JP4391081B2 - 感熱印字記録媒体、定期券、及びその製造方法 - Google Patents

感熱印字記録媒体、定期券、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱印字記録媒体に関し、さらに詳しくは、意匠性が良く、かつ、偽造防止性を高めた定期券などの感熱印字記録媒体、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
(技術の背景)交通機関の定期乗車券(以下定期券という)、入場証、食堂の食券、通行証、サービスポイントカードなどの、一定の金額を払い込んだ権利や資格などを証明する媒体(印字記録媒体、プリペイドカードという)が増加している。該印字記録媒体は、通常、プラスチックシートや紙等の、カード基材の一方の面に磁気記録層を設け、他の面には氏名、定期券などの目的、有効期間、料金などの所望情報が印字されている。該印字記録媒体は一定の経済的価値や効果を持つため、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えず、近年カラーコピー機の精度向上が著しく、各種の印字記録媒体類の偽造を容易にしている。特に所持人口の多い定期券では、有効期間や区間、氏名、年齢などの個別情報が改竄される場合が多く、種々のセキュリティ策が提案されている。
【0003】
印字記録媒体のセキュリティ性を高めるために、各種の偽造防止手段が施される一方で、カード券面は意匠性が求められるので、券種は多様化が進んでいる。すなわち、物体としてのカード本体(使用者に固有の情報が、記録又は印字表示される以前のカードで、当業者が生カード又は白カードと呼ぶ)の種別(券種)はますます増加し、少量で多種類の生カード券種が存在し、管理及びカード生産上のネックとなっている。該生カードの状態では実際の使用はできず、例えば定期券であれば、発売時に必要に応じて磁気記録層に所望事項を磁気記録し、他方の面へ熱溶融転写プリンタで、氏名、乗車区間、有効期間、及び料金などの所望情報(個人情報が含まれる)を印字(表示、記録ともいう)し表示されて、始めて使用が可能となる。また、該印字面の下面には、偽造を困難にするために、通常、絵柄の他に迷彩地紋等が印刷された地紋印刷層がある。
定期券などの感熱印字記録媒体は、高意匠性とセキュリティ性を合わせ持つ生カードを予め大量生産しておき、カード発行時には必要に応じて磁気情報及び使用目的などの所望情報などを磁気記録及び/又は印字し可視表示することができ、さらに磁気記録情報と印字情報とを関連づけておけることが求められている。
【0004】
(先行技術)従来、カラーコピー機による不正コピーに対しては、コピーで再現できないホログラムをホットスタンプ転写する方法が、知られている。しかしながら、高価なホログラムを、1枚1枚のカードへホットスタンプ転写では、さらに高価になり大量生産できない。また、単に複写しただけでは複写が難しいか又は複写をすることにより「複写である旨」や「無効である旨」の文字が浮かび上がる方法が、知られている。しかしながら、カラーコピー機の進歩は目ざましく、一進一退の状態である。
また、本出願人は、コピーすると地紋や印字が、金属光沢面のコピー後の黒地の中に埋没して視認不能になるように、印字面の一部に金属光沢面を形成し、地紋印刷層、印字層を順に積層した定期券を開示している(例えば、特許文献1参照。)。また、金属光沢を有する受像層上に地紋、印字を設けてカラーコピー偽造を防止する技術を開示している(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、いずれも地紋や印字が肉眼では判読しにくく、また、意匠性が悪いという問題が残っている。
さらにまた、本出願人は、ストライプ状のホログラムと地紋印刷層を設け、該地紋印刷層の下の感熱発色層で表示する定期券を開示している(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、ホログラムは1部のみであり、他の似たようなホログラムを切りとって貼着すれば、混雑する改札口での目視では真偽を確認することは難しいという欠点がある。
さらにまた、本出願人は、白色基材の一方の面へ磁気記録層及び感熱印字記録層を有し、他方の面へ透明又は反射ホログラムを積層するカードを特願2001−276326号公報で開示している。しかしながら、感熱印字記録層による印字は、磁気記録層の色調との対比でコントラストが低いので判読しにくいという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−234942号公報
【特許文献2】
特開2000−103187号公報
【特許文献3】
特開平10−278462号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、高意匠性とセキュリティ性を合わせ持つ生カードを、予め既存の設備で大量に製造できて、カード発行時には、必要に応じて磁気情報及び使用目的などの所望情報などを磁気記録及び/又は印字し可視表示することができ、かつ、感熱印字層による印字は、下地の光回折層及び白色基材とのコントラストを高いので、視認性が良く判読しやすい定期券などの印字記録媒体、及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる感熱印字記録媒体の製造方法は、(a)少なくとも一方の面に磁気記録層を有する長尺帯状で白色のカード基材を準備する工程と、(b)別途、転写基材の一方の面に、少なくとも剥離層、光回折層、透明反射層、及び接着層を順次積層してなる転写箔を作成する工程と、(c)該転写箔を、前記カード基材の少なくとも一方の全面へラミネートし、前記転写箔の転写基材のみを剥離する工程と、(d)前記カード基材へ転写された、剥離層、光回折層、透明反射層及び接着層の、露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、感熱印字層を形成する工程と、(e)該感熱印字層が形成された長尺帯状のカード基材をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シート状態とする工程と、(f)前記感熱印字層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成する工程と、(g)カードサイズへ打抜いてカードとする工程と、からなるようにしたものである。本発明によれば、高意匠性とセキュリティ性を合わせ持つ生カードを、予め既存の設備で大量に製造でき、カード発行時には、必要に応じて磁気情報及び使用目的などの所望情報などを磁気記録及び/又は印字し可視表示することで、使用可能なカードとすることができる感熱印字記録媒体の製造方法が提供される。
請求項2の発明に係わる感熱印字記録媒体は、(a)少なくとも一方の面に磁気記録層を有する長尺帯状で白色のカード基材を準備する工程と、(b)別途、転写基材の一方の面に、少なくとも剥離層、光回折層、透明反射層、及び接着層を順次積層してなる転写箔を作成する工程と、(c)該転写箔を、前記カード基材の少なくとも一方の全面へラミネートし、前記転写箔の転写基材のみを剥離する工程と、(d)前記カード基材へ転写された、剥離層、光回折層、透明反射層及び接着層の、露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、感熱印字層を形成する工程と、(e)該感熱印字層が形成された長尺帯状のカード基材をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シート状態とする工程と、(f)前記感熱印字層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成する工程と、(g)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、から製造するようにしたものである。本発明によれば、カード発行時に、必要に応じて磁気情報及び使用目的などの所望情報などを磁気記録及び/又は印字し可視表示することで、使用可能なカードとでき、感熱印字層による印字(表示)は、下地の光回折層及び白色基材とのコントラストが高いので、視認性が良く、判読しやすい感熱印字記録媒体が提供される。
