JP2013092746A - 画像表示体及び情報媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような視認性の高い発見容易性能などを備える画像表示体及び情報媒体を提供すること。
【解決手段】多数のドットを格子状に配列して構成されるドット群を、複数種類、基材の表面に配置してなる画像表示体であって、前記ドットが、いずれも、凹凸形状を有する構造形成層と光反射層とを積層した層構成を有しており、前記ドット群を構成するドット配列の格子角度が、ドット群の種類によって異なることを特徴とする画像表示体。
【選択図】図1

Description

本発明は、パスポートや査証などの冊子又は、カード等の個人認証媒体上に個人特定の要である顔画像や指紋を印刷・印字・描画する画像表示体に係わるものであり、特に、正当な所有者の顔や指紋の画像といった個人識別情報を、回折格子又は回折格子状に凹凸を設けたセルを組み合わせることにより、偽造及び改竄を困難にし、かつ個人認証を実施する審査官が識別しやすくすることを目的とするものである。
パスポートや査証用ステッカー、あるいはカード類といった個人認証に係わる情報記録媒体においては、従来、色々なセキュリティ手法が提案されてきている。例えば、パスポートにおいては、現在使用されているパスポートはいわゆるICAO(International Civil Aviation Organization)の規定によれば、目視及び光学文字識別方式の両方で読めなければならないとされている。
ICAOの規定によれば、パスポートに使用する材質やセキュリティに関しては各国の自由裁量であり、セキュリティ機能として一般に使われているのは、有機溶剤等で反応する化学反応体、虹彩色のパールチップ、ファイバー(絹もしくは合成繊維、可視もしくは不可視、蛍光もしくは非蛍光)、ホログラムやマイクロ文字の印刷されたフィルムのセキュリティ糸、透かし模様等を盛り込んだ用紙や退色性インキ、蛍光インキ、感熱インキ、光学的に変化するインキ(いわゆるOVIなど)等の各種インキ、細線印刷、レインボー印刷、凹版印刷、ピクセル印刷等の様々な技法を組み込んでセキュリティと美観の同時向上を図っている。
また、パスポートの目視確認情報としての顔写真は、従来写真を貼り合わせたものであったが、近年では写真情報をデジタル化し、これをパスポートに再現する傾向にある。パスポートへの画像再現方法としては、昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法などが検討されている。
パスポートへの画像再現方法としては、上記方式以外に、インクジェットプリンターによる記録法や(特許文献1)、CO2もしくはYAGレーザー及び感熱発色剤を使用したレーザー印字記録法(特許文献2)、さらには基材中に存在する炭素を利用して基材の深さ方向にも印字記録するレーザーエングレービング印字記録法などがある(特許文献3)。
査証用ステッカーにおいても、ステッカー自体を剥がそうとしても綺麗に剥がすことが困難なように切り込みを一定パターン状に設けたものを使用するなどの工夫がされているものもある。
さらに、この種の個人認識データの入った画像表示体としては、画像データに基づいて形成された画像パターンをポリ塩化ビニル等のカード基材上に備えたもの、あるいは上記画像パターンに加えてホログラムや回折格子あるいは多層干渉を用いた光学的薄膜(光学設計によりカラーシフト等の効果を得られる)を用いることによる画像に代表されるいわゆるOVD(Optical Variable Device)画像を具備するもの等が知られている。
これらホログラムや回折格子のOVD技術は、高度な製造技術を要し、複製の難しいことから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、IDカード、プリペイドカード等のカード類に利用されてきた。さらには、その装飾性の高さから、包装材、書籍、パンフレット、POP等への利用も少なくない。これらOVDを物品に貼着するための手段として従来から転写箔を用いて転写形成するといった方法が採られている。
この種の転写は、支持体上に剥離層、ホログラムや回折格子の画像パターンを形成されているレリーフ層と、公知の薄膜形成手段により形成される反射層、接着層を順次積層してなる構成のものが知られている。これら、転写箔に刻まれたOVDパターン(ホログラムおよび回折格子パターン)は、微少な凹凸パターンをニッケル性のプレス版に複製し、レリーフ層に加熱押圧するという周知の方法により大量複製が行われている。
また、上記反射層は屈折率の異なる透明な物質を真空蒸着法等の公知の薄膜形成手段により形成することで(以下透明薄膜層と呼ぶ)、透明ホログラムや透明回折格子形成体となることは、公知の技術である。この場合、レリーフ層と透明薄膜層との間の屈折率差が大きい程、反射率も大きくなることは、光学的見地からも明らかである。但し、ここで一般的には、(レリーフ層の屈折率)<(透明薄膜層の屈折率)の関係がある。
また、上記反射層として金属薄膜を用いることも公知の技術である。但し、金属薄膜を反射層として透明ホログラムや透明回折格子形成体とする場合には、膜厚を厚くし過ぎると光透過性が失われるため薄膜である必要がある。
このようにして得られたホログラム又は回折格子構造物は、偽造防止手段としてクレジットカード、キャッシュカード、会員証カード、社員証カード、プリペイドカード、運転免許証等の各種カード類、商品券、ギフト券、株券等の各種紙券類や申込用紙、領収書、複写伝票等の各種帳票類や、パスポート、通帳、年金手帳等の各種冊子類の他、本や手帳などの表紙やパネル等のディスプレイ用途等の一部又は全体に貼着して使用されている。
なお、本発明で述べている全体とは、概念的な意味であり、柄、パターン等を問わず、スポット状、ストライプ状、格子上に貼着されたものや、定型、不定形の網点状のドットで貼着されたものも含まれる。
このようなOVD転写箔は偽造防止効果としては、充分な機能を果たすが、パスポートのように顔写真などの画像形成後に該画像上にOVD転写層を熱的に転写して形成しているため、偽造技術の発達した現在では何らかの手法により転写層をいったん取り去り、画像データ等の改竄を行った後に改めてOVD転写箔を載せるといったことが行われる可能性もでてきた。
