JP2014151446A - モアレ模様装飾体、モアレ模様装飾体の製造方法及びモアレ模様装飾体を用いた偽造防止部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板の同一面上に形成された2種以上の繰り返し構造100を備え、それぞれの繰り返し構造100は、異なる構造であり、一の繰り返し構造100の少なくとも一部は、他の繰り返し構造100の少なくとも一つと重なり合っており、繰り返し構造100が重なり合った部分の構造は、繰り返し構造100の重なりに応じて、繰り返し構造100の重なりが生じていない部分の構造とは異なる。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、透明シートの一方の面に第1の模様を、当該透明シートの他方の面に第2の模様を印刷することによりモアレ模様装飾体を製造することが記載されている。
特許文献2には、凹凸形状が形成された型を用いて透明シートに平圧熱プレスを行って、透明シートに凹凸形状を形成させることが記載されている。そして、異なる凹凸形状が形成された透明シートを積層させることにより、モアレ模様装飾体を製造することが記載されている。
特許文献3には、透明基板の一方の面に凸レンズを形成し、当該透明基板の他方の面に任意の形状の着色画素を印刷することにより、モアレ模様装飾体を製造することが記載されている。
特許文献4には、透明基板の一方の面に模様を印刷し、当該透明基板の他方の面を鏡面にすることにより、モアレ模様装飾体を製造することが記載されている。
また、特許文献2に記載の技術では、透明シートを積層する必要があるため、これもまた、モアレ模様装飾体の製造工程が複雑となる。
また、特許文献4に記載の技術でも、透明基板の裏面を鏡面とするために、当該裏面に塗料を塗布する等の工程が必要であり、モアレ模様装飾体の製造工程が複雑となる。
また、ホログラムにおいては、光の波長より小さい干渉縞を記録する必要があるため、モアレ模様装飾体の製造工程が複雑となってしまう。
本発明の第1の態様に係るモアレ模様装飾体によれば、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造が形成されるので、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、繰り返し間隔Pを調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、x軸方向の間隔X及びy軸方向の間隔Yの少なくとも一方を調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、前記繰り返し構造における前記凹部の形状又は前記凸部の形状を調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、モアレ模様装飾体において、より複雑なモアレ模様を現出することができる。
これにより、塗布工程、露光工程、現像工程において、基板の一方の面のみに処理を行うだけでよいため、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で金型を製造することができ、当該金型を使用して、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造を成形することができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造を成形することができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造を成形することができる。
これにより、露光工程において、フォトレジスト上に2種以上の繰り返し構造を形成するために多重露光する必要がなく、一括露光で、フォトレジスト上に2種以上の繰り返し構造を形成することができる。そのため、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造を成形することができる。
これにより、潜像の形状を変えることができ、モアレ模様装飾体において、モアレ模様の立体感を調整することができる。
これにより、基板の同一面上に直接加工を行うことにより、モアレ模様を現出させることができ、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で偽造防止部材を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で偽造防止部材を得ることができる。
また、基板の同一面上に形成される、それぞれの繰り返し構造は、異なる構造である。
また、一の繰り返し構造の少なくとも一部は、他の繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っており、繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、繰り返し構造の重なりに応じて、繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なる。
