JP4275469B2 - 凹凸パターン形成材料、凹凸パターン受容体、凹凸パターン形成方法、転写箔、及び光学物品 - Google Patents

凹凸パターン形成材料、凹凸パターン受容体、凹凸パターン形成方法、転写箔、及び光学物品 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、賦型性及び賦型維持性に優れ、特に、光学物品の微細凹凸表面構造を形成するのに適した凹凸パターン形成材料、これを用いて凹凸パターンを形成する方法、及び、これらを用いて得られる転写箔、及び光学物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂組成物を、例えば、支持体上に塗工して光硬化性樹脂層を形成し、この光硬化性樹脂層の表面に凹凸パターンを付与した後、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により露光して該樹脂層を硬化させ、形成された凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層することにより、回折格子やレリーフホログラム等の光学物品が形成されている。
【0003】
一般的な形成方法としては、液状の光硬化性樹脂組成物を使用して光硬化反応で成形する方法が用いられている。例えば、液状の光硬化性樹脂組成物をポリエステルフイルム等の透明な支持体上に塗布して液状の光硬化性樹脂層を形成し、その上に微細凹凸を有するスタンパーを圧接した状態で支持体側から光照射を行って硬化させた後でスタンパーを取り外す方法や、スタンパー上に液状の光硬化性樹脂を流し込み、支持体を圧接して樹脂層を広げ、支持体側から光照射を行って硬化させた後にスタンパーを取り外す方法や、スタンパーに樹脂を充填しておき、支持体を重ねて支持体側から光照射を行って硬化させた後にスタンパーを取り外し、樹脂を支持体に転写する方法等がある。しかし、これら液状の光硬化性樹脂組成物を用いて形成する方法においては、支持体裏面側から光を照射するので、支持体が照射する光に対して透明でなければならないという制約や、支持体が光吸収性を有する場合には硬化不足となる、硬化が完了するまでスタンパーを取り外せないので工程に時間がかかる、光硬化性樹脂層が液状なので圧接したスタンパーとの間に気泡が入り欠陥になりやすい、或いは、硬化した樹脂層からスタンパーを引き剥がす時に樹脂層表面が荒れたり、クラックが入ったり、パターンが欠けたり、基材と樹脂層が剥離する等の破壊が生じる等の問題がある。
【0004】
特許文献1には、所謂ソフトセグメントとハードセグメントを有する化合物であって、環状構造を有するエポキシアクリレートを含む場合があるオリゴマー組成物を放射線重合することにより生成された交差結合重合体からなり、微細構造を担持する表面を有する光学用物品が開示されている。しかしながら、上記オリゴマー組成物は、母型に注入又は充填して硬化するように用いられる液状組成物であるため、上述の液状の光硬化性樹脂組成物を用いて形成する方法に伴う問題を生じる上、更に、ソフトセグメントの導入による生成硬化物の表面硬度の低下や、耐候性低下の問題を生じる。
【0005】
また特許文献2には、環状構造を有するエポキシアクリレートを含有する光学シート用電離放射線硬化型樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物は25℃における粘度が1000〜12000cpsと低く、液状組成物であるため、硬化が完了するまでスタンパーを取り外せないので工程に時間がかかる等、上述の液状の光硬化性樹脂組成物を用いて形成する方法に伴う問題を生じる。
【0006】
一方、回折格子やレリーフホログラム等の光学物品を形成する別の方法としては、室温で高粘度又は固体の光硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布して光硬化性樹脂層を形成し、その上にスタンパーを圧接し引き剥がした後で光照射を行って硬化させる方法がある(特許文献3、特許文献4)。この方法によれば、光硬化性樹脂層に光を直接照射するので充分に硬化させることができる、光硬化性樹脂組成物が高粘度又は固体なので塗工と複製を別工程で行うことができる、スタンパーを引き剥がして光照射を行えるのでスタンパーの圧接と硬化を別工程で行うことができる、樹脂層面から光を照射できるため支持体が光に対して不透明であっても良い、また、成形しながら光を照射する必要がないため両面一括成形できる等の利点がある。更に、光硬化性樹脂層とスタンパーの間に気泡が入り難いので正確にパターン形成できる、光硬化性樹脂層からスタンパーを引き剥がす時に樹脂層表面に糸引きが生じ難い等の利点がある。
【0007】
しかし、室温で高粘度又は固体の光硬化性樹脂組成物を用いる方法においては、未硬化の樹脂層からスタンパーを引き剥がすためスタンパーのキャビティ内に光硬化性樹脂組成物の一部が付着して残りやすい(版取られ現象)、複製すべき凹凸パターンが微細になるほどスタンパーのキャビティ内に光硬化性樹脂組成物が流れ込み難くなるため正確に賦型できない、未硬化の樹脂層からスタンパーを引き剥がした後で光照射するので硬化が完了するまでの間にパターン崩れを引き起こし易い等の問題がある。
【0008】
特許文献5には、かさ高い基を有するウレタン変性アクリル系樹脂と離型剤とを必須成分として含有する光硬化性樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物によって上記諸問題を解決することはできた。
【0009】
しかしながら、上記特許文献5に記載された樹脂組成物をもってしても、エンボス時に充分加熱する必要があるために、高速で凹凸パターンを形成することは非常に困難である。また、近年の非常に複雑な光学的凹凸パターンは、上記特許文献5に記載された樹脂組成物をもってしても版取られ、樹脂の賦型性及びパターン崩れの問題を起こさず正確に複製することは非常に困難である。
【0010】
【特許文献1】
特公平4−5681号公報
【特許文献2】
特開平7−233227号公報
【特許文献3】
特開昭60−254174号公報
【特許文献4】
特開昭61−156273号公報
【特許文献5】
特開2000−63459号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、版取られが少なく、賦型性及び賦型維持性に優れ、凹凸パターンを有する表面構造を精度よく、高速に複製できる凹凸パターン形成材料、特に、近年の非常に複雑な微細凹凸パターンも正確に複製できる凹凸パターン形成材料を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第二の目的は、上記材料を用いる凹凸パターン受容体、凹凸パターン形成方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第三の目的は、上記の凹凸パターン形成材料及び形成方法を用いた凹凸パターン転写箔、及び凹凸パターンを有する光学物品を提供することにある。
【0014】
上記課題を達成するために提供される本発明に係る凹凸パターン形成材料は、下記(A)成分、及び(B)成分を含有し、且つ、(A)成分が固形分全体の60質量%以上、(B)成分が固形分全体の20〜40質量%含まれる光硬化性樹脂組成物からなり、光学物品の凹凸パターンを形成するために用いられることを特徴とする
(A):1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマー
(B):25℃における粘度が100000mPa・s以上であり、且つ分子量が10000以上であるポリマー
【0015】
本発明の凹凸パターン形成材料に(A)成分として用いられる、1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマーは、25℃においては高粘性体又は固体であるが、エンボス加工のプロセス温度に加熱すると容易に軟化して粘度が低下し、製品の使用環境温度である常温に戻すと瞬時に固化する。
【0016】
本発明においては、バインダー成分として上記(A)成分のような高粘度のモノマー及び/又はオリゴマーを選択し、固形分全体の60質量%以上と比較的多量に配合するため、組み合わせて用いる(B)成分のポリマーは少量でも、高粘度を実現することができる。また、(A)成分を固形分全体の60質量%以上含むため、本発明に係る凹凸パターン形成材料は、組成物全体として(A)成分に起因した物性が発揮され、常温では高粘度又は固体状の流動しない凹凸パターン形成層を形成することが可能であり、加熱すると容易に粘度が低下する。
【0017】
従って、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工の際に加熱すると粘度が低下してスタンパーのキャビティ内に容易に流れ込んで正確に賦型され、スタンパーからは版取られを起こさずにきれいに剥離することができる。更に、硬化させる前にスタンパーを取り除いても、瞬時の冷却で固化されるためパターン崩れを起こし難い。このため、非常に複雑な凹凸パターンでも非常に精度良く複製することができ、両面に一括して凹凸を形成することも可能である。また、スタンパーを取り除いた後に光硬化を行うことが可能であるため、支持体は透明だけでなく不透明なものも用いることができる。
【0018】
更に、本発明の凹凸パターン形成材料は、上記(A)成分の性質に起因して、少ない熱で低粘度化するため、エンボス時に短時間の加熱ですみ、高速で凹凸パターンを形成することができる。エンボス加工の高速化が図れるため、生産性が向上する。
エンボス加工の高速化が図れ、生産性が向上する。
【0019】
また、上記(A)成分は光硬化性を有するため、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工のプロセス温度よりも低い温度で硬化させることができ、硬化工程でのパターン崩れも起こし難く、エンボス加工により形成した凹凸パターンを充分に固定化できると共に、強度等の充分な皮膜物性を得ることができる。
