JP6973537B2 - 転写箔 - Google Patents

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本発明は、転写箔に関する。
従来から、商品等の物品が真正品であることを証明する目的で、偽造や複製が困難なレリーフ型のホログラムを上記物品において使用することがある。
レリーフ型のホログラムは、凹部又は凸部から構成された回折格子からなる。レリーフ型のホログラムが射出する回折光の色やそれを視認可能な方向は、凹部又は凸部のピッチやそれらの配列の方位に応じて変化する。
レリーフ型のホログラムには、対象物の画像を立体的に表示可能なもの、即ち、三次元画像を表示可能なものがある。そのようなホログラムとしては、例えば、ホログラムによって再生される画像における上記対象物の向きが、上記対象物の実物を観察した場合と同様に、観察角度の変化に応じて変化するものがある。このレリーフ型のホログラムには、例えば、凹部又は凸部を、互いに平行な複数の曲線状とした構造を採用する(特許文献1及び2を参照のこと)。
特開平6−281804号公報 特開平7−104211号公報
近年、商品券や紙幣などの物品では、帯状のレリーフ型ホログラムが貼り付けられたものが増えている。そのような物品の製造には、例えば、転写箔を使用する。
本発明者らは、この転写箔が三次元画像又は精細な画像を表示可能なものである場合、以下の問題を生じ得ることを見出した。即ち、ホログラムを含んだ表示体を転写すべき物品の表面が、紙の表面のように平滑でない場合、高い平滑性の表示面が得られ難く、高い画質を実現することが難しい。
そこで、本発明は、被転写面が平滑でない場合であっても、高い画質を実現可能とすることを目的とする。
本発明の一側面によると、回折画像を表示するレリーフ構造が一方の主面に設けられたレリーフ層と、前記主面を少なくとも部分的に被覆した反射層とを含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体と、前記転写材層上に設けられ、熱可塑性樹脂を含み、表面のスキューネスSskの絶対値が1乃至3の範囲内にある接着層とを備え、前記転写材層の少なくとも一部をホットスタンピングによって前記支持体から紙へ転写するために使用する転写箔が提供される。
のスキューネスSskは、正の値とすることができる。或いは、このスキューネスSskは、負の値とすることもできる。
ここで、「スキューネスSsk」は、JIS B0681−2:2018において定義されている表面性状パラメータである。
なお、スキューネスSskを含む各表面性状パラメータは、レーザ顕微鏡を使用した測定により得ることができる。この測定には、オリンパス社製のLEXT OLS4100を使用することができる。この測定では、測定数を5とし、一辺の長さが650μmの正方形領域を測定領域とする。そして、傾き補正を行う。
接着層の表面が平滑である場合、紙の表面のように平滑でない被転写面に対して転写を行うと、反射層は、被転写面の形状の影響を受けて歪んだ形状になることがある。その結果、転写後においてレリーフ構造が表示する回折画像は、転写前と比較して画質が低くなることがある。
上記の転写箔では、接着層の表面は、スキューネスSskの絶対値が所定の範囲内にある。スキューネスSskは、高さ分布のヒストグラムの偏り具合、即ち歪度を表している。被転写体の被転写面が平滑でない場合、スキューネスSskの絶対値を上記範囲内にすることで、転写後の表示面の平滑性を高くすることができ、高い画質を実現することができる。
上記の構成によって転写後の表示面の平滑性が高められるのは、被転写体の被転写面の凹凸が表示面の平滑性へ及ぼす悪影響が、表面が高さ分布の適度な偏りを有した接着層により軽減され、且つ、接着層表面の凹凸自体が転写後の表示面の平滑性に及ぼす悪影響が十分に小さいためであると考えられる。言い換えれば、高さ分布の偏りが小さすぎる場合には、被転写体の被転写面の凹凸が画質へ及ぼす影響は、接着層によって十分に吸収されない。逆に、高さ分布の偏りが大きすぎる場合には、接着層表面の凹凸自体が、転写後の表示面の平滑性に悪影響を及ぼす。
従って、この転写箔によると、被転写面が平滑でない場合であっても、高い画質を実現することが可能である。
<接着層>
接着層は、その表面の算術平均高さSを、0.1乃至0.5のμmの範囲内とすることができる。この算術平均高さSは、0.1乃至0.3μmの範囲内とすることもできる。ここで、「算術平均高さS」は、JIS B0681−2:2018において定義されている表面性状パラメータである。
このような接着層の表面には、多数の微細な凸部が存在している。これら凸部は、転写の際に、接着層の材料の面内方向への移動を生じ易くする。即ち、接着層表面の算術平均高さSが上記の範囲内にある転写箔は、転写の際に、被転写面の凸部から被転写面の凹部への接着層の材料の移動を生じ易い。それ故、この転写箔は、被転写面の凹凸に起因した反射層の形状の歪みを更に生じ難い。
また、接着層の表面の算術平均高さSが過度に大きいと、転写の際に、接着層の表面に存在している凸部からその周囲への接着層の材料の移動が十分に進行しない。その結果、転写後において、転写前の接着層の表面に存在していた凸部の位置には、他の位置と比較して、接着層の材料がより多く存在することになる。これに起因して、転写後の反射層は歪んだ形状になる可能性がある。
上記の転写箔では、接着層の表面は、算術平均高さSが所定の値以下である。それ故、転写の際に、接着層の表面に存在している凸部からその周囲への接着層の材料の移動は十分に進行し得る。即ち、この転写箔は、接着層の表面の凹凸に起因した反射層の形状の歪みを更に生じ難い。
接着層は、その表面の最大高さSを1乃至10μmの範囲内とすることができる。この最大高さSは、2.0乃至10.0μmの範囲内とすることもできる。ここで、「最大高さS」は、JIS B0681−2:2018において定義されている表面性状パラメータである。最大高さSは、凸部の最大高さと凹部の最大深さとの和を表している。
接着層は、その表面のクルトシスSkuを10乃至35の範囲内とすることができる。このクルトシスSkuは、10乃至20の範囲内とすることもでき、10乃至15の範囲内とすることもできる。ここで、「クルトシスSku」は、JIS B0681−2:2018において定義されている表面性状パラメータである。
クルトシスSkuは、高さ分布の鋭さを表している。被転写体が繊維状の物質から構成され、これら繊維状の物質の隙間が大きく、それら隙間の一部が表面で露出している場合、クルトシスSkuを上記の範囲内とすることで、接着層表面の凹凸が被転写面の隙間にうまく入り込む。それ故、被転写面の凹凸が画質へ及ぼす影響を軽減しつつ、転写材層の一部である表示体を被転写面に対して十分に高い接着力で接着させることができる。即ち、転写後の表示面の平滑性を高くすることができ、高い画質を実現可能とすることができ、更に、表示体と被転写体との間の十分な接着性を得ることができる
接着層の厚さは、1乃至10μmの範囲内とすることができる。この厚さは、4乃至10μmの範囲内とすることもでき、5乃至8μmの範囲内とすることもできる。
ここで、「層の厚さ」は、電子顕微鏡によって撮像することによって得られる平均厚さである。この平均厚さは、任意の5か所の厚さを算術平均することによって得ることができる。高い精度が要求される場合には、この平均厚さは、任意の30か所の厚さを算術平均することによって得ることもできる。
接着層を薄くすると、被転写面の形状が反射層の形状に及ぼす影響が大きくなる。接着層を厚くすると、転写材層の少なくとも一部を物品に転写してなる表示体の、その縁部における物品からの剥離を生じ易くなる。
接着層は、被転写面に対して接着性を発揮する樹脂を含む。接着層の樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用できる。
熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂とすることができる。アクリル樹脂は、ポリメチルメタクリレート等とすることができる。転写箔から表示体を転写する物品が有価証券等である場合、この物品の材質は、紙、ポリプロピレン、又はポリエチレンである場合が多い。樹脂成分をアクリル樹脂とした場合、そのような物品への転写を少ない熱量で行うことができる。それ故、短時間のホットスタンピングで転写できる。これにより、転写のスループットが向上する。
ここで、「短時間のホットスタンピング」とは、一般的に、90乃至130℃のダイヘッドのプレス面の温度での1秒未満のホットスタンピングを意味する。短時間のホットスタンピング時の圧力は、0.2乃至5t/cmとすることができる。短時間でないホットスタンピング時の圧力も、0.2乃至5t/cmとすることができる。
アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂として、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、又はポリウレタン系樹脂を使用することもできる。ビニル系樹脂としては、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はポリビニルアルコールを使用することができる。ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン又はスチレン・アクリロニトリル共重合体を使用することができる。ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン又はエチレン酢酸ビニル共重合体を使用することができる。
接着層は、樹脂を1種のみ含むことができる。或いは、接着層は、2種以上の樹脂を含むことができる。例えば、接着層は、アクリル樹脂と、融点又はガラス転移点が60乃至130℃の他の熱可塑性樹脂とを含むことができる。この場合、接着層が樹脂としてアクリル樹脂のみを含んだ場合と比較して、より短い時間での熱圧で転写できる。アクリル樹脂と他の樹脂との質量比は、50:1乃至5:1の範囲内とすることができ、40:1乃至6:1の範囲内とすることもできる。
接着層の樹脂は、これらのうち2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。上述した各樹脂は、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、及びシラノール結合の1以上を含んでいてもよい。この場合、これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。これらの結合によって分子量を調整することができ、それ故、ガラス転移点、軟化点、粘弾性、及び耐溶剤性等を調整することができる。熱可塑性樹脂は、上記の通り共重合体であってもよく、変性していてもよい。
接着層は、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びスチレンマレイン酸などの低分子を更に含んでいてもよい。
接着層は、熱可塑性樹脂を含有した単層とすることができる。或いは、接着層は、表面側接着層と内側接着層とを含んだ多層構成とすることができる。後者の場合、接着層は、表面側接着層と内側接着層との2層からなる構成とすることができる。或いは、接着層は、表面側接着層と、内側接着層と、それらの間に介在した1以上の中間層との3層以上からなる構成とすることができる。接着層を多層構成とした場合、それら層に異なる機能を持たせることができる。例えば、接着層を表面側接着層と内側接着層との2層構成とする場合、表面側接着層には主として接着機能を持たせ、内側接着層には接着機能に加え表面凹凸調整機能やアンカー機能などを持たせることができる。
内側接着層用コート剤は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂などのオレフィン樹脂、又はポリエステル樹脂とすることができる。内側接着層の厚さは、1乃至3μmの範囲内とすることができる。また、それらの厚さの比率(表面側接着層の厚さ:内側接着層の厚さ)は、8:2乃至3:7の範囲内、より好ましくは5:5乃至4:6の範囲内とすることができる。
表面側接着層には、前述の樹脂を用いることができる。また、必要に応じて、転写時に箔切れをよくするための添加剤などを加えてもよい。
内側接着層は、熱可塑性樹脂と混合されたフィラーを更に含むことができる。フィラーは、無機フィラー又は耐熱樹脂フィラーとすることができる。フィラーを加えた場合、極性溶剤と非極性溶剤とをブレンドするか、又は、両極性の溶剤(アルコール等)をコート剤に使用することで、粒子の凝集性を制御し易くなり、適切な表面粗さ(スキューネス、クルトシス等)を得ることができる。また、アンカー機能を付与することが可能となる。
無機フィラーの材質は、シリカ、金属、又はそれらの酸化物等とすることができる。無機フィラーは、溶剤で劣化しない。また、無機フィラーは、低コストである。
無機フィラーの材質は、硫酸バリウムとすることもできる。硫酸バリウムは、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、又はそれらの混合物とすることができる。粒子の凝集性の制御し易さ、塗膜の均一性、及び光学的な均一性の観点から、硫酸バリウムとして沈降性硫酸バリウムを選択できる。硫酸バリウムは、他のフィラーと混合して使用することもできる。
耐熱樹脂フィラーの材質は、耐熱性の合成樹脂である。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、又はポリプロピレン樹脂等とすることができる。
フィラーの材質は、天然素材とすることもできる。天然素材は、セルロース、琥珀、ゼオライト、又は雲母等とすることができる。
合成樹脂は、高い耐熱性及び高い耐薬品性を得やすい。天然素材は、環境負荷が小さい。
フィラーの形状は、球状フィラー又は非定型フィラーとすることができる。
フィラーの平均粒子径は、0.1乃至20.0μmの範囲内とすることができる。フィラーの平均粒子径は、0.3乃至1.0μmの範囲内とすることもできる。
ここで、「平均粒子径」は、電子顕微鏡で撮像することによって得られる面積平均粒子径である。
接着層におけるフィラーの量は、接着層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、1乃至60質量部の範囲内とすることができ、5乃至50質量部の範囲内とすることもできる。
接着層は、蛍光を発する材料を含むことができる。接着層が多層である場合、それら層の何れか1つのみが蛍光を発する材料を含むことができる。或いは、それら層の2以上又は全てが蛍光を発する材料を含むことができる。
このような構成を採用した場合、蛍光を利用して、無機蒸着層のエッチングが正しく行われたことを確認することができる。例えば、無機蒸着層のエッチングが正しい位置で行われたこと、又は、不要なエッチング残りが生じていないことを確認することができる。
或いは、この蛍光を利用して、接着層又は接着層を構成する各層などの蛍光を発する材料を含んだ層の厚さのばらつきを確認することができる。具体的には、蛍光強度の分布を調べることにより、上記厚さのばらつきを確認することができる。転写箔では、その周縁部において、接着層又は接着層を構成する各層などの厚さにばらつきを生じ易い。蛍光を利用すると、特に周縁部における厚さの管理を容易に行うことができる。
或いは、例えば、蛍光を発する材料(第1材料)に、他の材料(第2材料)からなる粒子が分散している場合、この複合材料に励起光を照射して、これを観察することにより、第2材料からなる粒子の分散状態を確認することができる。粒子の分散状態は、この複合材料を含んだ層の接着性に影響を及ぼす。特に、転写箔の周縁部における接着性は、後述する表示体全体の接着性に大きな影響を及ぼす。蛍光を利用すると、粒子の分散状態を容易に確認することができる。具体的には、上記の複合材料に励起光を照射して蛍光でのヘイズを測定することにより、粒子の分散状態を確認できる。