図1に示す繰り返し構造100は、繰り返し単位101が、繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造である。なお、図1においては、繰り返し間隔Pはx軸方向に平行な間隔となっているが、繰り返し間隔Pは、y軸方向に平行な間隔であっても良く、その方向は特に限定されるものではない。
また、繰り返し単位101は、複数の凸部102が、x軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)だけ離間して、配置された構造である。
また、図1において、凸部102の形状は、半球状である。なお、基板上に形成される形状は、凸部に限られず、凹部であっても良い。
なお、図1において、x軸方向とは、紙面左右方向であり、y軸方向とは、紙面上下方向である。
より具体的には、図2(a)では、2つの繰り返し構造が重なり合っている部分の高さは、重なりが生じていない部分よりも高くなっている。
また、図2(b)では、2つの繰り返し構造が重なり合っている部分は、平坦になっている。重なりが生じていない部分は側面視円弧状に高さが低くなる。すなわち、2つの繰り返し構造が重なり合っている部分の構造は、重なりが生じていない部分の構造と異なっている。
なお、繰り返し単位が、複数の凹部を備える場合、2種以上の繰り返し構造が重なり合っている部分の深さが、重なりが生じていない部分よりも深くなる等により、2種以上の繰り返し構造が重なり合っている部分の構造は、重なりが生じていない部分の構造と異なっている。
また、一の繰り返し構造の繰り返し単位が複数の凹部を備え、他の繰り返し構造の繰り返し単位が複数の凸部を備える場合もある。この場合であっても、2種以上の繰り返し構造が重なり合っている部分の断面の高さが、重なりが生じていない部分の断面の高さが異なる等により、2種以上の繰り返し構造が重なり合っている部分の構造は、重なりが生じていない部分の構造と異なっている。
そして、異なる構造の繰り返し構造の少なくとも一部が重なり合うように、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造を形成することにより、繰り返し構造が重なり合った部分において、視覚的にモアレ模様(干渉縞)が発生する。このようにして、本発明にかかる実施の形態においては、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造を形成することにより、モアレ模様装飾体を容易に製造することができる。
本発明の実施の形態にかかるモアレ模様装飾体の製造方法としては、大きく分けて2つの方法を用いることができる。
まず、1つ目の方法について説明する。
1つ目のモアレ模様装飾体の製造方法は、少なくとも、塗布工程、露光工程、現像工程を備える。
より具体的には、露光工程においては、フォトレジスト上にレーザ光を集光させる。そして、当該レーザ光によりフォトレジスト表面を走査することにより、露光を行う。
また、フォトレジスト上に集光させたレーザ光の照射時間を走査位置に応じて変調させつつ、当該フォトレジスト上を走査するレーザ描画装置を用いてもよい。
フォトレジスト上に集光させたレーザ光の光量及び照射時間のいずれか一方又は両方を走査位置に応じて変調させつつ、当該フォトレジスト上を走査することにより、走査位置に応じて、フォトレジストの感光度合い(露光度合い)が異なることとなる。これにより、フォトレジスト上に、上記繰り返し構造に応じた光像を露光することができる。
当該現像処理に使用される現像液は、特に制限されるものではなく、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等のアルカリ現像液を用いることができる。
現像工程においては、露光工程におけるフォトレジストの感光度合い(露光度合い)に応じて、フォトレジストの現像液に対する反応度合いが異なることとなる。
本実施の形態では、フォトレジストとしてポジ型の感光性樹脂を用いているため、露光工程における感光度合い(露光度合い)が高い部分ほど、現像工程においてフォトレジストが除去される量が多くなる。
このようにして、フォトレジストの表面上に、2種以上の繰り返し構造に対応する構造(潜像)が形成される。具体的には、繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、繰り返し構造の重なりに応じて、繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なっている。そして、繰り返し構造が重なり合った部分において、視覚的にモアレ模様(干渉縞)が発生する。
なお、上記では、フォトレジストとしてポジ型の感光性樹脂を用いているため、それぞれの繰り返し構造における繰り返し単位は、複数の凹部を備えるものとなっている。
まず、電鋳工程においては、現像工程において現像処理されたフォトレジスト表面上に、電気鋳造法(電気めっき法)により、金属層を形成する。電気鋳造法(電気めっき法)は、原型(本実施の形態では、上記塗布工程、露光工程、現像工程を経た基板のフォトレジスト)の表面に、電気分解された金属イオンを必要な厚さで電着させる方法である。このため、原型の表面の凹凸などの形状を極めて忠実に再現することができる。
