって、加熱されて軟化している成形用印刷シート10の透明熱可塑性樹脂層1側を凹部に密着させて爪の凸形状を成形し、ついで成形品の周りを切り落とすことで、多色でメタリックに縁取られた付け爪を得ることができる。
【0048】
液晶パネルカバーを成形する場合には、例えば、液晶パネルカバーの形状で鏡面に磨いた上下金型間に、液晶部分が透明になるような成形用印刷シート10を挟み込み、加熱・圧縮成形することで緩やかな曲面の色鮮やかな液晶パネルカバーを得ることができる。
【0049】
携帯電話等の筐体を成形する場合には、予め筐体の形に成形したプラスチック成形品を圧空金型内に挿入し、成形用印刷シート10の透明熱可塑性樹脂層1側が上側になるように配置し、加熱・軟化している成形用印刷シート10をプラスチック成形品に圧空によって密着させることで一体化させる。或いは、従来通りの射出成形機を用いてインサートインジェクション成形を行ってもよい。このようにして、筐体と一体化させた成形用印刷シート10の押釦や外周の余分な部分をトリミング装置によって切り落とすことで、フルカラーで色階調の滑らかな携帯電話の筐体を得ることができる。
【0050】
押釦スイッチ用キートップ部材に用いる場合には、例えば、圧空成形によってキートップの外形形状及び配置に合わせた複数の凸部を成形し、不要部分である外周の縁取り部を切り取って凸部が下になるように裏返しておき、この凸部の中に液体状態の紫外線硬化樹脂を充填して、紫外線を照射することによって紫外線硬化樹脂を硬化させ、押釦スイッチ用キートップ部材とする。一般には、これらのキートップの下に、電気接点を押圧する突起物を持つゴムシート部材を配置し、その下にシート状のフィルム接点や電気基板を配置して、携帯電話機等の押釦スイッチ用部材とすることができる。
【0051】
或いは、従来通りの射出成形機を用いてインサートインジェクション成形を行い、キートップの凸部を形成すると同時にフィルムと一体化する方法を用いてもよい。このような方法で成形されたキートップは、従来にないフルカラーばかりでなく金属光沢のフルカラー画像も表現でき、また文字照光、キートップ全体照光等も可能である。
【0052】
【実施例】
以下、この発明に係る成形用印刷シートを用いた多色プラスチック成形品の実施例と比較例について説明する。
【0053】
[実施例1](キートップ)
実施例1では、請求項1に係る成形用印刷シートの前提となる昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透光性の昇華印刷層2が少なくとも透明熱可塑性樹脂層1と熱可塑性樹脂層3とに挟まれて積層している成形用印刷シート10を使用した押釦スイッチ用キートップ部材を成形する場合について述べる。
【0054】
まず、厚さ0.2mmの透明熱可塑性樹脂層1としての透明アクリルシート(三菱レイヨン(株)製、アクリプレン)の片側にインク受容層を塗布したものに、昇華型熱転写プリンタ(日本ビクター(株)製、Trueprint3500PS:以下、プリンタという)と、シアン、マゼンダ、イエローの昇華型インクリボン(日本ビクター(株)製、昇華インクフィルム)を用いて、押釦スイッチ用にデザインした複数色の文字、記号、絵柄を熱転写印刷した樹脂シート(透明熱可塑性樹脂層1と光透光性の昇華印刷層2とが一体となったもの)を予め用意しておいた。
【0055】
次に、透明アクリルシートと、厚さ0.2mmの熱可塑性樹脂層3としての白色アクリルシート(三菱レイヨン(株)製、アクリプレン)とを用いて、光透光性の昇華印刷層2を挟み込むようにして120℃、2kg / cm 2 で10秒間、加熱加圧することで張り合わせ、表示部成形用印刷シート(成形用印刷シート10)を得た。
【0056】
そして、表示部成形用印刷シートに複数の所定形状の押釦部を形成するために押釦スイッチのキートップ投影面に相当する形状で、且つ同じ面積で深さ方向に5mm掘り込んだ加熱金型とキートップ形状を凸状に賦形するための冷却用圧空成形金型とを用いて行った。
【0057】
透明アクリルシートを上金型側に、白色アクリルシートを下金型側になるように表示部成形用印刷シートを配置し、加熱金型40を190℃、圧空成形用金型を50℃に温度調節し、表示部成形用印刷シートを加熱金型40で3秒加熱し、続いて1秒後に圧空成形用金型の間に加熱された昇華印刷層2としての印刷シートを挿入し、上金型の圧空エアー穴より5kg / cm 2 の空気圧をかけて圧空成形し、5秒間の冷却の後に圧空成形用金型を開いて、凸形状に賦形された押釦スイッチ用シート(以下、賦形シートという)を得た。
