以下、本発明のタグテープ及び印字済みタグラベル用テープの一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のタグテープの一実施形態を用いてタグラベルを作成するタグラベル作成装置を備えた無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システムTSにおいて、タグラベル作成装置1は、有線あるいは無線による通信回線NWを介してルートサーバRS、複数の情報サーバIS、端末118a、及び汎用コンピュータ118bに接続されている。なお、端末118a及び汎用コンピュータ118bを総称して以下適宜、単に「PC118」と称する。
図2は、上記タグラベル作成装置1の全体構造を表す斜視図である。
図2において、タグラベル作成装置1は、上記PC118に接続されてPC118からの操作に基づき所望の印字つき無線タグラベルを作成するものであり、装置本体2と、この装置本体2の上面に開閉可能に設けられた開閉蓋3とを有している。
装置本体2は、手前側(図2中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された無線タグラベルT(後述)を外部に排出するラベル排出口11(排出口)を備えた側壁10(筐体)と、この側壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された側蓋12とを備えている。
側蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで側蓋12が前方に開放されるようになっている。また、側壁3aのうち上記開閉ボタン4の下方には、タグラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源ボタン14が設けられている。この電源ボタン14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動するためのカッター駆動ボタン16が設けられ、このボタン16が押されることで印字済みタグラベル用テープ109(後述)を所望の長さにカットして無線タグラベルTを作成するようになっている。
開閉蓋3は、装置本体2の図2中右奥側の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン4が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の作用により開放される。なお、開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓5が設けられている。
図3は、タグラベル作成装置1の内部の内部ユニット20の構造(但し後述するループアンテナLCは省略)を表す斜視図である。図3において、内部ユニット20は、概略的には、カートリッジ7(無線タグ回路素子収容体)を収納するカートリッジホルダ6(収容体ホルダ)と、印字ヘッド(サーマルヘッド)23を備えた印字機構21と、切断機構15(切断手段)と、ハーフカットユニット35(後述の図4参照)と、生成された無線タグラベルT(後述の図18参照)をラベル排出口11(図2参照)より排出するラベル排出機構22とを備えている。
図4は、図3に示した内部ユニット20の構造を表す平面図であり、図5は、上記カートリッジ7の詳細構造を模式的に表す拡大平面図である。
これら図4及び図5において、上記カートリッジホルダ6は、ラベル排出口11から排出される印字済みタグラベル用テープ109の幅方向の向きが、垂直方向となるようにカートリッジ7を収納する。カートリッジ7は、筐体7Aと、この筐体7A内に配置され帯状の基材テープ101(タグテープ)が巻回された第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103(被印字テープ)が巻回された第2ロール104と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、カートリッジ7のテープ排出部30の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ27と、搬送位置規制手段として機能するガイドローラ112とを有する。
テープ送りローラ27は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープ109としつつ、矢印Aで示す方向にテープ送りを行う(=圧着ローラとしても機能する)。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では5層構造となっており(図5中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図5中右側)よりその反対側(図5中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a(貼り合わせ用粘着材層)、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b(第1テープ基材層)、適宜の粘着材からなる粘着層101e(第1取り付け用粘着材層)、適宜の粘着材からなる粘着層101c(第1貼り付け用粘着材層)、剥離紙101d(第1剥離材層)の順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101bの裏側(図5中左側)には、ループコイル形状に構成され情報の送受信を行うループアンテナ152(アンテナ)が上記粘着層101eを介して設けられており、これに接続するように情報を記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
ベースフィルム101bの表側(図5中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図5中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101e及び粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド23に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27は、それぞれカートリッジ7外に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ119(図3及び後述の図15参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介しリボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108に伝達されることによって連動して回転駆動される。
一方、多数の発熱素子を備えた上記印字ヘッド23が、カートリッジホルダ6に立設されたヘッド取付部24に取り付けられて、テープ送りローラ27よりカバーフィルム103の搬送方向上流側に配置されている。
また、カートリッジホルダ6のうちカートリッジ7の前方(図4中、下側)には、ローラホルダ25が支持軸29により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置(当接位置、図4参照)とリリース位置(離反位置)とに切換可能とされている。このローラホルダ25には、プラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が回転可能に配設されており、ローラホルダ25が上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が上記印字ヘッド23及び上記テープ送りローラ27に対し圧接されるようになっている。
上記構成において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、テープ送りローラ27へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されリボン供給側ロール111とリボン巻取りローラ106とにより駆動されるインクリボン105が、上記印字ヘッド23に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
