JP4315616B2 - 遮水用マット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管理型廃棄物埋立護岸等の仕切り護岸等において、水が通る恐れのある部分に敷設し、止水、または遮水層として設けることが可能なマット部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
港湾の岸壁や埋立地の仕切り護岸等の海洋構造物は、構築箇所の海底地盤を強化する地盤改良工事を施工してから、基礎マウンドを所定の高さに構築し、その基礎マウンドの上を均してから、ケーソン等を立設して構築する。前記ケーソンとしては、例えば、陸上でコンクリート等で箱型のものを単位体として製作し、そのケーソン単位体を岸壁構築位置まで搬送して沈下させるような工法が用いられ、岸壁の長さ等に応じて多数個のケーソン単位体を並べている。前記ケーソン単位体の接続部では、海水の流通を阻止するために、アスファルト混合物のような遮水性を有する材料を充填し、ケーソン単位体の間に隙間が生じないような処理が行われる。また、前記仕切り護岸等では、基礎マウンドの部分でも海水の流通を阻止する手段を設けているもので、前記基礎部分での遮水性を発揮させるために、アスファルトマット等のような遮水材を敷設している。
【0003】
前記ケーソン単位体としては、前記コンクリートの他に、ハイブリッドケーソンなどと呼ばれるもののように、箱型に形成した鉄鋼構造物の周囲面に、所定の厚さのコンクリートを被覆したもの等が用いられている。いずれの構造のケーソン単位体を用いて仕切り護岸を構築する際には、ケーソン単位体の間と、ケーソン底部、基礎マウンドの隙間等から海水が流通しないようにする処理を行う必要がある。そのために、従来より構造物をアスファルトマットを敷いた上に構築するとともに、基礎マウンドの埋め立て側の面と海底地盤の所定の範囲とに亘って、アスファルトマットやシート類等を隙間なく敷設する等の手段が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記海洋構造物の構築に際してアスファルトマットのような遮水材を用いる場合に、そのマット部材が大きな重量を有するものであることから、大きな面積の部分全体をアスファルトマットにより覆うことは工事の負担が大きい。そこで、前記アスファルトマットに代えて、ビニールシートやその他の薄いシート類を用いることも考えられてはいるが、前記薄いシート類は、埋め立て石等の落下衝撃により、容易に破れたりするという欠点があり、仕切り護岸の信頼性にも問題がある。また、基礎マウンドの上面全体にアスファルトマットを敷設せずに、護岸の埋立地側の側面と、基礎マウンドの上に遮水マットを敷設する工法が用いられる場合もあるが、そのような工法を用いる場合にも、ケーソン単位体の間では遮水処理を行う必要がある。
【0005】
しかしながら、ケーソン単位体を基礎マウンドの上に直接載置する状態で、ケーソン単位体の間にアスファルト混合物のような遮水材を充填するると、基礎マウンドの石の隙間に遮水材が流れてしまうという不都合が発生する。そこで、遮水材を無駄にすることを防止するためには、シートやマット等を継ぎ目の下面に配置することも考えられる。ところが、ビニールシート等のようなシート類を用いる場合には、ケーソンの接地の際の圧力で容易に破れるという問題があり、アスファルトマットのような厚いものを用いると、基礎マウンドの上面に不陸が生じるために、その上にケーソン単位体を載置したときに、前記不陸の影響を受けるという重大な問題につながる。
【0006】
本発明は、前述したような遮水処理の問題を解消しようとするもので、マット部材を薄くて強度の大きいもので構成し、工事の信頼性と遮水性能とを良好に発揮可能な遮水用マットを提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、海底地盤上に設けた基礎の上にケーソンを列状に立設するとともに、海底地盤とケーソン列の基部との間には基礎の表面に遮水層を施工して、廃棄物埋立地を仕切るために構築する仕切護岸に用いる遮水用マットに関する。
請求項1の発明は、前記仕切護岸は、基礎の上にケーソンを1列状に並べて構成するケーソン列を、海底地盤上に設けた基礎の上に構築するもので、
