JP4270205B2 - 照明装置及びこれを備えたプロジェクタ - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管及び該発光管からの出射光を反射する反射鏡を有する照明装置、並びにその照明装置を備えたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として、発光管と発光管から放射された光を所定の方向に向ける反射鏡とからなる照明装置が広く用いられている。そのような照明装置において、発光管から放出されても迷光となって使用に供されていなかった光を有効に利用するために、特開平8−31382号公報(第2ページ、第1図)に記載されているように、発光管を挟んで上記反射鏡と対向する位置に補助的な第2の反射鏡を備えることが行われている。
【特許文献1】
特開平08−31382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、補助的な第2の反射鏡を、発光管の発光部周辺を取り囲むように発光管に取付けるような場合には、第2の反射鏡が発光管の放熱量を減少させるように作用する。そのため、電極を含む発光管の温度が不均一な温度分布となって部分的に温度が大きく上昇し、それが電極の消耗、発光管の白濁や膨張を招へいし、発光管の寿命を短くするという問題があった。
【0003】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、発光管と、主反射鏡である第1反射鏡と、補助反射鏡である第2反射鏡とを備えた照明装置において、第2反射鏡が発光管の発光部周辺を取り囲むように発光管に取付けられるような場合にも、第2反射鏡に起因する寿命及び信頼性の低下を防止できる発光管を備えた照明装置を提供することを目的とする。また、その照明装置を備えたプロジェクタを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の照明装置は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記一対の電極をそれぞれ支持する一対の電極軸を備え、前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記電極を支持する電極軸を後側の電極を支持する電極軸より太くおよび/または長くすることによって、前側の電極軸の熱容量を後側の電極軸の熱容量より大きくすると共に、前記第二反射鏡が取り付けられた前記前側に位置する封止部を前記後側に位置する封止部よりも太くして、前記前側の電極から該電極を支持する前記電極軸を介して伝えられた熱が前記前側の封止部によって吸収されやすくなると共に該封止部からも放熱されやすいようにしたことを特徴とする。
【0005】
また、本発明の照明装置は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するようにして前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記一対の電極をそれぞれ支持する一対の電極軸を備え、前記一対の電極軸は、前記一対の電極と接続されている側の端部に更に、それぞれ熱伝導部を備え、前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部の熱容量を後側の前記熱伝導部の熱容量より大きくすると共に、前記第二反射鏡が取り付けられた前記前側に位置する封止部を前記後側に位置する封止部よりも太くして、前記前側の電極から該電極を支持する前記電極軸を介して伝えられた熱が前記前側の封止部によって吸収されやすくなると共に該封止部からも放熱されやすいようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、前記熱伝導部は、同一のタングステン線を巻いて形成したコイルであって、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部を形成するコイルの巻数を後側の前記熱伝導部の熱容量より大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置
また、前記熱伝導部は、タングステン線を同一回数巻いて形成したコイルであって、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部を形成するタングステン線の太さを後側の前記熱伝導部を形成するタングステン線の太さよりも太くしたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【0007】
本発明のプロジェクタは、照明装置と、該照明装置からの光が入射され与えられた映像情報に応じて該入射光を変調する光変調装置を備えたプロジェクタにおいて、前記照明装置として請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された照明装置を備えたことを特徴とする。
【0008】
参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記電極の熱容量を後側の電極の熱容量より大きくしたことを特徴とする。
【0009】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の電極の熱容量が後側の電極の熱容量より大きくなっているため、前側の電極の熱負荷が軽減されかつ温度上昇率も低下して、第二反射鏡による熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0010】
