JP4012164B2 - 転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体 - Google Patents

転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、転写シート、その製造方法に関し、さらに詳しくは、レリーフ形成層を形成する際に、溶媒として剥離層の材料を溶解しない溶媒を用いることで、剥離変動を抑制し、被転写体に転写するときの熱、応力(圧力、張力、剪断力など)により、反射層が亀裂や変色を生じ、外観が損なわれることを防止した転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「電離放射線硬化(性)樹脂」は「未硬化の電離放射線硬化性樹脂と、硬化した電離放射線硬化樹脂の総称」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
また、硬化前の樹脂を電離放射線硬化性樹脂と呼称し、硬化後の樹脂を電離放射線硬化樹脂と呼称し、さらに、この両者を含めて電離放射線硬化(性)樹脂と呼称する。
(背景技術)クレジットカード、キャッシュカード、証書類、及びパッケージング等の被転写体の全面あるいは一部に、各種の絵柄、マーク及びデザインを、ホログラムや回折格子等により表示する際には、光回折構造を有する転写シートを用いて転写する。
該転写では、転写シートと被転写体と重ね合せて、転写シートの基材フィルム側より加熱圧着することにより、被転写体に反射層による金属光沢をもつホログラム及び/又は回折格子を形成できるが、加熱圧着時の熱、或いは、熱と応力(圧力、張力、剪断力等)により、反射層が亀裂や変色を生じたり、また、ヒートローラーなどで全面転写する場合には、熱によって基材変形に追従した反射層の亀裂による模様が現れ、ホログラム転写部の外観を損なう。
さらに、基材/剥離層/レリーフ形成層の各層間の剥離力が、充分に解明できないような、製造工程での微細な条件などの影響で大きく変動してしまう。製造ロット毎、又は製造途中でも剥離力が異なり、転写性が安定せず、古くからの問題点であった。
従って、転写時の剥離力が、微細な条件などの影響を受けにくく、製造ロット毎に一定していて、転写性が安定した転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体が求められている。
(先行技術)従来、転写シートは、基材フィルム上に剥離層、ホログラム形成層、反射性反射層、感熱性接着剤層が順次形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、上記のような転写シートの透明な反射層の上に、昇華転写の画像を形成し、被転写体に対し熱接着性を有する受像・接着層を有する熱転写シート(中間転写記録媒体)が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、いずれでも、例えばクレジットカード、キャッシュカード等の被転写体へホログラムや回折格子等の光回折構造を転写する場合に、転写シートと被転写体と重ね合せて、転写シートの基材フィルム側より加熱圧着することにより、被転写体に反射層による金属光沢をもつホログラム及び/又は回折格子を形成できるが、加熱圧着時の熱、或いは、熱と応力(圧力、張力、剪断力等)により、反射層が亀裂や変色を生じたり、また、ヒートローラーなどで全面転写する場合には、熱によって基材変形に追従した反射層の亀裂による模様が現れ、ホログラム転写部の外観を損なうという問題点がある。
特開2002−90276号公報 特開平6−255268号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、剥離層及びレリーフ形成層の、材料及び製造条件によって、転写時の剥離力を一定範囲に安定して制御することで、転写時の剥離力が、微細な条件などの影響を受けにくく、製造ロット毎に一定していて、転写性が安定しており、かつ、転写時の熱や応力による反射層の亀裂、変色、意図しない模様などの外観を損なうことを防止した転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる転写シートの製造方法は、基材の一方の面へ、少なくとも剥離層、レリーフ形成層、及び反射層が順次積層されている転写シートの製造方法において、(a)前記基材の一方の面へ剥離層を形成する工程と、(b)該剥離層面へレリーフ形成層を形成する工程と、(c)該レリーフ形成層面へレリーフを賦型する工程と、(d)該賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させる工程と、(e)該硬化したレリーフ形成層面へ反射層を形成する工程と、からなり、前記レリーフ形成層が電離放射線硬化樹脂で、かつ該レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒として、前記剥離層の材料を溶解しない溶媒を用い、かつ前記剥離層形成用の塗工液は、ノルボルネン構造からなる透明樹脂と、上記レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒へ溶解しない非相溶性樹脂を含有し、かつ、前記剥離層における前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂と非相溶性樹脂を合わせた組成物(剥離層組成物)を100質量%として、それらの含有割合が前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂70〜95質量%と前記非相溶性樹脂5〜30質量%と、からなり、かつ前記剥離層へ、さらに、電離放射線硬化樹脂を剥離層組成物に対して1〜10質量%、又はイソシアネート化合物を剥離層組成物に対して1〜20質量%を、添加してなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる転写シートは、基材の一方の面へ、少なくとも剥離層、レリーフ形成層、及び反射層が順次積層されている転写シートにおいて、該剥離層がノルボルネン構造からなる透明樹脂と、上記レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒へ溶解しない非相溶性樹脂とからなり、かつ、前記剥離層における前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂と非相溶性樹脂を合わせた組成物(剥離層組成物)を100質量%として、それらの含有割合が前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂70〜95質量%と前記非相溶性樹脂5〜30質量%と、からなり、かつ前記剥離層へ、さらに、電離放射線硬化樹脂を剥離層組成物に対して1〜10質量%、又はイソシアネート化合物を剥離層組成物に対して1〜20質量%を、添加してなるように、したものである。
