JP4266694B2 - 窒化物半導体レーザ素子および光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子およびこれを用いた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
GaN、AlN、InNおよびそれらの混晶に代表される窒化物半導体は、大きなエネルギーバンドギャップと高い熱的安定性を有するため、発光素子や高温デバイスをはじめとして、様々な半導体デバイスに応用されつつある。中でもレーザダイオード(LD)は、実用化間近の段階にある。その開発においては、比較的入手しやすいサファイア等の絶縁性基板を使用することが試みられてきた。それらは例えば、特許文献1〜5に開示されている。しかし、サファイア基板を使用した場合、基板とGaNエピタキシャル層との間の約14%という大きな格子不整合から生じる格子歪や、エピタキシャル層中に導入される108〜1010cm-2もの高密度の転位欠陥が、素子寿命等の信頼性特性に悪影響を及ぼしてきた。また、サファイア基板と窒化物半導体成長層との劈開方向が異なるため、劈開法による良好な端面が得にくいといった問題もある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−277437号公報
【特許文献2】
特開2002−9004号公報
【特許文献3】
特開2002−33282号公報
【特許文献4】
特開2002−33512号公報
【特許文献5】
特開2002−100579号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題を解消すべく、エピタキシャル層と同じく窒化物半導体であるGaNを基板として使用する素子の開発を行っている。その結果、上記問題を解消して窒化物半導体レーザ素子の特性を大きく向上できる結果が得られつつあるが、未だ、常に良好な窒化物半導体レーザ素子が得られるとは限らず、レーザ素子の歩留りが25%程度にとどまっていた。本発明者らが、その原因について詳細に調査をしたところ、熱処理、研磨等の各工程において、熱衝撃や機械的ストレス等が加えられると、基板中に設けた転位集中領域あるいは転位集中領域上のエピタキシャル層の部分から、レーザ動作が行われる光導波領域、或いは該光導波領域周辺まで、欠陥が広がることが判明した。これが、窒化物半導体レーザ素子の歩留まりを大きく左右する一因であると考えられる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、高歩留りの窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。また、該窒化物半導体レーザを用いた光学装置を提供することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板と、その上に積層された窒化物半導体成長層とを備える窒化物半導体レーザ素子であって、前記窒化物半導体基板は、面内に、基板中に渡って存在する転位集中領域と、転位集中領域を除いた領域である低転位領域とを有し、前記窒化物半導体成長層が半導体レーザ素子の活性領域を構成するpn接合を有するとともに、ストライプ状のレーザ光導波領域を有し、該レーザ光導波領域は、前記低転移領域に配置され、前記窒化物半導体成長層上面から、少なくとも、前記pn接合を構成する界面まで掘り込んだ溝部が、前記転位集中領域に設けられることを特徴とする。
【0007】
このように、前記溝部(トレンチ)によって、転位集中領域から欠陥がレーザ光導波領域、或いはレーザ光導波領域周辺まで伝搬することを防止することが可能となり、良好な電圧-電流特性が確保できて、高歩留りのレーザ素子を得ることができる。
【0010】
また、他の本発明の窒化物半導体レーザ素子窒化物半導体基板と、その上に積層された窒化物半導体成長層とを備える窒化物半導体レーザ素子であって、前記窒化物半導体基板は、面内に、基板中に渡って存在する転位集中領域と、転位集中領域を除いた領域である低転位領域とを有し、前記窒化物半導体成長層が半導体レーザ素子の活性領域を構成するpn接合を有するとともに、ストライプ状のレーザ光導波領域を有し、該レーザ光導波領域は、前記低転移領域に配置され、前記窒化物半導体成長層上面から、少なくとも、前記pn接合を構成する界面まで掘り込んだ溝部が、前記レーザ光導波領域と前記転位集中領域との間に設けられる、もしくは、前記転位集中領域に設けられ、前記溝部の少なくとも側面に、絶縁膜を備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、エピタキシャル成長層中の特に転位集中領域の上方の領域に引き継がれた欠陥が上面に達して露出したとしても、トレンチ及び電流遮断の役割を持つ絶縁膜が備えられているため、pn接合を跨いだ転位に沿って電流経路が形成されることはなく、良好で安定した電流-電圧特性が得られ、高歩留りのレーザ素子を得ることができる。
【0012】
なお、前記絶縁膜は、Si、Zn、Pb、Ti、Zr、Ce、Hf、Al、Bi、Cr、In、Nd、Sb、Ta、Yのいずれかの酸化物、Si、Al、Ga、Inのいずれかの窒化物、Al、Ba、Ce、Ca、Mg、Nd、Pb、Srのいずれかの弗化物、ZnS、ZnSeのうちの少なくとも1種類を含む誘電体で構成することが出来る。
【0013】
