JPH1185027A - Ovd転写シート及び透明ovdを備えた画像表示媒体 - Google Patents

Ovd転写シート及び透明ovdを備えた画像表示媒体

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JPH1185027A
JPH1185027A JP23845497A JP23845497A JPH1185027A JP H1185027 A JPH1185027 A JP H1185027A JP 23845497 A JP23845497 A JP 23845497A JP 23845497 A JP23845497 A JP 23845497A JP H1185027 A JPH1185027 A JP H1185027A
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JP23845497A
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Kiyoshi Horie
潔 堀江
Atsushi Kijima
厚 木島
Terumi Hirano
輝美 平野
Takehide Kita
武秀 喜多
Naoaki Shindou
直彰 新藤
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、耐性の優れた透明なOVD形成体
と、それを用いた画像表示媒体をより簡便に提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】支持体上の片面に、少なくとも剥離保護
層、レリーフ形成層、透明な光学効果層、接着層を順次
形成してなる転写シートにおいて、該透明な光学効果層
が、無機物もしくはその化合物と樹脂の混合物からな
り、レリーフ形成層との屈折率差が0.2以上を有する
ことを特徴とするOVD転写シートであり、前記光学効
果層を、粒子径が1nm〜100nmの範囲内で、かつ
屈折率が1.6〜4.0の範囲内である無機物もしくは
その化合物と樹脂の混合物とし、レリーフ形成層との屈
折率差を0.2以上とすることにより、耐性の優れたO
VDを備えた転写シート及び画像表示媒体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばクレジット
カードや有価証券、証明書類等に転写される透明な光学
効果層を有するOVD転写シートに関し、特に、ホログ
ラムまたは回折格子で構成されるOVD転写シート及び
透明OVDを備えた画像表示媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾
画像を表現し得る、ホログラム画像や回折格子画像のよ
うなOVD(Optical Variable Device)の開発が進め
られている。これらホログラムや回折格子のOVD技術
は、高度な製造技術を要し、複製の難しいことから有効
な偽造防止手段としてクレジットカード、IDカード、
プリペイドカード等のカード類に利用されてきた。さら
には、その装飾性の高さから、包装材、書籍、パンフレ
ット、POP等への利用も少なくない(尚、本発明にお
いて、上記ホログラム画像や回折格子画像等の光学的に
画像を表現した技術を総称し、OVDと称し、記載す
る)。これらOVDを各種物品に貼着するための手段と
して、従来から転写箔を用いて転写形成するといった方
法が採られている。この種の転写箔は、基材シート上に
剥離層、ホログラムや回折格子の画像パターンが形成さ
れているレリーフ形成層と、公知の薄膜形成手段により
形成される反射層、接着層を順次積層してなる構成のも
のが知られている。これらの転写箔に刻まれたOVDパ
ターン(ホログラム及び回折格子パターン)は、微少な
凹凸パターンをニッケル製のプレス版に複製し、レリー
フ形成層に加熱押圧するという周知の方法により大量複
製が行われている。
【0003】また、上記反射層は屈折率の異なる透明な
物質を真空蒸着法等の薄膜形成手段により形成すること
で(以下、透明薄膜層と記す)、透明ホログラムや透明
回折格子形成体となることは、公知の技術である。この
場合、レリーフ形成層と透明薄膜層の屈折率の差が大き
い程(レリーフ形成層<透明薄膜層)、反射率も大きく
なることは、光学的見地からも明らかである。
【0004】最近では、これら透明ホログラムや透明回
折格子形成体を、IDカードやパスポート等の顔写真等
