JP4349366B2 - 光源装置及びプロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、源装置及びプロジェクタに関する。
プロジェクタでは、照明光学系から射出された照明光を、液晶パネルなどを用いて画像情報(画像信号)に応じて変調し、変調された光をスクリーン上に投写することにより画像表示を実現している。
照明光学系は、通常、発光管と、この発光管から射出された光を被照明領域に向けて反射するための凹面を有するリフレクタとを含む光源装置を備えている。なお、発光管としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどが利用されている。
ところで、上記のような光源装置においては、プロジェクタの高輝度化が進んで発光管の周囲の温度が上昇することにより、リフレクタが割れやすくなる等の種々の問題が生じてきた。このため、例えば特公平7−92527号公報に記載された光源装置においては、リフレクタの材料として比較的耐熱性の高い結晶化ガラスを用いることにより、熱膨張を低下させることを可能にして、上記した問題を解決している。
特公平7−92527号公報
しかしながら、近年、プロジェクタのさらなる高輝度化が進み、200W以上の出力をもった発光管が用いられるようになってきている。このため、リフレクタにおける発光管に近接する部分の温度が従来よりも上昇し(約400℃以上)、その結果、長時間使用によってその部分の反射膜にクラックが入り反射率が低下するという問題が生じてきた。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率が低下することのないリフレクタを提供することを目的とする。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意努力を重ねた結果、リフレクタ基材の線膨張係数と、このリフレクタ基材の凹面に形成される反射膜における平均的な線膨張係数との差を小さくすることにより、具体的には、リフレクタ基材の線膨張係数と、上記反射膜における誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する材料の線膨張係数との差を所定の値以下にすることにより、上記した目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のリフレクタは、400℃以上の耐熱温度を有するリフレクタ基材と、このリフレクタ基材の凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜とを含み、発光管からの光を被照明領域側に向けて反射するために用いられるリフレクタであって、前記リフレクタ基材の線膨張係数と、前記誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料の線膨張係数との差が50×10−7/K以下であることを特徴とする。
このため、本発明のリフレクタによれば、リフレクタ基材として400℃以上の耐熱温度を有するリフレクタ基材を用いた場合であっても、リフレクタ基材の線膨張係数と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する材料の線膨張係数との差は所定の値以下になるため、リフレクタ基材の線膨張係数と、このリフレクタ基材の凹面に形成される反射膜における平均的な線膨張係数との差も小さくなる。このため、高出力の発光管を用いてリフレクタ基材や誘電体多層膜の温度が上昇しても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
なお、誘電体多層膜の低屈折率膜を構成する誘電体材料としては、通常用いられるSiOを好ましく用いることができる。
このように構成することにより、リフレクタ基材の線膨張係数と、このリフレクタ基材の凹面に形成される反射膜における平均的な線膨張係数との差を小さくすることができるようになる。このため、高出力の発光管を用いても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明のリフレクタにおいては、前記リフレクタ基材がアルミナからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTiO又はTaとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、リフレクタ基材としてのアルミナの線膨張係数(80×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTiOの線膨張係数(90×10−7/K)又はTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明のリフレクタにおいては、前記リフレクタ基材がサファイアからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTa又はTiOとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、リフレクタ基材としてのサファイアの線膨張係数(50×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)又はTiOの線膨張係数(90×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明のリフレクタにおいては、前記リフレクタ基材が石英ガラスからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、リフレクタ基材としての石英ガラスの線膨張係数(5×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明のリフレクタにおいては、前記リフレクタ基材が結晶化ガラスからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、リフレクタ基材としての結晶化ガラスの線膨張係数(1〜15×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明者は、上記したように、リフレクタ基材の線膨張係数と、上記反射膜における誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する材料の線膨張係数との差を所定の値以下にすることにより、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率が低下することのないリフレクタを提供することができることを見出したが、本発明者は、プロジェクタの使用時において凹面の温度が600〜1000℃にもなる補助ミラーでもこれと同じことが言えることを見出した。