【0058】
続いて、賦形シートの凸部が下になるように治具に設置し、高さ3mmのキートップ凸部の内側に紫外線硬化性樹脂(ノガワケミカル(株)製、ダイアボンド:以下、紫外線硬化性樹脂という)をエアーディスペンサーにて凹部に注入して満たし、高圧水銀ランプ120W / m、照射距離15cm、照射時間15秒で紫外線照射して硬化させることで、完成前の押釦スイッチ用キートップ部材を得た。
【0059】
この完成前の押釦スイッチ用キートップ部材をキートップ毎に切り取り、これらを電気的接点を押圧する突起物を持つ透光性のシリコーンゴムシート上に透光性を有する粘着剤によって張り付け、押釦スイッチ用キートップ部材(完成品)を得た。
【0060】
このようにして得た押釦スイッチ用キートップ部材は、熱可塑性樹脂層3が最下層に設けられていることで、昇華印刷層2が圧空成形金型に直接触れないために剥がれや擦り傷は生じなかった。また、紫外線硬化樹脂による昇華画像の溶出や滲みもなく、昇華型印刷の特長であるフルカラーの押釦スイッチ用キートップ部材を容易に得ることができた。
【0061】
[実施例2](付け爪)
実施例2では、請求項1に係る成形用印刷シートを使用した付け爪を成形する場合について説明する。
【0062】
まず、付け爪の形状にデザインされた樹脂成形品を装飾するために、厚さ0.3mmの透明熱可塑性樹脂層1としての透明ポリカーボネートシート(帝人化成(株)、パンライト)の片側にインク受容層を塗布したものに、昇華型熱転写プリンタと昇華型インクリボンを用いて、付け爪用にデザインした複数色の絵柄を熱転写印刷して光透光性の昇華印刷層2を形成した。続いて、昇華印刷層2の一部に、パール顔料の入った遮光性高濃度インクをプリンタで熱転写して光反射層7を形成し、さらに全面にインキ保護層4をプリンタで熱転写した樹脂シートを予め用意しておいた。
【0063】
次に、この樹脂シートと、厚さ0.2mmの熱可塑性樹脂層3としての白色アクリルシートとを用いて、昇華印刷層2を挟み込むようにして120℃、2kg / cm 2 で10秒間、加熱加圧することで張り合わせ、成形用印刷シート10を得た。
【0064】
成形用印刷シート10の透明熱可塑性樹脂層1側を上金型側に、白色アクリルシートを下金型側になるように成形用印刷シート10を配置し、加熱金型を190℃、圧空成形用金型を50℃に温度調節し、成形用印刷シート10を加熱金型で5秒加熱し、続いて1秒後に圧空成形用金型の間に加熱された成形用印刷シート10を挿入し、上金型の圧空エアー穴より5kg / cm 2 の空気圧をかけて圧空成形し、5秒間の冷却の後に圧空成形用金型を開き、成形品を金型から取り出し、付け爪の形状にトリミングして凸形状に賦形された昇華印刷によって装飾した付け爪を得た。
【0065】
このものは熱可塑性樹脂層3が最下層に設けられていることで、圧空成形金型による印刷の傷つきがなく、またインキ保護層4が設けられていることで、85℃240時間の環境下においても昇華色素画像の滲みは認められなかった。
【0066】
[実施例2](付け爪)
実施例2では、請求項2に係る成形用印刷シートを使用した付け爪を成形する場合の別の方法について説明する。
【0067】
まず、付け爪の形状にデザインされた樹脂成形品を装飾するために、厚さ0.3mmの透明熱可塑性樹脂層1としての透明アクリルシート(三菱レイヨン(株)製、アクリプレン)の片側にインク受容層を塗布したものに、昇華型熱転写プリンタと昇華型インクリボンを用いて、付け爪用にデザインした複数色の絵柄を熱転写印刷し光透過性の昇華印刷層2を形成した。続いて、昇華印刷層2の一部にアルミ蒸着箔(日本ビクター(株)製、プラチナシルバーインクフィルム)をプリンタで熱転写して光反射層7を形成し、さらに全面にインキ保護層4として厚さ12μmのポリスチレン樹脂を加熱ロールで熱転写した樹脂シートを予め用意しておいた。
【0068】
次に、この樹脂シートと、厚さ0.2mmの熱可塑性樹脂層3としての白色アクリルシートとを用いて、昇華印刷層2を挟み込むようにして120℃、2kg / cm 2 で10秒間、加熱加圧することで張り合わせ、成形用印刷シート10を得た。