請求項3の発明に係わる転写シートは、請求項2に記載の転写シートにおいて、基材へ剥離層を形成し、該剥離層へ未硬化の電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層を形成し、該レリーフ形成層面へレリーフを賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させたレリーフ形成層を、基材から180°剥離する際の剥離力が0.1〜0.2N/25.4mm幅であるように、したものである。
請求項4の発明に係わる転写シートは、上記レリーフ形成層のレリーフが、レリーフホログラム及び/又は回折格子であるように、したものである。
請求項5の発明に係わる転写シートは、基材の剥離層と反対面に、耐熱滑性層を設けるように、したものである。
請求項6の発明に係わる転写シートは、上記反射層の面に、接着層を設けるように、したものである。
請求項7の発明に係わる中間転写記録媒体は、請求項2〜6のいずれかに記載の転写シートの、上記反射層又は接着層の面に、染料受容層を設けるように、したものである。
請求項1の本発明によれば、剥離層及びレリーフ形成層の、材料及び製造条件によって、転写時の剥離力を一定範囲に安定して制御することで、転写時の剥離力が、微細な条件などの影響を受けにくく、製造ロット毎に一定していて、転写性が安定しており、かつ、転写時の熱や応力による反射層の亀裂、変色、意図しない模様などの外観を損なうことを防止した転写シートの製造方法が提供される。
請求項2の本発明によれば、転写時の剥離力が低く転写性が安定しており、かつ、転写時の熱や応力による反射層の亀裂、変色、意図しない模様などの外観を損なうことを防止した転写シートが提供される。
請求項3の本発明によれば、転写時の剥離力を限定範囲内に制御することで、転写時の剥離力が、微細な条件などの影響を受けにくく、製造ロット毎に一定していて、転写性が安定しており、かつ、転写時の熱や応力による反射層の亀裂、変色、意図しない模様などの外観を損なうことを防止した転写シートが提供される。
請求項4の本発明によれば、レリーフ形成層のレリーフが、ホログラム又は回折格子からなるので、特異な光輝による意匠性を有し、かつ、その製造困難性からセキュリティ性に優れた転写シートが提供される。
請求項5の本発明によれば、転写時の熱や応力の影響を受けにくく、高速で転写でき、かつ安定した転写ができる転写シートが提供される。
請求項6の本発明によれば、接着性を有しない被転写体にも、転写でき、かつ安定した転写ができる転写シートが提供される。
請求項7の本発明によれば、転写時の剥離力が一定で安定しており、転写性が高く、かつ、染料受容性を持ち、任意で可変な画像を受容した後に、被転写体へ任意の画像、及びホログラム又は回折格子などとともに転写できるので、任意で可変な画像とセキュリティ性のレリーフを容易に転写できる中間転写記録媒体が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の転写シートである一つの実施形態を示す概略図である。
図2は、本発明の中間転写記録媒体である一つの実施形態を示す概略図である。
(物の発明)本発明の転写シート1は、図1に示すように、基材2の一方の面に、剥離層3、レリーフ形成層4、反射層5、及び接着層6を順次積層した構成で、基材2の他方の面には耐熱滑性層9を形成してもよい。即ち、「耐熱滑性層(必要に応じて)/基材2/剥離層3/レリーフ形成層4/反射層5/接着層6(必要に応じて)」の構成である。接着層6を被転写体へ設けた場合には、転写シート1へ設けなくともよい。
該転写シート1は、被転写体と重ね合わせて、熱圧を加え、剥離層3/レリーフ形成層4/反射層5/接着層(必要に応じて)からなる転写層が転写される。
また、本発明の中間転写記録媒体7は、図2に示すように、基材2上に、剥離層3、レリーフ形成層4、反射層5、接着層6、染料受容層8を順次積層した構成である。即ち、「耐熱滑性層(必要に応じて)9/基材2/剥離層3/レリーフ形成層4/反射層5/接着層6(必要に応じて)/染料受容層8」の構成である。
染料受容層8は昇華性染料を受容できる層であり、該層へ、別で公知の熱転写インクリボンとを重ね合わせて、画像情報に応じた加熱により、該染料受容層8に染料による熱転写画像が形成される。この画像が形成された染料受容層8面と被転写体とを合わせて、熱圧を加え、被転写体に剥離層3/レリーフ形成層4/反射層5/接着層6(必要に応じて)/染料受容層8から成る転写層が転写されて、被転写体へ画像及びレリーフを形成することができる。
(方法の発明)本発明の転写シートの製造方法は、(a)前記基材の一方の面へ剥離層を形成する工程と、(b)該剥離層面へ電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層を形成する工程と、(c)該レリーフ形成層面へレリーフを賦型する工程と、(d)該賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させる工程と、(e)該硬化したレリーフ形成層面へ反射層を形成する工程と、からなり、前記レリーフ形成層を前記剥離層面へ形成する工程において、塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒として、前記剥離層の材料を溶解しない溶媒を用い、かつ前記剥離層形成用の塗工液は、ノルボルネン構造からなる透明樹脂と、上記レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒へ溶解しない非相溶性樹脂を含有し、かつ、前記剥離層における前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂と非相溶性樹脂を合わせた組成物を100質量%として、それらの含有割合が前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂70〜95質量%と前記非相溶性樹脂5〜30質量%と、からなり、かつ前記剥離層へ、さらに、電離放射線硬化樹脂を剥離層組成物に対して1〜10質量%、又はイソシアネート化合物を剥離層組成物に対して1〜20質量%を、添加してなる。
(発明のポイント)本出願人は、先に、特願2003−159370号で、基材2/剥離層3/レリーフ形成層4/反射層5の構成で、前記剥離層がノルボルネン構造からなる耐熱性の高い透明樹脂、又は該透明樹脂と該透明樹脂へ溶解しない非相溶性樹脂とからなる転写シートを提案している。しかしながら、転写シートを製造する微細な条件の差による、剥離力のバラツキがあった。
レリーフ形成層を形成する際の、レリーフ形成層組成物の溶剤として剥離層を溶解する溶剤(例えば、トルエン)を用いた場合、電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層の一部が剥離層に侵食してしまい、電離放射線にて電離放射線硬化性のレリーフ形成層を硬化する際に、基材と剥離層の界面でも反応が起こってしまい、剥離力が変動することをつき止めて、本発明者は、鋭意、研究を進め、これを解消するためにレリーフ形成層の塗膜時の溶剤として剥離層の材料を溶解しない溶剤を用いて剥離変動を抑制し、また好ましくは、剥離層に電離放射線硬化樹脂或いはイソシアネート化合物を添加することで、転写時に安定した剥離力0.1〜0.2N/25.4mm幅の剥離力を発現する転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体が得られることを見出し、本発明に至った。