本発明の補助ミラーは、600℃以上の耐熱温度を有する補助ミラー基材と、この補助ミラー基材の凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜とを含み、発光管から被照明領域側に射出された光を前記発光管に向けて反射するために用いられる補助ミラーであって、前記補助ミラー基材の線膨張係数と、前記誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料の線膨張係数との差が50×10−7/K以下であることを特徴とする。
このため、本発明の補助ミラーによれば、補助ミラー基材として600℃以上の耐熱温度を有する補助ミラー基材を用いた場合であっても、補助ミラー基材の線膨張係数と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する材料の線膨張係数との差は所定の値以下になるため、補助ミラー基材の線膨張係数と、この補助ミラー基材の凹面に形成される反射膜における平均的な線膨張係数との差も小さくなる。このため、高出力の発光管を用いて補助ミラー基材や誘電体多層膜の温度が上昇しても、これら補助ミラー基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、補助ミラーの反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
なお、前記誘電体多層膜の低屈折率膜を構成する誘電体材料としては、通常用いられるSiOを好ましく用いることができる。
このように構成することにより、補助ミラー基材の線膨張係数と、この補助ミラー基材の凹面に形成される反射膜における平均的な線膨張係数との差を小さくすることができるようになる。このため、高出力の発光管を用いても、これら補助ミラー基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、補助ミラーの反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明の補助ミラーにおいては、前記補助ミラー基材がアルミナからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTiO又はTaとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、補助ミラー基材としてのアルミナの線膨張係数(80×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTiOの線膨張係数(90×10−7/K)又はTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これら補助ミラー基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、補助ミラーの反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明の補助ミラーにおいては、前記補助ミラー基材がサファイアからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTa又はTiOとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、補助ミラー基材としてのサファイアの線膨張係数(50×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)又はTiOの線膨張係数(90×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これら補助ミラー基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、補助ミラーの反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明の補助ミラーにおいては、前記補助ミラー基材が石英ガラスからなり、前記誘電体多層膜が低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜からなることが好ましい。
このように構成することにより、補助ミラー基材としての石英ガラスの線膨張係数(5×10−7/K)と、誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、高出力の発光管を用いても、これら補助ミラー基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、補助ミラーの反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
本発明の光源装置は、発光管と、上記いずれかに記載のリフレクタを備えたことを特徴とする。またさらに、本発明の光源装置は、上記いずれかに記載の補助ミラーと、を備えたことを特徴とする。
このため、本発明の光源装置は、上記のように、高出力の発光管を用いても反射率が低下してしまうことがないリフレクタと、高出力の発光管を用いても反射率が低下してしまうことがない補助ミラーとを備えているため、プロジェクタの高輝度化に好適な光源装置となる。
本発明の光源装置においては、前記補助ミラーの反射膜は、前記リフレクタの反射膜より広い帯域を有することが好ましい。
プロジェクタの使用中においては、リフレクタの凹面における温度は約400〜500℃になるのに対して、補助ミラーの凹面における温度は600〜1000℃にもなる。このため、補助ミラーの反射膜は、その反射帯域がリフレクタの反射膜よりも、より短波長にシフトする。従って、補助ミラーの帯域を予めリフレクタの帯域よりも広く設定しておくことにより、プロジェクタの使用時におけるこれら反射膜の帯域が近似するようになり、光利用効率が高まることになる。
本発明者は、上記したように、リフレクタ基材の線膨張係数と、上記反射膜における誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する材料の線膨張係数との差を所定の値以下にすることにより、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率が低下することのないリフレクタを提供することができることを見出したが、本発明者は、このような光源装置において、以下のような放熱構造をさらに設けることにより、発光管の周囲の温度を低下させることを可能にして、上記した目的がさらに容易に達成できることを見出した。
本発明の光源装置は、前記リフレクタの凸面側に配置され、前記リフレクタに熱的に接続された放熱用の部材をさらに備えることが好ましい。