接着層又は接着層を構成する各層は、転写材層の表面に塗工液を塗布し、塗膜を乾燥させることにより得ることができる。
塗工液は、熱可塑性樹脂と、これを溶解させた溶媒とを含んだ液とすることができる。或いは、塗工液は、熱可塑性樹脂と、これを分散させた分散媒とを含んだディスパージョン又はエマルジョンとすることができる。
塗工液の塗布法は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、又はダイコート等とすることができる。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷法は、グラビア又はスクリーン印刷とすることができる。塗膜の乾燥は、固形分の融点又はガラス転移点以下の温度で行うことが好ましい。
上記の表面性状は、接着層の表面にエンボス加工を行うことにより生じさせることができる。或いは、上記の表面性状を有する接着層は、以下の方法で形成することもできる。
接着層を2層構成とする場合、先ず、内側接着層用コート剤とフィラーとを含んだ塗工液を調製する。フィラーとしては、塗工液中で沈降し易いものを選択する。そのようなフィラーとしては、硫酸バリウムを使用することができる。
次に、支持体とその上に設けられた転写材層とを含んだ積層体を、転写材層の表面が下方を向くように位置させる。この状態で、転写材層の表面に、内側接着層用コート剤とフィラーとを含んだ塗工液を塗布する。
塗膜が乾燥するまでの間に、フィラーの少なくとも一部を塗膜中で沈降させる。これにより、表面に凹凸を有する内側接着層を得る。
次に、表面側接着層用の熱可塑性樹脂を含んだ塗工液を内側接着層上に塗布し、塗膜を乾燥させる。この塗膜の表面性状は、内側接着層の表面に設けられた凹凸などの影響を受ける。また、内側接着層の表面性状は、フィラーの種類、平均粒子径及び含量、並びに、塗膜を形成してから硬化するまでの時間及び温度変化などに応じて変化する。
従って、これらを適切に選択することにより、上記の表面性状を有する接着層を得ることができる。
<支持体>
支持体(キャリアともいう)は、例えば、ベースフィルム又はコートされたベースフィルムである。
ベースフィルムは、単層又は多層のプラスチックフィルムとすることができる。プラスチックフィルムは、押出法、溶液流延法、又はカレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法又はTダイ法を適用できる。
プラスチックフィルムは、延伸又は無延伸フィルムとすることができる。プラスチックフィルムの材料は、熱可塑性樹脂又は溶解性樹脂とすることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はポリプロピレン(PP)を用いることができる。
ベースフィルムは、耐熱フィルム又は耐圧フィルムとすることができる。耐熱材料や耐圧材料は、転写時に加わる熱や圧力等による変形や変質を少なくできる。用途や目的に応じて、ベースフィルムは、紙、合成紙、プラスチック複層紙又は樹脂含浸紙等とすることができる。
コートされたベースフィルムは、ベースフィルムと、その片面又は両面をコートしたコート層とを含んでいる。このコーティングには、マイクログラビアコート、グラビアコート、ダイコート、又はスクリーンコート等を適用できる。
このコート層は、樹脂単体又は粉体を含有した樹脂をコーティングしたものとすることができる。コートする樹脂は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、又はフッ素系樹脂とすることができる。樹脂が含有する粉体は、シリカ粉体、シリコーン粉体、フッ素系粉体、又はカーボン粉体とすることができる。
ベースフィルムの転写材層側の面にコート層を設けた場合、支持体が転写材層を保持する能力や、転写材層の支持体からの剥離の容易さ調整できる。ベースフィルムの転写材層とは反対側の面にコート層を設けた場合、例えば、ロール状に巻かれた転写箔における支持体と接着層とのブロッキングを生じ難くすること、転写箔の搬送をスムーズにすること、又はこれら両方を実現できる。
支持体の厚さは、4μm以上であることが好ましい。支持体の厚さが小さいと、その物理的強度が不十分となり、転写箔の取り扱いが困難となる。支持体のより好ましい厚さは、12乃至50μmである。
<転写材層>
(レリーフ層)
レリーフ層は、上記の通り、一方の主面にレリーフ構造を有する。レリーフ層の材料は、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂とすることができる。
紫外線硬化樹脂は、硬化性樹脂である、エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、又はポリマーとすることができる。
エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を持つモノマーは、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとすることができる。
エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を持つオリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、又はポリエステルアクリレートのオリゴマー又はコオリゴマーとすることができる。エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を持つポリマーは、ウレタン変性アクリル又はエポキシ変性アクリルのポリマー又はコポリマーとすることができる。
紫外線硬化樹脂は、アクリル樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、及びエチレンメタクリレート樹脂の何れか、それらの何れかの共重合樹脂、それらの何れかを含んだ複合樹脂、又は、それらの何れかの共重合樹脂を含んだ複合樹脂とすることができる。
レリーフ層は、着色されていてもよい。レリーフ層は、その樹脂に顔料又は染料を添加することにより着色できる。
顔料は、無機顔料又は有機顔料とすることができる。顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、又は磁性顔料とすることもできる。染料は、天然染料又は合成顔料とすることができる。染料は蛍光性染料とすることもできる。
レリーフ層の材料としての熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、及びビニル系樹脂の何れか、それらの何れかの共重合樹脂、それらの何れかを含んだ複合樹脂、又は、それらの何れかの共重合樹脂を含んだ複合樹脂とすることができる。
レリーフ層の材料としての熱硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、及びフェノール系樹脂の何れか、それらの何れかの共重合樹脂、それらの何れかを含んだ複合樹脂、又は、それらの何れかの共重合樹脂を含んだ複合樹脂とすることができる。
レリーフ層のレリーフ構造は、微細な凹凸によって構成されている。このレリーフ構造の少なくとも一部は、例えば、白色光で照明した場合に回折光を射出して、回折画像を表示する。レリーフ構造のうち回折光を射出する部分は、幅方向に配列した複数の溝を含んでいる。
回折画像は、三次元画像を含むことができる。ここで、用語「三次元画像」は、画像における対象物の向きが、例えば、その対象物の実物を観察した場合と同様に、観察角度の変化に応じて変化する画像、及び、両眼視差を利用して観察者に奥行きを知覚させる画像を意味する。
