JP4297226B2 - アニリノピリミジノン誘導体、それらの製造方法及びそれらを有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤 - Google Patents
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Description
本発明は、新規なアニリノピリミジノン誘導体、それらの製造方法、及びそれらを有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤、特に、農園芸用の害虫防除に有効な殺虫、殺ダニ剤に関する。
背景技術
従来、農園芸分野では、各種病虫害の防除を目的とした様々な殺虫剤が開発され実用に供されている。しかしながら、従来汎用されている農園芸用殺虫剤は、殺虫効果、殺虫スペクトラム、あるいは残効性等の点において必ずしも満足すべきものではない。又、施用回数や施用薬量の低減等の要求を満足しているとは言えないものであった。
又、従来汎用の農薬に対して抵抗性を獲得した病害虫の出現も問題となっている。例えば、野菜、果樹、花卉、茶、ムギ類及びイネ等の栽培において、様々な型の農薬、例えば、トリアゾール系、イミダゾール系、ピリミジン系、ベンズイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、フェニルアミド系、有機リン系農薬等に抵抗性を獲得した種々の病害虫が各地で出現しており、これらの病害虫の防除が年々困難になっている。
病害虫が未だ抵抗性を獲得していない農薬(例えば、ジチオカーバメート系やフタルイミド系農薬等)もあるが、これらは一般に施用薬量や施用回数が多く、環境汚染等の観点から好ましいものではない。従って、従来汎用の農園芸用殺虫剤に抵抗性を獲得した各種病害虫に対しても低薬量で十分な防除効果を示し、しかも環境への悪影響が少ない新規な殺虫剤の開発が切望されている。殺ダニ剤についても、従来汎用の殺ダニ剤に抵抗性を示すダニに対しても優れた防除効果を示し、安全性の高い殺ダニ剤の開発が期待されている。
WO93/21162(特開平6-321913号公報)には、除草活性及び植物成長調節剤の作用を有する2-アニリノピリミジノン誘導体が開示されている。しかしながら、上記公報にはこれらの化合物の除草活性ならびに植物成長調節剤としての作用以外の生理活性、例えば殺虫及び殺ダニ活性に関する記載はいっさいなされていない。
また、2位アニリノ基のフェニル環上にニトロ基を有するアニリノピリミジノン誘導体はこれまでに全く報告されていない。
発明の開示
本発明者等は、従来の農園芸用殺虫剤や殺ダニ剤に抵抗性を示す各種病害虫に対しても高い防除効果を示し、かつ、残留毒性や環境汚染等の問題が軽減された安全性の高い殺虫、殺ダニ剤を求め鋭意検討した結果、下記一般式(I)で示されるような、2位アニリノ基のフェニル環上に少なくとも1個以上のニトロ基を有する新規なアニリノピリミジノン誘導体が、上記特徴を有する化合物であることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、一般式(I)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、C1〜C4ハロアルキル基、C1〜C4ハロアルコキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルキルスルフィニル基、C1〜C4アルキルスルホニル基、C1〜C5アシル基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基、C3〜C6アルケニル基、C3〜C6アルケニルオキシ基、C3〜C6アルキニル基、C3〜C6アルキニルオキシ基、C1〜C5アシルオキシ基、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4アルコキシ)基、カルボキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルキル)基、カルボキシ(C1〜C4アルコキシ)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルコキシ)基、C1〜C4アルキルアミノ基、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ基、C1〜C5アシルアミノ基、C1〜C4アルキルスルホニルアミノ基、メルカプト基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基又は水酸基を表し、mは1から4の整数を表す。ただし、mが2から4の整数の場合R1は同一でも異なってもよい。R2は水素原子、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C3〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、(C1〜C4ハロアルコキシ)C1〜C4アルキル基、(C1〜C4アルキルチオ)C1〜C4アルキル基、カルボキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニルオキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C5アシルオキシ)C1〜C4アルキル基、シアノ(C1〜C4アルキル)基、シアノチオ(C1〜C4アルキル)基、C1〜C5アシル基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基、(C1〜C6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C1〜C6アルキル)アミノカルボニル基、(C1〜C6アルキル)スルホニル基、置換していてもよいベンゼンスルホニル基、置換していてもよいC7〜C8アラルキル基を表す。R3は水素原子、C1〜C6アルキル基、C3〜C6アルケニル基、C3〜C6アルキニル基、C3〜C7シクロアルキル基又はアミノ基を表し、Xはハロゲン原子、C1〜C4アルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、Yは水素原子又はハロゲン原子を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体及びそれらを有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤に関する。
さらに本発明は、一般式(II)
(式中、RはC1〜C6アルキル基又はベンジル基を表し、nは0又は2を表す。R3及びXは前記と同意義を表す。)で示されるピリミジノン誘導体と、一般式(III)
(式中、R1及びmは前記と同意義を表す。)で示されるニトロアニリン類とを反応させ、一般式(Ia)
(式中、R1、R3、X及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体の製造方法に関する。
また本発明は、一般式(Ib)
(式中、R1、R3、X、Y及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体を塩基の存在下に、一般式(IV)
R2’−L (IV)
(式中、R2’は水素原子を除くR2で表される置換基を表し、Lは脱離基を表す。)で示される試剤と反応させ、一般式(Ic)
(式中、R1、R2’、R3、X、Y及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体を製造する方法に関するとともに、さらには、一般式(Id)
(式中、R1、R2、R3、X及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体をハロゲン化することによる、一般式(Ie)
(式中、Y’はハロゲン原子を表し、R1、R2、R3、X及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体の製造方法に関する。
さらに、本発明は、一般式(V)
(式中、R3及びXは前記と同意義を表す。)で示されるアミノピリミジノン誘導体を塩基の存在下に、一般式(VI)
(式中、Zはハロゲン原子を表す。R1及びmは前記と同意義を表す。)で示されるハロベンゼン類と反応させ、一般式(Ia)
(式中、R1、R3、X及びmは前記と同意義を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体を製造する方法に関するものである。