以下、本発明の転写シート、及び中間転写記録媒体を構成する各層について、詳細に説明する。
(基材)基材2は、従来の転写シートまたは中間転写記録媒体に使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができ、特に限定するものではない。好ましい基材の具体例としては、グラシン紙、コンデンサー紙またはパラフィン紙等の薄紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
(剥離層)転写シートの剥離層3としては、少なくともノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂で形成され、また好ましくは、該耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂を、剥離層の全体の全固形分に対して、5〜30%の割合で混合して使用することが好ましく、ノルボルネン系樹脂に非相溶な樹脂を添加すると、剥離層に多数の分散した粒子またはミクロドメインが形成され、ホログラム転写の際の剥離性が向上し、転写ムラを解消し、転写エッジ部分のキレも良好となる。
剥離層は、上記に説明したノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂、ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂、溶媒と、必要に応じて、その他、樹脂、ワックス類、界面活性剤などの添加剤を加えた塗工液を用意し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の公知の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で0.1〜2μm程度である。
剥離層に含有するノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂は、以下に示すような一般式(1)で表される構成単位を有する化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004012164
〔式中、A、B、CおよびDは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR1、−(CH2)nOCOR1、−(CH2)nOR1、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR32、−(CH2)nCOOZ、−(CH2)nOCOZ、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、またはBとCから構成された−OC−O−CO−、−OC−NR4−CO−、もしくは(多)環状アルキレン基を示す。ここでR1、R2、R3およびR4は、炭素数1〜20の炭化水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSiR5pF3−p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の炭化水素基)、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す〕
上記のようなポリノルボルネン骨格を有する樹脂は、その樹脂の構造から、非晶性ポリオレフィン樹脂であり、質量数平均分子量が50000〜300000の範囲であることが好ましく、具体例としては、日本合成ゴム(株)製のARTON G、ARTON F、ARTON I等を挙げることができる。
また、ノルボルネン骨格を有する樹脂と、そのノルボルネン骨格を有する樹脂と非相溶な樹脂を添加して混合させることができる。
(非相溶樹脂)前記ノルボルネン骨格を有する樹脂と非相溶な樹脂としては、ノルボルネン系付加型重合体に完全に溶解しない非相溶化合物であれば特に限定はされない。非相溶については、樹脂工業界の常法に従って判断される。例えば、ノルボルネン系樹脂100質量部に対し、化合物5質量部を溶融混合した組成物を、電子顕微鏡で10万倍に拡大観察し、10cm×15cmの範囲の中に1mm2以上のドメインまたは粒子を少なくとも1個所有するものを非相溶と定義することができる。
(非相溶化合物)非相溶な化合物としては、通常、ノルボルネン系付加型重合体以外のその他の樹脂が用いられる。ノルボルネン系樹脂と非相溶なその他の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、などのポリエーテルまたはポリチオエーテル;芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン等のポリエステル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−ペンテン−1等の鎖状ポリオレフィン系重合体;ポリメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレート共重合体、ポリアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)等の汎用の透明樹脂;アクリル樹脂;MS樹脂;液晶プラスチック等が挙げられる。
ノルボルネン構造を有する透明樹脂に非相溶の化合物を添加すると、多くの場合、それを塗布して形成された塗膜には多数の分散したミクロドメインまたは粒子が形成される。ミクロドメインを形成する場合には、電子顕微鏡で観察したドメインの平均粒径[(長径+短径)/2]は、通常5〜30μm、好ましくは10〜20μmの大きさである時に、膜の透明性と、転写シートを用いて被転写体へホログラムなどを熱転写する際の転写性が向上し、好適である。
そして、本発明における剥離層は、ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂が、剥離層の全固形分に対して、5〜30%の割合で含まれていることが好ましい。ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂の含有割合が上記範囲にある場合に、剥離層の耐熱性、透明性と、ホログラムの被転写体への熱転写時の転写性がバランス良く、発揮できる。
ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂の非晶性ポリオレフィンと非相溶な樹脂を添加することは、剥離時の箔切れ性を上げるためであり、剥離層の全固形分に対して、非相溶な樹脂が5%より少ない含有量であると箔が切れなく、また一方で、その含有量が30%を超えると、非相溶のためコーティング適性が悪くなるのと、熱によって基材変形に追従した反射層の亀裂が発生する。したがって、その非相溶な樹脂は、剥離層の全固形分に対して、5〜20%程度の割合で含有することが好ましい。