の画像印刷物上に転写し、セキュリティとして使用され
て来ている。この画像印刷物としては、現実に多用され
ているオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷
等の公知の印刷方法により、前もって基材上に印刷され
たもの、或いは昇華性(熱移行性)染料や、顔料を用い
た転写リボンによる感熱転写記録法、電子写真法やイン
クジェット法、光重合記録材等を用いた各種転写記録法
も技術的に可能な例として挙げることができる。しか
し、画像を付与したい最終記録媒体(最終製品)に、こ
れらの画像形成手段を用いて直接的に画像を形成するこ
とが技術的に困難であるとか、量産性が悪いとか、或い
は高コストになってしまう等の何らかの問題を伴う場
合、中間転写媒体にひとまず画像を形成しておき、しか
る後に転写によって、その画像を最終製品へ付与する方
法が採用されている。すなわち、この種の個人認識デー
タの入った画像表示体としては、図3(A)に示すよう
に、画像データに基づいて形成された画像パターンsを
ポリ塩化ビニル等のカード基材r上に備えたもの、ま
た、図3(B)に示すように、上記画像パターンsに加
えて、ホログラムや回折格子画像tを施したもの等が知
られている。
【0005】この上記OVD転写シートの形成方法に関
し簡単に説明する。図4は、透明OVD転写シートの構
成例を示す断面図であり、OVD転写シートは、光を透
過しつつ反射する層、すなわち透過性薄膜層44を有し
ており、被転写体である基材上の印刷等によるデザイン
を損なうことなく、優れたアイキャッチ効果を得ること
ができる。
【0006】以下、図4の断面図に基づき、その構成を
説明すると、支持体としての基材41上に、剥離層(剥
離性保護層)42が形成され、剥離層42上にホログラ
ムあるいは回折格子等のOVDパターンを設けたレリー
フ形成層43、透過性薄膜層44が形成されている。ま
た、この透過性薄膜層44上には接着層45が形成され
ている。尚、上記説明及び以降の説明においても、断面
図と説明文では上下の関係が逆になっているが、上下の
関係は転写箔を観察する方向(または、物品に転写形成
する場合の使用状態)に応じて変更するため、本質的な
ことではない。
【0007】また、レリーフ形成層43のレリーフ形成
面は、基材41の反対側に存在し、物品表面に転写形成
した場合、剥離層42は基材41との界面にて剥離し、
物品側に移行して保護層としても機能することになるた
め、「剥離性保護層」と称することもある。さらに、基
材を除いた物品側(被転写体)に移行する各層を総称し
て「転写層」と称することとする。
【0008】各図面は、転写箔の構成を模式的に表現す
るものであり、各層の厚さなどの寸法は、実際の製造物
に則したものではない。
【0009】これらホログラムは、一般的に光学的な撮
影方法により微細な凹凸パターンからなるレリーフ型の
マスター版を作製し、これから電気メッキ法により凹凸
パターンを複製したニッケル製のプレス版を複製し、こ
のプレス版をレリーフ形成層43上に加熱押圧するとい
う周知の方法により大量複製が行われている。
【0010】また、この立体画像を再生し得るホログラ
ムとは異なり、微小なエリアに複数種類の単純な回折格
子を配置して画素とし、画像を表現するグレーティング
イメージ、ピクセルグラムといった回折格子画像もまた
ホログラムと同様な方法で大量複製が行われ、偽造防止
手段としてクレジットカード、キャッシュカード、会員
証カード、社員証カード、プリペイドカード、運転免許
証等の各種カード類、商品券、ギフト券、株券等の各種
紙券類や、申込用紙、領収書、複写伝票等の各種帳票類
や、パスポート、通帳、年金手帳等の各種冊子類の他、
本や手帳の表紙やパネル等ディスプレイ用途等の一部ま
たは全面に貼着して使用されている。
【0011】しかしながら、この様にして製造したOV
D転写シートを画像上に転写する場合、単なるアイキャ
ッチ効果を目的とするものであれば良いが、IDカード
やパスポート等の身分証明書に使用する場合には、顔写
真やOCR文字等の個人認識データーを保護しなければ
ならない。すなわち、画像等の印刷物が劣化する要因
は、主に光(紫外線)によるものと、熱によるものがあ
る。光による劣化を防ぐ方法として、接着剤中に紫外線
吸収剤を混ぜる方法は古くから採用されている。しか
し、熱による促進試験としては、ICAO(Internatio
nal Civil AviationOrganization )9303/2.