本発明の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体において、R1の具体例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基のアルコキシ基;メトキシメチル基、2-メトキシエチル基、エトキシメチル基、2-エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1-クロロエチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基等のハロアルキル基;トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2-クロロエトキシ基、3-クロロプロポキシ基、2-クロロ-1-メチルエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基等のハロアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec-ブチルスルフィニル基、tert-ブチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;2-プロペニル基、3-メチル-2-プロペニル基等のアルケニル基;2-プロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;プロパルギル基、2-ブチニル基、1-ブチン-3-イル基等のアルキニル基;2-プロピニルオキシ基、1-メチル-2-プロピニルオキシ基等のアルキニルオキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;カルボキシメチル基、1-(カルボキシ)エチル基等のカルボキシアルキル基;メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、1-(メトキシカルボニル)エチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;カルボキシメトキシ基、1-(カルボキシ)エトキシ基等のカルボキシアルコキシ基;メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、1-(メトキシカルボニル)エトキシ基等のアルコキシカルボニルアルコキシ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等のアシルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基;メルカプト基;シアノ基;カルボキシ基;ニトロ基;アミノ基及び水酸基等が挙げられる。
一般式(I)におけるR2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;2-プロペニル基、2-ブテニル基等のアルケニル基;プロパルギル基、1-ブチン-3-イル基、2-ブチニル基等のアルキニル基;クロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-クロロエチル基、3-フルオロプロピル基等のハロアルキル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロピルオキシメチル基、ブチルオキシメチル基、1-メトキシエチル基、2-メトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2-メトキシエトキシメチル基、2-エトキシエトキシメチル基等のアルコキシアルコキシアルキル基;トリクロロメトキシメチル基、トリフルオロメトキシメチル基等のハロアルコキシアルキル基;メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、1-(メチルチオ)エチル基、2-(メチルチオ)エチル基等のアルキルチオアルキル基;カルボキシメチル基、1-(カルボキシ)エチル基、2-(カルボキシ)エチル基等のカルボキシアルキル基;メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロピルオキシカルボニルメチル基、イソプロピルオキシカルボニルメチル基、1-(メトキシカルボニル)エチル基、2-(メトキシカルボニル)エチル基、1-(メトキシカルボニル)プロピル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチル基、1-(メトキシカルボニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニルオキシアルキル基;ホルミルオキシメチル基、アセチルオキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基等のアシルオキシアルキル基;シアノメチル基、1-シアノエチル基等のシアノアルキル基、シアノチオメチル基等のシアノチオアルキル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;カルバモイル基;メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基等のアルキルアミノカルボニル基;ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、エチルプロピルカルバモイル基、エチルシクロヘキシルカルバモイル基、1-ピロリジニルカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基等の置換していてもよいベンゼンスルホニル基;ベンジル基、4-クロロベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-メチルベンジル基、4-トリフルオロメチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、α-フェネチル基、β-フェネチル基等の置換していてもよいアラルキル基等を例示することができる。
R3の例示としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;2-プロペニル基、2-ブテニル基等のアルケニル基;プロパルギル基、2-ブチニル基、1-ブチン-3-イル基等のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基及びアミノ基等が挙げられる。
一般式(I)におけるXとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基のアルキル基;トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等のハロアルキル基を挙げることができ、Yとしては水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体において、殺虫、殺ダニ活性の観点から好ましい化合物は、R1がハロゲン原子、ハロアルキル基又はニトロ基であり、R2が水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基又はアルキルスルホニル基であり、R3がアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基であり、Xがハロゲン原子又はハロアルキル基であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、mが1又は2であるアニリノピリミジノン誘導体である。中でも特に、Xがトリフルオロメチル基であるアニリノピリミジノン誘導体において、R1が塩素原子、トリフルオロメチル基又はニトロ基であり、mが1又は2であり、Yが水素原子又は塩素原子であるアニリノピリミジノン誘導体が強い殺虫、殺ダニ活性を示す。
次に、本発明の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体の製造方法について説明する。本発明のアニリノピリミジノン誘導体及びそれらの製造中間体は下記製造方法−1に例示した方法によって製造することができる。
(式中、R3’は水素原子を除くR3で示される置換基を表す。R4はC1〜C4アルキル基を表し、X’はC1〜C4アルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表す。R、R1、R2’、Y’、m及びLは前記と同意義を表す。)
工程−1は、イソチオシアネート誘導体(VIII)と3-アミノアクリル酸エステル誘導体(VII)との反応により、2-メルカプトピリミジノン誘導体(IIa)を製造する工程である。
反応は塩基の存在下に行うこともでき、塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン(DMA)、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、ピコリン、ルチジン、1,5-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-5-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、イミダゾール等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基等を用いることができる。塩基は基質に対して0.1〜2.0当量用いて反応させることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は、使用する塩基や反応条件によっても異なるが、-78℃から溶媒環流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