また、顔写真などの画像情報を形成する手段としての昇華転写方式、熱溶融性の転写リボン方式あるいは電子写真方式などのプリンタは、昨今では一般に広く普及している状況を考慮すると、画像形成部を取り除いた後の領域に新たに画像を形成することは、必ずしも困難とは、言い切れなくなりつつある。
上記のような問題を解決すべく、顔写真の他に個人を特定する情報を複数個入れる方法が考えられている。顔写真の中に電子透かし情報を入れ、その情報を同一媒体中のICチップに記憶して、電子透かし情報とICチップの情報を照合することで認証する方法がある(特許文献4)。また、顔写真情報の特徴点を数値化して、その値を2次元コード化し、同一媒体中に印字する。2次元コードのデータと顔写真の特徴点を照合することで認証する方法がある(特許文献5)。
しかしながら、上記の方式では顔写真やICチップや2次元コードを読み取るための専用のデコーダーが必要であり、読み取り装置及びデコーダーを所有している人以外認証できないという問題がある。
他の検証方法として目視情報による認証が可能な顔写真を複数個入れる方法が考えられる。前記方式で設けた顔写真の他に蛍光材料を用いて同じ顔写真を形成する方法がある(特許文献6、特許文献7、特許文献8)。また、パール顔料を溶融型熱転写インクリボン化して顔写真を形成する方法がある(特許文献9)。
しかしながら、上記蛍光材料を用いる方法では、紫外線ランプ(ブラックライト)を用いる必要があるため、認証できる場面が限られている。一方パール顔料による顔写真は、目視による確認は可能であるが、パール顔料の粒子が大きいため、精細な画像の形成が困難なことより、あくまで補助的な認証にしかならないという問題がある。
また、個人情報をホログラム化する方法として、ホログラムリボンを用いた直接熱転写方式が知られている(特許文献10)。しかし、顔写真などの画像情報を形成するためには、ドットを非常に微細にすることで高解像度を得る必要があるため、OVD転写箔の材料の切れ性や転写性が重要となる。
間接転写方式でフルカラー画像を高精細に表現する方法として、ドットオンドット方式がある(特許文献11)。ホログラムリボンを用いてこの方式を利用する場合、転写箔の材料の切れ性や転写性が重要となる。
特開2002−226740号公報 特開昭49−131142号公報 特開2006−123174号公報 特開2001−126046号公報 特開2004−70532号公報 特開平7−125403号公報 特開2000−141863号公報 特開2002−226740号公報 特開2003−170685号公報 特開平10−04964号公報 特開2000−135810号公報
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みてなされた発明であり、より高解像度、高品質な画像表示体を提供することを目的とする。また、その画像表示体を用いて、高セキュリティ性を必要とされるパスポート、査証、あるいは各種のカード類等の個人認証媒体に対して、偽造や改竄あるいは変造に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような視認性の高い発見容易性能などを備える画像表示体及び情報媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、多数のドットを格子状に配列して構成されるドット群を、複数種類、基材の表面に配置してなる画像表示体であって、前記ドットが、いずれも、凹凸形状を有する構造形成層と光反射層とを積層した層構成を有しており、前記ドット群を構成するドット配列の格子角度が、ドット群の種類によって異なることを特徴とする画像表示体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記光反射層の可視光の透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記光反射層は前記構造形成層と屈折率が異なる透明材料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記光反射層が金属薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記画像は前記複数のドットが射出する射出光の加法混色で表現されてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像表示体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記構造形成層又は前記光反射層又はその両方の面上に接着層が積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示体である。
また、請求項7に記載の発明は、前記構造形成層に回折格子が形成してあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像表示体である。
また、請求項8に記載の発明は、前記複数のドット群に形成されてある前記回折格子の空間周波数は各別個で三種類以上あることを特徴とする請求項7に記載の画像表示体である。
また、請求項9に記載の発明は、各ドット群を構成する多数のドットが有する凹凸形状が同一パターンから成ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像表示体である。
また、請求項10に記載の発明は、前記凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であり、ドット群同士でドット群を形成するドットが有する回折格子の格子角度が異なることを特徴とする請求項9に記載の画像表示体である。
また、請求項11に記載の発明は、前記凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であり、ドット群同士でドット群を形成するドットが有する回折格子の空間周波数が異なることを特徴とする請求項9に記載の画像表示体。
また、請求項12に記載の発明は、前記複数のドット群に形成されてある前記回折格子の少なくとも三種類は、特定の角度において各々赤色、緑色、青色の回折光を射出することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像表示体である。
また、請求項13に記載の発明は、前記特定の角度において各々赤色、緑色、青色の回折光を射出するドット群の格子方向がそれぞれ30°異なっていることを特徴とする請求項12に記載の画像表示体である。