【0020】
本発明の凹凸パターン形成材料は、版取られの防止、及び反復エンボス性の点から、更に、離型剤を含むことが好ましい。
【0021】
また、硬化物の硬度、柔軟性、加工性の点から、前記(A)成分が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
上記凹凸パターン形成材料を支持体上に塗布して形成した塗膜表面の水の接触角が硬化前後において90°以上ある場合には、スタンパーからの離型性が良好となり、版取られ現象が起こり難くなるので好ましい。
【0023】
次に本発明に係る凹凸パターン受容体は、少なくとも前記本発明に係る凹凸パターン形成材料を用いて形成されたものである。
【0024】
次に、本発明に係る凹凸パターン形成方法は、少なくとも前記本発明に係る凹凸パターン形成材料を用いて形成された凹凸パターン形成層を備える凹凸パターン受容体の表面に、凹凸形状を設けたスタンパーを圧接することにより凹凸パターンを形成することを特徴とする。
【0025】
凹凸パターンを充分に固定し、強度等の皮膜物性が充分にする点から、通常、更に光照射して前記凹凸パターン形成層を硬化させる。
【0026】
凹凸パターンを充分に硬化させたり、生産性を向上させることができる点から、前記凹凸パターン形成層からスタンパーを取り除いた後に光照射して、当該凹凸パターン形成層を硬化させて凹凸パターンを固定することが好ましい。また、スタンパーを取り除く前に光照射して、当該凹凸パターン形成層を硬化させて凹凸パターンを固定しても良い。
【0027】
本発明によれば、第一の支持体上に、少なくとも上記凹凸パターン形成材料からなり、凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成層が転写可能に設けられている凹凸パターン転写箔を形成することが可能である。凹凸パターン転写箔を利用する場合には、複雑な表面形状の物品等の直接エンボス加工を行うことが困難な物品の表面や、ロール状に巻き取ることができないガラス、プラスチック、金属板等の支持体に、凹凸パターンを連続転写によって形成することが可能である。
【0028】
また、本発明によれば、レリーフホログラムや回折格子の凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、サイズが比較的大きい100μm以上のようなフレネルレンズ等の光学物品の他、より高度な光学的機能を有する複雑な凹凸パターン、例えば、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子や、情報記録素子等の凹凸パターンであっても精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。本発明に係る凹凸パターン形成材料は、下記(A)成分、及び(B)成分を含有し、且つ、(A)成分が固形分全体の40質量%以上含まれる光硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする。
(A):1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマー
(B):25℃における粘度が100000mPa・s以上であり、且つ分子量が10000以上であるポリマー。
【0030】
なお、組成物の固形分には、溶剤を除く全ての成分が含まれ、例えば液状のモノマー成分もこれに含まれる。また、本発明において光とは、光反応性官能基に光反応を引き起こさせることが可能な可視及び非可視領域の波長が全て含まれ、また、放射線等の電離放射線を全て含む。例えばマイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、α線、電子線等が全て含まれるが、主に紫外線、電子線等が用いられる。
【0031】
また、本発明において粘度は、JIS−K7117に示される回転粘度計により得られる値をいうが、50000mPa・sの粘度の樹脂が測定できる上記回転粘度計で測定することができない高粘度や固体の樹脂は、粘度50000mPa・s以上であるとみなすことができる。高粘度材料はレオメータ(粘度粘弾性測定装置)や、動的粘弾性測定装置等によって動的粘度を測定することができる。動的粘度は、より低周波数領域の測定値が、粘度の値と一致する。本発明おいては、50000mPa・s以上の高粘度材料の粘度は、動的粘弾性測定装置(例えば(株)ユービーエム製のRheogel−E4000)を使い、液体せん断治具を用いて、基本周波数10Hzで正弦波を与えたときの粘弾性データから動的粘度を算出する。本発明に用いられる高粘度材料は、動的粘度が測定周波数によって変わらないか、或いは低周波数領域でより高くなるため、10Hzでの動的粘度の測定値が50000mPa・sより充分高ければ、粘度も50000mPa・sより充分高いとみなすことができる。
【0032】
更に、本発明において分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量であり、例えばテトラヒドロフランを展開液としたGPC(例えば、装置名:HLC−8020、東ソー製)により求めた値をいう。
【0033】
本発明の凹凸パターン形成材料に(A)成分として用いられる、1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマーは、25℃においては高粘性体又は固体であるが、エンボス加工のプロセス温度に加熱すると容易に軟化して粘度が低下し、製品の使用環境温度である常温に戻すと瞬時に固化するものである。これは上記光硬化性モノマー及び/又はオリゴマーが比較的低分子量である上、含まれる環状構造が剛直であることによって配列し易く、規則的な構造を持ちやすいため、狭い温度範囲で急に粘度低下したり可逆的に粘度上昇したりすると推定される。それに対し、高分子量のポリマーは、通常、高温にしても粘度が急激に下がることはない。
【0034】
従来、室温で高粘度又は固体の光硬化性樹脂組成物を用いた凹凸パターン形成材料は、バインダー成分として多量にポリマーを配合して高粘度を実現していた。これに対し本発明においては、バインダー成分として上記(A)成分のような高粘度のモノマー及び/又はオリゴマーを選択し、固形分全体の40質量%以上と比較的多量に配合するため、組み合わせて用いる(B)成分のポリマーは少量でも、高粘度を実現することができる。また、(A)成分を固形分全体の40質量%以上含むため、本発明に係る凹凸パターン形成材料は、組成物全体として(A)成分に起因した物性が発揮され、常温では高粘度又は固体状の流動しない凹凸パターン形成層を形成することが可能であり、加熱すると容易に粘度が低下する。
【0035】
従って、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工の際に加熱すると粘度が低下してスタンパーのキャビティ内に容易に流れ込んで正確に賦型され、スタンパーからは版取られを起こさずにきれいに剥離することができる。更に、硬化させる前にスタンパーを取り除いても、瞬時の冷却で固化されるためパターン崩れを起こし難い。このため、非常に複雑な凹凸パターンでも非常に精度良く複製することができる。また、スタンパーを取り除いた後に光硬化を行うことが可能であるため、支持体は透明だけでなく不透明なものも用いることができ、両面に一括して凹凸を形成することも可能である。
【0036】
更に、本発明の凹凸パターン形成材料は、上記(A)成分の性質に起因して、少ない熱で低粘度化するため、エンボス時に短時間の加熱ですみ、高速で凹凸パターンを形成することができる。エンボス加工の高速化が図れるため、生産性が向上する。
【0037】
また、上記(A)成分は1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上含み、光硬化性を有するため、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工のプロセス温度よりも低い温度で硬化させることができ、硬化工程でのパターン崩れも起こし難く、エンボス加工により形成した凹凸パターンを充分に固定化できると共に、強度等の充分な皮膜物性を得ることができる。
【0038】
本発明に用いられる(A)成分である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマーは、1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である。
【0039】
環状構造としては、ベンゼン環のような芳香族環、シクロヘキサンのような脂肪族環状炭化水素、炭素以外の原子を含む複素環のいずれでも良いが、より配列の規則性を持ち易い、かさ高い構造が含まれる方が好ましい。
【0040】
(A)成分の粘度は、組成物全体を高粘性体とするために、25℃の粘度が50000mPa・s以上とするが、特に25℃の粘度が80000mPa・s以上又は固体であることが好ましい。
【0041】
また、(A)成分の分子量は、狭い温度範囲で容易に低粘度化させる点から、5000以下とするが、更に2000以下であることが好ましい。
【0042】
(A)成分としては、上記分子量範囲で上記粘度条件を満たし、且つ硬化物の硬度、柔軟性、加工性の点から、各々1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含むエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、及びポリエステルアクリレートよりなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0043】
1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含むエポキシアクリレートは、1分子内に2つ以上のエポキシ基及び環状構造を有する化合物に、エチレン性不飽和結合とカルボン酸を有する化合物を反応させて得られるもので、エポキシ基のカルボン酸による開環付加反応により製造されるものである。エポキシアクリレートは、エポキシ基の開環による水酸基を含むエポキシ残基を有することが特徴である。
