JP4346218B2 - 窒化物半導体発光素子とそれを含む光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光効率の高い窒化物半導体発光素子とこれを利用した光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、窒化物半導体は、発光素子やハイパワー半導体デバイスとして利用または研究されている。窒化物半導体発光素子の場合、その発光層(多重量子井戸構造の発光層ではその井戸層)としては一般にInGaNが用いられ、そのIn含有率を変えることによって青色から橙色までの広い色範囲内の発光素子を作製することができる。近年では、その窒化物半導体発光素子の特性を利用して、青色や緑色の発光ダイオードや、青紫色の半導体レーザなどが開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、InGaN量子井戸層を含む発光層を気相成長させる場合、その下地となるGaN層に対する格子不整合が大きいことと、InGaN層は化学的熱平衡状態が不安定であることから、結晶性の良好な発光層を得ることが困難である。特に、井戸層のIn含有率が高くなれば、その成長温度に依存してInGaN結晶がIn成分の高い領域と低い領域とに相分離されやすく、このような相分離が発光素子における色斑の要因となっている。また、In成分の高い領域は非発光領域になりやすく、このことに起因して、発光素子における発光効率の低下が生じやすい。
【0004】
そこで、本発明では、窒化物半導体からなる量子井戸構造を有する発光層を含む窒化物半導体発光素子において、その発光層の結晶性を改善するとともに相分離を抑制することによって、その発光効率を向上させることを主目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、窒化物半導体発光素子は、1×10 7 /cm 2 以下の貫通転位密度を有する窒化物半導体基板上に、または種基板上で20μm以上の厚さを有するn型AlwGa1-wN(0<w≦1)もしくはn型GaNの厚膜上に、複数の量子井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された発光層と、前記発光層上に接してp型AlGaN層が設けられており、それらの量子井戸層はIn y Ga 1-y 1-x x (0.01≦y≦0.5、0.001≦x≦0.116)からなりかつ0.4nm以上20nm以下の厚さを有し、障壁層は1nm以上20nm以下の範囲で前記井戸層より大きな厚さを有しかつIII族元素中のIn原子比率が8%以下のInGaNまたはGaNからなり、上記p型のAlGaN層は複数の井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された前記発光層の最上層の障壁層上に接していることを特徴としている。
【0006】
このように、光を発する作用を生じる発光層は量子井戸層と障壁層とを含んでおり、量子井戸層は障壁層に比べて小さなエネルギバンドギャップを有している。
【0012】
井戸層と障壁層の少なくとも一方は、Si、O、S、C、Ge、Zn、Cd、およびMgから選択された少なくとも1種のドーパントが添加されていることが好ましい。そのようなドーパントの添加量は、1×1016〜1×1020/cm3の範囲内にあることが好ましい。
【0013】
上のような窒化物半導体発光素子は、光情報読出装置、光情報書込装置、光ピックアップ装置、レーザプリンタ装置、プロジェクタ装置、表示装置、白色光源装置などの種々の光学装置において好ましく用いられ得るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態のより具体的な例として、種々の実施例が以下において説明される。
【0015】
一般に、窒化物半導体結晶層を成長させる際には、GaN、サファイア、6H−SiC、4H−SiC、3C−SiC、Si、スピネル(MgAl24)などが基板材料として用いられる。GaN基板と同様に、窒化物半導体からなる他の基板をも用いることもでき、たとえばAlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)基板を用いることもできる。窒化物半導体レーザの場合では、垂直横モードの単峰化のためにはクラッド層よりも屈折率の低い層がそのクラッド層の外側に接している必要があり、AlGaN基板を用いることが好ましい。さらに、Si、O、Cl、S、C、Ge、Zn、Cd、Mg、As、またはBeが基板にドーピングされてもよい。n型窒化物半導体基板のためには、これらのドーピング剤のうちでSi、O、およびClが特に好ましい。
【0016】
以下の実施例においては上述のような基板のうちで主にサファイア基板と窒化物半導体のC面{0001}基板について説明されるが、その基板の主面となる面方位としては、C面のほかに、A面{11−20}、R面{1−102}、またはM面{1−100}を用いてもよい。また、それらの面方位から2度以内のオフ角度を有する基板であれば、その上に成長させられる半導体結晶層の表面モフォロジが良好になる。
【0017】
結晶層を成長させる方法としては、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシ法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)などが一般的に利用される。これらの中でも、作製される窒化物半導体層の結晶性や生産性を考慮すれば、基板としてはGaNまたはサファイアを使用し、結晶成長方法としてはMOCVD法を利用するのが最も一般的である。
