JP4357787B2 - 被熱転写材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は被熱転写材に関し、特にプレ印刷部を有する被熱転写材であって、たとえばレジン系熱転写インキリボンを用いてサーマルプリンタで熱転写印字されるラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、サーマルプリンタで熱転写インキリボンからインキを熱転写することによりラベルなどの被熱転写材に印字部を形成する技術がある。その中でも、レジン系熱転写インキリボンによる熱転写印字技術は、印字の耐溶剤性、耐スクラッチ性、耐熱性などの耐久性が高いことから産業上の利用価値が高い。
一般に、レジン系熱転写インキリボンを用いる場合には、被熱転写面に高い平滑度や受像適性が要求される。そこで、紙などの基材に受像適性を上げるための樹脂をコーティングして被熱転写面を形成したり、被熱転写面自体を受像適性の有るプラスチックフィルムで形成することが行われている。ここで受像適性とは、熱転写されたレジン系インキが被熱転写面に鮮明な印字像を形成し、しっかりと定着し得る適性である。
【0003】
図2は、従来の被熱転写材の一例を示す断面図解図である。
この被熱転写材1は、基材2を有する。この基材2は、レジン系熱転写インキの受像適性のあるプラスチックフィルムで形成される。基材2の裏面には粘着剤層3が形成される。粘着剤層3は、剥離ライナ4により覆われる。被熱転写材1を被貼付物に貼付する際に剥離ライナ4は剥離される。また、この被熱転写材1には、プレ印刷部5が形成される。プレ印刷とは、画一的な文字や模様などを被熱転写材1に予め印刷しておくことである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の被熱転写材1において、基材2の被熱転写面にプレ印刷を行った場合には、受像適性が低下するため、プレ印刷部5の上に重ねて熱転写印字を行うことができないか、できたとしても印字部の耐久性が低く実用に耐えない場合があった。この場合、プレ印刷部5とは別の箇所に熱転写印字部6を形成しなければならず、熱転写印字をする際の制約となった。
【0005】
それゆえに、本願発明の主たる目的は、プレ印刷部上に重ねて熱転写印字を確実に行うことができる被熱転写材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明にかかる被熱転写材は、基材、基材の表面に形成されたプレ印刷部、プレ印刷部を透視可能に覆いながら基材の表面側にラミネートされ、基材とは反対側の表面に熱溶融型転写インキリボンから転写されて転写印刷部がその表面に形成されるようにされてなるインキ受像層および基材の裏面に形成された粘着剤層を含む、被熱転写材である。
この被熱転写材では、プレ印刷部を透視可能に覆いながら基材の表面にインキ受像層がラミネートされる。そのため、プレ印刷部の有無によって被熱転写面であるインキ受像層の受像適性が変化しない。したがって、プレ印刷部の有無にかかわらず熱転写印字を行うことができ、プレ印刷部の真上に重ねて熱転写印字を確実に行うことができる。さらに、この被熱転写材は、基材の裏面の粘着剤層によって、被熱転写材を所望の被貼付物に対して貼付することができる。
【0007】
また、本願発明にかかる被熱転写材において、基材とインキ受像層との間に、透光性を有する粘着剤層が設けられてもよい。
この場合には、基材とインキ受像層とが互いに融着しない材料の場合にも、インキ受像層を基材にラミネートすることが確実にできる。
【0009】
本願発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本願発明にかかる被熱転写材の一例を示す断面図解図である。
図1に示す被熱転写材10は、ラベルとして用いられるものである。この被熱転写材10は、シート状の基材12を含む。基材12は、インキ受像層の平滑性を低下させないようにして熱転写印字を的確に行うために、平滑性の高いものが好ましい。基材12としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、板紙、もしくはセルロース繊維紙等の天然繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、メタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフィルムもしくはシートが使用できる。このうち、合成紙は、その表面に熱伝導率が低く、断熱性の高い層を有しているのが好ましい。
【0011】
また、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルムの表面には、アルミなどの金属蒸着層を形成してもよい。その場合は、本願発明にかかる被熱転写材の構成によれば、該金属蒸着層の光沢が外部から透視できるため、金属光沢を有する被熱転写材を得ることができる。
【0012】
さらに、これらの組み合わせによる積層体も使用できるが、その代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙、あるいは、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムもしくはシートとの積層体が挙げられる。積層体に用いる合成紙としては、特に微細孔を有する層を設けた合成紙が望ましい。該微細孔は、たとえば、合成樹脂を微細充填剤含有状態で延伸することにより形成することができる。該微細孔を含有する層を設けた合成紙を用いて構成した熱転写受像紙に熱転写により画像を形成した場合、画像濃度が高く、画像のバラツキも生じないという効果がある。これは、微細孔の断熱効果によるものと推定される。また、該微細孔を含有する層を直接、セルロース繊維紙など芯材の表面に設けることも可能である。
【0013】
また、基材12として、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムとをラミネートしたものも使用することができ、その貼着方法としては、たとえば、従来公知の接着剤を用いた貼着、押出ラミネート法を用いた貼着、熱接着による貼着が挙げられる。また、合成紙とプラスチックフィルムとの貼着方法としてはプラスチックフィルムの形成を同時に兼ねたラミネート法、カレンダー法等による貼着等が挙げられる。貼着手段は合成紙と貼着するものの材質に応じて適宜選択すればよい。