そして、カートリッジ7が上記カートリッジホルダ6に装着されロールホルダ25が上記リリース位置から上記印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ27と圧着ローラ28との間に狭持される。そして、搬送用モータ119の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27が矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記圧着ローラ28及びプラテンローラ26はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、圧着ローラ28、及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ27へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、印刷駆動回路120(後述の図15参照)により印字ヘッド23の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に、貼り合わせ対象となる基材テープ101上の無線タグ回路素子Toに対応した印字R(後述の図18参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及び圧着ローラ28により接着されて一体化されて印字済タグラベル用テープ109として形成され、テープ排出部30よりカートリッジ7外へと搬出される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
なお、カートリッジ7の上記筐体7Aの上面には、例えば、カートリッジ7内に内蔵されている上記基材テープ101のテープ幅、テープの色等を表示するテープ特定表示部8が設けられている。カートリッジ7をカートリッジホルダ6に装着して開閉蓋3を閉じると、前述の透視窓5とテープ特定表示部8とが相互に対向し、透視窓5の透明カバーを介してテープ特定表示部8を装置本体2の外部から視認できる。これにより、カートリッジホルダ6に装着されているカートリッジ7の種類等を装置本体2の外部から透視窓5を介して容易に視認できるようになっている。
一方、前述したように、内部ユニット20には、上記切断機構15と、上記ラベル排出機構22とが備えられ、さらに、基材テープ101(貼り合わせ後は印字済みタグラベル用テープ、以下同様)に備えられた無線タグ回路素子Toに対し無線通信を介し情報読み取り又は書き込みを行うループアンテナLC(送受信手段)が備えられている。そして、上述のように貼り合わされて生成された印字済みタグラベル用テープ109に対しループアンテナLCにより無線タグ回路素子Toに情報読み取り又は書き込みが行われた後、自動的にあるいは上記カッター駆動ボタン16(図2参照)を操作することにより切断機構15によって印字済みタグラベル用テープ109が切断されて無線タグラベルTが生成される。この無線タグラベルTは、その後さらにラベル排出機構22によって側壁3a(図2参照)に形成されたラベル排出口11から排出されるようになっている。
上記切断機構15は、固定刃40と、金属部材で構成されこの固定刃40とともにカット動作を行う可動刃41と、この可動刃41に連結されるカッターハスバギヤ42(図3参照)と、このカッターハスバギヤ42にギヤ列により連結されるカッターモータ43(図3参照)とを備えている。
上記ラベル排出機構22は、装置本体2の側壁3aに設けられたラベル排出口11の近傍に配設され、切断機構15において切断された後の印字済みタグラベル用テープ109(言い換えれば無線タグラベルT、以下同様)をラベル排出口11から強制的に排出するための排出手段としての機能を有するとともに、ラベル排出口11の近傍位置(詳細にはループアンテナLCによる情報読み取り又は書き込み位置)における印字済みタグラベル用テープ109の搬送位置を規制する位置規制手段としての機能を有する。すなわち、ラベル排出機構22は、駆動ローラ51(搬送手段)と、この駆動ローラ51に対して印字済みタグラベル用テープ109を挟んで対向する押圧ローラ52と、この押圧ローラ52を印字済みタグラベル用テープ109に対して押圧し、またはその押圧を解除するように作動される押圧作動機構部53(図3参照)と、この押圧作動機構部53の押圧解除動作に連動して、駆動ローラ51により印字済みタグラベル用テープ109を排出するように回転させるための排出駆動機構部54(図3参照)とを備えている。
このとき、上記ラベル排出口11の内側には、印字済みタグラベル用テープ109をラベル排出口11へ案内するための第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64が設けられている(図4参照)。第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64はそれぞれ一体に形成され、上記固定刃40と可動刃41とでカットされた印字済みタグラベル用テープ109の排出位置において、互いに所定の間隔を隔てられるように配置されている。
押圧作動機構部53は、前述の図3に示すように、ローラ支持ホルダ57(アーム部材)と、ローラ支持ホルダ57に取り付けられ、先端部に押圧ローラ52を保持するローラ支持部58(アーム部材)と、ローラ支持ホルダ57を回動可能に支持するホルダ支持部59と、切断機構15に連動して押圧作動機構部53を駆動するカム60と、付勢バネ61とから構成されている。
ローラ支持部58は、この押圧ローラ52をその上下方向から挟み込むようにして回転自在に支持されている。そして、ローラ支持ホルダ57がカッターハスバギヤ42の回転により、カム60を通してホルダ支持軸59を中心に反時計回り(図3中、矢印71方向)に回動することで、押圧ローラ52は印字済みタグラベル用テープ109に対して押圧される。また再びカッターハスバギヤ42を回転させると、付勢バネ61によりホルダ支持軸59は先ほどと逆方向に回動し、押圧ローラ52は印字済みタグラベル用テープ109から離間される。
排出駆動機構部54は、テープ排出モータ65とギヤ列66とからなり、押圧ローラ52によって印字済みタグラベル用テープ109が駆動ローラ51に押圧された後に、テープ排出モータ65を駆動させ、駆動ローラ51を印字済みタグラベル用テープ109の排出方向へ回転させることによって、印字済みタグラベル用テープ109が強制的に排出方向に排出される。
図6は、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101に備えられる無線タグ回路素子Toの概念的構成を表す、図5中矢印D方向から見た概念図である。この図6において、無線タグ回路素子Toは、長手方向の長さがLであるところのループコイル形状に構成され情報の送受信を行う上記ループアンテナ152と、これに接続され情報を記憶するIC回路部151とから構成されている。
図7は、ラベル排出機構22の要部詳細構造を表す部分抽出斜視図である。図7において、上記第1案内壁55,56の上下方向途中部が切り欠かれ、一方の第1案内壁55には、上記駆動ローラ51が、切欠部から印字済みタグラベル用テープ109の排出位置に臨むようにして設けられている。なお、駆動ローラ51は、その上面に同心円状の溝により形成されたローラ切り欠き部51Aを有する。一方、他方の第1案内壁56には、押圧ローラ52が、切欠部から印字済みタグラベル用テープ109の排出位置に臨むようにして、押圧作動機構部53の上記ローラ支持部58に支持されている。
ループアンテナLC(図7には想像線で概念的に示す)は、上記押圧ローラ52をその径方向中心(径方向内側。詳細には後述するコイル中心軸X上)に位置させるようにしつつ当該押圧ローラ52の近傍に配置されており、磁気誘導(電磁誘導、磁気結合、その他電磁界を介して行われる非接触方式を含む)により上記印字済みタグラベル用テープ109に備えられる無線タグ回路素子Toへのアクセス(情報読み取り又は情報書き込み)を行うようになっている。
図8は、図3に示した構造からラベル排出機構22を取り外した状態における内部ユニット20の外観を表す斜視図である。
図8において、上記カッターハスバギヤ42には、突起状に形成されたボス50が設けられ、このボス50が上記可動刃41の長孔49に挿入されるように構成されている(後述の図9や図10も参照)。また、テープ排出方向に沿って固定刃40及び可動刃41の下流側には、固定刃40及び可動刃41と第1案内壁55,56(図4参照)との間に位置するように、ハーフカットユニット35が取り付けられている。
ハーフカットユニット35は、固定刃40に合わせて配置される受け台38と、この受け台38と対向し可動刃41側に配置されるハーフカッタ34と、固定刃40と受け台38との間に固定刃40と合わせて配置される第1ガイド部36と、この第1ガイド部36と対向し可動刃41と合わせて配置される第2ガイド部37とから構成される(後述の図11も参照)。
第1ガイド部36及び第2ガイド部37は一体に構成され、固定刃40の固定孔40A(後述の図11参照)に対応する位置に設けられたガイド固定部36Aにより固定刃40とともに側板44(図4参照)に取り付けられている。
