JP4284710B2 - ラケットフレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニスラケット、バトミントン、スカッシュ等の球技用のラケットフレームに関し、特に、硬式テニスに好適に用いられるもので、競技者の意図した方向・強さでの打球しやすさ(コントロール性能)の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、図1に示すように、打球面1を囲むフェース部2とプレーヤが把持するシャフト部3とを連結するスロート部4が二股状としているオープンスロートタイプのラケットフレームにおいて、スロート部開口に取り付けるヨーク5の他に、スロート部4の中間部を連結するセカンドヨーク6が取り付けられたラケットフレームが提供されている。
【0003】
一般に、コントロール性能を向上させるには、図1(A),(B)中、X1,X2で示すラケットフレーム1のフェース部2におけるガット7の張設方向(面内方向)の剛性を高くすることにより、打球時に打球面1を安定させコントロール性能を向上させることができる。上記セカンドヨーク6を取り付けたラケットフレームは上記打球面の面内方向の剛性を高めることができると共に、ねじれ剛性も高めることができ、よって、打球面の安定性を高めてコントロール性能を向上させることができる。
【0004】
また、コントロール性能を向上させるためには、スロート部4における矢印Yで示す面外方向(打球方向)の剛性を低く設定し、このスロート部4の打球時の変形量を大きくして、ボールとガット7を張設した打球面(フェース面)1との接触時間を長くすることが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、センカドヨークを取り付けると、スロート部の面外方向の剛性も同時に高められて、コントロール性を損なう場合がある。
【0006】
本発明者等は、テニスラケットフレームにおいて、打球面の面内方向の剛性と、スロート部の面外方向の剛性とを種々設定したテニスラケットフレームを作成して、コントロール性能を、上級プレーヤ40人に試打させてフィーリングテストで判定した。その結果は、下記の表1に示す通りであった。
【0007】
【表1】
【0008】
上記したテストの結果より、打球面の面内方向の剛性が高く、スロート部の面外方向の剛性が低い方が、コントロール性が良いことが確認できた。よって、ラケットフレームにおいて、コントロール性を向上させるためには、打球面の面内方向の剛性を高くし、スロート部の面外方向の剛性を低くすることが好ましい。
【0009】
一般に、ラケットフレームの剛性を変化させる手段としては、ラケットフレームの厚み及び幅等からなる形状、ラケットフレームを構成する繊維強化樹脂の強化繊維の角度、枚数、幅等からなる積層構造を変化させることが考えられる。よって、従来より、ラケットフレームの断面形状、厚みあるいは繊維の含有量等を適宜設定することにより、スロート部4の面外方向の剛性を低く、フェース部2の面内方向の剛性を高く設定し、コントロール性能の向上を図る種々の試みがなされている。
【0010】
例えば、特開平7−51409号公報には、ラケットフレームのフェース部の両側部の外周面に溝を設けて剛性を高める一方、このフェース部の先端部に平坦面を設けて剛性を低下させたラケットフレームが記載されている。また、特開平5−501810号公報には、ラケットフレームのフェース部やスロート部に面内方向に貫通する孔を設けて、剛性を調節することにより反りを低減することが記載されている。さらに、特開昭63−317167号公報には、ラケットフレームのスロート部に凹部または溝を設けてスロート部の剛性を低下させ、打球時におけるスロート部の面外方向の撓みを大きくしてコントロール性能を向上させることが記載されている。
【0011】
しかしながら、上記した従来の方法では、ラケットフレームの所望の部位のある方向の剛性を調節することはできても、重量、重心位置および強度の変更を伴うこととなる。
【0012】
ラケットフレームの商品開発においては、重量、重心位置は重要な設計要素であり、この重量、重心位置が変化すると、設計全体をやり直す必要がある。よって、重量、重心位置を変化させずに、剛性をコントロールさせることが強く要望されている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意実験研究した結果、セカンドヨークを取り付けたラケットフレームにおいて、スロート部の面外剛性を変化させるには、セカンドヨークの取付位置を変化させると、ラケットフレームの重量および重心位置を変化させずに、剛性値を変化させることができることを見いだした。
