JP4286429B2 - 防水床パン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水床パンに関する。
【0002】
【従来の技術】
浴室ユニットの防水床パンは、洗い場部と浴槽受部とが一体に成形されたもの、あるいは、洗い場部と浴槽受部とが別々の別々に成形され、施工時にこれらが組み立てられて防水床パンとなるようになったものがある。
これらの防水床パンは、いずれの場合も、通常、排水配管や給水・給湯用配管等を配管スペースを確保するために、基礎床面にされた支柱や吊り架台を介して基礎床面から所定の高さ位置に敷設されるようになっている。
【0003】
そして、図5に示すように、基礎床面との間に敷設された給水・給湯用等の配管100が、防水床パン200に穿設された配管導入口210から床上に立ち上げられ、浴室内の給水栓や給湯栓等に接続されるようになっている。
また、配管導入口210が、配管100が導入可能な必要最小限の大きさに穿設されていて、配管導入後、各配管のみを挿入可能な配管挿入孔221を備えた蓋220によって覆われ、配管挿入孔221と配管100との隙間部分が図示していないがコーキング材等によって水密にシールされるようになっている。
【0004】
しかしながら、上記従来の防水床パンは、二階などのように、床下に作業スペースが十分にない場合、一旦床パンを土間や基礎上に立設されたコンクリートブロック製や金属パイプ製の支柱等によって受られるように施工してしまうと、防水床パン下での配管作業や、床パンのレベル調整が全くできない。したがって、防水床パンの施工前に配管施工や支柱のレベル合わせを確実に行っている必要があり、施工に熟練を要すると言う問題がある。
しかも、浴室ユニットを完全に施工したのちに、浴室床下側の配管部分に不良が発生した場合、壁パネルなどすべてを取り除かなければ、配管部分の補修等を行うことができず、補修等に多大な費用と時間がかかるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みて、施工が容易で、施工後に床下の配管不良等の問題が生じても短時間で、かつ、低コストで補修工事等を行うことができる防水床パンを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の請求項1の発明にかかる防水床パン(以下、「請求項1の防水床パン」と記す)は、洗い場部と浴槽受部とを備える防水床パンにおいて、浴槽受部が、浴槽を下方から受けるとともに、床下側から浴室側への配管を挿入した状態で、その周囲に少なくとも作業者の腕を挿入可能な隙間が形成される大きさの作業用開口を有する浴槽受部本体と、前記作業用開口を覆う蓋とを備え、この蓋が、その天井面に少なくとも配管を挿通可能で前記作業用開口より小さい配管導入口が穿設されその周縁が前記作業用開口周縁に固定される蓋枠部と、前記配管導入口を覆うとともに配管挿入孔が穿設された蓋本体部とを備える構成とした。
【0007】
本発明の請求項2の発明にかかる防水床パン(以下、「請求項2の防水床パン」と記す)は、請求項1の防水床パンにおいて、蓋本体部が、配管挿入孔が穿設されたゴム弾性体からなる配管導入口を水密に覆うシール部材と、このシール部材の周縁部を蓋枠部の配管導入口の周縁部との間に挟み込んだ状態にしてシール部材を蓋枠部に水密に固定する固定枠部材とを備えている構成とした。
【0008】
本発明の請求項3の発明にかかる防水床パン(以下、「請求項3の防水床パン」は、請求項1または請求項2の防水床パンにおいて、洗い場部と浴槽受部とが別体に成形されている構成とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図4は本発明にかかる防水床パンの1つの実施の形態をあらわしている。
【0010】
図1および図3に示すように、この防水床パン1は、圧縮成形によって別体に成形された洗い場部となる洗い場パン部材2と、浴槽受部となるとともに、洗い場パン部材2に連接して配置される浴槽パン部材3とを備えている。
洗い場パン部材2は、図1に示すように、浴槽パン部材3との連接部に沿う長手方向中央に、排水孔21が設けられている。