そして、当該金属層をフォトレジストから剥離して、下記に説明する成形工程で用いる金型を得る。当該金型の表面(金属層のフォトレジストに接していた面)には、フォトレジスト表面の構造が反転して転写されている。
より具体的には、当該金型の表面に、例えば、光硬化樹脂を適量塗布する。
次に、光硬化樹脂の上に基材を被せる。具体的には、ハンドローラで押し付けつつ、余分な光硬化樹脂を掻き出しながら、当該基材を光硬化樹脂の上に被せていく。
次に、基材側からUVを照射し、光硬化樹脂を硬化させる。なお、基材は、UV等の光を透過可能な材質からなっている。
次に、基材を金型から剥離する。金型から剥離された基材上には、光硬化樹脂の層が形成されている。そして、当該光硬化樹脂の層には、金型の構造が反転して転写されている。
具体的には、2種以上のフォトマスクを用いて、フォトマスク毎にフォトレジストを露光する。
また、フォトマスクには、繰り返し構造に対応する配列が形成されている。また、フォトマスクに形成された当該配列は、フォトマスク毎に異なっている。なお、ここでの配列とは、フォトマスク上における光を透過する部分と光を透過しない部分との配置を意味する。
そして、フォトマスク毎に形成された配列の少なくとも一部が重なり合うように露光を行うことにより、フォトレジストの表面上に、2種以上の繰り返し構造に対応する光像を、少なくとも一部が重なり合うように露光する。
具体的には、当該フォトマスクに形成された配列は、フォトレジスト上において一の繰り返し構造の少なくとも一部が他の繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っている構造に対応している。
2つ目のモアレ模様装飾体の製造方法は、100ナノ秒以下の短パルスレーザを用いる微細加工技術を用いて、基板の同一面上に、2種以上の繰り返し構造を形成する方法である。また、基板の同一面上において、繰り返し構造の少なくとも一部は、他の繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っている。また、繰り返し構造の重なり合った部分の構造は、繰り返し構造の重なりに応じて、繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なっている。そして、繰り返し構造が重なり合った部分において、視覚的にモアレ模様(干渉縞)が発生する。そのため、当該基板をモアレ模様装飾体として用いることができる。
短パルスレーザを用いる微細加工技術は、レーザアブレーション法と呼ばれるもので、例えば、J.Plasma Fusion Res. Vol.81, Suppl.(2005)195−201に記載の方法を用いることができる。
短パルスレーザを基板に照射する回数(パルス数)及びレーザスポットの形状及び大きさを制御することにより、基板上に所望する深さ及び形状及び大きさの凹部を形成することができる。これにより、基板上に、2種以上の繰り返し構造を、少なくとも一部が重なり合うように形成することができる。
[実施例1]
実施例1にかかるモアレ模様装飾体は、基板の同一面上に2種の繰り返し構造を備えるものである。それぞれの繰り返し構造は、繰り返し単位が繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造である。また、それぞれの繰り返し構造の繰り返し単位は、半球状の凸部が複数配置されたものである。凸部の半径φは30μm、高さは15μmである。
一方の繰り返し構造(以下、「第1の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、32.5μm、37.5μm、128μmである。
また、他方の繰り返し構造(以下、「第2の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、32.25μm、37.25μm、129μmである。
実施例1にかかるモアレ模様装飾体の製造方法は、塗布工程、露光工程、現像工程、電鋳工程、成形工程を備える。
これにより、露光工程におけるフォトレジストの感光度合い(露光度合い)に応じて、フォトレジスト表面上に、第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造に対応する潜像が形成された。より具体的には、フォトレジスト表面上に、複数の凹部が形成された。
そして、当該金属層をフォトレジストから剥離して、下記に説明する成形工程で用いる金型を得る。当該金型の表面(金属層のフォトレジストに接していた面)には、フォトレジスト表面の構造が反転して転写されている。
図3に、実施例1にかかるモアレ模様装飾体を成形するための金型の外観写真を示す。図3に示すように、実施例1にかかる金型の表面には、第1の繰り返し構造と第2の繰り返し構造に対応する構造が形成されている。また、当該金型において、第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造における繰り返し単位は、複数の半球状の凸部を備えている。また、繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、繰り返し構造の重なりに応じて、繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なっている。そして、繰り返し構造が重なり合った部分において、視覚的にモアレ模様(干渉縞)が発生する。そのため、当該金型をモアレ模様装飾体として用いることができる。