このため、本発明の光源装置によれば、放熱用の部材によってリフレクタからの熱を系外に放熱することができるため、発光管の周囲の温度を低下させることが可能になる。これにより、高出力の発光管を用いてもリフレクタ基材や誘電体多層膜の温度上昇が抑制され、その結果これらリフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことがさらに効果的に防止できる。
本発明の光源装置においては、前記放熱用の部材は放熱用のフィンを有することが好ましい。
このように構成することにより、リフレクタの熱をさらに効果的に放熱することができるようになる。
本発明の他の光源装置は、400℃以上の耐熱温度を有する楕円面リフレクタ基材と、この楕円面リフレクタ基材の凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜とを含み、前記楕円面リフレクタ基材の線膨張係数と、前記誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料の線膨張係数との差が50×10−7/K以下である楕円面リフレクタと、この楕円面リフレクタの第1焦点の近傍にその発光中心を有する発光管と、前記楕円面リフレクタからの光を略平行化する平行化レンズと、を備えた光源装置であって、前記楕円面リフレクタの凹面側外周部に配置され、前記楕円面リフレクタに熱的に接続された放熱用の枠をさらに備え、この放熱用の枠に前記平行化レンズが取り付けられていることを特徴とする。
このため、本発明の光源装置によれば、放熱用の枠によって楕円面リフレクタの熱を系外に放熱することができるため、発光管の周囲の温度を低下させることが可能になる。これにより、高出力の発光管を用いても楕円面リフレクタ基材や誘電体多層膜の温度上昇が抑制され、その結果これら楕円面リフレクタ基材と誘電体多層膜との間の応力が所定の値以下となり、反射膜にクラックが入って反射率が低下してしまうことがさらに効果的に防止できる。
また、この放熱用の枠に平行化レンズを取り付けることで、平行化レンズを楕円面リフレクタに対して容易に一体化できるようになる。
本発明の他の光源装置においては、前記放熱用の枠は放熱用のフィンを有することが好ましい。
このように構成することにより、楕円面リフレクタの熱をさらに効果的に放熱することができるようになる。
本発明の他の光源装置においては、前記放熱用の枠の内面には、赤外線吸収層が形成されてなることが好ましい。
このように構成することにより、画像表示にとっては本来不要な赤外線をこの赤外線吸収層が吸収して、この吸収熱を放熱用の枠から系外に放熱することができるようになる。
本発明の他の光源装置においては、上記いずれかに記載の補助ミラーをさらに備えたことが好ましい。
このように構成することにより、補助ミラーが、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率が低下してしまうことがない補助ミラーであるため、プロジェクタの高輝度化に好適な光源装置となる。
本発明のプロジェクタは、上記いずれかに記載の光源装置を含む照明光学系と、この照明光学系からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、この電気光学変調装置からの変調光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とする。
このため、本発明のプロジェクタは、光源装置が、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率が低下してしまうことがない光源装置であるため、高輝度化の容易なプロジェクタとなる。
以下、本発明が適用されたリフレクタ、補助ミラー、光源装置及びこれらを備えたプロジェクタについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る光源装置110Aの断面図である。この光源装置110Aは、発光管としての200Wの高圧水銀ランプ10と、この高圧水銀ランプ10からの光を被照明領域(図示せず)側に向けて反射するために用いられる放物面リフレクタ20Aと、この放物面リフレクタ20Aの開口部に取り付けられている透光性の前面ガラス30とを備えている。
高圧水銀ランプ10は、図1に示すように、中央部が球状に膨出した石英ガラス管から構成され、中央部分の発光部と、この発光部の両側に延びる一対の封止部とを備える。
発光部の内部には、所定距離離間配置される一対のタングステン製の電極と、水銀、希ガス、および少量のハロゲンが封入されている。
発光部の両側に延出する一対の封止部の内部には、発光部の電極と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔がそれぞれ送入され、ガラス材料等で封止されている。各金属箔には、さらに電極引出線としてのリード線が接続され、このリード線は、光源装置110Aの外部まで延出している。
そして、リード線に電圧を印加すると、金属箔を介して電極間に電位差が生じて放電が生じ、アーク像が生成して発光部が発光する。
なお、発光部の外周面には、タンタル酸化膜、ハフニウム酸化膜、チタン酸化膜等を含む多層膜の反射防止コートを施しておくと、そこを通過する光の反射による光損失を低減することができる。
放物面リフレクタ20Aは、放物面リフレクタ基材22Aと、放物面リフレクタ基材22Aの凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜24Aとを有している。放物面リフレクタ20Aの内部に配置される高圧水銀ランプ10は、発光部内の電極間の発光中心が放物面リフレクタ20Aの焦点近傍となるように配置されている。
そして、この光源装置110Aにおいては、高圧水銀ランプ10からの光は、放物面リフレクタ20Aにおける反射膜24Aで反射され、照明光軸110Aaxに略平行な平行光として前面ガラス30を通過して被照明領域(+z方向)側に射出される。このときの放物面リフレクタ20Aの高圧水銀ランプ10近傍部分の温度は約400〜500℃となっている。
なお、照明光軸110Axとは、光源装置110Aから射出される照明光束の中心軸である。
光源装置110Aにおける放物面リフレクタ20Aにおいては、放物面リフレクタ基材22Aが石英ガラスからなる。また、反射膜24Aが、低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜(40層)からなる誘電体多層膜からなる。