反射層の形状の歪みが回折画像の画質へ及ぼす影響は、回折画像として、高精細画像、アニメーション又は三次元画像を表示する場合に大きく、三次元画像を表示する場合に特に大きい。
レリーフ構造は、回折画像を表示する部分に加え、無反射効果、等方性散乱効果、異方性散乱効果、レンズ効果、及び偏光選択性反射効果などの光学効果を奏する1以上の部分を更に含むことができる。
レリーフ構造のうち回折光を射出する部分の溝は、ピッチを0.5μm以上2μm以下とし、深さを0.05μm以上0.5μm以下とすることができる。
レリーフ構造のうち無反射効果又は偏光選択性反射効果を奏する部分には、ピッチが0.1μm以上0.5μm以下であり、深さ又は高さが0.25μm以上0.75μm以下の凹部又は凸部からなるモスアイ構造又は格子構造を設けることができる。
レリーフ構造のうち等方性散乱効果又は異方性散乱効果を奏する部分には、ピッチが0.5μm以上3μm以下であり、深さ又は高さが0.05μm以上0.5μm以下の非周期的な線状又はドット状の凹部又は凸部からなる繰り返し構造を設けることができる。
レリーフ構造のうちレンズ効果を奏する部分には、平均ピッチが3μmより大きく、深さが0.5μmより大きい溝からなる同心円状グレーティングを設けることができる。
レリーフ構造が奏する光学効果は、目視又は機械読み取りによって、知覚又は検知することができる。これにより、このレリーフ構造を含んだ表示体を支持させる物品に、偽造又は改竄防止性能や意匠性を付与することができる。
レリーフ層の主面は、レリーフ構造が設けられた領域を1つのみ含むことができる。或いは、レリーフ層の主面は、レリーフ構造が設けられた領域を2以上含むことができる。
レリーフ構造が表示する画像は、絵、写真、肖像、ランドマーク、マーク、ロゴ又はそれらの組合せとすることができる。
(反射層)
反射層は、無機蒸着層とすることができる。無機蒸着層は、レリーフ構造が奏する光学効果を容易に観察可能とする。
無機蒸着層は、レリーフ層のレリーフ構造を少なくとも一部を覆うように、レリーフ構造が設けられた主面の一部又は全面に形成される。無機蒸着層が上記主面の一部にのみ形成された場合、より精緻な意匠となり、転写材層又は表示体の製造により高度な加工技術が要求されるため、転写箔はより高い偽造防止効果を奏することができる。
無機蒸着層は、それ自体で構造色を表示するものであってもよい。構造色は、虹色又は観察方向又は照明方向を変化させるのに応じて変化する色を含む。
無機蒸着層の材料としては、金属若しくはケイ素、合金、又は金属若しくは珪素を含んだ化合物を用いることができる。金属は、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、又はAgとすることができる。
無機蒸着層の厚さは、10乃至500nmの範囲内とすることができる。
無機蒸着層は、減圧下で無機材料をレリーフ層上に堆積させることで形成できる。無機蒸着層は、真空蒸着、スパッタリング、又は化学気相堆積(CVD)により形成できる。
無機蒸着層は、単層又は多層である。多層の無機蒸着層は、金属層と金属化合物層とを交互に積層したもの、異種の金属からなる層を交互に積層したもの、又は、異種の金属化合物からなる層を交互に積層したものとすることができる。金属層と金属化合物層とを交互に積層した無機蒸着層として、アルミニウム層と二酸化珪素層とを積層したものを挙げることができる。
(剥離保護層)
転写材層は、レリーフ層と基材との間に介在した剥離保護層を更に含むことができる。
剥離保護層は、転写材層の支持体からの剥離を容易にする。また、剥離保護層は、転写後においては、表示体の最表面層となり、レリーフ層や反射層を損傷から保護する。
剥離保護層は、熱可塑性樹脂と表面改質剤とを含有した層とすることができる。
この熱可塑性樹脂は、融点又はガラス転移点が90℃以上130℃以下の樹脂とすることができる。熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、若しくはポリアミド樹脂、それらの何れかの共重合樹脂、それらの何れかを含んだ複合樹脂、又は、それらの何れかの共重合樹脂を含んだ複合樹脂とすることができる。
表面改質剤は、パウダー、ワックス、又はオイルとすることができる。パウダーは、耐熱パウダーとすることができる。耐熱パウダーは、シリカパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー、又はシリコーン系パウダーとすることができる。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーンワックス、又はカルナバロウとすることができる。オイルは、シリコーンオイルとすることができる。
剥離保護層は、着色されていてもよい。剥離保護層は、その樹脂に顔料又は染料を添加することにより着色できる。
顔料は、無機顔料、有機顔料、又は、無機顔料と有機顔料の混合物とすることができる。或いは、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、又は磁性顔料とすることができる。顔料は、2以上の蛍光性顔料、2以上のパール顔料、又は2以上の磁性顔料とすることができる。或いは、顔料は、1以上の蛍光性顔料と1以上のパール顔料とを含んだ混合物、1以上のパール顔料と1以上の磁性顔料とを含んだ混合物、1以上の磁性顔料と1以上の蛍光性顔料とを含んだ混合物、又は、1以上の蛍光性顔料と1以上のパール顔料と1以上の磁性顔料とを含んだ混合物とすることができる。
染料は、天然染料、合成染料、又は、天然染料と合成染料との混合物とすることができる。或いは、染料は蛍光性染料とすることもできる。
剥離保護層は、支持体への印刷又は塗布によって形成することができる。塗布は、グラビアコート、マイクログラビアコート、又はダイコートとすることができる。印刷は、グラビア印刷又はスクリーン印刷とすることができる。
剥離保護層の厚さは、例えば、0.5μm以上5μm以下である。
剥離保護層は、印刷を受容できる。アクリル樹脂は、印刷を受容し易い。印刷を受容可能な剥離保護層を表示体が含んだ表示体付き物品は、その表示体及び物品の双方に対して印刷が可能である。
(被覆層)
転写材層は、反射層を少なくとも部分的に被覆した被覆層を更に含むことができる。被覆層は、反射層の全面又は一部を被覆する。
被覆層は、連続膜として形成した無機蒸着層をパターニングする際に、エッチングマスクとして利用することができる。連続膜として形成した無機蒸着層のうち無機蒸着層によって覆われていない部分を選択的に除去することで、レリーフ層の主面を部分的に被覆した反射層が得られる。
被覆層は、無機蒸着層への印刷、塗布、又は堆積により形成することができる。無機蒸着層を部分的に被覆した被覆層は、印刷によって形成することができる。或いは、無機蒸着層を部分的に被覆した被覆層は、その材料を、マスクを用いて無機蒸着層上に堆積させることにより形成することができる。或いは、無機蒸着層を部分的に被覆した被覆層は、紫外線露光によって溶解するか又は溶解し難くなる樹脂を無機蒸着層上に塗布し、塗膜をパターン状に紫外線で露光し、その後、塗膜を現像することにより形成することができる。或いは、無機蒸着層を部分的に被覆した被覆層は、無機蒸着層を部分的に被覆した溶解性の層を形成し、被覆層を無機蒸着層と溶解性の層とを覆うように形成し、その後、溶解性の層を溶剤に溶解させて、被覆層のうち溶解性の層の上に位置した部分を除去することにより形成することができる。無機蒸着層を部分的に被覆した被覆層の形成には、他の周知の加工技術を適用してもよい。
被覆層の材料は、樹脂、無機材料、又は樹脂と無機材料とのコンポジットとすることができる。被覆層の樹脂は、エッチング耐性を有する樹脂とすることができる。被覆層の樹脂は、硬化性樹脂とすることができる。硬化性樹脂は、エッチング耐性を得やすい。被覆層の樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、若しくはポリイミド系樹脂、それらの何れかの共重合樹脂、それらの何れかを含んだ複合樹脂、又は、それらの何れかの共重合樹脂を含んだ複合樹脂とすることができる。
ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はポリビニルアルコールとすることができる。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、又はエチレン酢酸ビニル共重合体とすることができる。アクリル系樹脂は、ポリメチルメタクリレートとすることができる。また、被覆層の樹脂は、これらのうちの2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。上記樹脂の分子は、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、又はシラノール結合などを含んでいてもよい。これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂を使用し、それらの化学構造を部分的に架橋させてもよい。
硬化性樹脂は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、アクリレート系樹脂などの紫外線硬化樹脂とすることができる。被覆層の樹脂は、電子線硬化樹脂又は湿気硬化型樹脂とすることもできる。
<被転写体>
被転写体である物品は、印刷物又は印刷が行われるべき記録媒体とすることができる。印刷物又は記録媒体の厚さは、0.05乃至4mmの範囲内とすることができる。
印刷物は、全面又は一部に印刷されたフィルム又は紙とすることができる。記録媒体は、印刷が行われるべきフィルム又は印刷用紙とすることができる。紙は平滑な表面を有していないため、上述した技術が特に有用である。
印刷されたフィルムは、ベースフィルムと、その表面の全体又は一部にアンカー層が形成され、このアンカー層に印刷層が形成されたものである。印刷された紙は、上質紙、中質紙、コート紙、非コート紙、フィルムをラミネートした紙、又は樹脂含浸紙等に印刷層が形成されたものである。印刷が行われるべきフィルムは、ベースフィルム上に、印刷を受容するようアンカー層が形成されたものである。
セキュリティ印刷物に用いられる用紙は、長期の使用を想定した高耐久性の用紙が適している。高耐久性の用紙として、長い繊維状の物質から構成される紙を用いることができる。具体的には、平均繊維長が3乃至20mm、好ましくは6乃至20mmであり、平均幅が4乃至40μmの繊維を含む紙を用いることができる。このような紙としては、例えば、靱皮繊維を主原料とし、葉脈繊維などを補助原料とした紙が挙げられる。このような紙は、強度が高く、強靭であり、丈夫であるが、繊維状の物質の隙間が大きく表面が荒れている。そのため、従来の転写箔を使用して転写した場合、転写後において、高い平滑性の表示面が得られ難い。そのため、このような紙を使用した場合、上述した技術の効果が特に大きいものとなる。
印刷されたフィルム及び印刷が行われるべきフィルムのベースフィルムには、プラスチックフィルムを適用できる。プラスチックフィルムは、延伸フィルム又は無延伸フィルムとすることができる。延伸フィルム又は無延伸フィルムは、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、又はポリプロピレンフィルムとすることができる。ポリマーフィルムは、単層又は同一材料若しくは異種材料を交互に積層した多層とすることができる。
印刷されたフィルム及び印刷が行われるべきフィルムのアンカー層は、アンカーコート剤を使用して形成することができる。アンカーコート剤は、熱可塑性樹脂又は熱硬性樹脂とすることができる。アンカーコート剤は、重合体又は共重合体とすることができる。この重合体又は共重合体は、ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレンイミン、又はポリウレタンとすることができる。ポリエチレンイミン及びエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、極性基及び疎水基を含んでおり、隣接する層に対して高い接着性を示す。
印刷法は、グラビア印刷、オフセット印刷、又はスクリーン印刷等とすることができる。
印刷には、インキを使用することができる。インキは、顔料インキ、染料インキ、パールインキ、又は不可視インキとすることができる。不可視インキは、蛍光インキ又は赤外線吸収インキとすることができる。
印刷物は、セキュリティ印刷物とすることができる。セキュリティ印刷物は、紙幣、チケット、タグ、シール、ゲームカード、認証カード、認証ページ、ギフト券、証明書、ポスター、グリーティングカード、又はビジネスカード等とすることができる。セキュリティ印刷が行われるべき物品は、偽造、改竄、及び秘密にされるべき情報の盗み読み等の不正を防止するための対策、又は、そのような不正が行われたと懸念される場合に不正の有無の判別を容易とするための対策が必要とされる印刷である。
本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す平面図。 図1に示す転写箔のII−II線に沿った断面図。 図1及び図2に示す転写箔が、略正面から観察した場合に表示する画像を示す図。 図1及び図2に示す転写箔が、斜め右から観察した場合に表示する画像を示す図。 図1及び図2に示す転写箔が、斜め左から観察した場合に表示する画像を示す図。 表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図。 比較例に係る転写箔を概略的に示す断面図。 被転写面が平滑な物品の一例を示す断面図。 図7の転写箔及び図8の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図。 被転写面が凹凸を有している物品の一例を示す断面図。 図7の転写箔及び図10の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図。 図1及び図2の転写箔の一部を拡大して示す断面図。 図12の転写箔及び図10の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図。 接着層の表面が平滑な転写箔から紙へ転写した表示体について表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真。 接着層の表面が凹凸を有する転写箔から紙へ転写した表示体について表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
<転写箔>
先ず、本発明の一実施形態に係る転写箔について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す転写箔のII−II線に沿った断面図である。
なお、図中、X方向及びY方向は、転写箔10の主面に平行であり且つ互いに直交する方向である。また、Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向である。即ち、Z方向は、転写箔10の厚さ方向である。
図1及び図2に示す転写箔10は、支持体11と転写材層12と接着層13とを含んでいる。
支持体11は、転写材層12を剥離可能に支持している。支持体11は、帯形状を有している。
転写材層12は、レリーフ層121と、反射層122と、剥離保護層123と、被覆層124とを含んでいる。剥離保護層123、レリーフ層121、反射層122、及び被覆層124は、この順に、支持体11上に積層されている。レリーフ層121と反射層122と被覆層124との積層順は、逆であってもよい。
レリーフ層121は、光透過性を有している材料、例えば、無色透明な材料からなる。レリーフ層121の反射層122側の主面には、三次元画像を含む回折画像を表示するレリーフ構造が設けられている。ここでは、一例として、三次元画像は、四輪自動車の画像及びその背景の画像であるとする。
