JP2016074105A - ホログラム転写箔組み、画像表示体の形成方法、画像表示体及び個人認証媒体 - Google Patents

ホログラム転写箔組み、画像表示体の形成方法、画像表示体及び個人認証媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】画像表示体に対して改鼠が行われた場合であっても、観察等により容易に発見できる発見容易性を備えた画像表示体を提供する。
【解決手段】画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みであって、前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔1aと識別用ホログラム転写箔とを備えてなり、前記背景用ホログラム転写箔1aは、支持体である基材11と、前記基材の片方の表面に剥離層12とレリーフ構造形成層13と接着層15とを備えてなり、前記レリーフ構造形成層は、海島構造の賦形された樹脂部分であるレリーフ構造形成領域131aと海島構造の樹脂層が無い部分であるレリーフ構造非形成領域131bからなり、前記識別用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなる。
【選択図】図5

Description

本発明は、パスポートや査証などの冊子、またはカード等の個人認証媒体上に個人特定の要となる顔画像や指紋を印刷・印字・描画する画像表示体に関わるものであり、更に詳しくは、正当な所有者の顔などの個人識別情報を、回折構造を設けた構造体とオンデマンド印刷技術を組み合わせ、更に個人識別情報とは別に、海島構造から成る背景パターンを併せ持つことにより、個人識別情報の形成を容易にし、情報認証を実施する審査者が識別し易く、かつ偽造および改竄が困難である画像表示体、もしくは審査者が摘発し易い画像表示体に関する。
パスポート及びID(identification)カードなどの個人認証媒体の多くは、目視による個人認証を可能とするために、顔画像を使用している。例えば、パスポートでは、従来、顔画像を焼き付けた印画紙を冊子体に貼り付けていた。しかしながら、そのようなパスポートには、写真印画の貼り替えによる改竄のおそれがあった。
このような理由で、近年では、顔画像の情報をデジタル化し、これを冊子体上に再現することが行なわれている。この画像再現方法には、例えば、昇華性(熱移行性とも言う。)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法などが検討されている。
パスポートへの画像再現方法としては、上記方式以外に、インクジェットプリンタによる記録法(例えば、特許文献1参照)や、COもしくはYAGレーザーおよび感熱発色剤を使用したレーザー印字記録法(例えば、特許文献2参照)、さらには基材中に存在する炭素(C)を利用して基材の深さ方向にも印字記録するレーザーエングレービング印字記録法(例えば、特許文献3参照)などがある。
さらに、この種の認識データの入った画像表示体としては、画像データに基づいて形成された画像パターンをポリ塩化ビニルなどのカード基材上に備えたもの、あるいは上記画像パターンに加えてホログラムや回折格子あるいは多層干渉を用いた光学的薄膜(光学設計によりカラーシフト等の効果が得られる)を用いることによる画像に代表されるいわゆるOVD(Optical Variable Devise)画像を具備するもの等が知られている。
これらホログラムや回折格子のOVD技術は、高度な製造技術を要し、複製が難しいことから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、IDカード、プリペイドカード等のカード類に利用されてきた。さらには、その装飾性の高さから、包装材、書籍、パンフレット、POP等への利用も少なくない。これらOVDを物品に貼着するための手段として従来から転写箔を用いて転写形成するといった方法が採られている。この種の転写箔としては、支持体上に剥離層、ホログラムや回折格子の画像パターンが形成されているレリーフ層と、公知の薄膜形成手段により形成された反射層、接着層を順次接着した構成のものが知られている。これらの転写箔に刻まれたホログラムおよび回折格子パターンなどのOVDパターンは、微小な凹凸パターンをニッケル製のプレス版に複製し、レリーフ層に加熱押圧するという周知の方法により大量複製が行なわれる。
また、上記反射層は屈折率の異なる透明な物質を真空蒸着法等の公知の薄膜形成手段により形成する(以下、透明薄膜層と呼ぶ)ことで、透明ホログラムや透明回折格子形成体
となることは、公知の技術である。この場合、レリーフ層と透明薄膜層との間の屈折率差が大きい程、反射率が大きくなることは、光学的見地からも明らかである。但し、ここで一般的には、(レリーフ層の屈折率)<(透明薄膜層の屈折率)の関係がある。
この様にして得られたホログラムまたは回折格子構造物は、偽造防止手段としてクレジットカード、キャッシュカード、会員証カード、社員証カード、プリペイドカード、運転免許証等の各種カード類、商品券、ギフト券、株券等の各種紙券類や申込用紙、領収書、複写伝票等の各種帳票類や、パスポート、通帳、年金手帳等の各種冊子類の他、本や手帳などの表紙やパネル等のディスプレイ用途等の一部または全体に貼着して使用されている。尚、ここで、全体とは概念的な意味であり、柄、パターン等を問わず、スポット状、ストライプ状、格子上に貼着されたものや、定型、不定形の網点状のドットで貼着されたものも含まれる。