前記ケーソン列の各ケーソンの継ぎ目部分で縦の隙間となる接続部には、遮水材を充満させて遮水処理を施し、
前記ケーソンの接続部の下部には、所定の幅の遮水用マットを接続部の両側の端部をカバーするように配置し、前記ケーソンの重量で押圧保持させることにより、基礎とケーソンとの間で遮水性を保持させ、
前記基礎とケーソンの接続部の間に配置する遮水用のマットとしては、厚手の繊維補強層の上面には薄く、下面には厚くゴムアスファルト層を設けて一体化して構成し、柔軟性と弾力性を有する遮水用マットとして構成したものを用いて、ケーソン接続部に充填した遮水材を保持させることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記海洋構造物を構成するケーソン間の接続部の下面に、前記遮水用マットを所定の広さに敷設して設けるに際して、
前記遮水用マットが受けると想定される水圧等の押圧力に対応させて、必要に応じて複数枚のマットを積層して、任意の厚さに構成するとともに、
前記遮水用マットを積層する部分で重ねるマットの接合面には、ゴムアスファルトに好適な接着性を有する接着剤を用いて接着して、厚い遮水用マットとしたものを用いることを特徴とする。
【0009】
前述したように構成したマット部材は、ゴムアスファルトと内部に埋め込むようにして一体化した補強層とにより、薄く形成したものでも従来のアスファルトマットと同様な強度を発揮することが可能であり、軽量であることから敷設の作業性を良好に発揮できる。したがって、そのマット部材を用いる場所で要求される耐圧性に対応させて、任意の枚数のマット部材を重ねて一体化したものを用いることが可能である。また、前記遮水用マットは、任意の面積を有するものとして構成が可能であり、薄いものとして形成できることから、ケーソン等の下面の一部に配置したとしても、そのマット部材の上に構築する構造物の水平等の条件には影響が与えられない。そして、従来の海洋構造物等に対する止水・遮水マットとして、アスファルトマットと同様に用いることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
図示される例にしたがって、遮水用マットを説明する。図1に示す例は、遮水マットを構成するマット単位体5の構造を説明しているもので、マット単位体5は合成繊維等からなる繊維補強層6を芯として、その繊維補強層6の内部に含浸させるようにして、ゴムアスファルト層7を所定の厚さとなるように成型している。前記マット単位体5の上面には、砂粒層8の層を所定の厚さで形成し、下面には薄いシート9を設けて厚さが3.5〜5mm程度のもので、任意の幅と長さを有するシート状のものとして構成しており、マット単位体5を多数枚重ねておいた場合でも、重ねた部分で密着されずに剥離性を持たせるように構成している。
【0011】
前記ゴムアスファルト層7の中に補強部材として配置する繊維補強層6は、ポリエステル等の繊維をシート状に成型したものを、マット単位体5の上面側に配置し、アスファルト成分を含浸させる。そして、前記繊維補強層6の上面には薄いゴムアスファルトの層を、下面には厚いゴムアスファルトの層を設けて、所定の厚さに形成したマットとして構成することができる。その他に、前記繊維補強層6としては、加熱したアスファルトを含浸させてマット部材として形成する際に、熱の影響を受けない性質を有する合成繊維であれば、任意の素材を用いたマットまたはシートを用いることができる。また、前記マット単位体5の下面を覆うように設けるシート9としては、ポリエチレン等のフィルム部材を用いることが可能であるが、その他に、任意のフィルム部材を用いても良く、マット単位体5の上面を覆うように付着させる砂粒層8としても、細かい砂等のような、入手が容易な粒状のものを用いることができる。
【0012】
前記マット単位体5を使用する場合には、そのマット単位体5が受ける圧力等に対応させて、複数枚のマット単位体を重ねて一体化して、図2に示すような遮水マット1として構成したものを用いることができる。前記図2に示す遮水マット1を構成する場合には、マット単位体5、5aの重ね面に、ゴムアスファルト等を塗布して重ねることで一体化させることができる。また、前記マット単位体5を重ねて一体化する場合には、その他に、任意のゴムアスファルトを接着可能な2液反応型等の接着剤を用いて常温で接着すること、または、接着剤を塗布した面をプロパンバーナ等の加熱手段を用いて、加熱しながら接着することも可能である。
