JP2006309205A - 着色層転写材及びそれを用いた画像形成物 - Google Patents

着色層転写材及びそれを用いた画像形成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
製造が容易で低コストで、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現させることで、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い金属光沢色が得られ、該着色の使用又は保存中の経時による色変化が少ない着色層転写材及びそれを用いた画像形成物を提供する。
【解決手段】
基材と少なくともレリーフ形成層及び反射層の転写層からなり、前記レリーフ形成層が顔料で着色され、該顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散されてなり、好ましくは上記レリーフ形成層が少なくとも電離放射線硬化樹脂、顔料、及び分散剤からなり、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、着色層熱転写材に関し、さらに詳しくは、製造が容易で低コストで、着色された意匠や光学的な効果が得られ、該着色の使用又は保存中の経時による色変化が少ない着色層熱転写材及びそれを用いた画像形成物に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
(主なる用途)本発明の着色層転写材を用いて、被転写体へ転写した本発明の着色層熱転写材を用いた画像形成物の主なる用途としては、例えば、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書の証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、書籍、雑誌、カレンダー、ポスター、パンフレット、プリントクラブ(登録商標)、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力などがある。更には、写真プリントシート(プリントクラブ(登録商標、通称プリクラ))の装飾などアミューズメント分野での意匠的な装飾が挙げられる。しかしながら、着色された特異な意匠性、及び/又はセキュリティ性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、ホログラム、回折格子などのレリーフ形状を有する転写箔は、特異な装飾像や立体像を表現できる意匠性と、これらホログラムや回折格子は高度な製造技術を要し、容易に製造できないことから、偽造防止としてセキュリティー性の向上に利用されている。
さらなる意匠性とセキュリティ性を向上するために、着色化がされているが、先行技術で述べるように、製造性がよく低コストで、色調の保存性がよく、優れたホログラムや回折格子などの光回折効果を兼ね備えた着色層転写材はなかった。
従って、着色層転写材は、製造が容易で低コストで、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現させることで、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い金属光沢色が得られ、使用中又は保存中の経時による色変化が少ないことが求められている。
(先行技術)従来、被転写体上へ転写でき、着色金属光沢色が得られる転写箔としては、着色層と金属層(反射層)とを有し、感覚的に例えば金色に見せるものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、ホログラムや回折格子などの光回折効果を発現させる微細な凹凸レリーフ構造がないので、特有な意匠や光学的な効果が得られないという問題点がある。
また、着色ホログラム効果を有するものとしては、微細な凹凸レリーフ構造と、反射層自身が固有な着色を有する金属を用いることで、着色ホログラムとするものが知られている(例えば、特許文献4〜5参照。)。しかしながら、これらはいずれも固有の色を持つ金属合金を用いるもので、該金属合金の所望の配合比を安定して連続蒸着することは極めて困難であり、また、蒸着の際に所定の金属合金材料に交換することは多大な時間を要し、コンタミネーション(前後に使用する材料との汚染)の恐れもあり、コスト的に極めて不利であるという欠点がある。
さらに、本出願人も、着色ホログラムとしては、微細な凹凸レリーフ構造と反射層よりなり、反射層より観察側に着色した層を追加して設ける構成を開示している(例えば、特許文献6〜7参照。)。しかしながら、実際は、剥離層、樹脂層(保護層、中間層、アンカー層などとも呼称されている)、レリーフ構造を有するレリーフ形成層などの複数層とし、該複数層の少なくとも1層を着色するが、(1)該複数層は該層組成物(インキ)を順次塗布するが、塗布時に既存層の1部分を再溶解させて色の変化し、かつ連続生産できないので生産性が悪い、(2)また、例え複数層が塗布できたとしても、着色の染料などが層間を移行して、変色してしまう、(3)これを防止するために、接する層を再溶解しにくい溶媒系のインキを用いればよいが、層構成が増加し、コスト的にも不利となるという問題点がある。
特開昭63−30288号公報 特開昭63−230389号公報 特開平09−11638号公報 特開平09−160475号公報 特開平08−328456号公報 特開昭61−238079号公報 特開昭62−17784号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、レリーフ形成層が、微分散された顔料で、好ましくは黄色乃至オレンジ色に着色することで、製造が容易で低コストで、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現させることで、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い金属光沢色が得られ、該着色が使用中又は保存中の経時による色変化が少ない着色層転写材及びそれを用いた画像形成物を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる着色層転写材は、基材と、該基材の一方の面に、転写層が設けられた転写材において、前記転写層が少なくとも光回折効果を発現するレリーフを有するレリーフ形成層と反射層からなり、前記レリーフ形成層が顔料で着色され、該顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散されてなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる着色層転写材は、上記レリーフ形成層が、少なくとも電離放射線硬化樹脂、顔料、及び分散剤からなり、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる着色層転写材は、上記レリーフ形成層が黄色顔料、又は黄色顔料と赤色顔料を含むように、したものである。
請求項4の発明に関わる着色層転写材は、上記レリーフ形成層が、(1)下記の一般式(a)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする電離放射線硬化性樹脂を用いるように、したものである。
Figure 2006309205
(ここで、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜20個の炭化水素基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わし、Zはウレタン変性アクリル樹脂を改質するための基を表し、好ましくは嵩高い環状構造の基を表わす。)