このため、放物面リフレクタ基材22Aとしての石英ガラスの線膨張係数(5×10−7/K)と、反射膜24Aとしての誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が45×10−7/Kとなる。その結果、これら放物面リフレクタ基材22Aの線膨張係数と反射膜24Aにおける平均的な線膨張係数との差が小さくなり、このような高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、放物面リフレクタ基材22Aと反射膜24Aとの間に発生する応力が所定の値以下となり、反射膜24Aにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
図2は、光源装置110Aにおける放物面リフレクタ20Aの反射膜24Aの透過特性(反射率)を示す図である。図2に示すように、放物面リフレクタ20Aの反射膜24Aは、プロジェクタの画像表示に必要な可視光帯域の光を反射しているのがわかる。
さらに、石英ガラスは紫外線帯域を良く透過するので、紫外線吸収による発熱が少なく、反射膜24Aのクラックによる剥離が防止できる。
図3は、光源装置110Aにおける放物面リフレクタ基材22Aの製造方法を説明するための図である。図3(a)は放物面リフレクタ基材の一の製造方法(プレス成形法)を説明するための図であり、図3(b)は放物面リフレクタ基材の他の製造方法(気圧成形法)を説明するための図である。
放物面リフレクタ基材の一の製造方法(プレス成形法)は、図3(a)に示すように、放物面リフレクタ基材の材料である石英ガラスWを、下型MLと上型MUとの間に入れた状態でプレス成形を行う。この製造方法によれば、上型MUの転写により、放物面リフレクタ基材を比較的容易に製造することができる。また、高精度の上型MUを用いることによって、高精度の凹面を有する高品質の放物面リフレクタ基材22Aを製造することができる。
放物面リフレクタ基材の他の製造方法(気圧成形法)は、図3(b−1)に示すように、放物面リフレクタ基材の材料である石英ガラスの管Tの一部を加熱する。次に、図3(b−2)に示すように、型Mに入れた後に、不活性ガスにより内圧をかけながら管の中心部を膨張させて、内面が所望の形状を有するように成形する工程と、この成形された管を中央部と両端部で切断する工程と、を含む。この製造方法によれば、反射面となる内側は、通常引き抜き時の型によって良好に管理されている石英ガラスの管の内面を出発形状とするため、良好な反射面が得られ常に高い反射率を維持できる。また、一度に2個の成形が可能になるため低コスト化も可能である。この製造方法によれば、反射面が金型と接触しないで成形できるため、表面粗さの小さい凹面を有する高反射率、高品質の放物面リフレクタ基材22Aを製造することができる。
次に、本発明の実施形態2を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記実施形態1と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図4は、本発明の実施形態2に係る光源装置110Bの断面図である。この光源装置110Bは、発光管としての200Wの高圧水銀ランプ10と、この高圧水銀ランプ10からの光を被照明領域(図示せず)側に向けて反射するために用いられる楕円面リフレクタ20Bと、高圧水銀ランプ10から被照明領域側に射出される光を高圧水銀ランプ10に向けて反射するために用いられる補助ミラー40Bと、楕円面リフレクタ20Bからの光を略平行化する平行化レンズ50と、を備えている。
楕円面リフレクタ20Bは、楕円面リフレクタ基材22Bと、楕円面リフレクタ基材22Bの凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜24Bとを有している。楕円面リフレクタ20Bの内部に配置される高圧水銀ランプ10は、発光部内の電極間の発光中心が楕円面リフレクタ20Bの回転楕円面の第1焦点位置の近傍となるように配置される。
そして、この光源装置110Bにおいては、高圧水銀ランプ10からの光は、楕円面リフレクタ20Bにおける反射膜24Bで反射されて楕円面リフレクタ20Bの回転楕円面の第2焦点位置に集束する集束光となり、平行化レンズ50を通過して照明光軸110Baxに略平行な平行光となって被照明領域(+z方向)側に射出される。このときの楕円面リフレクタ20Bの高圧水銀ランプ10近傍部分温度は約300〜400℃となっている。
なお、照明光軸110Bxとは、光源装置110Bから射出される照明光束の中心軸である。
補助ミラー40Bは、補助ミラー基材42Bと、補助ミラー基材42Bの凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜44Bとを有している。補助ミラー40Bは、補助ミラー40Bの焦点が高圧水銀ランプ10の発光部内の電極間の発光中心近傍となるように配置されている。そして、この光源装置110Bにおいては、高圧水銀ランプ10から被照明領域側に射出された光は、補助ミラー40Bにおける反射膜44Bで高圧水銀ランプ10に向けて反射され、光利用効率の向上が図られている。このときの補助ミラー40Bの温度は約600〜1000℃となっている。
補助ミラー40Bは、高圧水銀ランプ10の発光部をはさんで楕円面リフレクタ20Bと対向配置される反射素子である。補助ミラー40Bを高圧水銀ランプ10の発光部の被照明領域側に設けることにより、図4に示すように、高圧水銀ランプ10の発光部から放射された光束のうち楕円面リフレクタ20Bとは反対側(被照明領域側)に放射される光束は、この補助ミラー40Bによって高圧水銀ランプ10に向かって反射され、さらに高圧水銀ランプ10を透過して楕円面リフレクタ20Bに入射して、高圧水銀ランプ10から直接楕円面リフレクタ20Bに入射した光束と同様に、楕円面リフレクタ20Bで反射されて第2焦点位置に向かって集束する集束となり、平行化レンズ50を通過して照明光軸110Baxに略平行な平行光となって被照明領域(+z方向)側に射出される。
前述のようにこのような補助ミラー40Bを用いることにより、高圧水銀ランプ10から楕円面リフレクタ20Bとは反対側(非照明領域側)に放射される光束が、高圧水銀ランプ10から楕円面リフレクタ20Bに直接入射した光束と同様に、楕円面リフレクタ20Bに入射させることができる。
従来の補助ミラー40Bを設けない光源装置は、高圧水銀ランプ10から射出された光束を楕円面リフレクタのみで第2焦点位置に集束しなければならず、楕円面リフレクタの反射面積を広げなければならなかった。
しかし補助ミラー40Bを設けることにより、高圧水銀ランプ10から楕円面リフレクタ20Bとは反対側(非照明領域側)に放射される光束を補助ミラー40Bにて楕円面リフレクタ20Bに入射するよう後方側に反射させることができるため、楕円面リフレクタ20Bの反射面積が小さくても、高圧水銀ランプ10から射出された光束のほとんどすべてを一定位置に集束させるように射出でき、楕円面リフレクタ20Bの照明光軸110Bax方向寸法および開口径を小さくすることができる。すなわち、光源装置110Bを小型化でき、光源装置110Bを他の光学装置内に組込むレイアウトも容易になる。
