JP4077661B2 - メンブレンスイッチおよびメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子機器などにおいて薄型のスイッチ入力装置として使用されるメンブレンスイッチ、及びこのメンブレンスイッチに用いられる操作シートの形成方法に関する。
【0002】
従来のメンブレンスイッチ100は、図8、図9で示すような構造としたものが一般的で、図示せぬ電気機器の外観として現れる表面側のフィルム材101と、電子機器の内部に収まる裏面側のフィルム材102と、これらの間に配置されるスペーサ103を備える概略構成となっている。このうち両シート材101,102には接点電極101a,102aがそれぞれ形成されており、表面側のシート材101の接点電極101aを上方から押圧することでスペーサ103に形成された貫通孔103aを通じて裏面側のシート材102の接点電極102aと導通接触し、この導通接触が与えられることで電気機器の所定のスイッチ機能が得られるようにされている。このメンブレンスイッチ100は、構造の簡易さや薄さにその利点があり、小型化の要請が特に強い電気機器のスイッチ入力装置として様々な機器に採用されている。
【0003】
ところで、こうしたメンブレンスイッチ100には、入力要素となる文字、数字、記号、図形などを着色して表示したり、電子機器の外観に現れる部分に着色を施した外装フィルム104を貼着するのが一般的である。このような外装フィルム104は、樹脂フィルムに塗料をスクリーン印刷することで得ている例が多いが、スクリーン印刷では1色ごとに印刷版が必要であるため、労力面でもコスト面でも負担が大きく、デザイン変更する場合にはすべての印刷板を一から再作製する必要があって更なる負担増を生じる問題がある。そこで、この問題点についてはパーソナルコンピュータでデザインを作製し、市販のカラープリンタを使って紙やPETフィルムなどの基材シート(図示せず)の上にそのデザインを印刷して外装フィルム104を作製し、この外装フィルム104を表面側のフィルム材101上に接着テープなどによって積層して形成する方法が提案されている。(類似技術として実開平5−90762号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法では、外装フィルム104を炭酸ガスレーザーや打ち抜き刃にて個々のメンブレンスイッチの外周形状に沿って切断する工程が必要であり、また、切断の際にバリが発生し易かった。さらに、通常このような方法では、カラープリンタによる印刷面を保護するための保護シートを設ける必要があり、基材シートの厚みを含めるとかなりの厚みとなるため、これをメンブレンスイッチの一部として一体化したのでは、指で押圧操作がなされる部分の可撓性が損なわれ、メンブレンスイッチとしての操作感が悪くなり、また、押圧操作が的確にスイッチのオン−オフにつながらないなどの問題が生じ、薄厚が構造上の利点であるメンブレンスイッチには適していないものであった。一方、この問題を避けるために、カラープリンタによる印刷面側を、電子機器の外観に現れる部分に貼着したのでは、カラーデザイン画像を裏(印刷面とは反対側)から視認することとなるため、画像が歪み、再現よく高解像度のまま視認することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、機器外観に現れる入力要素となる文字、記号又は模様等を解像度が高く、デザイン性や画質に優れた表示層を有するメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法、及びその操作シートを用いたメンブレンスイッチを得ることを目的とし、また、簡単で安価に、操作感が良いメンブレンスイッチを得ることを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、文字、記号又は模様等を表す表示層を備え押圧操作がなされる操作シートと、対向位置に設けられた接点電極を有し該操作シートに対する押圧操作により絶縁状態の該接点電極が導通して所定のスイッチ機能を実行するスイッチ部と、を備えるメンブレンスイッチにおける操作シートの形成方法であって、文字、記号又は模様等をカラー表示するカラーデザイン画像を、カラープリンタによって基材シートに印刷して着色材層を形成する工程と、該着色材層に接着剤を塗布して透光性フィルムに該着色材層を転写する工程と、前記基材シートを剥離し、該着色材層による表示層を該透光性フィルム上に形成して操作シートを得る工程と、を実行することを特徴とするメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法を提供する。
【0007】
このメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法によれば、文字、記号又は模様等をカラー表示するカラーデザイン画像を、カラープリンタによって基材シートに印刷して着色材層を形成する工程と、該着色材層に接着剤を塗布して透光性フィルムに該着色材層を転写する工程と、前記基材シートを剥離し、該着色材層による表示層を該透光性フィルム上に形成して操作シートを得る工程と、を実行したため、描画のきめ細かさや画質の滑らかさを表す解像度を高く表示できる表示層を有する操作シートを、複雑な印刷技術を用いず安定して安く生産できる品質の高いメンブレンスイッチ用操作シートとなる。特に、操作シートの形成過程で、基材シートを剥離するため、操作シートを薄層化でき、操作感が良く、操作的確性に優れたメンブレンスイッチ用操作シートを得ることができる。また、着色材層を転写するため、その後の工程において基材シートを切り抜いたり、打ち抜いたりすることなく、かつバリの発生も少ない高品質のメンブレンスイッチ用操作シートとなる。