そして、実施例1に示すように、第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造における凸部の形状が同じでも、繰り返し間隔P、x軸方向の間隔X、y軸方向の間隔Yを調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
具体的には、2種のフォトマスクを用いて、フォトマスク毎にフォトレジストを露光する。
次に、第1の繰り返し構造に対応する配列が形成されたフォトマスクを用いて露光を行う。
次に、第2の繰り返し構造に対応する配列が形成されたフォトマスクを用いて露光を行う。
なお、フォトマスク毎に形成された配列の少なくとも一部が重なり合うように露光を行うことにより、フォトレジストの表面上に、2種以上の繰り返し構造に対応する光像を、少なくとも一部が重なり合うように露光する。
なお、この場合、フォトレジストとしてネガ型の感光性樹脂を用いているので、フォトレジスト上には、複数の凸部を備える繰り返し単位を備える繰り返し構造が形成される。
そのため、現像工程において現像処理されたフォトレジスト表面上に、上記と同様の電鋳工程を行って、第1の金型を得る。この第1の金型の表面(金属層のフォトレジストに接していた面)には、フォトレジスト表面の構造が反転して転写されている。そして、当該第1の金型に対して、同様に、電鋳工程を行って、第2の金型を得る。第2の金型には、フォトレジスト表面の構造が反転せずに転写されている。この様にして、フォトマスクを使用しない場合と同様の金型を得ることができる。
具体的には、当該フォトマスクに形成された配列は、フォトレジスト上において第1の繰り返し構造の少なくとも一部が第2の繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っている構造に対応している。
実施例2にかかるモアレ模様装飾体は、基板の同一面上に2種の繰り返し構造を備えるものである。それぞれの繰り返し構造は、繰り返し単位が繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造である。また、それぞれの繰り返し構造の繰り返し単位は、略正四角錐状の凸部が複数配置されたものである。当該正四角錐形状の一辺は40μmである。また、当該略正四角錐形状の凸部は、底面の頂点がx軸方向及びy軸方向に位置する向きに配置されている。
一方の繰り返し構造(以下、「第1の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、52μm、60μm、120.25μmである。
また、他方の繰り返し構造(以下、「第2の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、53μm、61μm、122.34μmである。
また、実施例1にかかる第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造における繰り返し間隔P、x軸方向の間隔X、y軸方向の間隔Yと、実施例2にかかる第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造における繰り返し間隔P、x軸方向の間隔X、y軸方向の間隔Yとは、異なっている。すなわち、第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造における繰り返し間隔P、x軸方向の間隔X、y軸方向の間隔Yを異ならせることにより、異なるモアレ模様を発生させることができる。
図6(a)に、実施例2にかかるモアレ模様装飾体の正面視の外観写真を示す。また、図6(b)に、実施例2にかかるモアレ模様装飾体の斜視の外観写真を示す。図6に示すように、実施例2にかかる金型を使用して成形されてなるモアレ模様装飾体は、見る角度によって、モアレ模様の光沢感が異なる。
実施例3にかかるモアレ模様装飾体は、基板の同一面上に2種の繰り返し構造を備えるものである。それぞれの繰り返し構造は、繰り返し単位が繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造である。また、それぞれの繰り返し構造の繰り返し単位は、凸部が複数配置されたものである。
一方の繰り返し構造(以下、「第1の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、実施例1にかかる第1の繰り返し構造と同じである。また、第1の繰り返し構造における凸部の形状は、実施例1にかかる第1の繰り返し構造と同じ略半球状であり、凸部の半径φは30μm、高さは15μmである。
また、他方の繰り返し構造(以下、「第2の繰り返し構造」と称する。)におけるx軸方向の間隔X(Xピッチ)、y軸方向の間隔Y(Yピッチ)、繰り返し間隔Pは、それぞれ、実施例1にかかる第2の繰り返し構造と同じである。また、第2の繰り返し構造における凸部の形状は略楕円形状のレンズ状であり、凸部の半径φは30μm、高さは17μmである。
