JP4284711B2 - アルカリ蓄電池用正極活物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水酸化ニッケルを正極に用いたアルカリ蓄電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種ポータブル機器用電源に広く用いられているアルカリ蓄電池として、ニッケル・カドミウム蓄電池,ニッケル・水素蓄電池などがある。
【0003】
これらのアルカリ蓄電池の正極に共通して用いられ重要な役割を果たす水酸化ニッケルについて従来より数多くの発明、提案がなされ、様々な観点(例えば、高温充電効率の向上、利用率の向上、サイクル寿命の伸長など)から改良が行われてきた。具体的には水酸化ニッケル粉末の充放電特性を有効に生かすための導電剤粉末(とくにCo,Co化合物,Ni,カーボンなど)の添加や集電用の基板の工夫などが挙げられる。さらに水酸化ニッケル自身の改良,種々の提案がある。
【0004】
この水酸化ニッケル自身の改良に着目すると比較的古いものでは例えば、”Power Source(1966)”,pp239〜255ではMg,Mn,Zn,Pb,Ba,Fe,希土類元素などを水酸化ニッケルに固溶させている。しかしながらMnの固溶に関してここではアルカリ蓄電池用の正極活物質としての何らの利点も述べられていない。また特開昭51−122737号公報にはニッケルおよびニッケル以外の金属塩の混合水溶液とアルカリ水溶液とを作用させ水酸化物を沈殿させる方法が工程を簡略化し製造コストを低減させる方策として提案されている。比較的新しいものでは活物質の高温雰囲気での利用率向上に関して特開昭61−101958号公報にCoの固溶が、特開昭61−104565号公報にCdの固溶がそれぞれ提案されている。また特開平4−179056号公報において水酸化ニッケルにMnなどを固溶させる方法がサイクル寿命特性を向上させる方法として提案されている。ここでは活物質の充放電反応は基本的にβ−Ni(OH)2とβ−NiOOHとの間の1電子反応である。したがってこれらの技術は直接的には電池容量密度の向上に寄与するものではなかった。その他にも特開平8−222215号公報,特開平8−222216号公報などにも2価あるいは3価のMnを固溶させた水酸化ニッケルに関する提案がなされている。しかしながらこれらの提案によっても活物質利用率は110%(Niの反応電子数にして1.1)を大きく越えることはなかった。
【0005】
これに対して特開平8−225328号公報には水酸化ニッケルに3価のMnを固溶させることで1電子反応以上の充放電を可能にすることが提案されている。米国特許第5348822号にも1電子反応以上の充放電を可能にする技術が提案されている。これらの提案によればα−Ni(OH)2とγ−NiOOHとの間の反応を安定化させることにより、1電子反応以上の充放電が可能になるのであるが、ここで用いられているα−Ni(OH)2は材料自身の密度が極端に低いため電極の容量密度(単位体積あたりの容量)向上は極めて困難であり、実用的価値は低いと考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の水酸化ニッケル(アルカリ蓄電池用正極活物質)は、その容量密度や利用率などに改善の余地があった。すなわち従来の活物質ではニッケルの反応電子数は基本的には1ないし1.1であり、それを越えるような充放電反応をするものでも活物質自身の密度が低いことから容量密度(単位体積あたりの容量)の向上が果たされていなかった。このようにポータブル機器の電源として用いられるが故に常に市場より求められる電池の高容量化に対して従来の活物質は充分に寄与していなかった。
【0007】
本発明はアルカリ蓄電池用の正極活物質における上記の問題点に鑑み良好な特性の活物質を探索、研究した結果得られたもので、水酸化ニッケルの反応電子数を高めることにより容量密度が大きいアルカリ蓄電池用正極活物質を提供することを目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
アルカリ蓄電池の正極活物質として、Mnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型ニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって該Mn含有量は全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であり、該Mnの平均酸化数が3.3価以上であるものを用いる。好ましくはMnの平均酸化数を3.5〜4.0価とする。