【0008】
また本発明は、基材シートが基材上に画像担持層を形成したものであり、カラープリンタによって該画像担持層にカラーデザイン画像を印刷して前記着色材層を形成するメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法を提供する。
【0009】
このメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法によれば、基材シートが基材上に画像担持層を形成したものであり、カラープリンタによって該画像担持層にカラーデザイン画像を印刷して着色材層を形成したため、インクやトナー等の着色材の付着、吸収に優れ、解像度に優れた画像が再現できる。また、着色材が画像担持層で保護された、耐水性、耐候性に優れる表示層が得られるとともに、転写時においても着色材層を正確に透光性フィルム側に転写することができるため、解像度、画質に優れた高品位のメンブレンスイッチ用操作シートを得ることができる。特に、画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材であれば、転写性に優れ基材シートを除去した際にもバリなどを発生しにくく、かつインクの吸着性、表示層としての保存性、画質の高品位性に優れるメンブレンスイッチ用操作シートとなる。また、画像担持層が基材シートの面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであれば、転写時における画像担持層の箔切れが良く転写性に優れるだけでなく、インクジェットプリンタを用いた場合には、インクの吸着力に優れ瞬時にインクが吸着されるため、液だれ等がなく高品位の画質を有するメンブレンスイッチ用操作シートとなる。
【0010】
また本発明は、透光性フィルムに着色材層を転写した後に、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を表示層上に設ける工程を実行するメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法を提供する。
【0011】
このメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法によれば、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を表示層上に設ける工程を実行したため、例えば金色や銀色などのメタリック色、白色やパール色などといった一般的にCMYK系インクを用いるカラープリンタでは再現が困難な色彩をもつ画像を容易に形成することができ、画質、デザインに優れた色再現性の良いメンブレンスイッチ用操作シートを得ることができる。
【0012】
また本発明は、着色材層に塗布する接着剤が透明性または半透明性のホットメルト接着剤であり、熱転写によって着色材層の前記転写工程を実行するメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法を提供する。
【0013】
このメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法によれば、透明性または半透明性のホットメルト接着剤を用いて熱転写によって着色材層の転写工程を実行したため、接着剤の硬化時間の短縮、硬化設備の除去等を達成でき生産性が高いだけでなく、要求する部位を正確に透光性フィルムに転写でき、高品質でバリ等の発生も少ない歩留まりに優れた方法である。さらにこの方法により得られるメンブレンスイッチ用操作シートは、ホットメルト接着剤を用いているため、経時による強度変化等を起こさず、耐湿性、保存性に優れている。また、透明性又は半透明性の接着剤であるため、光を十分に透過することができ、表示層に形成される画像の鮮明さが損なわれることなく、また、照光式のメンブレンスイッチ用操作シートとすることができる。
【0014】
また本発明は、カラープリンタの印刷方式がインクジェット方式であるメンブレンスイッチ用操作シート形成方法を提供する。
【0015】
このメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法によれば、プリンタにインクジェットプリンタを用いたため、フルカラー化や高速印刷が容易で、カラーデザインデータを瞬時に画像化できる。また、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を有するメンブレンスイッチ用操作シートを得ることができる。さらに、インクジェットプリンタ用インクが、多孔質材に浸透したまま転写されるため、耐候性、発色性に優れた表示層を有するメンブレンスイッチ用操作シートを得ることができる。
【0016】
さらに本発明は、文字、記号又は模様等を表す表示層を備え押圧操作がなされる操作シートと、対向位置に設けられた接点電極を有し該操作シートに対する押圧操作により絶縁状態の該接点電極が導通して所定のスイッチ機能を実行するスイッチ部と、を備えるメンブレンスイッチについて、前記操作シートは、文字、記号又は模様等をカラープリンタで基材シートに印刷した着色材層が、接着層を介して、透光性フィルムに転写された表示層を、該透光性フィルム上に有するものであることを特徴とするメンブレンスイッチを提供する。
【0017】
このメンブレンスイッチによれば、文字、記号又は模様等をカラープリンタで基材シートに印刷した着色材層が、接着層を介して、透光性フィルムに転写された表示層を、該透光性フィルム上に有する操作シートを用いているため、メンブレンスイッチ表面に、多数の文字、数字、図形、記号や、複雑な構成、多色を有する模様などを鮮明に、高解像度で表示したメンブレンスイッチとなる。また、操作シートが薄く形成できるため、押圧操作力を受けて変位する操作シートの可撓性が損なわれず、押圧操作に対する操作感の良いメンブレンスイッチとなる。