請求項3の発明に係わる感熱印字記録媒体は、上記光回折層がホログラム又は回折格子であり、かつ、上記感熱印字層へサーマルプリンタで所望事項が印字されているようにしたものである。本発明によれば、光回折層上へ、地紋などの印刷層を設け、かつ、個別で可変する情報を印字できるので、カラーコピー機による不正コピーや改竄が難しく、セキュリティ性の高い感熱印字記録媒体が提供される。
請求項4の発明に係わる定期券は、上記所望事項が少なくとも有効期間、乗車区間、及び氏名であり、該所望事項の印字色が少なくとも黒色を含み、該黒色のPCS値が0.5以上であるようにしたものである。本発明によれば、印字情報は混雑する改札口でも目視で確認しやすく、機械でも読み取りやすい。また、印字情報は必要な所望事項を適宜選択して可変に印字することができる定期券が提供される。
請求項5の発明に係わる定期券は、印字情報と磁気記録情報とが関連付けられているようにしたものである。本発明によれば、印字情報と磁気記録情報とを比較し偽造や変造の事実を確認できるので、さらにセキュリティ性の高い定期券が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。
図2は、本発明の他の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。
(印字記録媒体の層構成)図1は、カード基材21の一方の面に、転写基材11/剥離層13/光回折層15/透明反射層17/接着層19からなる転写箔1を用いて、転写基材11は剥離し除去して、転写層(剥離層13/光回折層15/透明反射層17/接着層19)のみが転写されている。次に、露出した剥離層13上へ、プライマ層31を介して、感熱印字層33を設ける。さらに、該感熱印字層33へ絵柄や地紋などのオフセット印刷層35を設け、さらにまた、必要に応じてOP層37を設けてもよい。
カード基材21の少なくとも一方の面には、磁気記録層23が設けられ、該磁気記録層23面には、セキュリティ性のために、磁気及び磁気なしダミーが混在したバーコードを設けてもよい。また、磁気記録層23面には、必要に応じてプライマ層25を介して、印刷層27や保護層29を設けてもよい。プライマ層25、印刷層27、及び保護層29は、用途や要求に応じて適宜設ければよい。なお、本明細書で用いている記号「/」は、互いに一体的に積層されている状態を表わす。
【0009】
このように形成した感熱印字層33には、オフセット印刷層35、又は必要に応じて設けたOP層37面から、サーマルプリンタを使用して、個別で可変する情報を印字し表示して、さらに、必要に応じて、磁気記録層面へ情報を記録することで、定期券(印字記録媒体)などの券類となる。図2は、転写層(剥離層13/光回折層15/透明反射層17/接着層19)を、カード基材に磁気記録層面へ転写し設けた態様である。また、図示していないが、カード基材の両面に転写層を設けてもよい。
【0010】
(発明のポイント)本発明者らは、従来技術で述べた一連防止技術の開発を続けており、偽造され、改良し、また偽造され、さらなる改良を繰り返しながら、種々の検討を重ねている。そこで、予め、磁気記録層付きカード基材21と、ホログラムなどの光回折層転写箔1とを準備又は作製し、該カード基材21と転写箔1は長尺帯状の巻取体(当業者が巻取と呼び、以降、巻取という)としておく。上記転写箔1と磁気記録層付きカード基材21とを、巻取同志で全面ラミネート転写し、感熱印字層を形成する。その後、巻取をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シートとする。該大判シート状態で印刷層を設けた後に、カードサイズへ打抜いてカードとする。
このように、従来のストライプ転写又はホットスタンプ転写による、少ない複数枚数又は1枚1枚毎のカードへホログラムを形成する方法ではなく、巻取同志を連続的に全面ラミネート転写することで、一度に大量のカードへホログラムを形成でき、既存の設備で大量製造法を用いることを見出した。
【0011】
次に、転写箔とカード本体、及び転写後の印刷などの材料、並びにその形成方法について説明する。
図3は、転写箔の転写層のカード本体への転写状況を説明する説明図である。(転写箔)図3に図示する図3(A)は転写箔1で、図3(B)のカード本体3へ転写し、転写基材11を剥離し除去する。転写箔1の転写層が、カード基材21へ転写されて図3(C)となる。転写層は剥離層13/光回折層15/透明反射層17/接着層19からなっている。また、必要に応じて、剥離層13と光回折層15との間へ、保護層を設けてもよい。
【0012】
(保護層)保護層は、転写基材11と光回折層15との剥離性を高め、かつ転写基材11の剥離後に光回折層15を保護する作用を果たす。保護層の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が例示でき、その膜厚は0.5〜5μmが好適であるが、これらに限定されることはない。
【0013】
(転写基材)転写基材11としては、フィルム状のあらゆる材料を用いることが可能であり、その材質、厚さ、および光学的特性は限定されず、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の単体あるいは積層体が適用できる。また、その膜厚は1〜100μm、好ましくは4〜25μmである。
【0014】
(剥離層)剥離層13としては、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂、ワックスなどが適用できる。離型性樹脂は、例えば、弗素系樹脂、シリコーン、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、繊維素系樹脂などである。離型剤を含んだ樹脂は、例えば、弗素系樹脂・シリコーン・各種のワックスなどの離型剤を、添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂などである。電離放射線で架橋する硬化性樹脂は、例えば、紫外線(UV)、電子線(EB)などの電離放射線で重合(硬化)する官能基を有するモノマー・オリゴマーなどを含有させた樹脂である。
【0015】
剥離層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散または溶解させた組成物インキを、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法、またはロールート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコートなどのコーティング方法で塗布し、温度30℃〜120℃で加熱乾燥して、溶剤を除去して剥離層13を形成させる。また、電離放射線で架橋する硬化性樹脂は、そのままの無溶剤、または溶剤へ分散若しくは溶解した組成物インキを、公知の印刷法またはコーティング法で、少なくとも1部に塗布し、必要に応じて乾燥し、電離放射線を照射して硬化して形成する。剥離層13の厚さは、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。該厚さは欠陥のない被膜が得られれば、薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