ここでは、レリーフ構造は、上記主面の全体に亘って設けられている。この主面は、レリーフ構造が設けられていない領域、即ち平坦な領域を更に含んでいてもよい。
レリーフ構造は、互いに交差する2つの方向、例えば互いに直交する2つの方向に配列した複数の画素を含んでいる。各画素は、赤色用の第1サブ画素と、緑色用の第2サブ画素と、青色用の第3サブ画素とを含んでいる。これら画素は、加法混色により様々な色を表示する。
赤色用の第1サブ画素は、Y方向に各々が延び、X方向へ配列した複数の短冊状部からなる。これら短冊状部は、それぞれ、観察角度の変化、例えばY方向に垂直な面内での観察角度の変化に応じて順次再生される画像の表示に利用する。
これら短冊状部には、回折格子が設けられているものと、回折格子が設けられていないものとがある。また、これら短冊状部のうち、回折格子が設けられているものは、回折格子の格子定数は互いに等しいが、回折格子を構成している溝状の凹部又は畝状の凸部の配列方向が異なっている。
回折格子が設けられていない短冊状部は、回折光を射出しないため、全観察角度において表示に寄与しない。他方、回折格子が設けられた短冊状部は、一定の照明条件下、例えば、X方向に対して垂直であり且つY方向に対して傾いた方向から白色光で照明する条件下では、溝状の凹部又は畝状の凸部の配列方向に応じて定まる特定の角度に赤色回折光を高い強度で射出し、他の角度には高い強度の回折光は射出しない。
そして、これら短冊状部のうち回折格子が設けられているものは、短冊状部に占める回折格子の面積比が様々である。この面積比に応じて、回折光の強度が変化する。
なお、全観察角度に赤色回折光を最大強度で射出するように設計した第1サブ画素では、短冊状部に設けられた凹部又は凸部の配列は、例えば、Y方向に一定のピッチで配列した複数の円弧からなるパターンを形成する。
緑色用の第2サブ画素は、回折格子の格子定数が異なること以外は、赤色用の第1サブ画素と同様の構造を有している。第2サブ画素の短冊状部のうち、回折格子が設けられているものは、上記照明条件下において、溝状の凹部又は畝状の凸部の配列方向に応じて定まる特定の角度に緑色回折光を高い強度で射出し、他の角度には高い強度の回折光は射出しない。
青色用の第3サブ画素は、回折格子の格子定数が異なること以外は、赤色用の第1サブ画素と同様の構造を有している。第3サブ画素の短冊状部のうち、回折格子が設けられているものは、上記照明条件下において、溝状の凹部又は畝状の凸部の配列方向に応じて定まる特定の角度に青色回折光を高い強度で射出し、他の角度には高い強度の回折光は射出しない。
反射層122は、レリーフ層121のレリーフ構造が設けられた主面を被覆している。ここでは、反射層122は、パターニングされた無機蒸着層である。反射層122は、転写箔10の長さ方向、即ちY方向に延びた帯状の形状を有し、Y方向に平行な転写箔10の一対の縁から離間している。反射層122のうちレリーフ構造を被覆している部分は、レリーフ構造に対してコンフォーマルな形状を有している。
剥離保護層123は、支持体11と隣接するように設けられている。剥離保護層123は、光透過性を有している材料、例えば、無色透明な材料からなる。剥離保護層123は、省略することができる。
被覆層124は、反射層122を被覆し、反射層122と同じ形状を有している。被覆層124は、無機蒸着層を反射層122へとパターニングする際に、エッチングマスクとして利用した層である。被覆層124は省略することができる。
転写材層12は、互いに隣接した転写部TP及び非転写部を含んでいる。転写部TP及び非転写部は、転写箔10の長さ方向へ交互に配置されている。
転写部TPは、転写材層12のうち、物品へ転写される部分である。転写後の転写部TPは、表示体として利用される。
非転写部は、転写材層12のうち、物品へ転写されずに残留する部分である。非転写部は省略することができる。
接着層13は、転写材層12を被覆している。接着層13は、熱可塑性樹脂を含んでいる。熱圧の印加により、支持体11によって剥離可能に支持された転写材層12の一部を、支持体11から他の物品へと転写することを可能とする。
接着層13は、その表面が平滑ではなく、所定の表面性状を有している。後述するように、これにより、被転写面が平滑でない場合であっても、高い画質を実現することが可能である。
この転写箔10では、通常、支持体11は無色透明である。この場合、転写箔10は、以下に説明する画像を表示し得る。
図3は、図1及び図2に示す転写箔が、略正面から観察した場合に表示する画像を示す図である。図4は、図1及び図2に示す転写箔が、斜め右から観察した場合に表示する画像を示す図である。図5は、図1及び図2に示す転写箔が、斜め左から観察した場合に表示する画像を示す図である。
転写箔10の支持体11側の面を、X方向に対して垂直であり且つY方向に対して傾いた方向から白色光で照明し、これを略正面から観察した場合、転写箔10は、図3に示すように、略正面を向いた四輪自動車の画像と、その背景の画像とを表示する。
同様の照明条件下で、転写箔10の支持体11側の面を斜め右から観察した場合、転写箔10は、図4に示すように、観察者から見て斜め左を向いた四輪自動車の画像と、その背景の画像とを表示する。
そして、同様の照明条件下で、転写箔10の支持体11側の面を斜め左から観察した場合、転写箔10は、図5に示すように、観察者から見て斜め右を向いた四輪自動車の画像と、その背景の画像とを表示する。
転写箔10は、それが表示する画像における四輪自動車の向きが、観察角度の変化に応じて連続的に変化するように構成されている。それ故、転写箔10が表示する四輪自動車の画像は立体的に見える。
<転写箔の製造方法>
次に、上述した転写箔10の製造方法を説明する。
先ず、帯状の支持体11を準備する。支持体11としては、例えば、転写箔10よりも幅広のものを準備する。転写箔10の幅の2倍以上の幅を有する支持体11を使用すると、複数の転写箔10を同時に製造することができる。
次に、支持体11上に、剥離保護層123を形成する。剥離保護層123は、例えば、その材料としての樹脂を支持体11上に塗布し、塗膜を硬化させることにより得る。
次いで、剥離保護層123上に、レリーフ層121を形成する。レリーフ層121は、例えば、剥離保護層123上に熱可塑性樹脂層を形成し、これに、レリーフ構造が設けられたスタンパを、熱を印加しながら押し当て、その後、熱可塑性樹脂層からスタンパを離すことにより得る。或いは、レリーフ層121は、剥離保護層123上に紫外線硬化樹脂からなる塗膜を形成し、これにスタンパを押し当てながら紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、塗膜からスタンパを離すことにより得る。或いは、レリーフ層121は、剥離保護層123上に熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、これにスタンパを押し当てながら加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、その後、塗膜からスタンパを離すことにより得る。
その後、レリーフ層121上に無機蒸着層を形成する。無機蒸着層は、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により、レリーフ層121の上面全体を覆うように形成する。
次に、無機蒸着層上に感光性樹脂層を形成し、次いで、この感光性樹脂層を、フォトマスクを用いたパターン露光及び現像に供する。このパターン露光には、注視領域RM等について上述した設計を採用する。これにより、被覆層124を得る。
被覆層124は、印刷により形成することができる。このとき、印刷法は、グラビア印刷やスクリーン印刷とすることができる。また、このとき、被覆層の材質は、アクリル、ウレタン、又はウレタンアクリレートとすることができる。
