JP4765189B2 - 偽造防止画像形成体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パスポートや査証などの冊子または、カード上に個人情報を設けた画像形成体に係わるものであり、特に顔写真や指紋画像といった画像情報や氏名、生年月日、等の個人情報を印字した上方に、ホログラムや回折格子構造体などのOVD層を設けたものであって、形成されてある顔写真や指紋画像などと関連したパターンをOVD層に設けておくことにより、偽造あるいは改竄等の不正を困難にし、またもしそのような不正が施されても発見が容易な一種の情報記録媒体(偽造防止画像形成体)に関する。
【0002】
【従来の技術】
パスポートないし査証用ステッカーさらにはカード類といった個人認証に係わる媒体においては、従来より色々なセキュリティ手法が提案されてきている。
例えば、パスポートにおいては、現在使用されているパスポートはいわゆるICAOの規定によれば、目視および光学文字識別方式の両方で読めなければならないとされている。
(ICAOはInternational Civil Aviation Organizationの略)
パスポートに使用する材質、セキュリティに関しては各国の自由裁量であり、セキュリティ機能として一般に使われているのは、有機溶剤等で反応する化学反応体、虹彩色のパールチップ、ファイバー(絹もしくは合成繊維、可視もしくは不可視、蛍光もしくは非蛍光)、ホログラムやマイクロ文字の印刷されたフィルムのセキュリティ糸、透かし模様等を盛り込んだ用紙や退色性インキ、蛍光インキ、感熱インキ光学的に変化するインキ(OVIなど)等の各種インキ、細線印刷、レインボー印刷、凹版印刷、ピクセル印刷等の様々な技法を組み込んでセキュリティと美観の同時向上を図っている。
【0003】
また、パスポートの目視確認情報としての顔写真は、従来写真を貼り付けた物であったが、近年では写真情報をデジタル化し、これをパスポートに再現する傾向にある。
パスポートへの画像再現方法としては、昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法などが検討されている。
【0004】
査証用ステッカーにおいても、ステッカー自体を剥がそうとしても綺麗に剥がすことが困難な様に切り込みを一定パターン状に設けたものを使用するなどの工夫がなされているものもある。
【0005】
さらに、この種の個人認識データの入った画像表示体としては、画像データに基づいて形成された画像パターンをポリ塩化ビニルやPET−G等のカード基材上に施したもの、あるいは上記画像パターンに加えてホログラムや回折格子あるいは光学的薄膜(光学設計によりカラーシフト等の効果を得られる)を用いることによる画像に代表されるOVD画像(OVDは、いわゆるOptical Variable Deviceの略称)を具備するもの、等が知られている。
【0006】
これらホログラムや回折格子のOVD技術は、高度な製造技術を要し、複製の難しいことから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、IDカード、プリペイドカード等のカード類に利用されてきた。さらには、その装飾性の高さから、包装材、書籍、パンフレット、POP等への利用も少なくない。
これらOVDを物品に貼着するための手段として従来から転写箔を用いて転写形成するといった方法た採られている。この種の転写は、支持体上に剥離層、ホログラムや回折格子の画像パターンを形成されているレリーフ層と、公知の薄膜形成手段により形成される反射層、接着層を順次積層してなる構成のものが知られている。これら、転写箔に刻まれたOVDパターン(ホログラムおよび回折格子パターン)は、微小な凹凸パターンをニッケル製プレス版に複製し、レリーフ層に加熱押圧するという周知の方法により大量複製が行われている。
【0007】
また、上記反射層は屈折率の異なる透明な物質を真空蒸着法等の公知の薄膜形成手段により形成することで(以下透明薄膜層と呼ぶ)、透明ホログラムや透明回折格子形成体となることは、公知の技術である。
この場合、レリーフ層と透明薄膜層の屈折率差が大きい程、反射率も大きくなることは、光学的見地からも明らかである。但し、ここで、
(レリーフ層の屈折率) < (透明薄膜層の屈折率)
の関係がある。
【0008】
上記OVD転写箔の形成方法に関し、簡単に説明する。
図1は透明OVD転写箔の構成例を示す断面図である。OVD転写箔は、光を透過しつつ反射する層、即ち透明薄膜層を有しており、被転写体である基材上の印刷等デザインを損なう事なく、優れたアイキャッチ効果を有することができる。
以下、図1の断面図に基づき、その構成を説明する。
支持体11上に剥離性保護層12が形成され、剥離性保護層12上にホログラムあるいは回折格子等のOVDパターンを設けたレリーフ形成層13、透明薄膜層14が形成されている。この透明薄膜層14上には接着層ないし受像層兼接着層15が形成されている。
【0009】
また、OVD層のレリーフ形成面は、支持体の反対側に存在し、物品表面に転写形成した場合、剥離層は支持体との界面にて剥離し、物品側に移行して保護層としても機能することになるため、「剥離性保護層」とも称される。さらに、支持体を除いた、物品側に移行する各層を総称して「転写箔」と称する事とする。