受け台38は、テープ排出部30より排出される印字済みタグラベル用テープ109に対向する端部がテープに平行になるように折曲され、受け面38Bを形成している。ここで、印字済みタグラベル用テープ109は、前述のように、カバーフィルム103と、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、剥離紙101dからなる5層構造の基材テープ101が貼り合わされることで6層構造となっている(後述の図19も参照)。そして、上記ハーフカッタ34を受け面38Bに押し付けることにより、ハーフカッタ34と受け面38Bとの間にある印字済みタグラベル用テープ109は、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101cは切断されるが、剥離紙101dのみが切り残された状態となる。この受け面38Bは、第1案内部55、56とともに印字済みタグラベル用テープ109をラベル排出口11へ案内する役割も有する。
図9及び図10は、内部ユニット20より上記ハーフカッタ34を除去した、切断機構15の外観を表す斜視図である。
これら図9及び図10において、切断機構15では、カッターモータ43(図3参照)によりカッターハスバギヤ42が回転した際に、可動刃41がボス50と長孔49により軸孔48を支点として揺動し、印字済みタグラベル用テープ109がカットされるようになっている。
すなわちまず、カッターハスバギヤ42のボス50が内側(図9中、左側)に位置する場合においては可動刃41は固定刃40から離れて位置する(以下この状態を初期状態とする。図9参照)。そして、この初期状態においてカッターモータ43が駆動し、カッターハスバギヤ42が反時計回り(矢印70方向)に回転すると、ボス50が外側に移動するとともに、可動刃41は軸孔48を中心に反時計回り(矢印73方向)に回動し、内部ユニット20に固定された固定刃40とで印字済みタグラベル用テープ109を切断する(以下この状態を切断状態とする。図10参照)。
このようにして印字済みタグラベル用テープ109を切断して無線タグラベルを生成した後には、次回搬送される印字済みタグラベル用テープ109を切断するために可動刃41を初期状態に戻す必要がある。従って、再びカッターモータ43を駆動し、カッターハスバギヤ42を反時計回り(矢印70方向)に回転させることで、再びボス50が内側に移動するとともに、可動刃41は時計回り(矢印74方向)に回動し、可動刃41を固定刃40から離間させる(図9参照)。そして、次回、カートリッジ7より印字され搬送される印字済みタグラベル用テープ109を切断可能な状態となる。
なおこのとき、カッターハスバギヤ42の円筒外壁上にはカッターハスバギヤ用カム42Aが設けられ、カッターモータ43によりカッターハスバギヤ42が回転すると、カッターハスバギヤ用カム42Aの作用によりカッターハスバギヤ42に隣接して設けられたマイクロスイッチ126がオフ状態からオン状態に切り替わる。それにより、印字済みタグラベル用テープ109の切断状態が検出されるようになっている。
図11は、上記可動刃41及び固定刃40の詳細構造を上記ハーフカットユニット35ともに表す斜視図であり、図12はその部分拡大断面図である。これら図11及び図12において、固定刃40は、印字機構15内のカートリッジホルダ6の左側において起立状に設けられる側板44(図4参照)に固定孔40Aを通して固定手段であるネジ等により固定されている。
可動刃41は、略V字状をなし、切断部分に設けられた刃部45と刃部45の反対に位置する柄部46と屈曲部47とから構成される。屈曲部47には上記軸孔48が設けられ、この屈曲部47を支点として可動刃41が回動できるように軸孔48にて側板44に支持されている。また、可動刃41の切断部分に設けられた刃部45の反対側の柄部46に上記長孔49が形成されている。刃部45は2段刃により形成されており、その刃面は刃部45の厚みを徐々に薄くする第1傾斜面45Aと第2傾斜面45Bの傾斜角度の異なる2つの傾斜面により構成されている。
一方、前述のハーフカットユニット35の上記第1ガイド部36のうち、排出される印字済みタグラベル用テープ109に対向する端部36Bは、上記受け台38の端部に形成された受け面38Bに沿って突出され、且つ印字済みタグラベル用テープ109の排出方向へ折曲されている。従って、第1ガイド部36の端部36Bは、カートリッジ7より排出される印字済みタグラベル用テープ109に対する接面36Cにおいて印字済みタグラベル用テープ109排出方向に対して滑らかな曲面を有する。
第1ガイド部36の端部36Bを突出させ接面36Cを曲面としたことにより、一定曲率以上にカールした印字済みタグラベル用テープ109の先端部は、先ず第1ガイド部36の接面36Cに当たる。その際に、印字済みタグラベル用テープ109の先端部が第1ガイド部の接面36C上の境界点75より印字済みタグラベル用テープ109の排出方向の下流側(図12中、下方向)に当たった場合には、印字済みタグラベル用テープ109の先端部はその曲面に沿って下流側へ移動することで、固定刃40と第1ガイド部36や受け台38の間に侵入することなく、ラベル排出口11方向へ導くようになっている。
また、第1ガイド部36は、その印字済みタグラベル用テープ109の搬送経路にあたるガイド幅L1(図11参照)は装着される印字済みタグラベル用テープ109の最大幅(本実施形態では36mm)より大きくなるように形成されるとともに、内部面36Dが接面36Cに連続して形成されている。内部面36Dは、可動刃41の第1及び第2傾斜面45A,45B(詳細は後述)に対向して形成され、切断時において、可動刃41の第1及び第2傾斜面45A、45Bの一部が当接される(図12参照)。可動刃41は刃部が2段刃により形成されているので、可動刃41によって印字済みタグラベル用テープ109を切断した際に、第1ガイド部36の端部にあたる接面36C及び内部面36Dと可動刃41の第2傾斜面45Bとの間に間隙39が形成される(図12参照)ようになっている。
図13は上記可動刃41の外観を示す正面図であり、図14は図13中A−A断面による横断面図である。
これら図13及び図14において、本実施形態において第1傾斜面45Aは、刃部45の第1傾斜面45Aとは反対側の背面とのなす角度が50度となっている。
図15は、本実施形態のタグラベル作成装置1の制御系を表す機能ブロック図である。図15において、このタグラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上には、制御回路110が配置されている。
制御回路110には、内部にタイマ111Aを備え各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インタフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。
CGROM114には、多数のキャラクタの各々に関して、表示のためのドットパターンデータがコードデータに対応させて格納されている。
ROM(ドットパターンデータメモリ)115には、アルファベット文字や記号等のキャラクタを印字するための多数のキャラクタ各々に関して、印字用ドットパターンデータが、書体(ゴシック系書体、明朝体書体等)毎に分類され、各書体毎に印字文字サイズ分、コードデータに対応させて格納されている。また、階調表現を含むグラフィック画像を印字するためのグラフィックパターンデータも記憶されている。
ROM116には、上記PC118から入力された文字や数字等のキャラクタのコードデータに対応させて、印字バッファのデータを読み出して上記印字ヘッド23、搬送用モータ119、テープ排出モータ65を駆動する印字駆動制御プログラム、各印字ドットの形成エネルギ量に対応するパルス数を決定するパルス数決定プログラム、印字終了した場合に印字済みタグラベル用テープ109を切断位置まで搬送用モータ119を駆動して搬送し、上記カッターモータ43を駆動して印字済みタグラベル用テープ109を切断する切断駆動制御プログラム、切断された印字済みタグラベル用テープ109(=無線タグラベルT)をテープ排出モータ65を駆動してラベル排出口11から強制的に排出するテープ排出プログラム、その他タグラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117E等が設けられている。テキストメモリ117Aには、PC118から入力された文書データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納され、印字ヘッド23はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Eには、各種演算データが記憶される。
