JP5098135B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents
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図1は、第1の実施形態に係るLDをレーザ光の共振方向に垂直な方向(共振面に平行な方向)に切断した際の断面構造の一例を模式的に示す。ここでは、LDの一対の電極がチップの片面側に形成されている片面電極構造を示している。
窒化物半導体を成長させるための基板101としては、半導体と同一材料を用いることが好ましい。半導体と同一材料からなる基板であれば格子不整合等の問題を生じないからである。半導体を成長させる基板には、半導体の素子特性を向上させるために基板の表面に発生する転位を低減したものが求められる。また、基板には、半導体を成長させたウェハー状の基板から半導体素子をチップ化することができる劈開性も求められる。
第1導電型の半導体層、活性層、第2導電型の半導体層は、化合物半導体、本例では窒化物半導体よりなる。窒化物半導体の一般式は、InxAlyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)である。
導波路領域は、ストライプ状をした光を伝搬する領域である。ここで、伝搬された光が共振面で共振することにより増幅されてレーザ発振する。また、導波路領域は、電流を効率良く注入することができる狭窄領域であって、該狭窄領域の断面形状は突状をしていることが好ましい。これによって光閉じ込め作用も有するからである。
先ず、窒化物半導体と異なる材料(サファイアやSiC、GaAs等)の異種基板を半導体層の成長基板として用い、この異種基板上に、ELO(エピタキシャル横方向成長)法、選択成長法などにより窒化物半導体層を成長させる。ここで、窒化物半導体層は、III族元素であるB、Ga、Al、In等と窒素との化合物であるGaN、AlN、その他に3元や4元の混晶化合物のAlGaNやInAlGaNである。また、窒化物半導体層は、転位密度(単位面積当たりの転位数)が1×107 /cm2 以下、好ましくは1×106 /cm2 以下となるように形成される。前記窒化物半導体層にn型不純物あるいはp型不純物を含有させてもよい。
基板101上にn側半導体層、活性層およびp側半導体層からなる半導体層を積層したウェハーを半導体成長装置の反応容器から取り出す。
その後、リッジ部の側面を埋め込み絶縁膜220で保護する。この埋め込み絶縁膜とは半導体層よりも屈折率が小さく、絶縁性の材料から選ばれるものである。具体例としては、ZrO2 、SiO2 、その他にはV、Nb、Hf、Ta等の酸化物である。
前記n電極210を形成した後、ストライプ状のp電極に垂直な方向であって、半導体層の共振面を形成するためにウェハーをバー状に分割する。ここで、共振面は、M面(1−100)やA面(11−20)である。ウェハーをバー状に分割する方法としては、ブレードブレイク、ローラーブレイク、またはプレスブレイク等がある。
図2は、第2の実施形態に係るLDをレーザ光の共振方向に垂直な方向(共振面に平行な方向)に切断した際の断面構造の一例を模式的に示す。
第3の実施形態に係るLDは、前述した第1の実施形態に係るLDと比べて、p電極230の構造、埋め込み絶縁膜220の材質が異なる。
図8は、第4の実施形態に係るLDをレーザ光の共振方向に垂直な方向(共振面に平行な方向)に切断した際の断面構造の一例を模式的に示す。図7中と同一部分には同一符号を付している。
前述した各実施形態から明らかなように、本発明は、上記したような窒化物半導体レーザ素子に限らず、半導体層に接触する電極230と、この半導体層の表面を覆う多層の絶縁膜220、240と、前記電極上および絶縁膜上に形成されたパッド電極250とを具備する半導体レーザ素子に一般的に適用可能である。この場合、絶縁膜とパッド電極との界面、および/または、電極とパッド電極との界面に透明導電膜が存在するように実施したり、p電極を透明導電膜の単層構造あるいは積層構造とすることにより、前述したような効果が得られる。なお、絶縁膜として前記埋め込み絶縁膜が省略された単層の絶縁膜240を用いる構造でも、本発明を適用可能である。
本発明は、ストライプ状のリッジ形状をした導波路を有する半導体レーザ素子とは構造を異にする電流狭窄層を有する半導体レーザ素子にも適用可能である。該電流狭窄層とは、選択的に電流を流す機能を有する層である。具体的な組成としてはAlNである。電流狭窄層は活性層とp側コンタクト層との間にあればよく、好ましくはpガイド層に形成されている。電流狭窄層同士の間隔は0.5μm〜3μmである。電流狭窄層の膜厚は10nm〜1μmである。