また、補助ミラー40Bを設けることにより、楕円面リフレクタ20Bの第2焦点での集光スポット径を小さくするために楕円面リフレクタ20Bの第1焦点と第2焦点とを近づけたとしても、高圧水銀ランプ10から放射された光のほとんど全てが楕円面リフレクタ20Bおよび補助ミラー40Bにより第2焦点に集光されて利用可能となり、光の利用効率を大幅に向上させることができる。このことから、比較的低出力の高圧水銀ランプ10が採用可能となり、光源装置110Bの低温化を図ることも可能である。
光源装置110Bにおける楕円面リフレクタ20Bにおいては、楕円面リフレクタ基材22Bが透光性アルミナからなる。また、反射膜24Bが、低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTiOとの積層膜(40層)からなる誘電体多層膜からなる。
このため、楕円面リフレクタ基材22Bとしての透光性アルミナの線膨張係数(80×10−7/K)と、反射膜24Bとしての誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTiOの線膨張係数(90×10−7/K)との差が10×10−7/Kとなる。その結果、これら楕円面リフレクタ基材22Bの線膨張係数と反射膜24Bにおける平均的な線膨張係数との差が小さくなり、このような高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、楕円面リフレクタ基材22Bと反射膜24Bとの間に発生する応力が所定の値以下となり、反射膜24Bにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
光源装置110Bにおける補助ミラー40Bにおいては、補助ミラー基材42Bが透光性アルミナからなる。また、反射膜44Bが、低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTiOとの積層膜(40層)からなる誘電体多層膜からなる。
このため、補助ミラー基材42Bとしての透光性アルミナの線膨張係数(80×10−7/K)と、反射膜44Bとしての誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTiOの線膨張係数(90×10−7/K)との差が10×10−7/Kとなる。
その結果、これら補助ミラー基材42Bの線膨張係数と反射膜44Bにおける平均的な線膨張係数との差が小さくなり、このような高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、補助ミラー基材42Bと反射膜44Bとの間に発生する応力が所定の値以下となり、補助ミラー40Bの反射膜44Bにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
図5は、光源装置110Bにおける楕円面リフレクタ20Bの反射膜24B(実線)及び補助ミラー40Bの反射膜44B(破線)の透過特性(反射率)を示す図である。図5に示すように、この光源装置110Bにおいては、補助ミラー40Bの反射膜44Bは、楕円面リフレクタ20Bの反射膜24Bより広い帯域を有している。
プロジェクタの使用中においては、楕円面リフレクタ20Bの凹面における高圧水銀ランプ10近傍部分の温度は約300〜400℃になるのに対して、補助ミラー40Bの凹面における温度は600〜1000℃にもなる。このため、補助ミラー40Bの反射膜44Bは、その反射帯域が楕円面リフレクタ20Bの反射膜24Bよりも、より短波長にシフトする。従って、図5に示すように、補助ミラー40Bの反射膜44Bの帯域を予め楕円面リフレクタ20Bの反射膜24Bの帯域よりも広く設定しておくことにより、プロジェクタの使用時におけるこれら反射膜24B,44Bの帯域が近似するようになり、光利用効率が高まることになる。
実施形態2に係る光源装置110Bは、図4及び図6に示すように、楕円面リフレクタ20Bの凸面側の開口部に、碍子によるランプ固定体25を接着し、ランプ固定体25に、高圧水銀ランプ10と放熱用の部材26Bが接続固定されている。また、楕円面リフレクタ20Bの凹面側外周部に配置された放熱用の枠28Bをさらに備えている。図6は、放熱用の部材及び枠を示す平面図である。これら放熱用の部材26B及び放熱用の枠28Bはいずれも楕円面リフレクタ20Bに熱的に接続されている。また、放熱用の枠28Bには平行化レンズ50が取り付けられている。実施形態2のアルミナのリフレクタは熱伝導性が高いため、楕円面リフレクタ20Bの熱は碍子によるランプ固定体25を通して放熱用の部材26Bに伝わり放熱される。
放熱用の部材26B及び放熱用の枠28Bは、熱伝導性のよい銅からなっている。さらに、放熱用の枠28Bの内面には、赤外線吸収層が形成されている。また、放熱用の部材26B及び放熱用の枠28Bは、図6に示すように、多数の放熱フィン27B,29Bを有しており、放熱性の向上が図られている。また、表面を酸化処理などにより輻射効率を高めてある。放熱用の部材26B及び放熱用の枠28Bとしては、銅に代えてアルミニウムなどの他の金属を用いることもできる。また、ランプ固定体25、放熱用の部材26B及び放熱フィン27Bを同一の熱伝導性の碍子で構成しても良い。
このため、実施形態2に係る光源装置110Bによれば、放熱用の部材26Bによって楕円面リフレクタ20Bの熱を系外に放熱することができるため、高圧水銀ランプ10の周囲の温度を低下させることが可能になる。また、実施形態2に係る光源装置110Bによれば、放熱用の枠28Bによっても楕円面リフレクタ20Bの熱を系外に放熱することが可能になる。これにより、高出力の高圧水銀ランプ10を用いても楕円面リフレクタ基材22Bや反射膜24Bの温度上昇が抑制され、その結果これら楕円面リフレクタ基材22Bと反射膜24Bとの間の応力が所定の値以下となり、反射膜24Bにクラックが入って反射率が低下してしまうことがさらに効果的に防止できる。
また、実施形態2に係る光源装置110Bによれば、放熱用の枠28Bに平行化レンズ50を取り付けることで、平行化レンズ50を楕円面リフレクタ20Bに対して容易に一体化できるようになる。このため、光源装置110Bは密閉型のランプとなり、ランプが破裂した場合に破片が外部に飛散しないなど、取扱い性、安全性に有意である。
さらに、実施形態2の効果を上げるために、冷却ファンを配置し、放熱フィン27B,29B及びアルミナの楕円面リフレクタ20Bの外面全体を冷却風が流れるようにすることもできる。また、放熱用の部材26B、放熱用の枠28B及び放熱フィン27B,29Bをリフレクタと同じ材料であるアルミナ結晶体で同形状に構成し、赤外線の吸収をなくすことも効果がある。