【0018】
また本発明は、操作シートの表示層が形成されている面側がスイッチ部に接合してなるメンブレンスイッチを提供する。
【0019】
このメンブレンスイッチによれば、操作シートの表示層が形成されている面側がスイッチ部に接合しているため、プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認することができ、解像度が高く高品位の文字、記号又は模様等を画像を視認することが可能である。
【0020】
また本発明は、操作シートがスイッチ部の一部であり、該操作シートに接点電極が形成されているメンブレンスイッチを提供する。
【0021】
このメンブレンスイッチによれば、操作シートがスイッチ部の一部であるため、表示部を有する操作シートを、スイッチ機能を実行するスイッチ部と接合する必要がなく、接合部分がないだけ層厚を薄くすることが可能となる。さらに、該操作シートに前記接点電極が形成されているため、操作シートとは別に接点電極を設けた可撓フィルムを形成する必要がない。それゆえ、可撓フィルム上に操作シートを積層した場合に比べて、より薄層となり、押圧操作力を受けて変位する操作シートの可撓性がほとんど損なわれず、押圧操作に対する操作感の大変優れたメンブレンスイッチとなる。
【0022】
そして、着色材層が多孔質の画像担持層にカラープリンタによって出力されたインクを含浸させて形成されたものであれば、インクやトナー等の着色材の吸収に優れ、より真円に近いドットを形成することができ、解像度に優れた画像が再現できる。また、着色材が画像担持層で保護された、耐水性、耐候性に優れる表示層が得られるとともに、転写時においても着色材層を正確に透光性フィルム側に転写することができるため、解像度、画質に優れた高品位のメンブレンスイッチである。特に、画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材であれば、インクの吸着性、表示層としての保存性、画質の高品位性に優れるメンブレンスイッチである。また、画像担持層が基材シートの面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであれば、インクの吸着力に優れ瞬時にインクが吸着されるため、液だれ等がなく高品位の画質を有するメンブレンスイッチである。
【0023】
さらに、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を設けたメンブレンスイッチであれば、例えば金色や銀色などのメタリック色、白色やパール色などといった一般的にCMYK系インクを用いるカラープリンタでは再現が困難な色彩をもつ画像を鮮明に表すことができ、画質、デザインに優れた色再現性の良いメンブレンスイッチとなる。また、インクジェットプリンタによって印刷された表示層を有すれば、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を有するメンブレンスイッチである。
【0024】
さらに本発明は、前記各層が、内部光源からの出射光を透過して外部に照光可能な透光性のものである、いわゆる照光式メンブレンスイッチを提供する。このメンブレンスイッチによれば、内部光源からの出射光を透過して外部に照光するため、装飾性が向上すると共に、夜間や暗所での視認性が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるメンブレンスイッチ用操作シート、およびメンブレンスイッチとそれらの形成方法について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に示した本発明の一実施形態に係るメンブレンスイッチ10は、図示せぬ基板回路の一部に、接点電極11aを形成したベースフィルム11bと、同じく接点電極11aを形成した可撓フィルム11cとをスペーサ11dを挟んで一体化した積層構造からなるスイッチ部11を有する。このスイッチ部11は、メンブレンスイッチ10を押圧操作した時の押圧操作力を受けてスイッチ機能を実行させる部位である。また、メンブレンスイッチ10は、スイッチ部11の表面に、メンブレンスイッチ10の外観に現れ入力要素となる文字、記号または図形などを表示する操作シート12を有する。この操作シート12は、透光性フィルム13、第1接着層14、表示層15、場合により着色補助層16が積層されて形成されている。そして、スイッチ部11と操作シート12が第2接着層17を介して接着されて一体となってメンブレンスイッチ10が形成されている。
【0027】
メンブレンスイッチ10の構成要素となる操作シート12は次のようにして製造する。先ず、カラープリンタ等のカラーデザインデータを一括出力する出力装置(図示せず)から、文字、記号又は模様等のカラーデザイン画像を基材シート18上に印刷して、インクやトナーなどの着色材を含んでなる着色材層19を基材シート18上に形成する(図2(a))。この際、基材シート18上に着色材を担持させるための受容層(図示せず)や、着色材層19を転写し易くするための剥離層(図示せず)等を予め設けておいてもよい。
【0028】
次に、この着色材層19の表面に第1接着層14となる接着剤を塗布する(図2(b))。そして、この積層された基材シート18に、透明性又は半透明性の透光性フィルム13を積層する(図2(c))。そして、加圧、加熱等により着色材層19を基材シート18から透光性フィルム13に転写して(図2(d))、基材シート18を引き剥がす。基材シート18を引き剥がすと、転写された着色材層19は、透光性フィルム13上に表示層15を形成する。このようにして透光性フィルム13上に表示層15を備えた操作シート12を得る(図3(a))。