これらは、SiO2、SiN、SiO、ZnO、PbO、TiO2、ZrO2、CeO2、HfO2、Al23、Bi23、Cr23、In23、Nd23、Sb23、Ta25、Y23、AlF3、BaF2、CeF2、CaF2、MgF2、NdF3、PbF2、SrF2、ZnS、ZnSe、および窒化物半導体のうちの少なくとも1種類を含む誘電体で有り得る。
【0014】
また、前記窒化物半導体基板の転位集中領域が、ストライプ状のレーザ光導波領域と略平行なストライプ状であることを特徴とする。
【0015】
このように、窒化物半導体基板の転位集中領域(窒化物半導体成長層まで、ある程度の転位は引き継がれる)を、前記の形状とすることで、円形状等の他の形状と比較して、より多くの転位を転位集中領域へ集中させることが可能となり、ストライプ状のレーザ光導波領域における転位等の欠陥が減少し、良好な電流−電圧特性が得られ、高歩留りの半導体レーザ素子を得ることができる。
【0017】
本明細書で説明する窒化物半導体とは、少なくともAlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で構成された半導体を含む。さらに、窒化物半導体は、その構成成分である窒素元素の約20%以下が、As、P、SbのV族元素群のうち少なくともいずれかの元素で置換されても構わない。
【0018】
窒化物半導体基板として、最も好ましくは、二元結晶となるGaN基板である。二元結晶とすることで、組成が一定となり、基板として安定した特性のものが得られやすくなるとともに、その上にエピタキシャル成長を行う際にも、組成の変化が無くなる。また、GaNとすることで、良好な導電性が得られるようにもなる。次いでは、AlGaN基板である。AlGaN基板のように、屈折率がGaNよりも小さい材料を基板として用いることで、紫外〜青色領域の窒化物系半導体レーザを構成する場合、レーザ光伝播モードに与える影響が小さくなり、放射光ファーフィールドパターンのリップルの低減に貢献する。
【0019】
また、窒化物半導体基板は、n型もしくはp型のドーパント等の不純物が添加されていても構わない。不純物としては、Cl、O、S、Se、Te、C、Si、Ge、Zn、Cd、MgおよびBe等を用いることができる。その不純物の総添加量は5×1016/cm3以上5×1020/cm3以下が好ましい。窒化物半導体基板がn型導電性を有するための不純物としては、前記不純物群のうち、Si、Ge、O、Se、Clのいずれかが特に好ましい。
【0020】
本明細書で説明する活性層とは、井戸層もしくは井戸層と障壁層から構成された層の総称を指すものとする。例えば、単一量子井戸構造の活性層は、1つの井戸層のみから構成されるか、あるいは、障壁層/井戸層/障壁層から構成される。また、多重量子井戸構造の活性層は複数の井戸層と複数の障壁層から構成される。
【0021】
なお、結晶の面や方位を示す指数が負の場合、絶対値の上に横線を付して表記するのが結晶学の決まりであるが、本明細書では、そのような表記ができないため、絶対値の前に負号「−」を付して負の指数を表す。
【0022】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態の半導体レーザ素子を光出射方向から見た縦断面模式図である。図1において、100はn型GaN基板であり、n型GaN基板100中には、転位集中領域101が存在し、転位集中領域101以外の部分は低転位領域となっている。また、低転位領域中には、さらに転位集中領域101に平行して高ルミネセンス領域102が存在する。
【0023】
n型GaN基板100上には、窒化物半導体成長層103が形成されている。窒化物半導体成長層103中には、活性層111、n型窒化物半導体成長層113、p型窒化物半導体成長層112、レーザ光導波領域104が位置している。また、トレンチA121は、p型窒化物半導体成長層112上面から、n型窒化物半導体成長層113まで掘り込んだ構造を指す。また、窒化物半導体成長層103上面およびn型GaN基板100下面には、それぞれp電極105、n電極106が形成されている。
【0024】
図1の断面図には現れていないが、転位集中領域101、窒化物半導体成長層103の転位集中領域331、低転位領域中央領域(高ルミネセンス領域)102、窒化物半導体成長層103の低転位領域中央領域(高ルミネセンス領域)332、トレンチA121、およびレーザ光導波領域104は、図1の奥行き方向に延伸しており、互いに略平行の配置となっている。
窒化物半導体成長層103の転位集中領域331、窒化物半導体成長層103の低転位領域中央領域(高ルミネセンス領域)332に関しては、図3において詳細に説明する。
【0025】
半導体レーザ素子を上面側から見たとき(平面視)、レーザ光導波領域104と転位集中領域101との距離をdA、レーザ光導波領域104とトレンチA121との距離をdB、レーザ光導波領域104と高ルミネセンス領域102との距離をdCとする。本実施の形態の半導体レーザ素子では、dA=120μm、dB=80μm、dC=120μmとした。
【0026】
なお、本明細書において、距離dA,dBは各ストライプ状のレーザ光導波領域、転位集中領域、高ルミネセンス領域の中心位置間の距離から規定されるものとし、距離dCはストライプ状のレーザ光導波領域の端部とトレンチAの端部(最短距離)の距離とする。
【0027】
以下に、本実施の形態の半導体レーザ素子の製造方法について解説しつつ、さらに詳しくその構造についても説明する。
【0028】
(GaN基板の作製方法)