【0014】
よって、本発明は、請求項1で、中空を有する筒状の繊維強化樹脂から成形され、シャフト部とフェース部を連結するスロート部が二股状で、該スロート部の開口にヨークを取り付けているラケットフレームにおいて、
上記二股状のスロート部にセカンドヨークを設け、上記ヨークの最下点と上記スロート部の分岐点を結ぶ中心軸線上において、上記ヨークの最下点から上記セカンドヨークの中心点までの距離をA、該セカンドヨークの中心点から上記スロート部の分岐点までの距離をBとした時、B/A比が2以上で4以下の範囲に設定していることを特徴とするラケットフレームを提供している。
【0015】
上記B/A比において、2以上としているのは、2より小さいと打球面の面内剛性をさほど上昇させることができず、逆に、スロート部の面外剛性を大きく上昇させるだけであるため、コントロール性能が損なわれる。また、4以下としているのは、4より大きい場合も、打球面の面内剛性はさほど上昇せず、セカンドヨークを設けたことに伴う打球面の安定性の機能を発揮しえない。
【0016】
さらに、本発明者等は鋭意実験研究した結果、セカンドヨークを取り付けたラケットフレームにおいて、スロート部のヨークを取り付ける開口幅の寸法を変化させると、ラケットフレームの重量および重心位置を変化させずに、剛性値を変化させることができることを見いだした。
【0017】
そこで、本発明は、シャフト部とフェース部を連結するスロート部が二股状で、該スロート部の開口にヨークを取り付けているラケットフレームにおいて、
上記二股状のスロート部にセカンドヨークを設け、かつ、上記ヨークを取り付けるスロート部開口の幅を、74mm以上で115mm以下の範囲としていることを特徴とするラケットフレームを提供している。
【0018】
スロート部開口の幅を74mm以上としているのは、74mmより小さいと、打球面の面内剛性の上昇率が小さく、セカンドヨークを設けても打球面の安定性に寄与せず、また、スロート部の面外剛性の上昇率が非常におおきくなり、コントロール性が損なわれる。また、一般のラケットフレームのスロート部開口幅は最大115mmであるため、該幅を115mm以上とすることはできない。なお、セカンドヨーク形状は限定されず、スロート部と同一厚さの直方体形状でもよいし、断面楕円形状等の流線形断面を有するもの、あるいは湾曲してスロート部の上下面より突出した形状でもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
本発明のラケットフレーム10は、前記図1に示す形状と略同一であり、セカンドヨーク6の位置を従来と変更しているだけであるため、図1を用いて説明する。即ち、ラケットフレーム10は、打球面1を囲むフェース部2とシャフト部3とを連結するスロート部4が二股状としているオープンスロートタイプのラケットフレームからなる。図中、8はプレーヤが把持するグリップ部である。
【0021】
上記ラケットフレーム10は中空を有する筒状の繊維強化樹脂から成形しており、例えば、エポキシ樹脂を含浸したカーボン繊維からなるプリプレグシートを積層して成形したものである。
【0022】
上記したように、二股状のスロート部4には、スロート部4を構成する両側部分4a,4bの内側部を連結するセカンドヨーク6を設けている。該セカンドヨーク6は、本実施形態では直方体形状であって、例えば、発泡ウレタンの周囲にエポキシ樹脂を含浸したカーボン繊維からなるプリプレグシートを積層して成形している。該セカンドヨーク6の断面形状は、ラケットフレーム10と同一としている。
【0023】
上記スロート部4にセカンドヨーク6を設けて、スロート部4の両側部を連結すると、打球時にスロート部4が内側に撓むのが防止され、フェース部2の面内方向の剛性が高くなる一方、スロート部4の面外方向の剛性がフェース部2の面内方向の剛性に対して相対的に低くなる。また、スロート部4にセカンドヨーク6を設けただけの構造であるため、ラケットフレーム10の全体の重量、バランス、強度、面外方向の剛性をほとんど変化させることなく、フェース部2の面内方向の剛性を高くすることができる。
【0024】
本発明の第1実施形態では、上記セカンドヨーク6の位置を、図2に示すように、打球面1の最下点P1(具体的には、スロート部4開口に取り付けるヨーク5の最下点P1)から、スロート部4の分岐点P2を結ぶ中心軸線上のセカンドヨーク6の中心点P3までの寸法をAとし、中心点P3から上記分岐点P2までの寸法をBとして、B/A比2以上4以下の範囲としている。