【0016】
(光回折層)光回折層15は、無色または着色された透明または半透明なもので、単層であっても多層状であってもよく、凹凸を注型や型押しで再現できる熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、あるいは、光回折パターン情報に応じて硬化部と未硬化部とを成形することができる感光性樹脂組成物が利用できる。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン、またはポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、またはトリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂であり、それぞれの単独、熱可塑性樹脂どうし、または熱硬化性樹脂同志の混合、もしくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合等であってもよい。ラジカル重合性不飽和基を有し、熱成形性を有するものや、ラジカル重合性不飽和モノマーを添加した電離放射線硬化性樹脂組成物も利用できる。
【0017】
また、電離放射線硬化樹脂(光回折層15)としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂で、特に下記の一般式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
【0018】
【化1】
Figure 0004391081
ここで、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜16個の炭化水素基を表わし、XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。
【0019】
上記式(1)で表わされるウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モル、Zとしてイソボルニルメタクリレート0〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
【0020】
上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(光回折層15)となる。電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)などが適用できるが、紫外線(UV)、電子線(EB)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
【0021】
光回折層15の形成は、上述した材料を溶剤に溶解または分散させて、適宜添加剤を添加するなどした組成物インキを、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法、またはロールート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコートなどのコーティング方法で塗布し、温度30℃〜120℃で加熱乾燥すればよい。乾燥後の厚さとしては、0.1〜20μm程度、0.5〜10μmが好ましい。
【0022】
(レリーフの形成)次に、転写基材11/剥離層13/光回折層15の層構成となっている、光回折層15へレリーフを賦形する。レリーフは、2次元または3次元画像を再生可能な表面凹凸パターン(光回折パターン)が形成されたものである。この表面凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞の光の強度分布が凹凸模様で記録されたホログラムや回折格子が適用できる。ホログラムとしては、フレネルホログラム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子などがある。
【0023】
回折格子としては、ホログラム記録手段を利用したホログラフィック回折格子があげられ、その他、電子線描画装置等を用いて描画的に回折格子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光が得られる回折格子をあげることもできる。これらのホログラムおよび/または回折格子は、単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。
【0024】
通常、賦形は、光回折層15の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフを光回折層15へ形成(複製)した後に、スタンパを剥離することで行う。レリーフを複製するスタンパは、マスターそのものも使用できるが、摩耗や損傷の恐れがあるため、アナログレコード等におけるのと同様、マスターに金属メッキまたは紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させて剥がす等の方法(当業者では2P法と呼ぶ)により、金属又は樹脂による複製を行ない、複製された型(スタンパ)を使用して商業的複製を行なう。
【0025】
商業的複製の方法は、金型又は樹脂型のスタンパを用いて、光回折層15の表面へエンボスしてレリーフを複製した後に電離放射線を照射するか、又は、エンボス中に電離放射線を照射してからスタンパを剥離することでレリーフを複製する。この商業的な複製は、長尺状で行うことで連続な複製作業ができる。
【0026】
光回折層15の表面へ、スタンパでエンボス中又はエンボス後に、若しくはエンボス中及びエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。該電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)などが適用できるが、紫外線(UV)が好適である。電子線(EB)照射は、電子線加速器により発生させた電子線を照射する。電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を、0.5〜20Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.5Mrad未満の場合、未反応モノマーが残留して硬化が不十分となる恐れがあり、また、照射量が20Mradを超えると、架橋密度が高くなり硬化したバインダ、若しくは基材が、損傷を受ける恐れがある。また、硬化の際の雰囲気は、酸素濃度500ppm以下で行われ、通常は200ppm程度で行うのが好ましい。
【0027】
紫外線を照射する紫外線(UV)ランプは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが適用でき、紫外線の波長は200〜400nm程度で、紫外線硬化性樹脂組成物に応じて、適宜波長を選択すれば良い。その照射量は、組成物の材質や量と、UVランプの出力と、加工速度に応じて照射すれば良い。好ましくは、紫外線の波長は300〜400nmである。