【0029】
この操作シート12を用いたメンブレンスイッチ10を形成するためには、操作シート12の表示層15側の表面に両面テープや接着剤を付けて第2接着層17を形成し、メンブレンスイッチ10のスイッチ部11の一部である可撓フィルム11cと貼り合わせる(図3(b))。このようにして、操作シート12がスイッチ部11と一体となったメンブレンスイッチ10を得る(図3(c)、図1)。なお、表示層15側の面を接着することとしたのは、プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認できるようにして、解像度が高く高品位の文字、記号又は模様等の画像を得るためである。なお、メンブレンスイッチ10のスイッチ部11には、導電性インクを薄厚のフィルムに印刷して接点電極11aを形成し、スペーサ11dを挟んで対向させて接着するなどの一般的な手法によって形成して得たスイッチ部11を用いることができる。
【0030】
カラープリンタで表現するには困難である色彩、例えば金色や銀色などのメタリック色や白色、パール色などの色彩を再現性良く表示させるには、別途、これらの色を補完する着色補助層16を形成することによって解決する。即ち、例えば、上述の図3(a)と図3(b)で示した工程の間に、表示層15の上にスクリーン印刷等によって、着色補助層16を積層する工程を設ける(図4)。但し、着色補助層16を形成する必要がなければこの工程は不要である。
【0031】
基材シート18から透光性フィルム13に着色材層19を転写する方法としては、圧着転写の他、熱転写がある。熱転写する場合の条件は、第1接着層14、透光性フィルム13等の材質、層厚、気温等の種々の条件にもよるが、接着剤にはホットメルト接着剤を用い、150〜240℃、2秒間、0.3MPaで基材シート18と透光性フィルム13を押圧して、所望部分の着色材層19を転写させる。
【0032】
本発明のメンブレンスイッチ10においては、必要に応じて、紫外線吸収剤を含めた耐候性樹脂層等の新たな層を上記構成の一部に設けるような適宜の変更がなされていても良い。また、例えば第1接着層14と透光性フィルム13との間に表示層15とは別の任意の図柄や模様、色彩等を表す層を挿入してもよい。この層を透光性フィルム13に形成した場合に、透光性フィルム13に段差を生じることもあるが、ホットメルト接着剤を用いて転写を行えばこの段差が緩和されるため転写性は変わらない。
【0033】
本発明の別の実施形態に係るメンブレンスイッチ20は、予め組み立てられているスイッチ部11の可撓フィルム11cに操作シート12を接着するのではなく、操作シート12自体を可撓フィルム11cの代わりに用い、メンブレンスイッチ20を形成する。即ちこの場合は、上述の方法によって作製した操作シート12を元にし、この操作シート12に接点電極11aを形成し、同じく接点電極11aが形成されているベースフィルム11bと、スペーサ11dを挟んで一体化する工程を実行して、操作シート12をスイッチ部21の一部とするメンブレンスイッチ20を作製する(図5)。
【0034】
図6に本発明の一実施形態によるメンブレンスイッチ10と従来品のメンブレンスイッチのそれぞれに表示層を形成する製造工程をフローチャートを用いて比較する。可撓フィルムの表面に3色の色材からなる表示層と白色の着色補助層を設ける場合を想定すると、従来品(図6(a))は各色毎に印刷工程があり、さらにそれぞれ乾燥工程が必要であった。それに対して本発明のメンブレンスイッチ10(図6(b))の製造方法では、文字、記号又は模様等を表す着色材層19の作成工程が一工程で良く、ホットメルト接着剤を介して透光性フィルム13に熱転写することで表示層15が設けられるために大幅な工程減となる。さらに多色のデザインになればなるほど製造工程の削減効果が顕著となることは明らかである。
【0035】
次に、本発明のメンブレンスイッチ10、20を構成する材料や、メンブレンスイッチ10、20を製造する際に用いる材料について説明する。なお、スイッチ部11には、一般的なメンブレンスイッチ用のスイッチ部に用いる材料を適用することができる。また、スイッチ部21の操作シート12以外の部分についても同様に一般的なメンブレンスイッチ用に用いる材料を適用することができる。
【0036】
基材シート18; 基材シート18は、カラーデザイン画像が形成される基板となるシートであるが、着色材層19を透光性フィルム13に転写した後、引き剥がされるため、メンブレンスイッチ10の構成要素にはならない。基材シート18用の材料としては、樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムには、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどを用いることができる。一般的な基材シートとして、例えばアート紙、コート紙等の紙が用いられることもあるが、紙製の基材シートを用いるとインクが基材シートまで浸透し、その浸透したインクを完全に基材シートから引き剥がすことは困難であるため好ましくない。基材シート18に用いられる樹脂フィルムの種類は、プリンタ等の出力装置や、インクやトナー等の着色材の特性に応じて選択されて使用される。基材シート18の膜厚は、カラーデザイン画像を印刷する出力装置で印刷可能な範囲にあればよい。
【0037】
基材シート18の表面には、出力装置や、インクやトナー等の着色材に応じて、それらの着色材が付着し、担持されやすいような受容層を形成したり、転写によるバリの発生を抑え、着色材層19が容易に転写するような剥離層を形成したり、基材シート18自体の表面処理を施したりすることが望ましい。特にインクジェットプリンタを用いて着色材層19を形成する場合は、インクの吸収性を高め、印刷される各ドットが真円に近づくような受容層(又は剥離層)を設けることが好ましい。