また、請求項14に記載の発明は、前記画像が個人情報を含んだ画像であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像表示体である。
また、請求項15に記載の発明は、前記個人情報を含んだ画像が顔画像であることを特徴とする請求項14に記載の画像表示体である。
また、請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像表示体と、前記画像表示体を支持した物品とを具備してあることを特徴とする情報媒体である。
本発明によると、より高解像度、高品質な画像表示体を提供することが可能となる。また、その転写箔を用いて、高セキュリティ性を必要とされるパスポート、査証、あるいは各種のカード類等の個人認証媒体に対して、偽造や改竄あるいは変造に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような視認性の高い発見容易性能などを備える画像表示体及び情報媒体を提供することが可能となる。
本発明の一態様に係る画像表示体を支持した情報媒体を示した概念図である。 本発明の実施の形態に係る画像表示体を構成する転写箔の概念断面図である。 画像表示体を構成する転写箔を転写する機構を概略的に示す概念断面図である。 画像表示体を構成する転写箔が転写された状態示す概念断面図である。 被転写基材に転写箔をドット状に転写し形成されたドット群を示す平面概念図である。 被転写基材に、転写箔を表現する画像に従ってドット状に転写した配置を示す平面概念図である。 被転写基材上に、複数の転写箔を転写する事により形成された複数のドット群を備えた様子を示した平面概念図である。 本発明の実施の形態に係る被転写機材上に、複数の転写箔を転写する事により形成された複数のドット群を備えた様子を示した平面概念図である。 被転写機材上に転写され転写箔上に、転写箔をさらに転写する機構を示した断面概念図である。 本発明の一態様に係る画像表示体を支持した情報媒体を示した概念図である。
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る画像表示体を支持した情報媒体を示した概念図であり、情報媒体100は、個人認証媒体であるパスポートなどの冊子体を示しており、冊子体は見開き状態を描いている。
情報媒体100は、折り丁1と表紙2とを含んでいる。折り丁1は、1枚以上の紙片11からなる。典型的には、紙片11上には、文字画像I2が設けられ、折り丁1は、1枚の紙片11を又は複数枚の紙片11の束を二つ折りにすることによって形成されている。
紙片11は、個人情報が記録されるIC(integrated circuit)チップや、このICチップとの非接触での通信を可能とするアンテナなどを内蔵していてもよい。
表紙2は二つ折りされている。表紙2と折り丁1とは、冊子体を閉じた状態で折り丁1が表紙2によって挟まれるように重ね合わされており、それらの折り目の位置で綴じ合わせなどによって一体化されている。
表紙2は、個人情報を含んだ画像を表示する。この個人情報は、個人の認証に利用する個人認証情報を含んでいる。この個人情報は、例えば、生体情報と非生体個人情報とに分類することができる。
生体情報は、生体の特徴のうち、その個体に特有なものである。典型的には、生体情報は、光学的手法によって識別可能な特徴である。例えば、生体情報は、顔、指紋、静脈及び虹彩の少なくとも1つの画像又はパターンである。
非生体個人情報は、生体情報以外の個人情報である。例えば、非生体個人情報は、氏名、生年月日、年齢、血液型、性別、国籍、住所、本籍地、電話番号、所属及び身分の少なくとも1つである。非生体個人情報は、タイプ打ちによって入力された文字を含んでいてもよく、署名などの手書きを機械読み取りすることによって入力された文字を含んでいてもよく、それらの双方を含んでいてもよい。
図1において、表紙2は、写真画像I1a、I1b、文字画像I2及びパターン画像I3を表示している。画像I1a、I2及びI3は、光の吸収を利用して表示される画像である。具体的には、画像I1a、I2及びI3は、白色光で照明し、肉眼で観察した場合に視認可能な画像である。写真画像I1a、I1b、文字画像I2及びパターン画像I3の1つ以上を省略してもよい。
写真画像I1a、文字画像I2及びパターン画像I3は、例えば、染料及び顔料で構成することができる。この場合、写真画像I1a、文字画像I2及びパターン画像I3の形成には、サーマルヘッドを用いた熱転写記録法、インクジェット記録法、電子写真法、又はそれらの2つ以上の組み合わせを利用することができる。あるいは、画像I1a、I2及びI3は、感熱発色剤を含んだ層を形成し、この層にレーザビームで描画することにより形成することができる。あるいは、これらの方法の組み合わせを利用することができる。画像I2及びI3の少なくとも一部は、ホットスタンプを用いた熱転写記録法によって形成してもよく、印刷法によって形成してもよく、それらの組み合わせを利用して形成してもよい。
写真画像I1bは、ホログラム及び/又は回折格子により表示される画像である。写真画像I1bは、例えば、サーマルヘッドを用いた熱転写記録と、ホットスタンプ又は熱ロールを用いた熱転写記録とをこの順に行うことにより形成する。
写真画像I1a及びI1bは、同一人物の顔画像を含んでいる。写真画像I1aが含んでいる顔画像と、写真画像I1bが含んでいる顔画像とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。画像I1aが含んでいる顔画像と、写真画像I1bが含んでいる顔画像とは、寸法が等しくてもよく、異なっていてもよい。また、写真画像I1a及びI1bの各々は、顔画像の代わりに他の生体情報を含んでいてもよく、顔画像に加えて顔画像以外の生体情報をさらに含んでいてもよい。
写真画像I1bは、生体情報の代わりに非生体個人情報を含んでいてもよく、生体情報に加えて非生体個人情報をさらに含んでいてもよい。また、写真画像I1bは、個人情報の代わりに非個人情報を含んでいてもよく、個人情報に加えて非個人情報をさらに含んでいてもよい。
文字画像I2は、非生体個人情報と非個人情報とを含んでいる。文字画像I2は、文字以外の記号、符号及び標章の1つ以上を構成しても良い。