請求項5の発明に係わる着色層転写材は、上記レリーフ形成層がウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化樹脂であるように、したものである。
請求項6の発明に係わる着色層転写材は、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるように、したものである。
請求項7の発明に係わる画像形成物は、請求項1〜6のいずれか一つの着色層転写材を用いて、被転写体上に転写層を転写してなる、着色された光回折効果を有するように、したものである。
請求項8の発明に係わる組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載の着色層転写材のレリーフ形成層に用いる組成物であって、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150であり、該顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散されてなるように、したものである。
請求項1の本発明によれば、製造が容易で低コストで、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果を発現させることで、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い金属光沢色が得られ、該着色が使用中又は保存中の経時による色変化が少ない着色層転写材が提供される。
請求項2の本発明によれば、顔料が微粒子状態で分散され、透明性が高く、本物の金に極めて近い金属光沢色が得られる着色層転写材が提供される。
請求項3の本発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、視覚的に金色に極めて近い転写層を有する着色層転写材が提供される。
請求項4〜6の本発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、レリーフが賦型し易く、熱などでレリーフが劣化しにくい着色層転写材が提供される。
請求項7の本発明によれば、好ましくは金色に着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現されて、その特有な意匠や光学的な効果が得られ、該着色が保存中の経時による色変化が少なく、さらに該レリーフ形成層へ熱転写型インクリボンで画像を印画された画像形成物が提供される。
請求項8の本発明によれば、請求項1〜4の効果が得られる着色層転写材のレリーフ形成層を形成するための、顔料が微粒子状態で分散され、透明性が高い組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す着色層転写材の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す着色層転写材の断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示す画像形成物の断面図である。
(着色層転写材)本発明の着色層転写材10は、図1に示すように、基材11と、該基材11の一方の面に、少なくともレリーフ形成層15、反射層17、及び接着層19からなる転写層21が順次設けられ、前記レリーフ形成層が顔料で着色され、かつ光回折効果を有するレリーフ形状を有し、前記反射層が光反射性金属薄膜である。
また、図2(A)に示すように、転写時に安定した剥離力とするために、基材11とレリーフ形成層15との間へ、剥離層13を設けることが好ましい。
さらに必要に応じて、図2(B)に示すように基材11の他方の面に耐熱保護層を設けたり、基材11と剥離層13の層間へ離型層、反射層17と接着層19の層間に樹脂層及び/又はアンカー層などを設けてもよい。
(画像形成物)本発明の着色層転写材10を用いて被転写体100へ転写すると、レリーフ形成層15/反射層17/接着層19からなる転写層21が被転写体100へ移行し、図3に示すような画像形成物となる。
さらに、転写層21は全面でもパターン状でもよく、図3(A)は被転写体100の全面へ転写層21を設けた場合、図3(B)は被転写体100へ転写層21を任意の図形や文字等をパターン状に設けた場合である。
(着色層転写材の基材)基材11としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト・ポリブチレンテレフタレ−ト・ポリエチレンナフタレ−ト・ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体・テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体・ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、セルロース系フィルムなどが適用でき、耐熱性、機械的強度がよいポリエチレンテレフタレートが最適である。
該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材の厚さは、通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜12μmが好適で、4〜6μmが最適である。これ以上の厚さでは、サーマルヘッドの熱の伝達が悪く、これ以下では、機械的強度が不足する。該基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート状として使用する。
(剥離層)転写する際の転写性を安定させるために、基材11とレリーフ形成層15との間へ剥離層13を設けることが好ましい。該剥離層13としては、環状オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂や、ポリメチル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル変性ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
また、剥離層13として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合、特に基材が薄い場合には、電離放射線硬化性樹脂だけでは転写時の箔切れ性が悪くなるので、熱可塑性樹脂を添加することで、バリの発生や、欠けることなく、精度よく転写することができる。この場合には、電離放射線硬化性樹脂中へ所定量の熱可塑性樹脂を混合した後に、レリーフ形成層15とともに電離放射線で硬化することが好ましい。即ち、剥離層13中の、電離放射線硬化樹脂と熱可塑性樹脂との含有比率、及び、電離放射線硬化樹脂と熱可塑性樹脂の材料を選択することにより、着色層転写材10の輸送、取扱い時の振動や衝撃でレリーフ形成層が脱落せず、転写時には容易に基材から剥離して転写することができる。
電離放射線硬化樹脂と熱可塑性樹脂との含有比率は、離型層組成物中の含有率で電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%が好ましい。また、剥離層13に用いる電離放射線硬化性樹脂は、後述するレリーフ形成層15の電離放射線硬化性樹脂と実質的に同じであればよい。ここで実質的とは、基本骨格や反応機構が同じであればよく、置換基や鎖長が異なってもよい。さらに、含有率の計算では、電離放射線硬化性樹脂に添加されて反応する反応性モノマー、離型剤等は電離放射線硬化性樹脂量に含めるものとし、以下同様とする。