次に、本発明の実施形態3を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記実施形態1及び2と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、本発明の実施形態3に係る光源装置110Cの斜視図である。この光源装置110Cは、発光管としての200Wの高圧水銀ランプ10と、この高圧水銀ランプ10からの光を被照明領域(図示せず)側に向けて反射するために用いられる放物面リフレクタ20Cと、高圧水銀ランプ10から被照明領域側に射出される光を高圧水銀ランプ10に向けて反射するために用いられる補助ミラー40Cと、を備えている。
放物面リフレクタ20Cは、放物面リフレクタ基材22Cと、放物面リフレクタ基材22Cの凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜24Cとを有している。放物面リフレクタ20Cの内部に配置される高圧水銀ランプ10は、発光部内の電極間の発光中心が放物面リフレクタ20Cの焦点近傍となるように配置されている。そして、この光源装置110Cにおいては、高圧水銀ランプ10からの光は、放物面リフレクタ20Cにおける反射膜24Bで反射されて略平行光となって被照明領域(+z方向)側に射出される。このときの放物面リフレクタ20Cの高圧水銀ランプ10近傍部分の温度は約450〜550℃となっている。
補助ミラー40Cは、補助ミラー基材42Cと、補助ミラー基材42Cの凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜44Cとを有している。補助ミラー42Cは、補助ミラー42Cの焦点が高圧水銀ランプ10の発光部内の電極間の発光中心近傍となるように配置されている。そして、この光源装置110Cにおいては、高圧水銀ランプ10から被照明領域側に射出された光は、補助ミラー40Cにおける反射膜44Cで放物面リフレクタ20Cに向けて反射され、光利用効率の向上が図られている。このときの補助ミラー40Cの温度は約600〜1000℃となっている。
補助ミラー42Cは、高圧水銀ランプ10の発光部をはさんで放物面リフレクタ20Cと対向配置される反射素子である。補助ミラー42Cを高圧水銀ランプ10の発光部の被照明領域側に設けることにより、図7に示すように、高圧水銀ランプ10の発光部から放射された光束のうち放物面リフレクタ20Cとは反対側(被照明領域側)に放射される光束は、この補助ミラー42Cによって高圧水銀ランプ10に向かって反射され、さらに高圧水銀ランプ10を透過して放物面リフレクタ20Cに入射して、高圧水銀ランプ10から直接放物面リフレクタ20Cに入射した光束と同様に、放物面リフレクタ20Cで反射されて照明光軸110Caxに略平行な平行光となって被照明領域(+z方向)側に射出される。
なお、照明光軸110Cxとは、光源装置110Cから射出される照明光束の中心軸である。
前述のようにこのような補助ミラー42Cを用いることにより、高圧水銀ランプ10から放物面リフレクタ20Cとは反対側(非照明領域側)に放射される光束が、高圧水銀ランプ10から放物面リフレクタ20Cに直接入射した光束と同様に、放物面リフレクタ20Cに入射させることができる。
従来の補助ミラー42Cを設けない光源装置は、高圧水銀ランプ10から射出された光束を放物面リフレクタのみで照明光軸100Caxに略平行な平行光としなければならず、放物面リフレクタの反射面積を広げなければならなかった。
しかし補助ミラー42Cを設けることにより、高圧水銀ランプ10から放物面リフレクタ20Cとは反対側(非照明領域側)に放射される光束を補助ミラー42Cにて放物面リフレクタ20Cに入射するよう後方側に反射させることができるため、放物面リフレクタ20Cの反射面積が小さくても、高圧水銀ランプ10から射出された光束のほとんどすべてを照明光軸110Caxに略平行に射出でき、放物面リフレクタ20Cの照明光軸110Cax方向寸法および開口径を小さくすることができる。すなわち、光源装置110Cを小型化でき、光源装置110Cを他の光学装置内に組込むレイアウトも容易になる。
光源装置110Cにおける放物面リフレクタ20Cにおいては、放物面リフレクタ基材22Cが、LiO−SiO−Alの結晶体を含む結晶化ガラスからなる。結晶化ガラスは紫外線を吸収するため、実施形態1,2に比較してリフレクタは高温となる。
また、反射膜24Cが、低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜(40層)からなる誘電体多層膜からなる。
このため、放物面リフレクタ基材22Cとしての結晶化ガラスの線膨張係数(1〜15×10−7/K)と、反射膜24Cとしての誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が50×10−7/K以下となる。その結果、これら放物面リフレクタ基材22Cの線膨張係数と反射膜24Cにおける平均的な線膨張係数との差が小さくなり、このような高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、放物面リフレクタ基材22Cと反射膜24Cとの間に発生する応力が所定の値以下となり、反射膜24Cにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
光源装置110Cにおける補助ミラー40Cにおいては、補助ミラー基材42Cが石英ガラスからなる。また、反射膜44Cが、低屈折率膜としてのSiOと高屈折率膜としてのTaとの積層膜(40層)からなる誘電体多層膜からなる。
このため、補助ミラー基材42Cとしての石英ガラスの線膨張係数(5×10−7/K)と、反射膜44Cとしての誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料としてのTaの線膨張係数(50×10−7/K)との差が45×10−7/Kとなる。その結果、これら補助ミラー基材42Cの線膨張係数と反射膜44Cにおける平均的な線膨張係数との差が小さくなり、このような高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、補助ミラー基材42Cと反射膜44Cとの間に発生する応力が所定の値以下となり、補助ミラー40Cの反射膜44Cにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できるようになる。
図8は、リフレクタと補助ミラーについて、その基材の材料と反射膜を構成する誘電体多層膜の高屈折率膜の材料との関係を示す図である。図8において、符号◎は、高出力の発光管を用いても長時間の使用で反射率の低下が見られずに特に好適に使用できることを示しており、符号○は反射率の低下が見られずに好適に使用できることを示しており、符号×は反射率の低下が見られる場合があり好適には使用できないことを示している。また、リフレクタ基材及び補助ミラー基材の「使用不適」とは、材料の歪点に近い状態での使用となるためである。