このようなOVD転写箔は偽造防止効果としては、高い機能を持つが、パスポートの様に顔写真などの画像形成後に該画像上にOVD転写層を熱的に転写して形成しているため、偽造技術の発達した現在では何らかの手法により転写層をいったん取り去り、画像データ等の改竄を行った後に、改めてOVD転写箔を載せるといったことが行われる可能性もでてきた。
さらに、盗難にあったパスポート等の認証媒体の顔写真と顔の形状・雰囲気が似ている人を選定して印字写真を顔の上から貼ることで、画像データの改竄が行われる可能性もある。
また、顔写真などの画像情報を形成する手段としての昇華転写方式、熱溶融性の転写リボン方式あるいは電子写真方式などのプリンタが、一般に広く普及している昨今の状況を考慮すると、画像形成部を取り除いた後の領域に新たに画像を形成することは、必ずしも困難とは、言いきれなくなりつつある。
上記のような問題を解決すべく、顔写真等の個人を特定する情報を複数個入れる方法が考えられている。例えば特許文献4には、顔写真などの画像情報をホログラムまたは回折格子等で形成することで、カラー画像による顔写真等の改竄と同時にホログラム画像の改竄も行わなければならなくなるため、改竄をより困難にする技術が開示されている。
しかしながら、万一、改竄されてしまった場合には、その被疑不正品を容易に発見する事が困難であるという問題がある。
特開2002−226740号公報 特開昭49−131142号公報 特開2006−123174号公報 特願2009−187654号
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高セキュリティ性を必要とする画像表示体(代表例としてはパスポート、査証、各種カード類、等)に対して、顔写真などの耐改竄性を向上させる手段を提供するもので、万一それらに対して改鼠が行われた場合であっても、その被疑不正品を観察等により容易に発見できるような発見容易性を備えた画像表示体と、それを形成するためのホログラム転写箔組みと、画像表示体の形成方法、およびその画像表示体を用いた個人認証媒体を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載の発明は、画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みにおいて、
前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と識別用ホログラム転写箔とを備えてなり、
前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層とレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
前記レリーフ構造形成層は、海島構造の賦形された樹脂部分であるレリーフ構造形成領域と海島構造の樹脂層が無い部分であるレリーフ構造非形成領域からなり、
前記識別用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなることを特徴とするホログラム転写箔組みである。
また、請求項2に記載の発明は、画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みにおいて、
前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と画像形成用インクリボンとを備えてなり、
前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と海島構造を持つ、賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
前記インクリボンは、支持体である基材と、該基材の一方の面にインク層が積層されてなることを特徴とするホログラム転写箔組みである。
また、請求項3に記載の発明は、画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みにおいて、
前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と識別用ホログラム転写箔と画像形成用インクリボンとを備えてなり、
前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層とレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
前記レリーフ構造形成層は、海島構造の賦形された樹脂部分であるレリーフ構造形成領域と海島構造の樹脂層が無い部分であるレリーフ構造非形成領域からなり、
前記識別用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
前記インクリボンは、支持体である基材と、該基材の一方の面にインク層が積層されてなることを特徴とするホログラム転写箔組みである。
また、請求項4に記載の発明は、前記レリーフ構造形成層は、空間周波数と格子角度のうち、いずれかの一方か、または両方が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホログラム転写箔組みである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム転写箔組みを使用して、被転写基材に画像を熱転写する画像表示体の形成方法であって、
前記背景用ホログラム転写箔の前記背景用レリーフ構造形成部を前記被転写基材に熱転写する工程と、
個人を認証するための情報に応じて、前記識別用ホログラム転写箔の前記識別用レリーフ構造形成部、前記インクリボンの前記インク層を前記被転写基材に熱転写する工程と、を備えていることを特徴とする画像表示体の形成方法である。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像表示体の形成方法を使用して作製されたことを特徴とする画像表示体である。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像表示体を用いたことを特徴とする個人認証媒体である。