本工程の原料となるイソチオシアネート誘導体(VIII)は、一部は市販されており、容易に入手することができる。また、対応するアミン類を、例えば、チオホスゲンと反応させる方法、チオシアネートを異性化させる方法(特開平5-43541号公報)、あるいは第3級アミン存在下に二硫化炭素と反応させた後、クロロギ酸メチルで処理する方法(J.Am.Chem.Soc., 4328, 81, (1959)., WO92/13835)によっても製造することができる。本工程の原料である3-アミノアクリル酸エステル誘導体(VII)は市販されており、容易に入手することができるが、公知の方法(例えば、特開平5-140060号公報)によっても製造することができる。
工程−2は、2-メルカプトピリミジノン誘導体(IIa)を塩基の存在下にアルキル化剤(IX)と反応させ、硫黄原子上をアルキル化し、2-アルキルチオピリミジノン誘導体(IIb)を製造する工程である。
反応は塩基の存在下に行うことが必要である。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、LDA、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基等を用いることができる。塩基は基質に対して化学量論量で充分であるが、過剰に用いても何ら問題はなく、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、MeOH、EtOH、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、DMSO、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は、使用する塩基や反応条件によっても異るが、0℃から溶媒還流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
工程−3は、2-アルキルチオピリミジノン誘導体(IIb)を酸化し、2-アルキルスルホニルピリミジノン誘導体(IIc)を製造する工程である。
酸化は酸化剤を用いて行うことができ、使用する酸化剤としては、硫黄原子の酸化に汎用される酸化剤、例えば、過酢酸、過安息香酸、m-クロル過安息香酸等の過酸、あるいは過酸化水素、硝酸、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いることができる。
本反応は溶媒中で実施することが好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、水、あるいはこれらの混合溶媒等の反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。
反応は、使用する酸化剤や反応条件によっても異るが、0℃〜80℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
工程−4及び工程−5は、2-アルキルチオピリミジノン誘導体(IIb)又は2-アルキルスルホニルピリミジノン誘導体(IIc)を原料に用い、ニトロアニリン誘導体(III)と反応させ、本発明のアニリノピリミジン誘導体(Ia’)を製造する工程である。
工程−4及び工程−5のいずれの反応も塩基の存在下に行うことが収率がよい点で好ましい。塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、LDA、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基等を用いることができる。塩基の使用量は、基質に対して0.1〜2.0当量用いることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。溶媒としては、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMSO、あるいはこれらの混合溶媒等を使用することができる。
反応は、-78〜100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことにより、収率よく目的物を得ることができる。
工程−6は、アニリノピリミジノン誘導体(Ia’)又は(Id’)を原料に用い、ピリミジン環5位をハロゲン化し、本発明のアニリノピリミジン誘導体(Ib’)あるいは(Ic’)をそれぞれ製造する工程である。
ハロゲン化はハロゲン化剤を用いることにより行うことができ、用いるハロゲン化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ化カリウム、スルフリルクロリド、N-クロロこはく酸イミド、N-ブロモこはく酸イミド、N-ヨードこはく酸イミド、tert-ブチルハイポクロライト、ジエチルアミノサルファトリフルオリド、四塩化炭素/トリフェニルホスフィン、四臭化炭素/トリフェニルホスフィン等のハロゲン化試剤を用いることができる。
本反応は溶媒中で実施することもでき、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、酢酸、プロピオン酸等の有機酸系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒等を用いることができる。
また、反応を0〜100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことによって、収率よく目的物を得ることができる。
工程−7は、アニリノピリミジノン誘導体(Ia’)又は(Ib’)を原料に用い、塩基の存在下に一般式(IV)で示される試剤と反応させ、それぞれ対応する本発明のアニリノピリミジン誘導体(Id’)あるいは(Ic’)を製造する工程である。
本反応は塩基の存在下に行う。塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、LDA、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基等を用いることができる。塩基は基質に対して1〜2当量用いることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。溶媒としては、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMSO、あるいはこれらの混合溶媒等を用いることができる。
反応は、0〜100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことにより、収率よく目的物を得ることができる。
本工程−7においては、触媒として、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4等のポリエーテル類、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムヨージド等の第4級アンモニウム塩等を用いることにより、さらに収率よく目的物を得ることができる。
工程−7で用いる一般式(IV)で示される試剤において、R2’で示される置換基としては先に例示した置換基を挙げることができ、Lで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等の置換スルホニルオキシ基を挙げることができる。
従って、一般式(IV)で示される試剤の具体例としては、メチルブロミド、メチルヨージド、エチルブロミド、イソプロピルヨージド、アリルクロリド、アリルブロミド、メタリルクロリド、メタンスルホン酸アリル、プロパルギルブロミド、プロパルギルp-トルエンスルホネート、1-ブチン-3-イルp-トルエンスルホネート、ジフルオロクロロメタン、1-ブロモ-3-フルオロプロパン、3,3,3-トリフルオロプロピルヨージド、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチルプロピルエーテル、クロロメチルイソプロピルエーテル、クロロメチルブチルエーテル、クロロメチルイソブチルエーテル、クロロメチル(メトキシエチル)エーテル、クロロエチル(クロロメチル)エーテル、クロロメチルメチルチオエーテル、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、α-クロロプロピオン酸、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸イソプロピル、α-クロロプロピオン酸メチル、α-クロロプロピオン酸エチル、エチル(1-クロロエチル)カーボネート、エチル(1-ブロモエチル)カーボネート、酢酸クロロメチル、酢酸(1-クロロエチル)、酢酸(ブロモメチル)、クロロアセトニトリル、α-クロロプロピオニトリル、シアノチオメチルクロリド、シアノチオメチルブロミド、アセチルクロリド、アセチルブロミド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、バレリルクロリド、ピバロイルクロリド、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸プロピル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸tert-ブチル、メチルカルバモイルクロリド、エチルカルバモイルクロリド、イソプロピルカルバモイルクロリド、ブチルカルバモイルクロリド、sec-ブチルカルバモイルクロリド、シクロヘキシルカルバモイルクロリド、ジメチルカルバモイルクロリド、ジエチルカルバモイルクロリド、ジイソプロピルカルバモイルクロリド、メチルエチルカルバモイルクロリド、エチルプロピルカルバモイルクロリド、エチルシクロヘキシルカルバモイルクロリド、メチルスルホニルクロリド、エチルスルホニルクロリド、イソプロピルスルホニルクロリド、イソブチルスルホニルクロリド、フェニルスルホニルクロリド、p-トリルスルホニルクロリド、4-フルオロフェニルスルホニルクロリド、4-クロロフェニルスルホニルクロリド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、4-フルオロベンジルクロリド、4-フルオロベンジルブロミド、4-メトキシベンジルクロリド、4-メトキシベンジルブロミド、3,4-ジメトキシベンジルクロリド、α-フェネチルクロリド等を例示することができる。また、ジメチル硫酸やジエチル硫酸等のジアルキル硫酸や、以下に述べるジブロモメタンやクロロブロモメタンのようなα,α-ジハロアルカンも一般式(IV)で示される試剤に含まれるものである。