また、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記電極を支持する電極軸を後側の電極を支持する電極軸より太くおよび/または長くしたことを特徴とする。
【0011】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の電極軸が後側の電極軸より太くおよび/または長くなっているから、その分前側の電極軸の熱が封止部に伝わり易くなり、放熱が早まるため、第二反射鏡を設置してもそれによる熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0012】
また、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記第二反射鏡が取付けられた前記前側に位置する封止部を前記後側に位置する封止部より太くしたことを特徴とする。
【0013】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の封止部が太くなっているから、その分前側に位置する封止部の温度は上昇し難くなるとともに放熱面積が増大するため、第二反射鏡を設置してもそれによる熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0014】
また、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記前側に位置する封止部に該封止部の素材より熱伝導性が良い放熱材を被膜したことを特徴とする。
【0015】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の封止部からは放熱材を介して熱が放出され易くなっているため、その分前側に位置する封止部の温度は上昇し難くなって、第二反射鏡を設置してもそれによる熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0016】
また、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記電極の端部を前記発光管の内面に接触させたことを特徴とする。
【0017】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の電極の端部を前記発光管の内面に接触させたため、その分前側の電極温度は上昇し難くなって、第二反射鏡を設置してもそれによる熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0018】
さらに、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記発光管の前側の発光部肉厚は後側の発光部肉厚より大きいことを特徴とする。
【0019】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の発光管の発光部肉厚が後側の発光部肉厚より厚くなっているため、その分前側の発光管の温度は上昇し難くなり、第二反射鏡を設置してもそれによる熱的影響を低減できる。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0020】
なお、上記照明装置において、前記一対の電極のうち少なくとも一方の前記電極の端部を前記発光管の内面に接触させることが好ましい。
これによれば、さらに一対の電極のうち少なくとも一方の電極の熱負荷を軽減させることができる。
【0021】
さらに、他の参考例は、一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するようにして前記前側に位置する封止部に取付けられ、前記一対の電極をそれぞれ支持する一対の電極軸を備え、前記一対の電極軸は、前記一対の電極と接続されている側の端部にそれぞれ熱伝導部を備え、前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部の熱容量を後側の前記熱伝導部の熱容量より大きくしたことを特徴とする。
【0022】
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光の多くを第二反射鏡を介して第一反射鏡に戻して利用に供することが可能としながら、第二反射鏡により包囲された前側の熱伝導部が後側の熱伝導部よりも熱容量が大きいので、第二反射鏡が配置された前側の電極の熱が放熱されやすくなり、前側の電極の熱負荷が軽減され温度上昇率も低下して、後側の電極との温度差も減少される。従って、発光部の温度分布が均一となり、発光管の寿命や信頼性に関して長期の維持が可能となる。
【0023】
本発明のプロジェクタは、照明装置と、該照明装置からの光が入射され与えられた映像情報に応じて該入射光を変調する光変調装置を備えたプロジェクタにおいて、前記照明装置として上記いずれかに記載された照明装置を備えたことを特徴とする。これにより、高輝度で長寿命のプロジェクタが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図を参照しながら説明する。なお、各図において、同一符号は同一物又は相当物を示すものとする。
【0025】
第1実施形態
図1は本発明の実施形態に係る照明装置100の構成図である。図2は図1の装置100の作用説明図である。