【0044】
1分子内に2つ以上のエポキシ基及び環状構造を有する化合物としては、1分子内に2つ以上のエポキシ基及び環状構造を有するグリシジルエーテル化合物が好ましく用いられ、このようなグリシジルエーテル化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;それらの水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂;ビキシレノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;脂環式骨格を有するエポキシ樹脂;イソシアヌレート骨格、フルオレン骨格等を有するエポキシ樹脂;等が挙げられる。中でも、凹凸パターン賦型時、スタンパーを外した後の凹凸形状維持性の点から、前記エポキシアクリレートの環状構造が、ビスフェノール型、水添ビスフェノール型、ビフェノール型、ノボラック型、及びナフタレン型から選択される1種以上であるものが好ましく用いられる。中でも、より配列の規則性を持ち易い、かさ高い構造や結晶性の構造が含まれる方が好ましい。
【0045】
エチレン性不飽和結合とカルボン酸を有する化合物は、1分子内にエチレン性不飽和結合を1つ以上及びカルボキシル基を有する分子を使用することができる。エチレン性不飽和結合とカルボン酸を有する化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられるが、その他にも1分子中にエチレン性不飽和結合を1つ以上及び水酸基を有する分子と酸無水物を反応させることにより合成することができる。
【0046】
エチレン性不飽和結合を1つ以上及び水酸基を有する分子としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルメタ(アクリレート)等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、4−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0048】
本発明に用いられるウレタンアクリレートは、1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造のほかに、更に分子内にウレタン結合を有するものである。上記ウレタンアクリレートの中では、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基を有する化合物と、1個以上の水酸基及び1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレート、又は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基及び1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレートが好ましい。
【0049】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニレンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
また、下記式1a乃至1eで表されるイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0051】
【化1】
Figure 0004275469
【0052】
【化2】
Figure 0004275469
【0053】
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセリン、その他、数々のポリシロキサンポリオール、ポリ(オキシアルキレン)ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリ(アルキルアクリレート)ポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0055】
ウレタンアクリレートの合成に用いる1個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の化合物が挙げられる。
【0056】
以上説明したウレタンアクリレートは、特開平3−19842号公報に記載の反応条件で上記の各成分を反応させることにより製造することができる。
【0057】
本発明に用いられるポリエステルアクリレートは、1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造のほかに、更に分子内にエステル結合を有するものである。上記ポリエステルアクリレートの中では、2個以上の水酸基を有する化合物又は環状エステル化合物と多塩基酸とから合成したポリエステル化合物に、さらにエチレン性不飽和結合を持つ化合物を反応させて得られるポリエステルアクリレートが好ましい。
【0058】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、上記ウレタンアクリレートの合成に用いるものと同じものを用いることができる。
【0059】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン化合物、その誘導体、若しくは当該ラクトン化合物とグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物との付加反応生成物を挙げることができる。
【0060】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0061】
(A)成分としては、その他にも、上記分子量範囲で上記粘度条件を満たす反応性モノマー、例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(以下、EOとする)変性トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビフェノールEO変性ジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0062】
(A)成分は、単独でも2種以上混合して用いられても良い。(A)成分は、本発明に係る凹凸パターン形成材料中に、固形分として40質量%以上用いられるが、更に、50質量%以上、特に60質量%以上用いることが好ましい。
【0063】
本発明に用いられる(B)成分は、25℃における粘度が100000mPa・s以上であり、且つ分子量が10000以上であるポリマーである。(B)成分は、組成物全体を高粘度にし、版取られを防止したり、硬化前にスタンパーを取り除いても形状を良好に維持可能とするため、(A)成分と組み合わせて用いられる。
【0064】
(B)成分の粘度は、組成物全体を高粘度にする点から、25℃における粘度を100000mPa・s以上とするが、高粘度であるほど好ましく、粘度に換算して1×107mPa・s以上、好ましくは1×109mPa・s以上、更に固体であることが好ましい。
【0065】
(B)成分の分子量は、組成物全体を高粘度にする点から、10000以上であるが、更に、20000〜600000であることが好ましい。
【0066】
(B)成分としては、反応性を有するポリマーであっても、非反応性ポリマーであっても良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、スチロール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。また反応性ポリマーとしては、上記のような非反応性ポリマーに反応性官能基を有する化合物を結合及び/又は共重合することによって、末端及び/又は側鎖に反応性官能基を導入した反応性ポリマーが例示できるが、これらに限定されない。
【0067】
(B)成分としては、凹凸パターンの形成を高速で形成する点から、中でも熱可塑性の樹脂で、軟化温度が150℃以下であるものが好ましい。この場合の軟化温度は、(株)ユービーエム製のRheogel−E4000を用い、25℃で固体である材料を一旦加温して液体せん断治具に詰めて、昇温速度3℃、基本周波数10Hzの条件で正弦波を与えながら昇温過程の動的粘弾性を測定する。得られる動的貯蔵弾性率の値は、軟化温度以下ではほぼ一定だが、軟化が開始すると急激に低下するため、動的貯蔵弾性率プロットの変曲点を、ここでは軟化温度という。
【0068】
かかる点、すなわち硬度、加工性の点から、(B)成分としては特に、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の公知のアクリレート類や、スチレン等のビニルモノマー類を重合または共重合させて得られるポリマーのいずれも使用できる。ポリマーは反応性ポリマーであっても良く、反応性ポリマーは、例えば、水酸基を有するモノマーを予め共重合しておき、イソシアネート基と反応性官能基を有する化合物を反応させて導入する方法、カルボキシル基を有するモノマーを予め共重合しておき、グリシジル基と反応性官能基を有する化合物を反応させて導入する方法等を用いて、反応性官能基をアクリル樹脂に導入することにより得られる。
【0069】
(B)成分は、単独でも2種以上混合して用いられても良い。(B)成分は、本発明に係る凹凸パターン形成材料中に、固形分として10〜55質量%、更に20〜40質量%用いることが好ましい。
【0070】
また、本発明の凹凸パターン形成材料は、離型剤を配合することが好ましい。離型剤を配合することにより、凹凸パターン形成層に押し付けたスタンパーを取り除く時に凹凸パターン形成材料の版取られを防止し、スタンパーを長期間連続して使用(反復エンボス性)することができるようになる。
【0071】