(剥離層への添加物)剥離層は、上記に説明したノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂、ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂又は化合物、必要に応じてワックス類や界面活性剤等の添加剤からなる。また、剥離層へ、電離放射線硬化(性)樹脂又はイソシアネート化合物を添加することが好ましく、剥離力の範囲内で、より狭く、安定した剥離力を得ることができる。
剥離層組成物(ノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂、又はノルボルネン構造からなる耐熱透明樹脂と非相溶な樹脂又は化合物からなり、添加剤を含まない主な成分)100質量部に対して、さらに電離放射線硬化樹脂を1〜10質量部、又はイソシアネート化合物を、剥離層主組成物に対して1〜20質量部を添加(所謂、アウト%として)することが好ましい。
(電離放射線硬化(性)樹脂)剥離層組成物へ添加する電離放射線硬化(性)樹脂としては、後述する電離放射線硬化(性)樹脂が適用でき、レリーフ形成層が賦型され硬化される時に、同時に硬化して電離放射線硬化樹脂となるものが適用できる。なお、該電離放射線硬化樹脂は、塗布時は未硬化の電離放射線硬化性樹脂であり、レリーフ賦型後は硬化した電離放射線硬化樹脂となるので、両方を含めて電離放射線硬化(性)樹脂と表記する。
該電離放射線硬化(性)樹脂の添加量としては、1〜10質量部であり、この範囲未満では剥離層中に分散した粒子又はミクロドメインが少なく、剥離力が小さく、保管中に転写部が脱落したり、割れ、転写エッジ部分のキレ、転写ムラが発生しやすい。この範囲を超えると剥離層中に分散した粒子又はミクロドメインが多過ぎて、転写時の剥離性が悪く、転写ムラや転写異常も発生しやすい。
(イソシアネート化合物)剥離層組成物へ添加するイソシアネート化合物としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなポリイソシアネートには、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物としては、例えば、には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
該ウレタン変性ポリイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、当量が30〜200のポリオールたとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの高官能ポリオール;およびこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。これらのうちで好ましいものは官能基数2〜3のものである。
変性ポリイソシアネートおよびプレポリマーの遊離イソシアネート基含量は、通常8〜33%、好ましくは10〜30%、とくに好ましくは12〜29%のものである。これらのうちで好ましいものはジイソシアネート類および粗製MDIであり、特に好ましいものはMDI、HDI、IPDI、およびHDIである。
該イソシアネート化合物の添加量としては、1〜20質量部であり、この範囲未満では剥離層中に分散した粒子又はミクロドメインが少なく、剥離力が小さく、保管中に転写部が脱落したり、割れ、転写エッジ部分のキレ、転写ムラが発生しやすい。この範囲を超えると剥離層中に分散した粒子又はミクロドメインが多過ぎて、転写時の剥離性が悪く、転写ムラや転写異常も発生しやすい。
剥離層へ、電離放射線硬化(性)樹脂又はイソシアネート化合物を添加すると、転写時の剥離力として、0.1〜0.2N/25.4mm幅の剥離力を容易に得られ、かつ、この範囲内の剥離力で、剥離力の最大値と最少値の差をも小さくすることができ、極めて、安定した転写作業に供することができる転写シートが得られる。
(レリーフ形成層)
本発明の転写シートにおけるレリーフ形成層4は、合成樹脂の層の片面に、回折格子やホログラムなどの微細凹凸が形成された層である。光回折構造の代表例であるホログラムとしては、平面ホログラムともに使用でき、具体例としては、レリーフホログラム、フルネルホログラム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、レーザー再生ホログラム(イメージホログラムなど)、白色光再生ホログラム(レインボーホログラム等)、カラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子等が挙げられる。
(電離放射線硬化(性)樹脂)レリーフ形成層を構成する電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂組成物(前駆体ともいう)は、UV硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。レリーフ形成層の厚さは0.1〜6μmの範囲が好ましく、0.1〜4μmの範囲が更に好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどを単独又は混合物として用い、必要に応じて光増感剤、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーnーブチルホスフィンなどを添加する。より具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン、ベンジルジメチルケタル、メチルベンゾフェノン誘導体、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどがある。これらの光重合開始剤は、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)から、[イルガキュア184]、[イルガキュア907]、[イルガキュア2959]などの商品名で入手できる。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、
また、光重合開始剤及び光増感剤の複数を用いることにより、硬化性組成物のUV波長に対する硬化応答性の幅が広がり、また、硬化性組成物の粘度調整の幅を広げることができる。光重合開始剤の添加量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
電離放射線硬化樹脂は、硬化性樹脂組成物(前駆体ともいう)が電離放射線で硬化したもので、該硬化性樹脂組成物へは、電離放射線で重合(硬化ともいう)反応する少なくとも1つの、官能基を有する硬化性成分を含有させれば良い。該硬化性成分としては、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が適用でき、1官能モノマー、2官能以上の多官能モノマー、官能オリゴマー、官能ポリマーなどがある。また、電離放射線で重合(硬化ともいう)する官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基である。