この照明装置100は、発光管10と、照明装置100の主反射鏡である第一反射鏡20と、照明装置100の補助反射鏡である第二反射鏡30とを備える。
【0026】
なお、本実施形態の説明において前側とは照明装置100の照明光射出側を示している。
発光管10は、石英ガラス等からなり、内部にタングステンの一対の電極12a,12bと、水銀、希ガス及び少量のハロゲンが封入された中央の発光部11と、発光部11を挟んで前側に位置する封止部13aと後側に位置する13bからなる。各封止部13a,13bには、各電極12a,12bと接続されたモリブデンからなる金属箔14a,14bが密封され、各金属箔14a,14bには外部につなげられる各リード線15a,15bと、各電極12a、12bを支持する導電性の電極軸16a,16bがそれぞれ設けられている。
【0027】
なお、リード線15a,15bの接続先は従来の構成と同じでよく、例えば、図示していない照明装置固定具等に設けられた外部との接続端子に接続される。
なお、発光部11の外周面には、タンタル酸化膜、ハフニウム酸化膜、チタン酸化膜等を含む多層膜の反射防止コートを施しておくと、そこを通過する光の反射による光損出を低減することができる。
【0028】
第一反射鏡20の反射面は回転曲線形状であり、F1,F2は第一反射鏡20の反射面の回転曲線の第1焦点と第2焦点を示し、f1,f2は第一反射鏡20の反射面の回転曲線の頂点から第1焦点F1と第2焦点F2までの距離を表している。なお、第一反射鏡20の反射面は回転楕円面形状または回転放物面形状などを採用できる。第一反射鏡20は、発光管10を含むこの照明装置100において、発光部11の後側に配置されている反射素子で、その中心部に、発光管10を固定するための貫通穴21を備えている。
【0029】
発光管10は、この第一反射鏡20の貫通穴21に、発光管10の軸と第一反射鏡20の軸とを一致させて、セメントなどの無機系接着剤22により固着されている。発光管10の軸とは発光管10の長手方向の中心軸であり、電極12aと電極12bとを結ぶ線とほぼ一致している。また、第一反射鏡20の軸とは第一反射鏡20の反射面を構成する回転曲線の回転軸であり、ほぼ照明装置100から射出される光束の中心軸と一致している。
【0030】
なお、発光管10の発光部11中心(電極12aと12bとの間の中心)は、第一反射鏡20の反射面が回転楕円面形状の場合、その第一焦点(F1)に一致又はその近傍に位置させ、第一反射鏡20の反射面が回転放物面の場合には、その焦点Fに一致又はその近傍に位置させている。すなわち、発光部11の中心が、第一反射鏡20の焦点F1又はF付近に、或いは焦点F1又はFの位置にほぼ一致して、配置されている。
【0031】
第二反射鏡30は、発光管10を含むこの照明装置100において、発光部11の前側に配置されている反射素子で、その反射面32が発光部11の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、発光部11の中心から出射されてこの第二反射鏡30の反射面32に入る入射光と該第二反射鏡30の反射面32における法線とが一致するように配置されているものである。ここで、第二反射鏡30は、接着剤31により封止部13aに固定されている。発光部11の構造(電極12aと電極12bとの間の位置、発光部11の各部の形状など)は、製造バラツキなどにより発光管10毎にそれぞれ異なるため、第二反射鏡30の反射面32の形状は、発光部11との関係に応じて、発光管10毎にそれぞれ定めるのが好ましい。
【0032】
さらに、第二反射鏡30は、約900〜1000℃度の高温に晒されることになるため、耐熱性に優れた材料で製造されることが必要となる。例えば、第二反射鏡30を、低熱膨張材である石英又はネオセラムや、あるいは高熱伝導材である透光性アルミナ、サファイア、水晶、蛍石、YAG等を利用して製造すると、熱による変形や変質等を防止できる。透光性アルミナとしては、例えば、商品「スミコランダム」(スミコランダムは住友化学工業の登録商標)が利用できる。
【0033】
第二反射鏡30の反射面32が、照明に用いられる可視光のみを反射させ、照明に不要な紫外線及び赤外線を通過させることができれば、第二反射鏡30に生じる発熱を少なくできる。そのため、ここでは可視光のみを反射させ、紫外線及び赤外線を通過させる誘電体多層膜を、第二反射鏡30の反射面32に積層している。この誘電体多層膜も耐熱性が必要とされ、例えば、タンタル化合物とSiO2の交互積層、又はハフニウム化合物とSiO2の交互積層等から構成できる。以上の各要素を加味すると、低熱膨張性を有し、あるいは熱伝導性に優れ、しかも紫外線及び赤外線を透過しやすい材料として、石英、透光性アルミナ、水晶、サファイア、YAG(Y3Al5O12)、蛍石等が挙げられ、それらのいずれかから第二反射鏡30を製作するのが好ましい。
【0034】
なお、第二反射鏡30の外側面は、その反射面32で反射されずに入射した光(赤外線、紫外線、反射面32側から漏れてきた可視光など)を透過させるように、あるいは、その反射面32で反射されずに入射した光を拡散反射させるような反射膜や形状を備えるように成形して、第二反射鏡30ができるだけ光を吸収しないようにするのが好ましい。
【0035】