【0028】
(透明反射層)透明反射層17は、ホログラム又は回折格子等のレリーフ構造を設けた光回折層15面のレリーフへ透明反射層17へ設けることにより、ホログラムの再生像及び/又は回折格子などが明瞭に視認できるようになる。透明タイプの反射層17としては、光回折層15面と屈折率に差のある透明金属化合物を用いる。その光学的な屈折率が光回折層のそれとは異なることにより、ほぼ無色透明な色相で、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラム等のレリーフを視認できる。該透明反射層17の屈折率としては、光回折層15面との屈折率の差が大きいほど効果があり、屈折率の差が0.3以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。例えば、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、TiO、SiO2、ITO、等が適用でき、好ましくは、ITO、又は酸化スズで、屈折率はいずれも2.0であり、充分な屈折率の差を有している。なお、この透明とは、可視光が十分透過すれば良く、無色または有色で透明なものも含まれる。
【0029】
上記の金属、又は透明金属化合物の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは100〜1000nmの厚さになるよう、蒸着蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られる。透明反射層17の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、その以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
【0030】
(接着層)接着層19は熱で溶融又は軟化して接着する熱接着型接着剤、又は粘着型接着剤(感圧型接着剤ともいう)が適用できる。熱接着型接着剤としては、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン‐(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用でき、これらの樹脂を単独または複数を組み合せて使用する。
【0031】
これらの接着層19の樹脂は、接着力などの点で、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適である。接着層17の厚さは、通常は0.2〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μmである。接着層19の厚さは、この範囲未満では、被転写体との接着力が不足して脱落し、また、その以上では、接着効果は十分でその効果は変わらないのでコスト的に無駄であり、さらには、サーマルヘッドの熱を無駄に消費してしまう。さらにまた、接着層19へは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用でき、特に体質顔料の添加は、箔切れを良化させる。
【0032】
次に、カード本体の材料について、説明する。
(カード基材)定期券などの印字記録媒体に使用するカード基材21としては、従来の定期券などの媒体に使用されている基材と同様であり、繰り返し使用に耐える機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造に耐える耐熱性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、上質紙、OCR紙、ノーカーボン紙、アート紙等の紙類、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PETと略す)、ポリエチレンナフタレ−トなどのポリエステル系樹脂などが適用できる。
【0033】
該基材フィルムは、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材フィルムは、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニールなどのビニール系フィルム、機械的強度、コスト面から好適に使用され、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
【0034】
該基材フィルムは、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、該樹脂フィルムは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。本発明では、着色剤として、印字とのコントラストを高くするために、酸化チタンなどの顔料で白色に着色した基材が用いられる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。
【0035】
カード基材21の厚みは、全体の剛度が適当に保たれる厚みであればよく、通常、50〜500μm程度が適用できるが、100〜400μmが好適で、150〜300μmが最適である。例えば、PETの場合には、190〜260μm程度である。これ以上の厚さでは、剛度があり過ぎて携帯に不便で、コストも高い、これ以下では、繰り返し使用又は携行時の外力で、シワ、折り癖がついたり、磁気の読み取り不良が発生したりする。サイズに関しては、特に限定はないが、少なくとも転写箔を転写する工程までは、定期券サイズの複数倍を面付けできる大判シート、又は長尺で連続した巻取り体とする。そして、転写後のサイズは、必要に応じて、適宜裁断して用いてもよく、最後に定期券サイズに裁断すればよい。
【0036】
(磁気記録層)磁気記録層23は、定期券の自動改札等に見られるように、磁気ヘッドに接触させて、記録されている信号を読み取り、証明書が真正であるか、あるいは使用が正当である旨を判定するためのもので、磁性の酸化物をバインダ中に分散させたものであるか、あるいは、磁性金属の蒸着又はスパッタリング等による薄膜である。自動改札でない目視確認の場合には、磁気層はなくともよい。
磁気記録層23は、γ−Fe23、Fe34、CrO2、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、MnAl、Baフェライト、Srフェライトなどの従来公知の磁性微粒子を、バインダへ分散されてなる組成物である。該組成物を溶剤などへ分散又は溶解させた組成物インキを用いて、公知のコーティング法で、カード基材21上へ、組成物インキを塗布して、乾燥し、必要に応じて、温度30℃〜70℃で適宜エージング、または、電離放射線(紫外線、電子線など)を照射して、形成すれば良い。コーティング法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコートなどが適用できる。該塗布方法で磁気記録層23を形成する場合には、その膜厚は1〜100μm、好ましくは5〜20μm程度である。
【0037】
さらにまた、磁気記録層23は、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Niなどの金属あるいは合金を、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、メッキ法などの方法によってカード基材21上に形成することもできる。これらの方法で基材上に形成する場合には、磁気記録層23の膜厚は100オングストローム〜1μm、好ましくは500〜2000オングストローム程度である。