離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、アミドワックス、モンタン酸ワックス、油脂系のワックス等のワックス類;弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤;シリコーン系オイル、シリコーン樹脂等のシリコーン系離型剤;フッ素化合物、フッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等のフッ素系離型剤;等の何れも使用可能である。
【0072】
特に、樹脂との相溶性の点からシリコーン系離型剤が好ましい。シリコーン系離型剤には、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサン、シリコーン系アクリル樹脂等がある。
【0073】
変性シリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖及び/又は末端を変性したものであり、例えばアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、フッ素変性等が挙げられる。一つのポリシロキサン分子に上記したような変性方法の2つ以上を行うこともできる。
【0074】
シリコーン系アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル変性シリコーンオイルや、ケイ素を含有するモノマーを共重合或いはグラフト化したアクリル樹脂が用いられる。
【0075】
上記シリコーン系離型剤は1種類のみ或いは2種類以上を組み合わせて添加することができる。
【0076】
離型剤は、本発明の凹凸パターン形成材料の固形分全量中に0.1〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。離型剤の割合が上記範囲未満では、スタンパーと凹凸パターン形成層の離型性が不十分となりやすい。一方、離型剤の割合が上記範囲を超えると組成物の塗工時のはじきによる塗膜面の面荒れの問題が生じたり、製品において基材自身及び近接する層、例えば、蒸着層の密着性を阻害したり、転写時に皮膜破壊等(膜強度が弱くなりすぎる)を引き起こす等の点で好ましくない。
【0077】
本発明に係る凹凸パターン形成材料には、粘度低下、柔軟性の付与、架橋密度の向上のために、上記(A)成分に該当しない光重合性官能基を1つ以上有する(すなわち単官能又は多官能の)モノマー又はオリゴマーを配合してもよい。
【0078】
単官能モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0079】
多官能のモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等、4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0080】
単官能、多官能のモノマー又はオリゴマーとしては、上記の(メタ)アクリレート類のほか、スチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリル、ジアリルフタレート、ジメタクリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物を用いることもできる。
【0081】
モノマー又はオリゴマーは、得られる凹凸パターン形成層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性、複製時の版取られ等の点から、凹凸パターン形成材料の固形分全量中に5〜20質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0082】
本発明に係る凹凸パターン形成材料には、必要に応じて、光重合開始剤、重合禁止剤、有機金属カップリング剤等の他の成分を配合することができる。
【0083】
光重合開始剤は、エポキシアクリレートや反応性モノマー及び/又はオリゴマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)に応じて適切な活性種を発生させるものを用いる。エポキシアクリレートに含まれるエチレン性二重結合はラジカル重合であることから、光ラジカル開始剤を用いることが特に好ましい。
【0084】
光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、アントラキノン、メチルアントラキノン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、ベンジルジアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド、α−クロルメチルナフタレン、アントラセン、ヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等がある。
【0085】
上記光重合開始剤は、本発明にかかる凹凸パターン形成材料の固形分全量に対して0.5〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。光重合開始剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
本発明の凹凸パターン形成材料には、貯蔵安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類等を用いることができる。重合禁止剤は、凹凸パターン形成材料の固形分全量に対して0.1〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0087】
本発明の凹凸パターン形成材料には、凹凸パターンを有する表面構造の耐熱性、強度、或いは、金属蒸着層との密着性を高めるために、有機金属カップリング剤を配合してもよい。有機金属カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、スズカップリング剤等の各種カップリング剤を使用できる。
【0088】
上記有機金属カップリング剤は、耐熱性、強度、蒸着層との密着性の付与効果及び組成物の安定性、成膜性の点から、本発明の凹凸パターン形成材料の固形分全量中に0.1〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0089】
本発明の凹凸パターン形成材料は、凹凸パターン形成時の塑性変形特性を保ちながら、所望の粘度に調整し、未硬化前にスタンパーを取り除いた後の形状維持性を良好とするため、無機微粒子類を配合してもよい。
【0090】
無機微粒子としては、例えば希釈モノマー又は希釈溶媒中でコロイド状の形態となる等、組成物中に均一に分散させることが可能なものを用いる。
【0091】
また、無機微粒子は、塗膜に充分な透明性を確保するために、いわゆる超微粒子サイズのものを用いる。ここで「超微粒子」とはサブミクロンオーダーの粒子のことであり、一般的に「微粒子」と呼ばれている数μmから数100μmの粒子径を有する粒子よりも粒子径の小さいものを意味している。本発明において用いられる無機微粒子の具体的なサイズは、凹凸パターン形成材料が適用される光学物品の用途及びグレードによっても相違するが、一般的には一次粒子径が1nm〜300nmの範囲のものを用いるのが好ましい。一次粒子径が1nm未満では、凹凸パターン形成材料の塑性変形特性、及び未硬化前の凹凸形状の維持性を充分に改善させることが困難になり、一方、一次粒子径が300nmを超えると、透明性が損なわれ光学用物品の用途によっては透明性が不充分となる場合がある。
【0092】
無機微粒子の具体例としては、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al23等の金属酸化物微粒子を挙げることができ、これらの中から上記したようにコロイド状分散可能で且つサブミクロンオーダーの粒子サイズを有するものを選択して用いるのが好ましく、特に、コロイダルシリカ(SiO2)微粒子を用いるのが好ましい。
【0093】
また、微粒子同士で又はエポキシアクリレート等の硬化性成分との間で共有結合等の化学結合を形成させるため、表面に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を導入した無機微粒子を使用することができる。
【0094】
無機微粒子は、塑性変形特性、及び未硬化前の凹凸形状の維持性、及び充分な強度や表面硬度の点から、本発明の凹凸パターン形成材料の固形分全量中に0.1〜30質量%の割合で配合するのが好ましく、1〜20質量%の割合で配合するのが特に好ましい。
【0095】
本発明の凹凸パターン形成材料は、スタンパーを圧接し取り除いた後で光硬化させる方法に用いるためには固形分として高粘性体であることが好ましく、25℃で固体あることが好ましく、粘度に換算した場合、25℃で1×107mPa・s以上、更に好ましくは1×109mPa・s以上であることが好ましい。
【0096】
また、エンボス加工の点から、軟化温度が100℃以下、更に好ましくは70℃以下となることが好ましい。なお、軟化温度は前述と同様に測定したものをいう。
【0097】
また、本発明に係る凹凸パターン形成材料を支持体上に塗布して形成した塗膜表面の水の接触角が光硬化前及び後において90°以上ある場合には、スタンパーからの離型性が良好となり、版取られ現象が起こり難くなるので好ましい。なお、水の接触角は、接触角計により、水滴と膜面のなす角を観察により求める。
【0098】
本発明の微細凹凸パターン形成材料は、希釈溶剤を用いずに加熱により低粘度化して塗布しても良いが、通常、希釈溶剤を用いて塗布液の状態に調製し、微細凹凸パターンの形成に用いる。上記したような各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解、分散することにより、本発明に係る微細凹凸パターン形成材料の塗布液を調製することができる。塗布液は、通常、固形分濃度が10〜60質量%程度となるように調節される。
【0099】