【0009】
作用機構の詳細は明らかではないが、正極の水酸化ニッケル中にMnを固溶もしくは共晶状態で有し、Mn含有量を全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下とし、Mnの平均酸化数を3.3価以上とすることによって活物質の導電性およびプロトン拡散速度が高くなり、水酸化ニッケル中のニッケルが3価を越える高い酸化状態(γ−NiOOH)にまで酸化(すなわち充電)され、さらにそれが容易に放電できるようになるものと考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明の請求項1記載の発明はMnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型のニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、Mnの平均酸化数が3.3価以上であることを特徴とする。このような活物質を用いることでNiの反応電子数が向上し、高容量密度のアルカリ蓄電池が提供できる。
【0012】
本発明の請求項2記載の発明はMnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型のニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、Mnの平均酸化数が3.3価以上であり、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1が1.25以下であることを特徴とする。このような活物質を用いることでNiの反応電子数が向上し、高容量密度のアルカリ蓄電池が提供できる。
【0013】
本発明の請求項3記載の発明はMnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型のニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、Mnの平均酸化数が3.3価以上であるものおよびMnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型のニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、Mnの平均酸化数が3.3価以上であり、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1が1.25以下であるものにおいて、Mn固溶量が全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であることを特徴とする。このことにより、活物質中のNiの反応電子数が1.1以上になる。また請求項4記載の発明はMnの平均酸化数を3.5〜4.0にしたことを特徴としており、このようにすることで活物質中のNiの反応電子数は1.2以上となる。
【0014】
本発明の請求項5記載の発明は活物質が粉末であり、その形状が球もしくはそれに類似した形状であることを特徴とする。このような活物質にすることで粒子相互の接触性が良好になるうえ、粒子のパッキングが均一であるために電解液の分布が均一となり、電気化学反応が良好に進行する。
【0015】
下記の実施例では水素吸蔵合金を負極に用いたニッケル・水素蓄電池について説明しているが負極の水素吸蔵合金の組成は限定されるものではなく、AB5系合金、AB2系合金、その他の水素吸蔵材料のいずれを用いてもよい。また負極は水素吸蔵材料に限定される必要はなく、Cd負極やZn負極を用いてもよい。もちろん電池としては小型円筒形である必然性はなく、角形あるいは大型電池であっても本発明は実施可能である。
【0016】
下記の実施例では正極基板が発泡ニッケルである場合について説明しているが、基板を発泡ニッケルとする必要はなく、ニッケルフェルトなどの三次元多孔体あるいはパンチングメタルなどを用いてもよい。添加剤、結着剤、導電剤なども実施例で例示したものを用いる必然性はなく、他のものを用いても本発明は実施可能である。
【0017】
【実施例】
以下に本発明の具体例をさらに詳細に説明する。
【0018】
(実施例1)