本発明によると、改竄、あるいはなりすまして使用する事が困難で、且つ優れた画質で特徴のある視覚効果の画像を表現でき、真偽の判断を容易に行ない得るためのホログラム転写箔組み、画像表示体の作製方法、画像表示体および個人認証媒体を提供できる。
請求項1に記載した発明によれば、識別用レリーフ構造形成部から形成された所有者に関する個別情報を有する識別用画像と、背景用レリーフ構造形成層から形成された背景用画像と、の2種のホログラム画像の形成を行なうことが可能となる。これに加え、偽造などにより個別情報の画像を形成することが困難となるため、セキュリティ性を向上させることが可能となる。
請求項2に記載した発明によれば、インク層により形成された所有者に関する個別情報を有する識別用画像と、背景用レリーフ構造形成層から形成された背景用画像と、の2種の形成を行なうことが可能となる。これに加え、偽造などにより個別情報の画像を形成することが困難となるため、セキュリティ性を向上させることが可能となる。
請求項3に記載した発明によれば、インク層により形成された所有者に関する個別情報を有する識別用画像と、識別用レリーフ構造形成部から形成された所有者に関する個別情報を有する識別用画像と、背景用レリーフ構造形成層から形成された背景用画像と、の3種の画像の形成を行なうことが可能となる。これに加え、偽造などにより個別情報の画像を形成することがより困難となり、セキュリティ性を向上させることが可能となる。
請求項4に記載した発明によれば、背景用レリーフ構造形成層が回折光を射出する時の特定の照明条件のもとでは、背景用画像を観察することができ、識別用レリーフ構造形成部が回折光を射出する時の特定の照明条件のもとでは、識別用画像を観察することができる。ここで背景用レリーフ構造形成層と識別用レリーフ構造形成層とで、レリーフ構造の空間周波数と格子角度のうち、いずれか一方、またはその両方を違えることで、背景用画像を確認する角度と、個人を認証するための識別用画像の観察角度とを異ならしめることができ、その結果、個人を認証するための識別情報を観察する際、背景用画像が一緒に観察されてしまうことを防ぐことが可能となる。
請求項5に記載した発明によれば、個人を認証するための識別用画像と、真似て作製し難い海島構造が形成されている背景用ホログラム画像と、を重ね合わせた画像表示体の作製が可能となる。また、この画像表示体を改竄しようとした場合、インクリボンによる識別用画像、識別用ホログラム転写箔による識別画像と、背景用ホログラム転写箔による背景用画像と、の2種以上を形成する必要があり、改竄を困難にすることができる。さらに、いずれかの画像のみを改竄しようとすると、他の画像をも破壊する必要があるため改竄を防止することができる。または、改竄等の不正が行なわれても容易に発見できる。
請求項6に記載した発明によれば、請求項1乃至4に対応する発明のいずれかひとつに記載するホログラム転写箔組みを用い、請求項5に対応する作製方法を用いて画像表示体とすることにより、改竄が困難で、且つ優れた画質で特徴のある視覚効果の画像を表示することが可能な画像表示体を提供できる。
請求項7に記載した発明によれば、請求項6に対応する発明の画像表示体を含む個人認証媒体とすることにより、改竄が困難で、且つ優れた画質で特徴のある視覚効果の画像を表示し、真贋の判断を容易に行なうことが可能な個人認証媒体を提供できる。
本発明のホログラム転写箔組みの一例を概略的に示す平面図。 本発明のホログラム転写箔組みの一例を概略的に示す断面図。 本発明のホログラム転写箔組みの一例を概略的に示す平面図。 図1乃至3に示す背景用ホログラム転写箔の一例を示す顕微鏡写真。 図4に示す背景用ホログラム転写箔のX−X線における切断面の一例を概略的に示す断面図。 図1及び図3に示す識別用ホログラム転写箔の一例を概略的に示す断面図。 図1乃至図6に示すホログラム転写箔を被転写基材に転写して画像表示体を得る転写方法を概略的に示す断面図であって、(a)はホログラム転写箔の接着剤層を、被転写基材の受像層に面して密着させ、ホログラム転写箔の基材面から熱圧を加えている状態、(b)は(a)で熱圧を加えた部分のみが被転写基材に転写した状態、をそれぞれ示している。 本発明の作製装置の一例を示した概略図。 図1に示すホログラム転写箔組みを用い、図8に示す作製装置で作製した画像表示体の一例を概略的に示す断面図。 図2に示すホログラム転写箔組みを用い、図8に示す作製装置で作製した画像表示体の一例を概略的に示す断面図。 図3に示すホログラム転写箔組みを用い、図8に示す作製装置で作製した画像表示体の一例を概略的に示す断面図。 図3に示すホログラム転写箔組みを用い、図8に示す作製装置で作製した画像表示体の他の一例を概略的に示す断面図。 画像表示体を転写して作製した個人認証媒体の一例を概略的に示す説明図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のホログラム転写箔組み100の一例を概略的に示す平面図である。図2乃至3は、本発明のホログラム転写箔組み100のほかの例を概略的に示す平面図である。
図1乃至図3に示すホログラム転写箔組み100、101、102は、背景用ホログラム転写箔1a、およびインクリボン2、識別用ホログラム転写箔1bの組合せにより構成されている。背景用ホログラム転写箔1aは、背景用レリーフ構造形成部H1を備えており、識別用ホログラム転写箔1bは、識別用レリーフ構造形成部H2、H3、H4を備えている。また、図2に示すインクリボン2は、インク層積層部I1、I2、I3を備えている。また図3は、図1に示した背景用ホログラム転写箔1aと識別用ホログラム転写箔1bに加えて、インクリボン2が備えられたホログラム転写箔組み102を示している。