パターン画像I3は、地紋である。例えば、パターン画像I3と写真画像I1a及びI1bの少なくとも一方とを組み合わせると、情報媒体100の改竄をより困難にすることができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る画像表示体を構成する転写箔の概念断面図であり、転写箔60は、基材50の一方の面に剥離層51、構造形成層52を順に積層した構造となっている。図2では光反射層53が構造形成層52全体を覆うように積層されているが、光反射層53は構造形成層52の少なくとも一部に積層されてあればよい。また、図2では接着層54が光反射層53の面上に備えてあるが、接着層54はあっても良く、無くても良い。
基材50、剥離層51、構造形成層52の屈折率は概ね同一であるか近い値となる一方で、光反射層53のみ屈折率が大きく異なるのが一般的である。ゆえに、図2に図示する転写箔60を観察すると、光反射層53は構造形成層54を被覆するように積層されているので、構造形成層54の構造に起因する射出光を観察できる。
基材50の材料としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックシートが挙げられる。その厚みとしては、10乃至100μm程度が一般的であるが、本発明の転写箔60における基材50は、転写性を向上させるために薄い方が良く、特に10乃至15μm程度であるとより好ましい。
剥離層51の材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂にシリコーンやフッ素系の添加剤を加えたものが好ましい。また、転写箔60は微小面積のドット毎に転写するため、剥離層51の箔切れ性が無くてはならない。そのため、上記した材料にシリカ等の無機微粒子を加えるとなお好ましい。また、上記以外の種類の材料を用いても、剥離層51として必要な性能を発揮できれば問題ない。
構造形成層52としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等の光硬化性樹脂、又はアクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、又はポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。上記した熱可塑性樹脂を、所望の構造を賦型して硬化させることにより構造を成形する。なお、これらの樹脂の硬化物は全て光透過性であり、屈折率は一般的には1.5程度である。また、構造成形層52の膜厚は、耐熱性、箔切れ性、熱転写性を向上させるために薄い方が好ましく、1.5μm以下であることが特に好ましい。
光反射層53の材料としては、透明被膜もしくは、金属被膜等を用いることができる。透明材料の場合、構造形成層52と屈折率が異なる誘電体層、誘電体多層膜、もしくは高屈折率材料を使用する。例えば、屈折率が2.0以上であるZnS、TiO2、PbTiO2、ZrO、ZnTe、PbCrO4等が好ましい。これは、構造形成層52との屈折率差が小さいと、構造形成層52の凹凸による回折光の視覚効果が弱まってしまうためである。具体的には、構造形成層52と透明被膜の屈折率差は少なくとも0.5以上あると良い。また、膜厚は50nm〜100nmが好ましい。また、金属被膜である場合、クロム、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銀、金、銅の中から選択される単体又はそれらの混合物、合金等を用いることができる。こちらの場合は、膜厚を厚くし過ぎると光透過性が失われるため、膜厚は20nm以下であることが好ましい。
接着層54としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いる。上記した光反射領域の材料や、その他樹脂との密着力、加刷性のあるものであれば、特に限定はしない。また、熱転写の際の箔切れ性も必要となるので、上記樹脂にシリカ等の無機材料を含めるとなお良い。
図3、4は、画像表示体を構成する転写箔を転写する機構を概略的に示す概念断面図であり、図3は転写箔60を転写する最中を概略的に示す断面図であり、転写箔60と被転写基材61とを密着させ、図中の破線間に熱圧15を加えている場面を示している。
図4は、図3に示すように熱圧15を加え、その後、基材50を剥離することによって転写箔60が被転写基材61に転写された場面を示している。図4に示すように、熱圧が加えられた箇所16のみ基材50と剥離層51間にて剥離が生じ、また、接着層を介して転写箔60と被転写基材61とが接着する。このように、熱圧を加えた箇所16のみで転写箔60は被転写基材61へ転写されるため、被転写基材61上の所望の位置のみに転写箔を備えることができる。
図3、4に示す転写箔60は接着層54を備えてあるが、接着層54は前記したように、あっても良く、無くても良い。接着層54が無くても、被転写基材61と転写箔60との密着性が良好、又は被転写基材61の転写箔60との接触面に転写箔60との密着性が良好となる層が備えてあれば問題無い。これは以降の説明においても同様であるので、以降の説明、図5以降でも転写箔60は接着層54を備えてあるものとして説明、図示する。
図4では、転写箔60が被転写基材61へ転写されることでドット62となっているが、被転写基材61を中間転写媒体とし、さらに他の基材へ画像を転写しても良い。
図5は、被転写基材に転写箔をドット状に転写し形成されたドット群を示す平面概念図であり、図3に図示し前記した方法によって、複数のドット62aを被転写基材61の面上に複数配置して形成されたドット群63aを示している。図5においてドット群63aを形成するドットはX軸、Y軸に沿った格子状に配置されている。図5において、ドット62aはXY平面において7×7のマトリクスを形成している。しかし、本図は概略図であり、必ずしも7×7のマトリクスである必要は無く、ドット数は任意である。
図6は、被転写基材に、転写箔を表現する画像に従ってドット状に転写した配置を示す平面概念図であり、図3、4に図示し前記した方法によって、複数のドット62bを被転写基材61の面上に複数配置して形成されたドット群63bを示している。前記したように、図5に示すドット群63aはドット62aがX軸、Y軸方向に連続して存在することにより7×7のマトリクスを形成している。しかし、図6に示すドット群63bの場合、ドット62bは連続的には存在していないものの、X軸、Y軸に平行な仮想直線64上に並んでいる。