なお、本明細書では、電離放射線硬化性樹脂とは電離放射線を照射しない硬化する前の前駆体であり、電離放射線を照射して硬化したものを電離放射線硬化樹脂と呼ぶ。
(剥離層の形成)剥離層13は、必要に応じて、基材11の一方の面へ設ける。前述した材料に、必要に応じて、各種添加剤を加えて、有機溶媒へ溶解又は分散させて、剥離層13組成物(インキ)とする。有機溶媒としては、樹脂を溶解する有機溶剤であれば何れでもよいが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好ましく使用される。
該剥離層13組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、などが適用できる。この剥離層13の厚さは、通常は0.1〜10μm程度、好ましくは0.2〜5μmである。
なお、剥離層13は、転写後、通常被転写体側へ移行するが、剥離層13の一部が基材11側へ残る場合もあり、この場合も機能的には影響がないので、本発明の範囲内である。また、剥離を更に安定化させるために、基材11と剥離層13の間に離型層を設けても良い。
(レリーフ形成層)レリーフ形成層15は、樹脂好ましくは電離放射線硬化性樹脂、顔料、分散剤、及び必要に応じて各種の添加剤からなり、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150とする。このようにすることで、レリーフ形成層15に含まれる顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散でき、光線透過率が高く、明るい光沢が得られる。該レリーフ形成層15は反射層17と相まって、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現され、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い金属光沢色が得られる。
レリーフ形成層15の樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタアクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、そして、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の電離放射線硬化性樹脂、不飽和エチレン系モノマーと不飽和エチレン系オリゴマーを適宜混合したものに光重合開始剤、光増感剤を添加した組成物等の紫外線硬化性樹脂を硬化させたもの、或いは、上記熱可塑性樹脂と電離放射線硬化性樹脂の混合物やラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質が使用可能である。特に耐薬品性、耐光性及び耐候性等の耐久性に優れた紫外線や電子線などの電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化樹脂としては、特に、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等の電離放射線硬化性樹脂を硬化させたものが適用でき、具体的には、次の2種が最も好ましい。
(電離放射線硬化性樹脂組成物S)レリーフ形成層15の好ましい1つとしては、一般式(a)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。具体的には、本出願人が特開2000−273129号公報で開示している光硬化性樹脂組成物などが適用でき、前記明細書に記載の光硬化性樹脂組成物Aを本明細書の実施例でも使用し、「電離放射線硬化性樹脂組成物S」と表記している。
一般式(a)で、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜20個の炭化水素基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わし、Zはウレタン変性アクリル樹脂を改質するための基を表し、好ましくは嵩高い環状構造の基を表わす。
一般式(a)で表わされるウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モル、Zとしてイソボルニルメタクリレート0〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
従って、上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
以上の如く、水酸基含有アクリル系樹脂中に存在している水酸基を利用して、分子中に多数のメタクリロイル基を導入したウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする樹脂組成物によって、例えば、回析格子等を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用でき、しかも高架橋密度でありながら柔軟性および耐熱性等に優れた回析格子等を形成することができる。
該ウレタン変性アクリル系樹脂の全体の分子量としては、GPCで測定した標準ポリスチレン換算の平均分子量が1万〜20万、更に2万〜4万であることがより好ましい。
更に、硬化後の電離放射線硬化樹脂層の柔軟性、粘度を調整するために、本発明の電離放射線硬化性樹脂には、通常の熱可塑性樹脂や、アクリル系およびその他の単官能または多官能のモノマー、オリゴマー等を包含させることができる。
官能基数は、特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、1部に傷が入ったり、凹凸レリーフ(凹凸)面が白濁する、また、20以上では柔軟性が低下する傾向があるため、特に3〜20官能のものが好ましい。
上記モノマー或いはオリゴマーは、複数を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、上記ウレタン変性アクリル系樹脂100質量部当たり、5〜90質量部の範囲、好ましくは10〜70質量部の割合で使用する。モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲未満では、得られる電離放射線硬化樹脂層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材11に対する密着性が十分とはいえず、一方、モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲を超えると表面のタックが高くなり、ブロッキングを引き起こしたり、レリーフホログラムや回折格子等の凹凸レリーフ複製時に版(プレススタンパー)に材料の一部が残って(当業者が版取られと呼ぶ現象)、反復した凹凸レリーフ複製性(エンボス性)が低下する等の点で好ましくない。
さらに、該電離放射線硬化性樹脂組成物の表面へ微細な凹凸(レリーフ)を形成(複製)する際には、凹凸レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着して、該凹凸レリーフを形成(複製)する。この時に、スタンパがレリーフ形成層15から容易に引き剥がせるように、予めレリーフ形成層15へ離型剤を含有させてもよい。
(離型剤)該離型剤としては、公知の離型剤が適用でき、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等であり、特に好ましくは、離型剤は変性シリコーンである。具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと称されている)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等がある。