続いて、無機蒸着層をエッチングに供して、その被覆層124で覆われていない部分を選択的に除去する。これにより、パターニングされた無機蒸着層からなる反射層122を得る。
その後、接着層13を形成する。接着層13は、例えば、熱可塑性樹脂を含んだ塗工液を転写材層12上に塗布し、塗膜を乾燥させ、その後、塗膜に対してエンボス加工を行うことにより得る。或いは、接着層13は、支持体11と転写材層12との積層体を転写材層12の表面が下方を向くように位置させ、その表面に内側接着層用コート剤と沈降性のフィラーとを含んだ塗工液を塗布し、塗膜においてフィラーの少なくとも一部を沈降させ、塗膜を完全に乾燥させて内側接着層を形成し、この内側接着層上に、熱可塑性樹脂を含んだ塗工液を塗布し、この塗膜を乾燥させて表面側接着層を形成することにより得る。
更に、この積層体を、所定の幅に切断する。この切断は、反射層122が設けられていない位置で行う。
以上のようにして、転写箔10を得る。
<表示体付き物品>
次に、上記の転写箔10を用いて製造可能な表示体付き物品について説明する。
図6は、表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図である。
図6に示す表示体付き物品1は、物品20と転写部TPとを含んでいる。
物品20は、例えば、印刷物である。印刷物は、印刷基材と印刷層とを含んでいる。印刷基材は、例えば紙からなる。印刷基材は、シートであってもよく、カードであってもよい。
転写部TPは、図1乃至図5を参照しながら説明した転写箔10から、その転写材層12の一部を物品20上に転写したものである。転写部TPは、表示体としての役割を果たす。転写部TPは、上記の接着層13のうち、転写部TPとともに物品20上へと転写された部分を介して、物品20に貼り付けられている。
<効果>
図1乃至図5を参照しながら説明した転写箔10によると、被転写面が平滑でない場合であっても、高い画質を実現することができる。これについて、以下に説明する。
図7は、比較例に係る転写箔を概略的に示す断面図である。図8は、被転写面が平滑な物品の一例を示す断面図である。図9は、図7の転写箔及び図8の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図である。
図7に示す転写箔10’は、接着層13の代わりに接着層13’を含んでいること以外は、図1乃至図5を参照しながら説明した転写箔10と同様である。そして、接着層13’は、表面が平滑であること以外は、接着層13と同様である。
図8に示す物品20’は、平滑な被転写面を有している。この被転写面へ図7に示す転写箔10’の転写材層12の一部を転写した場合、図9に示す表示体付き物品1’のように、転写部TPの反射層122は転写前の形状を維持し、形状が歪むことに起因した画質の低下は生じない。これは、被転写面及び接着層13の表面の双方が平滑であるためである。
図10は、被転写面が凹凸を有している物品の一例を示す断面図である。図11は、図7の転写箔及び図10の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図である。
図10に示すように被転写面が凹凸を有している物品20に対して、図7の転写箔10’を用いた転写を行うと、図11に示す表示体付き物品1”のように、転写部TPの反射層122は歪んだ形状となる。それ故、形状が歪むことに起因した画質の低下を生じる。このような形状の歪みを生じるのは、被転写面の形状が反射層の形状に影響を及ぼすためである。
図12は、図1及び図2の転写箔の一部を拡大して示す断面図である。図13は、図12の転写箔及び図10の物品から得られる表示体付き物品の一例を概略的に示す断面図である。
図12に示す転写箔10では、接着層13の表面は、多数の微細な凹凸を有しており、所定の表面性状を有している。それ故、この転写箔10は、図10に示すように被転写面が凹凸を有している物品20に対して転写を行った場合、図13に示すように、転写部TPの反射層122は、転写前の形状を維持する。従って、形状が歪むことに起因した画質の低下は生じない。
以下に、本発明の具体例を記載する。
<例1>
図1及び図2を参照しながら説明した転写箔10を、以下の方法により製造した。なお、以下に記載する「部」は、「質量部」を意味することとする。
先ず、支持体11として、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
次に、支持体11の一方の主面に、リバースグラビアコータにより、剥離保護層123、レリーフ層121、反射層122、被覆層124、接着層13を、この順に形成した。
即ち、先ず、支持体11の一方の主面に、以下に組成を示す剥離保護層形成用インキを塗布し、塗膜を乾燥させた。
(剥離層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45部
トルエン 35部
剥離保護層形成用インキの塗布は、乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が1μmとなるよう行った。これにより、剥離保護層123を得た。
次に、剥離保護層123上に、以下に組成を示すレリーフ層形成用インキを塗布し、塗膜を乾燥させた。
(レリーフ層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20部
メチルエチルケトン 50部
酢酸エチル 30部
レリーフ層形成用インキの塗布は、ドライ膜厚が1μmとなるように行った。その後、ロールエンボス法にて、回折格子を構成するレリーフ構造をレリーフ層の表面に形成した。以上のようにして、表面にレリーフ構造を有するレリーフ層121を得た。
次いで、レリーフ層121上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、反射層122として無機蒸着層を形成した。
続いて、反射層122上に、以下に組成を示す被覆層形成用インキを塗布し、塗膜を乾燥させた。
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65部
ポリエチレン樹脂 3部
ポリウレタン樹脂 8部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23部
被覆層形成用インキの塗布は、塗膜が反射層122の幅方向における中央部を覆うように行った。また、被覆層形成用インキの塗布は、ドライ膜厚が1μmとなるように行った。これにより、被覆層124を得た。
次いで、被覆層124をマスクとして用いたエッチングにより、反射層122の露出部を除去した。
その後、被覆層124及びレリーフ層121の露出部上に、以下に組成を示す内側接着層形成用インキAを塗布し、塗膜を乾燥させた。
(内側接着層形成用インキA)
ポリエステル 62部
硫酸バリウム(平均粒子径0.6μm) 4部
メチルエチルケトン 34部
内側接着層形成用インキAの塗布は、ドライ膜厚が2μmとなるように行った。また、この際、硫酸バリウムが内側接着層の表面に偏在するように、支持体11は被覆層124及びレリーフ層121の露出部が下方を向くように支持し、内側接着層形成用インキAは下方から塗布した。これにより、接着層13の内側接着層を得た。
更に、内側接着層上に、以下に組成を示す表面接着層形成用インキAを塗布し、塗膜を乾燥させた。なお、上記平均粒子径及びこれ以降に記載する平均粒子径は、レーザ法によって測定した値である。
(表面接着層形成用インキA)
アクリル樹脂 37部
ポリエステル樹脂 1部
シリカ(平均粒子径8.0μm) 1部
ナノシリカ(平均粒子径10乃至15nm) 50部
メチルエチルケトン 9.5部
トルエン 1.5部
表面接着層形成用インキAの塗布は、ドライ膜厚が4乃至5μmとなるように行った。これにより、接着層13の表面接着層を得た。
以上のようにして、転写箔10を製造した。
<例2>
以下に組成を示す内側接着層形成用インキBを調製した。