さらに、図1に示すように、発光部11からこの第一反射鏡20側すなわち照明装置100の後側に出射する利用可能限界光L1,L2によって示される円錐の第一反射鏡20の反射面での直径D1が、第二反射鏡30の外側面の直径d1よりも大きくなるように、かつ、第二反射鏡30の外側面の直径d1が、利用可能限界光L1,L2の第一反射鏡20により反射された光によって形成される円錐の内側に入る大きさとなるように、第二反射鏡30の外側面の直径d1が設定される。こうすることで、発光部11から照明装置100の後側に出射される光のうち、利用可能範囲内にある光については、第一反射鏡20で反射された後、第二反射鏡30によって遮断されることなく進行することができる。
【0036】
なお、利用可能限界光L1,L2とは、発光部11からこの照明装置100の後側に出射される光のうち、照明光として実際に利用できる範囲の内側境界に対応する光をいい、発光管10の構造によって定まる場合と、第一反射鏡20の構造によって定まる場合とがある。発光管10の構造によって定まる利用可能限界光とは、発光部11から第一反射鏡20a側すなわち後側に出射し封止部13b等の影響により遮断されず有効光として出射される光のうち、封止部13b等の影響により光が遮断される光との境界の有効光である。
【0037】
また、第一反射鏡20の構造によって定まる利用可能限界光とは、発光部11から第一反射鏡20側すなわち照明装置100の後側に出射し封止部13b等の影響により遮断されずに有効光として出射された光のうち、第一反射鏡20の貫通穴21の存在等による第一反射鏡20に起因して第一反射鏡20の反射面で反射することができず照明光として利用し得なくなる光との境界の有効光である。なお、上記利用可能限界光を、発光管10の構造によって定まる限界光とした場合、本実施形態によれば、発光部11から照明装置100の後側に出射される光のほぼ全てを利用できることになる。
【0038】
また、第二反射鏡30の外側面の直径d1が大きくなると、第一反射鏡20により反射された後に、前方に進行する光の遮断が多くなるため光の利用率が低下する。従って、光の利用率低下を回避するために、第二反射鏡30の外側面の直径d1はできるだけ小さくするべきである。
【0039】
前述のようにこのような第二反射鏡30を用いることにより、発光部11から第一反射鏡20とは反対側(前方側)に放射される光束を第二反射鏡30にて第一反射鏡20の反射面に入射するよう後方側に反射させることができるので、第一反射鏡20の反射面が小さくても、発光部11から射出された光束をほとんどすべて一定位置に収束させて射出でき、第一反射鏡20の光軸方向寸法および開口径を小さくすることができる。すなわち、照明装置100やプロジェクタ1000を小型化でき、照明装置100をプロジェクタ1000内に組込むレイアウトも容易になる。
【0040】
また、第二反射鏡30を設けることにより、第2焦点F2での集光スポット径を小さくするために第一反射鏡20の第1焦点F1と第二焦点F2を近づけたとしても、発光部11から放射された光のほとんど全てが第一反射鏡20および第二反射鏡30により第2焦点に集光されて利用可能となり、光の利用効率を大幅に向上させることができる。従って、照明装置100からの出射光が引き続く光学系に入射し易くなり、光利用率をより向上できる。
【0041】
以上の構成による本実施形態の照明装置100は次のように作用する。すなわち、図2に示すように、発光管10の発光部11から後側へと出射する光L1、L2、L5,L6は、第一反射鏡20により反射されて照明装置100の前方に向かう。また、発光部11から前側へと出射する光L3、L4は、第二反射鏡30の反射面32により反射されて第一反射鏡20に戻った後、第一反射鏡20により反射されて照明装置100の前方に向かう。これにより、発光部11からの出射光のほとんどが利用可能となっている。
【0042】
上述のような照明装置100において、図1に示すように、発光管10は下記のように構成されている。
(a)第二反射鏡30により包囲された前側の電極12aを後側の電極12bより大きくした。これは、第二反射鏡30により包囲された前側の電極12aの熱容量が後側の電極12bの熱容量より大きいということである。電極12aの熱容量が大きくされた分、電極12aの熱負荷が軽減されかつ温度上昇率も低下して、電極12bとの温度差も減少されるから、発光管10の寿命や信頼性に関してより長期の維持が可能となる。
【0043】
(b)第二反射鏡30により包囲された前側の電極12aを支持する電極軸16aを後側の電極12bを支持する電極軸16bより太くかつ長くした。なお、場合によっては、太さあるいは長さのいずれか一方だけの対応だけでもよい。電極軸16aが太くかつ長くされた分、電極12aからの熱が電極軸16aによって封止部に伝わり易くなり、電極12aの放熱が早まるため、第二反射鏡30を設置しても電極12a側と電極12b側との温度差が減少されるから、発光管10の寿命や関しより長期の位置が可能となる。
【0044】
(c)第二反射鏡30が取付けられた前側の封止部13aを後側の封止部13bより太くした。封止部13aが太くされた分、封止部13aの熱容量が増えるので、電極12aから電極軸16aを介して伝えられた熱が封止部13aによって吸収されやすくなり、電極12a側の温度が上昇し難くなるとともに、封止部13aの放熱面積が増大するため、封止部13aからも放熱されやすい。従って、第二反射鏡30を設置しても電極12a側と電極12b側との温度差が減少できる。
【0045】
(d)第二反射鏡30が取付けられた側の封止部13aに該封止部13aの素材より熱伝導性が良い放熱材17を被膜した。放熱材17が被膜されたことで封止部13aから熱が放出され易くなっているため、その分封止部13aの温度は上昇し難くなるので、電極12aから電極軸16aを介して伝えられた熱がより封止部13aへと伝わりやすい。従って、第二反射鏡30を設置しても電極12a側と電極12b側との温度差が減少できる。