図1は、実施例1のLDの断面構造を模式的に示す。ここでは、レーザ光の共振方向に垂直な方向(共振面に平行な方向)に切断した際の断面構造の一例を模式的に示す。
MOCVD反応装置内において、1インチφ、C面を主面とするサファイア基板(ウェハー)を配置して、温度を500℃にする。次に、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3 )を用い、GaNよりなるバッファ層を20nmの膜厚で成長させる。バッファ層を成長した後、温度を1050℃にして、同じくGaNよりなる下地層を4μmの膜厚で成長させる。
続いて、1050℃でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1019/cm3 ドープしたAl0.03Ga0.97Nよりなる層を膜厚2μmで成長させる。なお、このn側クラッド層は超格子構造とすることもできる。
続いて、シランガスを止め、1050℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層204を0.175μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層にn型不純物をドープしても良い。
次に、温度を800℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を14nmの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層を7nmの膜厚で成長させる。障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜厚56nmの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
次に、温度を1050℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、Cp2 Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側光ガイド層よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mgを1×1020/cm3 ドープしたp型Al0.25Ga0.75Nよりなるp側キャップ層を10nmの膜厚で成長させる。なお、p側キャップ層は省略可能である。
続いて、Cp2 Mg、TMAを止め、1050℃で、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.14μmの膜厚で成長させる。
続いて、1050℃でアンドープAl0.10Ga0.90Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてCp2 Mg、TMAを止め、アンドープGaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。(p側コンタクト層209)
最後に、1050℃で、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cm3 ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層を15nmの膜厚で成長させる。
図4は、本発明の実施例2に係るLDの断面構造の一部を取り出して模式的に示している。実施例2は、前述した実施例1において、埋め込み絶縁膜220とp電極230との界面のITO膜260を省略するように変更したものである。
図5は、本発明の実施例3に係るLDの断面構造の一部を取り出して模式的に示している。実施例3は、前述した実施例1と比べて、絶縁性保護膜240aを埋め込み絶縁膜220上であってp電極230から離れた領域上を覆うように形成する(pパッド電極250が埋め込み絶縁膜220の上面も覆う)ように変更した点が異なる。この場合、埋め込み絶縁膜220とp電極230との界面のITO膜は省略するようにさらに変更してもよい。
図6は、本発明の実施例4に係るLDの断面構造の一部を取り出して模式的に示す断面図である。実施例4は、前述した実施例3と比べて、p電極230aがリッジ部の上面とほぼ同面積を有するように形成し、pパッド電極250が埋め込み絶縁膜220の上面を覆う領域を広げるように変更した点が異なる。換言すれば、p電極230aがリッジ部の上面のみに接触する、あるいは、p電極230aがリッジ部の直近の埋め込み絶縁膜220を含む領域を覆うように変更した。この場合、埋め込み絶縁膜220とp電極230との界面のITO膜260を省略している。