まず、活物質の合成について説明する。Ni:Mn:H2O2=9:1:5(モル比)になるように硫酸ニッケルと硫酸マンガンと過酸化水素の混合水溶液(溶液A)を調製した。5.52mol/lの水酸化ナトリウム水溶液(溶液B)および4.8mol/lのアンモニア水溶液(溶液C)をそれぞれ調製した。溶液A,B,Cを蒸留水を満たし温度を約50℃に保った反応槽に連続的に供給した。反応槽内のpHが11〜13で安定するように溶液の供給速度を制御し、供給された溶液を均一に混合するために撹拌を行った。連続的に金属塩水溶液とアルカリ水溶液とを作用させつつ、かつ生成した沈殿を連続的に分級するために、反応槽としてはマグマ循環型反応槽を採用した。得られた沈殿を水洗、真空乾燥して正極活物質を得た。この正極活物質は概ね球状を呈していた。この活物質を本発明による実施例活物質Aと呼ぶ。得られた活物質(未充電状態)はICP発光分光分析によりNi:Mn=9:1(原子比)であることを確認した。
【0019】
またCuKα線を使用する粉末X線回折では、図1に示すようにβ−Ni(OH)2型の構造を示し、不純物による回折線が観測されなかったことおよび回折線がMnを含まない水酸化ニッケルのそれよりも若干高角度側にシフトしたことからMnは水酸化ニッケルに固溶しているものと推定された。なお2θ=37〜40°に存在するピーク(β−Ni(OH)2の101面に帰属される)の積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピーク(β−Ni(OH)2の001面に帰属される)の積分強度A2の比A2/A1は約1であった。
【0020】
得られた活物質中のMnの酸化数をヨードメトリー法により定量したところ平均酸化数は3.8であった。
【0021】
次にこの活物質を用いて、電池を作製した。まず、この活物質と水酸化コバルトと酸化イットリウムを重量比で100:11:2になるように混合し、水を加えて練合したのち公知の発泡ニッケル基板に充填し、乾燥、圧延した。これを幅39mm,長さ80mmに切断し、集電リードを取り付けて正極とした。これを組成がMmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3である水素吸蔵合金粉末を結着剤であるカルボキシメチルセルロース,SBRなどとともにNiメッキしたパンチングメタル基板に塗着した水素吸蔵合金電極、親水性を付与したポリプロピレン不織布セパレータと組み合わせて巻回し、AAサイズの電槽に収納した。これに10mol/lの水酸化カリウム水溶液に水酸化リチウムを飽和させたもの2.2ccを電解液として注液し、封口して本発明による実施例電池Aとした。
【0022】
また、この電池の特性を比較するために公知の従来活物質を用いた電池も併せて作製した。すなわち、正極活物質として、Mnを含まずCo,Znを固溶状態で含み概ね球状を呈しているもの(従来活物質Bと呼ぶ。)を用いて先と同様の方法で従来例電池Bとした。
【0023】
これら電池に用いた正極活物質A,B中のNiの重量は電池1セル当たり金属換算で2.6gとした。
【0024】
電池A,Bを充放電試験によって評価した。雰囲気温度は20℃において150mAで15時間充電し、放電を300mAで終止電圧1.0Vまで行った。その結果を図2に示す。従来活物質Bを用いた電池Bでは放電容量が1180mAhであったのに対し、実施例活物質Aを用いた電池Aでは1540mAhと大きな放電容量が得られた。ここで得られた容量をNiの反応電子数に換算すると電池Aでは約1.3電子、電池Bでは約1.0電子であった。電池A,Bを充電状態で分解し、正極板を粉末X線回折法で解析したところ従来例電池Bではγ−NiOOH型の構造に帰属される回折線が観測されなかったのに対し実施例電池Aではγ−NiOOH型の構造に帰属される回折線が非常に強く観察された。このことから実施例活物質Aを用いた場合にはNiが高い酸化数にまで容易に酸化され、それが放電するために放電容量が大きくなったものと結論づけられた。
【0025】
(実施例2)
次にMnの固溶量の最適値について調査した。実施例活物質Aと同様の合成法で、Mn含有量を全金属元素合計に対して原子比で0%から16%の範囲で変化させて同様に電池評価を行った。なおMn含有量10%の場合が実施例1で示した実施例活物質Aの場合である。その結果を図3に示す。Mnの含有量が1%以上の場合に平均反応電子数は1.1以上となった。一方、Mnの含有量が12%を越える場合には反応電子数はさらに増大するが、電極の膨潤が甚だしく、実用価値は低いものであった。これはMn固溶量を多くすることによってγ−NiOOH型の構造がさらに安定化されるためであると考えられる。以上の結果よりMnの固溶量は1%以上12%以下である場合にのみ実用価値の高い活物質が得られる。
【0026】
次にMnの平均酸化数について検討を行った。実施例活物質Aと同様の合成法で溶液A中の過酸化水素の量を変化させてMnの平均酸化数を変化させ、同様に電池評価を行った。その結果を図4に示す。Mn酸化数は3.3価以上で反応電子数1.1以上の良好な結果が得られている。さらにMn酸化数が3.5〜4.0価の範囲においては反応電子数1.2以上の優れた結果が得られた。
