JP7059575B2 - 赤外線潜像デバイス - Google Patents

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本発明は、偽造防止技術を中心として、機械判定可能な潜像を有する赤外線潜像デバイスに関する。
キャッシュカード、クレジットカード、IDカード及びパスポートなどの認証物品並びに有価証券類、証明書などにおいては、偽造が困難であることが望まれる。そのため、従来から、そのような物品には、偽造防止効果に優れた表示デバイスを支持させることがある。
また、近年では、認証物品及び有価証券以外の物品についても、偽造品の流通が問題視されている。そのため、このような物品にも偽造防止技術を適用する機会が増えている。
このような表示デバイスの一種に、回折格子、ポログラム及びレンズアレイなどの微細構造を含んでいるものがある。これら微細構造は、解析することが困難であり、またこれら微細構造を含んだ表示体を製造するためには、電子線描画装置などの高価な製造設備が必要あることから、高い偽造防止効果を発揮しうるものである。
特許文献1には、複数の画素を配列してなる表示体が記載されている。この表示体においては、各画素は、複数の溝を配置してなるレリーフ型回折格子を含んでいる。
この表示体は、回折光を利用して画像を表示するため、印刷技術や電子写真技術を利用した偽造等は不可能である。従って、この表示体を真偽判定用のラベルや転写箔として物品に取り付けることで、その物品が真正品であることを確認することができる。
しかしながら、前記の溝を配置してなるレリーフ型回折格子は、立体的な画像表現や角度による色の変化など、装飾性に優れるものの、本物と偽物との明確な区別が難しく、専門的な知識が要求される場合があった。
そこで、より明確に真偽判定を行なうための方法として、機械読取可能な機能を表示デバイスの付与する方法なども提案されてきている。
例えば、特許文献2では、レリーフ層と赤外線透過性の反射層と反射層の背後に設けられたパターニングされた赤外線吸収層からなる情報記録媒体、すなわち表示デバイスが提案されている。
しかし、このような手法は、層構成も煩雑となり、加工工程も増えるため、製造コストがかかるという問題があった。
特開平2-72320号公報 特開平11-180079号公報
本発明は、以上のような問題点を踏まえてなされたもので、より単純な層構成でありな
がら、可視光領域では確認が困難で、赤外線領域による観察で、高いコントラストでの確認が可能な赤外線潜像デバイスを提供しようとするものである。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、可視光領域の観察では差を認識することが困難で、赤外線領域による観察時にコントラスト差を生じる赤外線潜像デバイスであって、凹凸構造領域を備えるレリーフ構造形成層と、前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と、を少なくとも備え、前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域が、第1凹凸構造部とこれに隣接して設けられる第2凹凸構造部とを少なくとも有し、前記第1凹凸構造部、ならびに第2凹凸構造部が、二次元的に配列した複数の凸部または凹部からなり、前記第1凹凸構造部と、前記第2凹凸構造部において、前記凸部または凹部の中心間距離、すなわちピッチは、それぞれ概ね同等であり、アスペクト比(高さ/ピッチ比)が互いに異なり、赤外線領域で観察した際に、前記第1凹凸構造部は、明度が高く、前記第2凹凸構造部は、明度が低く、観察されることを特徴とする赤外線潜像デバイスである。
請求項2に記載の発明は、前記第1凹凸構造部における前記アスペクト比が、1.0以下であり、前記第2凹凸構造部における前記アスペクト比が、前記第1凹凸構造部における前記アスペクト比の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線潜像デバイスである。
請求項3に記載の発明は、前記反射層が、前記第1凹凸構造部と前記第2凹凸構造部の少なくとも一部を被覆してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線潜像デバイスである。
請求項4に記載の発明は、前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域が、前記第1凹凸構造部ならびに前記第2凹凸構造部と重ならない領域に、平坦面を含む第3凹凸構造部を更に有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の赤外線潜像デバイスである。
請求項5に記載の発明は、前記第3凹凸構造部が、可視光領域において立体視または光学可変な光学特性を有することを特徴とする求項4記載の赤外線潜像デバイスである。