入出力インタフェース113には、PC118と、印字ヘッド23を駆動するための上記印刷駆動回路120と、搬送用モータ119を駆動するための搬送用モータ駆動回路121と、カッターモータ43を駆動するためのカッターモータ駆動回路122と、テープ排出モータ65を駆動するためのテープ排出モータ駆動回路123と、上記ループアンテナLCを介して無線タグ回路素子Toにアクセスする(読取り/書込みを行う)ための搬送波を発生させるとともに、上記制御回路110から入力される制御信号に基づいて上記搬送波を変調する上記送信回路306と、無線タグ回路素子Toから上記ループアンテナLCを介して受信された応答信号の復調を行い、上記制御回路110に出力する上記受信回路307と、テープカットセンサ124と、カットリリース検出センサ125とが各々接続されている。
このような制御回路110を核とする制御系において、PC118を介して文字データ等が入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド23が駆動回路120を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ119が駆動回路121を介してテープの搬送制御を行う。また、送信回路306が制御回路110からの制御信号に基づき搬送波の変調制御を行うとともに、受信回路307は制御回路110からの制御信号に基づき復調した信号の処理を行う。
また、テープカットセンサ124及びカットリリース検出センサ125は、カッターハスバギヤ42の円筒外壁上に設けられたカッターハスバギヤ用カム42Aとマイクロスイッチ126とから構成されている(図9、図10参照)。具体的には、カッターモータ43によりカッターハスバギヤ42が回転すると、カッターハスバギヤ用カム42Aの作用によりマイクロスイッチ126がオフ状態からオン状態に切り替わり、可動刃45による印字済みタグラベル用テープ109の切断が完了したことを検出する。このことにより、テープカットセンサ124が構成される。また、更にカッターハスバギヤ42が回転すると、カッターハスバギヤ用カム42Aの作用によりマイクロスイッチ126がオン状態からオフ状態に切り替わり、可動刃45がリリース位置に戻ったことを検出する。このことにより、カットリリース検出センサ125が構成される。
図16は、上記送信回路306、受信回路307とループアンテナLCとの接続部分の回路構成を簡略的に表す回路図である。この図16において、送信回路306は装置側ループアンテナLCに接続され、また受信回路307は装置側ループアンテナLCと直列に接続されたコンデンサ310に接続されている。
図17は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図17において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置1側のループアンテナLCと磁気誘導により非接触で信号の送受信を行う上記ループアンテナ152と、このループアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、ループアンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記ループアンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記ループアンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、ループアンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置1のループアンテナLCからの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、ループアンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図18(a)及び図18(b)は、上述のような構成であるタグラベル作成装置1により無線タグ回路素子Toの情報書き込み(又は読み取り)及び印字済タグラベル用テープ109の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図18(a)は上面図、図18(b)は下面図である。また図19は、図18中XX−XX′断面による横断面図である。
これら図18(a)、図18(b)、及び図19において、無線タグラベルTは、前述したように図5に示した5層構造にカバーフィルム103が加わった6層構造となっており、カバーフィルム103側(図20中上側)よりその反対側(図20中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、粘着層101e、剥離紙101dで6層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたループアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101e及び粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図20は、上述したようなタグラベル作成装置1による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(読み取り又は書き込み)に際して、上記PC118(端末118a又は汎用コンピュータ118b)に表示される画面の一例を表す図である。
図20において、この例では、タグラベルの種別(アクセス周波数及びテープ寸法)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有の識別情報(タグID)であるアクセス(読み取り又は書き込み)ID、上記情報サーバISに記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバRSにおけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が上記PC118に表示可能となっている。そして、そのPC118の操作によりタグタグラベル作成装置1が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、IC回路部151に上記書き込みIDや物品情報等の情報が書き込まれる(又はIC回路部151に予め記憶された読み取りIDや物品情報等の情報が読みとられる)。
なお、上記のような読み取り又は書き込みの際、生成された無線タグラベルTの無線タグ回路素子ToのタグIDとその無線タグラベルTのIC回路部151から読みとられた情報(又はIC回路部151に書き込まれた情報)との対応関係は、前述のルートサーバRSに記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
以上の基本構成において、本実施形態の最も大きな特徴は、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101の各層(上記粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、及び剥離紙101d)の厚さ方向寸法の合計の割合cが、0.8≦c≦8.2となるように基材テープ101の各層及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法を設定したことにある。以下、その詳細について説明する。
上記基材テープ101のように内部に無線タグ回路素子Toを有する構成の場合、基材テープ101中における各無線タグ回路素子Toの配置部位では、基材テープ101を構成する層(すなわち上記粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、及び剥離紙101d)が無線タグ回路素子Toを迂回するように厚さ方向両側にそれぞれ曲がって延設されることになる。このとき、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合が小さいと上記曲がりが大きくなり、各無線タグ回路素子Toの配置部位で基材テープ101にしわが発生する可能性がある。一方で、上述したように基材テープ101はカートリッジ7内において第1ロール102としてロール状に巻回されるとともに、ラベル作成時には第1ロール102から繰り出されて搬送経路を転向されながら搬送されるため、テープ全体の厚さが大きくなりすぎると巻回時のテープの内外周差が増大してしわが発生しやすくなったり、剛性が強すぎて上記のロール状の巻回作業や搬送経路の転向等が困難となるおそれがある。したがって、基材テープ101のしわの発生を抑制し、かつロール状に巻回して搬送経路を容易に転向しつつ使用するためには、上記の無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合cを適正範囲に設定する必要がある。