まず、n型GaN基板100の結晶成長方法の概略を述べる。GaNの結晶は、ファセット面からなる斜面が表出するようにして、その斜面を維持しながら成長させる。つまり、斜面を成長方向に次第に移動させていく。これにより、斜面の途中に発生する転位が斜面の下端に伝搬して集合し、斜面の下端であった部位が転位集中領域、斜面の途中であった部位が低転位領域となる。
【0029】
転位集中領域にはいくつかの状態があり、例えば多結晶となることがある。また、周囲の低転位領域に対して僅かに傾斜した単結晶となることもある。さらに、周囲の低転位領域の成長方向が[0001]方向であるのに対して、成長方向が逆に[000−1]方向となることもある。
【0030】
斜面を成長方向に移動させるため、ファセット面を最初にどのような形状で発生させるかにより、転位集中領域の形状を規定することができる。上下を逆にした(頂点が下で底面が上の)角錐の側面のようなファセット面を最初に発生させておけば、転位はその角錐の頂点の部位に集まり、転位集中領域は成長方向に平行な直線状となってピットを形成する。
【0031】
また、断面がV字状の溝の側面のようなファセット面を最初に発生させておけば、転位はその溝の底の直線状の部位に集まり、転位集中領域は成長方向に平行な面状となってストライプ状に形成される。
【0032】
最初に生じさせるファセット面の種としては、結晶成長を妨げるマスクを利用することができる。マスクを設けていない部位で結晶成長が始まって、マスクのない部位とある部位との境界にファセット面が生じ、水平方向への成長によってマスク上でファセット面が接し合い、その接点が転位集中領域の開始位置となる。ファセット面が接し合った後は、垂直方向(本来の成長方向)への結晶成長が安定して進み、ファセット面はそのまま成長方向に移動し、転位集中領域は成長方向に伸びていく。
【0033】
結晶成長を妨げるマスクをドット状とすれば、上下が逆の角錐の側面のようなファセット面を発生させることができ、マスクを直線状とすれば、断面がV字状の溝の側面のようなファセット面を発生させることができる。マスクとしては非結晶または多結晶の層を設ければよく、例えばSiO2の薄膜を基体表面に形成しておく。
【0034】
結晶成長後、その表面を研磨して鏡面化することで、半導体層を積層しうる基板が得られる。本実施の形態では、V字状にファセット面を生じさせて、転位集中領域がストライプ状となるようにするか、あるいは、ドットを取り巻く形状のファセット面を短い周期で多数生じさせて、転位集中領域が巨視的にストライプ状となるようにする。
【0035】
該転位集中領域からは、欠陥が発生しやすく、熱処理、研磨等の各工程において、歪み等が加えられると、比較的容易に、転位集中領域から欠陥が光導波領域、或いは該光導波領域周辺まで広がることを実験により確認している。
【0036】
次に、n型GaN基板100の製造工程について説明する。図2(a)は、窒化物半導体基板の製造工程を模式的に示す拡大縦断面図である。種基板201上に、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法により、n型GaN層202を、ファセット{11−22}面203が成長中の表面に主として表出するように成長させる。その結果、表面の断面図形は鋸歯状の凹凸形状となる。ただし、凸部の頂点付近には、わずかに、{0001}面206が表出した部分がストライプ状に見られた。
【0037】
ここで、HVPE法というのは、ホットウォール型の反応炉の上流部にGaボートを設けて加熱したGa融液にHClガスを吹き込むようにし、反応炉の下流部に基体を設けてNH3を吹き込むようにしておき、加熱したGaメタル(融液)にHClを吹き込んでGaClを合成し、下方へ送り、下方でNH3と反応させGaNを合成して、GaNが基体に堆積するようにしたものである。
【0038】
種基板201としては2インチ(111)GaAsウェハーを用いた。種基板201の材料には特に制約はなく、一般的なサファイアを用いることも可能であるが、後に切除するため、このようにGaAsを材料として用いて無駄を抑えるのが好ましい。
【0039】
上記凹凸はピッチP=400μmの周期構造であり、図面奥行き方向に畝状に延びている形状となっている。このように、凹凸の位置を規定するためには、種基板201上にあらかじめ上記凹部に対応したSiO2等のマスクを形成しておき、これを種としてファセットが表出する状態で、結晶成長を行えばよい。つまりマスクは、GaN結晶の[1−100]方向に平行になるように、ピッチP=400μmでストライプ状に配置されており、その形状は、連続したストライプ状、あるいは略一定間隔で直線上に位置する多数のドット状である。なお、成長時にOをドーピングすることで、成長する結晶をn型とした。
【0040】
このような成長モードを保ったまま、さらにGaN結晶の形成を続けることで、種基板201上に高さ30mmのインゴットを作製した。図2(b)は、インゴットを示した斜視図である。
【0041】
このインゴットを、スライサーによりスライス切断加工して薄片(n型GaN基板)化し、薄片を研磨加工して、表面が平坦な2インチ(約5cm)径、厚さ350μmのn型GaN基板100を得た。エピタキシャル成長を行うための表面は鏡面研磨仕上げとした。
【0042】