【0011】
浴槽パン部材3は、図1に示すように、浴槽(図示せず)を下方から受ける皿状をした本体31と、2種類の蓋4,5とを備えている。
本体31は、浴槽の下端部が嵌まり込む矩形の凹部32を中央に備え、この凹部32の長手方向両端から外側に延出するように設けられた延出部33にそれぞれ作業用開口34が穿設されている。
【0012】
作業用開口34は、図2に示すように浴槽パン部材3を敷設時に床下側から立ち上がる配管6を臨む位置に設けられていて、配管6が挿通された状態でも、配管6の周りに浴槽パン部材3の上方から作業者が少なくとも腕を差し入れることが可能な隙間8を形成するような大きさになっている。
また、凹部32には、床下の排水管(図示せず)に接続され、浴槽から凹部32内に排水される排水を排水管を介して下水道等に排出する排水口32aが設けられている。
【0013】
蓋4は、蓋枠部41と、蓋本体部42とを備えている。
蓋枠部41は、その天井面に床下側から立ち上がる配管を挿通可能で作業用開口34より小さい配管導入口41aが穿設されている。
【0014】
蓋本体部42は、シール部材43と、固定枠部材44とを備えている。
シール部材43は、ゴム弾性体によって配管導入口41aの周縁部形状に形成されていて、立ち上がる各配管6を臨む位置に配管挿入孔となる4つの筒部43aを備えている。
【0015】
筒部43aは、蛇腹状になっていて前後左右に容易に撓むようになっているとともに、その上端部に口径を拡縮可能な口金(キカイバンド止め)43bが装着されている。
固定枠部材44は、配管導入口41aとほぼ同じ大きさの孔44aを中央に備え、図4に示すように、蓋枠部41の配管導入口41aの周縁部との間にシール部材43の周縁部を挟み込んだ状態でビス45を介してシール部材43越しに本体31に固定されるようになっている。
【0016】
なお、図3,4中、35は、本体31の底に一体に設けられた高さ調整機構35aを有する脚部である。
【0017】
この防水床パン1は、以上のように構成されており、通常以下のようにして施工されるようになっている。
▲1▼ 図3に示すように、まず、予め基礎FL上に置き架台7を設置し、置き架台7のレベル調整をしたのち、作業者が基礎FL上に降りて、洗い場パン部材2をその設置部に設置する。
【0018】
▲2▼ 作業者が浴槽受部側から洗い場パン部材2のレベルを調整したり、洗い場パン部材2の排水孔21に排水管(図示せず)を接続する。
▲3▼ 本体31の一方の作業用開口34内に床下側から立ち上がる配管6が臨むとともに、脚部35が図3に示すように置き架台7の上に載るように本体31を設置位置にセットする。
【0019】
▲4▼ 作業者が作業用開口34,34から腕を床下に臨ませて脚部35を接着剤等によって置き架台5に固定するとともに、脚部35の高さ調節機構により浴槽パン部材3のレベル調整を行う。また、排水管を排水口32aに接続する。
【0020】
▲5▼ 使用していない作業用開口34を蓋5によって水密に塞ぐとともに、配管6が通された作業用開口34を蓋4によって塞ぐ。すなわち、蓋4は、まず、配管導入口41aに配管6が臨ませた状態で蓋枠部41の周縁部が作業用開口34の周縁部に載せられ、ビス(図示せず)で本体31に固定される。つぎに、配管挿入孔44aに各配管6が挿通された状態でシール部材43が蓋枠部41上に載せられたのち、固定枠部材44がシール部材43上に載せられる。そして、図 に示すように、蓋枠部41の配管導入口41aの周縁部との間にシール部材43の周縁部を挟み込んだ状態でビス45を介してシール部材43越しに本体31に固定されるようになっている。
【0021】
▲6▼ 口金43bを締め込み、配管6の外周面に配管挿入孔44aの内周面を水密に密着させる。
【0022】
そして、このようにして置き架台7上に設置された防水床パン1上に図示していないが、公知の方法により浴槽、壁パネル、ドア枠、天井パネル等を組み立て施工することによって、浴室ユニットが完成するようになっている。
【0023】