【0046】
次に、照明装置100の製造手順について説明する。まず始めに、発光管10毎に、発光管10及び第一反射鏡20の構造に関するデータを収集する。このデータには、発光部11内の電極12a,12b間距離、発光管10の各部形状及び寸法、第一反射鏡20の形状及び寸法、第一反射鏡20の焦点(第一反射鏡20が回転楕円形状の場合には、第1焦点及び第2焦点)を含める。
【0047】
続いて、これらのデータを基に、各発光管10の発光部11からの光の出射状態を、コンピュータなどを利用してシミュレーションする。次に、発光部11からの光の出射状態シミュレーションを基に、各発光管10に対応した第二反射鏡30の設計を行う。この設計もまた、コンピュータシミュレーションなどを利用して行うことができ、そのようなシミュレーションを通して、既に説明した第二反射鏡30としての作用を果たすことが可能な形状(外径、内径、及び反射面32の形状など)が決定される。
【0048】
そして、その設計に基づいて、各発光管10に対応した第二反射鏡30を製作する。その後、その製作された第二反射鏡30を、その反射面32が発光部11の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、発光部11の中心から出射されて第二反射鏡30に入る入射光と第二反射鏡30の反射面32の法線とが一致するように調整しながら、第二反射鏡30を発光管10の封止部13aに取付ける。
【0049】
なお、第二反射鏡30は、その構造上、発光管10の封止部13aの外径より大きな内径を有する中空の管材から製作することができる。この場合において、誘電体多層膜が成膜される反射面32は、肉厚部の研磨により形成することができる。第二反射鏡30を製作する際の研磨は、反射面32が中空となっているので、通常の球面研磨のような複雑な研磨制御が不要となるという利点を有している。また、第二反射鏡30は、上記管材のプレス成形によっても製作可能である。プレス成形は極めて単純であり、製造コストを大きく低減できる。
【0050】
また、第二反射鏡30の発光管10への取付けは、以下のような方法で実行できる。
(1)CCDカメラ等で電極12a,12b間を観察しつつ、発光部11の前側半分と第二反射鏡30の反射面32が対向するようにして、第二反射鏡30を発光管10の封止部13aに仮固定する。次に、(2)複数の異なる方向からCCDカメラで第二反射鏡30の反射面32を観察しながら、その反射面32に写る電極12a,12b間の像が、本来の電極間(物点)に入り込むように、第二反射鏡30の位置を調整する。(3)調整終了後、第二反射鏡30を発光管10の封止部13aに固定する。
【0051】
なお、上記(2)に対応する第二反射鏡30の仮固定後の調整は、次のようにしても可能である。すなわち、極細のレーザービームを複数の異なる方向から電極12a,12b間を通して第二反射鏡30の反射面32に照射し、第二反射鏡30からの反射ビーム光の位置とその広がり具合が一致するように、第二反射鏡30の位置を調整しても、CCDカメラを用いたのと同じ結果が得られる。これらにより、第二反射鏡30による反射光を正確に電極12a,12b間に戻し、さらに第一反射鏡20に戻すことが可能となる。
【0052】
次に、上記のようにして第二反射鏡30aが固定された発光管10の電極間中心に第一反射鏡20aの第一焦点をほぼ一致させて第一反射鏡20aと発光管10とを配置し、所定位置における明るさが最大となるように第一反射鏡20aに対する発光管10の位置を調整して、適正な位置で発光管10と第一反射鏡20aとを固定する。
【0053】
なお、第二反射鏡30の発光管10への取付けは、第二反射鏡30を発光管10の封止部13aへ固着することで行う。その固着は、例えば、従来から知られているセメントを用いた接着に加え、前述したような高温度に耐えうる熱伝導性の良好なシリカ・アルミナ混合物あるいは窒化アルミを主成分とする無機系接着剤が利用できる。これには、商品名スミセラム(朝日化学工業(株)製造、スミセラムは住友化学工業(株)の登録商標)が一例として挙げられる。その他、封止部13a、第二反射鏡30のいずれか又は両方に融着部を設けておき、それらをレーザーあるいはガスバーナーを用いて融着させることにより、封止部13aに第二反射鏡30を固着することもできる。レーザー使用の場合にはレーザー照射部分が黒化する場合もあるが、固着場所が封止部13aなのでそれは問題ない。
【0054】
第二実施形態
図3は、本発明の第二実施形態に係る照明装置100Aの構成図及び作用図である。この照明装置100Aの構成は基本的に図1および図2に示される第一実施形態の照明装置100と同じであり、第一実施形態の照明装置100との相違点は、下記の点である。
【0055】
(e)一対の電極12a,12bの端部をそれぞれ発光管10の内面に接触させた。
なお、場合によっては、第二反射鏡30により包囲された前側の電極12aのみを、発光管10の内面に接触させてもよい。
このような第二実施形態の構成により、上述した第一実施形態の効果に加えて、電極12aおよび/または電極12bの端部を発光管10の内面に接触させたことで電極12aおよび/または12bの熱は発光管10へと伝導し、電極12aおよび/または12bの
温度は上昇し難くなって、発光管10の寿命や信頼性に関しより長期の維持が可能となる。
【0056】
第三実施形態