本発明によれば、赤外線吸収材料や隠蔽層などの特殊な層構成を必要とせず、可視光領域での観察では、確認が困難で、赤外線領域の観察によって、容易に観察が可能な赤外線潜像デバイスであり、かつ高い装飾性を備えた赤外線潜像デバイスを提供することが、可能となる。
本発明の赤外線潜像デバイスの例を示す平面図である。 図1におけるA-A’切断面の例を示す断面図である。 本発明の凹凸構造の例を示す斜視図である。 赤外線潜像デバイスの潜像観察方法を示す概念図である。 本発明の赤外線潜像デバイスの観察例を示す概念図である。 (A)可視光領域での観察 (B)赤外線領域での観察 本発明の赤外線潜像デバイスを転写箔構成とした例を示す断面図である。 本発明の赤外線潜像デバイスを設けた物品の例を示す平面図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の説明において適宜図面を参照するが、図面に記載された態様は本発明の例示であり、本発明はこれらの図面に記載された態様に制限されない。
尚、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全て図面を通じて同一の参照符号を附し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の赤外線潜像デバイス(10)の例を示す平面図である。
図1では、周縁部に第1凹凸構造部(11)が設けられ、中心部に星型の第2凹凸構造部(12)が点線の輪郭で示されているが、実際には、目視による観察では、第1凹凸構造部(11)と第2凹凸構造部(12)の差を確認することは殆ど困難な状態として設けられている。
また、設けられる潜像は、第1凹凸構造部(11)と第2凹凸構造部(12)を赤外線領域の波長で観察した時に、コントラスト差によって表現される画像であれば、ネガ型、ポジ型の何れであっても良く、また、文字、数字をはじめ、バーコードや二次元コードなどの各種コード、幾何図形、模様など、任意の画像として形成することが可能である。
図2は、図1の赤外線潜像デバイス(10)のA-A’切断面の例を示す断面図である。
図2に示した赤外線潜像デバイス(10)は、凹凸構造領域を有するレリーフ構造形成層(21)と、凹凸構造領域の少なくとも一部を覆うように反射層(22)が設けられた構成として示している。
この時、第1凹凸構造部(11)と第2凹凸構造部(12)に設けられた凹凸構造は、そのピッチ(a、a’)が、それぞれ概ね等しく設けられている。
これに対し、第1凹凸構造部(11)の高さ(b)と、第2凹凸構造部(12)の高さ(c)とが異なる高さとなっており、第1凹凸構造部(11)のアスペクト比(b/a)に対して、第2凹凸構造部(12)のアスペクト比(c/a’)が高い値になるように設けられている。
ここで、第1凹凸構造部(11)、ならびに第2凹凸構造部(12)に設けられている凹凸構造30は、図3に示すような配列された複数の凸部(31)によって形成されている。図2ならびに図3では、凹凸構造を凸状の構造としてしめしているが、必ずしも凸状である必要はなく、凹状であっても何ら問題ない。
また、レリーフ構造形成層(21)に形成される複数の凹部または凸部(31)に用いられる形状としては、例えば、円錐状、角錐状、楕円錐状、円柱状もしくは円筒状、角柱状もしくは角筒状、截頭円錐状、截頭角錐状、截頭楕円錐状、円柱もしくは円筒に円錐を接合した形状、角柱もしくは角筒に角錐を接合した形状、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型をした形状等を挙げることができる。
特に、レリーフ構造形成層に形成される複数の凹部または凸部の断面はテーパー形状であることが好ましい。複数の凹部または凸部の断面がテーパー形状であると金属性のスタ
ンパーと樹脂との離型性が高く、量産性に優れているためである。さらに、複数の凹部または凸部の断面がテーパー形状である場合、複数の凹部または凸部の断面が矩形状のものより良好な低反射性、低散乱性を得ることができる。
ここで、テーパー形状とは、凹部または凸部の基材表面に対して平行な断面積が、凹部または凸部の基端から先端に行くに従い減少するように形成されている場合をいう。
このような形状の凹部または凸部を整然と配列された構造は、クロスグレーティングとして形成したものであって良い。
上述のような凹凸構造(30)の凹部または凸部の中心間距離、すなわちピッチは、潜像を観察しようとする赤外線の波長に対して、1/2の長さ以上の値に設計されていることが望ましい。
また、第1凹凸構造部(11)のアスペクト比(b/a)は、1.0以下であることが望ましく、更に望ましくは0.5以下である。また、第2凹凸構造部(12)のアスペクト比(c/a’)は、第1凹凸構造部(11)のアスペクト比(b/a)の1.5倍以上であることが望ましく、更に望ましくは、2倍以上である。