【0010】
各図面は、転写箔等の構成を模式的に表現するものであり、各層の厚さなどの寸法は、実際の製造物に則したものではない。
【0011】
これらホログラムまたは回折格子構造物は、一般的に光学的な撮影方法ないし電子線描画などにより微細な凹凸パターンからなるレリーフ型マスター版を作製し、これから電気メッキ法ににより凹凸パターンを複製したニッケル製のプレス版を複製し、このプレス版をレリーフ形成層上に加熱押圧するという周知の方法により大量複製が行われている。
【0012】
この様にして得られたホログラムまたは回折格子構造物は、偽造防止手段としてクレジットカード、キャッシュカード、会員証カード、社員証カード、プリペイドカード、運転免許証等の各種カード類、商品券、ギフト券、株券等の各種紙券類や申込用紙、領収書、複写伝票等の各種帳票類や、パスポート、通帳、年金手帳等の各種冊子類の他、本や手帳なのど表紙やパネル等のディスプレイ用途等の一部または、全体に貼着して使用されている。
尚、本発明で述べている全体とは、概念的な意味であり、柄、パターン等を問わず、スポット状、ストライプ状、格子状に貼着されたものや、定型、不定形の網点状のドットで貼着されたものも含まれる。
【0013】
この様なOVD転写箔は偽造防止効果としては、十分な機能を果たすが、パスポートの様に顔写真などの画像形成後に該画像上にOVD転写層を熱的に転写して形成しているため、偽造技術の発達した現在では何らかの手法により転写層をいったん取り去り、画像データ等の改竄を行った後に改めてOVD転写箔を載せるといったことが行われる可能性も出てきた。
【0014】
また、顔写真などの画像情報を形成する手段としての昇華転写方式、熱溶融性の転写リボン方式あるいは電子写真方式などのプリンタは一般に広く流布しており、画像形成部を取り除いた後、新たな画像を形成することも、昨今では必ずしも困難ではなくなりつつある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、パスポートや査証、あるいは各種のカード類、等に代表される高いセキュリティ性を必要とされ特に画像も形成された画像形成体であって、偽造や改竄あるいは変造等の不正行為に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品の画像形成体を見ると容易に発見できるよう発見容易性能を備えた偽造防止画像形成体(画像形成体)とその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基材上に、画像形成層と、回折格子構造が形成されたOVD層とが、少なくともこの順に積層してあり、該OVD層の回折格子構造が選択的に変形され又は破壊されてあることによって、該OVD層の回折効果がある領域と無い領域の違いによるパターンが形成されており、前記画像形成層には、該偽造防止画像形成体の正当な持ち主の、顔画像か又は指紋情報に係る画像の少なくともいずれか片方が記録されてあり、前記パターンには、該顔画像か又は指紋情報に係る画像の少なくともいずれか片方に対応させた画像が設けてあることを特徴とする偽造防止画像形成体です。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記画像形成層に設けられた画像と、前記回折格子構造が選択的に変形又は破壊されたことにより形成された前記パターンとは、対応関係にある画像を1以上有しており、 該対応関係にある画像同士は、互いに、部分的に又は全体が重なり合う配置で形成してあることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止画像形成体である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、前記パターンが、微小なドット形状を連ねた状態で形成されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の偽造防止画像形成体である。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記基材の画像形成層側の表層部のうち、前記OVD層の回折格子構造を選択的に変形又は破壊してある箇所の下に位置する箇所が、変形又は破壊してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偽造防止画像形成体である。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記OVD層の層構成には、前記回折格子構造に隣接する位置か又は該回折格子構造に近在する位置に、光熱変換層を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の偽造防止画像形成体である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、基材上に、画像形成層と、回折格子構造が形成されたOVD層とが、少なくともこの順に積層してある偽造防止画像形成体に対して、光か又は熱の少なくともいずれか片方を選択的に付与して、該OVD層の回折格子構造を選択的に変形するか又は破壊することによって、該OVD層の回折効果がある領域と無い領域の違いによるパターンを形成することを特徴とする偽造防止画像形成体の製造方法である。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記パターンを、微小なドット形状を連ねた状態に形成することを特徴とする請求項6に記載の偽造防止画像形成体の製造方法である。