(電離放射線硬化性樹脂組成物M)レリーフ形成層15の好ましい他の1つとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物である。具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂が適用でき、本明細書の実施例では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と表記している。
さらに好ましくは、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、及び(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物である。また、電離放射線硬化性樹脂として、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと他の樹脂との混合物を用いることができ、アクリル樹脂との混合物が最適である。
また、電離放射線で硬化させる以前の塗布状態ではべとつかず、レリーフ構造を容易に賦型した後に、電離放射線で硬化できるものが好ましい。したがって、軟化点が40℃以上の樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
さらに、レリーフ形成層15を構成する電離放射線硬化樹脂の耐熱性としては、適度なガラス転移温度(Tg)を有し、好ましくは120〜300℃である。この範囲を越える過度の耐熱性では、層が硬くて賦型性が低下し、また、この範囲未満の低い耐熱性では、折角賦型したレリーフ構造が、転写時の熱などで変形し劣化して、性能が低下する。
(光重合開始剤)電離放射線硬化性樹脂組成物に添加する光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類などが適用できる。また、必要に応じて、光増感剤、光重合促進剤を添加する。該光増感剤、光重合促進剤としては、公知の光増感剤でよく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル;ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセンおよびヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーnーブチルホスフィンなどがある。このような光重合開始剤、及び光増感剤の含有量は、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100質量部当たり約0.5〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、上記の各成分に加えて、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン等:銅類等の重合防止剤を配合すると貯蔵安定性が向上する。更に、必要に応じて、促進剤、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤等の各種助剤を配合してもよい。また、シリコーン、スチレン−ブタジエンラバー等の高分子体を配合してもよい。
(着色剤)通常、着色材としては、染料又は顔料が使用され、特に染料は顔料と比較して極めて分散性が良く、いわば分子レベルで分散しているので、透明性などの光学的性能は顔料に比べ優れている。しかしながら、反面、分子レベルで分散しているので、樹脂を硬化させる際に紫外線(UV)を照射した場合、該UVの吸収効率、さらにはUV照射によって発生したフリーラジカルを捕捉する確率が顔料に比べ大きく、結果として樹脂のUV硬化を阻害する効果が極めて大きい。UV硬化が不十分だと、樹脂の耐熱性が悪く、熱転写時にホログラムなどの凹凸パターン(レリ−フ)が形成している層にクラックが発生したりして、ホログラムの画質が著しく劣化する。そのため、本発明では、染料を使用せずあえて顔料のみを使用する。
レリーフ形成層15は顔料で着色され、該着色は黄色乃至赤色、オレンジ色が好ましく、光反射性の金属薄膜と組合わせることで、所謂金色に近い視覚が得られる。
顔料の材料としては特に限定されず、また、複数顔料を混合して調色してもよく、
例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド207などのキナクリドン系、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61などのイソインドリノン系、C.I.ピグメントイエロー139などのイソリンドリン系、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177などのスレン系、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド178などのペレリン系、C.I.ピグメントオレンジ43などのペリノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系、ピグメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド、赤色)などのジケトピロロピロール系、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントオレンジ68、ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色)などの金属錯体顔料、などが適用できる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族系多価カルボン酸塩、ポリエーテルポリエステルカルボン酸塩、高分子ポリエステルポリアミン塩、高分子量カルボン酸長鎖アミン塩などのアニオン系分散剤、脂肪族のアイミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリアミノアマイド及びその塩、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩などのカチオン系分散剤、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量ポリアステル酸塩などの電気的中性系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンエステルなどの非イオン系分散剤、親油基にフッ化炭素を有するなどのフッ素系分散剤、高分子分散剤などが適用できる。
好ましくは、高分子系分散剤で、Disperbyk160シリーズ(BYK Chemie社製)、ディスパロン#703(楠本化成社製)、ソルスパーズ5000、22000、24000、32000、33000、33500(日本エヌエスシー社製)などが例示できる。
(レリーフ形成層の組成)レリーフ形成層15は、少なくとも電離放射線性硬化樹脂、顔料、及び分散剤からなり、電離放射線硬化樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150とする。通常、分散剤の質量基準の配合量は、顔料100に対して0.01〜10程度であるが、本発明では顔料100に対して30〜150程度、好ましくは90〜150とする。分散剤の割合がこの範囲未満では分散性が悪く、この範囲を超えると、後述するレリーフ形成層15を紫外線照射で硬化させる際に紫外線の透過が減少して硬化が阻害され、かつ、転写後の観察時にも光線透過率が低下し、光沢の明るさが減ずる。