本工程−7においては、上記に記述した手法以外に、以下に例示した方法によっても目的とするアニリノピリミジノン誘導体(Ic’)あるいは(Id’)を製造することもできる。すなわち、試剤としてジブロモメタンやクロロブロモメタンのようなα,α-ジハロアルカンを用い、アニリノピリミジノン誘導体(Ia’)あるいは(Ib’)と、水素化ナトリウムやナトリウムアミドのような塩基の存在下に反応させ、2-アニリノ基の窒素原子上を1-ブロモアルキル化あるいは1-クロロアルキル化することができる。本反応はTHFやDME等のエーテル系溶媒中で、0℃〜50℃程度の反応温度で実施することができる。これらのハロアルキル体は、所望により単離することもできるが、単離することなく反応系中で、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムチオメトキシド、ナトリムチオエトキシド等のアルカリ金属アルコキシドあるいはチオアルコキシドと反応させることにより、2-アニリノ基の窒素原子上がアルコキシアルキル化あるいはアルキルチオアルキル化されたアニリノピリミジノン誘導体(Ic’)あるいは(Id’)を製造することができる。本反応はTHFやDME等のエーテル系溶媒中で、室温から溶液還流温度の範囲から選ばれた反応温度で実施することができる。
さらに、工程−7においては、アニリノピリミジノン誘導体(Ia’)あるいは(Ib’)と、ジメトキシメタンやジエトキシメタンのようなジアルコキシメタンを、有機溶媒中で、ビルスマイヤー試薬と反応させ、次いで、第3級アミンで処理することにより、2-アニリノ基の窒素原子上がアルコキシメチル化されたアニリノピリミジノン誘導体(Ic’)あるいは(Id’)を製造することもできる。本反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒中で、0℃〜100℃の範囲から選ばれた反応温度で実施することができる。ビルスマイヤー試薬としては、オキシ塩化リン、チオニルクロリド、ホスゲン等とDMFとから調製することができるが、収率がよい点でオキシ塩化リンを用いることが好ましい。第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン等のアミン類を用いることができる。
また、製造方法−1において工程−4あるいは工程−5の方法によって製造することのできる本発明のアニリノピリミジノン誘導体(Ia’)は、下記に例示した製造方法−2によっても製造することができる。
(式中、R1、R3’、R4、X’及びmは前記と同意義を表す。Zはハロゲン原子を表す。)
すなわち、製造方法−2における工程−4’は、2-ハロゲノピリミジノン誘導体(IId)を原料に用い、ニトロアニリン誘導体(III)と反応させ、本発明のアニリノピリミジン誘導体(Ia’)を製造する工程である。
工程−4’の反応は、ハロゲン原子を脱離基とするアニリン類による求核置換反応であり、有機化学的な観点から、製造方法−1における工程−4あるいは工程−5と本質的に同じ反応である。従って、本工程では、製造方法−1における工程-4あるいは工程−5で説明した手法を用いることにより、目的とするアニリノピリミジン誘導体(Ia’)を製造することができる。
工程−4’において、原料となる2-ハロゲノピリミジノン誘導体(IId)は、イソシアネート類(XI)と、例えばトリフルオロアセト酢酸メチルのような、β-ケトエステル誘導体(X)との環化縮合反応によって容易に製造することができる2-ヒドロキシピリミジノン誘導体(XII)を、五塩化リン、オキシ三塩化リン、五臭化リン、オキシ三臭化リン等のハロゲン化剤を用いて塩素化することにより、容易に製造することができる。
さらに、本発明のアニリノピリミジノン誘導体及びそれらの製造中間体は下記製造方法−3に例示した方法によっても製造することができる。
(式中、R1、R2’、R3、R4、X’、Y’、Z、m及びLは前記と同意義を表す。)
本発明のアニリノピリミジノン誘導体製造の原料となる2-アミノピリミジノン誘導体(V’)は一部市販されており、容易に入手することができるが、工程−8に例示したように、α-ケトエステル誘導体(X)と置換又は無置換のグアニジン(XIII)を反応させることによっても製造することができる。
反応は塩基の存在下に行うこともでき、塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、LDA、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基等を用いることができる。塩基は基質に対して0.1〜2.0当量用いて反応させることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、MeOH、EtOH、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、DMSO、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は、使用する塩基や反応条件によっても異なるが、0℃から溶媒還流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
本工程の原料となるα-ケトエステル誘導体(X)及び置換又は無置換のグアニジン(XIII)は、一部は市販されており、容易に入手することができる。また、公知の方法によっても製造することができる。
本工程−9は、強い電子吸引性の置換基によって活性化されたハロゲン原子を有するハロベンゼン誘導体(VI)と2-アミノピリミジノン誘導体(V’)とを塩基の存在下に反応させ、本発明のアニリノピリミジノン誘導体(Ia”)を製造する工程である。
反応は塩基の存在下に行うことが収率がよい点で好ましい。塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、LDA、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基等を用いることができる。塩基は基質に対して1〜1.5当量用いて反応させることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、DMSO、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は、使用する塩基や反応条件によっても異なるが、0℃から溶媒還流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
本工程の原料となるハロベンゼン誘導体(VI)は市販されており、容易に入手することができる。また、ハロベンゼン誘導体(VI)において、Zで表されるハロゲン原子としては、反応の収率がよい点でフッ素原子あるいは臭素原子が好ましく、フェニル環上の置換基R1はハロゲン原子をより活性化することのできる、例えば、ハロゲン原子、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性置換基が好ましい。
このようにして製造することができる本発明のアニリノピリミジノン誘導体(Ia”)は、製造方法−1に記載した方法、すなわち、2位アミノ窒素原子上のアルキル化反応等(工程−7)、及び/又は、ピリミジン環5位のハロゲン化反応(工程−6)により、本発明のアニリノピリミジノン誘導体(Ib”,Ic”,Id”)を製造することができる。
さらに、本発明のアニリノピリミジノン誘導体(I)においてR2及びR3が水素原子である化合物は、下記製造方法−4に示した方法によっても製造することができる。
すなわち工程−10は、一般式(XIV)で示される置換フェニルグアニジンと、例えばトリフルオロアセト酢酸メチルのような、一般式(X)で示されるβ-ケトカルボン酸エステルとの環化縮合反応により、アニリノピリミジノン誘導体(If)を製造する工程である。
本反応は溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、DMSO、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
本工程は室温から溶液の還流温度で実施することができるが、本反応は脱水縮合反応であることから、80〜150℃程度の高温で実施することが収率がよい点で好ましい。従って、このような反応温度が容易に達成しうる高沸点の溶媒、例えば、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレン、メシチレン等の溶媒を用いることが好ましい。