本発明において、画像構成要素の画素としてドットは転写されている。ゆえに、被転写基材61の面上におけるドットの有無やドットの面積を変えることによって画像の形状や濃淡を表現している。ゆえに、ドット群は必ずしも図5に示すドット群63aのようにマトリクス状に存在する訳ではなく、図6に示すドット群63bのように、表現する画像に従ってその配置方法は変化する。
ドット群63bは、図5のドット群63aにドットの有無の要素が加わって形成されている。本発明において、図6に示す63bのように、連続的に存在していないものの、直交する二軸それぞれに平行な仮想直線上に並んだドットで形成されるドット群に対しても、ドットの配置は格子状であると表現することにする。
図7は、被転写基材上に、複数の転写箔を転写する事により形成された複数のドット群を備えた様子を示した平面概念図であり、被転写基材61の面上には、複数のドット62cから成るドット群63cと、複数のドット63dから成るドット群63dの二つのドット群が備えてある。
一般的に、格子状に配列したドットのような、規則正しいパターンが重なり合った場合にはモアレが生じてしまう。モアレが生じてしまうと、画像表示体における表示したい画像が所望の画等では無くなってしまうため、画像表示の制御が困難となる。
図8は、本発明の実施の形態に係る被転写基材上に、複数の転写箔を転写する事により形成された複数のドット群を備えた様子を示した平面概念図であり、被転写機材61の面上には、複数のドット62eから成るドット群63eと、複数のドット62fから成るドット群63fの二つのドット群が備えてある。
ドット群を形成する複数のドットの配置方向の一方を格子方向と呼ぶとする。例えば、図6に示す仮想曲線の方向が格子方向に相当する。本発明においてドット群は格子状に配置されているため、あるドット群においてドットの配置方向の一方が分かればもう一方はそれに直交する方向であることは明らかであるため、以降、ドットの配置方向については一方についてのみ、すなわち格子方向についてのみ言及する。尚「格子方向」は以降でも同一の意味で用いる。
図7に示すドット群cとドット群dの格子方向は同一である。一方、図8に示すドット群eとドット群fの格子角度は45°異なっている。前記したように、規則正しいパターンが重なり合った場合にはモアレが生じてしまう。しかし、図8に示すように格子方向が異なるように配置することによってモアレを見え難く、又は見えなくすることができる。
すなわち、本発明によれば、複数のドット群の格子方向がお互いに異なるように配置することにより、より高品質な画像表示体を提供することが可能となる。
モアレを発生させない方法の一つとして、複数のドット群の格子方向を同じとし、かつドット同士が完全に同じ位置に重なるように配置する方法がある。しかし、この方法では以下の二点が問題となる。一点目は、転写の位置制御であり、あるドット群を転写した後に異なるドット群を重ねて転写するとき、格子方向が同一で転写位置がずれてしまうとモアレが発生してしまうため、非常に高精度な位置制御が必要となる。二点目は、同一箇所において転写し難い点である。
図9は、被転写機材上に転写された転写箔上に、転写箔をさらに転写する機構を示した断面概念図である。これは説明のために用いた図であり、図9に示す転写の機構は本発明の態様に係らない。
図9(a)は、転写箔60bを転写する最中を概略的に示す断面図である。図9(a)では、転写箔60bと被転写基材61とが離れて図示してあるが、熱圧15を加える際には密着させてある。また、図9に示す転写箔60aは、図3(b)に示す転写箔60のように層構成を示していないが、これは簡略化して図示したのみである。転写箔60aも、転写箔60、転写箔60bと同様の層構成を備えており、接着層54を介して被転写基材61と接着している。転写箔60aの最表面側には剥離層51が備えてあり、転写箔60bが積層されて接触するのは転写箔60aの剥離層51となる。
図9(b)、図9(c)は、熱圧15(図9(b)、図9(c)にも熱圧15を加えた箇所16を示してある)を加え、その後、基材50を剥離することによって転写箔60bが被転写基材61に転写してある転写箔60aの上に転写された場面を示している。
図9(b)では、転写箔60bが転写箔60a上に転写されている一方で、図9(c)では転写箔60bは転写されていない。実際にどちらの状態となるかは転写箔の各層を構成している材料や膜厚、また、転写時に加える熱や圧力が複合的に影響するため、不安定となる。
なぜならば、転写箔60bが転写されるときに接触する転写箔60aの最表面には剥離層が備えてあるからである。剥離層は他の層構成と剥離し易く、すなわち、他の層構成と接着し難くするよう設計されているからである。また、図9に示す転写箔60aの表面は転写時に印加した熱圧のムラ、剥離時に破断した剥離層等により、表面には細かな凹凸が存在している。ゆえに、転写箔60aの最表面が剥離層であることに加え、さらにその表面が平らでないため、転写箔60a上に転写箔60bを転写することは困難となる。
以上の二点により、ドット同士を完全に同じ位置に転写するのは困難であるが、本発明によれば、複数のドット群の格子方向がお互いに異なるように配置してある。格子方向が異なるようにしてあれば、転写の位置精度は非常に高精度である必要はない。
予めあるドット群が転写された被転写基材上に異なるドット群を重ねるとき、格子方向が異なるようにしてあれば、後から転写するドット群を形成するドットは、被転写基材上に転写されるか、又は被転写基材と予め転写されたドットに跨るように転写されることが多くなる。このとき、ドット同士を完全に同じ箇所に転写する機会は無いか、又は非常に少ない。ゆえに、複数のドット群の格子方向がお互いに異なるように配置することにより、画像品質の低下に繋がるモアレを軽減でき、かつ同時に、前記した転写不良も軽減できる。
ところで、転写箔が遮光性である場合、ドット同士が同じ箇所に重なるように転写してしまうと、重ねられて下層となってしまったドットは、観察時に見ることができず、画像の画素として機能できなくなってしまう。ゆえに、転写箔が遮光性である場合、ドット同士が重ならないように転写しなければならなくなってしまう。
一方、本発明の転写箔は光透過性である。転写箔が光透過性の場合、ドット同士が重なっていても、転写箔が遮光性の場合とは異なり、下層となってしまったドットも画素として機能する。ゆえに、光反射層が光透過性であることによってドットの重なりを気にすることなくドットを配置することができる。