図4は、図1乃至図3における背景用ホログラム転写箔1aの一例を示す平面顕微鏡写真である。また図5は、図4に示す背景用ホログラム転写箔1aのX−X線における切断面を模式的に示す概略断面図である。
図4乃至図5に示す背景用ホログラム転写箔1aは、基材11の一方の面に剥離層12、レリーフ構造形成層13、接着層15が順に積層されて形成されている。レリーフ構造形成層13は、背景用レリーフ構造形成部H1と透明反射層14とを備えている。
また、レリーフ構造形成層13は、レリーフ構造形成領域131aとレリーフ構造非形成領域131bから構成される。
また、背景用レリーフ構造形成部H1が、被転写基材に転写されて、背景転写部131となる(図9参照)。
背景用ホログラム転写箔1aの基材11は、樹脂フィルム又はシートであり、例えば、
ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)等のプラスチック材料から成る。
背景用ホログラム転写箔1aの剥離層12は、基材11からの剥離を安定化すると共に、被転写基材3への接着を容易にする役割を果たす。更に、剥離層12の表面に積層させるレリーフ構造形成層13に対して、ほどよい撥油性と密着性とを併せ持つ役割を果たす。そのため、剥離層12の材料としては、極性の低い材料を選定する必要がある。また剥離層12は、光透過性を有しており、典型的には透明である。そのため、剥離層12の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂にシリコーンやフッ素系の添加剤を加えたもの、あるいはフッ素系アクリル樹脂、シリコーンアクリル系樹脂などから選定することができる。
背景用ホログラム転写箔1aの剥離層上12に形成されているレリーフ構造形成層13の材料としては、剥離層12に対し、ほどよく撥油性と密着性が確保されるために、剥離層12よりも極性の高い材料を選定する必要がある。加えて、所望の構造に賦型して硬化させることができる材料を選定する必要がある。そのため、レリーフ構造形成層13の材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等の光硬化性樹脂、またはアクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、またはポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂などから選定することができる。上記の樹脂から選定し、レリーフ構造形成層13として背景用ホログラム転写箔1aの剥離層12上に塗布すると、撥油部分と密着部分とが入り混じった海島構造が生じる。この海島構造が形成されているレリーフ構造形成層13を、所望の形状に賦型して硬化させることで、密着部分にはレリーフ構造形成領域131aが、撥油部分にはレリーフ構造非形成領域131bが形成され、その結果、レリーフ構造形成層13に背景用レリーフ構造形成部H1を形成することができる(図5参照)。
なお、このレリーフ構造形成層13の回折構造形成層を形成する樹脂の硬化物は全て光透過性であり、屈折率は一般的には1.5程度である。また、剥離層12、レリーフ構造形成層13および接着層15を合わせた総厚は、耐熱性、箔切れ性、熱転写性を向上させるために薄いほうがよく、1.5μm以下であることが好ましい(図5参照)。
背景用ホログラム転写箔1aにおけるレリーフ構造形成層13は、背景用レリーフ構造形成部H1とレリーフ構造非形成領域131bを含んでおり、レリーフ構造形成領域131aは背景用レリーフ構造形成部H1を含んでいる。レリーフ構造形成領域131aのパラメータとしては、
(1)レリーフ構造の空間周波数(格子線のピッチ:単位長さ当たりの格子線の本数)
(2)レリーフ構造の方向(格子線の方向)
があり、上記(1)に応じて、その画像セルが光って見える色が変化し、上記(2)に応じて、その画像セルが光って見える方向が変化する。
背景用ホログラム転写箔1aのレリーフ構造形成層13は、透明反射層14を含んでいてもよい。透明反射層14を設けた場合には、レリーフ構造が表示する画像の視認性が向上する。透明反射層14は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの真空成膜法によって形成することができる。
透明反射層14としては、例えば、屈折率がレリーフ構造形成層13とは異なる透明材料からなる層を使用することができる。透明材料からなる透明反射層14は、単層構造又は多層構造の何れでもよい。後者の場合、透明反射層14は、繰り返し反射干渉を生じ、所望の分光反射率特性を持つように設計されていてもよい。この透明材料としては、例えば、硫化亜鉛及び二酸化チタンなどの透明誘電体を使用することができる。透明反射層14の膜厚は、典型的には50nm〜100nm程度であることが好ましい。
また、透明反射層14としては、厚さが20nm未満の金属層を使用してもよい。金属層の材料としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銀、金及び銅などの単体金属又はそれらの合金を使用できる。
レリーフ構造形成層13上に形成される接着層15の材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができ、これらの樹脂にシリカ等の無機微粒子を添加させてもよい。