【0027】
(実施例3)
次に活物質粉末の形状について調査した。
【0028】
まず活物質の合成について説明する。実施例1において説明した溶液Aをビーカーに1リットルとり、ビーカーを50℃に保持、撹拌しつつ、そこへ溶液Bおよび溶液Cをそれぞれ1リットル滴下した。生成した沈殿を水洗、真空乾燥して活物質とした。電子顕微鏡で観察したところ活物質は微少な粒子が凝集したもので、形状は粒子ごとに異なり、球形を呈してはいなかった。これを本発明の実施例による活物質Cと呼ぶ。
【0029】
次に実施例活物質Cを実施例1において説明した実施例活物質Aと比較した。比較の方法は実施例1と同様に密閉電池評価によった。結果を図5に示す。密閉電池評価においては実施例活物質A,Cともに良好な結果を与えたが実施例活物質Aは活物質Cよりも若干大きな容量を示した。その詳細は不明であるが、活物質Aにおいては形状が球状を呈しているために粒子の発泡ニッケル基板への充填の際の粒子相互の接触性が良好な上、粒子のパッキングが均一であるために電解液の分布が均一となり電気化学反応が良好に進行したためではないかと推測される。また、両者の嵩密度を測定したところ活物質Cの嵩密度は活物質Aのそれよりも約20%小さい値を示した。このことは限られた体積内への活物質の充填においては実施例活物質Aの方が有利であることを示している。以上の結果より本発明の実施例による活物質の性能を充分に発揮するためには、活物質が粉末の場合には球状もしくはそれに類似した形状であることが好ましいことが明らかになった。
【0030】
(実施例4)
ここでは活物質の構造について研究した結果について述べる。実施例1で述べたのと同様の合成法において溶液Aの代わりにNi:Mn:H2O2:H3PO4=9:1:5:1(モル比)になるように硫酸ニッケルと硫酸マンガンと過酸化水素とリン酸の混合水溶液(溶液AA)を用いた。この方法で得られた活物質は粉末X線回折測定においてα−Ni(OH)2類似型の構造を示し、その嵩密度は実施例活物質Aのそれの約50%という極めて低い値を示した。このことは限られた体積内への活物質の充填においてはこの方法で合成した活物質(すなわちα−Ni(OH)2類似型の構造を有する活物質)は極めて不利であることを示している。これはα−Ni(OH)2類似型の構造を有する活物質の真密度がβ−Ni(OH)2型の構造を有する活物質のそれと比較して小さいことによると考えられる。以上の結果より活物質の構造としてはβ−Ni(OH)2型が好ましいことは明らかである。
【0031】
(実施例5)
ここでは活物質のCuKα線を使用するX線回折の2θ=37〜40°に存在するピーク(β−Ni(OH)2の101面に帰属される)の積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピーク(β−Ni(OH)2の001面に帰属される)の積分強度A2の比A2/A1について述べる。
【0032】
本発明の実施例による活物質Aと同様の合成法で温度だけを20〜80℃の範囲で変化させて合成を行った。その結果得られた正極活物質は全て概ね球状を呈していた。これらの活物質はICP発光分光分析によりNi:Mn=9:1(原子比)であることを確認した。またCuKα線を使用する粉末X線回折では、β−Ni(OH)2型の構造を示し不純物による回折線が観測されなかったことおよび回折線がMnを含まない水酸化ニッケルのそれよりも若干高角度側にシフトしたことからMnは水酸化ニッケルに固溶しているものと推定された。
【0033】
なお2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1は0.9から1.3の範囲で変化した。得られた活物質中のMnの酸化数をヨードメトリー法により定量したところ平均酸化数はすべて3.7から3.8の範囲にあった。実施例1に述べたのと同様の方法で得られた活物質を評価した。
【0034】
図6にA2/A1とNi反応電子数との関係を示す。A2/A1の値が1.25より大きい場合には反応電子数が1.3よりも小さいのに対し、A2/A1の値が1.25以下の場合には反応電子数は概ね1.3〜1.32であった。このようにA2/A1の値を1.25以下に制御することで良好な活物質が得られることが明らかとなった。
【0035】
