JP2006186025A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 窒化物半導体基板の主面上に第1導電型の窒化物半導体層と、Inを含有する活性層と、第1導電型とは異なる導電型をした第2導電型の窒化物半導体層と、第2導電型の窒化物半導体層にストライプ状のリッジ部とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子において、窒化物半導体基板の主面のうち、少なくともリッジの直下に位置する第1の領域は、基準結晶面に対して傾いたオフ面であり、かつ活性層は、Inを含む井戸層と複数の障壁層を含み、その複数の障壁層のうちの少なくとも1つは、GaNにより構成する。
【選択図】図1A
Description
前記窒化物半導体基板の主面のうち、少なくとも前記リッジの直下に位置する第1の領域は、基準結晶面に対して傾いたオフ面であり、かつ前記活性層は、Inを含む井戸層と複数の障壁層を含み、その複数の障壁層のうちの少なくとも1つは、GaNからなることを特徴とする。
特に、Inを含む活性層は、組成不均一が生じ易いが、本発明の構成によれば、組成が均一なInを含む活性層を形成することが可能となり、特に、発振波長が365nm以下の紫外領域から500nm以上の長波長領域に至る範囲の発光が可能であり、特に活性層におけるIn組成晶が5%を越える窒化物半導体層の組成分布を均一化することができる。
尚、前記リッジの長手方向と前記最大傾斜方向とが略平行であるから、それらが多少の角度をなしていても良い。
本発明に係る実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板の一方の主面(第1の主面)上に、第1導電型の窒化物半導体層と、Inを含有する活性層と、第1導電型とは異なる導電型をした第2導電型の窒化物半導体層とを備え、その第2導電型の窒化物半導体層にリッジが形成されてなる窒化物半導体レーザダイオードであって、以下のような特徴を有している。
第2に、活性層がInを含む井戸層と複数の障壁層とを含んでおり、その複数の障壁層のうちの少なくとも1つは、GaNからなっている。
以上のように構成された実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子は、CODレベルを高くでき、かつ寿命を長くできる。
尚、本発明において、よりCODレベルを高くし、寿命を長くするために複数の障壁層の全てがGaNにより構成されていることが好ましい。
図1Aにおいて、[1−100]方向と[11−20]方向を含む面が(0001)面であり、[0001]方向と[11−20]方向を含む面をM面とすると、[1−100]方向と[0001]方向とを含む面がA面である。本実施の形態1の窒化物半導体基板においては、主面は(0001)面に対してオフ角θaだけ傾いており、主面の最大傾斜方向と[1−100]方向とがθaの角度をなしている。
この窒化物半導体レーザ素子は、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とによってInを含有する活性層を挟んだ分離光閉じ込め型構造を有しており、その活性層はInを含む井戸層と複数の障壁層を含み、その複数の障壁層のうちの少なくとも1つは、GaNからなっている。尚、分離光閉じ込め型構造は、SCH(Separate Confinement Heterostructure)とも呼ばれる。すなわち、この構造は、活性層よりバンドギャップの大きい光ガイド層を活性層の上下に備えることで光の導波路を構成するものである。
本製造方法では、まず、主面が基準結晶面に対してθaだけ傾いた主面(オフ面)を有する窒化物半導体基板を作製する。
以下、オフ角を有する窒化物半導体基板101を作製する方法の一例を示す。
本方法では、まず、窒化物半導体と異なる材料であるサファイアやSiC、GaAs等の異種基板を準備する(図3A)。異種基板10の主面は、作製される窒化物半導体基板の基準結晶面が(0001)面、(11−20)面、又は(1−100)面になるように選択する。
オフ角を有する窒化物半導体基板101を作製する、最も簡易かつ確実な方法は、予め前記異種基板10に所望のオフ角を形成した後、その上に窒化物半導体100を成長させる方法である。この方法では、異種基板上に成長させる窒化物半導体100に異種基板からオフ角を引き継がせて、オフ基板とする方法である。
ここで、異種基板として、サファイア基板やGaAs基板以外に、SiC基板、Si基板、スピネル基板、SiO2基板、SiN基板、ZnO基板等を用いることもできる。
尚、本発明において、窒化物半導体基板は、単一の窒化物半導体のみとすることが好ましいが、異種材料を全体的、又は部分的に残しても良い。例えば、窒化物半導体層が比較的薄い場合には、その薄い層を補強するために、異種基板を残してもよい。また、その補強は、異種基板を一面に残すのではなく、格子状に残してもよい。
さらに、また、窒化物半導体は、GaN系化合物半導体の他に、GaAs系化合物半導体やZnO系化合物半導体を内部に挟んだものや、交互に積層したものであってもよい。