【0025】
第1実施形態の実施例1、2、3のラケットフレームは、図1に示す形状からなる住友ゴム工業(株)製テニスラケット「PRO700 TORSIONTITAN OVER MID SIZE」を基にして製作し、そのセカンドヨーク6の位置のみを変更している。
【0026】
上記ラケットフレーム10の寸法は、全長L1を685mm、楕円形状の打球面1におけるフレーム外面間の最大幅W1を266mm、フレーム内面間の最大幅W2を242mm、トップ部9からヨーク5までの長さL2を322mmに設定している。また、ラケットフレーム10の面内方向の幅は12mmで均一であり、面外方向の厚さは19mmで均一である。
【0027】
上記実施例1はA:B=1:4、実施例2はA:B=1:3、実施例3はA:B=1:2に設定している。
【0028】
さらに、比較例として、実施例1乃至3と同様に、住友ゴム工業(株)製テニスラケット「PRO700 TORSION TITAN OVER MID SIZE」のセカンドヨーク6の位置のみを変更したものを作成した。
【0029】
即ち、比較例1はA:B=1:6、比較例2はA:B=5:9、比較例3はA:B=1:1、比較例1はA:B=2:1に設定した。
【0030】
上記実施例1、2、3および比較例1、2、3、4のテニスラケットフレームの打球面1の面内方向の剛性、スロート部4の面外方向の剛性を、図3および図4に示す方法で測定した。
【0031】
即ち、打球面1の面内方向の剛性試験は、図3に示すように、フェース部2のサイド2a、2aとヨーク5との間の下部両側を支持具11、11で固定して垂直にラケットを保持し、フェース部のトップ部2bを加圧具12で80kgfの荷重を加え、その時の撓み量を測定し、これに基づいてバネ定数(剛性)を求めた。上記支持具体11、11の間隔は80mmである。
【0032】
スロート部4の面外方向の剛性試験は、図4に示すように、ラケットフレームを水平状態に保持し、グリップエンド8aの近傍と、グリップエンド8aから340mm離れた部分の下部を支持具9、9で支持した。この状態で、グリップエンドから220mmの部分を加圧具体10で80kgfの重量を加え、 その時の撓み量からバネ定数(剛性)を求めた。
【0033】
実施例1、2,3および比較例1、2、3、4の打球面の面内方向およびスロート部の面外方向の剛性(kgf/cm)は下記の表2に示す通りであった。
【0034】
また、上記実施例1、2、3および比較例1、2、3、4のテニスラケットを、実打によって、コントロール性能のフィーリングテストを行った。該フィーリングテストは、テニス暦5年以上で週2回以上プレーする所謂上級テニスプレーヤー34名により行い、最高の良い場合を5点満点として採点した。それらの採点結果の平均値を取ると、表2に示す通りであった。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2に示すように、比較例1は、セカンドヨーク6の位置が、B/A=6でセカンドヨーク6がヨーク側に近寄り過ぎている場合は、スロート部の面外方向の剛性は302.3kgf/cmと低くなっているが、打球部の面内剛性が160.0kgf/cmと低くなっているため、 打球面の安定性が低くなり、コントロール評価も3.49も良くなかった。即ち、ヨークと近い位置にセカンドヨークを位置させているため、セカンドヨークを設けた特有の機能が発揮されていなかった。
【0037】
比較例2は、セカンドヨーク6の位置が、B/A=1.8の場合は、打球部の面内剛性が160.6kgf/cmと低くなっているため、 打球面の安定性が低くなっていると共に、スロート部の面外剛性は327.4と高くなっているため、コントロール評価も3.46と、比較例1よりも更に悪くなっていた。
【0038】
比較例3は、セカンドヨーク6の位置が、B/A=1で、セカンドヨークをスロート部の中心に位置させている場合は、打球部の面内剛性が158.7kgf/cmと低くなっているため、打球面の安定性が低くなっていると共に、スロート部の面外剛性が333.1と高くなっているため、コントロール評価も3.46と、悪くなっていた。
【0039】
比較例4は、セカンドヨーク6の位置が、B/A=0.5で、セカンドヨークをスロート部の分岐点に近寄り過ぎている場合は、打球部の面内剛性が152.0kgf/cmと最も低くなっているため、打球面の安定性が低くなっていると共に、スロート部の面外剛性が354.6と高くなっているため、コントロール評価が最も悪い3.33となっていた。
【0040】
