JP7283637B2 - ホットスタンピング箔 - Google Patents
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Description
本願は、2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103805号、2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103806号、および2020年6月16日に日本に出願された特願2020-103807号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ホットスタンピング箔は、セキュリティ印刷にホットスタンプすることができる。セキュリティ印刷は、チケット、紙幣、認証カード、タグ、シール、認証ページ、ゲームカード、ギフト券、証明書、ポスター、グリーティングカード、ビジネスカード等である。ホットスタンピング箔は、認証が必要とされるセキュリティ印刷の表面に貼付される。
ホットスタンピング箔は、高級品等の一般的に高価なものへの適用ニーズが多く、真正であることの証明として、物品等にホットスタンプし適用できることが知られている。ホットスタンピング箔は、これらの要求に効果的に応えることができる。また、ホットスタンピング箔を、印刷体にホットスタンプすることで、印刷体に美観を付与することができる。
詳細は後述するが、発明者は、ホットスタンピング箔が形成された基体シートを転写装置にセットしてさらに高速駆動させることを検討する過程で、基体シートに起因するいくつかの好ましくない事象を見出した。例えば、長尺のホットスタンピング箔が熱転写装置内を高速で移動する際、ホットスタンピング箔と熱転写装置との摩擦が増加し、ホットスタンピング箔の一部が摩耗して粉塵を生じる。生じた粉塵は、熱転写装置やホットスタンプを汚染し、メンテナンス頻度を増加させる原因となる場合があった。
以下で、本発明の基本実施形態(第1実施形態)について、図を参照しながら説明する。
図1、および図3は、実施形態のホットスタンピング箔1を概略的に図解する断面図である。ホットスタンピング箔1は、キャリア10と、キャリア10の第一面10a上に形成された積層光学装飾体25と、キャリア10の第二面10bに形成されたバックコート層50を備える。図1ではバックコート層50の図示を省略している。
ホットスタンピング箔1のキャリア10は積層光学装飾体25を剥離可能に保持する。ホットスタンピング箔1は熱圧によりキャリア10から積層光学装飾体25を剥離させて転写対象に積層光学装飾体25を転写可能となるように構成されている。
キャリア10と積層光学装飾体25とは接している。
積層光学装飾体25は、積層光学構造体20と、積層光学構造体20上に形成された沈み込み制御層30と、沈み込み制御層30上に形成された接着層40とを備える。積層光学構造体20と沈み込み制御層30とは接しているか、または間に被覆層を介して積層されている。沈み込み制御層30と接着層40とは接している。
キャリア10は、ベースフィルムまたは、コートされたベースフィルムである。ベースフィルムは単層または多層のポリマーフィルムとしてもよい。
ポリマーフィルムは、押出法、溶液流延法、カレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法、Tダイ法を適用できる。また、ポリマーフィルムは、延伸、無延伸のフィルムであってもよい。
ポリマーフィルムの材料は、熱可塑プラスチック、溶解性樹脂としてもよい。熱可塑プラスチックは、ポリオレフィンとしてもよい。ポリオレフィンは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)としてもよい。ポリオレフィンは、積層光学構造体20と適度な接着性がある。ポリオレフィン樹脂は、積層光学構造体20を剥離可能に保持することができる。
コートされたベースフィルムは、ベースフィルムの片面または両面がコートされている。このコートは、樹脂単体、粉体を含有した樹脂をコーティングした層であってもよい。このコーティングは、マイクログラビアコート、グラビアコート、ダイコート、スクリーンコートを適用できる。
コートする樹脂は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。樹脂が含有する粉体は、シリカ粉体、シリコーン粉体、フッ素系粉体、カーボン粉体であってもよい。コーティングをベースフィルムの積層光学構造体20側にした場合、積層光学構造体20の保持、剥離を調整できる。コーティングをベースフィルムの積層光学構造体20とは反対側にした場合、長尺のホットスタンピング箔がロール状に巻かれた状態で積層光学構造体20の接着層とのブロッキングを防止すること、またはホットスタンピング箔1の搬送をスムーズにすること、またはこれら両方を実現することができる。
また、用途や目的に応じて、ベースフィルムは、紙や合成紙、プラスチック複層紙や樹脂含浸紙としてもよい。
実施形態におけるキャリア10の詳細構成については、後述する。
ラッカー層22は、トップ層21上の全面に形成されるか、一部に形成されるか、省略される。ラッカー層が省略される場合は、トップ層21上に無機堆積層23を形成することができる。
無機堆積層23は、ラッカー層22上に形成することができる。さらに、無機堆積層23のラッカー層22とは反対側に被覆層24を有してもよい。積層光学構造体20の基本構成は周知であるが、各層について以下に説明する。
トップ層21は、熱可塑ポリマーと表面改質剤を含有する層であってもよい。トップ層21の熱可塑ポリマーは、ガラス転移温度が90℃以上、130℃以下の樹脂であってもよい。
熱可塑ポリマーは、アクリルポリマーやポリエステル、ポリアミド、ポリイミドのいずれか、いずれかの共重合、いずれかの複合、いずれかの共重合のいずれかの複合であってもよい。
表面改質剤は、パウダー、ワックス、オイルであってもよい。パウダーは、耐熱パウダーであってもよい。耐熱パウダーは、シリカパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー、シリコーン系パウダーとしてもよい。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーンワックス、カルナバロウとしてもよい。オイルは、シリコーンオイルであってもよい。
トップ層21の厚みは、0.5μm以上5μm以下の範囲であってもよい。
トップ層21は、印刷を受容できる。アクリル樹脂は、印刷を受容しやすい。印刷を受容可能なトップ層21を有する積層光学装飾体付印刷体は、印刷可能である。印刷を受容可能なトップ層21を有する積層光学装飾体付印刷体は、積層光学装飾体25と印刷体がともに印刷が可能となる。
ラッカー層22は、紫外線硬化樹脂、熱可塑樹脂、熱硬化樹脂により形成されていてもよい。紫外線硬化樹脂は、硬化樹脂である、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマーは、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであってもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つオリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートのオリゴマーまたはコオリゴマーであってもよい。ポリマーは、ウレタン変性アクリル、エポキシ変性アクリルのポリマーまたはコポリマーであってもよい。紫外線硬化樹脂は、アクリル樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エチレンメタクリレート樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。