これにより、図4に示すように、赤外線潜像デバイス(10)に対して、赤外線光源(101)から赤外線を照射し、赤外線カメラ(102)を用いて、赤外線潜像デバイス(10)を観察した際に、高いコントラストを有する画像を観察することが可能となる。
すなわち、アスペクト比の低い第1凹凸構造部(11)に照射された赤外線は、反射
成分を赤外線カメラで捉えることが可能となり、比較的明るい画像部として認識することが可能となる。これに対し、アスペクト比の高い第2凹凸構造部(12)に照射された赤外線は、凹凸構造(30)によって、吸収された状態となり、赤外線カメラによって、反射成分を捉えることができず、暗い画像部として認識される。
一方、可視光領域、すなわち目視などにより赤外線潜像デバイス(10)を観察した場合には、第1凹凸構造部(11)と、第2凹凸構造部(12)の双方が、同じピッチからなるクロスグレーティングとして認識され、その差を認識することが困難となるため、潜像が存在することに気付くことができない。
従って、図5に示すように、第1凹凸構造部(11)と第2凹凸構造部(12)とからなる赤外線潜像デバイス(10)を目視、すなわち可視光領域で観察した場合(A)には、設けられている潜像パターンを認識することができず、赤外線領域で観察した場合(B)に、はじめて潜像パターン(15)を認識することが可能となる。
このような赤外線潜像デバイス(10)は、レリーフ構造形成層に対し、更に第3凹凸構造部が設けられてあっても良い。
第3凹凸構造部は、平坦面や、ホログラムなどを含む任意の凹凸構造とすることができる。任意の凹凸構造としては、平坦面やホログラムなどの他に、例えば、ピッチが400nm以下である複数の凹部又は凸部からなり、凹部または凸部の形状が円錐状、角錐状、楕円錐状、円柱状もしくは円筒状、角柱状もしくは角筒状、截頭円錐状、截頭角錐状、截頭楕円錐状、円柱もしくは円筒に円錐を接合した形状、角柱もしくは角筒に角錐を接合した形状、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型をした形状等からなる凹凸構造や、方向の揃った複数の直線状の凹部または凸部からなる凹凸構造、複数の凸部の高さまたは複数の凹部の深さが一定である凹凸構造を有するユニットからなる凹凸構造などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上述のような赤外線潜像デバイス(10)は、透明プラスチックフィルムなどからなる基材上に、レリーフ構造形成層(21)を設け、凹凸構造を形成した後、反射層を設け、更に反射層の上に、粘着層などを設けたシールとして形成されてあっても良く、この場合には、基材のレリーフ構造形成層(21)を設ける面とは、反対側の面上、あるいは、シール構成のいずれかの層間に、印刷層、中間層、帯電防止層、易接着層、保護層などの機能層が設けられてあっても何ら問題ない。
また、赤外線潜像デバイス(10)は、図6に示すように、赤外線潜像デバイス転写箔(40)として、形成されてあっても良い。
図6に示す赤外線潜像デバイス転写箔では、支持体(41)上に、剥離層(42)、レリーフ構造形成層(43)、反射層(44)、マスク印刷層(45)、接着層(46)が順次積層された構成を例示している。
ここで、支持体(41)は、紙、ガラスなども用いることができるが、透明なプラスチックフィルムなどを好適に用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、アクリル樹脂系フィルムや、ポリイミドフィルム、更にはトリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリビニルアルコールなどのビニル系フィルムなどを任意に選定して用いることができる。
これらのプラスチックフィルムには、目的に応じて帯電防止処理や、離型処理、易接着処理などの各種処理が施されてあっても何ら問題ない。
剥離層(42)は、被転写体に対し、赤外線潜像デバイス部(47)を転写する際に、支持体の剥離を容易にすると共に、被転写体に転写された赤外線潜像デバイス部(47)の耐久性を向上させる働きを有することが望ましい。
このような剥離層(42)としては、各種転写箔などに用いられる従来公知の剥離層材料であれば、いずれも用いることができ、具体的には、例えば熱可塑性ポリ(メタ)アクリル酸エステル、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂などの各種樹脂類を単独あるいは混合物として用いることができ、2層以上の積層構造として用いても良い。
また、剥離層(42)には、箔切れや耐磨耗性を考慮して、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス類や、ステアリン酸等高級脂肪酸の金属塩、シリコーンオイル等の滑剤や、フッ素樹脂系パウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子などの各種添加剤が添加されてあっても良い。