【0023】
請求項8に記載の発明は、前記OVD層の回折格子構造を選択的に変形又は破壊して前記パターンを形成する際に、前記基材の画像形成層側の表層部も該OVD層の回折格子構造と同時に変形又は破壊することを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の偽造防止画像形成体の製造方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、パスポート冊子やパスポート用ステッカーおよびカード類の基材上に少なくとも、画像形成層、及び回折格子構造を有するOVD層がこの順に積層されてある被画像形成体において、光又は熱の何れか片方か又は両方を選択的に付与し、該OVD層の回折格子構造を選択的に変形又は破壊することにより、該OVD層にパターン形成することによって、情報改竄等の不正行為を極めて困難にするものである。
【0026】
すなわち、パスポート冊子やパスポート用ステッカー及びカード類などに形成された情報を不正に変更しようとした場合、情報印画面上に設けられたOVD層を除去する必要があるが、該OVD層は極めて薄い層の積層物であり、形状や機能を維持したまま情報印画面から取り去ることは事実上困難と言えるが、もしも万が一不測の手段を用いることにより、OVD層を一時的に取り去り、印画面の情報を改竄した後、改めてOVD層を積層することが可能となった場合においても、該OVD層に印画面に形成された情報とリンクした画像情報をOVD層に形成しておけば、情報が改竄されていることが容易に判断できる。
【0027】
また、OVD層を破壊除去して、新たにOVD層を偽造しようとした場合には、ホログラムや回折格子形成物そのものを作成する技術は極めて高度であり、偽造することは容易でなく、さらに個別情報を該OVD層に記録することで、偽造の困難さを増すことができる。
【0028】
【実施例】
以下では、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図2は、本実施例に係わるパスポート冊子等の基本的な構成を示す断面図である。紙等の材質からなる基材27は、少なくとその片面に従来から公知の凹版印刷、蛍光印刷、OVI印刷、パールチップなどのセキュリティ印刷等や絵柄印刷26などを施してあっても良く、任意のセキュリティ技術を組み合わせて設けておくことが可能である。
【0029】
また、情報画像形の成方法においては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、OVD層を有する転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。
また、被転写体である基材上に転写箔の接着性を向上させるためのプライマー層を設けてもよい。
【0030】
図2では、樹脂型顔料転写方式を用いて、OVD転写箔側に予め情報画像の形成を行った後、パスポート冊子等に転写するという間接転写方式を用いて画像形成した場合の構造を示しており、OVD転写箔部分の構成については、図1に示す通り、支持体11上に剥離性保護層12,21が形成され、該剥離性保護層12,21の上にOVD層22(13&14)が形成され、更にその上に受像層兼接着層15,23が形成されている。
【0031】
ここで、支持体11は、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される。その材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド等の合成樹脂、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、または上記より選択されて組み合わされた複合体などが使用できるが、これらに限定されるものではない。また、その厚みは、操作性、加工性を考慮し、2〜100μm程度のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、6〜50μm程度のものが好ましい。
【0032】
本実験では、16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、以下の配合比からなる剥離性保護層を1.5μmとなるように塗布乾燥した。尚、剥離性保護層12,21は、OVD層22(13&14)、及び受像層兼接着層15,23をより効果的に被転写体側に転写するために設けられたものである。さらに、最終製品となった場合に保護層として機能するものである。
アクリル樹脂 … 30部
ポリエステル樹脂 … 5部
ポリエチレンパウダー … 5部
トルエン … 40部
メチルエチルケトン … 40部
メチルイソブチルケトン … 20部
【0033】