【0013】
前述構成を有する遮水マット1を構成するマット単位体5は、ゴムアスファルト層7を繊維補強層6の層で補強したマット単位体であることから、従来のアスファルトマットのようなマット部材に比較して、薄いものであっても、厚いアスファルトマットと同様、または、より以上の大きな強度を有するものとして構成することができる。前記マット部材等の強度を試験する装置としては、例えば、図3に示されるような構成の試験装置10を用いることができるもので、前記試験装置10においては、中央部に円筒状の凹部を設けた支持体11の上面に、供試体14を挟持部材12を介して支持し、押圧部材13により上から押圧するように構成している。そして、前記供試体14が押圧部材13により所定の速度で押圧する作用を付与した際に、マットが変形する変位量Hを測定するようにしている。
【0014】
前述したような構成を有する試験装置10を用いて、遮水マット1の試験を行ったところ、表2に各々示すような結果が得られた。なお、前記表1の引張試験結果と、表2の押抜き試験結果のデータは、マット部材1または5を対象として試験したデータであり、表3の参考値のデータは、従来より海洋構造物に対して設けるアスファルトマットの例で示している。また、引張試験結果は、遮水マットに対しては実施可能であるが、前記アスファルトマットでの引っ張り試験を行うことは困難であるから、アスファルトマットとの対比を行ってはいないが、前記表1に示すように、本実施例に示す遮水マット1の性質は、アスファルトマットに比較して厚さが1/10程度のものとして構成したものであっても、強度が大きいマット部材として構成できるものであると判明した。
【0015】
しかしながら、従来より海洋構造物に組み合わせて用いるアスファルトマットにおいては、基礎マウンドの上に配置してケーソン等の重量物が押圧する作用を付与した状態で、その押圧力により緩やかに変形して、凹凸に応じた形状になじんで、支持性能を良好に発揮できる。さらに、凹凸の大きな地盤や基礎の表面にアスファルトマットを敷設して、石や角張った廃棄物を投棄した時でも、その投棄物の角部により破損したりせずに、その形状を維持することができるという特性を有するものであることから、単純にアスファルトマットと遮水マットとの比較を行うものではないことは当然である。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
前述したように、マット単位体5を単体で用いた場合、または、マット単位体5を積層して構成する遮水マット1においては、そのマット部材の性質から、撓み性が良いもので、ゴムアスファルトのような改質アスファルトを主要な構成材料としており、改質アスファルトに特有な粘弾性状を有しており、緩やかな変形には追従性が良好に発揮される。また、ゴムアスファルトを含浸した繊維補強層6が表面側に配置されているので、急激な曲げ作用が付与された場合でも、クラックが生じたりすることがない。さらに、マット内部に空隙が形成されないアスファルトシートであるから、長期間の使用によっても品質の劣化が少なく、耐久性に優れたマットとして用いることができる。
【0020】
前記遮水マット1を構成するマット単位体5、または、マット単位体5を単体で使用する場合に、前記マット単位体5を製造工場から出荷される際には、巾が1〜2m、長さは10mないしはそれよりも長いものである。そこで、前記遮水マット1を海洋構造物の遮水シート等として用いる場合には、その遮水シートを敷設する現場の広さや使用条件に応じて、適当な広さ(面積)を有するものとして形成するとが必要とされる。そこで、施工現場の要求よりも、巾が狭くて短い遮水マット1を接続して所定の面積、長さまたは巾のマット部材として構成する場合には、図4に示すような接続手段を用いることができる。
【0021】