(3).28.4の国際標準規格によれば、−35℃〜
80℃の範囲内で信頼性を失わないこととある。従っ
て、このような条件で試験する場合、安全を見てさらに
高温条件(例えば、80〜120℃)で促進試験を行う
必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、OVD
転写シートは、熱可塑性樹脂等で形成された各層間に透
過性薄膜層の硬い層がサンドイッチされているため、高
温環境下で保存を行うと熱収縮率の差により、透過性薄
膜層にクラックが発生してしまうという問題点がある。
また、透過性薄膜層を形成する真空蒸着法等の薄膜形成
手段は、蒸着機にセットした後に、釜を真空に引き、成
膜、導気といった行程を踏まねばならず、非常に手間暇
がかかり、1回の加工量も限られるといった問題があ
る。さらに、上記問題点を解決するためにレリーフ形成
層と異なる屈折率を持つ樹脂をコーティングする方法も
知られているが、一般に樹脂の屈折率範囲は1.3〜
1.7であるため、選択によっては最大で屈折率差が
0.4のものが得られるが、現実には樹脂間の密着性の
問題があり、屈折率差が0.2以下のものしか得られ
ず、OVD画像として良好な効果が得られないといった
問題があった。そこで本発明は、上記の問題に鑑みてな
された発明であり、耐性の優れた透明なOVD形成体
と、それを用いた画像表示媒体をより簡便に提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、まず請求項1の発明は、支持体上の片面に、少なく
とも剥離保護層、レリーフ形成層、透明な光学効果層、
接着層を順次形成してなる転写シートにおいて、該透明
な光学効果層が、無機物もしくはその化合物と樹脂の混
合物からなり、レリーフ形成層との屈折率差が0.2以
上を有することを特徴とするOVD転写シートである。
【0014】また、請求項2の発明は、前記請求項1に
記載のOVD転写シートにおいて、接着層が、画像デー
タに基づき色材により着色された転写リボンを用いて画
像を書き込む受像層であることを特徴とする。
【0015】また、請求項3の発明は、前記請求項1又
は請求項2のいずれかに記載のOVD転写シートにおい
て、前記透明な光学効果層の無機化合物は、粒子径が、
1nm〜100nmの範囲内で、かつ屈折率が1.6〜
4.0の範囲内であることを特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、基材上の片面あるいは
両面に少なくとも印刷層を設け、この上に、前記請求項
1、2又は3のいずれかに記載のOVD転写シートによ
り、接着層を介して透明な光学効果層、レリーフ形成
層、保護層を順次積層してなる画像表示媒体であって、
該透明な光学効果層が、無機物もしくはその化合物と樹
脂の混合物からなり、レリーフ形成層との屈折率差が
0.2以上あることを特徴とする透明OVDを備えた画
像表媒体である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、光学効果層を、粒子径
が1nm〜100nmの範囲内で、かつ屈折率が1.6
〜4.0の範囲内である無機物もしくはその化合物と樹
脂の混合物とし、レリーフ形成層との屈折率差を0.2
以上とすることにより、耐性の優れたOVDを備えた転
写シート及び画像表示媒体を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づき詳細に説
明する。
【0019】<実施例1>図1は、本実施例におけるO
VD転写シートの構成を示す断面図である。図に示すよ
うに、支持体としての基材11上に剥離性保護層12が
形成され、この剥離性保護層12の上にはレリーフ形成
層13が形成されている。また、レリーフ形成層13の
上には透明な光学効果層14が形成され、この光学効果
層14上には接着層15が形成されている。
【0020】前記レリーフ形成層13は、剥離性保護層
12と反対の面にレリーフ形成面を有し、レリーフ型O
VDを構成する微細な凹凸パターンが形成されたニッケ
ル製のプレス版を、レリーフ形成層13上に加熱押圧す
るなどの周知の方法により、大量かつ安価に複製が得ら
れる。
【0021】基材11は熱転写における熱圧で軟化変形
しない耐熱性と強度が要求される。その材料としては、
ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の合成樹
脂、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたも
の、または上記より選択されて組み合わされた複合体が
使用可能でる。また、その厚みは、操作性、加工性を考
慮し2〜100μmのものが使用可能であるが、転写適
性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、6〜50
μm程度のものが好ましい。
【0022】また、剥離性保護層12は、レリーフ形成
層13及び光学効果層14をより効果的に被転写体(図
示はせず)に転写するために設けられたものであり、以
下の配合比からなる組成物がグラビア印刷法により、乾
燥温度110℃、厚さ0.8μmで形成されている。 <組成物配合比> アクリル樹脂 …30部 ポリエステル樹脂 … 5部 ポリエチレンパウダー … 5部 トルエン …40部 メチルエチルケトン …40部 メチルイソブチルケトン …20部
【0023】剥離性保護層12としては、容易に基材か
ら剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであって
も良いが、柔軟性、箔切れ性を考慮し、熱可塑性樹脂が
好ましい。その例として、熱可塑性ポリアクリル酸エス