例えば、前述の露光工程において、フォトレジスト上に集光させたレーザ光の光量を走査位置に応じて変調させつつ、フォトレジスト上を走査するレーザ描画装置を用いることにより、所望形状の凸部を形成することができる。具体的には、図7に示すように、フォトレジスト上に集光させたレーザ光の光量を走査位置に応じて変調させることにより、略半球状の凸部や略楕円形状のレンズ状の凸部を形成することができる。図7は、本発明の実施の形態にかかる露光工程における光量の変調の一例について説明する図である。
図7の上図は、レーザ描画装置が図7の下図に示すA線上を走査する際の、レーザ描画装置が照射するレーザ光の光量の変化(露光量の変調)を示すグラフである。図7の上図において、横軸はレーザ描画装置の走査位置(図7の下図に示すA線上における位置)を示し、縦軸はレーザ描画装置が照射するレーザ光の光量(露光量)を示す。図7の上図に示すように、レーザ描画装置は、走査位置によって露光量を変調することにより、フォトレジスト上に所望の形状の凸部を形成することができる。具体的には、例えば、図7の上図の実線で示すように、レーザ描画装置が露光量を変調した場合、レーザ描画装置は、フォトレジスト上に略楕円形状のレンズ状の凸部(所望の潜像)を形成することができる。また、図7の上図の破線で示すように、レーザ描画装置が露光量を変調した場合、レーザ描画装置は、フォトレジスト上に略半球状の凸部を形成することができる。
図8の上図は、レーザ描画装置が図8の下図に示すA線上を走査する際の、レーザ描画装置が照射するレーザ光の光量の変化(露光量の変調)を示すグラフである。図8の上図において、横軸はレーザ描画装置の走査位置(図8の下図に示すA線上における位置)を示し、縦軸はレーザ描画装置が照射するレーザ光の光量(露光量)を示す。図8の上図に示すように、レーザ描画装置は、2回に分けて露光を行うことにより、フォトレジスト上に楕円形状のレンズ状の凸部を形成してもよい。2回に分けて露光を行うということは、走査位置に応じて照射時間を変化させていることに相当する。なお、レーザ描画装置は、2回以上に分けて露光を行ってもよい。このように、レーザ描画装置は、走査位置に応じて照射時間を変調することにより、フォトレジスト上に所望の形状の凸部(所望の潜像)を形成することができる。具体的には、例えば、レーザ描画装置は、図8の上図の実線で示すように露光を2回行うことにより、図8の上図の破線で示す露光量の露光を行う。これにより、レーザ描画装置は、フォトレジスト上に略楕円形状のレンズ状の凸部を形成することができる。
フォトレジスト上に形成する凸部の高さが高い場合、すなわち、凸部のアスペクト比(高さ/幅の比)が高い場合には、光量の変調だけでは十分な露光量を稼ぐことができないことがある。このような場合に、上述した照射回数を分ける方法は有効である。具体的には、レーザ描画装置は、複数回露光を行うことにより、照射時間を増やすことができ、積算露光量を増大させることができる。
また、レーザ描画装置が走査位置に応じてレーザの照射時間を変調することができる機能を有する場合には、照射回数を分ける方法ではなく、レーザ描画装置が直接走査位置に応じて照射時間を変調してもよい。
実施例1にかかる第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造を、短パルスレーザを用いて、基板の同一面上に形成した。基板としては、厚さ0.3mmのニッケル平板を用いた。当該ニッケル平板は、ガラス鏡面を原型として、電気鋳造法(電気めっき法)により製造したものである。以下、この基板を、以下、単に、「ニッケル基板」と称する。また、実施例4においては、ピコ秒パルスレーザを用いた。レーザスポットの形状は略円形形状である。また、レーザ光の波長は532nm、パルス幅は6ps、平均出力は2W、繰り返し周波数は100kHz、レーザスポット径(最小径)は約20μmである。
図10(a)に示すように、ニッケル基板上に当該ピコ秒パルスレーザを1パルス照射すると、ニッケル基板上に深さ約0.5μmの凹部が形成された。さらに、当該ニッケル基板上にピコ秒パルスレーザを34パルス追加照射(合計35パルス照射)すると、図10(b)に示すように、深さ約15μm、直径約30μm、断面視略円弧形状の凹部が形成された。
この様にして加工されたニッケル基板上には、目視観察で、実施例1と同様のモアレ模様が発生した。
実施例1〜実施例5では、各繰り返し構造における繰り返し間隔Pは一定の間隔であったが、一の繰り返し構造における繰り返し間隔Pの値が変化していても良い。図11に、変形例1にかかるモアレ模様装飾体を説明する図を示す。変形例1にかかるモアレ模様装飾体は、基板の同一面上に2種の繰り返し構造を備えるものである。
つまり、第1の繰り返し構造において、繰り返し間隔PA(n)は、x軸方向における位置(図11のX位置)によって、変化する値である。
つまり、第2の繰り返し構造において、繰り返し間隔PB(n)は、x軸方向における位置(図11のX位置)によって、変化する値である。