1官能モノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸‐2‐エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、メチルメタクリレート、2−ヘキシルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(DNPA)、フェノキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチルオキセタン、などの(メタ)アクリレート、又はそのアルキル若しくはアリールエステル、スチレン、メチルスチレン、スチレンアクリロニトリルなどが適用できる。
また、本明細書においては、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸もしくはメタクリル酸を意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレートもしくはメタクリレートを意味し、同様の表記はこれに準ずる。
2官能モノマーとしては、例えば、1,6‐ヘキサンジオールアクリレート(HDDA)、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(PEG400DA)、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート(HPNDA)、ビスフェノールAEO変成ジアクリレート、1,4‐ビス[(3‐エチル‐3‐オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどが適用できる。
多官能モノマーとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスルトール、エポキシ樹脂等の2官能以上の化合物に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させて得られる2官能以上の(メタ)アクリロイルモノマーなどが適用でき、例えば、トリメチロールプロパンアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(PEHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパンEO変成トリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレートなどが例示できる。
官能オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)としては、分子量(重量平均)が約300〜5000程度で、分子内中に(メタ)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性二重結合を有するポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系が適用でき、例えば、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)クリレート、ポリエーテル(メタ)クリレート、ポリオール(メタ)クリレート、メラミン(メタ)クリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル‐ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの(メタ)クリレート類、カチオン重合型エポキシ化合物があげられる。
官能ポリマーとしては、分子量(重量平均)が約1000〜30万程度で、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性二重結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル‐ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが適用できる。
以上に説明した硬化性のモノマー、および/またはオリゴマー、および/またはポリマーを、硬化性樹脂組成物へ含有させれば良い。これらの硬化性成分を、例えば、硬化性樹脂組成物の機能に影響しない成分を除いた量に対して、5重量%以上、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは、20〜80重量%含有させることによって、電離放射線硬化性が付与される。
また、硬化性樹脂組成物へ、少なくとも1種のモノマーを含ませたり、さらに、反応性希釈剤と呼ばれるモノマーを含ませても良い。該モノマーは、(メタ)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などを有する1官能反応性希釈剤である。ここで、反応性希釈剤は、トルエンなどの一般的な有機溶剤とは異なる。即ち、本明細書においては、溶剤とは反応性希釈剤を除外したものであり、後述するノンソルベント(無溶剤)とは、トルエンなどの一般的な有機溶剤などの溶剤を含有していないことを意味する。通常、硬化性樹脂組成物は粘度が高く、有機溶剤で粘度を下げるように調整しないと、塗布することができない。しかし、該モノマーを硬化性樹脂へ含有させると、硬化性樹脂組成物の粘度が下がり、溶剤を用いる必要がなくなり、ノンソルベント(無溶剤)で使用することができる。また、オリゴマーも、同様の効果がある。
さらに、モノマー、オリゴマーは重合反応の速度を向上させ、また、オリゴマー、ポリマーは、硬化後の架橋密度、凝集力などを調整することができる。このために、硬化性樹脂組成物へは、モノマー、および/またはオリゴマー、および/またはポリマーを用いることが好ましい。さらに、好ましくはそれらを併用して、適宜、配合比を変えて、用途や目的に合わせた硬化樹脂の性能とする。さらに、硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、重合禁止剤、老化防止剤などの添加剤を加えてもよい。該硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、滑剤、染料や顔料などの着色剤、増量やブロッキング防止などの体質顔料や樹脂などの充填剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を、適宜加えても良い。
(溶媒)本発明では、レリーフ形成層4を、上記剥離層3面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒として、上記剥離層3の材料を溶解しない溶媒を用いるが、この説明は、製造方法の説明の項で詳細に説明する。
(レリーフ)上記の樹脂からなる層へのレリーフの形成は、上記の材料を用いて、従来既知の方法によって形成することができる。例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様が賦型され、複製することができる。