図6は、図1および図3における識別用ホログラム転写箔1bの一例を概略的に示す断面図である。
識別用ホログラム転写箔1bは、基材21の一方の面に剥離層22、レリーフ構造形成層23、接着層25が順に積層されて形成されている。レリーフ構造形成層23は、識別用レリーフ構造形成部H2と透明反射層24とを備えている。
識別用ホログラム転写箔1bの剥離層22は、基材21からの剥離を安定化すると共に、被転写基材3への接着を容易にする役割を果たす。剥離層22は、光透過性を有しており、典型的には透明である。そのため、識別用ホログラム転写箔1bの剥離層22の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂などから選定することができる。
識別用ホログラム転写箔1bの剥離層22上に形成されているレリーフ構造形成層23の材料としては、例えば、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等の光硬化性樹脂、またはアクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、またはポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂などから選定し、海島構造が無い樹脂層を形成することができる。その樹脂層を所望の形状に賦型して硬化させることで剥離層22の表面上に回折構造形成層であるレリーフ構造形成層23を形成することができる。
なお、その回折構造形成層を形成する樹脂の硬化物は全て光透過性であり、屈折率は一般的には1.5程度である。また、剥離層22、回折構造形成層(レリーフ構造形成層23)および接着層25を合わせた総厚は、耐熱性、箔切れ性、熱転写性を向上させるために薄いほうがよく、1.5μm以下であることが好ましい。
識別用ホログラム転写箔1bのレリーフ構造形成層23は、ホログラムや回折格子からなる識別用レリーフ構造形成部H2を含んでいる。この識別用レリーフ構造形成部H2のパラメータとしては、
(1)レリーフ構造の空間周波数(格子線のピッチ:単位長さ当たりの格子線の本数)
(2)レリーフ構造の方向(格子線の方向)
があり、上記(1)に応じて、その画像セルが光って見える色が変化し、上記(2)に応じて、その画像セルが光って見える方向が変化する。
識別用ホログラム転写箔1bの識別用レリーフ構造形成部H2は、背景用ホログラム転写箔1aの背景用レリーフ構造形成部H1に対して、上記(1)、(2)のパラメータが異なっていてもいなくてもよいが、好ましくは、(1)、(2)のパラメータのうち、少なくとも一つ以上が異なる方が良い。
識別用ホログラム転写箔1bのレリーフ構造形成層23は、透明反射層24を含んでいてもよい。透明反射層24を設けた場合には、レリーフ構造が表示する画像の視認性が向上する。透明反射層24は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの真空成膜法によって形成することができる。
識別用ホログラム転写箔1bの透明反射層24としては、例えば、背景用ホログラム転写箔1aの透明反射層24で例示したのと同じ材料からなる層を使用することができる。また、透明反射層24の膜厚は、典型的には50nm〜100nm程度であることが好ましい。
識別用ホログラム転写箔1bのレリーフ構造形成層23上に形成される接着層24の材料としては、例えば、背景用ホログラム転写箔1aの接着層24で例示したのと同じ材料を使用することができる。
図7は、図1乃至図6に示すホログラム転写箔を、被転写基材3に転写して画像表示体4を得る転写方法を概略的に示す断面図である。
画像表示体4の形成は、背景用ホログラム転写箔1aや識別用ホログラム転写箔1bなどのホログラム転写箔1を被転写基材3の表面上にホログラム転写箔1の基材11が上側(被転写基材3に対向しない側)となるように置き、ホログラム転写箔1の上面(基材11側の面)に熱圧17を加えることで得られる(図7(a)参照)。熱圧17が加えられたホログラム転写箔1の一部が被転写基材3の表面上に転写され、被転写基材3の表面上の所要の位置に背景となるホログラム転写箔のパターンが転写される(図7(b)参照)。
なお、図示してないが、図2乃至図3に示すインクリボン2についても、図7に示す方法を用いて、被転写基材3の表面上の所要の位置に画像の転写を行なうことができる。
ホログラム転写箔1を転写するための被転写基材3は、被転写基材の基材31と受像層36とを備えている。上記被転写基材の基材31としては、例えば、背景用ホログラム転写箔1aの基材11について例示したものを使用することができる。また、受像層36は、ホログラム転写箔1の接着層15および、インクリボン2のインク層との密着性が良好である材料から成る。
次に、図8を用いて背景用レリーフ構造形成部H1を含む背景転写部131(図5参照)、及び識別用レリーフ構造形成部H2(図6参照)を含む識別転写部132(図9参照)を含む画像表示体4の作製方法について説明する。
画像表示体4の作製手順は、まず背景転写機構Aの転写印字制御手段であるサーマルヘッド45及び転写ロール43を用いて、背景転写部131を被転写基材3の表面上の所要位置に熱圧転写する。上記背景転写部131が熱圧転写された画像表示体4は、次に搬送系によって識別転写機構Bに送られる。
次に、画像表示体4の個人を認証するための識別転写部132の形成について説明する。個人を認証するための情報は、例えば、撮像装置を用いて、人物の顔を撮影、或いは、印画から顔画像などを読み取ることにより、画像情報を電子情報として得る。そして、先の顔画像に対応させ、図8に示す識別転写機構Bのサーマルヘッド45と転写ロール43を用いて、被転写基材3上に識別転写部132を形成する(図9参照)。