【0038】
このような受容層(又は剥離層)としては、バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材からなる画像担持層を挙げることができる。この画像担持層は、プリンタから印刷されると、孔内にインクが染み込み、インクの吸収性に優れ、また、基材シート水平方向へのインク流れが抑えられ、真円に近いドットが得られることから、高解像度である画像を表示する着色材層19を得ることができる。
【0039】
画像担持層を形成する無機微粒子としては、無機酸化物またはその水和物等の無機顔料を用いることができ、具体例としてはシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、シリカアルミナ複合体等が挙げられる。アルミナ水和物の凝集体であるベーマイトや、シリカアルミナ複合ゾルを用いて形成した画像担持層は、細孔容積と平均細孔径が大きく、インク吸収性に優れ、かつ透明性、耐水性、光沢性に優れる点で好ましい。無機微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmであり、好ましくは、200〜800nmである。画像担持層の透明性を高めるためには、光散乱がほとんど無い領域にまで微粒子径を小さくすることが求められるが、上記の好ましい粒子径とした場合は、画像担持層が乳白色となり、照光式のメンブレンスイッチとして用いた場合においても十分な光透過率が達成できる。無機微粒子の形状は、非球状微粒子を配向させて直線的な細孔を形成した構造、即ち、画像担持層が基材シートの面直方向に開口する多数の縦細孔を形成したものであると、インク吸収性はより高められ、ドットの形状はより真円に近くなりさらに好ましい。
【0040】
また、無機微粒子を結合するバインダーとしては、でんぷんおよびその変性物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、セルロース誘導体、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリル・ブタジエンゴムラテックス、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、これらの中でも、ポリビニルアルコール及びその変性物が、インクの親和性に優れるとともに、ガラス転移点が比較的低く転写性がよい点で好ましい。
【0041】
無機微粒がバインダーにより結合し画像担持層を形成する。その細孔構造については、平均細孔径が3〜25nmであり、細孔容積が0.3〜2.0cm3/gであることが好ましい。平均細孔径が3nm未満や、細孔容積が0.3cm3/gより小さい場合は、インクが浸透しずらくなり、また、平均細孔径が25nmを超え、細孔容積が2.0cm3/gを超える場合は、真円に近いドットの形成が困難になり好ましくない。
【0042】
画像担持層は、それが基材の面直方向に開孔する多数の縦細孔を形成したものであると、画質の向上だけでなく、熱転写に対しても好影響を及ぼす。即ち、着色材層19のうち、所望の箇所を透光性フィルム13側に熱転写する際に、画像担持層を有しない場合は、転写する部位としない部位の境界面がシャープにならず、いわゆる箔切れが悪い状態となる。これに対して、この画像担持層を設けた場合は、転写する面と転写しない面との境界面がシャープに分かれ、さらに、着色材層19が基材シート18からきれいに分離して色残りを起こさない
【0043】
画像担持層の層厚は、プリンタによって印刷されたインク等の着色材が浸透する程度に十分な層厚が好ましく、2〜50μmであり、好ましくは、7〜45μmである。7μmより薄いとインクの浸透が十分でなく、45μmより厚いと熱転写がきれいに行われない場合がある。
【0044】
表示層15; 表示層15は、プリンタでカラーデザイン画像を基材シート18に印刷して、文字、記号等やデザイン模様等を形成した着色材層19が、透光性フィルム13に転写されて得られる層である。この表示層15の元となる着色材層19は、カラーデザイン画像を一括出力する出力装置で形成される。出力装置として代表的なものとして、プリンタがあり、このプリンタには、熱転写昇華方式、インクジェット方式、レーザー露光熱現像転写方式などの各種印刷方式によるプリンタがあるが、インクジェットプリンタであることが好ましい。インクジェットプリンタによれば、フルカラー化や高速印刷が容易で、写真に近い画質を有し、解像度に優れた画像を得ることができるからである。また、前記画像担持層を設けることで、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に劣るインクジェットプリンタ用インクを用いても、そのインクが、多孔質材に浸透したまま多孔質材ごと転写されるため、耐湿性、耐候性、発色性、耐ひっかき性等に優れた表示層15が形成できる。
【0045】
受容層(又は剥離層)などが設けられていない基材シート18に直接画像が印刷されるときは、プリンタのインクやトナー等の着色材からなる着色材層19が転写されて表示層15となるが、基材シート18上に設けられた画像担持層が着色材を吸収し、多孔質材と着色材が共に転写される場合は、多孔質材をも含めて転写された着色材層19が表示層15となる。前記画像担持層以外の受容層又は剥離層を設けた場合には、剥離層は基材シート側に残って転写されなくとも解像度、転写性に優れるが、受容層は基材シート側に残らない方が解像度、転写性の点で好ましい。
【0046】