なお、この表面は、ほぼ(0001)面としたが、上にエピタキシャル成長される窒化物半導体成長層103のモフォロジーが平坦で良好になるためには、(0001)面から任意の方向に0.2〜1°の範囲の比較的小さいオフ角度を有していることが望ましく、特に表面の平坦性が最小になるようにするためには、0.4〜0.8°の範囲とすることが好ましかった。図2(c)は、こうして得られたn型GaN基板100の断面図(一部のみ表示)であり、図2(d)は、上面図(一部のみ表示)である。
【0043】
こうして得られたn型GaN基板100の評価を次のように行った。まず、n型GaN基板100の表面を顕微鏡で詳細に観察した。研磨加工された表面は必ずしも平坦でなく、結晶成長時に凹部の最底部が生じていた領域(図2(a)において符号204で示した部分)に対応する領域がやや窪んでいた。
【0044】
さらに、硫酸、燐酸の混酸を250℃に加熱した液にサンプルを浸してエッチングを行い、エッチピットが表面に出るようにした。その結果、結晶成長時に凹部の最底部が生じていた領域(図2(a)において符号204で示した部分)に対応する領域で、多数のエッチピットが現れ、この領域は転位(あるいは結晶欠陥)が極めて集中している領域(転位集中領域)であることが判明した。つまり、上記窪みは、この領域に対応していた。このように窪みの部分は、転位が極めて集中しているために、研磨工程で他の部分よりも侵食されやすく、そのため生じてしまったものと考えられる。
【0045】
転位集中領域の幅は約10〜40μmであった。それ以外の領域は、EPD(エッチピット密度)104〜105/cm2台の低転位領域となっていた。転位集中領域のEPDは、これよりも3桁以上大きいように観察された。このように、符号101で表されるような領域は、周囲に比べて数桁も転位密度が大きくなっている部分であるため、本明細書では、「転位集中領域」と呼称した。
【0046】
また、サンプルに紫外線(Hgランプ365nm輝線を用いることができる)を照射して、表面からのルミネセンスを顕微鏡を用いて観察した(蛍光顕微鏡観察)。その結果、転位集中領域101に挟まれた低転位領域の中央に、比較的はっきりと境界をもった、周囲とコントラストが異なるストライプ状の領域が観察された。この領域は、周囲よりも肉眼で観察される発光(ルミネセンス)が強く、やや黄色がかって明るく観察される領域である。
【0047】
この領域は、結晶成長時にファセット面{0001}面が表出しつつ成長していた部分205であり、図1および図2(d)に符号102で表される領域である。このように周囲と異なって観察されるのは、ドーパントの取り込まれ具合が周囲と異なるなどの理由が考えられる。上述の事実から、本明細書では、この領域を「高ルミネセンス領域」と呼称した。結晶成長時に、ファセット面{0001}面が表出しつつ成長していた部分205が必ずしも同一の幅をもって均一に進行するものではないために、高ルミネセンス領域102の幅は、やや揺らぎを持っているものの、広いところで、30μmの程度であった。
【0048】
なお、このような高ルミネセンス領域102は、上記インゴットを作成するときの条件や、インゴットにおける位置(種基板からの距離)によっては、ほとんど形成されないこともある。しかしながら、転位集中領域101にはさまれた部分のほぼ中央の領域は、上記凹凸の頂点付近の領域に対応している部分であり、これを、本明細書では、「低転位領域中央領域」とも呼称する。本明細書において、高ルミネセンス領域として説明する部分は、低転位領域中央領域に置き換えて考えることができる。
【0049】
上記GaN基板100の形成のための結晶成長は、HVPE法以外の気相成長によってもよく、MOCVD法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition)、MOC法(Metalorganic Chloride Vapor Phase Epitaxy)、昇華法などを用いても実施することができる。
【0050】
GaN基板100の形成のための成長に用いる種基板201としては、GaAsの他にも、サファイア、SiC、石英、NdGaO3、ZnO、GaN、AlNなどの六方晶系の結晶を用いることができる。Si、スピネル、MgO、GaPなどの立方晶系の(111)面基板を用いることもできる。これらはGaNをC面で成長させるものである。
【0051】
GaN基板100の形成のためのマスクの設け方にも2種類の選択肢がある。一つは基体の上に直接マスクを形成する手法である。この場合、エピ層に先立ちマスク開口の内部の基体露出面にGaNバッファ層を堆積する等の工夫を行ったほうがよい。もう一つは基体の上に予め比較的薄くGaN層を形成しておいて、その上にマスクを形成する手法である。後者の方が成長がスムーズに進行し、より好ましい場合が多い。
【0052】
また、ここではn型GaN基板100としてGaNを用いた例を説明したが、「課題を解決するための手段」の欄に記載したような材料で構成される窒化物半導体基板に置換してもよい。
【0053】
通常、窒化物半導体基板の製造方法では、基板結晶の成長を進行させるに従って、横方向成長技術(ELOG技術)を用いることで、転位を低減しているが、転位(欠陥)が生じる位置は特に制御されず、結晶成長が進むに従って、転位は面内に一様に分布するようになる。
【0054】
一方、本発明で用いる窒化物半導体基板では、転位集中領域の位置が、基板結晶の成長を通じて、所定の位置(ピッチが数100μmオーダである)に制御される。従来技術のGaN基板と、本発明で用いる窒化物半導体基板には、このような違いがある。
【0055】
そのため、同程度の転位密度の基板を得ようとする場合、本実施の形態で説明する基板結晶の製造方法の方が、結晶成長回数が少なくてすみ、生産性が良好になる。
