JP4306384B2 - 芳香族ポリエーテルの製造法 - Google Patents
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本発明の目的は、有機リン化合物を添加しなくても、着色が少なく、透明性の高い芳香族ポリエーテルが得られる製造法を提供することにある。
式(1)におけるR1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。該炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(1)における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
式(2)におけるR9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。該炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(2)における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
本発明における「重合温度に到達した時」とは、本発明の芳香族ポリエーテルの製造における「反応系の最高到達温度よりも3℃低い温度に到達した時」をいう。
本発明の実施態様としては、反応系の最高到達温度を設定し、その最高到達温度よりも3℃低い温度に到達後さらに昇温して最高到達温度に到達後、最高到達温度の状態で一定時間保つこともできるし、または反応系の最高到達温度を設定し、その最高到達温度よりも3℃低い温度に到達後さらに昇温して最高到達温度まで到達させ、直ちに降温させることもできる。
本発明において、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒に添加するときの温度は、重合温度よりも低い温度であり、非プロトン性極性溶媒としてジフェニルスルホンを用いる場合は通常130〜200℃の範囲であり、好ましくは150〜180℃の範囲である。130℃以上であればジフェニルスルホンはその融点以上で液体となるため取り扱いやすくなり好ましい。非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリジノンのような常温で液体である溶媒を用いる場合は常温での添加が可能である。
また、全ての原料モノマーを非プロトン性極性溶媒に溶解させるときの温度は、重合温度よりも低い温度であり、通常130〜200℃の範囲であり、好ましくは150〜180℃の範囲である。溶解の完了は、溶液の透明性を調べることで確認できる。当該溶解に要する時間は、原料の種類等によるが、通常0.5〜20時間であり、0.5〜8時間が好ましい。
また、非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドを使用する場合の重合温度は、通常は180〜240℃の範囲であり、N,N−ジメチルアセトアミドの場合は、通常は130〜180℃の範囲であり、N−メチルー2−ピロリジノンの場合は、通常は150〜200℃の範囲である。
本発明における上記化合物(1)の反応率とは、反応前における化合物(1)の分子数に対する、反応後における化合物(1)の少なくとも一方のフェノール性水酸基が反応してフェノラート基又はエーテル結合に変換された分子数の比率を表す。
この保持する温度が当該下限以上であると、上記化合物(1)の反応率が向上することから好ましく、当該上限以下であると未反応の上記化合物(1)の分解が抑制されることから好ましい。
また、保持する時間は、通常2時間〜10時間であり、好ましくは2〜6時間である。保持時間が2時間以上であると上記化合物(1)の反応率が向上することから好ましく、10時間以下であると反応時間が短いことから好ましい。
本発明において、非プロトン性極性溶媒としてジフェニルスルホンを使用する場合の保持する温度は、通常は220〜280℃の範囲であり、好ましくは240〜260℃の範囲である。
また、非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドを使用する場合の保持する温度は、通常は140〜200℃の範囲であり、N,N−ジメチルアセトアミドの場合は、通常は90〜140℃の範囲であり、N−メチルー2−ピロリジノンの場合は、通常は110〜160℃の範囲である。
さらに、当該保持後の式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.5%以上であることが好ましい。
該洗浄溶媒としては、芳香族ポリエーテルを溶解することなく、非プロトン性極性溶媒及びアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩を溶解し得る溶媒が用いられ、例えば水や、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール及びこれらの混合溶媒などを用いることができる。
本発明の製造法で得られた芳香族ポリエーテルは、必要に応じて乾燥することにより、透明性の優れた樹脂とすることができる。
成形機で成形する際には、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維;無機充填剤;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等の反応性カップリング剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の潤滑剤;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;核剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、着色防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、潤滑剤及び難燃剤などを添加してもよい。
(1)分子量
芳香族ポリエーテルの分子量は、還元粘度を測定することによって求めた。還元粘度の値が大きいほど、高分子量であることを示す。
実施例及び比較例中の還元粘度(RV)は、次式により定義される。
RV=[1/C]×[(t−t0 )/t0 ]
t:重合体溶液の流出時間(秒)
