JP5675972B2 - ホログラフィ箔及び印刷された機械読取り可能なマーキングを備えたセキュリティ文書 - Google Patents

Description

技術分野
本発明は、ホログラフィ箔及び印刷された機械読取り可能なマーキングを備えた、紙幣又は識別文書のようなセキュリティ文書に関する。本発明は、このようなセキュリティ文書を製造する方法及びセキュリティ文書の真正を確認する方法に関する。

背景技術
表面ホログラム又は格子、又はボリュームホログラム又は格子のような、回折構造によって形成されたセキュリティ部を有する箔エレメントを備えたセキュリティ文書を提供することが公知である。このような箔は、慣用の印刷技術又は複写技術によって偽造することはできず、これにより、文書をより安全にする。

しかしながら、このような文書は、箔エレメントを損傷することなくこの箔エレメントを除去することができるならば、改ざんされることがある。箔エレメントの除去が、検証装置によって検出することができるとしても、このような装置には、箔エレメントの存在を検出するための専用のセンサが装備される必要があり、これは、このような機器をより高価にする。

発明の開示
したがって、本発明の全体的な課題は、偽造安全性が高められた、回折構造のようなセキュリティ部を有する箔エレメントを備えたセキュリティ文書を提供することである。

この課題は、請求項１に係るセキュリティ文書によって達成される。この文書は、紙又はプラスチック基板のような基板と、箔エレメントとを有する。箔エレメントは、セキュリティ部を有し、かつ基板とは反対側に面した上面と、基板に取り付けられた底面とを有する。さらに、セキュリティ文書は、第１の面に、又は第２の面と基板との間に、つまり箔エレメントの上側又は下側に配置された機械読取り可能なマーキングを有する。これらの機械読取り可能なマーキングは、少なくとも部分的に箔エレメントと重なっている。つまり、機械読取り可能なマーキングは、セキュリティ文書の、箔エレメントと同じ表面領域の少なくとも一部をカバーしている。これは、文書の真正が機械によって、特に慣用の印刷されたセキュリティマーキングを検出するために装備された慣用の機械によって検証されなければならない場合に、箔エレメントの存在を、より簡単に検出することを可能にする。箔エレメントのセキュリティ部を検出するための手段を備えた機械を具備する必要はない。

別の態様において、本発明は、このようなセキュリティ文書を製造する方法にも関する。この方法は、前記マーキングを前記上面、前記底面、及び前記基板のうちの少なくとも１つに印刷するステップを含む。

第１の有利な実施の形態において、機械読取り可能なマーキングの少なくとも一部は、箔エレメントの上面に印刷され、これにより、箔エレメントが除去された場合にマーキングはセキュリティ文書から失われる。

第２の有利な実施の形態において、機械読取り可能なマーキングの少なくとも一部は、箔エレメントの底面に印刷される。この場合も、箔エレメントが基板から除去されると、マーキングは箔エレメントに少なくとも部分的に付着したままとなる。

別の有利な実施の形態において、機械読取り可能なマーキングの少なくとも一部は、基板に印刷される。この場合、基板へのマーキングの付着は、箔エレメントへのマーキングの付着よりも弱くなっているべきであり、つまり、箔エレメントが機械的な力によって基板から除去される場合、基板に印刷されたマーキングの大部分（５０％超）は、箔エレメントと一緒に引き剥がされるべきである。

本発明は、セキュリティ文書の真正を自動的に検査する方法にも関する。この方法は、センサ装置によってマーキングの存在をチェックするステップを含む。マーキングが少なくとも部分的に失われていると、文書が真正でないか又は少なくとも損傷されていると推定することができる。

発明の以下の詳細な説明を検討した時、発明はさらによく理解され、上に示された課題以外の課題が明らかになるであろう。このような説明は、添付の図面を参照する。

セキュリティ文書の上面図である。 基板及び箔エレメントを備えたセキュリティ文書の断面図である。

発明を実施するための態様
定義：
"セキュリティ文書"という用語は、模造することを困難にするセキュリティ部を有するあらゆるタイプの文書を含む。このタイプのセキュリティ文書の例は、紙幣、パスポート、小切手、債券、チケット、クレジットカード、ＩＤカード、賞状、切手、商品券、株券、運転免許証、居住許可証、出生証明書、又は保険証書である。しかしながら、本発明は、紙幣に適用された場合に特に有利である。