この防水床パン1は、以上のように、洗い場パン部材2と、浴槽パン部材3とを連接させて組み立てることによって形成されるようになっているので、まず、洗い場パン部材2を所定の設置位置に設置するようにすれば、洗い場パン部材2側のレベル調整が未だ開放状態の浴槽パン部材3の設置側から洗い場パン部材2の下側に手や体などを差し入れて浴槽パン部材3のレベル調整や浴槽パン部材への排水管等のつなぎ込みを簡単に行うことができる。
また、浴槽パン部材3は、本体31が作業用開口34を備えているので、本体31をその設置部に設置しても、この作業用開口34を介して浴槽パン部材3のレベル調整および配管等の作業を容易に行うことができる。
【0024】
しかも、本体31の作業用開口34が入浴者の目につかない浴槽パン部材3側に設けられているので、浴室内の見栄えがよい。
【0025】
また、施工後、床下の配管等に不良が生じた場合においても、浴槽パン部材3上から浴槽を取り除き、蓋4,5を開けて作業用開口34を開放状態にすれば、この作業用開口34を介して補修作業等を行うことができる。すなわち、従来のように、壁パネルや天井パネルなどを取り除かなくても、容易に補修作業を行うことができる。
さらに、蓋4のシール部材43がゴム弾性体で形成されているので、配管6のピッチが多少ずれても調整可能である。しかも、筒部43aが蛇腹状になっているのでより調整が容易である。
【0026】
本発明にかかる防水床パンは、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、浴槽受部と洗い場部とが別体に成形されていたが、一体に成形されていても構わない。
また、上記の実施の形態では、置き架台7上に浴槽パン部材3を載置するようになっているが、ブロックや吊り架台上に載置するようにしても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明にかかる防水床パンは、以上のように構成されているので、施工が容易で、施工後に床下の配管不良等の問題が生じても短時間で、かつ、低コストで補修工事等を行うことができる。
【0028】
特に、請求項2の防水床パンのようにすれば、配管のピッチ等がずれていても、調整可能である。また、請求項3の防水床パンのようにすれば、洗い場パン部材あるいは浴槽パン部材の設置部への設置をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる防水床パンの1つの実施の形態をあらわす分解斜視図である。
【図2】図1の防水床パンの浴槽パン部材の要部分斜視図である。
【図3】図1の防水床パンの施工状態の側面図である。
【図4】図3の配管導入部の断面図である。
【図5】従来の防水床パンの配管導入部の説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 防水床パン
2 洗い場パン部材(洗い場部)
3 浴槽パン部材(浴槽受部)
34 作業用開口
4 蓋
41 蓋枠部
42 蓋本体部
43 シール部材
43a 筒部(配管挿入孔)
44 固定枠部材
8 隙間
Claims (3)
- 洗い場部と浴槽受部とを備える防水床パンにおいて、
浴槽受部が、浴槽を下方から受けるとともに、床下側から浴室側への配管を挿入した状態で、その周囲に少なくとも作業者の腕を挿入可能な隙間が形成される大きさの作業用開口を有する浴槽受部本体と、前記作業用開口を覆う蓋とを備え、この蓋が、その天井面に少なくとも配管を挿通可能で前記作業用開口より小さい配管導入口が穿設されその周縁が前記作業用開口周縁に固定される蓋枠部と、前記配管導入口を覆うとともに配管挿入孔が穿設された蓋本体部とを備えることを特徴とする防水床パン。 - 蓋本体部が、配管挿入孔が穿設されたゴム弾性体からなる配管導入口を水密に覆うシール部材と、このシール部材の周縁部を蓋枠部の配管導入口の周縁部との間に挟み込んだ状態にしてシール部材を蓋枠部に水密に固定する固定枠部材とを備えている請求項1に記載の防水床パン。
- 洗い場部と浴槽受部とが別体に成形されている請求項1または請求項2に記載の防水床パン。
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