そこで、本願発明者等は、上記構成のタグラベル作成装置1を用いて、上記の無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合cを種々変更させながら各種タグラベルを作成し、上記しわの発生や剛性についての検討を行った。以下、この検討結果について説明する。
図21は、上記割合cを大きめに設定した場合(以下「案1」とする)における印字済みタグラベル用テープ109A(基材テープ101A)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c及びc′を示した図である。
この図21に示すように、当該案1では、基材テープ101Aは、表側(図21中上側)より粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、この粘着層101eと協働して無線タグ回路素子Toを挟み込むための粘着層101g(第2取り付け用粘着材層)、ベースフィルム101f(第2テープ基材層)、粘着層101c、及び剥離紙101dから構成され、上記粘着層101eと粘着層101gとの間に無線タグ回路素子Toが挟まれるように設けられる。そして、上記構成の基材テープ101Aの表側に、粘着層101aを介してカバーフィルム103が接着され、印字済みタグラベル用テープ109Aが形成されている。
本願発明者等は、上記各層の厚さ方向寸法を図に示す最小値から最大値の間(単位はμm)で変化させつつ、構成したタグテープを用いて印字済みタグラベル用テープ109A(無線タグラベルT)の作成を行った。そして、それぞれについてしわの発生や剛性についての検討を行った。
ここで、上記の無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合cは、c=(B+D+E)/Cで算出される。また、カバーフィルム103の厚さ方向寸法も含めた場合、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c′は、c′=(A+B+D+E)/Cで算出される。なおこのとき、Aはカバーフィルム103の厚さ方向寸法、Bは上記粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101eの厚さ方向寸法を合計した値、Dは上記粘着層101g、ベースフィルム101f、及び粘着層101cの厚さ方向寸法を合計した値、Eは上記剥離紙101dの厚さ方向寸法、Cは無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法である。当該案1の構成においては、上記割合cの最小値は1.0(カバーフィルム厚さを含めた割合c′の最小値は1.4)、最大値は8.9(カバーフィルム厚さを含めた割合c′の最大値は10.5)となる。
当該案1における検討の結果、上記割合cが最大値8.9(割合c′は10.5)となる構成では、通常の状態(平坦に延ばした状態)ではしわは発生しないが、基材テープ101Aの厚さが大きくなりすぎるため、第1ロール102として巻回する際のテープの内外周差が増大してしわが発生しやすくなった。また、基材テープ101A(印字済みタグラベル用テープ109A)の剛性が過剰となり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等が円滑に行われなくなった。さらに、基材テープ101Aの厚さが過剰となることから、当該基材テープ101Aを巻回した第1ロール102のカートリッジ筐体7Aへの収納が容易でなくなるという問題もあった。一方、上記割合cが最小値1.0(割合c′は1.4)となる構成では、通常の状態でしわは発生せず、また基材テープ101Aの厚さも比較的小さいことからロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに剛性も小さいことから、基材テープ101Aのロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
図22は、上記割合cを比較的大きめに設定した場合(以下「案2」とする)における印字済みタグラベル用テープ109B(基材テープ101B)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c及びc′を示した図である。
この図22に示すように、当該案2の基材テープ101B(印字済みタグラベル用テープ109B)は、上述した案1の基材テープ101A(印字済みタグラベル用テープ109A)と同様の層構造であるが、粘着層101a,101e,101g,101c及びベースフィルム101fの厚さ方向寸法の最大値を小さく設定している。その他の構成は、上記基材テープ101A(印字済みタグラベル用テープ109A)と同様である。
当該案2の構成における検討の結果、上記割合cが最大値8.2(割合c′は9.8)となる構成及び割合cが最小値1.0(割合c′は1.4)となる構成の双方において、通常の状態で基材テープ101B(印字済みタグラベル用テープ109B)にしわは発生せず、また基材テープ101Bをロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101B(印字済みタグラベル用テープ109B)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
なお、以上において、粘着層101a、ベースフィルム101b及び粘着層101eは、特許請求の範囲各項記載の第1テープ媒体を構成し、粘着層101g、ベースフィルム101f、粘着層101c及び剥離紙101dは、特許請求の範囲各項記載の第2テープ媒体を構成する。
図23は、上記割合cを比較的小さめに設定した場合(以下「案3」とする)における印字済みタグラベル用テープ109D(基材テープ101D)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c及びc′を示した図である。
この図23に示すように、当該案3では、基材テープ101Dは、表側(図23中上側)より粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、及び剥離紙101dから構成され、上記粘着層101eと粘着層101cとの間に無線タグ回路素子Toが挟まれるように設けられる。そして、上記構成の基材テープ101Dの表側に、粘着層101aを介してカバーフィルム103が接着され、印字済みタグラベル用テープ109Dが形成されている。なお、当該案3の印字済みタグラベル用テープ109Dの各層の厚さ方向寸法については、上述した案2の印字済みタグラベル用テープ109Bの該当する各層と同様に設定されている。また、当該案3の構成が、上述の実施形態中で用いた基材テープ101(図5参照)及び作成された印字済みタグラベル用テープ109(または無線タグラベルT。図19参照)の層構造に相当し、上記基材テープ101及び印字済みタグラベル用テープ109(無線タグラベルT)の各層の厚さ方向寸法は、当該案3と同様に設定されている。
当該案3の構成における検討の結果、上記割合cが最大値6.4(割合c′は8.1)となる構成及び割合cが最小値0.8(割合c′は1.1)となる構成の双方において、通常の状態で基材テープ101D(印字済みタグラベル用テープ109D)にしわは発生せず、また基材テープ101Dをロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101D(印字済みタグラベル用テープ109D)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
なお、以上において、粘着層101c及び剥離紙101dは、特許請求の範囲各項記載の第2テープ媒体を構成する。
図24は、上記割合cを小さめに設定した場合(以下「案4」とする)における印字済みタグラベル用テープ109E(基材テープ101E)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c及びc′を示した図である。
この図24に示すように、当該案4の基材テープ101E(印字済みタグラベル用テープ109E)は、上述した案3の基材テープ101D(印字済みタグラベル用テープ109D)と同様の層構造であるが、粘着層101a,101e,101c及びベースフィルム101bの厚さ方向寸法の最小値と無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法の最大値とを小さく設定している。その他の構成は、上記基材テープ101D(印字済みタグラベル用テープ109D)と同様である。
