JP4915198B2 - ホログラム付き中間転写記録媒体を用いた偽造防止媒体 - Google Patents
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従って、ホログラム転写箔は、別途保護層を設けなくても、意匠性及び/又はセキュリティ性に優れるホログラム層のみでも充分な耐擦傷性や耐溶剤性などの高耐久性を有し、カードなどの媒体(被転写体)へ転写する際の箔キレなどの転写性よく転写することができることが求められている。また、耐擦傷性や耐溶剤性などの高耐久性のあるホログラム層とすることも考えられるが、賦型性が著しく悪くなるので、このような高耐久性(ハードコート機能)のホログラム層でもホログラム機能を発現する微細な凹凸を賦型し易いこともも求められている。さらに、上記のような媒体には、セキュリティ性を高めるために、顔写真や番号などの1枚毎に異なる固有情報を印字することも求められている。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、転写後のスクラッチ強度などのよりよい耐久性を有するホログラム付き中間転写記録媒体を用いた偽造防止媒体が提供される。
図1は、本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
図4は、本発明のホログラム転写箔を用いて転写した偽造防止媒体である。
また、好ましくは、ホログラム層15の材料としては、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)、反応性シリコーン及びポリエチレンワックスを含むようにする。さらに好ましくは、(メタ)アクリレートオリゴマーも含ませて硬化させる。該組成物を塗布し乾燥して、ホログラム機能を発現する微細な凹凸レリーフを賦型した後に、電離放射線で硬化させればよい。電離放射線硬化性樹脂は架橋性樹脂ともいわれ、他の層でも同様である。
(2)ホログラム層15へは反応性シリコーンを含ませると、塗布表面に集まりスタンパの凹凸からの剥離がよく賦型性が向上して、レリーフ構造を容易に賦型でき、賦型後には電離放射線で硬化すれば反応性シリコーンも硬化する。
(3)ポリエチレンワックスを含ませることで、転写後にはホログラム層15が最表面層となるが、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗から被転写体に設けられた画像を保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。
(4)ホログラム層15はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、ホログラム層15と離型層13との間で剥離し、安定した剥離性を有するので、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが3μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。なお組成部は成分換算部であり以下同様である。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.2質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径2.0μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
次に、該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。該ホログラム層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが50nmの酸化チタン薄膜を形成して透明反射層17を形成した。
次に、該透明反射層17面へ、下記の紫外線吸収層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が4μmになるように、塗工し100℃で乾燥させ、50℃で1週間エージングして、紫外線吸収層18を形成した。
・<紫外線吸収層組成物>
UVA(昭和インク社製、架橋性樹脂の商品名) 25質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 2質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 73質量部
次に、該紫外線吸収層18面へ、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成した。
・<接着層組成物>
ポリエステル樹脂P−170(日本合成化学社製、商品名) 20質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1.5質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 78.5質量部
以上のようにして、基材11/離型層13/ホログラム層15/透明反射層17/紫外線吸収層18/接着層19、の層構成からなる参考例1のホログラム転写箔10を得た。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 30質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
このようにして、基材11/離型層13/ハードコート層14/ホログラム層15/透明反射層17/紫外線吸収層18/接着層19、の層構成からなる参考例2のホログラム転写箔10を得た。
ハードコート層14は、離型層13面へ下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の塗布厚さが6μmになるように塗工し100℃で乾燥させた後に、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層14を形成した。ハードコート層16は、透明反射層17面へ下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の塗布厚さが6μmになるように塗工し100℃で乾燥させた後に、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層16を形成した。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 30質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
このようにして、基材11/離型層13/ハードコート層14/ホログラム層15/透明反射層17/ハードコート層16/紫外線吸収層18/接着層19、の層構成からなる参考例3のホログラム転写箔10を得た。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
・<電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 30質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
(参考例7、実施例1、2)次に、被転写体101としてポリ塩化ビニール製のクレジットカード仕様のカードを用い、該被転写体101の表面へ、FARGO製のカード用プリンタHDP820で、前記の参考例4、5、6のホログラム付き中間転写記録媒体の画像を有する接着層19面を重ねて、全面熱転写し基材を剥離し徐去して、参考例7、実施例1、2の偽造防止媒体100を得た。
しかしながら、比較例1〜2では剥離性が悪く剥離しにくく、転写時に箔キレ性が悪くバリが発生して正常に転写できなかった。
なお、参考例7、実施例1、2及び比較例1〜2のホログラム層に賦型された回折格子模様は充分な光回折効果が発現されており、意匠性とセキュリティ性に優れていた。
また、参考例7、実施例1、2の第1ハードコート層15面の鉛筆硬度試験を、JIS−K−5400に準拠して測定したところ、2H以上の硬度を有し、さらに、実施例1〜3の表面のスクラッチ強度はサファイア200g以上であり、充分な耐久性を有していた。しかしながら、比較例1〜2ではスクラッチ強度が悪く、充分な耐久性を有していなかった。
なお、耐光性に関しては偽造防止媒体100を用いて、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の照射後における画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。参考例7、実施例1、2のいずれの偽造防止媒体100でも、著しい変化はなく良好であった。
11:基材
13:離型層
14、16:ハードコート層
15:ホログラム層
17:透明反射層
18:紫外線吸収層
19:接着層
100:偽造防止媒体
101:被転写体
103:画像層
Claims (1)
- 基材と、該基材の一方の面へ少なくとも離型層、ハードコート層、ホログラム層、透明反射層、紫外線吸収層及び接着層を設けてなるホログラム付き中間転写記録媒体の接着層へ昇華転写法で画像を印画して、前記画像も含めて被転写体へ転写してなる偽造防止媒体において、
前記ホログラム付き中間転写記録媒体の前記離型層がメラミン系樹脂であり、
前記ホログラム層が電離放射線硬化樹脂、ポリエチレンワックス及び反応性シリコーンを含み、
かつ、ホログラム層のポリエチレンワックスの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:ポリエチレンワックス=100:0.01〜10であり、
前記紫外線吸収層が電離放射線硬化樹脂及びマイクロシリカとを含み、
かつ、前記紫外線吸収層の前記マイクロシリカの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:マイクロシリカ=90〜94:6〜10であり、
前記接着層が熱接着性ポリエステル系樹脂とマイクロシリカとを含み、
かつ、前記接着層の前記マイクロシリカの含有が質量基準で、ポリエステル系樹脂:マイクロシリカ=90〜94:6〜10であり、
かつまた、前記熱接着性ポリエステル系樹脂と前記マイクロシリカとが海島構造であり、
前記ハードコート層が電離放射線硬化樹脂及びポリエチレンワックスを含み、かつ、ハードコート層のポリエチレンワックスの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:ポリエチレンワックス=100:0.01〜10であり、
前記ホログラム付き中間転写記録媒体の前記接着層へ昇華転写法で画像を印画して、
該画像が印画された接着層、紫外線吸収層、透明反射層、ホログラム層及びハードコート層が被転写体へ転写されてなり、
前記偽造防止媒体のホログラム層の上にハードコート層が設けられており、該ハードコート層がポリエチレンワックスを含む構成であることを特徴とするホログラム付き中間転写記録媒体を用いた偽造防止媒体。
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