JP4966556B2 - 遮水シートの接合方法および遮水シートの接合構造 - Google Patents
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また、溜池や貯水池等においても、遮水シートにより形成された遮水層を利用する場合がある。
また、その他の従来の遮水シートの接合方法として、水中において遮水シート同士の接合部にアスファルトマスチック等を流し込んで止水を行う方法が行われていた。
ここで、本明細書において「密着」とは、隙間なく接している状態をいい、物理的に接合した状態(接着)であっても、当接したのみの状態であってもよい。
なお、粒状アスコンの発泡シートへの接着は、発泡シートを遮水シートに接着する前でも後でもよい。
ここで、図1は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態に係る海面処分場の概略を示す斜視図である。図2は、第1の実施の形態に係る遮水シートの接合構造を示す横断面図である。また、図3は、第2の実施の形態に係る遮水シートの接合構造を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。また、図4は、第3の実施の形態に係る遮水シートの接合構造を示す横断面図である。さらに、図5は、第4の実施の形態に係る遮水シートの接合構造の一部を示す横断面図である。
第1の実施の形態では、図1に示すように、ケーソン護岸20等により囲まれた所定の範囲の水底を覆うように、遮水シート1を敷設することで遮水層11を形成し、海面処分場10を形成する場合について説明する。
また、ケーソン21の内水域A側に裏込め層23を形成するものとしたが、裏込め層23は必要に応じて形成すればよいことはいうまでもない。
さらに、捨石マウンド22および裏込め層23の形成に使用する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して、使用すればよく、また、捨石マウンド22と裏込め層23は、同一の材料により形成しても、異なる材料により形成してもよい。また、捨石マウンド22または裏込め層23について、盛り立てられた栗石や砕石の隙間に、アスファルトマスチック等を浸透させることにより、止水性をもたせてもよい。
さらに、第1の実施の形態では、止水材2を両端から挟むように配設されたアスファルトマスチック製のブロック部材(硬化体)である流出防止材4,4が配置されている。
遮水シート1には、厚さが2mmのエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)製のゴムシートを使用する。なお、遮水シート1を構成する材料は、EPDM製のゴムシートに限定されるものではなく、例えば、EPDMとブチルゴム(IIR)を共加硫したゴムシートや、塩化ビニル樹脂(PVC)に可塑剤を添加して柔軟性を付与した熱可塑性プラスチックシートや、EPDMを主成分とし特殊ゴムを配合したシートや、高密度ポリエチレン(HDPE)を低温低圧で重合させて耐候剤などを配合したシートや、ポリプロピレン(PPA)を主に原料重合時に極微細に分散化した素材のシートなど、適宜公知の遮水シートの中から選定して使用すればよい。
止水材2には、加熱により溶融し、常温時には任意形状に成形可能で追随性を有したものを使用するものとし、第1の実施の形態では、アスファルトマスチックを使用する。なお、アスファルトマスチック2の配合は限定されるものではないが、例えば、アスファルト30質量%に対して石粉70質量%のものや、アスファルト20質量%に対して、石粉30質量%、砂50質量%のものや、アスファルト15質量%に対して、石粉25質量%、砂20質量%、砕石40質量%のものなど、締め固めを必要とせず、流し込み施工が可能な配合のものを使用する。また、止水材2は、アスファルトマスチックに限定されないことはいうまでもない。
独立発泡シート3には、連続性のない独立した気泡が、無数にむらなく分散しており、熱溶着性を有するものであって、発泡倍率が2倍から60倍のものを使用する。なお、第1の実施の形態では、止水性を考慮して、発泡シートとして独立発泡シート3を使用するものとしたが、熱溶着性を有したものであれば、発泡シートの種類は限定されるものではない。また、独立発泡シート3の材質は限定されるものではないが、例えば独立発泡ポリエチレンシート、独立発泡ポリプロピレンシート、独立発泡ポリエチレン−酢酸ビニル共重合シートなどが使用可能である。
発泡シート接着工程は、遮水シート1の接合部a側の端部に、熱溶着性の独立発泡シート3を接着する(図2参照)工程であって、遮水シート1を水中に敷設する前に、気中(陸上等)において行う。
遮水シート敷設工程は、発泡シート接着工程において、端部に独立発泡シート3が接着された遮水シート1を、海面処分場10の壁面(裏込め層23)および底面(基盤G)に敷設する(図1参照)工程である。
流出防止材配置工程は、遮水シート敷設工程において海面処分場(水中)10に敷設された遮水シート1,1同士の接合部aを挟んで一対の流出防止材4,4を配置して、止水材2を流し込むための溝を形成する工程である。なお、流出防止材4,4は、流し込まれた止水材2の圧力により移動することがない形状であって、また、接合部aの遮蔽に必要な止水材2の厚みと略同等の厚みを有した形状に形成されている(図2参照)。