ラッカー層22の表面のレリーフ構造により、積層光学構造体20は、回折、光反射抑制、等方性または異方性の光散乱、屈折、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制などの光学的機能を備える。
ラッカー層22のレリーフ構造として、回折格子構造の領域を設けることで、積層光学構造体20は、光を回折させる性質をレリーフ構造により得られる。回折格子構造のピッチは、0.5μm以上2μm以下の範囲としてもよい。回折格子構造の深さは、0.05μm以上0.5μm以下の範囲としてもよい。
ラッカー層22に、複数の線状部または複数のドット状部が非周期的に配置された散乱構造の領域を設けることで、積層光学構造体20は等方的なあるいは異方的な散乱光を射出する性質をレリーフ構造により得られる。散乱構造の平均ピッチは、0.5μm以上3μm以下としてもよい。深さは、0.05μm以上0.5μm以下としてもよい。
ラッカー層22に、ミラー構造の領域を設け、隣接する層と異なる屈折率とすることで、レリーフ構造は反射の性質を積層光学構造体20に付与する。ミラー構造の平均ピッチは3μmより大きく、30μm以下としてもよい。深さは、0.5μmより深く、20μmより浅くすることができる。
無機堆積層23は、ラッカー層22上の一部または全面に形成される。無機堆積層23がラッカー層22上の一部に形成された場合、積層光学構造体20の製造により高度な加工技術が要求され、より精緻な外観となる為、ホットスタンピング箔1はより高い偽造防止効果を有することができる。
無機堆積層23の材料は、金属またはケイ素の単体、合金、またはこれらの化合物としてもよい。単体、合金、またはこれらの化合物を構成する金属またはケイ素は、Si、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Agのいずれか又はいずれかの組合せとしてもよい。無機堆積層23の厚みは、10~500nmの範囲としてもよい。無機堆積層は、減圧下で無機材料を堆積することで形成できる。無機堆積層23の堆積には、真空蒸着やスパッタ、CVDにより形成できる。
被覆層24の樹脂はエッチング耐性を有する樹脂としてもよい。被覆層24の樹脂は硬化樹脂であってもよい。硬化樹脂は、エッチング耐性を得やすい。
被覆層24の樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。
被覆層24の厚みは、0.1μm以上、5μm以下の範囲であってもよい。
軟質樹脂を結晶性樹脂とした場合、熱圧前は軟質樹脂が結晶状態であるため、沈み込み制御層30は、適度な硬度を有する。
変形制限剤を高ガラス転移温度重合体またはそのコンポジットとした場合、熱圧前は変形制限剤がガラス状態であるため、沈み込み制御層30は適度な硬度を有する。
上記構成を組み合わせた場合、熱圧前は軟質樹脂が結晶状態であり変形制限剤がガラス状態であるため、沈み込み制御層30は適度な硬度を有する。
高ガラス転移温度重合体と軟質樹脂は2相状態の相分離構造でもよい。2相状態の相分離構造を形成するには、溶剤に可溶な軟性樹脂と高ガラス転移温度重合体を用い溶解した塗布液を塗布することで得ることができる。高ガラス転移温度重合体は、連続相であってもよい。連続相は骨格をなす。連続相は、ポーラス構造等である。軟性樹脂は、分散相または連続相であってもよい。高ガラス転移温度重合体のガラス転移温度は、軟質樹脂のガラス転移温度以上でもよい。その結果、部分転写の際には、熱転写領域の輪郭の内側では、高ガラス転移温度重合体が軟化し、熱転写領域の輪郭の外側では軟化しないため、熱転写領域の輪郭の高ガラス転移温度重合体に応力が集中し、確実に輪郭部分で樹脂が破断すると考えられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸変性により、隣接する無機堆積層23およびラッカー層22、被覆層24との密着性を得ることができる。これは、酸変性ポリオレフィンが、隣接する無機堆積層23およびラッカー層22、被覆層24の有機シラン化合物およびイソシアネートと結合するためである。
酸変性ポリオレフィンの酸価の測定は、一般に使われるFT-IR法や、滴定法としてもよい。酸変性ポリオレフィンの酸価は、0.5~200の範囲であってもよい。
軟質樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体とは柔軟性が異なっていてもよい。通常は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体よりも軟質樹脂の方が柔軟性に優れる。沈み込み制御層30の各樹脂および沈み込み制御層30全体の柔軟性は、一般に使われるナノインテンダーにより測定可能である。
沈み込み制御層30の厚さは、0.5μm以上、3μm以下の範囲であってもよい。
粉体フィラーは図2に示されておらず、必須ではない。接着層40における粉体フィラーの含有比率(重量比)は、樹脂成分41の0.1%以上100%以下の範囲であってもよい。
接着層40の厚さは、沈み込み制御層30より厚くしてもよい。接着層40の厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲であってもよい。ここで、接着層40の厚さは、樹脂成分41の厚さとしてもよい。
スペーサー粒子42の接着層40の樹脂成分に対する体積比率は、0.1%以上、5%以下の範囲であってもよい。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーは、不定形粒子としてもよい。また、無機粉体フィラーの粒子径の分散状態は、粒子径が揃っていない多分散のフィラーを用いるのが好ましい。本発明における多分散とは、CV値=(標準偏差/平均値)が10%以上であることを意味する。
このように製造されたホットスタンピング箔1を熱転写により対象物に転写する場合、ロール状に巻かれたホットスタンピング箔1が熱転写装置にセットされて、熱転写装置内を移動する。
発明者らは、この事象を抑制することができるキャリアの物性について検討し、キャリアにバックコート層50を設けることによって解決した。
上記物性は、キャリアの材質として一般的なポリエチレンテレフタレート(PET)単独では達成しえない。
バインダー樹脂は、芳香族化合物であってもよい。芳香族化合物は、酢酸セルロース、または、ポリアミドイミドまたはこの混合や共重合であってもよい。酢酸セルロースは、ガラス転移温度が150℃以上、800℃以下の範囲であり、融点が230℃以上であることが好ましい。ポリアミドイミドは、分子量が5000~30000の範囲であることが好ましい。
バインダー樹脂は、1種類、または2種類以上のブレンドであってもよい。バックコート層50は、バインダー樹脂のみで構成されてもよい。
脂肪族化合物を主成分とした樹脂ビーズによりバックコート層50の表面の滑り性を向上させる。言い換えれば、バックコート層50と、ホットスタンピング箔1を搬送するバックコート層に接するガイドとの滑り性を向上させる。
界面活性剤の融点が熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高いと、ホットスタンプに界面活性剤が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。バックコート層50における界面活性剤の比率は、固形分比で1%以上15%以下とでき、1%以上5%以下が好適である。なお、上記の固形分比は、バックコート層50における界面活性剤の体積比である。
樹脂ビーズのTgが熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高いと、ホットスタンプに樹脂ビーズが付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
つまり、バックコート層50は、芳香族化合物のバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分としたワックス粒子や樹脂ビーズである補助粒子の複合体とできる。