本反応は塩基の存在下に行うこともでき、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、DMA、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、DMAP、ピコリン、ルチジン、DBU、DABCO、イミダゾール等の有機塩基を用いることができる。塩基は基質に対して触媒量で充分である。
本工程の原料となる置換フェニルグアニジン(XIV)は、前記一般式(VI)で示されるハロベンゼン誘導体を、グアニジンあるいはその塩酸塩によって求核置換反応することにより容易に製造することができる(下記実施例参照)。この際ハロベンゼン誘導体(VI)においてZで表されるハロゲン原子としては、反応の収率がよい点でフッ素原子あるいは臭素原子が好ましく、フェニル環上の置換基R1はハロゲン原子をより活性化することのできる、例えば、ハロゲン原子、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性置換基が好ましい。
本発明の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体は、衛生害虫あるいは農園芸作物に有害な害虫、特に昆虫及びダニに対し、低い薬剤濃度で高い防除効果を示す。防除対象の害虫、ダニ類は、例えば、ハスモンヨトウ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、コブノメイガ、ニカメイチュウ等の鱗翅目;トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、チャノミドリヒメヨコバイ等のヨコバイ類、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等のアブラムシ類、オンシツコナジラミ等のコナジラミ類、チャバネアオカメムシ等のカメムシ類等の半翅目;キスジノミハムシ、ウリハムシ、アズキゾウムシ等の甲虫目;イエバエ、アカイエカ等の双翅目;ワモンゴキブリ等の直翅目の昆虫の幼虫及び成虫、ならびに、ナミハダニ、ミカンハダニ、ミカンサビダニ、チャノホコリダニ等のダニ目の卵及び幼虫が挙げられる。従って、本発明の化合物は、農園芸用の殺虫剤及び殺ダニ剤として有用である。もっとも、本発明の殺虫、殺ダニ剤の防除対象となる昆虫、ダニは上記に例示したものに限定されることはない。
本発明の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体を農園芸用に殺虫剤及び殺ダニ剤として使用する場合には、単独で用いてもよいが、好ましくは汎用の農薬補助剤を用いて製造した組成物の形態で使用する。本発明の殺虫、殺ダニ剤の形態は特に限定されないが、例えば乳剤、水和剤、粉剤、フロアブル剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、噴霧剤、煙霧剤等の形態とすることが好適である。また、一般式(I)で示される本発明の化合物の1種又は2種以上を有効成分として配合することができる。
殺虫、殺ダニ剤を製造するために用いられる農薬補助剤は、例えば、殺虫、殺ダニ剤の効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができる。例えば、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を用いることができる。
液体担体としては、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、MeOH、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。又、固体担体としてはクレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
乳化剤、分散剤としては通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等を用いることができる。又、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等の展着剤;ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
農園芸用の殺虫、殺ダニ剤における有効成分の含有量は0.1〜99.5%の範囲から選ばれ、製剤形態、施用方法等の種々の条件により適宜決定すればよいが、例えば、粉剤では約0.5〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%、水和剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜80重量%、乳剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜40重量%の有効成分を含有するように製造することが好適である。
例えば、乳剤の場合、本発明化合物に対して溶剤及び界面活性剤等を混合して原液の乳剤を製造することができ、さらにこの原液を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。水和剤の場合、本発明化合物と固形担体及び界面活性剤等を混合して原液を製造し、さらにこの原液を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。粉剤の場合、本発明化合物と固形担体等を混合してそのまま施用することができ、粒剤の場合には、本発明化合物と固形担体及び界面活性剤等を混合して造粒することにより製造し、そのまま施用することができる。もっとも、上記の各製剤形態の製造方法は上記のものに限定されることはなく、有効成分の種類や施用目的等に応じて当業者が適宜選択することができるものである。
本発明の殺虫、殺ダニ剤には、有効成分である一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。本発明の農園芸用殺虫、殺ダニ剤の施用方法は特に限定されるものではなく、茎葉散布、水面施用、土壌処理、種子処理等のいずれの方法でも施用することができる。例えば、茎葉散布の場合、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmの濃度範囲の溶液を10アール当たり100〜200L程度の施用量で用いることができる。水面施用の場合の施用量は通常、有効成分が5〜15の粒剤では10アール当たり1〜10Kgである。土壌処理の場合、5〜1000ppmの濃度範囲の溶液を1m2当たり1〜10L程度の施用量で用いることができる。種子処理の場合、種子重量1Kg当たり10〜1000ppmの濃度範囲の溶液を10〜100mL程度施用処理することができる。
以下、本発明を実施例及び試験例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例あるいは試験例に限定されることはない。
実施例
実施例−1
2,6-ジクロロ-4-ニトロアニリン(0.80g,3.86mmol)のDMF(5ml)溶液に、水素化ナトリウム(60%油性,0.34g,8.50mmol)を加え、30分撹拌した後、3-メチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.78g,3.48mmol)を加え、50℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に1N塩酸(30mL)と酢酸エチル(20mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を合せ、水(30mLx2)及び飽和食塩水(70mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=7:3〜1:1)により精製し、2-(2,6-ジクロロ-4-ニトロフェニル)アミノ-3-メチル-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.4]の赤褐色固体(Yield:8%)を得た。
実施例−2
3-アミノ-4,4,4-トリフルオクロトン酸エチル(10.3g,56.0mmol)のDMF(35mL)溶液に、氷冷撹拌下で水素化ナトリウム(60%油性,3.73g,56.0mmol)を加え、次いでエチルイソチオシアネート(4.38mL,56.0mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に水(20mL)を加え、さらに濃塩酸(15mL)を加えた。析出した固体を濾過により単離し、水(100mL)で洗浄した後、充分に乾燥することにより、3-エチル-2-メルカプト-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(11.0g,99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ1.32(3H,t,J=7.0Hz),4.44(2H,q,J=7.0Hz),6.28(1H,s),9.12(1H,br s).