【0069】
成形用印刷シート10の透明熱可塑性樹脂層1側を上金型側に、白色アクリルシートを下金型側になるように成形印刷シート5を配置し、加熱金型を190℃、圧空成形用金型を50℃に温度調節し、成形用印刷シート10を加熱金型で5秒加熱し、続いて1秒後に圧空成形用金型の間に加熱された成形用印刷シート10を挿入し、上金型の圧空エアー孔より5kg / cm 2 の空気圧をかけて圧空成形し、5秒間の冷却の後に圧空成形用金型を開き、成形品を金型から取り出し、付け爪の形状にトリミングして凸形状に賦形された昇華印刷によって装飾した付け爪を得た。
【0070】
このものは熱可塑性樹脂層3が最下層に設けられていることで、圧空成形金型による印刷の傷つきがなく、またインキ保護層4が設けられていることで85℃240時間の環境下においても昇華画像の滲みは認められなかった。
【0071】
[比較例1](キートップ)
比較例1は、請求項1に係る成形用印刷シートのうち、熱可塑性樹脂層の存在しないものである。
【0072】
実施例1と同様に、厚さ0.2mmの透明熱可塑性樹脂層1としての透明アクリルシート(三菱レイヨン、アクリプレン)の片側にインク受容層を塗布したものに、昇華型熱転写プリンタとシアン、マゼンダ、イエローの昇華型インクリボンを用いて、押釦スイッチ用にデザインした複数色の文字、記号、絵柄を熱転写印刷して昇華印刷層2を形成した樹脂シートを用意し、これを成形用印刷シート10とした。
【0073】
そして、成形用印刷シート10に複数の所定形状の押釦部を形成するために押釦スイッチのキートップ投影面に相当する形状で、且つ同じ面積で深さ方向に5mm掘り込んだ加熱金型とキートップ形状を凸状に賦形するための冷却用圧空成形金型とを用いて行った。
【0074】
成形用印刷シート10の透明アクリルシート側を上金型側に、昇華印刷層2側を下金型側になるように成形用印刷シート10を配置し、加熱金型を190℃、圧空成形用金型50を50℃に温度調節し、成形用印刷シート10を加熱金型で3秒加熱し、続いて1秒後に圧空成形用金型の間に加熱された成形用印刷シート10を挿入し、上金型の圧空エアー孔より5kg / cm 2 の空気圧をかけて圧空成形し、5秒間の冷却の後に圧空成形用金型を開いて、凸形状に賦形された押釦スイッチ用シート(以下、賦形シートという)を得た。
【0075】
続いて、賦形シートの凸部が下になるように治具に設置し、高さ3mmのキートップ凸部の内側に紫外線硬化性樹脂をエアーディスペンサーにて凹部に注入して満たし、高圧水銀ランプ120W / m、照射距離15cm、照射時間15秒で紫外線照射して硬化させることで、押しボタンスイッチ用キートップ部材を得た。
【0076】
このようにして得た押釦スイッチ用キートップ部材6は、昇華印刷層2が圧空成形金型に直接触れたことによって、一部剥がれが生じ、擦り傷が生じていた。さらに、紫外線硬化樹脂1を注入したことで、注入後わずか3秒程で印刷に滲みが生じ、UV照射を行った後には、文字や記号を認識できないほどに画像が滲んでおり、押釦スイッチ用キートップ材としては全く機能しないものであった。
【0077】
[比較例2](携帯電話の筐体)
比較例2は、請求項1に係る成形用印刷シートのうち、インキ保護層の存在しないものである。
【0078】
実施例2と同様に、携帯電話の筐体形状にデザインされた樹脂成形品を装飾するために、厚さ0.2mmの透明熱可塑性樹脂層1としての透明ポリカーボネートシート(ユニチカ(株)製、ユーピロン)の片側にインク受容層を塗布したものに、昇華型熱転写プリンタと昇華型インクリボンを用いて、携帯電話の筐体用にデザインした複数色の文字、記号、絵柄を熱転写印刷した。続いて、昇華印刷層2の一部にアルミ粉の入った遮光性高濃度インクをプリンタで熱転写した樹脂シートを予め用意しておいた。
【0079】
次に、この樹脂シートと、厚さ0.2mmの白色アクリルシートとを用いて、昇華印刷層2を挟み込むようにして熱活性型透明粘着剤(日立化成ポリマー(株)製、ハイボン)によって100℃、2kg / cm 2 で10秒間、加熱加圧することで張り合わせ、成形用印刷シート10を得た。
【0080】