(内側接着層形成用インキB)
ポリエステル 62部
硫酸バリウム(平均粒子径1.0μm) 4部
メチルエチルケトン 34部
内側接着層形成用インキAの代わりに、内側接着層形成用インキBを使用したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔10を製造した。
<例3>
以下に組成を示す内側接着層形成用インキCを調製した。
(内側接着層形成用インキC)
ポリエステル 62部
硫酸バリウム(平均粒子径0.3μm) 4部
メチルエチルケトン 34部
内側接着層形成用インキAの代わりに、内側接着層形成用インキCを使用したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔10を製造した。
<例4>
以下に組成を示す内側接着層形成用インキDを調製した。
(内側接着層形成用インキD)
ポリエステル 62部
シリカフィラー(平均粒子径2.7μm) 2部
硫酸バリウム(平均粒子径0.6μm) 2部
メチルエチルケトン 34部
内側接着層形成用インキAの代わりに、内側接着層形成用インキDを使用したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔10を製造した。
<例5>
以下に組成を示す表面接着層形成用インキBを調製した。
(表面接着層形成用インキB)
アクリル樹脂 49部
ポリエステル樹脂 1部
シリカ(平均粒子径8.0μm) 1.5部
シリカ(平均粒子径14.0μm) 1部
ナノシリカ(平均粒子径10乃至15nm) 32部
メチルエチルケトン 12部
トルエン 2部
表面接着層形成用インキAの代わりに、表面接着層形成用インキBを使用したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔10を製造した。
<比較例1>
内側接着層形成用インキAから硫酸バリウムを省略したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔を製造した。
<比較例2>
被覆層124及びレリーフ層121の露出部が下方を向くように支持体11を支持し、内側接着層形成用インキAを上方から塗布したこと以外は、例1と同様の方法により転写箔を製造した。
<評価>
例1乃至5並びに比較例1及び2の転写箔の各々について、接着面の表面形状測定を行った。その結果を、以下の表1に示す。
Figure 0006973537
また、以下の表2に示す表面粗さを有する紙を準備した。この紙に、例1乃至5並びに比較例1及び2の転写箔の各々から表示体を転写した。その後、表示体の各々について、表示面の表面形状測定を行った。その結果を、以下の表3並びに図14及び図15に示す。
Figure 0006973537
Figure 0006973537
図14は、接着層の表面が平滑な転写箔から紙へ転写した表示体について表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真である。具体的には、図14は、比較例1の転写箔を使用した転写によって得られた表示体について、表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真である。
図15は、接着層の表面が凹凸を有する転写箔から紙へ転写した表示体について表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真である。具体的には、図15は、例3の転写箔を使用した転写によって得られた表示体について、表面形状測定を行うことによって得られた結果を示す写真である。
表1に示すように、例1乃至5の転写箔は、比較例1及び2の転写箔と比較して、接着面の表面粗さに関する各パラメータ値がより大きかった。そして、表3並びに図14及び図15に示すように、例1乃至5の転写箔を使用した場合、比較例1及び2の転写箔を使用した場合と比較して、転写後の表示面の表面粗さに関する各パラメータ値はより小さかった。
更に、各表示体が表示する回折画像を観察し、その画質を目視で調べた。その結果を、上記表3に示す。
表3に示すように、例1乃至5の転写箔を使用した場合、比較例1及び2の転写箔を使用した場合と比較して、高い画質を達成することができた。
<塗布試験>
例1と同様の方法による転写箔10の製造を、内側接着層形成用インキの塗布スピード(塗布工程における支持体の搬送速度)を変更して行った。その結果、塗布スピードが1乃至10m/分の範囲内では、内側接着層の表面へのフィラー(硫酸バリウム)の偏在が顕著であった。塗布スピードがより速い場合、例えば、20m/分では、内側接着層の表面へのフィラーの偏在は顕著ではなかったものの、内側接着層と表面接着層との間の界面の乾燥後における歪みを十分に抑制することができた。
そして、塗布スピードが20m/分を超えた場合には、内側接着層形成用インキの塗布を終えてから表面接着層形成用インキの塗布を開始するまでの支持体の搬送経路を工夫して、常温での乾燥時間を1秒から5秒へと変更することにより、乾燥後における上記界面の歪みを十分に抑制することができた。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明及び当初の課題を解決するための手段に記載していた事項を付記する。
[1]
回折画像を表示するレリーフ構造が一方の主面に設けられたレリーフ層と、前記主面を少なくとも部分的に被覆した反射層とを含んだ転写材層と、
前記転写材層を剥離可能に支持した支持体と、
前記転写材層上に設けられ、表面のスキューネスS sk の絶対値が2乃至5の範囲内にある接着層と
を備えた転写箔。
接着層は、その表面のスキューネスS sk の絶対値を、1乃至5の範囲内とすることもでき、1乃至3の範囲内とすることもできる。
[2]
前記接着層は、前記表面のクルトシスS ku が10乃至35の範囲内にある項1に記載の転写箔。
[3]
前記回折画像は三次元画像を含んだ項1又は2に記載の転写箔。
[4]
前記接着層の厚さは1乃至10μmの範囲内にある項1乃至3の何れか1項に記載の転写箔。
[5]
前記接着層は表面側接着層と内側接着層との2層からなる項1乃至3の何れか1項に記載の転写箔。
[6]
前記内側接着層は熱可塑性樹脂とフィラーとを含んだ項5に記載の転写箔。
[7]
前記フィラーは硫酸バリウムを含んだ項6に記載の転写箔。
[8]
前記転写材層の少なくとも一部を前記支持体から紙へ転写するために使用する項1乃至7の何れか1項に記載の転写箔。
1…表示体付き物品、10…転写箔、10’…転写箔、11…支持体、12…転写材層、13…接着層、13’…接着層、20…物品、20’…物品、121…レリーフ層、122…反射層、123…剥離保護層、124…被覆層、TP…転写部。

Claims (3)

  1. 回折画像を表示するレリーフ構造が一方の主面に設けられたレリーフ層と、前記主面を少なくとも部分的に被覆した反射層とを含んだ転写材層と、
    前記転写材層を剥離可能に支持した支持体と、
    前記転写材層上に設けられ、熱可塑性樹脂を含み、表面のスキューネスSskの絶対値が1乃至3の範囲内にある接着層と
    を備え、前記回折画像は三次元画像を含み、
    前記接着層は、前記転写材層上に設けられた内側層と、前記内側層上に設けられた表面側層との2層からなり、
    前記内側層は前記熱可塑性樹脂とフィラーとを含み、
    前記フィラーは沈降性硫酸バリウムを含んだ
    前記転写材層の少なくとも一部をホットスタンピングによって前記支持体から紙へ転写するために使用する転写箔。
  2. 前記接着層は、前記表面のクルトシスSkuが10乃至35の範囲内にある請求項1に記載の転写箔。
  3. 前記接着層の厚さは1乃至10μmの範囲内にある請求項1または2に記載の転写箔。
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