ここまでの実施例では活物質に含まれる金属元素はNiとMnのみであったがこのほかにCo,Zn,Y,Caなどの添加元素あるいはAl,希土類元素,Cu,Zr,V,Cr,Mg,Tiなどの不純物元素が含まれる場合にも概ね良好な結果が得られている。また、ここでは電池の試作例としてニッケル・水素蓄電池を取り上げたが、ニッケル・カドミウム蓄電池あるいはニッケル・亜鉛蓄電池などの場合にも本発明の活物質は適用可能であり、優れた結果が得られる。これは本発明がこれらのアルカリ蓄電池に共通して用いられるニッケル正極の活物質に関することによる。もちろんニッケル・水素蓄電池に本発明を適用する場合において、ここで説明した水素吸蔵合金、セパレータ以外のものを用いても優れた結果が得られたことは言うまでもない。なお本発明は正極活物質に関するものであるが活物質を担持する基体についても発泡ニッケル基板を用いる必然性はなく、例えば焼結式基板を反応槽中に保持して活物質を焼結式基板に析出させる方法で作製した正極を用いても、あるいは焼結式基板を金属塩溶液に浸漬したのちアルカリ溶液に浸漬して活物質を基板に析出させるなどの方法で作製した正極を用いても、さらにはNiメッキを施した穴あき基板などに塗着た場合においても優れた結果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
本発明ではこのように水酸化ニッケルが主成分であり、Mnを固溶または共晶状態で有し、Mn含有量は全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であり、Mnの平均酸化数を3.3価以上とすることにより高容量密度のアルカリ蓄電池用正極活物質が得られ、実用的価値が非常に高い。
【0037】
またMnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型ニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、該Mn含有量は全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であり、該Mnの平均酸化数が3.3価以上であり、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1を1.25以下とすることにより高容量密度のアルカリ蓄電池用正極活物質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による活物質Aの構造を示す粉末X線回折図
【図2】本発明の実施例による電池Aおよび従来例電池Bの放電容量を示す放電曲線図
【図3】本発明の実施例による電池Aと同様の方法で合成した活物質のMn含有量と密閉電池における反応電子数との関係を示す図
【図4】本発明の実施例による活物質Aと同様の方法で合成した活物質のMn平均酸化数と密閉電池における反応電子数との関係を示す図
【図5】実施例活物質AおよびCの放電容量を示す放電曲線図
【図6】本発明の実施例による電池Aと同様の方法で合成した活物質におけるCuKα線を使用する粉末X線回折の2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1と密閉電池における反応電子数との関係を示す図
Claims (4)
- Mnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型のニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、該Mnの平均酸化数が3.3価以上であり、固溶または共晶状態で含有されるMn量が全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質。
- Mnを固溶または共晶状態で含むβ−Ni(OH)2型ニッケル酸化物(水酸化物を含む)であって、該Mnの平均酸化数が3.3価以上であり、固溶または共晶状態で含有されるMn量が全金属元素合計に対して原子比で1%以上12%以下であり、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37〜40°に存在するピークの積分強度A1に対する、2θ=18〜21°に存在するピークの積分強度A2の比A2/A1が1.25以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質。
- 固溶または共晶状態で有する該Mnの平均酸化数が3.5〜4.0価であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
- 球状もしくはそれに類似した形状の粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
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