次に、3-エチル-2-メルカプト-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(11.0g,49.0mmol)のDMF(100mL)溶液に、炭酸カリウム(8.15g,59.0mmol)を加えた後、氷冷撹拌下にヨウ化メチル(3.68mL,59.0mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら4時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に水(100mL)と酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を分液し、水層を酢酸エチル(50mLx3)で抽出した。有機層を合せ、水(100mLx3)及び飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別し、濾液を減圧下に濃縮することにより、3-エチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(11.0g,94%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ1.35(3H,t,J=7.0Hz),2.61(3H,s),4.13(2H,q,J=7.0Hz),6.53(1H,s).
次に、2-アミノ-5-ニトロベンゾトリフルオリド(0.62g,3.0mmol)のDMF(10mL)溶液に水素化ナトリウム(60%油性,0.18g,4.5mmol)を加え、室温で30分撹拌した後、3-エチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(1.14g,4.8mmol)を加え、80℃で3.5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(30mL)と酢酸エチル(15mL)を加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(10mLx3)で抽出した。有機層を合せ、水(20mLx2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(60mL)及び飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)により精製し、3-エチル-2-(4-ニトロ-2-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.7]の黄色固体(Yield:61%)を得た。
実施例−3
3-エチル-2-(4-ニトロ-2-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.36g,0.91mmol)のトルエン(10mL)溶液に、N-クロロこはく酸イミド(0.24g,1.82mmol)を加え、60℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)と飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)により精製し、5-クロロ-3-エチル-2-(4-ニトロ-2-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.8]の黄色固体(Yield:64%)を得た。
実施例−4
3-ブチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(2.50g,9.40mmol)をDMF(23mL)に溶解し、2-アミノ-5-ニトロベンゾトリフルオリド(1.29g,6.27mmol)を加えた。氷冷下で撹拌しながら、水素化ナトリウム(60%油性,0.57g,14.3mmol)を加え、室温で1時間45分、70℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応溶液にエーテル(75mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え有機層を分離し、水層をエーテル(25mL)で抽出した。有機層を合せ、飽和食塩水/水(1/1,25mLx3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン〜酢酸エチル:ジクロロメタン=1:9)により精製し、3-ブチル-2-(4-ニトロ-2-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.11]の赤褐色固体(Yield:76%)を得た。
実施例−5
グアニジン塩酸塩(4.78g,50mmol)のDMSO(100mL)溶液に、炭酸カリウム(6.91g,50mmol)及び4-フルオロ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(6.8mL,50mmol)を加え、室温で19.5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(100mL)及び酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(50mLx2)で抽出した。有機層を合せ、水(150mLx2)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下に濃縮し、粗2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニルグアニジン(11.1g)を得た。このものは精製することなく次の反応に使用した。
2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニルグアニジン(11.1g,44.7mmol)にキシレン(150mL)とトリフルオロアセト酢酸メチル(5.63mL,44.0mmol)を加え、140℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(150mL)を加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(80mLx2)で抽出した。有機層を合せ、飽和食塩水(300mL)及び水(200mLx2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた固体をヘキサン(30mL)で洗浄することにより、2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.16]の黄色固体(Yield:35%)を得た。このものはそのNMRスペクトルより、ピリミジン環4位のカルボニル基がエノール化した5-ヒドロキシ-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチルピリミジンであることが判った。構造式は便宜上ケト体で表示した。
実施例−6
4-アミノ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(1.8g,10.9mmol)をDMF(20mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60%油性,468mg,17.6mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。次いで、3-メチル-2-メチルスルホニル-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(2.0g,7.80mmol)を加え、さらに5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液をエーテルで希釈し、過剰の水素化ナトリウムを飽和塩化アンモニウム水溶液で中和した後、有機層を分離し、水層をエーテル(20mLx2)で抽出した。有機層を合せ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、濾液から溶媒を減圧下で留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、3-メチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.17]の淡黄色結晶(Yield:68%)を得た。
実施例−7
4-アミノ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(0.62g,3.0mmol)をDMF(10mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60%油性,0.18g,4.5mmol)を加え、室温で20分間撹拌した。次いで、3-エチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(1.14g,4.8mmol)を加え、さらに80℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に氷水(20mL)と酢酸エチル(20mL)を加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(10mLx2)で抽出した。有機層を合せ、水(30mLx2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、濾液から溶媒を減圧下で留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製し、さらにトルエンから再結晶することにより、3-エチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.18]の黄色固体(Yield:73%)を得た。
実施例−8
3-エチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(1.58g,4.0mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液に、炭酸カリウム(0.66g,4.8mmol)、18-クラウン-6-エーテル(0.11g,0.4mmol)及びクロロメチルエチルエーテル(0.42mL,4.8mmol)を加え、80℃で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(30mL)と酢酸エチル(30mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20mLx3)で抽出した。有機層を合わせ、水(60mLx2)及び飽和食塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物を中性アルミナカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)により精製し、3-エチル-2-{N-エトキシメチル-N-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)}アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.19]の黄色油状物(Yield:32%)を得た。
実施例−9
3-エチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.79g,2.0mmol)の無水酢酸(10mL)溶液に、触媒量のピリジンを加え、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(10mL)と酢酸エチル(20mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(10mLx3)で抽出した。有機層を合わせ、水(30mLx2)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、3-エチル-2-{N-アセチル-N-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)}アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.21]の淡黄色固体(Yield:44%)を得た。
実施例−10
3-エチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(1.98g,5.0mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に、炭酸カリウム(0.83g,6.0mmol)、18-クラウン-6-エーテル(0.13g,0.5mmol)及びクロロギ酸メチル(0.46mL,6.0mmol)を加え、80℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(50mL)と酢酸エチル(50mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20mLx3)で抽出した。有機層を合わせ、水(80mLx2)及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、3-エチル-2-{N-メトキシカルボニル-N-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)}アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.22]の黄色油状物(Yield:8%)を得た。
実施例−11
5-クロロ-3-エチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.24g,0.56mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液に、炭酸カリウム(0.1g,0.67mmol)、クロロギ酸メチル(0.05mL,0.37mmol)及び触媒量の18-クラウン-6-エーテルを加え、80℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(10mL)と酢酸エチル(10mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(10mLx2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、5-クロロ-3-エチル-2-{N-メトキシカルボニル-N-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)}アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.23]の黄色油状物(Yield:56%)を得た。
実施例−12
3-アミノ-4,4,4-トリフルオクロトン酸エチル(11.0g,60.0mmol)のDMF(40mL)溶液に、氷冷下で水素化ナトリウム(60%油性,2.71g,68.0mmol)を30分間で加え、さらに20分間撹拌した、次いでアリルイソチオシアネート(5.3mL,54.0mmol)を氷冷下で加え、徐々に室温に戻しながら一晩撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に水(40mL)と2N塩酸(1.25mL)を加えた。析出した固体を濾過により単離し、水洗後ヘキサンで洗浄し、さらに充分に乾燥することにより、3-アリル-2-メルカプト-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノンの淡黄色固体(12.7g,89%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ4.99(2H,d,J=5.8Hz),5.27〜5.42(2H,m),5.86〜5.99(1H,m),6.31(1H,s),9.18(1H,br s).