【0056】
次に、n型GaN基板100上に窒化物半導体層103等を形成して半導体レーザ素子を作製する方法について解説する。図3は、図1の半導体レーザ素子において、窒化物半導体成長層103の層構造を詳細に示した縦断面模式図である。
【0057】
半導体レーザ素子は、次のようにして作製した。まず、上記のように製作したn型GaN基板100上に、MOCVD法を用いて、3μmのn型GaN層301、40nmのn型In0.07Ga0.93Nクラック防止層302、1.2μmのn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層303、0.1μmのn型GaN光ガイド層304、4nmのIn0.1Ga0.9N井戸層と8nmのIn0.01Ga0.99N障壁層から成る3重量子井戸活性層111(障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層)、20nmのp型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層306、0.1μmのp型GaN光ガイド層307、0.5μmのp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層308、0.1μmのp型GaN第1コンタクト層309を順次結晶成長させ、半導体成長層を形成した。
【0058】
窒化物半導体成長層103の断面を蛍光顕微鏡観察したところ、周囲よりも蛍光発光強度が強く、やや黄色がかって明るく観察される領域が存在する場合があることも判明した。この蛍光発光の強い領域は、基板100の高ルミネセンス領域102の上方に位置し、やはり、n型GaN層301の下面からp型コンタクト層309の上面に達していた。
【0059】
前述したように、窒化物半導体成長層103内部の転位の集中した領域と蛍光発光の強い領域は、n型GaN基板100の転位集中領域101と高ルミネセンス領域102にそれぞれ連なっており、転位集中領域101や高ルミネセンス領域102の影響が及んで生じたものと考えられる。以下、窒化物半導体成長層103内部の転位の集中した領域を、n型GaN基板100のものと同様に「成長層転位集中領域」と呼称して、331で表し、同様に、窒化物半導体成長層103内部の蛍光発光の強い領域を、「成長層高ルミネセンス領域」と呼称して、332で表す。
【0060】
成長層転位集中領域331が存在する場合に、その位置を考慮することなくレーザ光導波領域104を設けると、レーザ光導波領域104が成長層転位集中領域331を含んでしまうことになり、当然、その特性は良好にはならない。
【0061】
また、成長層転位集中領域331や転位集中領域101には電流が流れやすく、露出した転位集中領域331、101に電極が触れると、動作電流の増大を招く。さらに、窒化物半導体成長層103上に設ける電極が露出した成長層転位集中領域331に接触すると、電極の材料である金属が成長層転位集中領域331を介して窒化物半導体成長層103内に拡散しやすくなり、該成長層103を成す各層の特性に変化をもたらす。
【0062】
そこで、本実施の形態の半導体レーザ素子では、レーザ光導波領域104を成長層転位集中領域331から離れた位置に設け、また、電極も転位集中領域から離れた位置に設けるようにしている。
【0063】
また、成長層高ルミネセンス領域332も、周囲とは特性が異なり、レーザ光導波領域104を設けるのに適していないため、レーザ光導波領域104は該高ルミネセンス領域332からも離れた位置に設けるようにしている。
なお、積層構造の内部に常に転位集中領域331や高ルミネセンス領域332が生じるとは限らないが、ここでは、転位集中領域331や高ルミネセンス領域332が生じたと仮定して、これらを図1〜図3に示している。
【0064】
また、レーザ光導波領域104を成長層転位集中領域331、および成長層高ルミネセンス領域332から、離れた位置に設けるだけでなく、さらに、窒化物半導体成長層上面から、該窒化物半導体成長層上面の極性(本実施の形態の場合はp型)とは異なる極性(本実施の形態の場合はn型)の成長層まで掘り込んだ部位(トレンチA)を設けている。
【0065】
このトレンチA121によって、転位集中領域から欠陥がレーザ光導波領域104、或いはレーザ光導波領域104周辺まで伝搬することを防止することが可能となり、良好な電圧-電流特性が確保できて、高歩留りのレーザ素子を得ることができる。
【0066】
仮に、トレンチA121がない場合、転位集中領域から欠陥がレーザ光導波領域104、或いはレーザ光導波領域104周辺まで伝搬し、欠陥に沿った電流経路が形成され、素子の電流-電圧特性は、リーク、もしくは短絡傾向となると考えられる。
【0067】
GaN基板上に窒化物半導体を積層して作製した従来の半導体レーザ素子で、動作電流や動作電圧が変化し、歩留りが低下する現象が見られたのは、これらが原因であると考えられる。
【0068】
(素子化プロセス)
続いて、窒化物半導体成長層103の各層がn型GaN基板100上に形成されたエピウェハを、MOCVD装置から取り出して、窒化物半導体レーザ素子チップに加工するプロセス工程を説明する。
【0069】
レーザ光導波領域104であるリッジストライプ構造を、エピウェハ表面側より、p型クラッド層308の途中または下端までを、ストライプ状の部分を残してエッチングすることにより形成する。さらに、トレンチA121をn型クラッド層303の途中までをドライエッチングにより掘り下げて、リッジストライプ構造、およびトレンチA121を形成する際に除去した部分に、絶縁膜107を形成した。