(組成物)レリーフ形成層15を設けるには、まず、前述した材料、例えば、ウレタン変性アクリル系樹脂の電離放射線硬化性樹脂に、顔料、分散剤を加えて、さらに必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、離型剤、有機金属カップリング剤、光開始剤などの各種添加剤、有機溶媒へ溶解又は分散させて、レリーフ形成層15組成物(塗工液、インキともいう)とする。
該組成物は、少なくとも電離放射線硬化性樹脂、顔料、分散剤、及び溶媒からなり、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150とし、溶媒は塗工時の適性に合わせて適宜加減してもよい。ここでは、該顔料を平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散することが重要である。ここで平均粒径および最大粒径は、日機装(株)製,MICROTRAC UPAを用い、動的光散乱法によりメチルエチルケトンを溶媒として測定した体積分布からの値であり、平均粒径は累積50%値を平均粒径とした。
(着色剤の分散)該顔料の粒子径は2次粒子も含めたもので、実際にレリーフ形成層15に分散されている粒子であり、レリーフ形成層15に含まれる顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散できる。該顔料の粒径が大きいと、塗工面質が劣化し、ホログラムパターンなどのレリーフを熱エンボスして賦型する際に、レリーフパターンの賦型精度が劣化する。そのため、顔料はできるだけ小さい粒径にすることが望ましいが、粒径が0.2μm以下であれば、熱エンボス時のレリーフの賦型精度が劣化しないことを見出した。
(インキ化)組成物(インキ)の製造は、従来公知の顔料分散 液の調製手順において調製できる。すなわち、電離放射線硬化性樹脂、顔料、分散剤、溶剤及び必要に応じてその他の成分を、任意の順序で有機溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって組成物を調製することができる。また顔料分散時に、より分散が容易な材料比率にて分散し、分散後その他の材料を攪拌、混合し組成物を得ることも可能である。電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150、即ち、分散剤の割合を30〜150と多量に含ませることで平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散できる。
該レリーフ形成層15組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法又は印刷法としては、剥離層13の形成と同様な方法が適用できる。このレリーフ形成層15の厚さは、通常は0.1〜10μm程度、好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μmである。
着色層(本発明では、レリーフ形成層15)は、基材11へ塗布するレリーフ賦形工程前の最後の層とし、該着色層にレリーフを賦型し、該賦型面へ反射層17を設ける。着色層を基材11面側に設け、例えば剥離層13に顔料を添加すると、該剥離層13へさらに2層目の塗工、すなわち、レリーフ形成層15の塗工時に、該層の塗工液(インキ)の溶媒などによって、着色された剥離層13が再溶解して、剥離層13に添加した顔料が層間、又は次の層へ溶出したり移行したりして、着色の状態が乱れて、変色、ムラ、斑点などの欠陥を生ずる恐れがある。このために、顔料はレリーフ形成層15へ添加することとした。しかも、基材11へ塗工液を用いて塗布する賦形工程前の最後の層とすることで、着色材が使用中又は保存中の経時による色変化も少なくすることができる。
(レリーフの賦形)該レリーフ形成層15面へ上記のレリーフを賦形(複製とも呼称する)する。通常、賦形は、レリーフ形成層15の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフをレリーフ形成層15へ賦型し複製した後に、スタンパを剥離することで行う。商業的複製の方法は、金型又は樹脂型のスタンパを用いて、レリーフ形成層15の表面へエンボスしてレリーフを複製した後に電離放射線を照射するか、又は、エンボス中に電離放射線を照射してからスタンパを剥離することでレリーフを複製する。この商業的な複製は、長尺状で行うことで連続な複製作業ができる。
(電離放射線を照射)レリーフ形成層15の表面へ、スタンパでエンボス(賦型)すればよい。レリーフ形成層15として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(レリーフ形成層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適であり、波長300〜400nmの紫外線が最適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光増感剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しなくても良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
(複製方法)好ましい具体例としては、セミドライ複製法(SD複製法)と呼ばれている方法で、複製装置はベッドに固定された一対の本体フレームに給紙装置、転写装置、照射装置、巻取装置が順次配設され、給紙装置及び巻取装置は巻取りを供給又は巻き取る装置からなる。転写装置は、本体フレームの中央部に固定された軸受に軸が回転自在に支持されたエンボスローラーと、一対のアームに回転自在に支持された押付けローラーと、加圧機構とからなる。給紙装置から、耐熱保護層22(必要に応じて)/基材11/剥離層13(必要に応じて)/レリーフ形成層15からなる長尺帯状で繰り出し、エンボスローラーと押付けローラーとで加圧される。エンボスローラーの周表面にはスタンパ(金属版、又は樹脂版)が載置され、該スタンパが加熱されている押付けローラーに一定圧で押付けられる。スタンパの凹凸(レリーフ)がレリーフ形成層15の表面に転写され、スタンパから剥離され、直ちにUV照射装置より紫外線が照射され、凹凸の形成されたレリーフ形成層15が硬化する。この後、巻取装置へ巻取られる。詳細については、特公平6−85103号公報、特公平6−85104号公報、特公平7−104600号公報などに開示されている。
(反射層)反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたレリーフ形成層15面のレリーフ面へ、反射層17へ設けることにより、レリーフの回折効果を高めるので、反射率のより高い金属が好ましく、より明るい回折光が得られる。該反射層17として、光を反射する金属を用い、該反射層17としては、Cr、Ni、Ag、Au、Al等の金属、及びその酸化物、硫化物、窒化物等の薄膜を単独又は複数を組み合わせてもよい。上記の光反射性の金属薄膜の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られる。反射層17の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、それ以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
(接着層)通常、反射層17面へ接着層19を設けるか、又は着色層転写材10へは接着層19を設けず、被転写体100へ設けてもよい。該接着層19は熱で溶融又は軟化して接着する熱接着型接着剤が適用でき、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などのビニル系樹脂、アクリル系やメタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用でき、これらの樹脂を単独または複数を組み合せて使用する。