また、光反射層が光透過性であることにより、複数のドットが重なっている箇所を観察した場合、各ドットが射出する射出光の加法混色による色を観察することができる。これにより、より階調豊かで高品位な画像表示体を提供することが可能となる。
同一の層構成のドットが重なっている場合、下層のドットは上層のドットと比較して、透過率の自乗の明るさとなる。しかし、人間が感じる感覚は変化量に対してその対数となる。ゆえに、透過率が70%の場合、下層のドットの輝度は本来の49%となる。しかし、実際に人間が感じる感覚はその対数となるので、一般的に輝度値が半分程度であれば然程暗くなったようには感じない。ゆえに、光反射層の可視光の透過率が70%以上あれば、ドットが重なった領域でも下層のドットからの射出光を問題なく観察することが可能となる。
光反射層53としては、構造形成層52と屈折率の異なる透明材料を用いることができる。光反射層53は構造形成層52と接することにより、構造形成層の構造に起因する射出光を観察し易くする機能を持っている。前記したように、光反射層53と構造形成層52の屈折率が異なっていれば、光反射層53は反射膜として機能する。また同時に、光反射層53の材料が透明材料であるので、光反射層53を透過して背後の情報も観察することが可能となる。
光反射層53としては、金属薄膜を用いることもできる。前記した透明材料の場合は、構造形成層52と屈折率が異なるという条件が必要であるが、光反射層53は反射膜としての機能を有すればよいので、金属被膜の場合は一般的な金属光沢を有する材料であればよい。金属被膜の場合、その膜厚を薄くすることにより光反射の機能と光透過性を両立でき、透明材料の場合と同様に光反射層53の背後の情報も観察することが可能となる。
本発明の凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であることにより、本転写箔を用いて回折光として観察できる画像を表現することが可能となる。本発明の転写箔は、熱転写方式を用いて転写できる。ゆえに、本発明の転写箔60と一般的なカラーリボンを併用することによって、通常のインクによる画像と回折光として観察できる画像を同一面上に容易に作製することが可能となる。構造形成層52に良好な光学機能を持つ回折格子を形成し、かつその光学機能を維持させたまま転写するには、専門的な知見・技術を必要とする。ゆえに、凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であることによって、本転写箔の偽造又は模造は困難となる。
ここで、各ドット群を構成する多数のドットが有する凹凸形状が同一パターンから成るとする。このとき、ある単一の画像を表示するためには、ドット群を構成する多数のドットが有する凹凸形状は同一であるため、ある単一の転写箔を用意すればよい。
また、転写箔内において、凹凸形状のパターンは全面で同一であるため、画像を転写するときに転写する位置精度が高精度である必要はなく、転写箔内のどの位置で転写しても同一の画像を得ることが出来る。
ゆえに、各ドット群を構成する多数のドットが有する凹凸形状が同一パターンから成るとすることにより、より安定的に高品位な画像表示体を提供することが可能となる。
ここで更に、ドット群ごとに、すなわち、転写箔ごとに凹凸形状のパターンが異なっているとする。このとき、凹凸形状は回折格子であるとし、転写箔ごとに回折格子の格子角度、又は空間周波数が異なっているとする。
このとき、転写箔ごとに別個の画像を転写することにより、チェンジング効果を持った画像表示体を提供することが可能となる。なぜならば、回折格子の格子角度、又は空間周波数が異なるパターンから射出する回折光は、互いに異なる射出領域を有しているからである。
すなわち、ドット群同士でドット群を形成するドットが有する回折格子の格子角度や空間周波数が異なるようにすることにより、光源の入射角度や観察角度を変化させることで異なった画像を観察することができる、チェンジング効果を持った画像表示体を安定的に提供することが可能となる。
また、構造形成層52に形成してある回折格子の空間周波数が少なくとも三種類以上あることにより、ある一定の角度においてR、G、Bの三種類の色を表現することが可能となる。すなわち、空間周波数が三種類以上あることにより、回折光として観察できるフルカラー画像を表現することが可能となり、より高品質な画像表示体を提供することが可能となる。
また、このときR、G、Bの他に、例えば、イエロー等、他の色を表示する構造があってもよい。色の種類が増えることにより、画像表示体が表示する画像の色域をより広げることが可能となる。
ドット群63を形成する複数のドット62は格子状に配置されているため、格子方向を90°ずらしたドット群は元と同一のものとなる。複数のドット群63の格子方向をお互いに異なるように設定するとき、前記の理屈により90°の中で角度を割り振ることになる。前記したように、フルカラーの画像を表現するためには、少なくともR、G、Bを表現する三種類のドット群63が必要となる。ゆえに、フルカラーの画像表現する場合、特定の角度においてR、G、Bの回折光を射出するドット群63の格子方向は概ね30°ずつ異なっているとき、最もモアレが発生しにくいと言える。
以上、パスポートとしての情報媒体100を例示したが、情報媒体100について上述した技術は、他の情報媒体に適用することも可能である。例えば、この技術は、査証及びIDカードなどの各種カードに適用することも可能である。
図10に示す情報媒体300には、人物像からなる写真画像I1が形成されている。さらに、情報媒体300には、印刷画像21と写真画像I1が偽造防止用又は識別用として転写されており、写真画像I1は構造形成層を持つ転写箔60をドット62として転写され、ドット群63により人物像が形成されている。図9に示す情報媒体300の場合、印刷画像21と写真画像I1の画像は同一となっている。この場合、印刷画像21と写真画像I1が同一であることが本物(実物)であるとすると、仮に印刷層21の印刷画像の情報を改竄したとしても、印刷層21と写真画像I1の情報は同一でなければならないため、写真画像I1も同一の絵柄に改竄する必要があり、偽造又は模造は困難となる。また、印刷層21の印刷画像と写真画像I1の画像を見比べることで真贋判定が可能であるため、個人識別を行う審査官に対してより精度のよい認証が可能となる。また、真贋判定の方法は画像を見比べることであり、比較的簡便な方法であるため、審査官に限らず、誰もが真贋判定を簡易に行うことができる。図10に示す情報媒体300に含まれる写真画像I1は人物像からなる画像で構成されている。この場合、個人認証媒体の偽造又は模造をより困難とすることができるが、個人認証媒体以外の情報媒体に適用することも可能である。