さらに、図4は、本発明の第三実施形態に係る照明装置100Bの構成図および作用図である。この照明装置100Bの構成は基本的に図3に示される第二実施形態の照明装置100Aと同じであり、第二実施形態の照明装置100Aとの相違点は、下記の点である。
【0057】
(f)第二反射鏡30により包囲された前側の発光管10bの発光部11bの前側の発光部肉厚111aを発光部11bの後側の発光部肉厚111bより大きくした。この場合、発光管10bの発熱状況に対応させて発光部11bの前側の発光部肉厚111aと後側の発光部肉厚111bとを徐々に変化させることが特に好ましい。発光管10bの発光部11b部分において、第二反射鏡30により包囲された側である前側の発光部肉厚111aが後側の発光部肉厚111bより厚くなっている。
【0058】
なお、発光部11bの前側の発光部肉厚111aが後側の発光部肉厚111bより厚くなっているため、発光部11bの外形の中心と電極12cと電極12dとの間の中心とは照明装置100Bの光軸方向にずれている。従って、第三実施形態の第一反射鏡20Bは、発光部11bからの光L7,L8を反射できるように、第一実施形態の第一反射鏡20よりも反射面の開口径が大きい。
【0059】
このような第三実施形態の構成により、上述した第一実施形態および第二実施形態の効果に加えて、発光管10bの発光部11b部分において、発光部11bの前側の発光部肉厚111aが後側の発光部肉厚111bよりも厚くなっているから、第二反射鏡30により包囲された側である前側の熱容量が大きくなるため、発光部11bの前側の温度は上昇し難くなる。従って、第二反射鏡30を設置しても発光部11bの前側と後側とでの温度差が減少されるから、発光管10bの寿命や信頼性に関しより長期の維持が可能となる。
【0060】
第四実施形態
図5(a),(b)は、本発明の第四実施形態に係る照明装置100Cの構成図である。この照明装置100Cは基本的に図1および図2に示される第一実施形態の照明装置100と同じであり、第一実施形態の照明装置100とは、一対の電極12c、12dの構成が第一実施形態の電極12a,12bとは相違する。詳細は下記のとおりである。
【0061】
(g)図5(a)に示すように、電極12cおよび12dは同一形状であり、電極軸16c、16dもまた同一形状である。電極軸16cは、電極12cと接続されている側の端部に熱伝導部18を備えている。熱伝導部18は、タングステン線18bを巻いて形成したコイル18aで構成されている。電極軸16dは、電極12dと接続されている側の端部に熱伝導部19を備えている。熱伝導部19は、タングステン線19bを巻いた形成したコイル19aで構成されている。コイル18aとコイル19aとはほぼ同じ巻き数で形成されているが、タングステン18bの線径はタングステン19bの線径よりも大きい。
【0062】
なお、コイル18aとコイル19aとに同一のタングステンを用いて、コイル18aのタングステンの巻数をコイル19aのタングステンの巻数よりも多くする構成としてもよい。要するに、熱伝導部18の熱容量を熱伝導部19の熱容量よりも大きくなるようにそれぞれコイル18aとコイル19aとを形成させればよい。例えば、熱伝導部18の熱容量を熱伝導部19の熱容量よりも12%程大きくするように、タングステン線18bと19bの線径、または、タングステン線18bと19bの巻き数を調節する。また、タングステン線18およびタングステン線19bの巻き方については、図5(b)に示すように、コイル18aまたはコイル19aの厚み方向に幾重にも巻きつける方法のほか、電極軸16cまたは電極軸16bに沿って一重に巻きつける方法でもよい。
【0063】
このような第四実施形態の構成により、電極軸16c,16dおよび電極12c,12dは同一のものを使用しながらも熱伝導部18が熱伝導部19よりも熱容量が大きいので、第二反射鏡30が配置された電極12cの熱が放熱されやすいため電極12cの熱負荷が軽減され温度上昇率も低下して、電極12dとの温度差も減少される。従って、発光管10の寿命や信頼性に関してより長期の維持が可能となる。
【0064】
なお、第一実施形態では上記(a)〜(d)の組み合わせの一例を示し、第二実施形態ないし第四実施形態は第一実施形態へ上記(e)〜(g)をさらに組み合わせた例を示したが、(a)〜(g)をそれぞれ個別に採用してもよく、また、それらを任意に組み合わせて採用してもよい。
さらに、上記(a)〜(g)の採用は、上記実施形態に限られず、第二反射鏡の反射面が発光部のほぼ半分を包囲するようにして取付けられた他の発光管または照明装置にも適用できる。そして、これらの構造の採用によって、照明装置100,100A,100B,100Cは、寿命の低下を回避しながら、その照明効率を向上させることができる。
【0065】
以下は照明装置100を備えたプロジェクタ1000について説明しているが、照明装置100A,100B,100Cも同様にプロジェクタ1000を構成することができる。
【0066】
図6は、上記照明装置100を備えたプロジェクタ1000の構成図である。この光学系は、発光管10、第一反射鏡20及び第二反射鏡30からなる照明装置100と、照明装置100からの出射光を所定の光に調整する手段とを備えた照明光学系300と、ダイクロイックミラー382,386、反射ミラー384等を有する色光分離光学系380と、入射側レンズ392、リレーレンズ396、反射ミラー394,398を有するリレー光学系390と、各色光に対応するフィールドレンズ400,402,404及び光変調装置としての液晶パネル410R,410G,410Bと、色光合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム420と、投写レンズ600とを備えている。