これらの接着層19の樹脂は、接着力などの点で、塩化ビニール−酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適である。接着層19の厚さは、通常は0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。接着層19の厚さは、この範囲未満では、被転写体との接着力が不足して脱落し、また、その以上では、接着効果は十分でその効果は変わらないのでコスト的に無駄であり、さらには、サーマルヘッドの熱を無駄に消費してしまう。さらにまた、接着層19へは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。
(熱接着層の形成)反射層17面へ、必要に応じて、接着層19を設ける。接着層19の形成は、前述の熱接着性の樹脂を溶媒へ分散または溶解した組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法又は印刷法としては、剥離層13の形成と同様な方法が適用できる。乾燥は必要に応じて、転写適性をよくするために、ブラッシングさせてもよい。
(耐熱保護層)さらにまた、転写層21と反対面へ、耐熱保護層22を設けてもよい。耐熱保護層21は、耐熱性のある熱可塑性樹脂バインダーと、熱離型剤または滑剤のはたらきをする物質とを、基本的な構成成分とする。耐熱性のある熱可塑性樹脂バインダーとしては、広い範囲から選ぶことが出来るが、好適な例をあげれば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、フッ化ビニリデン樹脂、ナイロン、ポリビニルカルバゾール、塩化ゴム、環化ゴム及びポリビニルアルコールがある。これらの樹脂は、ガラス転移点が60℃以上のもの、またはOH基またはCOOH基を有する熱可塑性樹脂にアミノ基を2個以上有する化合物またはジイソシアネートもしくはトリイソシアネートを加えて若干の架橋硬化を起させたものが好ましいことが経験的に知られている。
上記の熱可塑性樹脂に配合する、熱離型剤または滑剤は、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスの様なワックス類、高級脂肪酸のアミド、エステル又は塩類、高級アルコール及びレシチン等のリン酸エステル類のような加熱により溶融してその作用をするものと、フッ素樹脂や無機物質の粉末のように、固体のままで役立つものとがある。尚、これらの滑剤又は熱離型剤に加えて、他の離型剤、例えば、フッ素含有樹脂の粉末、グアナミン樹脂の粉末及び木粉のいずれかを併用することも出来、この場合には更に高い効果が得られる。
耐熱保護層22を形成する組成物は前記の熱可塑性樹脂バインダー100質量部に対し、上記の滑剤又は熱離型剤の作用をする物質を10〜100質量部の割合で配合して形成する。基材への適用は、適宜の溶剤で練ってインキとし、一般のコーティング剤の塗布方法と同様に、例えばロールコーティング法、グラビアコーティング法,スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法等のコーティング法により、基体のレリーフ形成層でない面に、塗布し、乾燥することによって行えばよい。耐熱保護層21の厚さは0.01〜1.0μm程度、好ましくは0.1〜0.2μmである。
基材シートと耐熱保護層22の付着を確実にするために、予め基体11上にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、基体11の材料と耐熱保護層22の熱可塑性樹脂バインダーの種類に応じて選択し、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体或いはポリオールとイソシアネート、エポキシとイソシアネート、ポリオールとメラミンの組み合わせ等の材料を適用できる。プライマー層を形成する場合には、厚み0.05〜0.5μm程度の層を形成することが好ましく、薄すぎると接着性が不充分で、一方厚すぎるとサーマルヘッドの感度や耐熱性の低下、凝集破壊による接着性の低下が生じるので好ましくない。プライマー層の塗布方法は、耐熱保護層22の組成物の適用と同様に、適宜の溶剤を利用してインキ形態とし、任意の手法で実施すればよい。
(画像形成物)本発明の画像形成物は、上記本発明の着色層転写材10を用いて、被転写体100上に、接着層(必要に応じて)、反射層、及びレリーフ形成層を転写し移行させることで、着色されたホログラムや回折格子などの光回折効果が発現され、特有な意匠や光学的な効果、例えば本物の金に極めて近い明るい金属光沢色が得られる。
画像形成物を得る各操作、使用する材料について、説明する。
(転写層の転写)まず、被転写体への転写方法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などが適用できる。
(被転写体)被転写体100としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布あるいは各種画像形成方法(電子写真方式、インクジェット方式、昇華・溶融熱転写方式)で画像を形成した印画物等いずれのものでもよい。被転写体の形状・用途についても、株券、証券、証書、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、メンバーズカード、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、ICカード、光カードなどのカード類、カートン、容器等のケース類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、写真プリントシート(プリントクラブ(登録商標))、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力等、種類を問うものではない。好ましくは、更なる意匠性及びセキュリティー性を要求されるものであり、また、該被転写体100の媒体はその少なくとも1部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてよい。
(転写層のパターン)被転写体へ転写される転写層のパターンは、矩形、円形、星型などのパターン、ストライプ状、全面ベタ状など、特に制限されない、また、パターンやストライプ状の場合には、複数個であってもよい。これらの転写法は、前述の、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、感熱印画ヘッドによるサーマルプリンタなどから適宜選択すればよい。好ましくは、高精細で、オンデマンドで印画でき、しかも可変情報を印画できるサーマルプリンタである。
(熱転写画像のパターン)熱転写画像は、前述のように、サーマルプリンタを用いて、ドットの所定の画像が形成(印画)されるので、任意の画像、文字、数字、イラストを形成することができる。被転写体の表面へ、パターンで転写層21を図3(B)のように、転写層(レリーフ形成層15)のない部分、及びパターン転写層(レリーフ形成層15)が形成された部分がというように特異な意匠性及びセキュリティ性が得られる
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)基材11として厚さ6μmのルミラー6CF53(東レ社製、PETフィルム商品名)を用いた。