凹凸模様の賦型中又は賦型した後に、レリーフ形成層が電離放射線硬化性樹脂の場合には、電離放射線を照射して硬化させて、電離放射線硬化樹脂として、レリーフが固定され、熱や外力によって容易に戻ることがなくなる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、電子線(EB)、ガンマー線、X線、紫外線(UV)、又は可視光線などが適用できるが、EB又はUV(これらを合わせて活性エネルギー線ともいう)が好ましく、取扱い性やコスト面からUVがより好ましい。
EBの照射装置としては、電子線加速器により電子線を発生させる装置で、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などを用いて、エクレトロンカーテン方式、ビームスキャニング方式などで、電子線を照射する。好ましくは、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロカーテン」(商品名)である。電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を、0.5〜20Mrad程度の照射量で照射する。
UV硬化に用いるUV照射装置(UVランプともいう)としては、化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ等が使用される。UVの照射量としては、200〜600nmの波長の積算エネルギーが0.01〜10J/cm2となる程度とすることが好ましい。また、UVの照射雰囲気としては、空気中でもよいし、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でもよい。
紫外線の波長は200〜400nm程度で、接着剤組成物に応じて波長を選択すれば良い。その照射量は、組成物の材質や量と、UVランプの出力と、加工速度に応じて照射すれば良い。
(反射層)転写シートの反射層5として、光を反射する金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある場合は透明タイプとなるが、いずれも本発明に使用できる。反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。
不透明タイプのホログラムを形成する反射層としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜である。上記反射層の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
透明タイプのホログラムを形成する反射層は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材料のものも使用できる。例えば、レリーフ形成層の樹脂と屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率はレリーフ形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜がある。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、Cu−Al複合金属酸化物等が挙げられる。
(接着層)接着層6は、ホログラムを被転写体と強固に接着させるためのものであり、その材質は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等の従来の接着剤として既知のものが広く使用でき、またその膜厚は0.1〜50μm、望ましくは1〜10μmであることが好ましい。但し、被転写体表面に接着層を設けてあるか、又は接着性を有した材質であれば、接着層を設けることは必要が無い。
(耐熱滑性層)本発明の転写シート1では、必要に応じて、基材の裏面、すなわち剥離層、レリーフ形成層、反射層の設けてある面と反対面に、ホログラム部分を被転写体へ転写する手段としてのサーマルヘッドやヒートロール等の熱によるスティッキングやシワ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層9を設けることができる。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加、あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用インキを調製し、これを、上記の基材の裏面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
(中間転写記録媒体)次に、転写シート1の反射層の面側に染料受容層8を設けた中間転写記録媒体7について、詳細に説明する。本発明の中間転写記録媒体7は、図2に示すように、上記に説明した転写シートの反射層の上に、染料受容層8を形成したものである。尚、染料受容層自体が接着性を有していれば、反射層上に直接、染料受容層を設けられるが、通常は上記に説明した接着層6を、反射層と染料受容層との間に形成して両者の接着性を向上させる。
(染料受容層)染料受容層8は、中間転写記録媒体7を構成する転写部の一部として、転写シートの最表面に位置するように設けられる。この受容層上には、熱転写によって、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって画像が形成される。そして、画像が形成された中間転写記録媒体の転写部は、被転写体に転写され、その結果、印画物が形成される。このため、受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネイト等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
染料受容層が接着層を介して被転写体に転写される場合には、染料受容層自体の接着性は必ずしも要求されないが、染料受容層が接着層を介さないで被転写体に転写される場合、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの加熱により接着性を有する樹脂材料を用いて染料受容層を形成することが好ましい。染料受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料及び必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて染料受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10μm程度である。