【0067】
次に、上記構成のプロジェクタ1000の作用を説明する。
まず、発光管10の発光部11の中心より後側からの出射光は、第一反射鏡20により反射されて照明装置100の前方に向かう。また、発光部11の中心より前側からの出射光は、第二反射鏡30により反射されて第一反射鏡20に戻った後、第一反射鏡20により反射されて照明装置100の前方に向かう。
【0068】
照明装置100を出た光は凹レンズ200に入り、そこで光の進行方向が照明光学系300の光軸1とほぼ平行に調整された後、インテグレータレンズを構成する第1レンズアレイ320の各小レンズ321に入射する。第1レンズアレイ320は、入射光を小レンズ321の数に応じた複数の部分光束に分割する。第1レンズアレイ320を出た各部分光束は、その各小レンズ321にそれぞれ対応した小レンズ341を有してなるインテグレータレンズを構成する第2レンズアレイ340に入射する。そして、第2レンズアレイ340からの出射光は、偏光変換素子アレイ360の対応する偏光分離膜(図示省略)の近傍に集光される。その際、遮光板(図示省略)により、偏光変換素子アレイ360への入射光のうち、偏光分離膜に対応する部分にのみ光が入射するように調整される。
【0069】
偏光変換素子アレイ360では、そこに入射した光束が同じ種類の直線偏光に変換される。そして、偏光変換素子アレイ360で偏光方向が揃えられた複数の部分光束は重畳レンズ370に入り、そこで液晶パネル410R,410G,410Bを照射する各部分光束が、対応するパネル面上で重さなり合うように調整される。
【0070】
色光分離光学系380は、第1及び第2ダイクロイックミラー382,386を備え、照明光学系から射出される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。第1ダイクロイックミラー382は、重畳レンズ370から射出される光のうち赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。第1ダイクロイックミラー382を透過した赤色光は、反射ミラー384で反射され、フィールドレンズ400を通って赤色光用の液晶パネル410Rに達する。このフィールドレンズ400は、重畳レンズ370から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル410G,410Bの前に設けられたフィールドレンズ402,404も同様に作用する。
【0071】
さらに、第1ダイクロイックミラー382で反射された青色光と緑色光のうち、緑色光は第2ダイクロイックミラー386によって反射され、フィールドレンズ402を通って緑色光用の液晶パネル410Gに達する。一方、青色光は、第2ダイクロイックミラー386を透過し、リレー光学系390、すなわち、入射側レンズ392、反射ミラー394、リレーレンズ396、及び反射ミラー398を通り、さらにフィールドレンズ404を通って青色光用の液晶パネル410Bに達する。なお、青色光にリレー光学系390が用いられているのは、青色光の光路長が他の色光の光路長よりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ392に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ404に伝えるためである。なお、リレー光学系390は、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、赤色光等の他の色光を通す構成としてもよい。
【0072】
3つの液晶パネル410R,410G,410Bは、入射した各色光を、与えられた画像情報に従って変調し、各色光の画像を形成する。なお、3つの液晶パネル410R,410G,410Bの光入射面側、光出射面側には、通常、偏光板が設けられている。 上記の各液晶パネル410R,410G,410Bから射出された3色の変調光は、これらの変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成光学系としての機能を有するクロスダイクロイックプリズム420に入る。クロスダイクロイックプリズム420には、赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって赤、緑、青の3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。そして、クロスダイクロイックプリズム420で合成された合成光は、最後に投写レンズ600に入り、そこからスクリーン上にカラー画像として投写表示される。
【0073】
上記プロジェクタ1000によれば、そこに用いられている発光管10、第一反射鏡20及び第二反射鏡30からなる照明装置100又は100A,100B,100Cのすでに説明した作用により、プロジェクタ1000の高輝度化及び長寿命化が図れる。 なお、本発明のプロジェクタは、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、たとえば次のような変形も可能である。
【0074】
上記実施例では、照明装置100の光を複数の部分光束に分割する2つのレンズアレイ320,340を用いていたが、この発明は、このようなレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。