カラーデザイン画像を表出するインクやトナー等の着色材は、各種出力装置に対応するが、顔料や染料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたインキやトナーが通常用いられる。カラーを表示するために、これらの着色材は、CMY系(シアン、マゼンダ、イエロー)、CMYK系(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)またはRGB系(レッド、グリーン、ブルー)が採用される。これらの着色材は、カラープリンタによる一括出力によってフルカラーを表現し、小面積部分であっても、細かく多くの文字や数字、又は、複雑な図形や記号、色模様などを鮮明に表示でき、描画のきめ細かさや画質の滑らかさを表す解像度の高い表示層が形成される。
【0047】
転写して得られる表示層15の層厚は、カラーデザイン画像を表示するのに十分な着色材層19を形成し、かつ転写に支障のない厚さとすることが好ましく、1〜50μmである。
【0048】
カラーデザイン画像をカラープリンタによって印刷して得た着色材層19が転写されて得た表示層15は、例えば、図7に示すような、黄色と水色のグラデーションの中に、黄色文字、黄橙色文字、黒色文字等を備えた表示部のデザインが、一印刷工程で形成でき、細かなデザインを有するメンブレンスイッチ10を安価に作成することができる。
【0049】
第1接着層14; 着色材層19を透光性フィルム13に結合する第1接着層14には、着色材層19を圧転写させる場合は粘着剤、接着剤が用いられるが、熱転写させる場合は、ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。ホットメルト接着剤には、例えばアクリル系、塩ビ系、ポリエステル系、ウレタン系などのホットメルト接着剤を挙げることができる。これらのホットメルト接着剤の中でもガラス転移温度が50〜100℃となる接着剤が、転写性に優れる点で好ましい。
【0050】
第1接着層14となる粘着剤、接着剤は、基材シート18に形成された着色材層19上に、部分的、または全体に均一に印刷、塗工によって塗布する。また、照光式メンブレンスイッチとすると光を透過させる必要があることから、透明または半透明であることが好ましいが、着色されていてもよく、これによってさらに意匠表現の幅が広がる。また、紫外線吸収剤、安定剤などの添加剤を加えることによって、大幅な耐候性の改善を図ることができる。これらの接着剤等は、被着体となる透光性フィルム13に対して接着性が良いことが好ましい。第1接着層14の層厚は、着色材層19を透光性フィルム13に転写できる厚みがあればよく、1〜30μmである。
【0051】
透光性フィルム13; 透光性フィルム13は、表示層15を保護する機能等を有し、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの光透過性を有する樹脂フィルムなどを用いることができる。透光性フィルム13の膜厚は、大型機器等に用いられる場合も含めて25〜200μmとするが、薄型化が望まれる場合は、25〜100μmとする。25μmより薄いと、表示層15の保護が不十分である。一方、200μmより厚いと、透明性が劣り、薄厚が要求されるメンブレンスイッチにおいては好ましくなく、加えて操作感や操作的確性が悪くなり、スイッチ機能としても不十分となるからである。
【0052】
着色補助層16; カラープリンタで表現するには困難である金色や銀色などのメタリック色や白色、パール色などは、別途、これらの色彩を補完する着色補助層16を形成することによって解決する。即ち、白色や銀色等からなる着色補助層16を着色材層19に積層して設ける。着色補助層16にはアクリル系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、エポキシ系より選ばれる少なくとも1種のインキを用いることが好ましい。着色補助層16は、照光式のメンブレンスイッチとする場合は透光性であることが好ましい。着色補助層16の層厚は、1〜30μmであることが好ましい。1μm未満であると、白色又は銀色等の色彩を補完する効果が不十分である。一方、30μmを超えても着色補完効果がそれ以上向上しないだけでなく、透光性が悪くなるからである。
【0053】
第2接着層17; 第2接着層17は、透光性フィルム13、第1接着層14、表示層15、場合により着色補助層16からなる操作シート12を、スイッチ部11の可撓フィルム11cに接着する機能を有する層である。第2接着層17としては、通常の接着剤の他、接着テープ等を用いることができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例、比較例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
【0055】
実施例1:
【0056】
所定の画像担持層を設けた厚さ100μmのPETフィルム又はアクリルフィルムからなる基材シート18に、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータを所定のプリンタを用いて印刷し、基材シート18上に着色材層19を形成した。この着色材層19上に層厚5μmとなるように、透光性の所定のホットメルト接着剤13をスクリーン印刷によって均一に塗布し乾燥固化させた。そして、厚さ50μmの所定の透光性フィルム13と整合させて、透光性フィルム13へ着色材層19が転写されるように位置合わせをし、圧力0.3MPaにて基材シート18と透光性フィルム13を押圧して、2秒間、200℃にて熱転写した後、基材シート18を剥がし、透光性フィルム13の表面に表示層15を形成した。試料によっては、その表示層15の上に所定の着色補助層16を厚さ5μmとなるように塗布した。こうして得られた操作シート12を、厚さ150μmの光透過性の両面テープ15によって、スイッチ部11の可撓フィルム11cに接着し、こうして試料1〜8のメンブレンスイッチを得た。