止水材配置工程は、流出防止材配置工程において形成された溝に、110〜190℃に加熱されて流動性を有した止水材(アスファルトマスチック)2を流し込むことにより止水材2を遮水シート1の端部に密着させる工程である(図2参照)。止水材4を、遮水シート1の端部に密着するように流し込むことにより、遮水シート1の端部に接着された独立発泡シート3は、止水材2と接触し、止水材2の熱によりこの接触面が溶融する。これにより、独立発泡シート3の止水材2との接触面には、不連続な凹凸面が形成される。そして、この独立発泡シート3の不連続な凹凸面の凹部に、止水材2が入り込むことにより止水材2と独立発泡シート3とが噛み合うため、止水材2と独立発泡シート3とが物理的に接着する。これにより、遮水シート1と止水材2とが接着される。また、溝に流し込まれた止水材1の熱により、流出防止部材4であるアスファルトマスチック製のブロック部材が、クリープするため、平坦性が不良な基盤においても、遮水シート1と流出防止材4との間に隙間が形成されることが無く、止水材2が横方向に流出することがない。
第2の実施の形態では、図1に示す海面処分場10において、裏込め等の斜面状に形成された遮水層11に本発明に係る遮水シートの接合構造Sを適用した場合について説明する。
さらに、第2の実施の形態に係る接合構造S2では、図3(a)に示すように、一対の流出防止部材4’,4’の間に、所定の間隔により仕切部材5,5,…を配置することにより構成されている。
なお、流出防止材4’と仕切部材5とを接合することなく、それぞれ立設可能な厚みを有した部材により構成してもよいことはいうまでもない。また、第2の実施の形態では、流出防止材4’と仕切部材5とを同一の材料により構成するものとしたが、それぞれを異なる材料から構成してもよいことはいうまでもない。
発泡シート接着工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
遮水シート敷設工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
流出防止材配置工程は、遮水シート敷設工程において海面処分場(水中)10に敷設された遮水シート1,1同士の接合部aを挟んだ止水材2を流し込むための溝を形成する一対の流出防止材4’,4’と、この溝を所定の間隔で分断するように流出防止材4’,4’と直交する方向に流出防止材4’,4’の間に仕切部材5,5,…と、を配置する工程である(図3(a)および(b)参照)。つまり、遮水シート1,1の接合部aに沿って、一対の流出防止材4’,4’と仕切部材5,5,…とにより止水材2を流し込むための型枠を形成する。
止水材配置工程は、流出防止材配置工程において形成された型枠(流出防止材4’,4’、仕切部材5,5,…)に、110〜190℃に加熱されて流動性を有した止水材(アスファルトマスチック)2を流し込む工程である(図2参照)。止水材4が流し込まれることにより、遮水シート1の端部に接着された独立発泡シート3は、止水材2と接触することで、この接触面が溶融する。これにより、独立発泡シート3の止水材2との接触面には、不連続な凹凸面が形成される。そして、この独立発泡シート3の不連続な凹凸面の凹部に、止水材2が入り込むことにより止水材2と独立発泡シート3とが噛み合うため、止水材2と独立発泡シート3とが物理的に接着する。これにより、遮水シート1と止水材2とが接着される。
なお、止水材2の硬化後、流出防止材4’,4’は撤去してもよい。
また、流出防止部材4’と仕切部材5とを接合して型枠を形成するため、流出防止部材4’と仕切部材5は、流し込まれた止水材2の圧力により変形することのない耐力を有していればよく、薄肉化が可能となり、材料費の省略を可能としている。
第3の実施の形態では、図1に示すように、ケーソン護岸20等により囲まれた所定の範囲の水底を覆うように、遮水シート1を敷設することで遮水層11を形成し、海面処分場10を形成する場合について説明する。
発泡シート接着工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
遮水シート敷設工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
止水材配置工程は、遮水シート1,1の接合部aを跨いで、かつ、各遮水シート1の端部に接着された独立発泡シート3の上面に、電熱ヒータ2aが埋設された、アスファルトマスチックの硬化体であるブロック状の止水材2’を配置する。そして、止水材2’を配置したら、電熱ヒート2aに通電して過熱することで、アスファルトマスチックを軟化させて、遮水シート1,1に密着させる。このとき、止水材2’と接触している独立発泡シート3の接触面が軟化したアスファルトマスチックの熱により溶融する。これにより、独立発泡シート3の止水材2’との接触面には、不連続な凹凸面が形成される。そして、この独立発泡シート3の不連続な凹凸面の凹部に、止水材2’が入り込むことにより止水材2’と独立発泡シート3とが噛み合うため、止水材2’と独立発泡シート3とが物理的に接着する。これにより、遮水シート1と止水材2’とが接着される。