バックコート層50の表面に露出する補助粒子は、バックコート層50の表面積の50%以下である。補助粒子は、バックコート層50のバインダー樹脂により形成された層からわずかに突出していてもよい。この場合の補助粒子の突出高さは、バックコート層50のバインダー樹脂の厚みに対して、40%以下である。
塗布方法は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコートとしてもよい。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷は、グラビア、スクリーン印刷としてもよい。塗液の乾燥は、固形分の融点以下の温度で行うことが好ましい。
所定の物性を有するバックコート層50を備えることにより、高速な熱転写を良好に実行できる。
また、バックコート層50の補助粒子は、接着層40の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する樹脂ビーズであってもよい。
これにより、ホットスタンプに樹脂ビーズが付着しにくくなり、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
また、PET1~PET3では、表面の静摩擦係数が0.35以上との物性を満足していない。
なお、補助粒子の界面活性剤(カルナバワックス、ポリエチレンワックス、およびアマイドワックス)、または樹脂ビーズ(PTFEビーズ)は、接着層に用いられるスペーサー粒子42(シリカ)よりも硬度が低く柔軟である。このため、ホットスタンピング箔がロール状に積層された場合に、補助粒子とスペーサー粒子42との衝突によるスペーサー粒子42の脱落を防止することができる。
(キャリア)
PETフィルム(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキ)
バインダー樹脂:酢酸セルロース樹脂 5~8部
補助粒子:カルナワックス、ポリエチレンワックス、PTFEビーズ、アマイドワックス 0.3~12部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 80~94.7部
(アンカーコート層形成用インキ)
ポリエステル樹脂 5部
溶媒:THF 95部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキ)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキ)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
以下で、本発明の第1の選択的実施形態(第2実施形態)について、図を参照しながら説明する。本実施形態では、基本実施形態のうち、補助粒子の主成分として、アマイドワックスを選択している。この補助粒子52aは滑剤であってもよい。また、本実施形態では、補助粒子52aの主成分をアマイドワックスとした以外は、基本実施形態と同じである。さらに、バインダー樹脂51は、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したバインダー樹脂と同様であり、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。本実施形態の説明では、第1実施形態と同様の部材については、同じ符号を付けて、説明を省略することがある。
バインダー樹脂51は、熱転写温度(転写時にホットスタンピング箔1に接触するホットスタンプの温度)より高いガラス転移点(Tg)を有し、キャリア10よりも高いTgを有することが好ましい。バインダー樹脂51は、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。バインダー樹脂51は、1種類の樹脂、または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。
また、補助粒子52aの表面は滑りやすいため、補助粒子52aの一部がバックコート層50の表面に突出させることにより、バックコート層50にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。
また、補助粒子52aの融点が熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高くてもよい。これにより、ホットスタンプに界面活性剤が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
補助粒子52aにおいて、粒子径の分散状態は、粒子径が揃っている単分散であると、バックコート層のすべり性を一定としやすい。本発明において、「単分散」とは、CV値(変動係数:標準偏差/平均値)が10%(0.1)以下であることを意味する。
補助粒子52aは、平均粒径が異なる複数種類の粒子を含有してもよい。このときの補助粒子52aの平均粒径は、それぞれの粒子の平均粒径の加重平均であってもよい。本発明の実施形態において、補助粒子52aの平均粒径は、塗布前であれば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定できる。塗布後であれば、電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察画像における粒子の面積に基づいて求めることができる。
補助粒子52aの粒子径は、平均粒径としてもよい。補助粒子52aの粒子径は、0.1μm以上、12μm以下であってもよい。この範囲であれば、いずれの粒子径においても、補助粒子52aが密集しすぎず、摩擦や摩耗を低減しやすい。
バックコート層50には、2種類以上の補助粒子52aが含まれてもよい。
また、バックコート層50とキャリア10との間にアンカーコート層を設けることにより、バックコート層50とキャリア10との密着性を高めることができる。アンカーコート層の材料は、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体とでき、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂としてもよい。
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキA)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.125部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 95.0部
(アンカーコート層形成用インキ)
ポリエステル樹脂 5.0部
溶媒 95.0部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキA)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキA)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
上記キャリアの一方の面に、上記アンカーコート層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が0.5μmとなるよう塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。
次に、アンカーコート層上に上記バックコート層形成用インキをドライ膜厚が2μmとなるように塗布乾燥し、バックコート層を形成した。
次に、トップ層上に上記ラッカー層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成するレリーフ構造をラッカー層の表面に形成した。
続いて、ラッカー層上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、無機堆積層を形成した。
続いて、無機堆積層上に、上記被覆層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、被覆層を形成した。