ここで及び請求項において使用される"回折構造"という用語は、可視光の波長のオーダ、特に０．１μｍ〜１０μｍの周期性を有する周期的な構造を表す。このような周期的な構造は、回折干渉効果を生じる。当業者に公知のように、この構造は、例えば、表面格子、表面ホログラム又はキネグラムから知られるような表面構造であるか、又は箔エレメントの体積における構造、特に吸収格子又は回折格子、例えばボリュームホログラムから知られるものであってよい。

"上部"、"上方"、"下方"、"底部"などの用語は、文書の基板に対して垂直に延びる方向を表し、箔エレメントは、定義によれば、基板の上方に位置する。したがって、基板とは反対側に面した箔エレメントの表面は、箔エレメントの"上面"と称され、これに対して基板に面した箔エレメントの面は"底面"と称される。

セキュリティ文書：
図１に示されたセキュリティ文書は、紙又はプラスチック、又は例えば多層構造におけるこのような材料の組合せから成る柔軟な又は剛性の基板１を有し、この基板１上には、例えばセキュリティデザイン２、イラスト３及び価値の表示４としてのグラフィカルエレメントが公知の形式で印刷されている。さらに、文書は、セキュリティ部５を有し、セキュリティ部５のデザインは以下に説明される。

図２に示したように、セキュリティ部５は、上面７及び下面８を有する箔エレメント６を有する。箔エレメント６は、例えば接着剤層１１によって基板１の上面９に取り付けられている。

ボリュームホログラム１２のような回折構造の形態のセキュリティ部は、箔エレメント６に配置されている。上述のように、ボリュームホログラム１２に代えて又はボリュームホログラム１２に加えて、箔エレメント６にその他の回折構造を提供することができる。

図２は、単層から成る箔エレメント６を示しているが、箔エレメント６は、保護層、部分的に金属化された層又はキャリヤ層のような複数の層を有することもできる。接着剤層１１は箔エレメント６の一部であることもできる。

有利には、箔エレメント６は、１００μｍ以下、特に２５μｍ以下の厚さを有し、このことは、特に箔エレメントを損傷することなく除去することを困難にする。

図１及び図２に示したように、箔エレメント６の上側及び／又は下側にはセキュリティマーキング４，１４，１５を印刷することができる。上述のように、セキュリティマーキングは：
−セキュリティマーキング１４で示したように、箔エレメント６の上面７に印刷することができる。この位置は、セキュリティマーキング１４が、検出のために容易にアクセス可能であり、かつ偽造者が箔エレメント６を除去しようとした時にセキュリティ装置から確実に除去されるという利点を有する。
−セキュリティマーキング１５で示したように、箔エレメント６の底面８に印刷することができる。この設計は、マーキングが箔エレメント６によって機械的損傷から保護され、さらに、一般的に箔エレメント６及び基板により強く付着し、これにより、偽造者が箔エレメント６を除去しようとした時にセキュリティ装置から確実に除去されるという利点を有する。接着剤層１１が箔エレメント６の一部であるならば、印刷は、接着剤層１１の底面に施すこともでき、この場合、マーキングの位置は、図２におけるマーキング４の位置に対応する。
−再びセキュリティマーキング４で示したように、基板１に印刷することができる。この場合、基板１へのマーキングの付着は、箔エレメント６への付着よりも弱くなっているべきである。これは、例えば、セキュリティマーキング用のインク及び接着剤層１１の材料を適切に選択することによって達成することができる。接着剤層１１が、セキュリティマーキング及び箔エレメント６に十分に結合していると、箔エレメント６が力尽くで引き剥がされた時に、接着剤層１１及びマーキングの大部分は基板１から除去される。例えば、マーキング４のインク及び接着剤層１１用の材料は、ＵＶ光の照射により架橋する樹脂から成ることができる。