上記剥離層(42)は、上述の樹脂類に各種添加剤を添加し、各種溶媒に溶解または分散した塗布液とすることにより、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法など従来公知の任意のコーティング法により、乾燥後の厚み、0.5μm~50μmの範囲で設けることができる。
次に、レリーフ構造形成層(43)は、支持体側とは反対側の表面に凹凸構造を有しており、この凹凸構造を形成するためにエンボス成形性が良好で、プレスムラが生じにくく
、且つ剥離層(43)との密着性に優れる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂などの任意の材料を用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などを例示することができ、これらを単独あるいは混合物として用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリル系ポリオール樹脂やポリエステル系ポリオール樹脂などのポリオール系樹脂とイソシアネート化合物との架橋反応によって形成されるウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などや、これらの混合物、またはこれらの共重合物を使用することができる。
また、放射線硬化性樹脂としては、典型的には、重合性化合物と開始剤とを含んでいる。
重合性化合物としては、例えば、光ラジカル重合が可能な化合物を使用する。具体的には、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を有したモノマー、オリゴマーまたはポリマーを使用することができる。あるいは光ラジカル重合が可能な化合物として、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエイスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよびポリエステルアクリレート等のオリゴマー、またはウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート等のようなポリマーなどを使用してもよい。
重合性化合物として光ラジカル重合が可能な化合物を使用する場合、開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
この光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系化合物、アントラキノンおよびメチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α-アミノアセトフェノンおよび2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モリホリノプロパン-1-オン等のフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、または、ミヒラーズケトンなどを使用することができる。
あるいは、重合性化合物として、光カチオン重合が可能な化合物を使用してもよい。光カチオン重合が可能な化合物としては、例えば、エポキシ基を備えたモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、キセタン骨格含有化合物、または、ビニルエーテル類を使用する。
重合性化合物として光カチオン重合が可能な化合物を使用する場合、開始剤としては、光カチオン重合開始剤を使用する。この光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩または混合配位子金属塩を使用する。
あるいは、重合性化合物として、光ラジカル重合が可能な化合物と光カチオン重合が可能な化合物との混合物を使用してもよい。
この場合、開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤との混合物を使用する。あるいは、この場合、光ラジカル重合および光カチオン重合の双方の開始剤として機能しうる重合開始剤を使用してもよい。
このような開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩または芳香族スルホニウム塩を使用する。
また、重合開始剤を使用しない例として、電子線照射により重合性化合物の重合反応を引き起こす方法を用いてもよい。
前記放射線硬化樹脂は、増感色素、染料、顔料、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、含窒素化合物、エポキシ樹脂等の添加剤、離型剤またはこれらの組合せを更に含んでいてもよい。
上述のような熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるが、それぞれの樹脂を混合して用いられてあっても良い。