上記実施例では、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクタの例について説明したが、本発明は、液晶パネル以外の変調装置、例えばマイクロミラーによって画素が構成された変調装置を用いたプロジェクタにも適用することが可能である。
【0075】
上記実施例では、光変調装置を3つ用いたプロジェクタの例について説明したが、本発明は、光変調装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用することができる。
上記実施形態では、透過型の液晶パネルを用いたプロジェクタを例に説明したが、本発明は、反射型の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等の光変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、それが光を反射するタイプであることを意味している。また、光変調装置は液晶パネルに限られるものではなく、例えば、マイクロミラーを用いた装置であってもよい。さらに、本発明の照明光学系は、観察する方向から投写を行う前面投写型プロジェクタにも、また、観察する方向とは反対側から投写を行う背面投写型プロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】 本発明の第一実施形態に係る照明装置の構成図。
【図2】 図1の照明装置の作用説明図。
【図3】 本発明の第二実施形態に係る照明装置の構成図及び作用図。
【図4】 本発明の第三実施形態に係る照明装置の構成図。
【図5a】 本発明の第四実施形態に係る照明装置の構成図。
【図5b】 本発明の第四実施形態に係る照明装置の発光部の拡大構成図。
【図6】 上記実施形態に係る照明装置を備えたプロジェクタの構成図。

Claims (5)

  1. 一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
    前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するように前記前側に位置する封止部に取付けられ、
    前記一対の電極をそれぞれ支持する一対の電極軸を備え、
    前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記電極を支持する電極軸を後側の電極を支持する電極軸より太くおよび/または長くすることによって、前側の電極軸の熱容量を後側の電極軸の熱容量より大きくすると共に、
    前記第二反射鏡が取り付けられた前記前側に位置する封止部を前記後側に位置する封止部よりも太くして、前記前側の電極から該電極を支持する前記電極軸を介して伝えられた熱が前記前側の封止部によって吸収されやすくなると共に該封止部からも放熱されやすいようにしたことを特徴とする照明装置。
  2. 一対の電極間で発光が行われる発光部及び該発光部を挟んで前側に位置する封止部と後側に位置する封止部とを有した発光管と、該発光管の前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
    前記第二反射鏡はその反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲するようにして前記前側に位置する封止部に取付けられ、
    前記一対の電極をそれぞれ支持する一対の電極軸を備え、
    前記一対の電極軸は、前記一対の電極と接続されている側の端部に更に、それぞれ熱伝導部を備え、
    前記一対の電極のうち前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部の熱容量を後側の前記熱伝導部の熱容量より大きくすると共に、
    前記第二反射鏡が取り付けられた前記前側に位置する封止部を前記後側に位置する封止部よりも太くして、前記前側の電極から該電極を支持する前記電極軸を介して伝えられた熱が前記前側の封止部によって吸収されやすくなると共に該封止部からも放熱されやすいようにしたことを特徴とする照明装置。
  3. 前記熱伝導部は、同一のタングステン線を巻いて形成したコイルであって、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部を形成するコイルの巻数を後側の前記熱伝導部の熱容量より大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
  4. 前記熱伝導部は、タングステン線を同一回数巻いて形成したコイルであって、前記第二反射鏡により包囲された前側の前記熱伝導部を形成するタングステン線の太さを後側の前記熱伝導部を形成するタングステン線の太さよりも太くしたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
  5. 照明装置と、該照明装置からの光が入射され与えられた映像情報に応じて該入射光を変調する光変調装置を備えたプロジェクタにおいて、
    前記照明装置として請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された照明装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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