次に、本発明の実施形態4を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記実施形態1〜3と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、本発明を適用したプロジェクタの一例を示す概略構成図である。プロジェクタ1000は、照明光学系100と、色光分離光学系200と、リレー光学系300と、光学装置と、投写光学系600とを備えている。これらの光学系100〜300を構成する光学素子および光学装置は、所定の照明光軸Zが設定された光学部品用筐体内に位置決め調整されて収納されている。
照明光学系100は、実施形態1の光源装置110Aと均一照明光学系とを備える。
光源装置110Aは、高圧水銀ランプ10から放射された光束を一定方向に揃えて射出し、光学装置を照明するものである。
そして、光源装置110Aから放射された光束は、均一照明光学系に射出される。
均一照明光学系は、光源装置110Aから射出された光束を複数の部分光束に分割し、照明領域の面内照度を均一化する光学系である。この均一照明光学系は、第1レンズアレイ120、反射ミラー125、第2レンズアレイ130、偏光変換素子140、および重畳レンズ150を備えている。
第1レンズアレイ120は、光源装置110Aから射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Zと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成される。
第2レンズアレイ130は、上述した第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ120と同様に照明光軸Zに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成を有している。
反射ミラー125は、第1レンズアレイ120から射出された光を反射して第2レンズアレイに入射させる。
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束の偏光方向を略一方向の直線偏光に揃える偏光変換素子である。
この偏光変換素子120は、図示を略したが、照明光軸Zに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射膜を交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射膜によって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Zに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子140の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、略全ての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子140を用いることにより、光源装置110Aから射出される光束を、略一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置で利用する光源光の利用率を向上することができる。
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、反射ミラー125,第2レンズアレイ130、および偏光変換素子140を経た複数の部分光束を集光して光学装置の後述する3つの液晶表示装置400R,400G,400Bの画像形成領域上に重畳させる光学素子である。
この重畳レンズ150から射出された光束は、色光分離光学系200に射出される。
色光分離光学系200は、2枚のダイクロイックミラー210,220とを備え、ダイクロイックミラー210,220により照明光学系100から射出された複数の部分光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を具備する。
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。そして、光路前段に配置されるダイクロイックミラー210は、赤色光を透過し、その他の色光を反射するミラーである。また、光路後段に配置されるダイクロイックミラー220は、緑色光を反射し、青色光を透過するミラーである。
リレー光学系300は、入射側レンズ310と、リレーレンズ330と、反射ミラー320,340とを備え、色光分離光学系200を構成するダイクロイックミラー220を透過した青色光を光学装置まで導く機能を有している。なお、青色光の光路にこのようなリレー光学系300が設けられているのは、青色光の光路長が他の色光の光路長よりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本実施形態においては青色光の光路長が長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路長を長くしてリレー光学系300を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
上述したダイクロイックミラー210により分離された赤色光は、反射ミラー230により曲折された後、フィールドレンズを介して光学装置に供給される。また、ダイクロイックミラー220により分離された緑色光は、そのままフィールドレンズを介して光学装置に供給される。さらに、青色光は、リレー光学系300を構成するレンズ310,330および反射ミラー320,340により集光、曲折されてフィールドレンズを介して光学装置に供給される。なお、光学装置の各色光の光路前段に設けられるフィールドレンズは、第2レンズアレイ130から射出された各部分光束を、照明光軸Zに対して略平行な光束に変換するために設けられている。
光学装置は、入射した光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものである。この光学装置は、照明対象となる光変調装置としての液晶表示装置400R,400G,400B(赤色光側の液晶表示装置を400R、緑色光側の液晶表示装置を400G、青色光側の液晶表示装置を400Bとする)と、クロスダイクロイックプリズム500とを備えて構成される。なお、フィールドレンズおよび各液晶表示装置400R,400G,400Bの間には、入射側偏光板が介在配置され、各液晶表示装置400R,400G,400Bおよびクロスダイクロイックプリズム500の間には、射出側偏光板が介在配置され、入射側偏光板、液晶表示装置400R,400G,400B、および射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