上記レリーフ構造形成層(43)は、各種溶媒に溶解または分散させることにより塗布液とし、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法など従来公知の任意のコーティング法により、乾燥後の厚み、0.5μm~50μmの範囲で設けることができる。
この様にして得られたレリーフ構造形成層(43)に、凹凸構造(30)を形成するためには、これらの微細な凹凸構造を有するプレス版を加熱加圧することによって、形成することができる。
反射層(44)としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agなどの金属類ならびにこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1つの金属材料を部分的に設けたものや、OVD層17の材料とは屈折率の異なる透明材料であって、例えば、Sb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、SiO、Si、ZnO、MgOなどの無機材料を例示することができ、これら金属材料と無機材料とを少なくとも一部が重なるようにするなどの複合的に用いる方法や、屈折率の異なる無機材料同士を積層して用いるなどの方法が取られてあっても良い。
反射層は、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD法)などの従来公知の成膜手段が適用可能であり、その膜厚は、10nm~1000nmの範囲とすることが好ましい。
また、反射層(44)は、パターン状に設けられてあっても良く、パターニングの方法としては、例えば、図6に示すように、所望の形状にマスク印刷層(45)を設け、マスク印刷層(45)が設けられた以外の場所の反射層(44)を従来公知のエッチング液などを用いて、除去する方法などが考えられる。
別の方法としては、反射層(44)上にレジストを塗布し、パターン露光を行い、レジストの現像と共に、反射層(44)のエッチングを行う方法などを例示することができるが、必ずしもこれらの手法に限定されるものではなく、従来公知の手法であれば、いずれの手法が用いられてあっても良い。
図6に示すように、マスク印刷層(45)を設ける場合には、マスク印刷層(45)に用いる材料としては、反射層(44)との密着性が良好で、エッチング液などに対する耐
性を有するものであれば良く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂などから任意に選定して用いることができる。
また、マスク印刷層(45)には、印刷適性を向上させるための各種フィラー類や染料、顔料、エッチング液などに対する耐性向上を目的とする撥水剤や硬化剤など、任意の添加剤を目的に応じて添加することができる。
上述のようなマスク印刷層(45)は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、更にはインクジェット印刷法など、従来公知の印刷法であれば、いずれの手法が用いられても良く、乾燥後の厚み、0.1μm~50μmの範囲で設けることができる。
接着層(46)は、感熱接着剤や感圧接着剤など従来公知の接着剤を任意に用いることができる。
接着層(46)に用いる材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-アクリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などの各種樹脂類やゴム類などを単独あるいは混合物などとして用いることができる。
また、接着層(46)には、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、珪藻土などの体質顔料や各種ワックス類などが添加されてあっても良い。
上記接着層(46)は、各種溶媒に溶解または分散させることにより塗布液とし、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法など従来公知の任意のコーティング法により、乾燥後の厚み、0.5μm~50μmの範囲で設けることができる。
図7は、上述のようにして得られた赤外線潜像転写箔(40)を用いて、被転写体である商品券(51)に対して、赤外線潜像デバイス部(47)を転写した物品(50)の例を示している。
商品券(51)上に設けられた赤外線潜像デバイス部(47)は、機械検知可能な第1及び第2凹凸構造部(52)と、目視により立体像や色変化などを確認することができる第3凹凸構造部(53)とを備えており、高い装飾性とセキュリティ性を具備する物品(50)を提供することができることを示している。
(プレス版の作製)
空間周波数が、1,000本/mmのクロスグレーティングであって、部分的にアスペクト比が、0.1の部分と、1の部分とからなる塗り分け画像データを作成し、ガラス板上に塗布されたEBレジストに対し、前記塗り分け画像データに基づいて、電子線による描画を実施した。