以上により、キャリア上に積層光学構造体を形成した。
その後、積層光学構造体上に、上記沈み込み制御層形成用インキAをドライ膜厚が1~2μmとなるよう塗布乾燥し、沈み込み制御層を形成した。
さらに、沈み込み制御層上に、上記接着層形成用インキAを、固形分のドライ膜厚が4~5μmとなるよう塗布乾燥し、接着層を形成した。
以上により、実施例1-1のホットスタンピング箔を作製した。
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキBを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキB)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキCを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキC)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキDを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキD)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキEを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキE)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキFを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-6のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキF)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキGを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-7のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキG)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキHを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-8のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキH)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキIを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-9のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキI)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキJを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-10のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキJ)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキKを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-11のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキK)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキLを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-12のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキL)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキMを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-13のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキM)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキNを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-14のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキN)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 0.3μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキOを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-15のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキO)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキPを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-16のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキP)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキQを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-17のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキQ)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキRを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-18のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキR)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 3.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキSを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-19のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキS)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.075部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキTを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-20のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキT)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキUを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-21のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキU)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキVを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-22のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキV)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 9.0μm) 0.525部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキWを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-23のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキW)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキXを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で実施例1-24のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキX)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 5.0部
補助粒子:アマイドワックス(d50 12.0μm) 0.475部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層を形成しなかった点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-1のホットスタンピング箔を作製した。
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcAを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcA)
バインダー樹脂:ポリアリレート 5.0部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcBを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcB)
バインダー樹脂:ポリアリレート 5.0部
補助粒子:PTFE(ポロテトラフルオロエチレン)(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcCを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcC)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 5.0部
溶媒:THF 95.0部
バックコート層形成用インキAに代えて、下記バックコート形成用インキcDを使用した点を除き、実施例1-1と同様の手順で比較例1-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキcD)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 5.0部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.125部
溶媒:THF 95.0部
表3に、各実施例および比較例のバインダー樹脂、補助粒子、平均粒子径d50、および添加率を示す。なお、添加率とは、乾燥後のバックコート層における、バインダー樹脂に対する補助粒子の添加率(質量比)である。
(連続転写時のホットスタンプ汚染(版汚染))
各例について、5000個の積層光学装飾体が共通のキャリアに形成されたロール状のサンプルを作製した。これを熱転写装置にセットして5000回連続で積層光学装飾体の転写を実行し、転写後のホットスタンプ表面を目視により確認した。
熱転写の条件は以下の通りである。
転写温度:120℃
転写速度:50個/分(キャリア搬送速度:4m/秒)
評価は以下の2段階とした。
〇(GOOD):ホットスタンプに汚れが付着している
×(BAD):ホットスタンプに汚れが付着していない
各例のサンプルを5個ずつ準備し、スチールウールを用いてバックコート層を荷重50gで5往復擦ったあと、目視により傷の有無を確認した。
評価は以下の3段階とし、〇および△を合格とした。
〇(GOOD):いずれのサンプルにも傷を認めない
△(FAIR):傷を認めるサンプルが2個以下
×(BAD):傷を認めるサンプルが3個以上
版汚染および耐摩耗性の試験結果を表3に示す。
上記実施例および比較例の結果により、本実施形態のホットスタンピング箔は高速な熱転写を良好に実行できることが示された。
本実施形態のバックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上を満足することができる。さらに、静摩擦係数を、0.35以上とできる。これにより、ホットスタンピング箔1のキャリア10による粉塵の発生をより防止しつつ、さらに高速でのホットスタンピング箔1の転写が可能となる。尚、バックコート層50のバインダー樹脂51の厚さは、0.3μm以上2μm以下の範囲であれば、十分な性能が得られる。
以下で、本発明の第2の選択的実施形態(第3実施形態)について、図を参照しながら説明する。本実施形態では、基本実施形態のうち、補助粒子は主成分として、フッ素系樹脂を選択している。この補助粒子52bは滑剤であってもよい。また、本実施形態では、補助粒子52bの主成分をフッ素系樹脂とした以外は、基本実施形態と同じである。さらに、バインダー樹脂51は、基本実施形態(第1実施形態)にて説明したバインダー樹脂と同様であり、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。本実施形態の説明では、第1実施形態と同様の部材については、同じ符号を付けて、説明を省略することがある。
バインダー樹脂51は、熱転写温度(転写時にホットスタンピング箔1に接触するホットスタンプの温度)より高い融点を有し、キャリア10よりも高いTgを有することが好ましい。バインダー樹脂51は、酢酸セルロースやポリアミドイミドであってもよい。バインダー樹脂51は、1種類の樹脂、または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。
また、フッ素系樹脂を主成分とした補助粒子52bは表面張力が低いため、補助粒子52bの一部がバックコート層50の表面に突出させることにより、バックコート層50にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。
さらに、補助粒子52bの融点またはTgが、熱転写温度より高い、すなわち接着層40における樹脂成分41の融点またはTgより高くてもよい。特に、フッ素系樹脂を主成分とする補助粒子52bは、炭素とフッ素との強靭な結合により、高い耐熱性を有する。したがって、バックコート層50の表面上に露出することで、補助粒子52bが潰れず熱転写時におけるホットスタンプとバインダー樹脂51との接触が低減される。その結果、熱転写時のホットスタンプの汚染を防止できる。
フッ素系樹脂は、親油性が低いため、テープ等が貼り付きにくく、ペンのインクも定着しにくい場合があるが、酢酸セルロースやポリアミドイミドのバインダー樹脂51の親油性は高いため、テープ等の粘着剤がよく付着し、インクの有機成分もなじみやすい。したがって、上記構成のバックコート層50を有する本実施形態のホットスタンピング箔1は、熱転写装置を用いた転写に関して高い作業性を発揮する。
補助粒子52bの平均粒径は、塗布前であれば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定できる。塗布後であれば、電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察画像における粒子の面積に基づいて求めることができる。