画像表示体を貼り付ける基材の材質は、天然の紙及び合成紙などの紙でなくてもよい。例えば、画像表示体62を貼り付ける基材の材質は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(熱可塑性PET)、ポリ塩化ビニル樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル樹脂及びポリスチレン樹脂などの合成樹脂、ガラス、陶器及び磁器などのセラミックス、又は、単体金属及び合金などの金属材料であってもよい。
上では、情報媒体としてパスポート及びIDカードなどの個人認証媒体を例示したが、情報媒体100及び300について上述した技術は、個人認証媒体以外の情報媒体に適用することも可能である。即ち、上述した技術は、個人認証以外の目的で利用してもよい。
前記しているように、本発明における被転写基材61上に転写箔60を転写して、写真画像(ドット群画像)I1b、文字画像I2、パターン画像I3を作製しても良く、その被転写基材61を中間転写媒体としてさらに他の支持体へ画像を転写しても良い。実施例では、被転写基材61を中間転写媒体とした場合について説明する。
まず、転写箔60を作製した。基材1として厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、剥離層51、構造形成層52の順にグラビアコーターで印刷を行った。オーブンでの乾燥後、剥離層51の膜厚は0.6μm、構造形成層52の膜厚は0.7μmであった。なお、構造形成層52はアクリレート/イソシアネートの二液性の熱硬化樹脂のため、1μm未満の膜厚となっても問題は無い。
このフィルムを、回折格子が形成された版を用いてロールエンボス装置にて熱プレスを行い、構造形成層に回折格子の凹凸を形成した。回折格子の凹凸の空間周波数は、1150本/mm、1310本/mm、1550本/mmの3種類の、回折格子が構造形成層に形成され、転写箔は三種類である。構造形成層52上にZnS蒸着を行い光反射層53を設けた。ZnS蒸着の膜厚は80nmであった。また、このフィルムに接着層の印刷を行った。接着層の膜厚は0.6μmであり、光反射層53は光透過性である。
上記フィルムを転写リボンサイズの幅にスリットして小分けし、それぞれを繋ぎ合わせてOVD転写箔を作成した。また、転写箔60とは別に公知のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクリボンを用意した。
次に、中間転写媒体を作成した。基材50として厚み19μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、剥離層51、受像層の順にグラビアコーターで印刷を行った。オーブンでの乾燥後、剥離層51の膜厚は1.0μm、受像層の膜厚は4.0μmであった。
サーマルヘッドを用いて、受像層上の狙った位置に転写箔60を転写して顔画像を表現した。転写箔60には、空間周波数が1150本/mm、1310本/mm、1550本/mmの回折格子が構造形成層に形成されている。なお、予め被転写体61となる人物の顔写真を撮影し、撮影写真から、各回折格子セルが転写される位置をコンピューター上のプログラムで設定しておき、サーマルヘッドの機械にアウトプットすることで上記画像の表現を行った。ドット径の最大値が約0.084μm(300dpi相当)、ドットの中心位置の間隔が0.042μm(600dpi相当)で印字を行った。このとき、空間周波数が1150本/mm、1310本/mm、1550本/mmの回折格子をドットとして有するドット群の格子方向はそれぞれ、45°、75°、15°とした。
次に、同様にインクリボンにて受像層上に顔写真および文字情報を印字し、情報印字側から被転写材である紙面上に中間転写箔を転写することにより、本発明の情報媒体300を得た。
また、参照として、空間周波数が1150本/mm、1310本/mm、1550本/mmの回折格子をドットとして有するドット群の格子方向の何れも0°としたものも作製した。
ドット群の格子方向をいずれも0°とした場合、画像にモアレが発生し、また、近距離で観察するとドットが格子状に配置されている様子を認識できた。一方、ドット群毎に格子方向を異ならせた場合、画像にモアレが発生することなく、高品質な画像を表現できていることがわかった。
以上のように、本発明に係る情報媒体において、高品質な画像が作製できていることがわかった。また、本発明に係る画像表示体が、偽造や改竄あるいは変造に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような視認性に優れた発見容易性能を備える高セキュリティ性を兼ね備えた画像表示体であり、またそれを用いることにより、高セキュリティ性を備えた情報媒体300を提供できることがわかった。
まず、転写箔60を作製した。基材1として厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、剥離層51、構造形成層52の順にグラビアコーターで印刷を行った。オーブンでの乾燥後、剥離層51の膜厚は0.6μm、構造形成層52の膜厚は0.7μmであった。なお、構造形成層52はアクリレート/イソシアネートの二液性の熱硬化樹脂のため、1μm未満の膜厚となっても問題は無い。
このフィルムを、回折格子が形成された版を用いてロールエンボス装置にて熱プレスを行い、構造形成層に回折格子の凹凸を形成した。回折格子の凹凸の空間周波数は、500本/mm、1000本/mm、2000本/mmの3類の回折格子が構造形成層に形成され、転写箔は2種類である。構造形成層52上にZnS蒸着を行い光反射層53を設けた。ZnS蒸着の膜厚は80nmであった。また、このフィルムに接着層の印刷を行った。接着層の膜厚は0.6μmであり、光反射層53は光透過性である。
上記フィルムを転写リボンサイズの幅にスリットして小分けし、それぞれを繋ぎ合わせてOVD転写箔を作成した。また、転写箔60とは別に公知のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクリボンを用意した。