前記描画済みのEBレジストを現像し、凹凸構造の母型を作製した後、凹凸構造表面にスパッタリング法によりニッケル薄膜を形成して導電性を付与し、次いでニッケル電鋳することにより、金型を作製し、プレス版とした。
(サンプルの作製)
支持体(41)である厚さ19μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、アクリル樹脂からなる剥離層(42)、UV硬化型樹脂からなるレリーフ構造形成層(43)をグラビアコート法により、それぞれ乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、凹凸構造(30)成形用の原反を得た。
先に作製したプレス版を用いて、100℃の熱と、1MPaの圧力を加えながら前記原反にエンボス加工を施し、紫外線を照射してレリーフ構造形成層(43)表面に凹凸構造を形成、固定化した。
エンボス加工した原反の凹凸構造を有するレリーフ構造形成層(43)表面に対し、真空蒸着法を用いて、Alからなる反射層(44)を50nmの厚さで形成した。
アクリル系樹脂からなる接着層(46)用塗布液を用意し、グラビアコート法を用いて、Alからなる反射層(44)上に、乾燥膜厚2μmの厚さで塗布することにより、赤外線潜像転写箔(40)を作製した。
被転写体として、紙を用意し、上述のようにして作製した赤外線潜像転写箔(40)を用いて、130℃の温度を加えて赤外線潜像デバイス部(47)を転写し、赤外線潜像デバイスを備える物品(50)を得た。
(効果確認)
得られた物品(50)が有する赤外線潜像デバイス部(47)を、目視観察したところ、一様な回折格子として認識された。
これに対し、赤外線カメラで観察したところ、明部と暗部とからなる画像を認識することができ、潜像が現れるセキュリティデバイスとなっていることを確認した。
10 … 赤外線潜像デバイス
11 … 第1凹凸構造部
12 … 第2凹凸構造部
15 … 潜像パターン
21 … レリーフ構造形成層
22 … 反射層
a、a’… ピッチ
b … 第1凹凸構造部の高さ
c … 第2凹凸構造部の高さ
30 … 凹凸構造
31 … 凸部
40 … 赤外線潜像転写箔
41 … 支持体
42 … 剥離層
43 … レリーフ構造形成層
44 … 反射層
45 … マスク印刷層
46 … 接着層
47 … 赤外線潜像デバイス部
50 … 物品
51 … 商品券
52 … 第1及び第2凹凸構造部
53 … 第3の凹凸構造部
101… 赤外線光源
102… 赤外線カメラ

Claims (5)

  1. 可視光領域の観察では差を認識することが困難で、赤外線領域による観察時にコントラスト差を生じる赤外線潜像デバイスであって、
    凹凸構造領域を備えるレリーフ構造形成層と、前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と、を少なくとも備え、
    前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域が、第1凹凸構造部とこれに隣接して設けられる第2凹凸構造部とを少なくとも有し、
    前記第1凹凸構造部、ならびに第2凹凸構造部が、二次元的に配列した複数の凸部または凹部からなり、
    前記第1凹凸構造部と、前記第2凹凸構造部において、前記凸部または凹部の中心間距離、すなわちピッチは、それぞれ概ね同等であり、アスペクト比(高さ/ピッチ比)が互いに異なり、
    赤外線領域で観察した際に、前記第1凹凸構造部は、明度が高く、前記第2凹凸構造部は、明度が低く、観察されることを特徴とする赤外線潜像デバイス。
  2. 前記第1凹凸構造部における前記アスペクト比が、1.0以下であり、
    前記第2凹凸構造部における前記アスペクト比が、前記第1凹凸構造部における前記アスペクト比の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線潜像デバイス。
  3. 前記反射層が、前記第1凹凸構造部と前記第2凹凸構造部の少なくとも一部を被覆してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線潜像デバイス。
  4. 前記レリーフ構造形成層の凹凸構造領域が、前記第1凹凸構造部ならびに前記第2凹凸構造部と重ならない領域に、平坦面を含む第3凹凸構造部を更に有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の赤外線潜像デバイス。
  5. 前記第3凹凸構造部が、可視光領域において立体視または光学可変な光学特性を有することを特徴とする求項4記載の赤外線潜像デバイス。
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