上記比較例1〜4に対して、実施例1は、セカンドヨーク6の位置が、B/A=4で、セカンドヨーク6を比較的ヨーク5に近づけた位置とした場合、打球部の面内剛性が166.1kgf/cmと高くなっているため打球面の安定性が高くなり、かつ、スロート部の面外剛性が305.3と低くなっているため、コントロール評価は3.60と良くなっていた。
【0041】
実施例2は、セカンドヨーク6の位置を、B/A=3とした場合で、打球部の面内剛性が166.7kgf/cmと高くなっているため打球面の安定性が高くなり、かつ、スロート部の面外剛性が306.8と比較的と低くなっているため、コントロール評価は3,58と良くなっていた。
【0042】
実施例3は、セカンドヨーク6の位置を、B/A=2とした場合で、打球部の面内剛性が163.9kgf/cmと実験例1、2よりは低くなっているが、比較的1〜4よりは高くなっているため打球面の安定性が比較的よりも高くなる。また、スロート部の面外剛性が317.2と比較例2〜4よりは低いが実施例1、2よりは高くなっているため、コントロール評価は3,70と最も良くなっていた。
【0043】
また、実施例1〜3および比較例 1〜4はいずれも、セカンドヨーク6の位置のみを変えたものであるため、それらの重量は330.5g〜332.9gで、最大と最小の差異は2.4gに過ぎず、実施例1〜3の範囲では差異は1.7gに過ぎなかった。
【0044】
また、重心位置も、実施例1〜3および比較例1〜4において、グリップエンドから300.0mm〜305.3mmで、最大と最小の差異は5.3mmに過ぎず、実施例1〜3の範囲では1.5mmに過ぎなかった。
【0045】
上記のように、第1実施形態のラケットフレームのように、セカンドヨーク6の取付位置をB/A=2〜4の範囲にすると、重量および重心位置をあまり変えずに、打球部の面内剛性を高めることができ、よって、打球面の安定性を高めることができる。かつ、スロート部の面外剛性が高くなり過ぎない程度に抑制でき、コントロール性能の向上を図ることができる。
【0046】
本発明の、第2実施形態のラケットフレームは、図1に示すセカンドヨーク6を取り付けたラケットフレームにおいて、スロート部4の開口幅W、即ちヨーク5の長さを74mm以上、115mm以下の範囲に設定しているものである。
【0047】
上記第2実施形態のラケットフレームも、本発明者等が鋭意実験して研究開発した結果、発明したものであり、スロート部の開口の幅、即ち、ヨーク5の長さを変更することによっても、セカンドヨーク6を搭載した場合に、その打球面の面内剛性とスロート部の面外剛性とを制御できることを見いだした。
【0048】
第2実施形態に係わる実施例4、5、6、7は、実施例1〜3と同様に、住友ゴム工業(株)製テニスラケット「PRO700 TORSION TITANOVER MID SIZE」を基に、セカンドヨーク6の位置は上記テニスラケットど同一位置(B/A=1.8)として、スロート部4の曲率を変えて、スロート部4の開口4aの幅Wのみを変更したもので、該幅Wを74mm以上で、115mm以下としている。
【0049】
即ち、スロート部開口幅Wは、実施例4は95.56mm、実施例5は82.05mm、実施例6は78.90mm、実施例7は74.78mmとした。
【0050】
また、比較例5、6、7、8は、それぞれ実施例4、5、6、7と同一のスロート部開口幅Wとし、セカンドヨークを取り付けていない場合である。さらに、比較例9はスロート部開口幅Wを70.69mmとしたものであり、比較例10は比較例9と同一のスロート部開口Wとして且つセカンドヨークを取り付けていない場合である。
【0051】
上記実施例4〜7および比較例5〜10のテニスラケットについて、第1実施形態と同様な、打球面の面内剛性試験と、スロート部の面外剛性試験をした。その結果を下記の表3に示す。表中、スロート部開口幅を同一とした実施例4と比較例5、実施例5と比較例6、実施例6と比較例7、実施例7と比較例8、比較例9と比較例10について、夫々剛性の上昇率も表3に示している。
【0052】
【表3】
【0053】
表3に示すように、比較例9に示すように、スロート部開口幅Wが74.0mm以下の時、セカンドヨークを取り付けている場合においても、打球部の面内剛性は138.8kg/cmであり、 比較例10のセカンドヨークを取り付けていない場合との比較においても、 打球面の面内剛性の上昇率は7,6%と低い。しかも、比較例10に対して比較例9はスロート部の面外剛性の上昇率が23.2%と高く、セカンドヨークを取り付けた比較例9のスロート部の面外剛性は399.1kg/cmとなっている。このように、打球部の面内剛性が低いと共に、スロート部の面外剛性が高くなっているため、コントロール性を損なう傾向となる。