実施例1において、サファイア基板上にバッファ層、窒化物半導体基板を成長させた後、サファイア基板、バッファ層をレーザ照射または研磨により除去し、基板として用いる。上記窒化物半導体基板を成長させる際、HVPE装置において原料にシランガスを加え、ケイ素(Si)または酸素(O)を1×1018/cm3 ドープしたGaNよりなる窒化物半導体基板を500μmの膜厚で成長させる。なお、Si濃度は1×1017/cm3 〜5×1019/cm3 の範囲とすることが望ましい。その他は実施例1と同様の条件で窒化物半導体レーザ素子を形成することにより、実施例1と同等の特性を有するレーザ素子が効率良く得られる。
実施例1において、基板101上に中間層を介してn側クラッド層203を成長させる。その他は実施例1と同様の条件で半導体レーザ素子を形成する。前記中間層は、アンモニアとTMG、シランガスを用い、基板101の上に、1050℃でSiを3×1018/cm3 ドープしたGaNよりなり、膜厚を4μmで成長させる。
実施例1において、基板101上に中間層およびクラック防止層を介してn側クラッド層203を成長させる。その他は実施例1と同様の条件で半導体レーザ素子を形成する。 前記クラック防止層は、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を800℃にしてIn0.06Ga0.94Nよりなり、0.15μmの膜厚で成長させる。[実施例8]
実施例1において、n側クラッド層203を超格子構造とする。その他は実施例1と同様の条件で半導体レーザ素子を形成する。本実施例におけるn側クラッド層203は、1050℃でTMA、TMG、アンモニアを用い、アンドープAl0.1 Ga0.9 Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてTMAを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm3 ドープしたn型GaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超格子層を構成し、総膜厚2μmとするものである。
実施例9は、図1のLD中のp電極230として最上層にITO膜を用いたものである。 図4は、実施例9のLD中のp電極およびその周辺部分を取り出して一例を拡大して模式的に示す断面図である。
実施例10は、前述した実施例9と比べて、絶縁性保護膜をp電極から離れた領域上(埋め込み絶縁膜上)を覆うように形成することにより、pパッド電極が埋め込み絶縁膜の上面も覆うように変更した点が異なる。
実施例9において、前述した実施例5と同様に、サファイア基板上にバッファ層、窒化物半導体基板を成長させた後、サファイア基板、バッファ層をレーザ照射または研磨により除去し、基板として用いる。上記窒化物半導体基板を成長させる際、HVPE装置において原料にシランガスを加え、ケイ素(Si)または酸素(O)を1×1018/cm3 ドープしたGaNよりなる窒化物半導体基板を500μmの膜厚で成長させる。なお、Si濃度は1×1017/cm3 〜5×1019/cm3 の範囲とすることが望ましい。その他は実施例9と同様の条件で窒化物半導体レーザ素子を形成することにより、実施例9と同等の特性を有するレーザ素子が効率良く得られる。
実施例9において、前述した実施例8と同様に、n側クラッド層203を超格子構造とする。その他は実施例1と同様の条件で半導体レーザ素子を形成する。本実施例におけるn側クラッド層203は、1050℃でTMA、TMG、アンモニアを用い、アンドープAl0.1 Ga0.9 Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてTMAを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm3 ドープしたn型GaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超格子層を構成し、総膜厚2μmとするものである。
Claims (14)
- 半導体層に接触する電極と、
前記半導体層の表面を覆う単層もしくは多層の絶縁膜と、
前記電極上および絶縁膜上に形成されたパッド電極と、
を具備する半導体レーザ素子において、
前記電極の最上層および前記パッド電極の最下層に透明導電膜が形成されており、
前記電極と前記パッド電極との界面および前記絶縁膜と前記パッド電極との界面に透明導電膜が存在していることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 半導体層の上面の電極接触領域以外の領域を覆う第1の絶縁膜と、
前記半導体層の電極接触領域に接触するとともに前記第1の絶縁膜上の一部であって前記電極接触領域の周辺領域上を覆うように形成された第1の電極と、