ここで用いた材料及び製造条件を表1、表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1、表2において、基材シートとしてのPETフィルムは、ルミラー(東レ株式会社製)を、アクリルフィルムは、アクリプレンHBS001(三菱レイヨン株式会社製)を用いた。受容層としては、ポリビニルアルコールで結合したベーマイトを結合相とする多孔質材からなる画像担持層、シリカアルミナ複合ゾルから溶媒を除去したキセロゲルを、ポリビニルアルコールで結合した多孔質材からなる画像担持層、又は、ポリビニルアルコール樹脂/ポリエステル樹脂(NS−244LX(高松油脂株式会社製))からなる受容層が、基材シート18上に形成されているものを用いた。また、表1、表2中に示した材料等を具体的に示すと以下のようになる。「アクリル系」ホットメルト接着剤は、SNAPインク(十条ケミカル株式会社製)を、「ウレタン系」ホットメルト接着剤は、SG740インク(株式会社セイコーアドバンス社製)をそれぞれ用いた。また、「アクリル系」着色補助層は、STRインク(株式会社セイコーアドバンス社製)を用いた。また、「インクジェット」プリンタは、試料6において、SOLJETSJ−500(ローランド.ディー.ジー.株式会社製)を用いた以外は、PM890(セイコーエプソン株式会社製)を、「熱転写」プリンタは、MD5000(アルプス電気株式会社製)を、「レーザー露光熱現像転写」プリンタは、Docuprint C620(富士ゼロックス株式会社製)を、「熱転写昇華」方式プリンタは、CAMEDIA P−400(オリンパス光学工業株式会社製)をそれぞれ用いた。プリンタ用インクはそれぞれのプリンタに用いられる純正品を使用した。
【0060】
比較例1:
【0061】
所定の画像担持層を設けた厚さ100μmのPETフィルムからなる基材シートに、パーソナルコンピュータを用いて作製したカラーデザインデータを所定のプリンタを用いて印刷し、基材シート上に着色材層を形成した。この着色材層上に層厚5μmとなるように、透光性の所定のホットメルト接着剤をスクリーン印刷によって均一に塗布し乾燥固化させた。そして、厚さ50μmの所定の透光性フィルム13に対し、200℃でホットメルト接着剤を溶融させて接着し、基材シートと透光性フィルム13が接合した操作シートを得た。そしてこの操作シートを光透過性の両面テープによって、可撓フィルムに接着した。操作シートの基材シート側を可撓フィルムに接合したものを試料9、操作シートの透光性フィルム13側を可撓フィルムに接合したものを試料10とした。ここで用いた材料及び製造条件を表2に示す。
【0062】
上述の実施例1及び比較例1における試料1〜10について印刷性(解像度)、転写性、保存安定性、画質(色再現性)、操作感、操作的確性についての評価を行った。印刷性としては、転写後の表示画像として、解像度がたいへん優れているものを◎、解像度が優れているものを○、従来のスクリーン印刷等によるものと同程度のものを×とした。転写性としては、転写する部分としない部分の境界面がシャープに剥離し、基材シート上にも転写残りが生じないものを◎、転写する部分としない部分の境界面はシャープに剥離するが、基材シート上に転写残りが生じるものを○、転写する部分としない部分の境界面にバリが生じるものを×とした。また、保存安定性は、耐湿試験(45℃、95%RH、120時間)によって行い、初期画像から画質が変化しないものを◎、初期画像から画質が多少なりとも変化するものを○、初期画像から明らかに退行するものを×とした。画質(色再現性)としては、写真に近くフルカラーが表現できたものを◎、色相によってはやや色あせているものを○、劣っているものを×とした。操作感は、スイッチを押圧操作した時の押した感覚が良く得られるものを◎、その感覚が多少得られるものを○、その感覚が殆ど得られないものを×とした。操作的確性は、スイッチを押圧操作した時のスイッチのオン−オフ切替えが的確に行われたものを◎、まれに切替が行われない場合があるものを○、切替が行われない場合が頻繁に生じるものを×とした。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
プリンタで出力されたカラーデザイン画像を表(印刷面側)から視認することができる構成となる実施例1の試料1〜3は、カラーデザイン画像を裏(印刷面とは反対側)から視認する構成となる試料10に比べて印刷性において優れていた。また、バインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材からなる画像担持層を基材シート上に設けて、この画像担持層ごと転写されて表示層となる試料1〜3においては転写性、保存安定性に特に優れていた。着色補助層を設けた試料2、試料3、試料5は画質(色再現性)に特に優れていた。しかし、着色補助層を設けた試料6〜8の画質の評価が「○」であるのは、受容層を設けていないためであると思われる。また、基材シートを剥離せずに操作シートとした試料9と試料10は、明らかに操作感、操作的確性の点で劣っていた。
【0065】
【発明の効果】