具体的には、窒化物半導体100の第1の主面上に、膜厚が所望のオフ角と等しい傾斜を有する(膜厚分布を有する)マスク20を形成した後、エッチングを行う方法である。この方法では、エッチング方法としてドライエッチング法を用いることがオフ角を容易に制御することができるため好ましい。すなわち、まず窒化物半導体基板上に形成されたマスクをエッチングにより除去し、その後に表面に露出した窒化物半導体基板の第1の主面もエッチングを行う。窒化物半導体基板の第1の主面は、マスクの膜厚によりエッチング時間が異なるため、マスクの膜厚傾斜に対応したオフ角が形成される(図3D)。
尚、本明細書において、面指数を表す括弧内のバー(−)は、後ろの数字の上に付すべきバーを表すものとする。また窒化物半導体基板の外周形状は特に限定されず、ウェハー状であっても、矩形状等であってもよい。ウェハー状である場合には、1インチ以上、好ましくは2インチ以上のサイズとする。
次に、オフ角を有する窒化物半導体基板101の第1の主面上に窒化物半導体層200を成長させる(図4A)。図4は、クラック防止層等の下層210の上に形成されるn側クラッド層203〜p側クラッド層208を、一括して中間層220として示している。
尚、クラック防止層等は省略可能である。
本実施形態では、窒化物半導体基板101の第1主面上に、窒化物半導体層200を構成する層として、n側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層の順で積層される。以下の各層をMOCVD法により、減圧〜大気圧の条件で成長させる。
ここでは、まず、まずn側クラッド層203としてn型不純物ドープAlxGa1−xN(0≦x≦0.5)、n側光ガイド層204としてAlxGa1−xN(0≦x≦0.3)をn側層として成長する。n側クラッド層は単一層であれば、一般式はAlxGa1−xN(0≦x≦0.2)であって、膜厚は0.5〜5μmである。多層で成長させるには、超格子構造としては第1の層であるAlxGa1−xN(0≦x≦1)と第2の層であるAlyGa1−yN(0≦y≦1、x≠y)との積層構造とする。
本発明では、特に、活性層205を、井戸層を障壁層で挟んだ量子井戸構造とし、その障壁層のうちの少なくとも1つをGaNとしている。これにより、CODレベルを向上させ、寿命を長くできる。ここで、井戸層の組成において、Inの混晶比xは0<x≦0.5であることが好ましい。井戸層の膜厚は、例えば、30〜200オングストロームとし、障壁層の膜厚は、例えば、20〜300オングストロームとする。
前記活性層の多重量子井戸構造は、障壁層から始まり井戸層で終わっても、障壁層から始まり障壁層で終わっても、井戸層から始まり障壁層で終わっても、また井戸層から始まり井戸層で終わってもよい。好ましくは障壁層から始まり、井戸層と障壁層とのペアを2〜8回繰り返してなるものであって、障壁層で終わる構成である。井戸層と障壁層とのペアを2〜3回繰り返してなるものがしきい値を低下させて寿命特性を向上させるのに好ましい。
例えば、本発明において、第1の障壁層、第1の井戸層、第2(ミドル)の障壁層、第2の井戸層及び第3の障壁層が積層された量子井戸構造の活性層である場合、第1の障壁層及び第2の障壁層がGaN、第2の障壁層と第3の障壁層がGaN、第1の障壁層と第3の障壁層がGaNにすることにより、より顕著な効果が得られ、第1〜第3の全ての障壁層をGaNとすることにより、よりいっそう顕著な効果が得られる。また、第1の障壁層、第1の井戸層及び第2の障壁層からなるSQW構造の活性層である場合、第1の障壁層と第2の障壁層とをGaNとすることにより顕著な効果が得られる。
n型不純物のドープ量は、1×1017/cm3〜5×1019/cm3であることが好ましい。n型不純物がこの範囲でドープされていると抵抗率を低くでき且つ結晶性を損なわない。またp型不純物のドープ量は、1×1019/cm3〜1×1021/cm3であることが好ましい。p型不純物がこの範囲でドープされていると結晶性を損なわない。
不純物の濃度は1×1021/cm3よりも多いと窒化物半導体層の結晶性が悪くなって、逆に出力が低下する傾向がある。これは変調ドープの場合も同様である。前記基板や窒化物半導体層は有機金属化学気相成長(MOCVD)法、やハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)法、分子線エピタキシー(MBE)法等の気相成長法を用いて成長させる。
窒化物半導体基板101上に窒化物半導体層200を積層したウェハーを半導体成長装置の反応容器から取り出す。次に、所定の幅のp側窒化物半導体層を残してその両側のn側半導体層を露出させる。露出されるn側窒化物半導体層は、特に限定するのもではないが本実施形態ではn側クラッド層が露出するようにエッチングする。これによって、応力緩和の効果があるが、該工程は省略することが可能である。エッチングにはRIE法を用いCl2、CCl4、BCl3、SiCl4ガス等によりエッチングする。