前記図4に示す例では、マット単位体5、5の接着面に接着剤16、16を塗布して接着することにより、所定の幅と長さを有する遮水マット1を形成する場合を示しているもので、前記接着剤16としては、2液反応型ゴムアスファルトを用いることができる。また、前記接着剤16として、熱接着用の接着剤を用いることが可能であり、接着剤を塗布してからバーナで加熱しながら接着する手段を用いても良い。前記幅の広い遮水マット1を作成する場合は、陸上で遮水マット1を作成する場合で説明したが、水中の海洋構造物の施工現場でマット単位体等を接続して、所定の面積を有する遮水マット1を作成しながら施工する場合もある。
【0022】
図5に示す例は、水中で幅の広い遮水マットを作成する例を説明するもので、その場合には、陸上で図4に示すようにして、マット単位体5の接着部に接着剤16を塗布したものを海底に敷設し、そのマット単位体5の接着剤16を塗布した接着面を重ねてから、その接着部の上に重錘部材17を置いて接着する。前記重錘部材17としては、前記遮水マットを敷設する地盤の凹凸に対して容易に変形でき、マット単位体の接続部を均一に押圧可能な可撓性(変形可能な)性質を有するものが望ましいもので、例えば、砂等を袋に入れたものを用いることができるが、マット接着部に対する押圧作用を良好に発揮させるためには、比重の大きな金属粒等を袋に入れて構成し、任意に変形可能な可撓性を有する構成のものを用いると良い。そして、前記接着剤16として2液反応型ゴムアスファルトを用いた場合には、水中で24時間程度押圧しながら置くと、マット単位体を接続して遮水性を良好に発揮可能な遮水マット1として形成することができる。
【0023】
前述したようにして所定の幅と長さを有する遮水マット1を、海洋構造物に組み合わせて施工する例としては、図6以降に示すように用いることができる。前記図6に示す例は、廃棄物埋め立て護岸等に使用する遮水マット1の例を示しており、前記廃棄物埋め立て地の仕切り護岸としての海洋構造物20は、海底地盤21の工事区域を地盤改良してケーソン25の施工区画を形成する。前記施工区画に対して、所定の高さと巾で基礎マウンド22を構築し、その基礎マウンド22の上面を均してケーソン25の設置面を形成し、ケーソン25を設置する。
【0024】
前記基礎マウンド22の止水処理を要する表面部には、遮水マット1を敷設して遮水処理を行うが、その遮水マット1のケーソン25側の端部では、マット部材のみにより遮水処理を行うことは困難である。そこで、前記遮水マット1の端部とケーソン25の間には、型枠26を設置してから高温のアスファルト混合物27を所定の厚さで流し込んで施工することで、遮水マット1の端部とケーソン25の間の隙間を遮水処理することができる。前述したようにして、基礎マウンド22の表面を遮水マット1により被覆してから、砂利や比較的小さな捨石を投棄して被覆石層23を構築し、遮水マット1を安定させてから、埋め立て土等の投棄に対処させるようにする。
【0025】
前記図6に示す遮水マット1の施工と固定する方法は、図7に示す海洋構造物20に適用できるもので、ケーソン25により区画する埋め立て土24側に対して、遮水マット1による遮水処理層を構築することが可能である。前記図7に示す例においては、ケーソン25により区画される埋め立て土24の側に、前記ケーソン25の側面と、基礎マウンド22の上面および海底地盤21の上面の所定の範囲に亘って、遮水マット1を敷設することにより遮水層を構築する。前記遮水層としては、従来のアスファルトマットまたはゴムマット、ビニールシート等を用いた遮水層と同様に構築するが、前記アスファルトマットに比較して、強度と耐久性とを同様に発揮できる遮水マット1を用いる場合には、その遮水マットの単位重量が非常に軽いものであることから、遮水マット1の施工性と作業性を良好に発揮できる、という特徴を発揮できる。なお、前記基礎マウンド22上に載置するケーソン25に対して、その下面の石の面との間には、従来の護岸と同様に、アスファルトマットの厚いものを配置しておくと、ケーソン25の波浪に対する安定性を良好に維持でき、基礎マウンド22の上面に対する遮水性をも発揮することができることはもちろんである。さらに、前記ケーソンの接続部(後述する目地部30)における止水処理に際しては、ケーソン25の海側にコンクリート製のブロック28を配置して、ケーソンの基部を支持させるように構築することもでき、前記ブロックに代えて、任意の消波ブロック等のような多脚ブロック部材を積み重ねて構築することも可能である。