【0038】
なお、γ−Fe23などの磁性微粒子が分散されるバインダの材料としては、ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂などが用いられ、必要に応じて、ニトリルゴムなどのゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマーなどを添加することができる。また、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル、カーボンその他の添加剤を使用することができる。
【0039】
該カード基材21の磁気記録層23の面には、バーコードを設けてもよい。該バーコードは、通常、セキュリティ性を向上させるために、磁性材を含む磁気バーと磁性材を含まないダミーバーとからなっている。このバーコードは、目視ではいずれもが黒色のバーコードと見える。しかしながら、磁気ヘッドで読み取ると異なったバーコードであり、容易に偽造できない。
【0040】
(その他の層)該カード基材21の磁気記録層23の面には、種々の情報や絵柄が印刷されていてもよい。該カード基材21の磁気記録層23の面には、必要に応じてプライマ層25を介して、印刷層27、保護層29が設けられてもよい。プライマ層25としては、磁気記録層23との接着性を向上させるために、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、エポキシ樹脂などが適用できる。
【0041】
これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、公知のコーティング法で塗布し乾燥してプライマー層35とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該プライマー層25の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。
【0042】
(印刷層)印刷層27としては、公知のグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法、コーティング法で、使用方法、使用上の注意事項、警告、発行会社名などの各種の情報が印刷される。好ましくは、コストや簡便性からオフセット印刷である。
【0043】
(保護層)保護層29としては、上記印刷層27と同様のインキで無色のものが適用でき、熱又は紫外線で硬化する熱硬化性樹脂または反応型樹脂が、耐久性から好ましい。熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、塗布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量が無限大となるものが好適である。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化または溶融しないものが好ましい。具体的には、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物およびこれらの混合物等である。
【0044】
これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液(インキ)とし、公知の印刷法、コーティング法で塗布し乾燥して保護層29とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該保護層29の厚さは、0.5〜30μm程度、好ましくは1〜10μmである。
【0045】
(ラミネート転写)ここで、巻取状の転写箔を、巻取状のカード本体へ連続的にラミネート転写する製造方法について説明する。カード本体は巻取でなくとも、シートカットした大判シートでもよく、大判シートを連続的に供給してラミネート転写もでき、巻取でのラミネート転写に近い効果が得られる。
図3は、転写箔の転写層のカード本体への転写状況を説明する説明図である。図3に図示する図3(A)は転写箔1で、図3(B)のカード本体3へ転写し、転写基材11を剥離し除去する。転写箔1の転写層が、カード基材21へ転写されて図3(C)となる。即ち、剥離層13/光回折層15/透明反射層17/接着層19/カード基材21/磁気記録層23の構成となる。
【0046】
図4は、従来の転写方法を説明する説明図である。
図5は、本発明で使用する転写方法を説明する説明図である。
(従来の転写)図5に図示するホットスタンプ転写は、従来方法である。カード本体3と、転写箔1の接着層19面とを重ね合わせて、転写箔1側より、スタンパと呼ぶ加熱した金型を圧着する。転写箔1の接着層19が軟化又は溶融してカード基材21へ接着する。そして転写基材を剥離して除去することで、転写層のみがカード側へ転写し移行する。しかしながら、該従来方法では、スタンパを用途などに合わせて、その都度作る必要があり、また、1枚1枚毎に転写するために転写速度も極めて遅く、安価に大量生産ができないという問題がある。
【0047】
そこで、本発明では、図5に図示するように、全面を連続的に転写する方法とする。転写箔1は、供給部41の長尺帯状の巻取から、連続したウェブ状に繰り出される。一方、カード本体3も同様に、供給部42の長尺帯状の巻取から、連続したウェブ状に繰り出される。ウェブ状に繰り出された転写箔1の接着層19面と、カード本体3のカード基材21面とを重ね合わせて、加熱ロール45と受けロール47との間に挟持し、ロールの回転に応じて走行する。ロールの加熱加圧から開放された剥離部51で、転写箔1の転写基材11を剥離し、剥離された転写基材53は、巻上げ部49へ巻上げられる。このようにすると、既存の簡易な熱ラミネータを用いて、巻取状態で連続作業によって、極めて安定して効率よく、安価に転写作業をすることができる。
【0048】
転写後には、図3(C)の積層体が得られる。該積層体の剥離層13面、及び磁気記録層23面に、次の加工が施される。該加工は、巻取状でも、該巻取をカットしたカードが複数枚が面付けできる大判シートで行ってもよい。磁気記録層23面には、必要に応じてプライマ層25を介して、印刷層27が、さらに保護層29を形成する。該プライマ層25、印刷層27、保護層29の形成は、カード本体3の説明で述べたと同様にすればよく、転写の前で行うか、後で行うかの違いであり、どちらでも、生産数量、用途、納期などに合わせて、適宜選択すればよい。
【0049】
剥離層13面には、プライマ層31を介して、感熱印字層33が、さらにオフセット印刷層35が、さらにまた必要に応じてOP層37を形成する。
(プライマ層)プライマ層31は、剥離層13と感熱印字層33との接着性を向上させるのために、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、エポキシ樹脂などが適用できる。
【0050】
これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、これを剥離層13に公知のコーティング法で塗布し乾燥してプライマー層13とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該プライマ層31の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。好ましくはRLプライマ(ザ・インクテック社製、商品名)である。
【0051】