また、変形例1にかかる第2の繰り返し構造の繰り返し単位は、断面が直径30μmの半円形状である柱形状である。つまり、当該繰り返し単位が基板面から突出する高さは15μmである。また、繰り返し間隔PB(n)において、a=0.005、b=0.1、dP=0.01、PA(0)=0である。
なお、変形例1にかかるモアレ模様装飾体の製造方法は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
図12に、変形例2にかかる偽造防止部材を説明する図を示す。図12において、文字「kuraray」の部分は、実施例2にかかるモアレ模様装飾体により形成されている。また、図12において、文字以外の部分は、実施例1にかかるモアレ模様装飾体により形成されている。つまり、変形例2にかかる偽造防止部材は、基板の同一面上に、実施例1にかかる第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造並びに実施例2にかかる第1の繰り返し構造及び第2の繰り返し構造が形成されたものである。
変形例2に示すように、本発明によれば、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造を容易に形成することが可能である。これにより、基板の同一面上に2種以上のモアレ模様を現出させることができる。また、同一面上に多数のモアレ模様を現出させることにより、高い意匠性を有する偽造防止部材を容易に製造することができる。
本発明の実施の形態にかかるモアレ模様装飾体によれば、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造100が形成されるので、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、繰り返し間隔Pを調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、x軸方向の間隔X及びy軸方向の間隔Yの少なくとも一方を調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、繰り返し構造100における凹部の形状又は凸部102の形状を調整することにより、モアレ模様装飾体において、所望するモアレ模様を現出することができる。
これにより、モアレ模様装飾体において、より複雑なモアレ模様を現出することができる。
これにより、塗布工程、露光工程、現像工程において、基板の一方の面のみに処理を行うだけでよいため、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で金型を製造することができ、当該金型を使用して、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造100を成形することができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造100を成形することができる。
これにより、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造100を成形することができる。
これにより、露光工程において、フォトレジスト上に2種以上の繰り返し構造100を形成するために多重露光する必要がなく、一括露光で、フォトレジスト上に2種以上の繰り返し構造100を形成することができる。そのため、より容易に、基板の一方の面上に塗布されたフォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造100を成形することができる。
これにより、潜像の形状を変えることができ、モアレ模様装飾体において、モアレ模様の立体感を調整することができる。
これにより、基板の同一面上に直接加工を行うことにより、モアレ模様を現出させることができ、より簡易な製造工程でモアレ模様装飾体を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で偽造防止部材を得ることができる。
これにより、より簡易な製造工程で偽造防止部材を得ることができる。
また、一の繰り返し構造の繰り返し単位は複数の凹部で形成され、他の繰り返し構造の繰り返し単位は複数の凸部で形成されていても良い。
また、一の繰り返し構造の繰り返し単位が複数の凹部及び凸部で形成されていてもよい。
また、変形例1において、繰り返し単位は、複数の凸部又は凹部で形成されていてもよい。
101 繰り返し単位
102 凸部
X x軸方向の間隔
Y y軸方向の間隔
P、PA(n)、PB(n) 繰り返し間隔
Claims (15)
- 基板の同一面上に形成された2種以上の繰り返し構造を備え、
それぞれの前記繰り返し構造は、異なる構造であり、
一の前記繰り返し構造の少なくとも一部は、他の前記繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っており、
前記繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、前記繰り返し構造の重なりに応じて、前記繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なるモアレ模様装飾体。 - 前記繰り返し構造は、繰り返し単位のそれぞれが繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造であり、