上記凹凸パターン形成材料は、基材フィルム等の支持体の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させて凹凸パターン形成材料の層(凹凸パターン形成層)を形成して凹凸パターン受容体を作製し、当該凹凸パターン受容体の凹凸パターン形成層表面にスタンパーを圧接してエンボス加工を行い、凹凸パターン形成層を露光等の適切な方法で硬化させることにより、光学的機能を有する凹凸パターンを形成することができ、光学物品やスタンパーとして利用できる。
【0100】
本発明に係る凹凸パターン受容体は、少なくとも前記本発明に係る凹凸パターン形成材料を用いて形成される。凹凸パターン受容体は、例えば、上記凹凸パターン形成材料を基材フィルム等の支持体の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させて凹凸パターン形成材料の層(凹凸パターン形成層)を形成して製造される。
【0101】
凹凸パターン形成層は、支持体の片面に形成されても良いし、両面に形成されても良い。本発明の凹凸パターン受容体に用いられる前記本発明に係る凹凸パターン形成材料は、硬化させる前にスタンパーを取り除いても、瞬時の冷却で固化されてパターン崩れを起こし難いため、スタンパーを取り除いた後で凹凸パターン形成層の前面から光照射して硬化させることも可能である。本発明の凹凸パターン受容体は、必ずしもスタンパーを圧接した状態で硬化させなくても良いため、両面に一括して凹凸を形成する凹凸パターン受容体としても適している。
【0102】
凹凸パターン形成層は、例えばグラビアコーターを用いて塗布し、次いで必要に応じて組成物に含まれている有機溶剤を乾燥させて作製される。上記グラビアコーター以外の塗工機としては、例えばロールコーター、カーテンコーター、フローコーター、リップコーター、ドクターブレードコーター等も使用できる。凹凸パターン形成層の厚さは、適宜調整されるが、通常0.1〜5.0μm程度である。
【0103】
支持体に凹凸パターン形成層を塗工する前に、必要に応じてアンカー層、剥離層、金属薄膜層、オーバーコート層等の他の層を形成してもよい。凹凸パターン受容体に用いられる支持体等は適宜公知のものを用いることができるが、支持体、剥離層、金属薄膜層等は後述する転写箔に用いられるものと同様のものが好ましく用いられる。
【0104】
本発明に係る凹凸パターン形成方法は、前記本発明に係る凹凸パターン形成材料を用いて形成された凹凸パターン形成層を備える、前記本発明に係る凹凸パターン受容体の表面に、凹凸形状を設けたスタンパーを圧接することにより凹凸パターンを形成する。
【0105】
通常、凹凸パターン受容体の凹凸パターン形成層表面にスタンパーを圧接してエンボス加工を行った後、更に光照射して前記凹凸パターン形成層を硬化させて凹凸パターンを固定することにより、凹凸パターンを形成する。この場合には、エンボス加工により形成した凹凸パターンを充分に固定化できると共に、強度等の充分な皮膜物性を得ることができる。
【0106】
凹凸パターン形成層を硬化させる場合に、スタンパーを取り除く前に、スタンパーを圧接した状態で硬化させてもよいが、前記本発明に係る凹凸パターン形成材料は、硬化させる前にスタンパーを取り除いても瞬時の冷却で固化されてパターン崩れを起こし難いため、スタンパーを取り除いた後で凹凸パターン形成層の前面から光照射して硬化させることが可能である。スタンパーを圧接した状態で硬化させる場合には、支持体裏面側から光を照射するので、支持体が透明でなければならないという制約や、支持体が光吸収性を有する場合には硬化不足となる、硬化が完了するまでスタンパーを取り除けないので工程に時間がかかるという問題がある。それに対し、スタンパーを取り除いた後で凹凸パターン形成層の前面から光照射して硬化させる場合には、支持体の制約がなく、充分に硬化させることが可能である上、取り除いたスタンパーはエンボス工程で連続使用できるので連続生産性に優れている。更に、両面に一括して凹凸を形成するにも適している。一方、スタンパーを圧接した状態で硬化させる場合には、凹凸をより正確に固定でき、版取られ等がより起こり難いというメリットがある。
【0107】
また、凹凸パターン形成層に凹凸パターンを形成する後に、必要に応じて金属薄膜層、オーバーコート層、感圧又は感熱接着剤層等の他の層を形成してもよい。
【0108】
凹凸パターン受容体は、凹凸パターンの表面構造を付与すべき最終製品であってもよいが、中間的な転写媒体であってもよい。すなわち本発明においては、上記凹凸パターン形成材料を第一の支持体に塗布して凹凸パターン形成層を形成し、該凹凸パターン形成層に凹凸パターンを形成することで転写箔を作製し、当該凹凸パターン形成層を硬化させた後で、第二の支持体(最終製品)上に転写することが可能である。転写箔を用いる場合には、最終製品の表面に直接エンボス加工を行う必要が無い、或いは、転写箔上に予め凹凸パターンを大量連続形成することができる等の利点があり、例えば、複雑な表面形状の物品等の直接エンボス加工を行うことが困難な物品の表面や、ロール状に巻き取ることができないガラス、プラスチック、金属板等の支持体に、凹凸パターンを連続転写によって形成することも可能である。
【0109】
本発明において凹凸パターン転写箔は、第一の支持体上に、少なくとも前記凹凸パターン形成材料からなり、且つ、第一の支持体から剥離して第二の支持体に転写することが可能な状態で凹凸パターン形成層が設けられ、該凹凸パターン形成層に凹凸パターンが形成されている積層体であり、必要に応じて、上記凹凸パターン形成層に加えて剥離層、反射層、接着剤層或いはその他の層の1又は2以上を設けることができる。例えば図1に示すように、転写箔1は、支持体2上に剥離層3、凹凸パターン形成層4、反射層5、及び、接着剤層6を順次積層した構成としてもよい。
【0110】
凹凸パターン受容体、転写箔を作製する場合の支持体としては、通常、可撓性のある基材フィルムが用いられ、強度や耐熱性等の点でポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムが適しているが、プラスチックフィルムに限られず、また、可撓性が無くてもよく、金属板や紙等の他の材質を支持体として利用してもよい。また、紙等の含浸性ある支持体を用いる場合には、支持体組織内に凹凸パターン形成層が含浸した状態で形成されてもよく、このような状態であっても支持体上に設けられた凹凸パターン形成層の一形態に含まれる。また、ホログラム等の凹凸パターンの大量生産性を考慮して基材フィルムとして連続フィルムを用いてもよいが、枚葉状の基材フィルムを用いてもよい。
【0111】
剥離層は、転写箔の剥離性や箔切れ性を向上させる目的で凹凸パターン形成層の下層に必要に応じて設けられ、転写箔から何らかの被転写面(第二の支持体)に凹凸パターン形成層と共に転写された後は最表面になる層である。剥離層としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を選んで混合して用いることができる。または、凹凸パターン形成層に使用する本発明の凹凸パターン形成材料に、これらを添加剤として添加したものも、剥離層として用いることができる。
【0112】
反射層は、例えばレリーフホログラムを形成する場合に凹凸パターン上に設けられる。反射層として光を反射する不透明な金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある反射層を設ける場合は透明タイプとなるが、どちらも使用できる。反射層は、凹凸パターン形成層の樹脂と屈折率の異なる透明材料を用いて形成することができる。この場合の屈折率は、凹凸パターン形成層の樹脂の屈折率より大きくても小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。
【0113】
金属薄膜は、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物、硫化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせた混合物からなり、化学蒸着や物理蒸着等の真空蒸着、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成できる。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
【0114】
酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)等の屈折率が比較的高い金属化合物は、粒子径が小さい場合には透明性も得られるので、透明タイプ反射層として好適に使用される。
【0115】
高屈折率膜は、高屈折率材料の塗工液を用いて形成することができ、例えば、高屈折率フィラーを分散した塗工液の塗工、金や銀のコロイド溶液の塗工、ゾルゲル反応に代表される有機金属化合物の加水分解重縮合反応による塗膜形成等により形成できる。
【0116】
また、接着剤層は、凹凸パターン形成層の転写性、及び、転写後における被転写面に対する密着性を向上させる目的で、或いは、エンボス加工後の凹凸パターン形成層の表面を反射膜や保護膜で被覆する場合には、これらの層に対する密着性を向上させる目的で凹凸パターン形成層の最表面に設けられ、凹凸パターン形成層と共に転写された後は最下層となる層である。
【0117】
接着剤層としては、感熱性接着性樹脂として公知のものを使用できる。例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム系;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系;ポリイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系;ポリアクリルアミド、ポリメチロールアクリルアミド等のポリアミド系;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系;ポリビニルブチラール、酢酸ビニル/アクリル酸オクチル、酢酸ビニル/アクリル酸ブチル、塩化ビニリデン/アクリル酸ブチル等の他のビニル系;ポリスチレン等の芳香族ビニル系;及びポリ塩化オレフィン等が挙げられ、これらの中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0118】