セキュリティマーキングは、機械読取り可能であるべきであり、つまり、セキュリティマーキングは、自動化されたセンサ装置によって容易に検出可能であるべきである。容易かつ信頼できる検出のために、セキュリティマーキングは、例えば以下の技術の組合せを用いることができる：
−マーキングは、磁気インクから成ることができる。磁気インクは当業者に公知である。特に、磁気インクは、高い残留磁気を有する、例えば少なくとも１０００ガウスのインク（"ハード"磁気インク）、又は低い残留磁気を有するが、例えば少なくとも２、特に２よりも著しく高い、高い透磁率μを有するインク（"ソフト"磁気インク）から成ってよい。
−マーキングは、蛍光インクから成ることができる。第１の所定の波長λ₁の光を照射すると、このような色素は、第２の、通常はより長い波長λ₂の光を発する。
−マーキングは、赤外線吸収色素、つまり、赤外線スペクトル範囲における強い吸収帯域を示す色素から成ることができる。
−マーキングは、導電性インクによって印刷されたような、導電層から成ることができる。このような層は、電気的に、つまり導電率測定を用いて検出することができる。特に有利な実施の形態において、セキュリティ文書は、共振回路を有することができ、この場合、マーキングの導電層が共振回路の少なくとも一部を形成している。このような共振回路は、ＲＦ測定を用いて検出することができる。印刷技術を用いる共振回路を製造するための例は、国際公開第０３／０９６２６８号明細書に開示されている。図１は、例えば、参照符号１８でのこのような回路の例示を示している。
−マーキングは、極性依存光学特性を備える液画素から成ることもできる。
−マーキングは、光学的なアップコンバータ又はダウンコンバータのような、いわゆるタグ付けから成ることもできる。

有利には、マーキングの少なくとも一部は、裸眼には見えない。例えば、マーキング１５は、可視スペクトル範囲においては、周囲における他のマーキングと異なることはないが、赤外スペクトル範囲においては強い吸収帯域を有するようになっていることができる。

しかしながら、マーキング４のような他のマーキングは、人間の観察者に容易に見えることができる。

別の有利な態様において、マーキングの少なくとも一部は、箔エレメント６を通して機械検出可能である。すなわち、適切なセンサは、箔エレメント６を通してマーキングを探知することによってセキュリティ文書の上側からマーキングの少なくとも一部を検出することができる。例えば、マーキング１５が磁気色素から成り、箔エレメント６がポリマ材料から成る場合、誘導センサは、箔エレメント６を通してマーキングを容易に検出することができる。

マーキングは、あらゆる所望のパターン、例えば人間の目に読取り可能なパターン（例えば印刷された数字）を形成することができるか、又は通常は機械のみによって読み取られるコード（例えばバーコード）を形成することができる。

製造：
図１又は図２に示されたセキュリティ文書は、例えば、以下のステップを用いることによって製造することができる。

第１の印刷ステップにおいて、例えばオフセット印刷を用いて、インクが基板１に提供される。通常、このようなステップは、背景色及びパターンと、最終的な文書の視認可能なエレメントの少なくとも一部とを提供する。

第１のステップは、マーキング４のようなセキュリティマーキングを、基板１に、後で提供される箔エレメント６と重なる位置において印刷することを含むこともできる。基板１に印刷されたマーキング４が、オフセット印刷によって提供することが困難な色素から成る場合には、マーキングを提供するために、その他の印刷技術、例えばスクリーン印刷又は凹版印刷を用いることができる。しかしながら、その場合、スクリーン印刷又は凹版印刷によって提供される色素は、箔エレメント６と基板１との間の付着力を弱めやすいので、このようなマーキングによってカバーされる領域は、箔エレメント６の全体によってカバーされる領域よりも大幅に小さくなっているべきである。

次のステップにおいて、箔エレメント６が基板１に提供される。そうする前に、マーキング（例えばマーキング１５）は、箔エレメント６の底面８に印刷されてもよい。

基板１に箔エレメント６を提供する有利な方法は、トランスファ法であり、この方法では、箔エレメント６は、その上面７が支持層に結合されたラミネートとして提供される。次いで、箔エレメント６の底面８が、例えば接着剤層１１を用いて基板１に取り付けられ、この際、支持層を除去することができる。この技術は、極めて薄い箔エレメント６でさえも取り付けることができる。

接着剤層１１は、例えば、ホットメルト層及び／又はＵＶ硬化樹脂層であることができる。第１の場合、箔エレメント６を基板１に取り付けるために熱が加えられ、第２の場合、接着剤層１１を硬化させるためにＵＶ放射が用いられる。典型的な接着剤は、ポリウレタン、アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル又はポリビニルピロリドンを含むグループからの少なくとも１つの成分を含むことができる。

箔エレメント６を提供した後、その上面７に印刷されるあらゆるセキュリティマーキング（例えばマーキング１４）を、あらゆる印刷技術、例えばオフセット印刷、スクリーン印刷又は凹版印刷を用いて提供することができる。

最後にかつ選択的に、特に箔エレメント６の上面７に印刷されたあらゆるマーキングを保護するために、セキュリティ文書の少なくとも一部の上にワニス層を提供することができる。