(感熱印字層)感熱印字層33は、後述するサーマルプリンタのサーマルヘッドの熱で、感熱印字層33中の材料が反応し変色することで印字される。該感熱印字層33の材料系としては、(1)ロイコ色素系、(2)高分子/有機低分子分散系、(3)液晶系のなどタイプあるが、本発明では、発色及びその色濃度からロイコ色素系が好ましい。該ロイコ色素系の場合、発色/消色は、ロイコ色素と酸性化合物の組合せによるもので、これら化合物を高分子バインダと共に混合した組成物により感熱印字層を形成する。両性化合物を用いる競争反応系と、長鎖アルキル酸性化合物を用いる相分離系がある。
【0052】
なお、実際の使用においては、特別の冷却を行なうよりも、通常は、サーマルヘッドで1/1000秒のオーダーの時間で瞬間的に昇温して加熱した後、常温で冷却することで「急冷」が実現でき、上記のような系を発色させることができる。また、「除冷」については、ヒートローラー、ホットスタンプ、ヒーターバー等の熱容量の大きい加熱手段を用いて加熱した後に冷却すれば、与えられた熱量が多いため、「除冷」が実現し、消色ができる。場合によっては、加熱温度、条件を選定することにより、サーマルヘッドでの消去も可能である。このようなロイコ系材料の場合、ロイコ色素の種類を適宜選択することによって、黒、青、赤など種々の色調にカラー化することもできる。下地とのコントラストを高くできるので、好ましくは黒色である。
【0053】
これらを溶剤へ分散又は溶解した組成物塗液(インキ)として、公知のグラビア印刷、シクリーン印刷などの印刷法、又はロールコーティング、コンマコーティングなどのコーティング法で、塗布し乾燥して形成する。その厚みは、通常1〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度である。また、感熱印字層33を設ける面積的な割合については、カード基材21の全面に設けても一部に設けても、いずれでもよい。
【0054】
(オフセット印刷層)オフセット印刷層35は、公知のオフセット印刷法で印刷した印刷層であり、好ましくは、紫外線(UV)で硬化させるUVオフセット印刷である。オフセット印刷は最も一般的な印刷法であり、小ロットでも精細な画像を、コスト安く印刷することができる。感熱印字層33面へ強固に接着させるために、プライマ層を介してオフセット印刷層35を設けてもよい。プライマ層としては、前述したプライマ層25と同様な材料、塗布法でよい。該印刷に使用する印刷インキは、少なくともビヒクルと着色料とを含む。着色料は、無機顔料、有機顔料のうち1種類以上を含有する。また、蛍光顔料、赤外線吸収顔料などの特種な顔料でもよく、自由な色調のインキができる。
該インキ組成物には、必要に応じて、開始剤、硬化剤、充填剤、可塑剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、などの添加剤を、適宜加えても良い。これらの組成物を、分散・混練して、また、必要に応じて、溶剤で固形分量や粘度を調整して、インキ組成物とする。該インキを、前記印刷法で印刷して、乾燥し、必要に応じて、温度30℃〜70℃で適宜エージング、または、電離放射線(紫外線、電子線)を照射して形成すれば良い。
【0055】
オフセット印刷層35の色相は如何なるものでもよいが、地紋、模様、及びロゴなどの印刷絵柄が、その下層の感熱印字層33へ印字させた印字画像を完全に隠蔽しないことが好ましい。オフセット印刷層35の印刷絵柄が不透明色の場合には、面積の5〜60%程度、好ましくは10〜50%である。また、印刷絵柄が透明色の場合には、面積の5〜90%程度、好ましくは10〜70%である。オフセット印刷層35としては、細かい線で構成した模様、社章等の記号、社名等の文字を一面に印刷により形成することが、偽造防止を抑制する点から好ましい。また、複数の異なる模様を設けることにより形成してもよい。
【0056】
(OP層)OP層37は、必要に応じてオフセット印刷層35上へ設ければよい。特に定期券は使用期間が最長6ヶ月と長く、乗り換えも含めると、改札ゲートを千回以上も通過する。改札ゲート内の定期券は、磁気記録層23の読み取りのための磁気ヘッド、搬送ベルトやローラーなどに接触して擦られ、表面が削れたり、汚れたりする。これを防止するために、OP層37を設ける。該OP層37は、UVオフセット用のOPインキ、又は該OPインキへ、流動パラフィン、ワックス、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子などを、添加して、乾燥後の厚さで0.1〜1μm程度に極く薄く塗布すればよい。また、流動パラフィン、ワックスなどを直接塗布しても良い。
【0057】
以上説明してきように、図1、図2、又は図示していないが両面に光回折層を設けた印字記録媒体が得られる。これを、用途に合わせて、例えば定期券であれば、定期券規格の寸法に切断すればよい。該切断は、公知の抜き型による打抜き法などが適用できる。本発明は、基本的には、以上の構成からなっているが、いくつかの変形態様があり得る。上記の例では、基材の下面に磁気記録層を有しているが、これとは別に、あるいはこれに代えて光学記録部及び/又はICによる記録部を有していても良い。また、用途としても、定期券だけでなく、入場証、食堂の食券、通行証、点数カード等、種々の用途に適用でき、それぞれの用途に合わせて適した基材材料を使用して構成することができる。
【0058】
(情報印字方法)感熱印字層33へ、OP層37面からサーマルプリンタのサーマルヘッドで、ドット状に加熱して印字する。該印字は、証明の証明事項、定期券であれば、有効期間、乗車区間、氏名、年齢、等の所望の個別情報をコンピュータ端末から出力して使用する。また、これらの所望の個別情報を磁気記録にも記録しておけば、印字表示と磁気記録の両情報を比較することで、偽造や変造の事実を確認でき、セキュリティ性を高められる。
該個別情報は、従来の印字法である熱溶融転写型プリンタ(熱溶融型プリンタ、熱転写プリンタともいう)では、熱溶融型インクリボンを用いるが、本発明ではインクリボンは要らないので、コストが安い。
【0059】
(サーマルプリンタ)サーマルプリンタは、感熱印字ヘッド(以下、プリンタヘッド、又はサーマルヘッドと称す)とプラテンローラとが対向し、これらの間に印字記録媒体が挟持されている。これらは、回転するプラテンローラによって、プリンタヘッドに押し付けられて、回転に応じて走行する。感熱印字層33は、その上にあるオフセット印刷層35、OP層37とを経由して加熱されて、印字される。そして、プリンタヘッドの画像に応じた発熱素子が発熱して、選択的に加熱された感熱印字層が、ドット状に発色して、所定の情報画像が印字(表示)される。該印字の方式にはシリアル方式とライン方式があり、どちらも適用できる。プリンタヘッドには、レーザヒートモード熱ヘッド、光熱記録ヘッド、サーマルヘッドなどあり、いずれも適用できるが、好ましくは、サーマルヘッドである。サーマルヘッドは、情報信号に応じてドット状の発熱素子を発熱させて、感熱印字層を加熱することにより、情報を印字する、最も一般的なプリンタヘッドである。該プリンタヘッドの解像度に限定はなく、印字する情報の大きさなどで、適宜選択すればよい。通常、10dpi以上、好ましくは100dpi以上である。
【0060】
(印字濃度)以上説明してきたサーマルプリンタでドット状に加熱されて、所定の情報画像が印字(表示)される。該感熱印字層33の必要な事項は、使用する用途によって適宜選択すればよい。用途が定期券であれば、必要な事項としては、少なくとも有効期間、乗車区間、氏名である。また、その事項は駅務員や乗務員によって、目視確認されることがあるので、ある程度の印字濃度が必要であり、その印字のPCS値が0.5以上、好ましくは0.75以上である。PCS値が0.5以下では視認しにくく、また、PCS値が0.75以上あればバーコードリーダなどで機械読み取りもできる。