【0026】
前記ケーソンを基礎マウンドに支持される部分での遮水性の課題の他に、前記遮水マット1はケーソン単位体の接続部での遮水処理に際しても利用が可能である。例えば、図8に示すように、岸壁を構築する際に、ブロック状に作成したケーソン25を並べて、長い岸壁として構築するが、前記ケーソン25、25の間の接続部では、その目地部30に対して止水処理を行うことが必要とされる。そこで、前記ケーソン25……間での目地部30に止水処理を施すためには、目地部30に所定の間隔を介してゴム製のストッパ部材31、32を挿入して固定し、前記ストッパ部材31、32の間の隙間にアスファルト混合物のようなアスファルト混合物33を充填する。前記アスファルト混合物33を充填する際に、目地部30の下部では、基礎マウンド22の石の隙間に直通する空隙が存在する状態となる。そこで、前記目地部30の下面に遮水マット1を所定の巾で配置し、目地部30の下面を塞ぐ状態で、アスファルト混合物33を注入することで、アスファルト混合物33が漏れ出して無駄にアスファルト混合物を消費することが内容にする。
【0027】
前述したように、遮水マット1をケーソン25の目地部30の下面に配置することは、前記遮水マット1が非常に薄いものであることから、敷設作業を容易に行うことが可能であり、隣接するケーソン25のレベルの設定に障害となることがない。また、基礎マウンド22の上でケーソン25により押圧したとしても、遮水マットの強度が大きいものであることから、基礎マウンドの突出した石の角等に局部的な押圧作用が付与されたとしても、破損したりすることがなく、目地部30に注入したアスファルト混合物33が下部から漏れ出したりすることを防止できる。。さらに、前記目地部30に対して配置する遮水マット1は、従来のアスファルトマットと同様に、任意の巾に作成して施工できるものであるから、無駄に遮水マットを使用することを防いで、必要な部分に必要な面積で施工して用いることが可能である。
【0028】
前記遮水マットを用いた遮水工は、図9のフローチャートに示すような手順にしたがって、施工することかできる。図9に示すフローチャートに示す例は、図6に対応する例で説明しているものであるが、まず、ステップa−1のように、マット単位体を重ねて遮水マット1を作成し、その遮水マット1をステップa−2でクレーン船または台船に積み込んで工事現場まで搬送する(ステップa−3)。次いで、前記施工現場での条件に合わせて、ステップa−4で接続するマットの端部に接着剤を塗布して、海底の基礎マウンドの上面等に遮水マットをクレーン等の装置を用いて敷設してから(ステップa−5)、マットの重ね部に重錘部材を載置して押圧作用を付与する(ステップa−6)。その後に、1日養生して重ね部の接着を行った後に、重錘部材を除去して(ステップa−7)から、ケーソンの設置に対処させる。
【0029】
前記遮水マットの接続作業は、各遮水マットの接続端部に対して繰り返して施工するもので、ケーソン25は陸上で製作されたものを、海上に浮かべて作業船により施工現場まで運搬し、基礎マウンドの上で遮水マットにより規定された上に位置決めして沈下させて位置決めする。次いで、ケーソンの目地部に対してステップb−1の前の段階で図8に示すような止水処理を行い、その後に、基礎マウンドの上面とケーソンの基部とに亘って、遮水層を構築する作業を行う。前記遮水層の構築に際して、ケーソンの基部と遮水マットとの間に型枠のを構築し(ステップb−1)、図6に示すように、アスファルト混合物の注入を行って、ケーソン25の基部での遮水処理を行う(ステップb−2)。その後に、遮水マットの層の上面にステップa−8に示すように、被覆石層を所定の厚さで施工して、海洋構造物の基礎を安定させるようにする。
【0030】