【0070】
本実施の形態において、リッジストライプ幅は2μm、エッチング底面は、p型ガイド層307からの距離を0.1μmとした。また、トレンチA121の幅は、5μmとした。トレンチA121の位置、幅、深さ、および形状に関しては、実施の形態2以降で詳述する。
【0071】
ここで、絶縁膜107としてはAlGaNを用いた。エッチングされずに残ったp型GaNコンタクト層309は露出しているので、この部分および絶縁膜107上に、p電極105をPd/Mo/Auの順序で蒸着して形成した。絶縁膜107としては上記以外に、SiO2、SiN、SiO、ZnO、PbO、TiO2、ZrO2、CeO2、HfO2、Al23、Bi23、Cr23、In23、Nd23、Sb23、Ta25、Y23、AlF3、BaF2、CeF2、CaF2、MgF2、NdF3、PbF2、SrF2、ZnS、ZnSe、および窒化物半導体のうちの少なくとも1種類を含む誘電体から成るものを使用できる。
【0072】
また、p電極105の材料として他に、Pd/Pt/Au、Pd/Au、またはNi/Auのいずれかを用いても構わない。さらに、エピウェハ裏面側(基板側)を研磨することにより、ウェハの厚さを80〜200μmに調整し、後にウェハの分割を行いやすいようにした。
【0073】
n電極111は、基板の裏側にHf/Alの順序で形成した。n電極111の材料として他に、Hf/Al/Mo/Au、Hf/Al/Pt/Au、Hf/Al/W/Au、Hf/Au、Hf/Mo/Auや、これらのうちのHfをTi、Zrに置き換えたものを用いても構わない。
【0074】
最後に、エピウェハを、リッジストライプ方向に対して垂直方向に劈開し、共振器長600μmのファブリ・ペロー共振器を作製した。共振器長は250μmから1000μmが好ましい。この工程により、ウェハは個々のレーザ素子が横に連なったバー状の形態となった。ストライプが<1−100>方向に沿って形成された窒化物半導体レーザ素子の共振器端面は、窒化物半導体結晶の{1−100}面である。
【0075】
劈開はウェハ全面にスクライバーにより罫書き傷をつけて行うのではなく、ウェハの一部、例えば、ウェハの両端にのみ、あるいは、チップ両端に対応する部分にのみスクライバーによって罫書き傷をつけ、これを起点に劈開した。なお、端面で帰還させる手法以外に、内部に回折格子を設けて帰還させるDFB(Distributed Feedback)、外部に回折格子を設けて帰還させるDBR(Distributed Bragg Reflector)を用いても構わない。
【0076】
ファブリ・ペロー共振器の共振器端面を形成した後、この端面に約80%の反射率を有するSiO2とTiO2の誘電体膜を交互に蒸着し、誘電体多層反射膜を形成した。誘電多層反射膜は他の誘電体材料で形成しても構わない。さらにこの後、バーを個々のレーザ素子に分割することで、図1の半導体レーザ素子を得た。レーザチップの中央にレーザ光導波領域104(リッジストライプ)を配置し、レーザ素子の横幅は400μmとした。
【0077】
元々のn型GaN基板100にはピッチP=400μmで転位集中領域101が配置され、各低転位領域の中央部に高ルミネセンス領域102が配置され、また、図1を用いて説明したように、dA=120μm、dB=80μm、dC=120μmとして、各領域を配置したから、各半導体レーザ素子(チップ)には、1本の転位集中領域と、1本の高ルミネセンス領域が含まれることになる。ここで、レーザ発振寿命から鑑みて、dAは40μm以上、dCは30μm以上であることが好ましい。以上のようにして図1および図3に示す窒化物半導体レーザ素子のチップを作製した。
【0078】
(半導体レーザ素子の特性)
得られた窒化物半導体レーザ素子では、前述している理由により、トレンチA121が存在しない場合は、27%程度であったが、トレンチA121が存在することによって、歩留まりが65%にまで改善された。なお、本発明者らが前述の従来技術によって半導体レーザを作製し、同一条件で試験を行ったところ、その寿命は500時間程度であった。
【0079】
<実施の形態2>
本実施の形態では、トレンチA121の位置と形状に関して、説明する。
【0080】
(レーザ光導波領域とトレンチAとの位置関係)
P=600μmのn型GaN基板上に、実施の形態1の半導体レーザ素子とほぼ同様にして作製し、ストライプ状のレーザ光導波領域104の端部とトレンチA121の端部(最短距離)の距離dBを変更した半導体レーザ素子を作製した。ストライプ状のレーザ光導波領域104の端部とトレンチA121の端部(最短距離)の距離dBに関して、距離dBが5μm以下の場合、歩留まりがが35%以下と極端に劣化した。また、距離dBが5μm〜10μmの場合、距離dBが10μmを超えると、45%以上の歩留まりとなり、20μm以上で、55%以上と良好な歩留まりが得られた。
【0081】
これは、トレンチA121を形成する際、距離dBが短い場合、エッチング等のダメージにより、レーザ光導波領域104周辺の活性層が劣化するためであると考えられる。以上のことから、dBは10μm以上、好ましくは20μm以上が必要であると判明した。また、レーザ光導波領域と高ルミネセンス領域の中心位置間の距離dBとは関係なく(dAは40μm以上、dCは30μm以上において)、上記傾向が確認された。