成形用印刷シート10を真空成形法で立体加工したインサート材を射出成形用の金型内にセットし、型締めし、成形樹脂としてポリカーボネート樹脂をキャビティに射出し、成形樹脂を固化させることによって、成形品を形成すると同時に筐体表面にインサート材を一体化接着させた。その後、インサート成形品を金型から取り出し、樹脂成形品に接着したインサート材をトリミングすることで、樹脂成形品を昇華印刷によって装飾した携帯電話の筐体を得た。
【0081】
このものは熱可塑性樹脂層3が最下層に設けられていることで、射出成形金型による印刷の傷つきや射出樹脂によるインキ流れや滲みはないが、インキ保護層4が設けられていないために、85℃の環境下においてわずか10時間で昇華画像が滲みはじめ、240時間後には文字や記号が全く認識できず、携帯電話の筐体としては全く成り立たないものであった。
【0082】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載の発明によれば、昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透光性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであるので、熱可塑性樹脂層が最下層に設けられていることで、昇華印刷層が圧空成形金型に直接触れないため、圧空成形や真空成形等の成形を行う際の金型と直接触れることに対する印刷の傷防止、或いは、射出成形用インサートフィルムとして用いる際の射出樹脂による印刷インキの滲み防止のため流れ防止が可能となる。また、外から入った光は印刷層を通過して、光反射層で反射され、この光が使用者の目に見えて、結果として昇華印刷層が高輝度の明度の高い、視認性のよい ものとなって見える。さらに、光透過性の昇華印刷層と熱可塑性樹脂層との間に、昇華印刷層に接する外光を反射する光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して熱可塑性樹脂層が設けられていると共に、前記熱可塑性樹脂層が半透明白色であるので、光反射層にメタリックインキを使用した場合でもフルカラーの明度が向上し、鮮やかな成形用印刷シートが得ることができる。
【0083】
請求項2に記載の発明によれば、前記光反射層は、金属薄膜形成方法又は光反射性インキによるメタリック印刷によって型抜き状の抜き文字、記号、図柄等の所定形状に形成したものであるので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、たとえば、押釦スイッチ用キートップ部材に用いる場合に、文字照光だけでなくキートップ全体照光等も可能な成形用印刷シートが得られる。
【0084】
請求項3に記載の発明によれば、昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透過性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであって、昇華印刷層と熱可塑性樹脂層との間に、昇華印刷層に接する外光を反射する遮光性高濃度着色インキからなる光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して熱可塑性樹脂層が設けられているので、金属薄膜以外のインキを使用して光反射層をスクリーン印刷、転写印刷等により、所望の図柄形状を形成することができる。
【0085】
請求項4に記載の発明によれば、前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層との間に透明接着層が設けられていると共に、該透明接着層が前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層とに接触しているので、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、熱可塑性樹脂層が軟化塩化ビニール系樹脂であっても昇華インキが熱可塑性樹脂層に滲み出すことを防止できる他、より成形による応力に耐えることができ、耐久性の高い成形用印刷シートが得られる。
【0086】