剥離性保護層12,21としては、容易に支持体から剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子硬化樹脂のいずれであっても良いが、柔軟性、箔切れ性を考慮し、熱可塑性樹脂が好ましい。その例としては、熱可塑性ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スリレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の樹脂を単独あるいは複合して用いることができる。また、箔切れ性や耐摩性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩やエステル類、シリコンオイル等の滑材や、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよびシリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。尚、剥離性保護層12,21は支持体11自体が剥離性を有している場合、あるいは支持体自体に離型処理を施している場合には、特に設ける必要はない。しかしその場合には、転写後に最表面となる層(本実施例においてはOVD層22(13&14))に耐摩性を付与するか、あるいは転写後に保護層を設けることもできる。
剥離性保護層としての厚みは0.1〜20μmの範囲で形成することができ、保護層を後から設ける場合には特に限定されるものではない。
【0034】
次に本実施例では、OVD層22(13&14)の一例としてレリーフ型透明ホログラムを使用した。以下にその製造方法について説明する。剥離性保護層12,21上に設けたレリーフ形成層13は剥離性保護層12,21とは反対側の面にホログラムレリーフ形成面を有し、レリーフ形成面に透明薄膜層14ないし微細パターン状の金属薄膜層が形成されている。尚、このレリーフ形成面は、レリーフ型ホログラムを構成する微細な凹凸パターンが形成されたニッケル製のプレス版をレリーフ形成層上に加熱押圧することにより形成可能である。また、レリーフ形成層はホログラムパターンを層表面(前述したレリーフ形成面)又は層内にゆうするものであれば良く、他に例えば二光束干渉もしくは電子ビーム(EB)による回折格子(グレーティング)により微細凹凸形成を有するようにしたグレーティングホログラムやリップマンホログラム等が適用可能である。
【0035】
また、透明薄膜層は、レリーフ形成層(屈折率n=1.3〜1.7)よりも屈折率の高い透明材料であって、例えば次の表1に示す様な無機材料等が使用可能である。さらに透明薄膜層は複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組合せ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としても良い。
【0036】
【表1】
Figure 0004765189
【0037】
また、この様な透明薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。また透明性薄膜層としては、TiO2等の高屈折率粉末を樹脂などの中に分散し、レリーフ形成層との屈折率差を0.2以上としたものでも良い。この場合には、一般的なコーティング法で塗膜形成できるため、上記膜厚に限定されるものではない。
【0038】
また、光反射層として、上記の様な透明薄膜層を設ける他に、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Auといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0039】
ここで、レリーフ形成層は、エンボス成形性が良好で、プレス・ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、剥離性保護層12,21および透明薄膜層14との接着性が良好である樹脂が良く、ここでは以下の配合比からなる組成物を用い、乾燥後の厚みが1.0μmになるように形成した。
ポリウレタン樹脂 … 30部
赤外線吸収剤 … 0.5部
メチルエチルケトン … 70部
トルエン … 30部
また、レリーフ形成面は、このような組成物に対し、前述したプレス版の版面温度を160℃として形成した。
【0040】
尚、レリーフ形成層13としては、他にポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、OVD画像を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0041】
また、ここでは、レリーフ形成層13に赤外線吸収剤を添加したが、レリーフ形成層に限定せず、その近傍であれば何れの層に添加しても良く、あるいは個別の層として、赤外線吸収剤を含む層を設けてもよい。ここで用いられる赤外線吸収剤の例としては、赤外線領域に吸収を持つものであれば、有機物、無機物のいずれでも使用することが可能であるが、望ましいものとしては、可視領域に吸収が少ない赤外線吸収ガラス若しくは熱線吸収ガラスを粉砕、顔料化して求められるリン酸ガラス、硫酸ガラス等のガラス系材料などが例示できる。
【0042】
透明薄膜層14は、レリーフ形成層の情報を透過するための透明材料であって、ここでは厚さ50nmのZnSを真空蒸着法により設けた。
【0043】
次に、上記透明薄膜層14上に以下の配合比からなる受像層兼接着層15,23組成物を厚み4.0μmになるように塗布乾燥した。(乾燥条件:100℃、5min.)