【0054】
また、スロート部開口Wは、現在一般に用いられているテニスラケットの最大幅が115mmであるため、スロート部開口幅Wは74mm以上で、115mm以下とすることが好ましい。
【0055】
実施例5〜7は、いずれもスロート部開口幅Wが74mm以上で、115mm以下であり、打球面の面内剛性は145.0kg/cm〜160.6kg/cmの範囲で比較的大きいために、 打球面の安定性が良い。 また、 セカンドヨークを取り付けていない比較例6〜8に対して、面内剛性の上昇率は9.5〜10.0%と大きく、セカンドヨークを取り付けた効果が発揮されている。
【0056】
スロート部の面外剛性についても、実施例5〜7は327.4kg/cm〜349.9kg/cmであり、 比較例9と比べて面外剛性は比較的小さい。また、セカンドヨークを取り付けていない比較的6〜8に対して、面外剛性の上昇率は、比較例10から比較例9への上昇率と比べて遥かに低くなっている。このように、実施例5〜7はスロート部の面外剛性が比較的押さえられているために、コントロール性を損なうことはない。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の請求項1に係わるラケットフレームでは、スロート部にセカンドヨークを取り付けたダブルヨーク型のラケットフレームにおいて、そのセカンドヨークの取付位置を,中心軸線上において、該セカンドヨークと上記ヨークの最下点との間の距離をA、セカンドヨークとスロート分岐点までの距離とした時、B/A比が2以上で4以下の範囲に設定しているため、 打球面の面内剛性を高めると共に、 スロート部の面外剛性を低めに押さえることができ、よって、コントロール性能を向上させることができる。
【0058】
即ち、スロート部の両側部を連結するセカンドヨークを設けているため、スロート部が内側に撓むことが防止され、よって、フェース部の面内方向の剛性が高めると同時に、セカンドヨークの取付位置を上記範囲に設定すると、スロート部の面外方向の剛性を低くおさえることができる。
【0059】
また、上記のようにスロート部に設けるセカンドヨークの位置を変えるだけであるため、ラケットフレームの重量、バランス、強度、フェース部の面外方向の剛性をほとんど変化させることなく、フェース部の面内方向の剛性のみを調節することができる。よって、飛び性能等の他の性能を損なうことなく、コントロール性能を向上することができる。
【0060】
また、請求項2の発明に係わるラケットフレームでは、ヨークを取り付けるスロート部開口部の幅を、74mm以上で115mm以下の範囲としていることにより、セカンドヨークを取り付けた場合に、打球面の面内剛性を高めて打球面の安定性を向上させることができると共に、スロート部の面外剛性の上昇を抑制できるため、コントロール性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラケットフレームを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の寸法関係を説明するための概略図である。
【図3】 打球面の面内剛性を測定するための測定装置を示す概略図である。
【図4】 スロート部の面外剛性を測定するための測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 打球面
2 フェース部
3 シャフト部
4 スロート部
5 ヨーク
6 セカンドヨーク
7 ガット
8 グリップ
Claims (2)
- 中空を有する筒状の繊維強化樹脂から成形され、シャフト部とフェース部を連結するスロート部が二股状で、該スロート部の開口にヨークを取り付けているラケットフレームにおいて、
上記二股状のスロート部にセカンドヨークを設け、上記ヨークの最下点と上記スロート部の分岐点を結ぶ中心軸線上において、上記ヨークの最下点から上記セカンドヨークの中心点までの距離をA、該セカンドヨークの中心点から上記スロート部の分岐点までの距離をBとした時、B/A比が2以上で4以下の範囲に設定していることを特徴とするラケットフレーム。 - 上記中空を有する筒状の繊維強化樹脂が、エポキシ樹脂を含浸したカーボン繊維からなるプリプレグシートを積層して成形されたものである請求項1に記載のラケットフレーム。
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