本発明では、感熱印字層が発色した印字の、下地ができるだけ光を散乱する構成として、コントラストを高められた。即ち、透明な光回折層、白色カード基材、及び部分的な印刷絵柄とすることで、印字とこれらの差をつけて、PCS値を確保した。
【0061】
(PCS値)表示の読み取りやすさは、商品管理に多用されているバーコードを読取装置(バーコードリーダ)で読み取る際の基準である、PCS値を引用する。バーコードの白バー(下地)と黒バー(表示部)とは、コントラストが高いほど、バーコードリーダで読み取りやすい。そこで、バーコードの光学的特性は、JIS−X−0501及びX−0502にて、PCS値(Print Contrast Signal)なる量が定義され、そのPCS値が或る一定以上の値でなければならない、と規定されている。該PCS値とは、バーコードのバーコードシンボル面の法線に対して、JIS−Z−8720に規定するA光源の45°の入射角度で照射された時の、白バー及びマージン部分の反射率と黒バーの反射率と、から算出される。白バー及びマージンの反射率をRL、黒バーの反射率をR0とすると、PCS値=(RL−R0)/RLとして定義される。JIS−X−0501では共通商品用バーコードシンボルとして必要な最小PCS値を白バーの反射率の関数として規定しており、またJIS−X−0502では物流商品用バーコードシンボルとして、白バーが段ボール等の下地の色となりうるため、JIS−X−0501よりもゆるい規格として、必要な最小PCS値を一定値の0.75と規定している。また、PCS値の測定は、反射濃度計マクベスPCM−2機(マクベス社製、商品名)を用いて測定される。
【0062】
【実施例】
(実施例1)
(a)少なくとも一方の面に磁気記録層を有する長尺帯状で白色のカード基材を準備する工程
(カード本体3の作製)厚さ188μmの白色ポリエチレンテレフタレートE20(東レ社製、片面易接着処理)の処理面へ、下記組成の組成物インキを、グラビアリバースコート法で、乾燥後の厚さが10μmになるように、塗布し乾燥し、さらに80℃で3日間エージングして、磁気記録層23を形成して、カード本体3とした。該カード本体3も、長尺の巻取り体である。
Figure 0004391081
【0063】
(b)別途、転写基材の一方の面に、少なくとも剥離層、光回折層、透明反射層、及び接着層を順次積層してなる転写箔を作成する工程
まず、転写基材11として、厚さ25μmのルミラーT60(東レ社製、ポリエステルフィルム商品名)を用いた。この一方の面へ、剥離ニス45−3(昭和インク社製、アクリル系樹脂の剥離インキ商品名)を固形分10質量%となるように溶剤で稀釈して、ロールコーティング法で、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し乾燥して、剥離層13を形成した。該剥離層13面へ、ユピマーLZ065(三菱化学社製、紫外線硬化樹脂商品名樹脂)を固形分25質量%となるように溶剤で稀釈して、リバースロールコーティング法で、乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し乾燥して、光回折層15を形成した。該光回折層15面へ、スタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する。別途レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンポスローラーに貼着して、150℃で相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯で波長が200〜400nmの紫外線を照射して硬化させた。該光回折層15面へ、真空蒸着法で、厚さが400nmになるように硫化亜鉛を蒸着して、透明反射層17を形成した。該透明反射層17面へ、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が25質量%、マイクロシリカ25質量%となるように溶剤で稀釈して、グラビア印刷法で、乾燥後の厚さが2μmになるように、全面に塗布し乾燥して、接着層19を形成して、転写箔1を得た。該転写箔1は、長尺の巻取り体である。
【0064】
(c)該転写箔を、前記カード基材の少なくとも一方の全面へラミネートし、前記転写箔の転写基材のみを剥離する工程
上記のカード本体3を、図4に図示する供給部43から繰り出し、上記転写箔1を供給部41から繰り出し、該カード本体3のPET面と該転写箔1の接着層19面とを、150℃の加熱した加熱ロール45と受けロール47との間で圧着して、転写基材11のみを剥離して除去した。
【0065】
(d)前記カード基材へ転写された、剥離層、光回折層、透明反射層及び接着層の、露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、感熱印字層を形成する工程
次に転写基材11が剥離されて露出した剥離層13面へ、下記組成のプライマ層組成物インキを、ロールコート法で、乾燥後の厚さが1μmになるように、塗布し乾燥し、さらに50℃で2日間エージングして、プライマ層31を形成した。
Figure 0004391081
続いて、プライマ層31面へ、下記組成の感熱印字層組成物インキを、リバースロールコート法で、乾燥後の厚さが3μmになるように、塗布し乾燥し、さらに50℃で2日間エージングして、感熱印字層33を形成した。
感熱印字組成物インキとしては、まず、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン25部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液80部と共にボールミルで24時間粉砕し、染料前駆体分散液を得た。次いで、4´−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリド63部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液200部と共にボールミルで24時間粉砕し、可逆顕色剤分散液を得た。得られた2種の分散液を混合し、10%ポリビニルアルコール水溶液130部を添加し十分に撹拌して、感熱印字組成物インキとした。
【0066】
(e)該感熱印字層が形成された長尺帯状のカード基材をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シート状態とする工程
長尺で帯状態を公知のシートカット機で、複数のカードを面付けした大判状態へシートカットした。そして、該カード本体3の磁気記録層23面へ、公知の白グラビアインキで、グラビア印刷法で、ご使用上の注意文を印刷して、印刷層27とした。該印刷層27面へ、白色着色料を取り除いた無色の印刷層27インキで、グラビア印刷法で、全面に印刷して、保護層29とした。
【0067】
(f)前記感熱印字層上へ、必要に応じてプライマ層を介して、オフセット印刷法で印刷層を形成する工程
該感熱印字層33の表面に、下記組成のプライマ層組成物インキを、ロールコート法で、乾燥後の厚さが1μmになるように、塗布し乾燥し、さらに50℃で2日間エージングして、プライマ層を形成した。
Figure 0004391081