当該案4における検討の結果、上記割合cが最大値6.4(割合c′は8.1)となる構成では、通常の状態で基材テープ101E(印字済みタグラベル用テープ109E)にしわは発生せず、また基材テープ101Eをロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101E(印字済みタグラベル用テープ109E)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。一方、上記割合cが最小値0.6(割合c′は0.9)となる構成では、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法がテープ厚さ方向寸法に対して大きくなりすぎるため、通常の状態で基材テープ101E(印字済みタグラベル用テープ109E)にしわが発生した。
図25は、以上説明した案1〜案4について本願発明者等が行った検討結果をまとめた表である。この図25に示すように、案1の構成ではしわの抑制及びテープ剛性の両方の観点について良好な結果が出ず、また案4の構成では剛性は適正化されたがしわの抑制については良好な結果が出なかった。しかしながら、案2及び案3の構成では、しわの抑制及びテープ剛性の両方の観点について良好な結果を出すことができた。以上から、本願発明者等は、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101の各層の厚さ方向寸法の合計の割合cが0.8≦c≦8.2(カバーフィルムの厚さを含めた場合には1.1≦c′≦9.8)となる場合に、しわを抑制でき且つテープ剛性が過剰とならずにロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができることを突き止めた。
上記構成である本実施形態のタグラベル作成装置1においては、カバーフィルム103の印字領域Sに対し印字ヘッド23で所定のラベル印字Rが行われ、このカバーフィルム103と、粘着層101cと、これを覆う剥離紙101dとの3層を含む積層構造の印字済みラベル用テープ109が搬送され、その印字済みラベル用テープ109に備えられる無線タグ回路素子Toに対し、ループアンテナLCから非接触で情報の送受信が行われ、情報の読み取り又は書き込みが実行されて、切断機構15でこの印字済みラベル用テープ109が所定長さに切断されて無線タグラベルTが作成される。
このとき、本実施形態のように、複数の層(上記粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、及び剥離紙101d)で複数の無線タグ回路素子Toを挟み込んで基材テープ101を構成する場合、基材テープ101中における各無線タグ回路素子Toの配置部位では、無線タグ回路素子Toを挟む分各層が無線タグ回路素子Toを迂回するように厚さ方向両側にそれぞれ曲がって延設されることとなり、無線タグ回路素子Toを配置しない部位に比べて基材テープ101のテープ全体の厚さ方向寸法が増大する。この各層の無線タグ回路素子Toを迂回するための曲がり具合が大きくなるほどあるいはテープ全体の厚さ方向寸法が減少するほど、基材テープ101各部にしわが発生しやすくなる傾向となる。また、印字済みラベル用テープ109においては、カバーフィルム103と基材テープ101とが剥がれやすくなる。
そこで本実施形態においては、上述したように、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101の各層(上記粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101e、粘着層101c、及び剥離紙101d)の厚さ方向寸法の合計の割合cが、0.8≦c≦8.2となるように基材テープ101の各層及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法を設定する。このように、上記割合cを0.8以上として、無線タグ回路素子Toに対し相対的に基材テープ101の各層を厚くすることにより、上記無線タグ回路素子Toの配置部位における無線タグ回路素子挟み込みの影響を低減し、しわの発生を防止することができる。また、カバーフィルム103と基材テープ101との剥離を抑制することができる。
一方、基材テープ101は、製造時にはロール状に巻回される場合が多く、また使用時にはタグラベル作成装置1において第1ロール102から繰り出されて搬送経路を転向されながら搬送される。このため、テープ全体の厚さがあまりに大きくなりすぎると、剛性が強すぎて上記のロール状の巻回作業や搬送経路の転向等が困難となる。本実施形態においては、上述したように割合cを8.2以下とすることにより、上記厚さ方向寸法増大により剛性が過剰となるのを防止し、円滑に巻回や搬送を行うことができる。また、基材テープ101Aの厚さ方向寸法増大により第1ロール102として巻回する際のテープの内外周差が増大してしわが発生することを防止することができる。さらに、基材テープ101Aの厚さが過剰となるのを防止することで、当該基材テープ101Aを巻回した第1ロール102の大きさが抑制され、カートリッジ筐体7Aへの収納を容易にすることができる。
以上のようにして、本実施形態においては、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101の各層の厚さ方向寸法の合計の割合cを適正範囲に設定することにより、しわが発生しにくく現実に使用可能なタグテープを実現することができる。
また、本実施形態では特に、基材テープ101の表側に粘着層101aを介して所望の印字を行ったカバーフィルム103を接着することで、印字済みタグラベル用テープ109を構成する。このように、印字済みタグラベル用テープ109を基材テープ101とカバーフィルム103との貼り合わせ構造とすることで、本実施形態のように貼り合わせ側(基材テープ101と貼り合わせる側)から印字を行った後のカバーフィルム103と貼り合せることが可能となり、この場合、印字面がテープ表面に露出しなくなるため汚れや水分に強い印字済みタグラベル用テープを実現できる。
また、本実施形態(案2の構成)では特に、無線タグ回路素子Toを挟むようにその厚さ方向両側に、ベースフィルム101b,101fを設ける。このように、ベースフィルム101bとベースフィルム101fとの間に無線タグ回路素子Toを介在配置させる構造とすることにより、無線タグラベルT形成後に使用者が剥離紙101dを剥がした際も、ベースフィルム101fによって無線タグ回路素子Toが直接は見えないような構造とすることができる。
また、本実施形態(案2の構成)では特に、無線タグ回路素子Toを挟み込むための粘着層101gを設ける。これにより、無線タグ回路素子Toの厚さ方向両側を粘着層101g,101eで挟み込むことができるので、基材テープ101中により強固かつ安定的に無線タグ回路素子Toを配置することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)テープ貼り合わせを行わない場合
すなわち、上記実施形態にて説明したように、無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに直接印字を行うタグラベル作成装置用のカートリッジに適用した場合である。
図26は、この変形例のカートリッジ7′の詳細構造を表す平面図であり、前述の図5に相当する図である。図5等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図26において、カートリッジ7′は、感熱テープ101′(タグテープ)が巻回された第1ロール102′と、この感熱テープ101′をカートリッジ7′外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ27′とを有している。
第1ロール102′は、リール部材102a′の周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記感熱テープ101′を巻回している。リール部材102a′は、カートリッジ7′の底面に立設されるボス95に回転可能に嵌挿されて収納されている。
第1ロール102′に巻き回される感熱テープ101′はこの例では6層構造となっており(図26中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図26中左側)よりその反対側(図26中右側)へ向かって、表面に感熱記録層を持つPET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム101a′(第3テープ基材層)、適宜の粘着材からなる粘着層101b′、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101c′、適宜の粘着材からなる粘着層101d′(第3取り付け用粘着材層)、適宜の粘着材からなる粘着層101e′(第2貼り付け用粘着材層)、剥離紙101f′(第2剥離材層)の順序で積層され構成されている。