次に、3-アリル-2-メルカプト-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(32.1g,136mmol)のDMF(110mL)溶液に、炭酸カリウム(22.5g,163mmol)とヨウ化メチル(10.2mL,164mmol)を氷冷撹拌下に加え、徐々に室温に戻しながら23時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に飽和食塩水(100mL)と水(100mL)及び酢酸エチル(300mL)を加え、有機層を分液し、水層を酢酸エチル(100mLx2)で抽出した。有機層を合せ、飽和食塩水(50mLx2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン〜ヘキサン:酢酸エチル:=9:1)で精製することにより、3-アリル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノンの白色固体(Yield:79%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS,ppm):δ2.60(3H,s),4.69(2H,d,J=5.7Hz),5.25〜5.34(2H,m),5.76〜5.96(1H,m),6.55(1H,s).
次に、3-アリル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(10.0g,40mmol)と4-アミノ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(10.7g,52mmol)のDMF(40mL)溶液に、氷冷撹拌下に水素化ナトリウム(2.0g,50mmol)を加え、室温に戻して30分撹拌した後、70℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に0℃で飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)と酢酸エチル(50mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(30mLx2)で抽出した後有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧濃縮し粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)により精製し、3-アリル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.29]の黄色固体(Yield:9%)を得た。
実施例−13
2,4-ジニトロアニリン(0.80g,4.37mmol)のDMF(5mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%油性,0.38g,9.62mmol)を加え30分撹拌した後、3-メチル-2-メチルチオ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.88g,3.93mmol)を加え、50℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に1N塩酸(30mL)と酢酸エチル(20mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を合せ、水(30mLx2)及び飽和食塩水(70mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をエタノールから再結晶することにより、2-(2,4-ジニトロフェニル)アミノ-3-メチル-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.37]の赤褐色固体(Yield:35%)を得た。
実施例−14
トリフルオロアセト酢酸メチルとメチルグアニジンとの環化縮合反応により得られた2-アミノ-3-メチル-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン(0.39g,2.0mmol)のDMSO(10mL)溶液に、炭酸カリウム(0.28g,2.0mmol)及び4-フルオロ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(0.39mL,2.0mmol)を加え、80℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水(20mL)と酢酸エチル(20mL)を加え有機層を分離し、水層を酢酸エチル(15mLx3)で抽出した後有機層を合わせ、水(50mLx2)及び飽和食塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)により精製し、3-メチル-2-(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ-6-トリフルオロメチル-4(3H)-ピリミジノン[化合物No.17]の黄色固体(収率:9%)を得た。
上記実施例に例示した方法により製造できる本発明の化合物の置換基ならびに物性とNMRスペクトルをそれぞれ表−1及び表−2にまとめて示したが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの化合物に限定されることはない。
以下、本発明の農園芸用殺虫、殺ダニ剤の製剤例及び試験例を示すが、本発明は下記のものに限定されることはない。なお、化合物の「No.」は実施例の化合物No.に対応する。
製剤例−1:水和剤
本発明の化合物を20重量部に、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)20重量部、STカオリンクレー(カオリナイト、土屋カオリン社、商品名)52重量部、ソルポール9047K(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)5重量部、ルノックスP65L(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部を配合し、均一に混合粉砕して、有効成分20重量%の水和剤を得た。
製剤例-2:粉剤
本発明の化合物を2重量部と、クレー(日本タルク社製)93重量部、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)5重量部を均一に混合粉砕して、有効成分2重量%の粉剤を製造した。
製剤例−3:乳剤
本発明の化合物を20重量部に、キシレン35重量部及びジメチルホルムアミド30重量部からなる混合溶媒を添加溶解し、これにソルポール3005X(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物、東邦化学株式会社、商品名)15重量部を加えて、有効成分20重量%の乳剤を得た。
製剤例−4:フロアブル剤
本発明の化合物を30重量部とソルポール9047K(同上)5重量部、ソルボンT-20(非イオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部、エチレングリコール8重量部および水44重量部をダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)で湿式粉砕し、このスラリー状混合物に1重量%キサンタンガム(天然高分子)水溶液10重量部を加え、良く混合粉砕して、有効成分20重量%のフロアブル剤を得た。
試験例−1:トビイロウンカの幼虫に対する殺虫効果
ガラス円筒(内径3cm X 長さ17cm)に稲の芽だし苗をセットし、トビイロウンカ4令幼虫を5頭放虫した。製剤例−3の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(乳剤)の水希釈液(0.5mL)を上記のガラス円筒に散布塔(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。処理5日後に、幼虫の生死および苦悶を調査し、苦悶虫を1/2頭死として殺虫率(%)を求めた。結果を表−3に示す。
試験例−2:コナガの幼虫に対する殺虫効果