すなわち、p側半導体層の最上層であるp側コンタクト層209の表面にSiO2等より成る保護膜をストライプ状に形成して、その両側の領域をエッチングにより除去する。エッチングにはRIE法を用いCl2やCCl4、SiCl4、BCl3のような塩素系のガスによりエッチングする。導波路領域を形成するためにリッジ部の幅は1.0μm〜100.0μmとする。共振器長の長さは300μm〜1000μmである。シングルモードのレーザ光とする場合のリッジ部の幅は1.0μm〜3.0μmとするのが好ましい。また、前記リッジ部の幅を5μm以上とすれば、1W以上の出力が可能となる。リッジ部の高さ(エッチングの深さ)は、少なくともp側クラッド層の表面が露出するようにすればよく、p側キャップ層まで露出してもよい。大電流を流す場合、リッジの下では電流が急激に横方向に広がるので、リッジを形成するためのエッチング深さはp側光ガイド層まであるのが好ましい。
その後、リッジ部の側面を埋込層260で保護する。この埋込膜の材料として、半導体層よりも屈折率が小さく、絶縁性の材料が選ばれる。具体例としては、ZrO2、SiO2、その他にはV、Nb、Hf、Ta、Al等の酸化物である。
その後、前記窒化物半導体基板101の第2の主面にn電極201をCVDやスパッタ、蒸着等により形成する(図4E)。該n電極は、少なくともTi、Ni、Au、Pt、Al、Pd、W、Rh、Ag、Mo、V、Hfから成る群より選ばれる少なくとも1つを有する。また、n電極における多層構造の最上層はPtまたはAuであることが好ましく、これにより電極からの放熱性を向上させることが可能となる。第2の主面に形成する電極の材料にこれらの材料を選択することによって、特に窒化物半導体から成る基板と該電極とのオーミック特性が得られる。また、窒化物半導体から成る基板と前記電極との密着性も良くウェハーからバー化又はチップ化するための劈開工程で電極が剥がれることを抑制する効果を有する。n電極の膜厚としては10000Å以下、好ましくは6000Å以下とする。n電極を多層構造とする場合には、具体的には第1の層をV、又はTi、Mo、W、Hf等とする。ここで第1の層の膜厚は500Å以下とする。また第1の層をWとすれば300Å以下とすることが良好なオーミック特性を得ることができ好ましい。第1の層をVとすれば耐熱性が向上するため好ましい。ここで、Vの膜厚は50Å以上300Å以下、好ましくは70Å以上200Åとすることで良好なオーミック特性を得ることができる。
ここで、段差とは段差が0.1μm以上のものをいい、凸部形状は、テーパー形状や逆テーパー形状であり、凹凸の平面形状は、例えば、ストライプ状、格子状、島状、円状や多角形状、矩形状、くし形状、メッシュ形状となっている。例えば、円状の凸部を形成すれば、該円状凸部の直径幅は5μm以上とする。また、凹部溝部の幅は少なくとも3μm以上の領域を有すると電極の剥がれ等がなくなり好ましい。窒化物半導体基板において、第1の主面の基準結晶面が(0001)面である場合、第2の主面は、(000−1)面又はオフ角を有する場合はその基準結晶面が(000−1)面となるが、第2の主面に凹凸を形成すると、その傾斜面には、他の結晶面が露出する。このとき、オフ角を0.2〜90°の範囲に設定すると、窒化物半導体基板の第2の主面が(000−1)面と(000−1)面以外の面とを有する面となり、n電極のオーミック特性を向上させることができる。
n電極201を形成した後、ストライプ状のp電極230に垂直な方向であって、半導体層の共振面を形成するためにウェハーをバー状に分割する。ここで、共振面は、M面(1−100)やA面(11−20)とする。ウェハーをバー状に分割する方法としては、ブレードブレイク、ローラーブレイク、又はプレスブレイクがある。
また、前記窒化物半導体基板の第1の主面、及び/又は第2の主面に予め劈開補助溝を形成することで、容易にウェハーをバー状に劈開することができる。劈開補助溝を窒化物半導体基板の第2の主面に有することによってFFPのリップルを抑制する効果を有する。更には、前記窒化物半導体基板の第2の主面(裏面)に形成した電極の剥がれ防止効果がある。
本発明に係る実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子は、基板の第1の主面側に、両電極を形成するようにした以外は、実施の形態1と同様に構成される。
実施例1の窒化物半導体レーザ素子は、以下のようにして作製される。
本実施例では、まず、MOCVD反応装置内に、一方の主面が所定の基準結晶面に対して微少の角度だけ傾いたオフ角を有するGaAsから成る異種基板10を配置して、温度を500℃にする。次に、異種基板10の一方の主面の上に、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)を用い、GaNよりなるバッファ層を200オングストロームの膜厚で成長させる。バッファ層を成長した後、温度を1050℃にして、同じくGaNよりなる第1の窒化物半導体を4μmの膜厚で成長させる。