テル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系
樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセ
ルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエ
ーテル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂等のを単独ある
い複合して用いることができる。また、箔切れ性や耐摩
性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種
ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸の金属塩、シリ
コンオイル等の滑剤や、テフロンパウダー、ポリエチレ
ンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系
微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機
フィラーを添加することもできる。尚、剥離層12は、
基材11自体が剥離性を有している場合、あるいは基材
自体に離型処理を施してある場合は設ける必要はない。
しかし、その場合には転写後、最表面にあたる層(レリ
ーフ形成層13)に耐摩擦性を付与するか、或いは転写
後に保護層を設けることもできる。剥離層としての厚み
は、0.1〜20μmの範囲で形成することができ、保
護層を後から設ける場合には、特に限定されるものでは
無い。また、この剥離性保護層12は、レリーフ形成層
とは反対の面に離型処理した透明なプラスチックフィル
ムを用いて、片面に粘着加工した支持体の粘着加工面上
にラミネートされ、かつ剥離性保護層から接着層は、所
定形状に打ち抜きされていても良い。
【0024】レリーフ形成層13は、ホログラムや回折
格子を記録する層であり、表面に凹凸のレリーフとして
記録されているレリーフ型ホログラム等の周知の光回折
画像を具備する層である。このレリーフ形成層13は、
エンボス成形性が良好で、プレスムラが生じ難く、明る
い再生像が得られ、剥離性保護層12及び光学効果層1
4との接着性が良好である樹脂であって、以下の配合比
からなる組成物がグラビア印刷法により、乾燥温度11
0℃、厚さ0.5μmで形成されている。 <組成物の配合比> ポリウレタン樹脂(屈折率1.53)…30部 メチルエチルケトン …70部 トルエン …30部
【0025】また、OVD形成面は、このような組成の
レリーフ形成層13に対し、版面温度が165℃のプレ
ス成型を行うことにより形成されている。
【0026】レリーフ形成層13は、プレス版にて成形
可能であるという性能が要求され、その材質は熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化樹脂の
いずれであっても良い。例を挙げれば、アクリル系樹
脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂
等の熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポ
リオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネ
ート等を架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂や、
メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂、エ
ポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレー
ト等の紫外線あるいは電子線硬化樹脂を単独もしくはこ
れらを混合して使用できる。また、必要に応じて耐熱性
の高い無機物のフィラーを加えても良い。また、上記以
外のものであっても、OVD画像を形成可能であるなら
ば、使用可能である。
【0027】また、光学効果層14は、本発明の最も重
要な層であり、バインダー樹脂として屈折率約1.57
のエポキシ樹脂に屈折率約2.6、平均粒子径約0.0
35μmのTiO2 を、以下の配合比からなる組成物を
ペイントシェーカーを用いて1時間分散させたものを、
グラビア印刷法により、乾燥温度110℃、厚さ1.2
μmで形成した。 <組成物の配合比> エポキシ樹脂 …30部 TiO2 …20部 メチルエチルケトン …50部
【0028】また、光学効果層14としては、以下〔表
1〕に示すような屈折率の樹脂と、〔表2〕に示すよう
な屈折率の無機物の組み合わせで適宜調整可能である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】また光学効果層は、レリーフ形成層13に
記録されたOVD画像を光学的に増幅させつつ、下地の
カードやパスポート等の被転写体上に記録された印刷絵
柄が見えなければならないため、光学効果層自体が透明
性を有していなければならない。通常、白色顔料に用い
られるTiO2 は、光の散乱が最大になるように粒子径
が0.25μm付近に設計されている。粒子と光散乱の
関係は、粒子径(d)と光の波長(λ)との関係で一般
に次の3つの場合に分けることができる。
【0032】1.幾何光学領域(d>λ) この領域では、光の散乱は粒子表面の反射によるため、
粒子の比表面積が大きいほど、光の散乱能力も大きくな
る。 S∝1/d S:散乱能 の関係があり、散乱は粒子径dに反比例して大きくな
る。
【0033】2.Mie散乱領域(d〜λ) 粒子径と光の波長λがほぼ同レベルの領域ではMie散