【0014】
基材12上には、画一的な文字や模様などを表すプレ印刷部14が形成される。プレ印刷部14を形成する工程は、スクリーン印刷やオフセット印刷によって比較的大ロットで処理することができる。
【0015】
基材12上には、プレ印刷部14を覆いながら透光性を有する粘着剤層16が形成される。粘着剤層16は、インキ受像層18を基材12に一体にラミネ−トするための層である。粘着剤層16としては、外側からプレ印刷部14が見えるように透光性を有することが必要とされ、たとえば、アクリル系粘着剤や、ウレタン系粘着剤などで形成される。
【0016】
粘着剤層16の上には、平滑性および透光性を有するインキ受像層18が形成される。インキ受像層18は、熱転写シートから転写されるレジンタイプのインキの画像を受像し、受像することにより形成された画線を保持するための層である。このインキ受像層18は、外側から基材12上のプレ印刷部14が見えるように透光性を有し、かつ熱転写インキの受像適性を有する材質で形成される。たとえば、レジンタイプの熱転写インキに対しては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリスチレン(OPS)などの透明フィルムがインキ受像層18を形成するために選択される。また、これらの透明フィルムは単独で用いることに限らず、その表面にさらに受像適性を向上させるための透明な樹脂をコーティングして用いてもよい。
【0017】
なお、レジンタイプの熱転写インキは、加熱により溶融して熱転写リボンから被熱転写材に転写される染料とバインダとから成るものである。レジンタイプの熱転写インキは、主成分としてプラスチック樹脂を含み、熱転写性が比較的悪く、インキ受像層として紙は不適である。ただし、転写された画線の耐スクラッチ性(引っかき強さ)や耐熱性に優れ、受像面が汚れにくい。熱転写リボンの基材としては、コンデンサペーパ、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロファン、芳香族ポリアミド等のプラスチックフィルムが用いられる。
また、熱転写インキのバインダとしては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂等が用いられる。
【0018】
また、熱転写インキには、レジンタイプの他に、ワックスタイプやセミレジンタイプなどがある。ワックスタイプの熱転写インキは、主成分がワックスで、熱転写性が良く、紙などに対しても熱転写が可能である。セミレジンタイプは、レジンタイプとワックスタイプの中間型として位置づけられ、プラスチックとワックスの両成分を主成分として含むものである。これらの熱転写インキのタイプに応じて、インキ受像層18を形成するための最適な材質が選択される。
【0019】
プレ印刷部14の形成された基材12、粘着剤層16、およびインキ受像層18は、従来公知のラミネート法により一体にラミネートされる。
【0020】
インキ受像層18の表面には、インキ転写リボンからインキが転写され、熱転写印字部20が形成される。熱転写印字部20の形成は、小ロットで処理される。この被熱転写材10では、透光性を有するインキ受像層18の下にプレ印刷部14が形成されているので、インキ受像層18上のどの箇所においても、均一な受像適性を得ることができる。したがって、プレ印刷部14の真上に重ねて熱転写印字部20を形成することが問題無くできる。なお、本願発明において、印字とは、文字を被熱転写材上に表すことに限るものではなく、線画、図形、記号などを形成することを包含する概念である。
【0021】
基材12の裏面には、粘着剤層22が形成される。粘着剤層22は、被熱転写材10をラベルとして被貼付物に貼付するためのものである。粘着剤層22を形成するための粘着剤は、従来からタックラベルなどに一般的に用いられる粘着材が用いられる。具体的には、ゴムまたは合成樹脂を主剤とする粘着剤、たとえばアクリル系粘着剤などを基材12の裏面に付与することにより形成される。
【0022】
粘着剤層22は、剥離ライナ24で覆われる。剥離ライナ24は、被熱転写材10をラベルとして被貼付物に貼付する際に剥離される。剥離ライナ24は、たとえば基材の表面にシリコーン樹脂などの剥離剤を付与して形成されたものが用いられる。
【0023】
この被熱転写材10では、プレ印刷部14を透視可能に覆いながら基材12の表面にインキ受像層18がラミネートされる。そのため、プレ印刷部14の有無によって被熱転写面であるインキ受像層18の受像適性が変化しない。したがって、プレ印刷部14の有無にかかわらず熱転写印字を確実に行うことができる。そして、インキ受像層18および剥離剤層16が透光性を有するので、プレ印刷部14と熱転写印字部20とを同時に目視することができる。
【0024】
【発明の効果】
本願発明にかかる被熱転写材によれば、プレ印刷の有無に制約されることなく、従来は困難であったプレ印刷部上にも重ねて熱転写印字を確実に行うことができる。プレ印刷部はインキ受像層に覆われているが、インキ受像層は透光性を有するので、使用者はプレ印刷部を目視することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかる被熱転写印字材の一実施形態を示す断面図解図である。
【図2】本願発明の背景となる従来の被熱転写材の一例を示す断面図解図である。
【符号の説明】
10 被熱転写材
12 基材
14 プレ印刷部
16 粘着剤層
18 インキ受像層
20 熱転写印字部
22 粘着剤層
24 剥離ライナ
Claims (2)
- 基材、
前記基材の表面に形成されたプレ印刷部、
前記プレ印刷部を透視可能に覆いながら前記基材の表面側にラミネートされ、前記基材とは反対側の表面に熱溶融型転写インキリボンから転写されて転写印刷部がその表面に形成されるようにされてなるインキ受像層および
前記基材の裏面に形成された粘着剤層を含む、被熱転写材。 - 前記基材と前記インキ受像層との間に、透光性を有する粘着剤層が設けられた、請求項1に記載の被熱転写材。
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