n側クラッド層203は、1000℃〜1200℃でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1018/cm3〜1×1019/cm3ドープしたAl0.044Ga0.956Nよりなる層を膜厚2μmで成長させることにより形成する。なお、このn側クラッド層は超格子構造とすることもできる。
続いて、シランガスを止め、1000℃〜1080℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層を0.19μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層にn型不純物をドープしても良い。
次に、温度を900℃にして、SiドープGaNよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.065Ga0.935Nよりなる井戸層を70Åの膜厚で成長させる。さらに、140Åの膜厚のSiドープGaNよりなる障壁層、70Åの膜厚のアンドープIn0.065Ga0.935Nよりなる井戸層及び140Åの膜厚のSiドープGaNよりなる障壁層を成長させる。このようにして、障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に、GaN障壁層で終わり、総膜厚560Åの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
次に、成長温度を活性層と同温、又は昇温し、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側光ガイド層よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mgを1×1019/cm3〜1×1020/cm3ドープしたp型Al0.25Ga0.75Nよりなるp側キャップ層を85Åの膜厚で成長させる。該p側キャップ層は省略可能である。
続いてCp2Mg、TMAを止め、1000℃〜1050℃で、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を約0.125μmの膜厚で成長させる。
続いて、1000℃〜1050℃でアンドープAl0.1Ga0.9Nよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、続いてTMAを止め、MgドープGaNよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、総膜厚0.45μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
この超格子構造からなるp側クラッド層208のGaに対するAlによる置換量は、5.0%とする。
最後に、1050℃で、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層を150Åの膜厚で成長させる。
比較例では、活性層を以下のように変更する以外は、実施例1と同様にして窒化物半導体レーザ素子を作製した。
すなわち、比較例では、温度を900℃以下にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層を70Åの膜厚で成長させる。障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜厚560Åの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
実施例2では、活性層を以下のように変更する以外は、実施例1と同様にして窒化物半導体レーザ素子を作製した。
すなわち、実施例2では、温度を900〜950℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.065Ga0.935Nよりなる井戸層を70Åの膜厚で成長させる。さらに、140Åの膜厚のSiドープGaNよりなる障壁層、70Åの膜厚のアンドープIn0.065Ga0.935Nよりなる井戸層及び140Åの膜厚のSiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を成長させる。このようにして、実施例2では、真中の障壁層だけがGaNからなる障壁層とした。
以上、説明した実施例1、2及び比較例の窒化物半導体レーザ素子をそれぞれ10個作製して、CODレベルを評価した。
その結果を図8に示す。図8から明らかなように、実施例1、2の窒化物半導体レーザ素子は、いずれも比較例の窒化物半導体レーザ素子に比較して高いCODレベルを示した。特に、実施例1の窒化物半導体レーザ素子は、比較例の窒化物半導体レーザ素子に比べて極めて高いCODレベルを示した。それぞれCODレベルの平均値は、比較例の10個の素子の平均が、370mWであるのに対して、実施例1の10個の素子の平均は、600mWであった。
その結果を図9に示す。図9から明らかなように、実施例1、2の窒化物半導体レーザ素子は、いずれも比較例の窒化物半導体レーザ素子に比較して高い特性温度を示した。特に、実施例1の窒化物半導体レーザ素子は、比較例の窒化物半導体レーザ素子に比べて極めて高い特性温度を示した。それぞれ特性温度の平均値は、比較例の15個の素子の平均が、167Kであるのに対して、実施例1の15個の素子の平均は、350Kであった。