このようにして得られた顔画像に対応した識別転写部132は、サーマルヘッド45を用いた熱転写によって形成するので、典型的には複数のドット状部あるいは線状部から成る。
ドット状部の径、または線状部の線幅は、例えば、0.085乃至0.508mm(約300乃至約50 dots per inch)の範囲内とし、典型的には0.085乃至0.169mm(約300乃至約150 dots per inch)の範囲内とする。前者の寸法の範囲より大きくすると、顔画像を表示する場合、高精細な画像を表示させることが難しくなる。また、前者の寸法の範囲より小さくすると、ドット状部の径または線状部の線幅の再現性が低下する。
なお、ここで形成する画像表示体4は単色とは限らない。例えば、定点での色の見え方がR、G、Bの3色になるよう、異なる空間周波数の識別用レリーフ構造形成部H2を識別用ホログラム転写箔1bに設け、順次重ねる、または並べて転写することで、フルカラーの個別情報画像を得ることができる。これにより、本人識別が容易となる。
また、ここで形成する画像表示体4の情報は、二値とは限らない。元画像を2段階以上の階調に分け、先の顔画像に対応させて階調印字を行なうことで、本人識別をより容易で確実にすることが可能となり、かつ偽造、改竄の予防性高めた画像表示体4となる。
図8は、図1に示す背景用ホログラム転写箔1aおよび識別用ホログラム転写箔1bのホログラム転写箔組み100を用いて画像形成体4を作製する方法を、作製装置6の概略図を用いて例示しているが、図2に示す背景用ホログラム転写箔1aおよびインクリボン2のホログラム転写箔組み101を用いる場合は、例えば、図8に示す識別転写機構Bにおいて、識別用ホログラム転写箔1bの代わりにインクリボン2を配置し、上記と同様にして画像表示体4を形成することができる。また、図3に示す背景用ホログラム転写箔1a、識別用ホログラム転写箔1bおよびインクリボン2のホログラム転写箔組み102を用いる場合は、例えば、図8に示す背景転写機構Aおよび識別転写機構Bと同等の機構を三箇所設置し、上記と同等の方法を用いて画像表示体4を形成することが可能である。
図9乃至図12は、上記方法で形成された画像表示体4の例を概略的に示す断面図である。
画像表示体4において、背景転写部131と識別転写部132は、図9または図11のように同一面上にあってもよく、例えば図12に示すように、同一平面上にある識別転写部132、133、134が背景転写部131と重なっていてもよい。
背景転写部131と識別転写部132が図9または図11に示すように同一面上にある場合、背景用レリーフ構造形成部H1と識別用レリーフ構造形成部H2とが同一のレリーフ構造であってもよく、異なるレリーフ構造であってもよい。
背景転写部131と識別転写部132が図12に示すように重なっている場合、背景転写部131の背景用レリーフ構造形成部H1と、識別転写部132、133、134の識別用レリーフ構造形成部H2とは異なるレリーフ構造である必要があるが、背景転写部131を形成した後に識別転写部132、133、134を形成しても、識別転写部132、133、134の形成が先で、後から背景転写部131を形成してもよい。
また、図10乃至図12の画像表示体4において、インクリボン2によるインク層積層部I1、I2、I3が、被転写基材3と背景転写部131、または被転写基材3と背景転写部131および識別転写部132との間に形成されている。上記インクリボン2によるインク層積層部I1、I2、I3の形成についても、背景転写部131、識別転写部132、または識別転写部132、133、134の形成の先でも、あるいは、背景転写部131、識別転写部132または識別転写部132、133、134の形成の後でもよいが、典型的には図10乃至図12に示した様に、被転写基材3にインク層積層部I1、I2、I3が形成され、その上に背景転写部131や識別転写部132、133、134が形成された構成が望ましい。
図13に示す個人認証媒体5は、図9乃至図12に示す画像表示体4を、パスポートなどの個人認証媒体5となる冊子体の紙などの基材に熱転写して得られる。この熱転写には、例えばホットスタンプを利用することができる。なお、ホットスタンプを利用した熱転写の代わりに、熱ロールまたはサーマルヘッドを利用した熱転写を行なってもよい。以上のようにして個人認証媒体5を得る。
個人認証媒体5の基材には、接着強さを高めるために接着アンカー層を形成しておいてもよい。
また個人認証媒体5の基材に、画像表示体4を高い接着強さで接着させることが難しい場合、接着層を介して、熱転写してもよい。例えば、接着リボンを使用してもよい。これを使用すると、個人認証媒体5と画像表示体4との接着強さを高めることができる。
画像表示体4を貼り付ける基材の材質は、紙以外であってもよい。例えば、画像表示体4を貼り付ける基材は、プラスチック基材、金属基板、セラミックス基板、またはガラス基板であってもよい。
以上の様にして作製した個人認証媒体5は、図13にその一例を示す様に、顔写真等の個人を特定する情報を、インク層積層部I1、I2、I3および識別転写部132、133、134により、複数個入れることが可能である事によって改竄することが困難であるばかりでなく、更に背景転写部131には、そのレリーフ構造形成層13に海島構造が形成されており、それを視認することができる。この海島構造が視認できない場合は、容易に被疑不正品であると判定することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
<例;画像表示体の作製>
図1に示すホログラム転写箔組み100の背景用ホログラム転写箔1aを、以下の方法により製造した。