本発明の凹凸パターン形成方法を、レリーフホログラムの転写箔を例にとって、転写箔の作製、凹凸パターンの複製及び転写の各段階に分けて、具体的に説明する。なお、使用される符号は図1〜3を参照するためのものである。
【0119】
<転写箔の作製>
先ず、ポリエチレンテレフタレート等の連続プラスチックからなる基材フィルム2をロールストックから繰り出す。繰り出した基材フィルムの上に剥離剤の塗工液をグラビアコーターを用いて塗布し、次いで、前記塗工液に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、l00〜165℃に設定した加熱炉内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させて、剥離層3を形成する。この剥離層3の上に、引き続き本発明に係る凹凸パターン形成材料をグラビアコーターを用いて塗布する。次いで組成物に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、l00〜165℃に設定した加熱炉内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させる。以上のようにして、凹凸パターン形成層4を形成して転写箔1を作製する。上記グラビアコーター以外の塗工機としては、例えばロールコーター、カーテンコーター、フローコーター、リップコーター、ドクターブレードコーター等も使用できる。凹凸パターン形成層の厚さは、通常0.1〜5.0μm程度である。作製した転写箔1は、装置のコーティングユニットから複製ユニットへ搬送される。
【0120】
<凹凸パターンの複製>
次に、複製ユニットへ搬送された転写箔1に、凹凸パターン形成層の表面にレリーフホログラムのスタンパーを圧接してエンボス加工を行い、凹凸パターンを形成する。
【0121】
図2は、連続シート状の転写箔を用いて、凹凸パターンを連続生産する方法の一例を示した図である。図2において、連続シート状の転写箔1は、支持ローラ7により複製ユニットへ搬送されてエンボス工程に供給される。エンボス工程内の搬送路上には、例えば、レーザー光や電子線を用いて作った母型から引き続き作成したスタンパー8を周面に装着した金属ロ−ル9aとペーパーロール9bよりなる1対のエンボスローラー9が設置されている。なお、複製装置のエンボスローラーとしては、樹脂製版によりマスターホログラムから複製ホログラムを作成し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。
【0122】
転写箔1がエンボスローラーの間を通過する時に、凹凸パターン形成層にスタンパーが圧接され、凹凸パターン4’が形成される。ホログラムパターンのエンボス加工は、例えば、熱ロール温度100〜200℃、プレス圧5×103〜5×106Paで行う。この範囲のプレス条件でエンボス加工を行う場合には、凹凸パターン形成層の樹脂温度が60〜80℃の温度域内又はその付近の温度に調節され、エンボス加工に適した粘度になる。熱ロール温度を上記範囲より高くすると、エンボス加工を高速で行うことができるが、基材フィルムのダメージが大きくなる。また、熱ロール温度を上記範囲より低くすると、樹脂温度を上昇させるのに時間がかかるので、エンボス工程が遅くなる。
【0123】
上記例示のエンボス加工は片面エンボスであるが、両面エンボスでもよい。エンボスに当たっては、エンボスロールの温度設定が重要であり、エンボス形状を再現する観点からは比較的高温で、比較的高い圧力でエンボスするのが好ましいが、エンボス版への付着を防止するためには比較的低い圧力でエンボスするのが好ましく、全く逆の関係となる。また、有効に作用する熱容量から考えた場合は、複製するフィルムの搬送速度も重要である。凹凸パターン形成材料のエンボスロールへの付着を低減するためには、上述した離型剤の選定も重要である。
【0124】
連続シート状の転写箔1がエンボスローラーの間を通過すると、エンボスローラーは、転写箔の供給速度に合わせて回転し、凹凸パターン形成層4上にエンボス加工が繰り返され、凹凸パターン4’が連続的に賦形される。
【0125】
転写箔1がエンボスローラーの間を通過すると、凹凸パターン形成層の凹凸パターンが賦形された部分はスタンパーから引き剥がされ、硬化工程が行われる。この例では、照射源10を用いて凹凸パターン形成層を光硬化させる。光照射による凹凸パターン形成層の硬化は、スタンパーを圧接したままの状態で行なっても良いが、スタンパーを取り除いた後で硬化を行うことにより、圧接工程と硬化工程を独立並行して行うことが好ましい。圧接工程と硬化工程を分離することにより、スタンパーの稼働率が高くなり、しかも、凹凸パターン形成層の表面に直接且つ均一に光照射を行うことにより硬化作業の効率も上がるので、生産性が高い。
【0126】
硬化に用いる光としては、高エネルギー電離放射線及び紫外線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。
【0127】
凹凸パターンを形成し硬化させた後、凹凸パターン形成層の上には、必要に応じて、さらに金属蒸着層のような反射層5や、耐擦傷性や耐汚染性を高めるための透明保護膜を形成してもよい。例えば、アルミニウムを600Åの厚さに真空蒸着することで、反射層を形成することができる。
【0128】
また、凹凸パターン形成層の上に反射層や保護膜等の層を付加する場合には、さらにその上に接着剤層6を付加してもよい。例えば、アクリル系感熱シール剤をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥させ、乾燥膜厚を3g/mの接着剤層を形成することができる。
【0129】
このようにして作製された連続シート状の転写箔1は、枚葉状に切断される。或いは連続シート状の転写箔1は、凹凸パターンの形成後に再び巻き取られてロールストックとされ、保存又は運搬されてもよい。
【0130】
図3は、連続シート状の転写箔を用いて凹凸パターンを連続生産する別の方法を示した図である。図3において、連続シート状の転写箔1は、支持ローラ7により搬送されてエンボス工程に供給される。
【0131】
エンボス工程内の搬送路上には、作製すべき凹凸パターンを反転させたキャビティ形状を有するスタンパー8を360度全周に渡って装着した金属ローラー9aと、転写箔1が金属ローラー9aと密着する段階の前半(好ましくは密着を開始した直後)の位置において転写箔1を金属ローラー9aに押しつける圧接ローラー9cと、転写箔1が金属ローラー9aと密着する段階の後半(好ましくは密着が終了する直前)において転写箔1を金属ローラー9aに押しつける圧接ローラー9dよりなる一組のエンボスローラー9が設置されている。
【0132】
金属ローラー9aの回転軸は、転写箔1の搬送路の高さからオフセットされている。そのため、転写箔1は、金属ローラーの周面と線接触するのではなく、面接触し、スタンパー8による賦形を充分に行うことができる。転写箔1の搬送路と金属ローラー9aの高低差は、転写箔1が、金属ローラー9aの周面と広い面積で接触できるように調節することが好ましい。
【0133】
凹凸パターン形成層は、金属ローラー9a又は前半部の圧接ローラー9c、或いは、その両方を加熱する熱ロールにより軟化させることができる。この場合の熱ロール温度、プレス圧、凹凸パターン形成層の樹脂温度等の条件は、上述した図2と同様である。
【0134】
また、後半部の圧接ローラー9dを必要に応じて冷却ロールとすることで、軟化した凹凸パターン形成層を冷却し、エンボス加工後の形状維持性を改善することができる。
【0135】
転写箔1の凹凸パターン形成層は、スタンパーに圧接されている状態で照射源11により予備硬化させてもよい。凹凸パターン形成層をスタンパーに圧接した状態で光照射により予備的に半硬化させることで、スタンパーを剥がした後、本硬化を行なうまでの間の型崩れが生じにくくなり、形状維持性を改善することができる。
【0136】
転写箔1が金属ローラー9aと後半の圧接ローラー9dの間を通過すると、凹凸パターン形成層の凹凸パターン4’が賦形された部分はスタンパーから引き剥がされ、硬化工程において照射源10を用いて凹凸パターン形成層を光硬化させる。
【0137】
<凹凸パターンの転写>
次に、凹凸パターンを形成した転写箔の凹凸パターン形成層の上に、第二の支持体の被転写面を向き合わせて重ね合せ、ホログラムを転写しようとする部分の転写箔を基材フィルム側から加圧ローラーや加圧板で加熱・加圧して溶融接着させた後、転写箔を剥離することにより、凹凸パターンを有する凹凸パターン形成層が第二の支持体上に転写される。転写の際の温度及び圧力は、加圧方式(ロール式、スタンピング式)及び加圧時間等の加圧方法に関する要因のほか、支持体の材質と溶融温度、感熱接着剤の溶融温度、感熱接着剤と支持体材質の密着性等の要因によって条件が大きく異なってくるため、適宜調節する。
【0138】
このようにして転写工程が完了し、凹凸パターン形成材料の硬化物からなると共に、レリーフホログラムの凹凸パターンを形成した表面構造を有する硬化樹脂層を備えた光学物品が得られる。
【0139】
本発明によれば、上記レリーフホログラムと同様の方法により又は上記方法を必要に応じて修正して、前記本発明に係る凹凸パターン形成材料の硬化物からなると共に、様々な光学的機能を有する凹凸パターンが形成された表面構造を有する硬化樹脂層を備えた光学物品を作製することが可能である。
【0140】
前記本発明に係る凹凸パターン形成材料は、様々な大きさの凹凸パターンを形成することができ、具体的には例えば、凹凸パターンの幅(ピッチ)が100nm〜500μmの凹凸パターンを形成することができる。
【0141】