液晶表示装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号にしたがって、入射側偏光板44から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム500は、前記射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜は、青色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投射され、スクリーンSC上で大画面画像を形成する。
なお、図9に示すようなプロジェクタの各部の構成および機能については、例えば、本願出願人によって開示された特開平10−325954号公報に詳述されている。
このプロジェクタ1000においては、照明光学系100の光源装置として、図1に示す光源装置110Aが用いられている。この光源装置110Aは、前述したように、高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、放物面リフレクタ基材22Aと反射膜24Aとの間に発生する応力が所定の値以下となり、反射膜24Aにクラックが入って反射率が低下してしまうことが効果的に防止できる放物面リフレクタ20Aを備えている。したがって、この光源装置110Aを備えたプロジェクタ1000は、高出力の高圧水銀ランプ10を用いても、長時間の使用で反射率が低下してしまうことのない、高輝度化に好適なプロジェクタとなる。
なお、本発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態2で説明した放熱用の部材26Bを、実施形態1の光源装置110Aまたは光源装置110Cに用いても良い。
上記実施形態2の光源装置110Bは、補助ミラー40Bを備えない構成としてもよい。
上記実施形態4のプロジェクタ1000においては、照明光学系100の光源装置として、光源装置110Aが用いられていたが、これに限らず、プロジェクタ1000に光源装置110Bまたは光源装置110Cを備えても良い。
上記実施形態4のプロジェクタ1000においては、3つの液晶表示装置400R,400G,400Bを用いた例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶表示装置のみを用いたプロジェクタ、2つの液晶表示装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶表示装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
上記実施例のプロジェクタ1000においては、透過型のプロジェクタに本発明の光源装置を適用した場合を例示しているが、本発明は反射型のプロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型液晶パネル等のように光変調手段としての電気光学装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型液晶パネルのように光変調手段としての電気光学装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクタにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクタと同様の効果を得ることができる。
上記実施例において、プロジェクタ1000は、電気光学装置として液晶パネルを用いているが、これに限られない。電気光学装置としては、一般に、入射光を画像情報に応じて変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを利用してもよい。
マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
実施形態1に係る光源装置の断面図。 実施形態1に係る光源装置における放物面リフレクタの透過特性を示す図。 実施形態1に係る光源装置における放物面リフレクタの製造方法を説明するための図。 実施形態2に係る光源装置の断面図。 実施形態2に係る光源装置における楕円面リフレクタ及び補助ミラーの透過特性を示す図。 実施形態2に係る光源装置における放熱用の部材及び放熱用の枠を示す平面図。 実施形態3に係る光源装置の断面図。 リフレクタと補助ミラーについて、その基材の材料と反射膜を構成する誘電体多層膜の高屈折率膜の材料との関係を示す図。 実施形態4に係るプロジェクタの一例を示す概略構成図。

Claims (4)

  1. 発光管と、
    400℃以上の耐熱温度を有するリフレクタ基材と、このリフレクタ基材の凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜とを含み、発光管からの光を被照明領域側に向けて反射するために用いられるリフレクタであって、前記リフレクタ基材の線膨張係数と、前記誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料の線膨張係数との差が50×10−7/K以下リフレクタと、
    600℃以上の耐熱温度を有する補助ミラー基材と、この補助ミラー基材の凹面に形成された誘電体多層膜からなる反射膜とを含み、発光管から被照明領域側に射出された光を前記発光管に向けて反射するために用いられる補助ミラーであって、前記補助ミラー基材の線膨張係数と、前記誘電体多層膜の高屈折率膜を構成する誘電体材料の線膨張係数との差が50×10 −7 /K以下の補助ミラーと、
    を備えた光源装置において、
    前記補助ミラーの反射膜は、前記リフレクタの反射膜より広い帯域を有することを特徴とする光源装置。
  2. 請求項記載の光源装置において、
    前記リフレクタの凸面側に配置され、前記リフレクタに熱的に接続された放熱用の部材をさらに備えたことを特徴とする光源装置。
  3. 請求項記載の光源装置において、
    前記放熱用の部材は放熱用のフィンを有することを特徴とする光源装置。
  4. 請求項2または3記載の光源装置を含む照明光学系と、
    この照明光学系からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
    この電気光学変調装置からの変調光を投写する投写光学系と、
    を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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