また、バインダー樹脂51に対する補助粒子52bの質量比は、1%以上12%以下であってもよい。1%以上であればすべり性が十分となり、12%以下であれば、摩擦や摩耗による補助粒子の滑落が起きづらい。特に、2%以上10%以下が好ましい。
また、バックコート層50とキャリア10との間にアンカーコート層を設けることにより、バックコート層50とキャリア10との密着性を高めることができる。アンカーコート層の材料は、キャリア10とバックコート層50に対して密着性の高い材料から選択することができ、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂の単体または混合としてもよい。また、やこれらの材料に硬化剤を加えた材料としてもよい。
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(バックコート層形成用インキ2-A)
バインダー樹脂:酢酸セルロース樹脂 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.2部
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 91.8部
(アンカーコート層形成用インキ2)
ポリエステル樹脂 5部
溶媒:THF 95部
(トップ層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(ラッカー層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(沈み込み制御層形成用インキA)
EMAA(ディスパージョン、軟化温度62℃) 47.8部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(巴工業社製 E15/45M Tg 73℃) 7.1部
有機シラン化合物(シランカップリング剤) 2.4部
イソシアネート 1.4部
エタノール 11.9部
メチルエチルケトン 15.4部
トルエン 14.0部
(接着層形成用インキA)
アクリル樹脂(樹脂成分) 36.9部
ポリエステル樹脂(樹脂成分) 0.9部
消泡剤 0.2部
シリカ(スペーサー粒子、平均粒径8.0μm レーザー法による測定) 1.1部
ナノシリカ(無機粉体フィラー、平均粒径10~15nm レーザー法による測定) 50.1部
メチルエチルケトン 9.4部
トルエン 1.5部
上記キャリアの一方の面に、上記アンカーコート層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が0.5μmとなるよう塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。
次に、アンカーコート層上に上記バックコート層形成用インキをドライ膜厚が2μmとなるように塗布乾燥し、バックコート層を形成した。
次に、トップ層上に上記ラッカー層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成するレリーフ構造をラッカー層の表面に形成した。
続いて、ラッカー層上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、無機堆積層を形成した。
続いて、無機堆積層上に、上記被覆層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、被覆層を形成した。
以上により、キャリア上に積層光学構造体を形成した。
その後、積層光学構造体上に、上記沈み込み制御層形成用インキAをドライ膜厚が1~2μmとなるよう塗布乾燥し、沈み込み制御層を形成した。
さらに、沈み込み制御層上に、上記接着層形成用インキAを、固形分のドライ膜厚が4~5μmとなるよう塗布乾燥し、接着層を形成した。
以上により、実施例2-1のホットスタンピング箔を作製した。
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキBを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-B)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキCを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-C)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキDを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-D)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキEを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-E)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキFを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-6のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-F)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキGを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-7のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-G)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキHを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-8のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-H)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキIを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-9のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-I)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキJを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-10のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-J)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキKを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-11のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-K)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキLを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-12のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-L)