t0:純溶媒の流出時間(秒)
C:重合体の溶液の濃度(g/100ml溶媒で表示)
粘度の測定は、オストワルド型粘度管を使用して、25℃で行った。粘度測定のための重合体溶液の濃度は、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬特級)溶液中1.0g/100mlとした。
芳香族ポリエーテル6.0gに対して、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬特級)100mlの割合で溶解し、日本ウオーターズ社製のWTPS Verified Filter(0.45μm)で濾過した。続いて、得られた濾液を光路長10cmのガラスセルに入れ、島津製作所製の分光光度計UV−2400PCにより、400nmにおける光線透過率(%)を求めた。
透過率が大きいほど、その波長における着色度が小さく、透明性に優れることを表す。
ビスフェノール化合物の反応率は縮合反応混合物中に残存するビスフェノール化合物を定量することにより求めた。定量分析は縮合反応混合物を下記手順で前処理した試料を高速液体クロマトグラフ法にて測定した。
(前処理)
約1.5gの縮合反応混合物に、10mlの4−ブチロラクトン−トルエン混合溶媒(体積比1:1)を加えて攪拌した後、濾過により無機塩やフェノラート等の不溶物を除去した。濾液を攪拌している30mlのメタノール中に滴下し、高分子量物を沈殿させ濾過により除去した。濾液にメタノールを加え正しく50mlの試料溶液とした。
(高速液体クロマトグラフ法による測定)
装置;東ソー SC8020,CCPP−M,AS8020,MX8020
カラム;YMC AQ−312、150mm×6mmφ
溶出条件;アセトニトリル−水、(アセトニトリル濃度)50%/0min⇒50%/20min⇒100%/35min⇒100%/50min
注入量;5μL
検出;UV−8020、254nm
攪拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた反応容器中に、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン100.11重量部、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン119.92重量部及びジフェニルスルホン196重量部を仕込み、容器内を窒素雰囲気に置換した後、さらに窒素を容器内に流通させながら、170℃まで昇温してモノマーを溶解させた。次いで、無水炭酸カリウムを57.5重量部添加した。その後、250℃まで3時間かけて昇温して、同温度で4時間保持した。この時の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、99.8%だった。その後、280℃まで1.5時間かけて昇温した。重合温度(最高温度−3℃)である280℃に到達した時の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、99.98%だった。さらに、280℃〜283℃(最高温度)の温度範囲で4.5時間重合させた。
この芳香族ポリエーテルの400nmにおける光線透過率は、52%であった。
昇温途中に250℃での温度保持をしなかった以外は実施例1と同様にして、還元粘度が0.35dl/gである芳香族ポリエーテルを得た。4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、250℃において98.2%、重合温度(最高温度−3℃)である280℃到達時において99.88%だった。
この芳香族ポリエーテルの400nmにおける光線透過率は、38%であった。
Claims (3)
- アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と、非プロトン性極性溶媒の共存下に、下式(1)で示されるビフェノール化合物と下式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物とを縮合反応させて、芳香族ポリエーテルを製造する方法であって、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒としてのジフェニルスルホンに添加した後、重合温度よりも20℃〜60℃低い温度の範囲で2〜10時間保持し、当該保持後の式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.5%以上であり、さらに重合温度まで昇温させ、重合温度に到達した時の下式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.95%以上であることを特徴とする芳香族ポリエーテルの製造法。
(式中、Yは、−SO2−又は−SO2−Ar−SO2−で示される2価基を表す。Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R1 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)
(式中、Zは、−SO2−,−CO−,−SO2−Ar−SO2−又は−CO−Ar−CO−で示される2価基を表し、Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。X及びX'は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。) - 式(1)で示されるビフェノール化合物が4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンであり、式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物が4,4'−ジクロロジフェニルスルホンである請求項1に記載の製造法。
- アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムであり、アルカリ金属重炭酸塩が重炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸カリウムである請求項1又は2に記載の製造法。
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