ウレタン樹脂 … 20部
ブチラール樹脂 … 10部
メチルエチルケトン … 60部
トルエン … 60部
【0044】
尚、受像層兼接着層15,23としては例えば、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩素化ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリビニルベンゼン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレンとメタクリル酸アルキル(但し、アルキル基の炭素数は2〜6)等のビニル系樹脂、各種ゴム系材料等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上の混合物として使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
また、画像を構成する色材の光による変褪色を防止するために受像層兼接着層15,23内に最大吸収波長250nm〜400nmの紫外線吸収剤を添加しても良い。
この様な紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。また、TiO2やZnO系等の微粉末の無機紫外線遮蔽剤を用いても良い。尚、上記紫外線吸収剤の配合割合は、接着層を構成する樹脂等からなる組成物100重量部に対して、5〜40重量部の範囲で良い。
【0046】
さらには、熱転写時の箔切れ性を考慮し、各種ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩やエステル類、可塑剤、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。
【0047】
このようにして得られたOVD転写箔の受像層兼接着層15,23部分に対して樹脂型顔料リボンを対向して重ね合わせ、サーマルヘッドを用いて顔写真画像及び指紋画像を印字することにより情報画像の形成を行った後、パスポート冊子あるいはパスポート用ステッカーなどを対向して重ね合わせ、OVD転写箔側から熱ロールを加圧・加熱(加熱温度;125℃)した後、OVD転写箔の支持体11を剥離させて、偽造防止画像形成体であるパスポート冊子などを製造した。
【0048】
以上の様にして得られたパスポート冊子サンプルに対し、レーザーマーカーを用いて、上記の指紋画像とほぼ重なった位置に、該指紋画像と同様の画像情報をもとにOVD層22(13、14)のレリーフ形状を変形させて、指紋画像を形成した。
【0049】
【発明の効果】
以上説明した様に、パスポート冊子ないしパスポート用ステッカーあるいはカード類において、情報画像を形成した上に回折格子構造を有するOVD層を設けた後、このOVD層に対し、光及び/又は熱を選択的に付与することにより、該OVD層を選択的に変形ないし破壊したパターンを形成することにより、極めて偽造・改竄・変造等の困難な情報画像形成物を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OVD転写箔の断面図
【図2】パスポートサンプルの断面図
【符号の説明】
11 … 支持体
12,21 … 剥離性保護層
13 … レリーフ形成層
14 … 透明薄膜層
15,23 … 接着層ないし、受像層兼接着層
22 … OVD層
24 … 情報画像層
25 … プライマー層
26 … セキュリティー印刷層
27 … 基材
28 … レリーフ変形部

Claims (8)

  1. 基材上に、画像形成層と、回折格子構造が形成されたOVD層とが、少なくともこの順に積層してあり、
    該OVD層の回折格子構造が選択的に変形され又は破壊されてあることによって、該OVD層の回折効果がある領域と無い領域の違いによるパターンが形成されており、前記画像形成層には、該偽造防止画像形成体の正当な持ち主の、顔画像か又は指紋情報に係る画像の少なくともいずれか片方が記録されてあり、前記パターンには、該顔画像か又は指紋情報に係る画像の少なくともいずれか片方に対応させた画像が設けてあることを特徴とする偽造防止画像形成体。
  2. 前記画像形成層に設けられた画像と、前記回折格子構造が選択的に変形又は破壊されたことにより形成された前記パターンとは、対応関係にある画像を1以上有しており、 該対応関係にある画像同士は、互いに、部分的に又は全体が重なり合う配置で形成してあることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止画像形成体。
  3. 前記パターンが、微小なドット形状を連ねた状態で形成されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の偽造防止画像形成体。
  4. 前記基材の画像形成層側の表層部のうち、前記OVD層の回折格子構造を選択的に変形又は破壊してある箇所の下に位置する箇所が、変形又は破壊してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偽造防止画像形成体。
  5. 前記OVD層の層構成には、前記回折格子構造に隣接する位置か又は該回折格子構造に近在する位置に、光熱変換層を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の偽造防止画像形成体。
  6. 基材上に、画像形成層と、回折格子構造が形成されたOVD層とが、少なくともこの順に積層してある偽造防止画像形成体に対して、光か又は熱の少なくともいずれか片方を選択的に付与して、該OVD層の回折格子構造を選択的に変形するか又は破壊することによって、該OVD層の回折効果がある領域と無い領域の違いによるパターンを形成することを特徴とする偽造防止画像形成体の製造方法。
  7. 前記パターンを、微小なドット形状を連ねた状態に形成することを特徴とする請求項6に記載の偽造防止画像形成体の製造方法。
  8. 前記OVD層の回折格子構造を選択的に変形又は破壊して前記パターンを形成する際に、前記基材の画像形成層側の表層部も該OVD層の回折格子構造と同時に変形又は破壊することを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の偽造防止画像形成体の製造方法。
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