まず、図5に示す背景用ホログラム転写箔1aの構成を作製するため、基材11として厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
この基材11上に、剥離層12を形成し、これをクリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。剥離層12の材料としては、アクリル樹脂にシリコーンを添加した塗液を使用した。塗液の塗布にはグラビアコータを使用した。剥離層12の乾燥後の膜厚は、0.6μmであった。
次に、この剥離層12の上にレリーフ構造形成層13を形成し、これをクリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。レリーフ構造形成層13の材料としては、アクリルポリオールからなる塗液を使用し、グラビアコータにて塗布し、クリーンオーブンにて乾燥(100℃、1分間)した。レリーフ構造形成層13のレリーフ構造形成領域131aでの乾燥後の膜厚は0.8μmであった。
次いで、ロールエンボス装置を用いた熱プレス(180℃、圧力0.5Pa)により、レリーフ構造形成層13の表面に、背景用レリーフ構造形成部H1を形成した。このとき、背景用レリーフ構造形成部H1におけるレリーフ構造形成領域131aの回折構造の深さは約100nmであり、格子角度は0度とし、空間周波数は1300本/mmとした。
次いで、背景用レリーフ構造形成部H1の表面に、電子ビーム蒸発源を持つ真空蒸着装置により硫化亜鉛からなる透明反射層14を形成した。透明反射層14の膜厚は50nm(水晶振動子膜厚計による計測)とした。
更に、上記透明反射層14の上に、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂から成る接着層15を形成し、クリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。接着層15の形成に用いた材料は、ポリエステル樹脂を使用して、グラビアコータを用いて塗布した。接着層15の乾燥後の膜厚は0.6μmであった。
以上のようにして、図1に示す背景用ホログラム転写箔1aを完成した。
次に、図1に示すホログラム転写箔組み100の識別用ホログラム転写箔1bを、以下の方法により製造した。
まず、図6に示す識別用ホログラム転写箔1bの構成を作製するため、基材21として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。この基材21上に、剥離層22とレリーフ構造形成層23とをこの順に形成し、これらをクリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。剥離層22の材料としてはアクリル樹脂を溶剤に溶解した塗液を、レリーフ構造形成層23の材料としてはアクリルポリオールを溶剤に溶解した塗液を、それぞれグラビアコータを用いて塗布した。剥離層22およびレリーフ構造形成層23の乾燥後の膜厚は、それぞれ、0.6μmおよび0.8μmであった。
次いで、ロールエンボス装置を用いた熱プレス(180℃、圧力0.5Pa)により、レリーフ構造形成層23の上に、識別用レリーフ構造形成部H2、H3、H4を形成した。このとき、形成した回折構造の深さは約100nmであり、格子角度は0度、空間周波数はそれぞれ1000本/mm、1300本/mm、1500本/mmとした。
次いで、識別用レリーフ構造形成部H2、H3、H4の表面に、電子ビーム蒸発源を持つ真空蒸着装置により硫化亜鉛からなる透明反射層24を形成した。透明反射層膜厚は50nm(水晶振動子膜厚計による計測)とした。
更に、上記透明反射層24の上に、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂から成る接着層15を形成し、クリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。接着層25は、接着層形成用塗液を、グラビアコータを用いて塗布し乾燥した。接着層25の乾燥後の膜厚は0.6μmであった。
以上のようにして、図1に示す識別用ホログラム転写箔1bを完成した。
次に、図10に例示した被転写基材3の作製を、以下の方法により製造した。
基材31として厚さが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。この基材31上に、グラビアコータを用いて受像層36形成し、クリーンオーブンで乾燥(100℃、1分間)させた。受像層36を形成するための材料としては、アクリルポリオールからなる塗液を使用し、グラビアコータを用いて塗布した。受像層36の乾燥後の膜厚は1.0μmであった。
次に、300dpiのサーマルヘッドを用いた熱転写を行なうことにより、図12に例示するように、背景転写部131と、識別転写部132,133,134を、被転写基材3の受像層36上へと転写する。
まず、個人を認証するための画像情報を、識別用ホログラム転写箔1bを用いて表示できるように、画像処理を行なった。次にそのデータを使用して、識別用レリーフ構造形成部H2で印字面積を変えてドット形状あるいは線形状で表示し、識別用レリーフ構造形成部H3で印字面積を変えてドット形状あるいは線形状で表示し、識別用レリーフ構造形成部H4で、印字面積を変えてドット形状あるいは線形状で表示した。
次いで、個人を認証するための情報以外の空白部分に対し、背景用レリーフ構造形成部H1で、印字面積を変えてドット形状あるいは線形状で表示した。
このとき、識別用レリーフ構造形成部H2、H3、H4に対応する識別転写部132、133、134、及び背景用レリーフ構造形成部H1に対応する背景転写部131は、隣り合うドット形状部が重なりあわない条件で最大となるサイズである。