上記の実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的範囲と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造方法)本発明の転写シートの製造方法は、(a)前記基材の一方の面へ剥離層を形成する工程と、(b)該剥離層面へ電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層を形成する工程と、(c)該レリーフ形成層面へレリーフを賦型する工程と、(d)該賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させる工程と、(e)該硬化したレリーフ形成層面へ反射層を形成する工程と、からなり、前記レリーフ形成層を前記剥離層面へ形成する工程にいて、塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒として、前記剥離層の材料を溶解しない溶媒を用いる。
本発明の転写シートの製造方法中、(a)(c)(d)(e)工程は、材料説明中で説明したので割愛し、(b)該剥離層面へ電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層を形成する工程、について、説明する。
剥離層面へレリーフ形成層を形成する際は、レリーフ形成層組成物を溶媒に分散又は溶解として、塗布液(インク)として、塗布し乾燥して形成する。該塗布液(インク)が、塗布された瞬間、レリーフ形成層の組成物及び溶媒が剥離層へ接触する。この際に、レリーフ形成層の溶媒が剥離層を溶解する溶剤(例えば、トルエン)を用いた場合には、この溶媒(例えば、トルエン)によって、極めて薄い剥離層が膨潤又は1部が分散又は溶解するのためか、明確ではないが、分子的な隙間ができるようである。該隙間へ、電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層の一部が剥離層に浸入、相溶又は侵食してしまう。レリーフを賦型後に、電離放射線にて電離放射線硬化性のレリーフ形成層を硬化する際に、基材と剥離層の界面でも反応が起こってしまい、剥離力が変動する。
(溶媒)これを解消するために、レリーフ形成層を形成する際の、塗布液の溶媒として、剥離層の材料を膨潤、分散又は溶解しない溶剤を用いて、剥離変動を抑制できることを見出した。該膨潤、分散又は溶解しない溶剤とは、塗布から乾燥の間に、膨潤、分散又は溶解しなければよく、加温や時間によって多少の膨潤、分散又は溶解するものも含める。該多少の膨潤、分散又は溶解するものでも、通常、塗布から乾燥までの時間が短いので、機能を果たせる場合が多い。
このようにすることで、転写時の剥離力は、0.1〜0.2N/25.4mm幅を確保できて、安定した剥離性能を有し、かつ、転写シートの製造時にも、安定性が高く、ロット毎の安定性も優れる転写シート、その製造方法、及び中間転写記録媒体が得られる。該剥離力がこの範囲未満では転写シートの保管や、転写作業の途中などの転写する以前に、基材から脱落したり、転写できても亀裂が入りやすい。この範囲を超えると転写時に、バリや欠けが発生したり、転写不能となったりする。
(変形形態)本発明は、次のように変形して実施することを含むものである。
(1)レリーフ構造として、シボ模様、梨地、ヘアーライン、モスアイなどの凹凸や、反射防止などを発現する凹凸模様に構成してもよい。
(2)レリーフ形成層にホログラムや回折格子などの凹凸模様を賦型しないようにして構成してもよく、レリーフ構造がなく、例えば、保護層としても同様の機能が得られる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
厚さ25μmのPETフィルム(東レ(株)製、ルミラー)を基材とし、その一方の面に、剥離層、レリーフ形成層、反射層、及び接着層を順次、以下の条件にて積層させて、実施例1の転写シートを得た。
剥離層は、下記組成の塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して形成した。
(剥離層塗工液)
・ノルボルネン系樹脂(日本合成ゴム(株)製、アートンG) 80部
・アクリルポリオール樹脂 20部
・ポリエチレンWAX 5部
・紫外線硬化剤 5部
・溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 100部
上記の形成した剥離層上に、下記組成の塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時2.0μmの厚さになるように塗布、乾燥してレリーフ形成層を形成し、ホログラムパターンが形成されたニッケル製プレス版と上記レリーフ形成層とを合わせて、加熱押圧することにより、レリーフ形成層に凹凸を形成し、UV露光によりレリーフ形成層を硬化し、レリーフホログラムを形成した。
(レリーフ形成層塗工液)
・アクリル樹脂 60部
・ウレタンアクリレートオリゴマー 40部
・シリコーン 0.5部
・光重合開始剤 5部
・溶媒(イソプロピルアルコール:メチルエチルケトン=1:1) 100部
また、上記の形成したレリーフ形成層の上に、TiO2をスパッタリング法により、厚さ500Åの反射層を形成した。該反射層の上に、下記組成の塗工液によりグラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。
(接着層塗工液)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
・アクリル樹脂 10部
・酢酸エチル 20部
・トルエン 50部
剥離層塗工液を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(剥離層塗工液)
・ノルボルネン系樹脂(日本合成ゴム(株)製、アートンG) 80部
・アクリルポリオール樹脂 20部
・ポリエチレンワックス 5部
・イソシアネート(三井武田ケミカル社製、タケネートD−110N) 5部
・溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 100部
剥離層塗工液を「表1」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
剥離層塗工液を「表1」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
剥離層塗工液を「表1」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(参考実施例1)
剥離層塗工液を「表1」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(参考実施例2)
剥離層塗工液を「表2」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(参考実施例3)
剥離層塗工液を「表2」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(参考実施例4)
剥離層塗工液を「表2」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(参考実施例5)
剥離層塗工液を「表2」に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(比較例1)
剥離層塗工液を「表2」に示す組成に、レリーフ形成層を下記の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして転写シートを得た。