バインダー樹脂:酢酸セルロース 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキMを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-13のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-M)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキNを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-14のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-N)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 0.3μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキOを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-15のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-O)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキPを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-16のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-P)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキQを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-17のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-Q)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキRを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-18のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-R)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキSを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-19のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-S)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.12部
溶媒:THF 91.88部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキTを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-20のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-T)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキUを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-21のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-U)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキVを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-22のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-V)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 9.0μm) 0.84部
溶媒:THF 91.16部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキWを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-23のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-W)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキXを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で実施例2-24のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-X)
バインダー樹脂:ポリアミドイミド 8部
補助粒子:PTFE(d50 12.0μm) 0.76部
溶媒:THF 91.24部
バックコート層を形成しなかった点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-1のホットスタンピング箔を作製した。
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcAを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-2のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cA)
バインダー樹脂:ポリアリレート 8部
溶媒:THF 92部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcBを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-3のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cB)
バインダー樹脂:ポリアリレート 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcCを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-4のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cC)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 8部
溶媒:THF 92部
バックコート層形成用インキ2-Aに代えて、下記バックコート形成用インキcDを使用した点を除き、実施例2-1と同様の手順で比較例2-5のホットスタンピング箔を作製した。
(バックコート層形成用インキ2-cD)
バインダー樹脂:セルロースアセテートプロピオネート 8部
補助粒子:PTFE(d50 3.0μm) 0.2部
溶媒:THF 91.8部
表4に、各実施例および比較例のバインダー樹脂、補助粒子、平均粒子径d50、および添加率を示す。なお、添加率とは、乾燥後のバックコート層における、バインダー樹脂に対する補助粒子の添加率(質量比)である。
(連続転写時のホットスタンプ汚染(版汚染))
各例について、5000個の積層光学装飾体が共通のキャリアに形成されたロール状のサンプルを作製した。これを熱転写装置にセットして5000回連続で積層光学装飾体の転写を実行し、転写後のホットスタンプ表面を目視により確認した。
熱転写の条件は以下の通りである。
転写温度:130℃
評価は以下の2段階とした。
〇(GOOD):ホットスタンプに汚れが付着している
×(BAD):ホットスタンプに汚れが付着していない
各例のサンプルを5個ずつ準備し、バックコート層に対してJIS K 5701-1に準拠した学振試験を実施し、耐摩耗性を評価した。
評価は以下の3段階とし、〇および△を合格とした。評価は、摩擦子の往復100回目と200回目の2点において行った。
〇(GOOD):いずれのサンプルにも傷を認めない
△(FAIR):傷を認めるサンプルが2個以下
×(BAD):傷を認めるサンプルが3個以上
版汚染および耐摩耗性(学振試験)の試験結果を表4に示す。
上記実施例および比較例の結果により、本実施形態のホットスタンピング箔は高速な熱転写を良好に実行できることが示された。