また、実施例2の15個の素子の平均は、197.6Kであった。
実施例3では、実施例2の窒化物半導体レーザ素子において、SiドープGaNからなる真中の障壁層と、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる一番上の障壁層(p側に最も近い側)とを入れ替えた以外は、実施例2と同様にして窒化物半導体レーザ素子を作製した。
その結果、CODレベル及び特性温度は実施例2と同様であった。
実施例4では、実施例2の窒化物半導体レーザ素子において、SiドープGaNからなる真中の障壁層と、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる一番下の障壁層(n側に最も近い側)とを入れ替えた以外は、実施例2と同様にして窒化物半導体レーザ素子を作製した。
その結果、CODレベル及び特性温度は実施例2と同様であった。
実施例5では、実施例1の窒化物半導体レーザ素子において、Al0.044Ga0.956Nよりなるn側クラッド層に代えて、Al0.036Ga0.964Nよりなるn側クラッド層を形成した以外は、実施例1と同様に構成した。
その結果、実施例1に比較して、FFP−Y幅は減少し、閾値電流は上昇したが、CODレベル及び特性温度は実施例1と同様であった。
特定波長(470〜490nm付近)に感度を有する物質に前記窒化物半導体レーザから得た光を照射することで、その物質の有無、または位置を検出することができるバイオ関連の励起用光原等である。
100…窒化物半導体基板、
200…窒化物半導体層、
203…n側クラッド層
204…n側光ガイド層、
205…活性層、
206…p側電子閉じ込め層、
207…p側光ガイド層、
208…p側クラッド層、
209…p側コンタクト層、
210…下層、
220…中間層、
230…p電極、
240…保護膜、
250…パッド電極、
260…埋込層。
Claims (10)
- 窒化物半導体基板の主面上に第1導電型の窒化物半導体層と、Inを含有する活性層と、第1導電型とは異なる導電型をした第2導電型の窒化物半導体層と、前記第2導電型の窒化物半導体層にストライプ状のリッジ部とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子において、
前記窒化物半導体基板の主面のうち、少なくとも前記リッジの直下に位置する第1の領域は、基準結晶面に対して傾いたオフ面であり、かつ前記活性層は、Inを含む井戸層と複数の障壁層を含み、その複数の障壁層のうちの少なくとも1つは、GaNからなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 - 前記活性層において、前記Inを含む井戸層の上下の障壁層がGaNからなる請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記活性層において、前記複数の障壁層が全てGaNからなる請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記リッジの長手方向と、前記基準結晶面に対する前記オフ面の最大傾斜方向とが略平行である請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記基準結晶面は、(0001)面、(11−20)面及び(1−100)面からなる群から選択された1つの結晶面である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記窒化物半導体基板の主面のうちの前記第1の領域を除く第2領域に、第1の領域のオフ面とは異なる結晶成長面を有する請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第1の領域のオフ面とは異なる結晶成長面は、(000−1)面から傾いた第2オフ面である請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第2オフ面は、互いに平行にストライプ状に形成されている請求項7に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記オフ面の基準結晶面に対するオフ角は、0.1°以上0.7°以下である請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 窒化物半導体基板の主面上に第1導電型の窒化物半導体層と、Inを含有する活性層と、第1導電型とは異なる導電型をした第2導電型の窒化物半導体層と、前記第2導電型の窒化物半導体層にストライプ状のリッジ部とを備えてなる窒化物半導体レーザ素子において、
前記レーザ素子の特性温度T0が350以上である窒化物半導体レーザ素子。
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