カバーフィルム101a′の裏側(図26中右側)には、上記粘着層101b′によって上記ベースフィルム101c′が接着されている。また、このベースフィルム101c′の裏側には、上記粘着層101d′及び粘着層101e′を介して剥離紙101f′が接着されており、粘着層101d′と粘着層101e′との間にはループコイル形状に構成され情報の送受信を行う上記ループアンテナ152及び上記IC回路部151から構成された無線タグ回路素子Toが設けられている。
カートリッジ7′がカートリッジホルダ6に装着されローラホルダ25が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101′が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ27′とサブローラ28′との間に狭持される。そして、テープ送りローラ27′、サブローラ28′、及びプラテンローラ26が同期して回転し、第1ロール102′から感熱テープ101′が繰り出される。
この繰り出された感熱テープ101′は、カートリッジ底面に立設されたリールボス91に回転可能に嵌挿された略円筒状のリール92にガイドされつつ、開口部94より搬送方向下流側の印字ヘッド23へと供給される。印字ヘッド23は、その複数の発熱素子が前述の印刷駆動回路120(図15参照)により通電され、これにより感熱テープ101′のカバーフィルム101a′の表面にラベル印字Rが印刷され、印字済タグラベル用テープ109′として形成された後、排出口96からカートリッジ7′外へと搬出される。
カートリッジ7′外へ搬出した後、前述のループアンテナLCを介したIC回路部151のアクセス(情報読み取り/書き込み)が行われる。その後、駆動ローラ51による搬送、切断機構15による切断等については上記実施形態と同様にして行えば足りるので説明を省略する。
なお、ハーフカットユニット35については、図10等に記載されたいわゆるラミネートタイプに対応したものとは異なっている。すなわち、図10等に記載された構成は、受け台36が印字ヘッド23側にあり、ハーフカッタ34はプラテンローラ26側にある。これは、作成されたテープの剥離紙とは反対側の面からハーフカットを行うための構成である。しかしながら、本変形例のように感熱テープを用いる場合(後述するラミネートを行わないタイプでインクリボンを使用する場合も同様)は、剥離紙が上記ラミネートタイプとは反対側となる。したがって、剥離紙以外の部分をハーフカットするため、受け台36とハーフカッタ34との配置が逆になっている。すなわち、ハーフカッタ34が印字ヘッド23側にあり、受け台36がプラテンローラ26側にある。
なおこの例では、カートリッジ7′に関するカートリッジ種類情報等を装置側で自動検出可能とするために、カートリッジ7の外周側壁面93に当該カートリッジ7′に関する情報を予め記憶したカートリッジ用無線タグ回路素子Tcが配設されている。また、カートリッジホルダ6のうち上記無線タグ回路素子Tcに対向する側壁部6Aには、当該無線タグ回路素子Tcとの間で非接触の無線通信により信号の送受を行うアンテナATが設けられている。
以上の基本構成において、本変形例の最も大きな特徴は、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101′の各層(上記カバーフィルム101a′、粘着層101b′、ベースフィルム101c′、粘着層101d′、粘着層101e′、及び剥離紙101f′)の厚さ方向寸法の合計の割合c2が、1.1≦c≦9.8となるように基材テープ101′の各層及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法を設定したことにある。以下、その詳細について説明する。
本願発明者等は、前述の実施形態と同様に、上記構成のタグラベル作成装置1′(図示せず)を用いて、上記の無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を種々変更させながら各種タグラベルを作成し、上記しわの発生や剛性についての検討を行った。以下、この検討結果について説明する。
図27は、上記割合cを大きめに設定した場合(以下「案5」とする)における印字済みタグラベル用テープ109A′(基材テープ101A′)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を示した図である。
この図27に示すように、当該案5では、基材テープ101A′(印字済みタグラベル用テープ109A′)は、表側(図27中上側)よりカバーフィルム101a′、粘着層101b′、ベースフィルム101c′、粘着層101d′、この粘着層101d′と協働して無線タグ回路素子Toを挟み込むための粘着層101g′(第4取り付け用粘着材層)、ベースフィルム101h′(第4テープ基材層)、粘着層101e′、及び剥離紙101f′から構成され、上記粘着層101d′と粘着層101g′との間に無線タグ回路素子Toが挟まれるように設けられる。
本願発明者等は、上記各層の厚さ方向寸法を図に示す最小値から最大値の間(単位はμm)で変化させつつ、構成したタグテープを用いて印字済みタグラベル用テープ109A′(無線タグラベルT)の作成を行った。そして、それぞれについてしわの発生や剛性についての検討を行った。
ここで、上記の無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2は、c2=(A+B+D+E)/Cで算出される。なおこのとき、Aはカバーフィルム101a′の厚さ方向寸法、Bは上記粘着層101b′、ベースフィルム101c′、及び粘着層101d′の厚さ方向寸法を合計した値、Dは上記粘着層101g′、ベースフィルム101h′、及び粘着層101e′の厚さ方向寸法を合計した値、Eは上記剥離紙101f′の厚さ方向寸法、Cは無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法である。当該案5の構成においては、上記割合c2の最小値は1.4、最大値は10.5となる。
当該案5における検討の結果、上記割合c2が最大値10.5となる構成では、通常の状態(平坦に延ばした状態)ではしわは発生しないが、基材テープ101A′の厚さが大きくなりすぎるため、第1ロール102′として巻回する際のテープの内外周差が増大してしわが発生しやすくなった。また、基材テープ101A′(印字済みタグラベル用テープ109A′)の剛性が過剰となり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等が円滑に行われなくなった。さらに、基材テープ101A′の厚さが過剰となることから、当該基材テープ101A′を巻回した第1ロール102′のカートリッジ7′への収納が容易でなくなるという問題もあった。一方、上記割合c2が最小値1.4となる構成では、通常の状態でしわは発生せず、また基材テープ101A′の厚さも比較的小さいことからロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに剛性も小さいことから、基材テープ101A′のロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
図28は、上記割合c2を比較的大きめに設定した場合(以下「案6」とする)における印字済みタグラベル用テープ109B′(基材テープ101B′)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を示した図である。
この図28に示すように、当該案6の基材テープ101B′(印字済みタグラベル用テープ109B′)は、上述した案6の基材テープ101A′(印字済みタグラベル用テープ109A′)と同様の層構造であるが、粘着層101b′,101d′,101e′,101g′及びベースフィルム101h′の厚さ方向寸法の最大値を小さく設定している。その他の構成は、上記基材テープ101A′(印字済みタグラベル用テープ109A′)と同様である。
当該案6の構成における検討の結果、上記割合c2が最大値9.8となる構成及び割合c2が最小値1.4となる構成の双方において、通常の状態で基材テープ101B′(印字済みタグラベル用テープ109B′)にしわは発生せず、また基材テープ101B′をロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101B′(印字済みタグラベル用テープ109B′)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