【0082】
(トレンチAの幅)
dBが10μm以上確保された場合、レーザ光導波領域104周辺の活性層へのエッチング等からのダメージを防ぐことができるので、トレンチA121の幅は特性に大きく影響を与えないことを確認した。
【0083】
(トレンチAの深さ(底面の位置))
原理的には、トレンチA121は、窒化物半導体成長層表面(この場合はp型窒化物半導体が表面側とする)から、活性層111を超えて、n型光ガイド層まで掘り込み、その結果、レーザ光導波領域104とp型窒化物半導体成長層112の転位集中領域331とが分離されれば、本発明の効果を得ることができる。しかしながら、各層の凹凸、エッチングの制御性等を考慮して、トレンチA121はn型クラッド層まで掘り込むことがより好ましい。
【0084】
(トレンチAの形状)
トレンチA121は、レーザ光導波領域104と略平行である必要はなく、レーザ光導波領域104とp型窒化物半導体成長層112の転位集中領域331とが分離されればよい。
【0085】
図4(a)、図4(b)は、上面からの窒化物半導体レーザ素子の模式図である。図4(a)に示すような矩形状、図4(b)に示すような円弧状の形状であっても構わない。また、図5(a)、図5(b)、図5(c)は、窒化物半導体レーザ素子の断面の模式図である。溝の断面形状も矩形だけでなく、図5(a)に示すような台形、図5(b)に示すような三角形、図5(c)に示すような円形等であっても構わない。
【0086】
<実施の形態3>
本実施の形態では、トレンチA121が、窒化物半導体成長層103の転位集中領域101を含む場合について説明する。図6は、本実施の形態における窒化物半導体レーザ素子の縦断面模式図である。図6に示すように、トレンチA121が、窒化物半導体成長層の転位集中領域331を覆う形状となっている。該窒化物半導体レーザ素子においても、実施の形態1と同様に、歩留まりの良好な半導体レーザ素子を得ることができる。
【0087】
<実施の形態4>
本実施の形態では、転位集中領域がストライプ状ではなく、円形状である場合について説明する。図7、図8は、本実施の形態における上面からの窒化物半導体レーザ素子の模式図である。図7においては、円形状の転位集中領域331を矩形状にトレンチA121が取り囲み、図8においては、円形状の転位集中領域331を、同じく円状にトレンチA121が取り囲む形状となっている。
【0088】
本実施の形態においても、トレンチA121によって、転位集中領域から欠陥がレーザ光導波領域104、或いはレーザ光導波領域104周辺まで伝搬することを防止することが可能となり、実施の形態1と同様に、良好な電圧-電流特性が確保できて、高歩留りのレーザ素子を得ることができる。
【0089】
また、転位集中領域は他の形状の場合でも、本実施の形態においても、該窒化物半導体成長層の転位集中領域と、ストライプ状のレーザ光導波領域とを分離できれば、実施の形態1と同様に、レーザ発振寿命の優れた半導体レーザ素子を得ることができる。
【0090】
<実施の形態5>
極性が反転する場合、つまり基板がp型であり、窒化物半導体成長層をp型窒化物半導体、活性層、n型窒化物半導体の順に成長させた場合について説明する。
この場合、トレンチAを窒化物半導体成長層表面から活性層を超え、p型クラッド層途中まで掘り込み、該窒化物半導体成長層の転位集中領域と、ストライプ状のレーザ光導波領域とを、分離させた構造にすれば、実施の形態1、2、3、及び4と同様の効果が得られる。
【0091】
ここで、実施の形態1、2、3、4、及び5において、トレンチA121には、絶縁膜107を形成しているが、トレンチA121に電極がかからない場合には、特に絶縁膜107を形成する必要はない。しかしながら、プロセス中に、メタル等が直接、もしくは間接的にトレンチA121内部の窒化物半導体成長層に接触、残留すると、電流特性に関して、好ましくない状態となるため、特に意図がない場合は、絶縁膜を形成することが好ましい。
【0092】
また、絶縁膜と電極間に隙間ができる場合、絶縁膜と電極間の隙間が絶縁膜で占められている場合、絶縁膜と電極間の隙間が電極構成金属で占められている場合も、実施の形態1、2、3,4、及び5と同様の効果が得られる。
【0093】
<実施の形態6>
本実施の形態では、本発明の窒化物半導体レーザ素子を半導体光学装置に適用したものについて説明する。本発明の窒化物半導体レーザ素子(330〜550nmの発振波長)は、半導体光学装置、例えば光ピックアップ装置に利用すると、以下の点において好ましい。各窒化物半導体レーザ素子は、高出力(30mW)であり、高温雰囲気中(60℃)でも安定して動作し、しかもレーザ発振寿命が長いことから、高い信頼性が要求される高密度記録再生用光ディスク装置に最適である(発振波長が短いほど、より高密度に記録再生が可能となる)。
【0094】
本発明の窒化物半導体レーザ素子を半導体光学装置に利用した一例として、図9に、光ディスク装置(光ピックアップを有する装置、例えば、DVD装置など)の概略構成のブロック図を示す。
【0095】
光ディスク装置は、光ピックアップ401、制御回路402、ディスク403を回転させるモータ404、および光ピックアップ401を移動させるモータ404を備えている。光ピックアップ401には、半導体レーザ素子410、ビームスプリッタ406、ミラー407、レンズ408、および光検出器409が含まれている。また、412は信号を示し、半導体レーザ素子410は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子である。