乱の式が成立する。 Iθ=λ2(i1+i2)/8π22 Iθ:θ方向における散乱光の強さ i1:観測面に垂直な光の成分 2:観測面に水平な光の成分 R:粒子と観測点の間の距離 上式の全θについて積分すれば、全散乱能Sは次式で表
せる。 S=d2πK(α,m)/4 K:散乱効率 α:サイズ因子
【0034】3.Rayleigh散乱領域(d<λ) この領域では、単位強度の白色光を粒径dの球形粒子に
照射した場合の散乱光の動径分布は、次のRaylei
ghの式で示すことができる。 Iθ=(9πV2/2R2λ4)(m2−1/m2+1)
(1+cosθ) θ:入射光と散乱光を観測する方向との間の角度 Iθ:θ方向における散乱光の強さ V:粒子の体積 R:粒子と観測点の間の距離 m:粒子の屈折率 上式の全θについて積分すれば、全散乱能Sは次式で表
せる。 S=24π3(m2−1/m2+2)V2/λ4 ∴S∝d6/λ4 すなわち、Rayleigh領域では、Sはdの6乗に
比例して急速に減少する。
【0035】このように、1nm〜100nmの範囲の
無機(化合)物は、可視光散乱の最適粒子径から大きく
はずれるため、可視部透過率は高くなり、粒子径が小さ
くなるほど、より透明性を示す。
【0036】さらに、接着層15は、以下の配合比から
なる組成物がグラビア印刷法により、乾燥温度110
℃、厚さ1.0μmで形成されている。 <組成物の配合比> 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 …30部 ポリエステル樹脂 …20部 メチルエチルケトン …50部 トルエン …50部
【0037】なお、接着層15としては、他にも、光学
効果層14を変質させたり冒すものでなければ通常用い
られるものでよく、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂などの単体
あるいは共重合体を単独もしくは複合して使用可能であ
るが、これらに限定されるものではない。また、ブロッ
キングの防止及び箔切れ性を考慮し、石油系ワックス、
植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の高
級脂肪酸の金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロ
ンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒
子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラー及び、
シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもでき
る。また、光学効果層が接着層を兼ねる場合や、被転写
体側に接着層が設けられている場合は、接着層15を設
けなくても良い。
【0038】上記構成の透明OVD転写シートを用い、
ロール転写方式や刻印転写方式、サーマルヘッド転写方
式等の公知転写方式で被転写体16に貼着し、図2に示
す画像表示媒体を得た。被転写体16としては、特に限
定されるものではなく、その材料としては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプ
ロピレン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂、天然樹
脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、また
は、上記より選択されて組み合わされた複合体が使用可
能である。本実施例では、白色のポリ塩化ビニル製カー
ドを使用した。また、被転写体には印刷層17があり、
昇華性染料を用いた転写リボンによる感熱記録法にて画
像を形成した。画像の形成方法としては、現実に多用さ
れているオフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビ
ア印刷法、或いは電子写真法やインクジェット法、光重
合記録法などの公知手段を用いて形成することができ、
被転写体上に直接形成しても、上記透明OVD転写シー
ト上に画像を形成した後に、被転写体上に貼着しても良
い。画像パターンとしては、文字や絵柄等の意味をなす
ものであっても、意味をなさないものであっても良い。
【0039】<比較例1>以下、本発明の比較例1につ
いて、実施例1と同様に説明する。比較例1は、光学効
果層14に粒子径の異なるTiO2 (平均粒子径約0.
25μm)を用いて作製した。本比較例1では、光学効
果層14を、以下の配合比からなる組成物でグラビア印
刷法により、乾燥温度110℃、厚さ1.2μmで形成
されている。 <組成物配合比> エポキシ樹脂 …30部 TiO2 …20部 メチルエチルケトン …50部 上記の点を除き、他の部分の構成、作製方法などは全て
実施例1と同じ方法で行い、本比較例の表示媒体を得
た。参考として、配合比10/0、9/1、8/2、7/3、6/4、5/
5、4/6、3/7、2/8、1/9の割合で分散させた場合のレリ
ーフ形成層との屈折率差及びOVD視認性を〔表3〕に
記す。
【0040】
【表3】
【0041】<比較例2>比較例2は、光学効果層14
として、レリーフ形成層13(ここでは屈折率=1.5
3)よりも屈折率が高く、透明性を持つ材料〔表2〕と
して、厚さ80nmのZnSを真空蒸着法により形成し
た。上記の点を除き、他の部分の構成、作製方法などは
全て実施例1と同じ方法で行い、本比較例2の表示媒体
を得た。
【0042】実施例1及び比較例1にて作製したOVD
画像を有するOVD転写シートの可視光、紫外光のそれ
ぞれの散乱、吸収を積分球付き分光光度計にて測定し