該基材11の一方の面へ下記の耐熱保護層塗工液を塗布し乾燥して厚さ0.2μmの耐熱保護層22を形成し、他方の面へ下記のレリーフ形成層塗工液をグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ0.5μmのレリーフ形成層15を形成した。
次に、該レリーフ形成層面へ、2光束法による回折格子から2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。
レリーフ形成層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが30nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17とした。該反射層17面へ下記の接着層塗工液を塗布し乾燥して厚さ0.5μmの接着層19を形成して、実施例1の着色層転写材10を得た。
・<レリーフ形成層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物S 1000質量部
ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色) 90質量部
ピクメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド、赤色) 10質量部
高分子系分散剤
(商品名ソルスパーズ33500、日本エヌエスシー社製) 120質量部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 2000質量部
・<耐熱保護層塗工液>
スチレン−アクリロニトリル共重合体 8.5質量部
(商品名セビアンAD ダイセル化学工業社製)
線状飽和ポリエステル樹脂 0.5質量部
(商品名エリエーテルUE3200 ユニチカ社製)
メラミン−アルデヒド樹脂架橋粉末 2.5質量部
(エポスターS、粒径0.30μm、日本触媒化学社製)
ステアリルリン酸亜鉛(商品名LBT−1830 堺化学工業社製) 5.0質量部
溶媒(メチルエチルケトン) 83.0質量部
溶媒(トルエン) 0.5質量部
・<接着層塗工液>
ブチルメタアクリレート系樹脂 30質量部
(商品名A−415、大日本インキ化学工業社製)
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 20質量部
(実施例2)レリーフ形成層塗工液として、下記のレリーフ形成層塗工液を用い、レリーフとして回折格子とする以外は、実施例1と同様にして、着色層転写材10を得た。
電離放射線硬化性反応生成物Mの合成;撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。得られた反応生成液は赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。反応生成液から酢酸エチルを留去したものの軟化温度は43℃であった。
上記で得られた反応生成液に、造膜性樹脂としてメタクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGF)を、反応生成液固形分100質量部につき25質量部、酢酸エチル290質量部、光重合開始剤(チバガイギー社製品、イルガキュア184、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)3.75質量部を添加して、電離放射線硬化性樹脂組成物Mとした。
・<レリーフ形成層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物M 1000質量部
ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色) 90質量部
ピグメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド、赤色) 10質量部
高分子系分散剤
(商品名ソルスパーズ5000、日本エヌエスシー社製) 120質量部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 2000質量部
(実施例3)基材11として厚さ6μmのルミラー6CF53(東レ社製、PETフィルム商品名)を用い、該基材11の一方の面へ実施例1と同様の耐熱保護層組成物を塗布し乾燥して厚さ0.2μmの耐熱保護層22を形成し、他方の面へ下記の剥離層組成物を固形分が15%になるように溶媒で調整して、塗布し乾燥して厚さ0.5μmの剥離層13を形成し、該剥離層13面へ実施例1と同様に、レリーフ形成層15、反射層17、及び接着層19を形成して、着色層転写材10を得た。
・<剥離層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物S 98.6質量部
ポリエステル樹脂(商品名バイロン29SS、東洋紡績社製) 1.4質量部
(実施例4)剥離層塗工液として下記の剥離層塗工液とレリーフ形成層塗工液を用い、レリーフ形成層塗工液中に添加する顔料にピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色)のみを用いる以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。
・<剥離層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物S 98.6質量部
ポリエステル樹脂(商品名バイロン29SS、東洋紡績社製) 1.4質量部
・<レリーフ形成層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物S 1000質量部
ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色) 100質量部
高分子系分散剤
(商品名ソルスパーズ5000、日本エヌエスシー社製) 120質量部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 2000質量部
(実施例5)剥離層塗工液として下記の剥離層塗工液を用い、レリーフ形成層塗工液として、下記のレリーフ形成層塗工液を用いる以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。
・<剥離層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物M 98.6質量部
ポリエステル樹脂(バイロン29SS、東洋紡績社製) 1.4質量部
・<レリーフ形成層塗工液>
電離放射線硬化性樹脂組成物M 1000質量部
ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色) 90質量部
ピグメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド、赤色) 10質量部
高分子系分散剤(ディスパロン#703、楠本化成社製) 120質量部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 2000質量部
(実施例6)レリーフ形成層塗工液中の分散剤を90質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。
(実施例7)レリーフ形成層塗工液中の分散剤を150質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。
(比較例1)レリーフ形成層塗工液中の分散剤を25質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。顔料の分散性が非常に悪く、塗工ムラが発生した。また、該着色層転写材10は、暗い金属光沢しか得られなかった。