(レリーフ形成層塗工液)
・アクリル樹脂 60部
・ウレタンアクリレートオリゴマー 40部
・シリコーン 0.5部
・光重合開始剤 5部
・溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 100部
Figure 0004012164
Figure 0004012164
(評価試験)評価は、実施例1〜5と参考実施例1〜5と比較例1の各転写シートの接着層と、被転写体である塩化ビニル製カードを接触するように重ね合わせ、ヒートローラーにより加熱、押圧して、塩化ビニル製カードにホログラムを転写した。
但し、ヒートローラーの表面温度は175℃、ローラーの送り速度は25.4mm/secである。また、塩化ビニル製カードは以下に示す材料組成からなるものである。
<塩化ビニル製カードの材料組成>
・ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部
(安定化剤等の添加剤を約10%含有)
・白色顔料(酸化チタン) 10部
・可塑剤(DOP) 0.5部
(評価方法)上記の塩化ビニル製カードの転写された、転写層面の転写性、箔切れ性を肉眼で観察した。転写性は転写ムラ(バリ、欠け)のないものを合格とし「○印」で、若干転写ムラがあるものの、実用上支障のないものも合格とし「△印」で、また、著しい転写ムラがあるものを不合格とし「×印」で示した。箔切れ性は転写後剥離した際の尾引きのないものを合格とし「○印」で、若干尾引きがあるものの、実用上支障のないものも合格とし「△印」で、また、著しい尾引きがあるものを不合格とし「×印」で示した。
なお、剥離力は、JIS−Z0237に準拠し、測定機としてテンシロン(東洋ボールドウィン社製、引張り試験機商品名)を用いて、ロードセル100kPa(1kgf)、ロードセル速度100mm/min、試料幅25.4mm、剥離角度180°にて、転写シートの基材と転写層(剥離層/レリーフ形成層/反射層)との間の剥離力を測定した。
(評価結果)
実施例1〜5の転写シートを用いてホログラム転写された塩化ビニル製カードにおいて、反射層の亀裂やムラの発生なく、箔切れも良好でホログラム効果を有するカードが得られ、問題ないものであった。そのときの剥離力の値は0.1〜0.2N/25.4mmであった。
参考実施例1〜3は、箔切れが若干悪かったが、実用上は支障がなかった。
参考実施例4〜5は、転写性若干悪く、箔抜けが発生したが、実用上は支障がなかった。
比較例1は、レリーフ形成層を塗工時に剥離層が可溶のトルエンを用いているために、レリーフ形成層中の電離放射線硬化剤が剥離層に侵食し、剥離力が大きくなってしまっているので、転写できなかった。
本発明の転写シートである一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の中間転写記録媒体である一つの実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1:転写シート
2:基材
3:剥離層
4:レリーフ形成層
5:反射層
6:接着層
7:中間転写記録媒体
8:染料受容層
9:耐熱滑性層

Claims (7)

  1. 基材の一方の面へ、少なくとも剥離層、レリーフ形成層、及び反射層が順次積層されている転写シートの製造方法において、(a)前記基材の一方の面へ剥離層を形成する工程と、(b)該剥離層面へレリーフ形成層を形成する工程と、(c)該レリーフ形成層面へレリーフを賦型する工程と、(d)該賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させる工程と、(e)該硬化したレリーフ形成層面へ反射層を形成する工程と、からなり、前記レリーフ形成層が電離放射線硬化樹脂で、かつ該レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒として、前記剥離層の材料を溶解しない溶媒を用い、かつ前記剥離層形成用の塗工液は、ノルボルネン構造からなる透明樹脂と、上記レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒へ溶解しない非相溶性樹脂を含有し、かつ、前記剥離層における前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂と非相溶性樹脂を合わせた組成物(剥離層組成物)を100質量%として、それらの含有割合が前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂70〜95質量%と前記非相溶性樹脂5〜30質量%と、からなり、かつ前記剥離層へ、さらに、電離放射線硬化樹脂を剥離層組成物に対して1〜10質量%、又はイソシアネート化合物を剥離層組成物に対して1〜20質量%を、添加してなることを特徴とする転写シートの製造方法。
  2. 基材の一方の面へ、少なくとも剥離層、レリーフ形成層、及び反射層が順次積層されている転写シートにおいて、該剥離層がノルボルネン構造からなる透明樹脂と、上記レリーフ形成層を前記剥離層面へ塗布法で形成する際に使用するレリーフ形成層塗布組成物の溶媒へ溶解しない非相溶性樹脂とからなり、かつ、前記剥離層における前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂と非相溶性樹脂を合わせた組成物(剥離層組成物)を100質量%として、それらの含有割合が前記ノルボルネン構造からなる透明樹脂70〜95質量%と前記非相溶性樹脂5〜30質量%と、からなり、かつ前記剥離層へ、さらに、電離放射線硬化樹脂を剥離層組成物に対して1〜10質量%、又はイソシアネート化合物を剥離層組成物に対して1〜20質量%を、添加してなることを特徴とする転写シート。
  3. 請求項2に記載の転写シートにおいて、基材へ剥離層を形成し、該剥離層へ未硬化の電離放射線硬化性樹脂からなるレリーフ形成層を形成し、該レリーフ形成層面へレリーフを賦型中又は賦型した後に、電離放射線を照射して硬化させたレリーフ形成層を、基材から180°剥離する際の剥離力が0.1〜0.2N/25.4mm幅であることを特徴とする転写シート。
  4. 上記レリーフ形成層のレリーフが、レリーフホログラム及び/又は回折格子であることを特徴とする請求項2または3に記載の転写シート。
  5. 基材の剥離層と反対面に、耐熱滑性層を設けることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の転写シート。
  6. 上記反射層の面に、接着層を設けることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の転写シート。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の転写シートの、上記反射層又は接着層の面に、染料受容層を設けることを特徴とする中間転写記録媒体。
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