第4の実施の形態では、前記各実施の形態に係る遮水シートの接合方法において、遮水シート1が水中に敷設される前に、アスファルト混合物からなる粒状材を、加熱した状態で独立発泡シート3の上面に接着させる粒状アスコン接着工程を含む場合について説明する(図5参照)。
なお、(2)粒状アスコン接着工程は、(1)発泡シート接着工程の前であって、独立発泡シート3を遮水シート1に接着する前に行ってもよい。
ここで、粒状アスコン3aの配合は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
発泡シート接着工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
粒状アスコン接着工程は、独立発泡シート3の上面に、加熱された粒状アスコン3aを敷均し、転圧することにより行う。加熱された粒状アスコン3aの熱により独立発泡シート3の粒状アスコン3aとの設置面が溶融し、さらに粒状アスコン3aを転圧するため、粒状アスコン3aが独立発泡シート3に埋め込まれ、図5に示すように独立発泡シート3と粒状アスコン3aとが物理的に接着される。
遮水シート敷設工程は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
止水材配置工程は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
なお、第4の実施の形態に係る遮水シートの接合方法おいて、基盤の状況や使用する止水材により、必要に応じて流出防止材や仕切部材を配置することはいうまでものない。
また、供試体の背面に幅9cm、長さ20cm、厚さ1cmの鉄板をエポキシ樹脂で接着し、インストロン試験機を用いて試験温度20℃、引張速度0.5cm/minの条件で、シート接合部の引張せん断試験を行った。引張せん断試験結果を表1に示す。
例えば、前記各実施の形態では、本発明に係る遮水シートの接合方法および遮水シートの接合構造を、海面処分場の遮水層を形成する際に適用するものとしたが、本発明の遮水シートの接合方法および遮水シートの接合構造の適用箇所は、海面処分場に限定されるものではなく、例えば、貯水池や溜池等の補修にも適用可能である。
2,2’ 止水材
2a 電熱ヒータ(加熱手段)
3 独立発泡シート(発泡シート)
3a 粒状アスコン(アスファルト混合物からなる粒状材)
4,4’ 流出防止材
5 仕切部材
10 海面処分場
11 遮水層
20 ケーソン護岸
G 基盤
S,S1,S2,S3 接合構造(遮水シートの接合構造)
a 接合部
Claims (9)
- 遮水シートの端部に熱溶着性の発泡シートを接着する工程と、
水中に前記遮水シートを複数枚敷設する工程と、
止水材を、互いに隣接する前記遮水シート同士の接合部を跨いだ状態で、前記発泡シートが接着された前記遮水シートの端部に密着させる工程と、
を含む遮水シートの接合方法であって、
前記止水材が、常温時には任意形状に成形可能で、加熱により溶融する性能を有する材料であって、該止水材を、溶融させた状態で前記遮水シートの端部に密着させることで、前記止水材と、溶融された前記止水材の熱により溶融した前記発泡シートとを接着させることを特徴とする、遮水シートの接合方法。 - 前記止水材がアスファルトマスチックからなり、該止水材を、流し込むことにより前記遮水シートの端部に密着させることを特徴とする、請求項1に記載の遮水シートの接合方法。
- 前記接合部を挟んで一対の流出防止部材を配置して、前記止水材を流し込むための溝を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項2に記載の遮水シートの接合方法。
- 前記流出防止部材が、アスファルトマスチックの硬化体であることを特徴とする、請求項3に記載の遮水シートの接合方法。
- 前記溝が所定の間隔で分断されるように仕切部材を配置することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の遮水シートの接合方法。
- 前記止水材が、内部に加熱手段が埋設された状態で硬化されたアスファルトマスチック製のブロック材からなり、該ブロック材を所定箇所に配置した後、加熱して前記遮水シートの端部に止水材を密着させることを特徴とする、請求項1に記載の遮水シートの接合方法。
- 前記遮水シートが水中に敷設される前に、アスファルト混合物からなる粒状材を、加熱した状態で前記発泡シートの上面に接着させる工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の遮水シートの接合方法。
- 地上または水中に並設された2枚の遮水シートと、
前記遮水シートの他の遮水シート側の端部に、それぞれ予め接着された熱溶着性の発泡シートと、
前記2枚の遮水シート同士の接合部を跨いだ状態で加熱により溶融させることで該2枚の遮水シートに密着された止水材と、から構成された遮水シートの接合構造であって、
前記発泡シートは、前記止水材の遮水シートへの密着時の熱により溶融して当該止水材と接着されていることを特徴とする、遮水シートの接合構造。 - 前記止水材を両端から挟むようにアスファルトマスチックの硬化体が配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の遮水シートの接合構造。
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