(比較例2)レリーフ形成層塗工液中の分散剤を200質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。UV硬化が不十分なため耐熱性が悪く、熱転写時にホログラムの画質が著しく低下した。
(比較例3)レリーフ形成層塗工液中の電離放射線硬化樹脂を500質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。UV硬化が不十分なため耐熱性が悪く、熱転写時にホログラムの画質が著しく低下した。
(比較例4)レリーフ形成層塗工液中の電離放射線硬化樹脂を1300質量部とする以外は、実施例3と同様にして、着色層転写材10を得た。顔料の分散性が非常に悪く、塗工ムラが発生した。また、該着色層転写材10は、暗い金属光沢しか得られなかった。
(評価及び評価方法)組成物の粒度分布(平均粒径および最大粒径)、着色転写材のUV硬化状態で行った。
顔料分散した電離放射線硬化性樹脂、顔料、分散剤、及び溶媒からなるレリーフ形成層塗工液の粒度分布(平均粒径および最大粒径で表す)は、日機装(株)製,MICROTRAC UPAを用い、動的光散乱法によりメチルエチルケトンを溶媒として測定した体積分布からの値であり、平均粒径は累積50%値を平均粒径とした。平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径2μm以下を良好とし、それより大きい場合を不良とした。レリーフ形成層塗工液における顔料の分散良好な粒度分布の一例を図4に示し、また分散不良な粒度分布の一例を図5に示す。
着色転写材のUV硬化状態を評価する手段として、レリーフ形成層の耐熱性を評価し、加熱後にホログラム輝度の低下が観察されるか否かによってUV硬化状態を評価した。
即ち、(1)(評価サンプルの準備)着色転写材のレリーフパターン賦型・UV照射工程後のサンプルを100℃1分のオーブンで保存した後、ホログラムパターン表面を真空蒸着機にてAlを300Åの厚みに蒸着した。(2)(輝度測定)輝度評価は回折効率で行い、その測定方法は、光源はキセノン灯、光源と評価サンプルとの距離を250mm、サンプルへの光源入射角を30度、サンプル上の照度が22000ルクスとなるように設定する。設定後、輝度測定機トプコンBM−7機(トプコン社製、商品名)を用い、測定機の1スポットの測定は入射光のうち立体角1度以内の入射角を測定するように設定して、サンプルと測定機との距離を600mmとし、測定角度範囲は0〜−20度とし、各測定角での輝度を測定した。(3)(輝度変化)加熱前と比較して、加熱後に輝度が低下したものを不良とし「×印」で、低下しなかったものを良好とし「○印」で示した。
上記方法により実施例1〜7、比較例1〜4で作製した着色転写材のUV硬化状態を評価した。結果を表1にまとめる。
Figure 2006309205
(評価結果)実施例1〜7と比較例1〜4の着色層転写材10を用いて、塩化ビニル製のクレジット仕様のカード(被転写体)へサーマルプリンタで、30×40mmの矩形に転写したところ、実施例の転写材を用いたものはいずれも、極めて金色に近い金属光沢のゴールド色転写層を有する画像形成物が得られたが、比較例1、4では平均粒径及び最大粒径が共に不良で分散性が悪く、均一なゴールド色が得られず、また比較例2、3ではUV硬化状態が不良であった。同様に実施例1〜7と比較例1〜4の着色転写材10を用いて、プリクラ(プリントクラブ(登録商標))用シール紙仕様の昇華転写受像シートに神鋼電機株式会社製CHC−S8075 2ヘッド熱転写プリンターで30mm×30mm、10mm×10mm、5mm×5mmの3種類のパターンを転写したところ、実施例の転写材を用いたものはいずれも、極めて金色に近い金属光沢のゴールド色転写層を有する画像形成物が得られたが、比較例1、4では平均粒径及び最大粒径が共に不良で分散性が悪く、均一なゴールド色が得られず、また比較例2、3ではUV硬化状態が不良であった。
図1は、本発明の1実施例を示す着色層転写材の断面図である。 図2は、本発明の1実施例を示す着色層転写材の断面図である。 図3は、本発明の1実施例を示す画像形成物の断面図である。 図4は、レリーフ形成層塗工液における顔料の分散良好な粒度分布の一例を示したグラフである。 図5は、レリーフ形成層塗工液における顔料の分散不良な粒度分布の一例を示したグラフである。
符号の説明
10:着色層転写材
11:基材
13:剥離層
15:レリーフ形成層
17:反射層
19:接着層
21:転写層
22:耐熱保護層

Claims (8)

  1. 基材と、該基材の一方の面に、転写層が設けられた転写材において、前記転写層が少なくとも光回折効果を発現するレリーフを有するレリーフ形成層と反射層からなり、前記レリーフ形成層が顔料で着色され、該顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散されてなることを特徴とする着色層転写材。
  2. 上記レリーフ形成層が、少なくとも電離放射線硬化性樹脂、顔料、及び分散剤からなり、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150であることを特徴とする請求項1に記載の着色層転写材。
  3. 上記レリーフ形成層が黄色顔料、又は黄色顔料と赤色顔料を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の着色層転写材。
  4. 上記レリーフ形成層が、(1)下記の一般式(a)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする電離放射線硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の着色転写材。
    Figure 2006309205
    (ここで、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜20個の炭化水素基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わし、Zはウレタン変性アクリル樹脂を改質するための基を表し、好ましくは嵩高い環状構造の基を表わす。)
  5. 上記レリーフ形成層がウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化樹脂を用いたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の着色層転写材。
  6. 上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物からなることを特徴とする請求項5に記載の着色層転写材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つの着色層転写材を用いて、被転写体上に転写層を転写してなる、着色された光回折効果を有することを特徴とする画像形成物。
  8. 少なくとも電離放射線硬化性樹脂、顔料、分散剤、及び溶媒からなり、請求項1〜6のいずれかに記載の着色層転写材のレリーフ形成層用の組成物であって、電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での割合が600〜1200:100:30〜150であり、該顔料が平均粒径0.2μm以下、かつ最大粒径1μm以下に分散されていることを特徴とする組成物。
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