次に、中間転写媒体を作成した。基材50として厚み19μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、剥離層51、受像層の順にグラビアコーターで印刷を行った。オーブンでの乾燥後、剥離層51の膜厚は1.0μm、受像層の膜厚は4.0μmであった。
サーマルヘッドを用いて、受像層上の狙った位置に転写箔60を転写して画像を表現した。転写箔60には、空間周波数が500本/mm、1000本/mm、2000本/mmの回折格子が構造形成層に形成されている。このとき、空間周波数が500本/mm、1000本/mm、2000本/mmの回折格子を有する転写箔それぞれで異なる画像を転写した。ドット径の最大値が約0.084μm(300dpi相当)、ドットの中心位置の間隔が0.042μm(600dpi相当)で印字を行った。このとき、空間周波数が500本/mm、1000本/mm、2000本/mmの回折格子をドットとして有するドット群の格子方向はそれぞれ、15°、45°75°とした。
次に、同様にインクリボンにて受像層上に顔写真および文字情報を印字し、情報印字側から被転写材である紙面上に中間転写箔を転写することにより、本発明の情報媒体300を得た。
また、参照として、空間周波数が500本/mm、1000本/mm、2000本/mmの回折格子をドットとして有するドット群の格子方向の何れも0°としたものも作製した。
ドット群の格子方向をいずれも0°とした場合、画像にモアレが発生し、また、近距離で観察するとドットが格子状に配置されている様子を認識できた。一方、ドット群毎に格子方向を異ならせた場合、画像にモアレが発生することなく、高品質な画像を表現できていることがわかった。
以上のように、本発明に係る情報媒体において、高品質な画像が作製できていることがわかった。また、本発明に係る画像表示体が、偽造や改竄あるいは変造に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような視認性に優れた発見容易性能を備える高セキュリティ性を兼ね備えた画像表示体であり、またそれを用いることにより、高セキュリティ性を備えた情報媒体300を提供できることがわかった。
1・・・・折り丁
2・・・・表紙
11・・・熱圧
I1a・・写真画像(印刷画像)
I1b・・写真画像(ドット群画像)
I2・・・文字画像
I3・・・パターン画像
15・・・熱圧
16・・・熱圧を加えた箇所
50・・・基材
51・・・剥離層
52・・・構造形成層
53・・・光反射層
54・・・接着層
60、60a、60b・・・転写箔
61・・・被転写材
62、62a、62b、62c、62d・・・ドット
63、63a、63b、63c、63d・・・ドット群
64・・・仮想直線
100、300・・・情報媒体

Claims (16)

  1. 多数のドットを格子状に配列して構成されるドット群を、複数種類、基材の表面に配置してなる画像表示体であって、
    前記ドットが、いずれも、凹凸形状を有する構造形成層と光反射層とを積層した層構成を有しており、
    前記ドット群を構成するドット配列の格子角度が、ドット群の種類によって異なることを特徴とする画像表示体。
  2. 前記光反射層の可視光の透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示体。
  3. 前記光反射層は前記構造形成層と屈折率が異なる透明材料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示体。
  4. 前記光反射層が金属薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示体。
  5. 前記画像は前記複数のドットが射出する射出光の加法混色で表現されてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像表示体。
  6. 前記構造形成層又は前記光反射層又はその両方の面上に接着層が積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示体。
  7. 前記構造形成層に回折格子が形成してあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像表示体。
  8. 前記複数のドット群に形成されてある前記回折格子の空間周波数は各別個で三種類以上あることを特徴とする請求項7に記載の画像表示体。
  9. 各ドット群を構成する多数のドットが有する凹凸形状は同一パターンから成ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像表示体。
  10. 前記凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であり、
    ドット群同士でドット群を形成するドットが有する回折格子の格子角度が異なることを特徴とする請求項9に記載の画像表示体。
  11. 前記凹凸形状の少なくとも一部が回折格子であり、
    ドット群同士でドット群を形成するドットが有する回折格子の空間周波数が異なることを特徴とする請求項9に記載の画像表示体。
  12. 前記複数のドット群に形成されてある前記回折格子の少なくとも三種類は、特定の角度において各々赤色、緑色、青色の回折光を射出することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像表示体。
  13. 前記特定の角度において各々赤色、緑色、青色の回折光を射出するドット群の格子方向がそれぞれ30°異なっていることを特徴とする請求項12に記載の画像表示体。
  14. 前記画像が個人情報を含んだ画像であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像表示体。
  15. 前記個人情報を含んだ画像が顔画像であることを特徴とする請求項14に記載の画像表示体。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の画像表示体と、前記画像表示体を支持した物品とを具備してあることを特徴とする情報媒体。
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