特に、平均粒子径D50が2μm以上10μm以下、かつ添加率2%以上10%以下である実施例2-4、2-5、2-8、2-9、2-16、2-17、2-20、2-21では、摩擦子を往復200回させた学振試験後でも傷が認められず、他の実施例と比較して良好な結果が得られた。
なお、補助粒子52bの樹脂ビーズ(PTFEビーズ)は、接着層40に用いられるスペーサー粒子42(シリカ)よりも硬度が低く柔軟である。このため、ホットスタンピング箔1がロール状に積層された場合に、補助粒子52bとスペーサー粒子42との衝突によるスペーサー粒子42の脱落を防止することができる。
第1および第2の選択的実施形態のバックコート層50は、表面の動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上となるよう、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドを含むバインダー樹脂に補助粒子52aまたは補助粒子52bが添加されていてもよい。
バインダー樹脂が酢酸セルロースまたはポリアミドイミドであることで、バックコート層50に硬度を付与することができる。
また、補助粒子52a、52bがバインダー樹脂51から突出する高さは、スペーサー粒子42が樹脂成分41から突出する突出高さより低くてもよい。これにより、ホットスタンピング箔1がロール状に巻かれた場合、巻き状態により発生する積層されたホットスタンピング箔1同士のブロッキングを抑制することができる。
10 キャリア
10a 第一面
10b 第二面
20 積層光学構造体
25 積層光学装飾体
30 沈み込み制御層
40 接着層
41 樹脂成分
42 スペーサー粒子
50 バックコート層
51 バインダー樹脂(バインダー)
52a、52b 補助粒子(ワックス粒子)
Claims (21)
- 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い芳香族化合物を含むバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、
前記積層光学装飾体は、
熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
前記接着層は、
常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であり、
前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有し、
前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有する、
ホットスタンピング箔。 - 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂と脂肪族化合物のアマイドワックスを主成分とした補助粒子との複合体であり、
前記積層光学装飾体は、
熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
前記接着層は、
常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である、
ホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
請求項1または2に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層における前記界面活性剤の比率が、固形分比で1%以上5%以下である、
請求項1に記載のホットスタンピング箔。 - 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂と脂肪族化合物のフッ素系樹脂を主成分とした補助粒子との複合体であり、
前記積層光学装飾体は、
熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
前記接着層は、
常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である、
ホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
請求項8に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する、
請求項8または9に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する樹脂ビーズである、
請求項10に記載のホットスタンピング箔。 - 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
請求項8から11のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
請求項8から12のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
請求項8から13のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 熱圧を加えることにより転写対象に転写されるホットスタンピング箔であって、
第一面とその反対側に第二面を備えるキャリアと、
前記キャリアの前記第一面に形成された積層光学構造体を含む積層光学装飾体と、
前記キャリアの転写時に熱圧がかかる面である前記第二面に形成されたバックコート層と、を備え、
前記バックコート層は、ホットスタンピング箔の熱転写温度よりも融点が高い酢酸セルロースのバインダー樹脂と脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、
前記積層光学装飾体は、
熱圧が加わった際の柔軟性が互いに異なる軟質樹脂と変形制限剤とを含有し、前記積層光学構造体上に形成された沈み込み制御層と、
前記沈み込み制御層上に形成され、前記転写対象に接合される接着層と、を備え、
前記接着層は、
常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有する樹脂成分と、
前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であり、
前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有する、
ホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の表面の静摩擦係数が0.35以上である、
請求項15に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層の前記バインダー樹脂は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する、
請求項15または16に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バックコート層における前記界面活性剤の比率が、固形分比で1%以上5%以下である、
請求項15から17のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記補助粒子の平均粒径が0.1μm以上12μm以下である、
請求項15から18のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記バインダー樹脂に対する前記補助粒子の質量比が1%以上12%以下である、
請求項15から19のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。 - 前記キャリアと前記バックコート層との間に設けられたアンカーコート層をさらに備える、
請求項15から20のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
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