注意：
上記の例において、箔エレメント６のセキュリティ部は、回折構造によって形成されている。しかしながら、セキュリティ部を他の技術によって形成することができることに注意しなければならない。例えば、セキュリティ部は、あらゆる光学的に可変の装置（ＯＶＤ）、例えばＵＶ蛍光を備える薄膜エレメント、又は光導波路若しくはライドガイドから成ってよい（例えば国際公開第２００６／０５６０８９号参照）。

セキュリティ文書の真正は、図２の参照符号１７によって示されたような、適切なセンサ装置によって箔エレメント６の領域におけるマーキング４，１４，１５の存在を確認することによって証明することができる。マーキングの少なくとも一部が損失されている場合には、その文書は改ざんされていると推定することができる。

上述のように、基板１と箔エレメント６との間に配置されたマーキング４及び１５は、箔エレメント６を通して測定を行うことによって確認することができる。これに代えて、検出は、基板１が所要の信号の通過を許容するならば、基板１を通した測定によって行うことができる。

この技術の１つの利点は、回折箔エレメントのセキュリティを高めるために慣用の印刷技術を利用し、したがって容易に実施することができるということである。さらに、この技術は、慣用の認証装置を利用して箔エレメント６の除去を確実に検出することができる。

発明の現時点で好適な実施の形態が示されかつ説明されているが、発明は、それに限定されるのではなく、以下の請求項の範囲でその他の形式で様々に具体化及び実施されてよいことを明瞭に理解すべきである。

Claims (15)

1. セキュリティ文書であって、
   基板（１）と、
   箔エレメント（６）であって、セキュリティ部（１２）を有し、前記箔エレメント（６）は、前記基板（１）とは反対側に面した上面（７）と、前記基板（１）に取り付けられた底面（８）とを有する、箔エレメントと、
   前記底面（８）と前記基板（１）との間の、印刷された、機械読取り可能なマーキング（４，１４，１５）であって、該マーキング（４，１４，１５）は、前記箔エレメント（６）と少なくとも部分的に重なっている、マーキングと、を備え、
   前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記基板（１）に印刷されており、
   前記基板に印刷された前記マーキングの前記一部において、前記基板（１）への前記マーキング（４，１４，１５）の付着は、前記箔エレメント（６）への前記マーキング（４，１４，１５）の付着よりも弱くなっていることを特徴とするセキュリティ文書。
2. 前記箔エレメント（６）は、接着剤層（１１）を含み、前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記接着剤層（１１）の底面に印刷されている、請求項１記載のセキュリティ文書。
3. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記底面（８）に印刷されている、請求項１又は２記載のセキュリティ文書。
4. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記箔エレメント（６）を通して機械検出可能である、請求項１から３までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
5. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、磁気色素から成る、請求項１から４までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
6. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、蛍光インクから成る、請求項１から５までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
7. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、裸眼に見えない、請求項１から６までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
8. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、導電層から成り、特に、前記セキュリティ文書は、共振回路を有し、前記導電層は、前記共振回路（１８）の少なくとも一部を形成している、請求項１から７までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
9. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、赤外線吸収色素から成る、請求項１から８までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
10. 前記セキュリティ部は、回折構造又は光学薄膜エレメントのような光学的に可変の装置、又は光導波路を含む、請求項１から９までのいずれか１項記載のセキュリティ文書。
11. 前記基板（１）と、前記上面（７）及び前記底面（８）のうちの少なくとも１つとに前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部を印刷するステップを含むことを特徴とする、請求項１から１０までのいずれか１項記載のセキュリティ文書を製造する方法。
12. 前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記基板（１）に前記箔エレメント（６）を取り付ける前に前記底面（８）に印刷される、請求項１１記載の方法。
13. 前記箔エレメント（６）は、接着剤層（１１）を含み、前記マーキング（４，１４，１５）の少なくとも一部は、前記接着剤層（１１）の底面に印刷される、請求項１２記載の方法。
14. センサ装置（１７）によって前記箔エレメント（６）の領域における前記マーキング（４，１４，１５）の存在を確認するステップを含むことを特徴とする、請求項１から１０までのいずれか１項記載のセキュリティ文書の真正を自動的に検査する方法。
15. 前記箔エレメント（６）を通した測定を行うことによって前記箔エレメント（６）と前記基板（１）との間に配置された前記マーキング（４，１４，１５）を確認するステップを含む、請求項１４記載の方法。

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