少なくとも一の前記繰り返し構造における前記繰り返し間隔Pは、他の前記繰り返し構造における前記繰り返し間隔Pとは異なる請求項1に記載のモアレ模様装飾体。 - 前記繰り返し構造は、繰り返し単位が複数配置された構造であり、
前記繰り返し単位は、複数の凹部又は複数の凸部が配置されたものであり、
前記凹部のそれぞれ又は前記凸部のそれぞれは、x軸方向の間隔X及びy軸方向の間隔Yだけ離間して配置されており、
少なくとも一の前記繰り返し構造における前記x軸方向の間隔X及び前記y軸方向の間隔Yの少なくとも一方が、他の前記繰り返し構造における前記x軸方向の間隔X及び前記y軸方向の間隔Yとは異なる請求項1又は2に記載のモアレ模様装飾体。 - 前記繰り返し構造は、繰り返し単位が複数配置された構造であり、
前記繰り返し単位は、複数の凹部又は複数の凸部が配置されたものであり、
少なくとも一の前記繰り返し構造における前記凹部の形状又は前記凸部の形状は、他の繰り返し構造における前記凹部の形状又は前記凸部の形状とは異なる請求項1乃至3の何れか一項に記載のモアレ模様装飾体。 - 前記繰り返し構造は、繰り返し単位のそれぞれが繰り返し間隔Pだけ離間して配置された構造であり、
それぞれの前記繰り返し構造における前記繰り返し間隔Pの値が前記基板の面内で変化している請求項1乃至4の何れか一項に記載のモアレ模様装飾体。 - 基板の一方の面上にフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記フォトレジスト上に、2種以上の繰り返し構造に対応する光像を、少なくとも一部が重なり合うように露光する露光工程と、
露光された前記フォトレジストに対して現像処理を行って、2種以上の前記繰り返し構造に対応する潜像を現像する現像工程と、を備え、
前記繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、前記繰り返し構造の重なりに応じて、前記繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なるモアレ模様装飾体の製造方法。 - 前記現像工程により現像処理された前記フォトレジストの表面上に、電気鋳造法により、金属層を形成する電鋳工程と、
前記金属層を金型として使用して樹脂を成形する成形工程と、を備える請求項6に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。 - 前記露光工程において、前記フォトレジスト上に集光させたレーザ光の光量を走査位置に応じて変調させつつ、前記フォトレジスト上を走査するレーザ描画装置を用いる請求項6又は7に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。
- 前記露光工程において、前記フォトレジスト上に集光させたレーザ光の照射時間を走査位置に応じて変調させつつ、前記フォトレジスト上を走査するレーザ描画装置を用いる請求項6又は7に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。
- 前記露光工程において、2種以上のフォトマスクを用いて、フォトマスク毎に前記フォトレジストを露光し、
前記フォトマスクには、前記繰り返し構造に対応する配列が形成されており、
前記フォトマスクに形成された前記配列は、前記フォトマスク毎に異なる請求項6又は7に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。 - 前記露光工程において、2種以上の前記繰り返し構造の全てに対応する配列が形成されたフォトマスクを用いて、前記フォトレジストを露光し、
前記フォトマスクに形成された配列は、前記フォトレジスト上において一の前記繰り返し構造の少なくとも一部が他の前記繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っている構造に対応している請求項6又は7に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。 - 前記露光工程において、前記繰り返し構造毎に露光条件を調節する請求項6乃至10の何れか一項に記載のモアレ模様装飾体の製造方法。
- 100ナノ秒以下の短パルスレーザによる微細加工技術を用いて、基板の同一面上に2種以上の繰り返し構造を形成し、
一の前記繰り返し構造の少なくとも一部は、他の前記繰り返し構造の少なくとも一つと重なり合っており、
前記繰り返し構造が重なり合った部分の構造は、前記繰り返し構造の重なりに応じて、前記繰り返し構造の重なりが生じていない部分の構造とは異なるモアレ模様装飾体の製造方法。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載のモアレ模様装飾体を用いた偽造防止部材。
- 請求項6乃至13の何れか一項に記載の製造方法により製造されたモアレ模様装飾体を用いた偽造防止部材。
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