製剤例−1の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(水和剤)の水希釈液中に、キャベツ切葉(直径6cm)を1分間浸漬した。浸漬後風乾しプラスチックカップ(内径7cm)にいれ、このカップ内にコナガの3令幼虫を5頭放虫した(1濃度、2反復)。放虫4日後に幼虫の生死および苦悶を調査し、苦悶虫を1/2頭死として殺虫率(%)を求めた。結果を表−4に示す。
試験例−3:ナミハダニの成虫に対する殺ダニ効果
インゲンの切葉上(直径3cm)に10頭のナミハダニ雌成虫を放虫した。製剤例−1の処方に従って製剤した本発明の殺ダニ剤(水和剤)を水で所定濃度に希釈した液(3.5mL)を、上記の切葉上に回転式散布搭(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。処理24時間後に成虫の生死を調査し殺ダニ率(%)を求めた。結果を表−5に示す。
試験例−4:ナミハダニの卵に対する殺ダニ効果
インゲンの切葉上(直径3cm)に5頭のナミハダニ雌成虫を放虫した。放虫後20時間切葉に産卵させ、その後、雌成虫を除去した。製剤例−1の処方に従って製剤した本発明の殺ダニ剤(水和剤)を水で所定濃度に希釈した液(3.5mL)を、上記のディスク上に回転式散布搭(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。処理8日後に未孵化卵数と孵化幼虫数を調査し殺卵率(%)を求めた。結果を表−5に示す。
試験例−5:ハスモンヨトウの幼虫に対する殺虫効果
製剤例−1の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(水和剤)の水希釈液中に、キャベツ切葉(直径6cm)を1分間浸漬した。浸漬後風乾しプラスチックカップ(内径7cm)にいれ、このカップ内にハスモンヨトウの3令幼虫を5頭放虫した(1濃度、2反復)。25℃の恒温室内に保持し、放虫5日後に幼虫の生死および苦悶を調査し、苦悶虫を1/2頭死として殺虫率(%)を求めた。結果を表−6に示す。
試験例−6:アズキゾウムシの成虫に対する殺虫効果
ガラス円筒(内径3cm x 長さ15cm)にあずき豆2個を入れ、アズキゾウムシ成虫を10頭放虫した。製剤例−3の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(乳剤)の水希釈液(0.3mL)を上記のガラス円筒に散布塔(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。25℃の恒温室内に保持し、処理4日後に幼虫の生死および苦悶を調査し、苦悶虫を1/2頭死として殺虫率(%)を求めた。結果を表−7に示す。
試験例−7:モモアカアブラムシの幼虫に対する殺虫効果
水を入れたスクリュービン(容量:10mL)に、だいこん葉の葉柄部を挿し、モモアカアブラムシを1葉当り5〜6頭接種した。接種後、ガラス円筒(径:3.5cm、高さ:15cm、メッシュの蓋付き)に入れ、3日間25℃の恒温室内でアブラムシを増殖させた。だいこん葉上のアブラムシ成虫を除去した後、葉を製剤例−3の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(乳剤)の水希釈液に浸漬処理(約5秒間)し、ガラス円筒内に戻した(1濃度、2反復)。25℃の恒温室内に保持し、処理後4日目にだいこん葉上のアブラムシ数を調査し、その結果に基づき殺虫率(%)を求めた。結果を表−8に示す。
産業上の利用可能性
本発明のアニリノピリミジノン誘導体を有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤は、各種衛生害虫及び農園芸植物における有害生物、とくに昆虫およびダニに対して極めて優れた防除効果を有している。本発明のアニリノピリミジノン誘導体は農園芸用の殺虫剤および殺ダニ剤の有効成分として有用である。
Claims (4)
- 一般式(I)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、C1〜C4ハロアルキル基、C1〜C4ハロアルコキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルキルスルフィニル基、C1〜C4アルキルスルホニル基、C1〜C5アシル基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基、C3〜C6アルケニル基、C3〜C6アルケニルオキシ基、C3〜C6アルキニル基、C3〜C6アルキニルオキシ基、C1〜C5アシルオキシ基、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4アルコキシ)基、カルボキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルキル)基、カルボキシ(C1〜C4アルコキシ)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルコキシ)基、C1〜C4アルキルアミノ基、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ基、C1〜C5アシルアミノ基、C1〜C4アルキルスルホニルアミノ基、メルカプト基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基又は水酸基を表し、mは1から4の整数を表す。ただし、mが2から4の整数の場合R1は同一でも異なってもよい。R2は水素原子、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C3〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4アルコキシ)C1〜C4アルキル基、(C1〜C4ハロアルコキシ)C1〜C4アルキル基、(C1〜C4アルキルチオ)C1〜C4アルキル基、カルボキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニルオキシ(C1〜C4アルキル)基、(C1〜C5アシルオキシ)C1〜C4アルキル基、シアノ(C1〜C4アルキル)基、シアノチオ(C1〜C4アルキル)基、C1〜C5アシル基、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基、アミノカルボニル基、(C1〜C6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C1〜C6アルキル)アミノカルボニル基、(C1〜C6アルキル)スルホニル基、ベンゼンスルホニル基、C 7 〜C8アラルキル基を表す。R3 は、C1〜C6アルキル基、C3〜C6アルケニル基、C3〜C6アルキニル基、C3〜C7シクロアルキル基又はアミノ基を表し、Xはハロゲン原子、C1〜C4アルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、Yは水素原子又はハロゲン原子を表す。)で示されるアニリノピリミジノン誘導体。 - 一般式(I)において、R1がハロゲン原子、ハロアルキル基又はニトロ基であり、R2が水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基又はアルキルスルホニル基から選ばれ、R3がアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基であり、Xがハロゲン原子又はハロアルキル基であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、mが1又は2である請求項1記載のアニリノピリミジノン誘導体。
- 請求項1の一般式(I)で示されるアニリノピリミジノン誘導体を有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤。
- 請求項1の一般式(I)において、R1がハロゲン原子、ハロアルキル基又はニトロ基であり、R2が水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基から選ばれ、R3がアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基であり、Xがハロゲン原子又はハロアルキル基であり、mが1又は2であるアニリノピリミジノン誘導体を有効成分として含有する請求項3記載の殺虫、殺ダニ剤。
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