た。その結果を〔表4〕に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4の測定結果からも明らかであるが、実
施例1で作製したOVD転写シートを貼着したカードは
昇華転写法にて形成した画像がはっきりと見えるのに対
し、比較例で作製したOVD転写シートを貼着したカー
ドは光の散乱により、画像が全く見えなかった。
【0045】また、実施例1及び比較例2で作製したO
VD画像を有するOVDカードを下記条件にて耐性試験
を行った。結果を〔表5〕に記す。 条件・耐熱性 60℃〜120℃環境下で1時間放置後、外観評価。 耐光性 キセノン光 100時間暴露。 濃度変化測定。
【0046】
【表5】
【0047】表5の結果から、耐熱試験において本実施
例1で作製したOVDカードは60℃〜120℃の温度
範囲内で全く変化が無かったのに比べ、比較例2で作製
した従来のOVDカードは、特に高温域でのヒビ割れ
(クラック)が激しく、OVD画像の認識ができない状
態になった。また、耐光性試験においても、本実施例1
で作製したOVDカードは表4の光線透過率の測定結果
からも明らかなように、単位面積当たりの比表面積が増
えるため紫外線領域に吸収(及び反射)があるため、光
学効果層14が紫外線吸収剤の役割をし、耐光性が向上
した。
【0048】
【発明の効果】以上に述べたように、本OVD(ホログ
ラムや回折格子)を備えた転写シートや画像表示媒体
は、従来の真空蒸着法等の薄膜形成手段により作製され
たOVDに比べ、熱収縮率の差によるクラックの発生を
押さえ、かつ紫外領域に吸収があるため、優れた耐性を
持ったOVDを備えた転写シートや画像表示媒体を得る
ことができる。さらには、光学効果層を形成する手段が
公知のコーティング等の手段で簡単にできるため、従来
の薄膜形成手段のように蒸着装置にセットした後に、装
置内の釜を真空に引き、成膜、導気といった行程を踏む
必要がなくなり、加工量も限定されることも無い。ま
た、レリーフ形成層と光学効果層の屈折率の差もバイン
ダー樹脂と無機物やその化合物の配合比を変えるだけ
で、簡単に調整することができるため、用途に応じた変
更が可能である、等の種々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるOVD転写シートの構成例を示す
断面図である。
【図2】本発明によるOVDを備えた画像表示媒体の構
成例を示す断面図である。
【図3】従来の画像表示媒体を示す平面図である。
【図4】従来の透明OVD転写シートの構成例を示す断
面図である。
【符号の説明】
11、41…基材 12、42…剥離性保護層層 13、43…レリーフ形成層 14…光学効果層 15、45…接着層 16…被転写体 17…印刷層 44…透過性薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03H 1/18 G03H 1/18 (72)発明者 喜多 武秀 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 新藤 直彰 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上の片面に、少なくとも剥離保護
    層、レリーフ形成層、透明な光学効果層、接着層を順次
    形成してなる転写シートにおいて、該透明な光学効果層
    が、無機物もしくはその化合物と樹脂の混合物からな
    り、レリーフ形成層との屈折率差が0.2以上を有する
    ことを特徴とするOVD転写シート。
  2. 【請求項2】前記接着層が、画像データに基づき色材に
    より着色された転写リボンを用いて画像を書き込む受像
    層であることを特徴とする請求項1に記載のOVD転写
    シート。
  3. 【請求項3】前記透明な光学効果層の無機化合物は、粒
    子径が、1nm〜100nmの範囲内で、かつ屈折率が
    1.6〜4.0の範囲内であることを特徴とする請求項
    1又は請求項2のいずれかに記載のOVD転写シート。
  4. 【請求項4】基材上の片面あるいは両面に少なくとも印
    刷層を設け、この上に、前記請求項1、2又は3のいず
    れかに記載のOVD転写シートにより、接着層を介して
    透明な光学効果層、レリーフ形成層、保護層を順次積層
    してなる画像表示媒体であって、該透明な光学効果層
    が、無機物もしくはその化合物と樹脂の混合物からな
    り、該レリーフ形成層との屈折率差が0.2以上を有す
    ることを特徴とする透明OVDを備えた画像表示媒体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003058026A (ja) * 2001-08-09 2003-02-28 Dainippon Printing Co Ltd 偽造防止体積ホログラム積層体
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JP2012071477A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Toppan Printing Co Ltd 画像形成体、個人認証媒体及びその製造方法
EP3687828B1 (en) 2017-09-29 2022-08-10 De La Rue International Limited Security device and method of manufacture thereof

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