本発明によるメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法は、文字や記号、複雑な絵柄、色模様などを鮮明に表示でき、解像度、デザイン性に優れている表示層を有する操作シートを得ることができ、この操作シートを用いたメンブレンスイッチは、操作感が良く、押しミスの起こりにくいメンブレンスイッチである。また、インクジェットプリンタを用いて表示層を形成したメンブレンスイッチは、単色、多色に関係無く従来の印刷工程のような製造工程が不要であり、印刷技術に起因する熟練や位置ずれ、異物混入などの問題が生じることなく、生産数量の多少に関わらず安価に生産が可能なメンブレンスイッチである。さらに、着色材が画像担持層に浸透した表示層を形成したメンブレンスイッチは、高画質で、耐水性の高い表示層を有するメンブレンスイッチである。また、表示層が透明または半透明のホットメルト接着剤を介して、透光性フィルムに熱転写することで形成したメンブレンスイッチは、基材シートを剥離するため、層厚が薄く、操作感が良く、操作的確性に優れるメンブレンスイッチである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるメンブレンスイッチの縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるメンブレンスイッチ用操作シート及びメンブレンスイッチの製造工程(前半)毎の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるメンブレンスイッチ用操作シート及びメンブレンスイッチの製造工程(後半)毎の縦断面図である。
【図4】着色補助層を形成する工程を示す縦断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態によるメンブレンスイッチの縦断面図である。
【図6】本発明のメンブレンスイッチと従来のメンブレンスイッチの製造工程を比較するフローチャートである。
【図7】本発明のメンブレンスイッチの一実施形態による平面図である。
【図8】従来のメンブレンスイッチの分解斜視図である。
【図9】従来のメンブレンスイッチの縦断面図である。
【符号の説明】
10、20 メンブレンスイッチ
11、21 スイッチ部
11a 接点電極
11b ベースフィルム
11c 可撓フィルム
11d スぺーサ
12 操作シート
13 透光性フィルム
14 第1接着層
15 表示層
16 着色補助層
17 第2接着層
18 基材シート
19 着色材層
Claims (12)
- 文字、記号又は模様等のカラーデザイン画像を表す表示層を備え押圧操作がなされる操作シートと、対向位置に設けられた接点電極を有し該操作シートに対する押圧操作により絶縁状態の該接点電極が導通して所定のスイッチ機能を実行するスイッチ部と、を備えるメンブレンスイッチにおける操作シートの形成方法であって、
シート状の基材にその面直方向に開孔する多数の縦細孔を有する画像担持層が形成された基材シートを用い、前記カラーデザイン画像をカラープリンタによって基材シートの画像担持層に印刷して着色材層を形成する工程と、
該着色材層に接着剤を塗布して基材シートの画像担持層における該着色材層の部分を透光性フィルムに転写して接着する工程と、
透光性フィルムに転写して接着した着色材層の部分を画像担持層から箔切りしつつ透光性フィルムから基材シートを剥離し、該着色材層による表示層を該透光性フィルム上に形成して操作シートを得る工程と、を実行することを特徴とするメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法。 - 画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機微粒子を結合相とする多孔質材である請求項1記載のメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法。
- 前記透光性フィルムに着色材層を転写した後に、金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を表示層上に設ける工程を実行する請求項1又は請求項2記載のメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法。
- 着色材層に塗布する接着剤が透明性または半透明性のホットメルト接着剤であり、熱転写によって着色材層の前記転写工程を実行する請求項1〜請求項3何れか1項記載のメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法。
- カラープリンタの印刷方式がインクジェット方式である請求項1〜請求項4何れか1項記載のメンブレンスイッチ用操作シートの形成方法。
- 文字、記号又は模様等のカラーデザイン画像を表す表示層を備え押圧操作がなされる操作シートと、対向位置に設けられた接点電極を有し該操作シートに対する押圧操作により絶縁状態の該接点電極が導通して所定のスイッチ機能を実行するスイッチ部と、を備えるメンブレンスイッチにおいて、
前記操作シートが、透光性フィルムと、接着層と、前記表示層とを備えており、
前記表示層は、シート状の基材にその面直方向に開孔する多数の縦細孔をもつ画像担持層を形成した基材シートのうちの画像担持層に前記カラーデザイン画像をカラープリンタで印刷してなる着色材層の部分が、前記接着層を介して画像担持層から箔切れすることで前記透光性フィルムに接着してなる、転写層であることを特徴とするメンブレンスイッチ。 - 操作シートの表示層が形成されている面側がスイッチ部に接合してなる請求項6記載のメンブレンスイッチ。
- 操作シートがスイッチ部の一部であり、該操作シートに前記接点電極が形成されている請求項6又は請求項7記載のメンブレンスイッチ。
- 画像担持層がバインダー樹脂で結合した無機物微粒子を結合相とする多孔質材である請求項6〜請求項8何れか1項記載のメンブレンスイッチ。
- 金色や銀色などのメタリック色や白色などの色彩を補完する着色補助層を設けた請求項6〜請求項9何れか1項記載のメンブレンスイッチ。
- 前記表示層が、インクジェット方式で印刷された層である請求項6〜請求項10何れか1項記載のメンブレンスイッチ。
- 前記各層が、内部光源からの出射光を透過して外部に照光可能な透光性のものである請求項6〜請求項11何れか1項記載のメンブレンスイッチ。
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