なお、前記遮水マットにおいて、ゴムアスファルト層の中に埋め込むようにして設ける繊維補強層6は、任意の厚さのものとして配置できるものであり、前記繊維補強層6の上下に形成するゴムアスファルト層の厚さ等の条件も、そのマット部材を施工する条件に対応させて設定が可能である。さらに、前記マット単位体を重ねて形成する遮水マットは、その遮水マットが受ける自然条件や、受ける荷重または押圧力等に対応させて、任意の枚数のマット単位体を重ねて遮水マットとして形成できるものであり、岸壁等の施工現場の条件に合わせて構成することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、前述したように構成した遮水用マットを用いるものであり、前記マット部材はゴムアスファルトと内部に埋め込むようにして一体化した補強層とにより、薄く形成したものでも従来のアスファルトマットと同様な強度を発揮することが可能であり、軽量であることから敷設の作業性を良好に発揮できる。したがって、そのマット部材を用いる場所で要求される耐圧性に対応させて、任意の枚数のマット部材を重ねて一体化したものを用いることが可能である。また、前記遮水用マットは、任意の面積を有するものとして構成が可能であり、薄いものとして形成できることから、ケーソン等の下面の一部に配置したとしても、そのマット部材の上に構築する構造物の水平等の条件には影響が与えられない。そして、従来の海洋構造物等に対する止水・遮水マットとして、アスファルトマットと同様に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マット単位体の構造の説明図である。
【図2】 マット単位体を重ねて遮水マットを構成する例の説明図である。
【図3】 遮水マットの試験装置の説明図である。
【図4】 マット単位体を接続して遮水マットとして構成する例の説明図である。
【図5】 海中で遮水マットを接続する例の説明図である。
【図6】 基礎マウンドとケーソンに亘る遮水工の説明図である。
【図7】 埋立地の護岸の構成の説明図である。
【図8】 ケーソンの目地部に対する止水処理の説明図である。
【図9】 遮水工事の工程を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 遮水マット、 2 接着剤、 5 マット単位体、
6 繊維補強層、 7 ゴムアスファルト層、 8 砂粒層、
9 シート、 10 試験装置、 11 支持体、
12 挟持部材、 13 押圧部材、 14 供試体、
16 接着剤、 17 重錘部材、 20 海洋構造物、
21 海底地盤、 22 基礎マウンド、 23 被覆石層、
24 埋め立て土、 25 ケーソン、 26 型枠、
27 アスファルト混合物、 30 目地部、
31・32 ストッパ部材、 33 アスファルト混合物。
Claims (2)
- 海底地盤上に設けた基礎の上にケーソンを列状に立設するとともに、海底地盤とケーソン列の基部との間には基礎の表面に遮水層を施工して、廃棄物埋立地を仕切るために構築する仕切護岸に用いる遮水用マットであって、
前記仕切護岸は、基礎の上にケーソンを1列状に並べて構成するケーソン列を、海底地盤上に設けた基礎の上に構築するもので、
前記ケーソン列の各ケーソンの継ぎ目部分で縦の隙間となる接続部には、遮水材を充満させて遮水処理を施し、
前記ケーソンの接続部の下部には、所定の幅の遮水用マットを接続部の両側の端部をカバーするように配置し、前記ケーソンの重量で押圧保持させることにより、基礎とケーソンとの間で遮水性を保持させ、
前記基礎とケーソンの接続部の間に配置する遮水用のマットとしては、厚手の繊維補強層の上面には薄く、下面には厚くゴムアスファルト層を設けて一体化して構成し、柔軟性と弾力性を有する遮水用マットとして構成したものを用いて、ケーソン接続部に充填した遮水材を保持させることを特徴とする遮水用マット。 - 前記海洋構造物を構成するケーソン間の接続部の下面に、前記遮水用マットを所定の広さに敷設して設けるに際して、
前記遮水用マットが受けると想定される水圧等の押圧力に対応させて、必要に応じて複数枚のマットを積層して、任意の厚さに構成するとともに、
前記遮水用マットを積層する部分で重ねるマットの接合面には、ゴムアスファルトに好適な接着性を有する接着剤を用いて接着して、厚い遮水用マットとしたものを用いることを特徴とする請求項1に記載の遮水用マット。
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