従来、エンボス加工で複製されているホログラムの凹凸パターンは、幅(ピッチ)が約500〜1500nm及び幅に対する深さ(深さ/幅)が1/3以下程度であるものが一般的である。本発明によれば、このような凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、より高度な光学的機能を有する複雑な凹凸パターン、例えば、凹凸パターンの幅(ピッチ)が約200nm以下であったり、或いは、幅に対する深さの比(深さ/幅)が1以上であるパターンを複製する場合でも、スタンパーの圧接時にキャビティ内に凹凸パターン形成材料を充分に流し込むことができ、スタンパーを引き剥がす時に版取られを起こさず、スタンパーを取り除いた後のパターン崩れも起こし難いため、凹凸パターンを精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【0142】
本発明の凹凸パターン形成材料を用いるエンボス加工により作製される光学物品としては、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子が挙げられる。光の波長以下の周期的凹凸パターンからなる素子(サブ波長構造素子)としては、例えば、反射防止性能を有する構造(Moth−eye)、偏光板、位相差板が挙げられる。
【0143】
また上記光学素子としては、凹凸パターンが100μm〜数百μmのものも挙げられ、例えば、液晶ディスプレイのバックライト部材や、プロジェクションスクリーン等の部材として用いられるフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光拡散板等の他、導光板、又はプリズムシートが挙げられる。
【0144】
更に、本発明の凹凸パターン形成材料を用いるエンボス加工により作製される光学物品としては、例えば、通常約1μmの幅の凹凸が刻まれているレリーフ型ホログラムや回折格子が挙げられる。レリーフホログラムや回折格子は、その意匠性を利用して、グラフィックアーツ及び意匠用途で使用されるレリーフホログラムや回折格子、例えば、いわゆるプリクラ等のアミューズメント商品又は景品、包装、葉書・封書、ノベルティグッズ等に付されるものや、複雑な絵柄を利用して、例えばクレジットカード、IDカード、商品券、紙幣等のセキュリティ用途や偽造防止用途に使用されている。
【0145】
また、光の波長以下の凹凸パターンが形成される、計算機ホログラム(Computer Generated Hologram)が挙げられる。これは、計算機により光の波長を制御する凹凸パターンを合成することができる技術(例えば、特開2002−40219号公報参照)であり、凹凸パターンは光の波長以下のサイズで制御され、光反射板、ホログラフィ画像を作ることができるものである。この技術によって、高セキュリティ性を持つ画像や、光反射板等の光学素子を作製することができる。
【0146】
また光学物品としては、凹凸ピットを形成して情報を記録する、情報記録素子が挙げられる。情報記録素子の凹凸パターンの大きさは記録量にもよるが、例えば0.2μm〜0.8μmである。情報記録素子としては、例えば、情報記録ホログラム、光カード、光ディスク等を挙げることができる。
【0147】
本発明は、レリーフホログラムや回折格子以上に複雑又は精密に光を制御する用途に適用可能であるが、レリーフホログラムや回折格子に適用する場合にも、ただ単に明るいホログラムを得るだけでなく、複雑なデザインをもつレリーフホログラムや回折格子を形成できる。
【0148】
また本発明は、その他にも、微細な配線パターン、光導波路に用いられるパターン、ラボ・オン・ア・チップ等に使用されるマイクロサイズ、ナノサイズの微細な溝や流路を連続で形成する際にも、応用することができる。
【0149】
更に本発明は、微細なパターンの形成だけでなく、100μm以上のサイズも複製できること、本発明の製造方法により不透明基材への凹凸形成も容易であることから、壁紙やパッケージへの意匠性付与にも応用することができる。
【0150】
また、本発明によれば、非常に高い精度で凹凸パターンを形成できるので、光学物品に付与すべき凹凸パターンを型にして相補的な凹凸パターンを複製し、これをスタンパーとして使用することが可能である。
【0151】
【実施例】
(製造例1)ウレタン変性アクリルポリマーの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン40gをアゾ系の重合開始剤と共に仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート22.4g、メチルメタクリレート53.4g、イソボルニルメタクリレート13.9g、トルエン30g、及び、メチルエチルケトン20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、トルエン20g及びメチルエチルケトン20gの混合液を加えて、トリエチルアミンを触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により、2,200cm-1の吸収ピークの消失を確認し、反応を終了した。
【0152】
得られたウレタン変性アクリルポリマー溶液の固形分は41重量%、分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で35000であった。
【0153】
(実施例1)
下記の組成で凹凸パターン形成用材料1を調製した。25℃において固体であった。なお、分子量測定は、GPCとして東ソー製、HLC−8020、溶媒としてテトラヒドロフラン、分離カラムとしてTSKgel G5000Hxlを用いて測定し、得られたポリスチレン換算の重量平均分子量を使用した。
<凹凸パターン形成用材料1>
・(A)成分;エポキシアクリレート(固形分の25℃粘度60000mPa・s)(分子量300)(商品名:EX−5000、共栄社化学製):70重量部(固形分基準)
・(B)成分;製造例1のウレタン変性アクリル樹脂(25℃固体)(分子量30000):23重量部
・離型剤;シリコーンオイル(商品名:X−24−8201、信越化学製):2重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部。
【0154】
(実施例2)
下記の組成で凹凸パターン形成用材料2を調製した。25℃において固体であった。
<凹凸パターン形成用材料2>
・(A)成分;エポキシアクリレート(25℃粘度100000mPa・s)(分子量500)(商品名:VR−77、昭和高分子製):60重量部(固形分基準)
・(B)成分;ポリメチルメタクリレート(25℃固体)(分子量280000)(商品名:BR−85、三菱レイヨン製):33重量部
・離型剤;シリコーンオイル(商品名:X−24−8201、信越化学製):2重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部。
【0155】
(実施例3)
下記の組成で凹凸パターン形成用材料3を調製した。25℃において固体であった。
<凹凸パターン形成用材料3>
・(A)成分;ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(25℃粘度1×106mPa・s)(分子量500)(商品名:BPEFA、大阪ガス化学製):80重量部
・(B)成分;製造例1のウレタン変性アクリル樹脂(25℃固体)(分子量30000):23重量部
・離型剤;シリコーンオイル(商品名:X−24−8201、信越化学製):2重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部。
【0156】
(実施例4)
下記の組成で凹凸パターン形成用材料4を調製した。25℃において固体であった。
<凹凸パターン形成用材料4>
・(A)成分;ウレタンアクリレート(25℃粘度100000mPa・s)(分子量2700)(商品名:U−200AX、新中村化学工業製):70重量部・(B)成分;ポリメチルメタクリレート(25℃固体)(分子量48万)(商品名:BR−88、三菱レイヨン製):23重量部
・離型剤;シリコーンオイル(商品名:X−24−8201、信越化学製):2重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部。
【0157】
(比較例1)
下記の組成で凹凸パターン形成用材料C1を調製した。25℃において固体であった。
<凹凸パターン形成用材料C1>
・ウレタンアクリレート(25℃粘度20000mPa・s)(分子量2000)(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):50重量部
・製造例1のウレタン変性アクリル樹脂(25℃固体)(分子量30000):43重量部
・離型剤;シリコーンオイル(商品名:X−24−8201、信越化学製):2重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部。
【0158】
(評価)
(1)凹凸パターン受容体の作製
実施例1〜4及び比較例1の各組成物をメチルエチルケトンに溶解し、固形分20%の溶液とした。支持体(ポリエチレンテレフタラートフィルム;商品名ダイヤホイルT−600E、三菱ポリエステルフィルム製)にバーコーターによりコーティングして、100℃のオーブンで30秒乾燥させ、約2μmの厚みの凹凸パターン形成層を有する凹凸パターン受容体を作製した。
【0159】
(2)水の接触角測定
(1)で得られた凹凸パターン受容体に、積算露光量が600mJ/cm2となるように紫外線を樹脂コーティング面から照射して、硬化させた。硬化前後の膜面の水の接触角を接触角計によって測定した。
【0160】
(3)凹凸パターン形成テスト1
スタンパーとしては、ピッチが0.5μm、高さが0.3μmのラインアンドスペースパターンを持つニッケルスタンパーを用いた。スタンパーの凹凸パターン面と、(1)で得られた凹凸パターン受容体の凹凸パターン形成層を重ね、約130℃に加熱した熱ロールで、3MPaの応力をかけ、15m/分のスピードで圧着させた。その後、約30℃の冷却ロールを通してフィルムを剥離した。圧着から剥離までの時間は約1秒であった。剥離したフィルムをそのまま室温で保持し、目視で光沢が完全に消えるまでの時間を計測した(10分間)。時間が経過して凹凸形状が崩れると回折光が見えなくなってくるので光沢が消えてくる。光沢が消えるまでの時間により、スタンパーから剥離後の凹凸パターンが崩れる度合いを評価することができる。10分間光沢が消えないものは、製造ラインの一例である図2に示す複製装置でエンボス加工した場合に、スタンパーから剥離後の凹凸パターンの崩れが5%以内におさまることがAFMにより確認されている。