以上のようにして作製した画像表示体を、空間周波数1000本/mm乃至1500本/mmに対応させた観察角度で観察したところ、個人を認証するための情報と併せて、背景用パターンである海島構造が観察された。
本発明は、パスポートや査証などの冊子または、カード等の個人認証媒体上に個人特定の要となる顔画像や指紋を印刷・印字・描画する画像表示体に関わるものであり、特に、正等な所有者の顔などの個人識別情報を、回折構造を設けた構造体とオンデマンド印刷技術を組み合わせ、更に個人識別情報とは別に海島構造が形成されているレリーフ構造を背景柄として設けることにより、偽造や改竄を困難にし、さらに個人識別を行なう審査者に対してより不正行為があるものを判別し易くし、より精度良く認証ができる。
1 ・・・ホログラム転写箔
1a ・・・背景用ホログラム転写箔
1b ・・・識別用ホログラム転写箔
2 ・・・インクリボン
3 ・・・被転写基材
4 ・・・画像表示体
5 ・・・個人認証媒体
6 ・・・作製装置
11、21・・・基材
12、22 ・・・剥離層
13、23 ・・・レリーフ構造形成層
14、24 ・・・透明反射層
15、25 ・・・接着層
17 ・・・熱圧
31 ・・・被転写基材の基材
36 ・・・受像層
41 ・・・画像入力手段
42 ・・・制御手段
43 ・・・転写ロール
44 ・・・転写印字制御手段
45 ・・・サーマルヘッド
100、101、102 ・・・ホログラム転写箔組み
131 ・・・背景転写部
131a ・・・レリーフ構造形成領域
131b ・・・レリーフ構造非形成領域
132、133、134 ・・・識別転写部
H1 ・・・背景用レリーフ構造形成部
H2、H3、H4 ・・・識別用レリーフ構造形成部
I1、I2、I3 ・・・インク層積層部
A ・・・背景転写機構
B ・・・識別転写機構

Claims (7)

  1. 画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みであって、
    前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と識別用ホログラム転写箔とを備えてなり、
    前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層とレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
    前記レリーフ構造形成層は、海島構造の賦形された樹脂部分であるレリーフ構造形成領域と海島構造の樹脂層が無い部分であるレリーフ構造非形成領域からなり、
    前記識別用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなることを特徴とするホログラム転写箔組み。
  2. 画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みであって、
    前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と画像形成用インクリボンとを備えてなり、
    前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と海島構造を持つ、賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
    前記インクリボンは、支持体である基材と、該基材の一方の面にインク層が積層されてなることを特徴とするホログラム転写箔組み。
  3. 画像表示体を形成するためのホログラム転写箔組みであって、
    前記画像表示体の背景用ホログラム転写箔と識別用ホログラム転写箔と画像形成用インクリボンとを備えてなり、
    前記背景用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層とレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
    前記レリーフ構造形成層は、海島構造の賦形された樹脂部分であるレリーフ構造形成領域と海島構造の樹脂層が無い部分であるレリーフ構造非形成領域からなり、
    前記識別用ホログラム転写箔は、支持体である基材と、前記基材の片方の表面に剥離層と賦形された樹脂層であるレリーフ構造形成層と接着層とを備えてなり、
    前記インクリボンは、支持体である基材と、該基材の一方の面にインク層が積層されてなることを特徴とするホログラム転写箔組み。
  4. 前記レリーフ構造形成層は、空間周波数と格子角度のうち、いずれかの一方か、または両方が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホログラム転写箔組み。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム転写箔組みを使用して、被転写基材に画像を熱転写する画像表示体の形成方法であって、
    前記背景用ホログラム転写箔のレリーフ構造形成層を前記被転写基材に熱転写する工程と、
    個人を認証するための情報に応じて、前記識別用ホログラム転写箔のレリーフ構造形成層または前記インクリボンの前記インク層の一方または両方を前記被転写基材に熱転写する工程と、を備えていることを特徴とする画像表示体の形成方法。
  6. 請求項5に記載の画像表示体の形成方法を使用して作製されたことを特徴とする画像表示体。
  7. 請求項6に記載の画像表示体を用いたことを特徴とする個人認証媒体。
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