なお、以上において、カバーフィルム101a′、粘着層101b′、ベースフィルム101c′及び粘着層101d′は、特許請求の範囲各項記載の第1テープ媒体を構成し、粘着層101g′、ベースフィルム101h′、粘着層101e′及び剥離紙101f′は、特許請求の範囲各項記載の第2テープ媒体を構成する。
図29は、上記割合c2を比較的小さめに設定した場合(以下「案7」とする)における印字済みタグラベル用テープ109D′(基材テープ101D′)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を示した図である。
この図29に示すように、当該案7では、基材テープ101D′(印字済みタグラベル用テープ109D′)は、表側(図29中上側)よりカバーフィルム101a′、粘着層101b′、ベースフィルム101c′、粘着層101d′、粘着層101e′、及び剥離紙101f′から構成され、上記粘着層101d′と粘着層101e′との間に無線タグ回路素子Toが挟まれるように設けられる。なお、当該案7の印字済みタグラベル用テープ109D′の各層の厚さ方向寸法については、上述した案6の印字済みタグラベル用テープ109B′の該当する各層と同様に設定されている。また、当該案7の構成が、上述の変形例中で用いた基材テープ101′(図26参照)及び作成された印字済みタグラベル用テープ109′(図26参照)の層構造に相当し、上記基材テープ101′及び印字済みタグラベル用テープ109′の各層の厚さ方向寸法は、当該案7と同様に設定されている。
当該案7の構成における検討の結果、上記割合c2が最大値8.1となる構成及び割合c2が最小値1.1となる構成の双方において、通常の状態で基材テープ101D′(印字済みタグラベル用テープ109D′)にしわは発生せず、また基材テープ101D′をロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101D′(印字済みタグラベル用テープ109D′)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。
なお、以上において、粘着層101e′及び剥離紙101f′は、特許請求の範囲各項記載の第2テープ媒体を構成する。
図30は、上記割合c2を小さめに設定した場合(以下「案8」とする)における印字済みタグラベル用テープ109E′(基材テープ101E′)の層構造を模式的に表すとともに、各層の厚さ方向寸法及び無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を示した図である。
この図30に示すように、当該案8の基材テープ101E′(印字済みタグラベル用テープ109E′)は、上述した案7の基材テープ101D′(印字済みタグラベル用テープ109D′)と同様の層構造であるが、粘着層101b′,101d′,101e′及びベースフィルム101c′の厚さ方向寸法の最小値と無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法の最大値とを小さく設定している。その他の構成は、上記基材テープ101D′(印字済みタグラベル用テープ109D′)と同様である。
当該案8における検討の結果、上記割合c2が最大値8.1となる構成では、通常の状態で基材テープ101E′(印字済みタグラベル用テープ109E′)にしわは発生せず、また基材テープ101E′をロール状に巻回してもしわが発生することはなかった。さらに基材テープ101E′(印字済みタグラベル用テープ109E′)の剛性も適正であり、ロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができた。一方、上記割合c2が最小値0.9となる構成では、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法がテープ厚さ方向寸法に対して大きくなりすぎるため、通常の状態で基材テープ101E′(印字済みタグラベル用テープ109E′)にしわが発生した。
図31は、以上説明した案5〜案8について本願発明者等が行った検討結果をまとめた表である。この図31に示すように、案5の構成ではしわの抑制及びテープ剛性の両方の観点について良好な結果が出ず、また案8の構成ではテープ剛性は適正化されたがしわの抑制については良好な結果が出なかった。しかしながら、案6及び案7の構成では、しわの抑制及びテープ剛性の両方の観点について良好な結果を出すことができた。以上から、本願発明者等は、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101′の各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2が1.1≦c≦9.8となる場合に、しわを抑制でき且つテープ剛性が過剰とならずにロール状の巻回作業や搬送経路の転向等を円滑に行うことができることを突き止めた。
以上から、上記構成である本変形例においても、無線タグ回路素子Toの厚さ方向寸法に対する基材テープ101′の各層の厚さ方向寸法の合計の割合c2を適正範囲に設定することにより、上記実施形態と同様にしわが発生しにくく現実に使用可能なタグテープを実現することができる。また、案6の構成では特に、ベースフィルム101c′とベースフィルム101h′との間に無線タグ回路素子Toを介在配置させる構造とすることにより、無線タグラベルT形成後に使用者が剥離紙101f′を剥がした際も、ベースフィルム101h′によって無線タグ回路素子Toが直接は見えないような構造とすることができる。さらに、案6の構成では特に、無線タグ回路素子Toを粘着層101d′と協働して挟み込むための粘着層101g′を設けるので、無線タグ回路素子Toの厚さ方向両側を粘着層101d′,101g′で挟み込み、基材テープ101′中により強固かつ安定的に無線タグ回路素子Toを配置することができる。
なお、上記変形例の構成においては、タグテープとして感熱テープを用いることで特にインクリボン等を用いることなく印字ヘッド23の発熱のみによって印字を行ったが、これに限られず、上記第1の実施形態のように通常のインクリボンを用いて印字を行うようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
(2)その他
以上説明した本発明の一実施形態においては、装置側のアンテナLCや無線タグ回路素子To側のアンテナ152としてループアンテナを用い、磁気誘導(電磁誘導、磁気結合、その他電磁界を介して行われる非接触方式を含む)により情報送受信を行ったが、これに限られず、たとえば上記2つのアンテナとしてダイポールアンテナやパッチアンテナ等を送受信手段として用い、電波通信により情報送受信を行うようにしてもよい。
また、以上において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(読み取り又は書き込み)の終了した印字済みタグラベル用テープ109を切断機構15で切断してタグラベルTを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、切断機構15で切断しなくても、テープがラベル排出口11から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がしてタグラベルTを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
さらに、以上は、基材テープ101がリール部材102aの周りに巻回されて第1ロール102を構成し、カートリッジ7内にそのロールが配置されて基材テープ101が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジをタグラベル作成装置側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行いタグラベルを作成するようにしてもよい。
さらには上記ロールを直接タグラベル作成装置側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをタグラベル作成装置外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送しタグラベル作成装置内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジ7のようなタグラベル作成装置本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型として第1ロール102を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。