【0096】
情報の記録に際し、半導体レーザ素子410が発するレーザ光411は、制御回路402によって入力情報に応じて変調され、ビームスプリッタ406、ミラー407および対物レンズ408を経てディスク403の記録面上に収束して、情報をディスク403に記録する。また、半導体レーザ素子410が無変調のレーザ光411を発している間に、ディスク403の記録面のうちレーザ光が収束する部位の磁界を入力情報に応じて変調することによっても、情報を記録することができる。情報の再生に際しては、ディスク403上のピット配列によって光学的に変化を受けたレーザ光411が、レンズ408、ミラー407、ビームスプリッタ406を経て光検出器409に入射し、光検出器409によって再生信号とされる。半導体レーザ素子410が出力するレーザ光411のパワーは、例えば、記録時には30mW、再生時には5mW程度である。
【0097】
本発明の半導体レーザ素子は、光ピックアップ装置を有するこのような光ディスク装置の他に、例えば、レーザプリンター、バーコードリーダー、光の三原色(青色、緑色、赤色)レーザによるプロジェクター等にも利用可能であり、高出力で高寿命の光源として適している。
【0098】
【発明の効果】
本発明によると、高歩留りの窒化物半導体レーザ素子および該窒化物半導体レーザを用いた光学装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の半導体レーザ素子を光出射方向から見た縦断面模式図である。
【図2】(a)窒化物半導体基板の製造工程を模式的に示す拡大縦断面図である。
(b)インゴットを示した斜視図である。
(c)n型GaN基板の断面図である。
(d)n型GaN基板の上面図である。
【図3】 図1の半導体レーザ素子において、窒化物半導体成長層の層構造を詳細に示した縦断面模式図である。
【図4】(a)上面からの窒化物半導体レーザ素子の一例の模式図である。
(b)上面からの窒化物半導体レーザ素子の一例の模式図である。
【図5】(a)窒化物半導体レーザ素子の断面の一例の模式図である。
(b)窒化物半導体レーザ素子の断面の一例の模式図である。
(c)窒化物半導体レーザ素子の断面の一例の模式図である。
【図6】 実施の形態3における窒化物半導体レーザ素子の縦断面模式図である。
【図7】 実施の形態4における上面からの窒化物半導体レーザ素子の一例の模式図である。
【図8】 実施の形態4における上面からの窒化物半導体レーザ素子の一例の模式図である。
【図9】 光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 n型GaN基板(窒化物半導体基板)
101 転位集中領域
102 低転位領域中央領域(高ルミネセンス領域)
103 窒化物半導体成長層
104 レーザ光導波領域
107 絶縁膜

Claims (4)

  1. 窒化物半導体基板と、その上に積層された窒化物半導体成長層とを備える窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記窒化物半導体基板は、面内に、基板中に渡って存在する転位集中領域と、転位集中領域を除いた領域である低転位領域とを有し、
    前記窒化物半導体成長層が半導体レーザ素子の活性領域を構成するpn接合を有するとともに、ストライプ状のレーザ光導波領域を有し、
    該レーザ光導波領域は、前記低転移領域に配置され、
    前記窒化物半導体成長層上面から、少なくとも、前記pn接合を構成する界面まで掘り込んだ溝部が、前記転位集中領域に設けられることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 窒化物半導体基板と、その上に積層された窒化物半導体成長層とを備える窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記窒化物半導体基板は、面内に、基板中に渡って存在する転位集中領域と、転位集中領域を除いた領域である低転位領域とを有し、
    前記窒化物半導体成長層が半導体レーザ素子の活性領域を構成するpn接合を有するとともに、ストライプ状のレーザ光導波領域を有し、
    該レーザ光導波領域は、前記低転移領域に配置され、
    前記窒化物半導体成長層上面から、少なくとも、前記pn接合を構成する界面まで掘り込んだ溝部が、前記レーザ光導波領域と前記転位集中領域との間に設けられる、もしくは、前記転位集中領域に設けられ、
    前記溝部の少なくとも側面に、絶縁膜を備えることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記絶縁膜が、Si、Zn、Pb、Ti、Zr、Ce、Hf、Al、Bi、Cr、In、Nd、Sb、Ta、Yの何れかの酸化物、Si、Al、Ga、Inの何れかの窒化物、Al、Ba、Ce、Ca、Mg、Nd、Pb、Srの何れかの弗化物、ZnS、ZnSeのうちの少なくとも1種類を含む誘電体から成ることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記転位集中領域が、前記レーザ光導波領域と略平行なストライプ状であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
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