請求項5に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂層の厚さが10μm以上であるので、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、圧空成形や真空成形等の成形を行う際の印刷が傷つき防止、或いは、射出成形用インサートフィルムとして用いる際の射出樹脂による印刷インキの流れ防止、そして成形品としての保護目的を十分に果たすことができる。
【0087】
請求項6に記載の発明によれば、インキ保護層の厚さが0.5〜500μmの範囲にあるので、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、昇華型熱転写により形成された昇華印刷層が透明接着剤の微量な溶剤によっても滲みを生じることがなく、立体形状に成形した場合にインキ保護層と昇華印刷層の間に剥がれが生じたり、インキ保護層にひび割れが生じることもない。
【0088】
請求項7に記載の発明によれば、所定間隔を置いて配置された複数のキートップを請求項1乃至6のいずれか1つに記載の成形用印刷シートで被覆されているので、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、電子機器の外装ケース等に組み込まれた押釦スイッチに適用した場合であっても、少量の外光ではっきりと印刷が見える視認性が高く、実用性の高い押釦スイッチ用キートップ部材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す拡大断面図である。
【図2】同実施の形態2を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 透明熱可塑性樹脂層
2 昇華印刷層
3 熱可塑性樹脂層
4 インキ保護層
6 透明接着層
7 光反射層
10 成型用印刷シート
Claims (7)
- 昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透過性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであって、前記昇華印刷層と前記熱可塑性樹脂層との間に、前記昇華印刷層に接する外光を反射する光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して前記熱可塑性樹脂層が設けられていると共に、前記熱可塑性樹脂層が半透明白色であることを特徴とする成形用印刷シート。
- 前記光反射層は、金属薄膜形成方法又は光反射性インキによるメタリック印刷によって型抜き状の抜き文字、記号、図柄等の所定形状に形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の成形用印刷シート。
- 昇華型熱転写により所望のデザインが施された光透過性の昇華印刷層が少なくとも透明熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層とに挟まれて積層している成形用印刷シートであって、前記昇華印刷層と前記熱可塑性樹脂層との間に、前記昇華印刷層に接する外光を反射する遮光性高濃度着色インキからなる光反射層と該光反射層に接する熱可塑性樹脂製のインキ保護層が設けられており、該インキ保護層に接して前記熱可塑性樹脂層が設けられていることを特徴とする成形用印刷シート。
- 前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層との間に透明接着層が設けられていると共に、該透明接着層が前記インキ保護層と前記熱可塑性樹脂層とに接触していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の成形用印刷シート。
- 前記熱可塑性樹脂層の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の成形用印刷シート。
- 前記インキ保護層の厚さが0.5〜500μmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の成形用印刷シート。
- 所定間隔を置いて配置された複数のキートップが前記請求項1乃至6のいずれか1つに記載の成形用印刷シートで被覆されていることを特徴とする押釦スイッチ用キートップ部材。
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