【0161】
また、剥離したフィルムは約1分、室温で保持し、その後積算露光量が600mJ/cm2となるように紫外線を照射し、回折格子の刻まれたフィルムを得た。光照射後得られたフィルムの光沢度を目視により観察し、回折格子の明るさを評価した。回折格子の明るさにより、回折格子の性能及び凹凸形状の再現性を評価することができる。回折格子の明るいものを良好(○)、暗い部分が存在するものを不良(×)とした。
【0162】
また、得られたフィルムの表面をAFM(原子間力顕微鏡)で観察し、回折格子の深さを測定した。AFMは、Nano Scope III型AFM(Digital Instruments製)を使用し、走査モードはタッピングモードで測定を行った。ニッケルスタンパーに対して深さの再現率が90%以上のものを良好(○)、90%未満のものを不良(×)とした。
【0163】
また、エンボス加工後の形状を観察し、糸引き状の荒れのないものを良好(○)、あるものを不良(×)と評価した。また、版とられの有無を観察し、ニッケルスタンパー上に樹脂が残っていないものを良好(○)と評価した。評価結果を第1表に示す。
【0164】
(4)凹凸パターン形成テスト2
実施例1〜4及び比較例1の各組成物をメチルエチルケトンに溶解し、固形分20%の溶液とした。そこに、シリコーンオイル(商品名X−24−8201、信越化学製)を3質量%添加して、よく撹拌した。その後、支持体(ポリエチレンテレフタラートフィルム;商品名ダイヤホイルT−600E、三菱ポリエステルフィルム製)にバーコーターによりコーティングして、100℃のオーブンで30秒乾燥させ、約2μmの厚みの凹凸パターン形成層を有する凹凸パターン受容体を作製した。スタンパーとしては、ピッチが300nm、高さが250nmの凸部が、縦横に正方格子状に規則正しく配列し、谷側が山側より尖った形状の微細凹凸形状を有する、ニッケルめっきプレートからなるスタンパーを用いた。これは、反射防止性能を有するMoth−eyeと呼ばれる形状である。スタンパーの凹凸パターン面と、凹凸パターン形成層を重ね、約130℃に加熱した熱ロールで、3MPaの応力をかけ、15m/分のスピードで圧着させた。その後、約30℃の冷却ロールを通してフィルムを剥離した。圧着から剥離までの時間は約1秒であった。剥離したフィルムは約1分、室温で保持し、その後積算露光量が600mJ/cm2となるように紫外線を照射し、回折格子の刻まれたフィルムを得た。
【0165】
得られた微細凹凸パターンフィルムの裏面を遮光し、5°の入射角から可視光を入射し、その反対光の反射率(波長650nm)を測定した。反射率が小さいほど反射防止性能を有する、すなわち、微細凹凸パターンが正確に刻めていることを示す。微細凹凸パターンを形成しないフィルムではこの条件で測定した反射率は3%以上になる。評価結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
Figure 0004275469
【0167】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工の際に加熱すると粘度が低下してスタンパーのキャビティ内に容易に流れ込んで正確に賦型され、スタンパーからは版取られを起こさずにきれいに剥離することができる。更に、硬化させる前にスタンパーを取り除いても、瞬時の冷却で固化されるためパターン崩れを起こし難い。このため、非常に複雑な凹凸パターンでも非常に精度良く複製することができる。また、スタンパーを取り除いた後で凹凸パターン形成層の前面から光照射して硬化させることも可能である。従って、充分に硬化させることが可能である上、両面に一括して凹凸を形成することも可能である。更に、支持体は透明だけでなく不透明なものも用いることができ、取り除いたスタンパーはエンボス工程で連続使用できるので連続生産性に優れている。
【0168】
更に、本発明の凹凸パターン形成材料は、上記(A)成分の性質に起因して、少ない熱で低粘度化するため、エンボス時に短時間の加熱ですみ、高速で凹凸パターンを形成することができる。エンボス加工の高速化が図れるため、生産性が向上する。
【0169】
また、上記(A)成分は光硬化性を有するため、本発明の凹凸パターン形成材料は、エンボス加工のプロセス温度よりも低い温度で硬化させることができ、硬化工程でのパターン崩れも起こし難く、エンボス加工により形成した凹凸パターンを充分に固定化できると共に、強度等の充分な皮膜物性を得ることができる。
【0170】
また、本発明に係る凹凸パターン形成方法によれば、凹凸パターン形成層からスタンパーを取り除いた後で硬化させることができるため、凹凸パターンを連続大量生産することが可能である。
【0171】
更に、上記本発明に係る凹凸パターン形成材料は、支持体上に常温では高粘度又は固体状の流動しない凹凸パターン形成層を形成することができるため、凹凸パターン転写箔を形成することも可能である。凹凸パターン転写箔を利用する場合には、生産性をさらに向上させることができる。
【0172】
本発明によれば、レリーフホログラムや回折格子の凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、サイズが比較的大きい100μm以上のようなフレネルレンズ等の光学物品の他、より高度な光学的機能を有する複雑な凹凸パターン、例えば、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子や、情報記録素子等の凹凸パターンであっても精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸パターン転写箔の一例についての模式的断面図である。
【図2】凹凸パターン作成方法の一例を説明するための図である。
【図3】凹凸パターン作成方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…転写箔
2…支持体
3…剥離層
4…凹凸パターン形成層
4’…凹凸パターン
5…反射層
6…接着層
7…支持ローラー
8…スタンパー
9…エンボスローラー
9a…金属ローラー
9b…ペーパーローラー
9c…圧接ローラー
9d…圧接ローラー
10…照射源
11…照射源(予備硬化)

Claims (16)

  1. 下記(A)成分、及び(B)成分を含有し、且つ、(A)成分が固形分全体の60質量%以上、(B)成分が固形分全体の20〜40質量%含まれる光硬化性樹脂組成物からなり、光学物品の凹凸パターンを形成するために用いられることを特徴とする、凹凸パターン形成材料。
    (A):1分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上及び環状構造を含み、25℃における粘度が50000mPa・s以上であり、且つ分子量が5000以下である光硬化性モノマー及び/又はオリゴマー
    (B):25℃における粘度が100000mPa・s以上であり、且つ分子量が10000以上であるポリマー
  2. 更に、離型剤を含有する、請求項1に記載の凹凸パターン形成材料。
  3. (A)成分が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の凹凸パターン形成材料。
  4. 前記凹凸パターン形成材料を支持体上に塗布して形成した塗膜表面の水の接触角が光硬化前及び後において90°以上である、請求項1乃至3いずれかに記載の凹凸パターン形成材料。
  5. 少なくとも前記請求項1乃至4いずれかに記載の凹凸パターン形成材料を、支持体上に塗布して形成された、凹凸パターン受容体。
  6. 少なくとも前記請求項1乃至4いずれかに記載の凹凸パターン形成材料を用いて形成された凹凸パターン形成層を備える凹凸パターン受容体の表面に、凹凸形状を設けたスタンパーを圧接することにより凹凸パターンを形成する、凹凸パターン形成方法。
  7. 更に、光照射して前記凹凸パターン形成層を硬化させる、請求項6に記載の凹凸パターン形成方法。
  8. 前記凹凸パターン形成層からスタンパーを取り除いた後に光照射して、当該凹凸パターン形成層を硬化させる、請求項7に記載の凹凸パターン形成方法。
  9. 前記凹凸パターン形成層からスタンパーを取り除く前に光照射して、当該凹凸パターン形成層を硬化させる、請求項7に記載の凹凸パターン形成方法。
  10. 支持体上に、少なくとも前記請求項1乃至4いずれかに記載の凹凸パターン形成材料からなる凹凸パターン形成層が転写可能に設けられ、該凹凸パターン形成層に凹凸パターンが形成された、凹凸パターン転写箔。
  11. 前記請求項1乃至4いずれかに記載の凹凸パターン形成材料の硬化物からなると共に凹凸パターンが形成された表面構造を備えることを特徴とする、光学物品。
  12. 前記凹凸パターンが全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子である、請求項11に記載の光学物品。
  13. 前記凹凸パターンがレリーフ型ホログラム、回折格子、又は計算機ホログラムである、請求項11に記載の光学物品。
  14. 前記光学素子が、反射防止性能を有する構造、偏光板、又は位相差板である、請求項12に記載の光学物品。
  15. 前記光学素子が、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、導光板、光拡散板、又はプリズムシートである、請求項12に記載の光学物品。
  16. 前記凹凸パターンが情報を記録する構造である、請求項11に記載の光学物品。
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