前記第1の電極の端部上から前記第1の絶縁膜上を覆う第2の絶縁膜と、
前記第1の電極上および前記第2の絶縁膜上に形成されたパッド電極と、
前記半導体層の下層部に電気的に接続された第2の電極と、
を具備する半導体レーザ素子であって、
前記第1の絶縁膜と前記第1の電極との界面に透明導電膜が存在し、
前記第1の電極の最上層および前記パッド電極の最下層にそれぞれ透明導電膜が形成されていることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 前記第1の絶縁膜と前記第1の電極との界面に存在する透明導電膜は、前記第1の絶縁膜上で前記第1の電極よりも広い面積にわたって形成された透明導電膜であることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ素子。
- 第1導電型の半導体層、活性層および第2導電型の半導体層と、
前記第2導電型の半導体層に設けられたストライプ状の電流狭窄領域からなるリッジ部と、
前記リッジ部の側面および前記第2導電型の半導体層の表面を覆う埋め込み絶縁膜と、前記リッジ部の上面に接触するとともに前記埋め込み絶縁膜上の一部であって前記リッジ部に隣接する領域上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極上に形成されたパッド電極と、
前記第2導電型の半導体層に電気的に接続された第2の電極と、
を具備し、
前記パッド電極の下において、少なくとも前記リッジ部上から前記埋め込み絶縁膜上にかけて第1の透明導電膜が形成されており、前記第1の電極は前記第1の透明導電膜の下が金属膜であることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 請求項4記載の半導体レーザ素子において、さらに、前記第1の電極の端部上から前記埋め込み絶縁膜上を覆い、前記パッド電極の下に形成された絶縁性保護膜と、前記絶縁性保護膜と前記パッド電極との界面に存在する透光性を有する第2の透明導電膜と、
を具備することを特徴とする半導体レーザ素子。 - 前記第2の透明導電膜は、前記第1の電極と前記パッド電極との界面にも介在することを特徴とする請求項5記載の半導体レーザ素子。
- 前記第1の透明導電膜は、前記埋め込み絶縁膜と前記第1の電極との界面にも介在することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子。
- 前記埋め込み絶縁膜はZrO2膜からなり、前記絶縁性保護膜はSiO2膜からなり、前記透明導電膜はITO膜からなることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子。
- 窒化物半導体からなるn型の半導体層、活性層およびp型の半導体層が積層された積層半導体と、
前記p型の半導体層の一部が露出されることによって形成されたストライプ状のリッジ部と、
前記リッジ部の側面および前記p型の半導体層の露出上面を覆う埋め込み絶縁膜と、
前記リッジ部の上面に接触し、少なくとも前記リッジ部上から前記埋め込み絶縁膜上にかけて形成されてなり、最上層に透明導電膜の単層構造あるいは積層構造を有し、該透明導電膜の下に金属膜を有し、所定の厚さを有するp電極と、
前記p電極上に形成されたpパッド電極と、
前記n型の半導体層に電気的に連なるn電極と
を具備することを特徴とする半導体レーザ素子。 - 請求項9記載の半導体レーザ素子において、さらに、前記p電極の端部上および/または前記埋め込み絶縁膜上の一部を覆う絶縁性保護膜を具備し、前記pパッド電極は前記p電極上から前記絶縁性保護膜上の一部まで跨がる領域に形成されたことを特徴とする半導体レーザ素子。
- 前記p型の半導体層は、前記活性層の上層側に順に積層されたp側光ガイド層、p側クラッド層およびp側コンタクト層を含み、前記ストライプ状のリッジ部は、前記p側コンタクト層、p側クラッド層の一部を含み、前記埋め込み絶縁膜はSiO2膜またはZrO2膜であることを特徴とする請求項9または10記載の半導体レーザ素子。
- 前記透明導電膜は、ITO膜、IZO膜、GZO膜のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子。
- 前記p電極は、膜厚が20〜1000nmのITO膜の単層構造を有することを特徴とする請求項9または10記載の半導体レーザ素子。
- 前記p電極は、最下層として金属膜が形成され、最上層として膜厚が20〜200nmのITO膜の単層構造あるいは積層構造を有し、総膜厚が50〜500nmであることを特徴とする請求項9または10記載の半導体レーザ素子。
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