続いて、該プライマ層面へ、黄、赤、藍、墨色のUVカルトンインキ(ザ・インクテック社製、UVオフセットインキ商品名)を用いて、UVオフセット印刷法で、会社名及びロゴをデフォルトした迷彩模様とした絵柄を印刷して、オフセット印刷層35とし、同時に、無色のUVカルトンOPインキ(ザ・インクテック社製、UVオフセットインキ商品名)を用いて、UVオフセット印刷法で、全面に印刷して、OP層37とした後に、紫外線を照射して硬化させた。
【0068】
(g)カードサイズへ打抜いてカードとする工程
次いで、この積層基材を定期券サイズに打抜いて、実施例1の印字記録媒体を得た。
【0069】
(実施例2)
光回折層の材料として、ユピマーLZ065の代わりに、SUZ600(ザ・インクテック社製、紫外線硬化樹脂商品名)を用い、また、レリーフを賦形するスタンパとして、別途電子線を用いて描画したマスター回析格子を用いて作ったマスターレリーフから、2P法で複製したスタンパを用い、さらに、透明反射層17の材料として硫化亜鉛を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印字記録媒体を得た。
【0070】
(試験発行)実施例1及び実施例2の印字記録媒体を、定期券テスト発行機でテスト発行した。磁気記録層へ、乗車駅名、降車駅名、有効期限、氏名の個別情報を記録し、同時に感熱印字層へ、サーマルプリンタで、0.6mj/ドットの印字エネルギーを印加したところ、乗車駅名、降車駅名、有効期限、氏名の個別情報が印字でき、目視で十分に判読できた。
【0071】
(評価)印字は良好で、実施例1及び実施例2の印字記録媒体ともにPCS値は0.55で、目視で良好に判読することができた。また、実施例1及び実施例2の印字記録媒体ともにカラーコピー機でコピーしても、ホログラム又は回折格子の部分は再現されずに、コピー品は一目で偽造品を判った。さらに、有効期限を改竄すべく、消しゴムで消そうとしたが印字は積層体の中間に位置しているために消せず、改竄することができなかった。さらにまた、印字記録媒体を、自動改札テスト機へ通過されたところ、ゲートが開き磁気情報は正常に読み取れた。
【0072】
【発明の効果】
本発明の定期券などの感熱印字記録媒体によれば、(1)光回折層の画像で意匠性及びセキュリティ性を高め、該光回折層上へ地紋などの印刷層を設けてさらにセキュリティ性を高め、(2)光回折層上へプライマ層を介して感熱印字記録層を設けて、強固な接着力で耐久性を高め、(3)該感熱印字記録層へサーマルプリンタで個別の可変情報を印字でき、しかも下地とコントラストが高く判読しやすい。
また、該感熱印字層33には使用する用途によって、必要な所望事項を適宜選択して可変に印字することができる。その印字のPCS値が高いので、目視でも十分に視認でき、機械読み取りにも対応できる。
さらにまた、少なくとも1つの印字した個別情報を、不可視な磁気記録にも記録しておけば、印字表示情報と磁気記録情報とを比較することで、偽造や変造の事実を確認でき、さらにセキュリティ性を高められる。
【0073】
本発明の感熱印字記録媒体の製造方法によれば、既存の設備で、高意匠性とセキュリティ性を合わせ持つ生カードを予め大量生産でき、セキュリティ性が高いが、高価で使用しにくいホログラムを、安価に適用することができる。
また、印刷層、オフセット印刷層などの文言は発行会社毎に異なるので、会社毎に最初の工程から製造していては生産効率がすこぶる悪い。しかし、本発明によれば、一旦、個別の情報や絵柄を除いた、印字記録媒体としての機能的な部分を先行して、大量に製造しておいて、その中の1部を用いて、発行会社毎の個別の情報の印字や、地紋や絵柄をオフセット印刷層などを個別に製造できるので、極めて生産効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。
【図2】 本発明の他の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。
【図3】 転写箔の転写層のカード本体への転写状況を説明する説明図である。
【図4】 従来の転写方法を説明する説明図である。
【図5】 本発明で使用する転写方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 転写箔
3 カード本体
11 転写基材
13 剥離層
15 光回折層
17 透明反射層
19 接着層
21 カ−ド基材
23 磁気記録層
25 プライマ層
27 印刷層
29 保護層
31 プライマ層
33 感熱印字層
35 オフセット印刷層
37 OP層
41、43 供給部
45 加熱ロール
47 受けロール
49 巻上げ部
51 隔離部
53 剥離された転写基材
55 転写層

Claims (5)

  1. (a)少なくとも一方の面に磁気記録層を有する長尺帯状で白色のカード基材を準備する工程と、(b)別途、転写基材の一方の面に、少なくとも剥離層、光回折層、透明反射層、及び接着層を順次積層してなる転写箔を作成する工程と、(c)該転写箔を、前記カード基材の少なくとも一方の全面へラミネートし、前記転写箔の転写基材のみを剥離する工程と、(d)前記カード基材へ転写された、剥離層、光回折層、透明反射層及び接着層の、露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、感熱印字層を形成する工程と、(e)該感熱印字層が形成された長尺帯状のカード基材をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シート状態とする工程と、(f)前記感熱印字層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成する工程と、(g)カードサイズへ打抜いてカードとする工程と、からなることを特徴とする感熱印字記録媒体の製造方法。
  2. (a)少なくとも一方の面に磁気記録層を有する長尺帯状で白色のカード基材を準備する工程と、(b)別途、転写基材の一方の面に、少なくとも剥離層、光回折層、透明反射層、及び接着層を順次積層してなる転写箔を作成する工程と、(c)該転写箔を、前記カード基材の少なくとも一方の全面へラミネートし、前記転写箔の転写基材のみを剥離する工程と、(d)前記カード基材へ転写された、剥離層、光回折層、透明反射層及び接着層の、露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、感熱印字層を形成する工程と、(e)該感熱印字層が形成された長尺帯状のカード基材をシートカットして、複数のカードが面付けされた大判シート状態とする工程と、(f)前記感熱印字層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成する工程と、(g)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、から製造することを特徴とする感熱印字記録媒体。
  3. 上記光回折層がホログラム又は回折格子であり、かつ、上記感熱印字層へサーマルプリンタで所望事項が印字されていることを特徴とする請求項2記載の感熱印字記録媒体。
  4. 上記所望事項が少なくとも有効期間、乗車区間、及び氏名であり、該所望事項の印字色が少なくとも黒色を含み、該黒色のPCS値が0.5以上であることを特徴とする請求項3に記載の定期券。
  5. 印字情報と磁気記録情報とが関連付けられていることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の定期券。
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