【0018】
(実施例1)
以下において、本発明の実施例1による窒化物半導体レーザダイオード素子が説明される。
【0019】
図1の模式的な断面図に示された実施例1による窒化物半導体レーザダイオード素子は、C面(0001)サファイア基板100、GaNバッファ層101、n型GaNコンタクト層102、n型In0.07Ga0.93Nクラック防止層103、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層104、n型GaN光ガイド層105、発光層106、p型Al0.2Ga0.8N遮蔽層107、p型GaN光ガイド層108、p型Al0.1Ga0.9クラッド層109、p型GaNコンタクト層110、n型電極111、p型電極112、およびSiO2誘電体膜113を含んでいる。
【0020】
図1のレーザダイオード素子を作製する場合、まずMOCVD装置内へサファイア基板100をセットし、V族元素のN用原料としてのNH3(アンモニア)とIII族元素のGa用原料としてのTMGa(トリメチルガリウム)を利用して、比較的低い550℃の基板温度の下でGaNバッファ層101を25nmの厚さに成長させる。次に、上記のN用とGa用の原料に加えてSiH4(シラン)をも利用して、1050℃の温度の下でn型GaNコンタクト層102(Si不純物濃度:1×1018/cm3)を3μmの厚さに成長させる。続いて、基板温度を700℃ないし800℃程度に下げ、III族元素のIn用原料としてTMIn(トリメチルインジウム)を利用して、n型In0.07Ga0.93Nクラック防止層103を40nmの厚さに成長させる。再び基板温度を1050℃に上げて、III族元素のAl用原料としてTMAl(トリメチルアルミニウム)を利用して厚さ0.8μmのn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層104(Si不純物濃度:1×1018/cm3)を成長させ、続いてn型GaN光ガイド層105(Si不純物濃度:1×1018/cm3)を0.1μmの厚さに成長させる。
【0021】
その後、基板温度が800℃に下げられ、厚さ6nmのIn0.05Ga0.95N障壁層の複数と厚さ4nmのIn0.05Ga0.950.980.02井戸層の複数とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する発光層106を形成する。この実施例では、発光層106は障壁層で開始して障壁層で終了する多重量子井戸構造を有し、3層の量子井戸層を含んでいる。これらの障壁層と井戸層の成長の際には、それらの両方が1×1018/cm3のSi不純物濃度を有するように、SiH4が添加された。なお、障壁層と井戸層の成長の間または井戸層と障壁層の成長の間に、1秒以上で180秒以下の成長中断期間を挿入してもよい。こうすることによって、障壁層と井戸層の平坦性が向上し、発光半値幅を小さくすることができる。
【0022】
一般に、井戸層中におけるPの含有量は、目的とする発光素子の発光波長に応じて調節することができる。すなわち、井戸層としてInGaNP系の半導体を用いる場合に、目的とする発光波長を得るためには、Inの含有割合yに応じて、表1に示された数値をPの含有割合xの値として採用すればよい。
【0023】
【表1】
Figure 0004346218
【0024】
発光層106を形成した後には、基板を再び1050℃まで昇温して、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N遮蔽層107、厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層108、厚さ0.5μmのp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層109、および厚さ0.1μmのp型GaNコンタクト層110を順次成長させる。なお、p型不純物としては、EtCP2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)を利用して5×1019〜2×1020/cm3の濃度でMgが添加され得る。
【0025】
p型GaNコンタクト層110におけるp型不純物濃度は、p型電極112との接合面に近づくに従って高められることが好ましい。そうすれば、p型電極との間のコンタクト抵抗がより低減され得る。また、p型層内におけるp型不純物であるMgの活性化を妨げる残留水素を除去するために、p型層の成長中に微量の酸素を混入させてもよい。
【0026】
p型GaNコンタクト層110の成長後、MOCVD装置のリアクタ内の全ガスを窒素キャリアガスとNH3に代えて、60℃/分の冷却速度で温度を降下させる。基板温度が800℃に低下した時点でNH3の供給を停止し、その800℃の基板温度を5分間維持してから室温まで冷却させる。なお、このような一時的な基板の保持温度は650℃から900℃の範囲内であることが好ましく、保持時間は3分から10分の範囲内であることが好ましい。また、その保持温度から室温までの冷却速度は、30℃/分以上であることが好ましい。
【0027】
こうして形成された成長膜の表面をラマン測定によって評価したところ、従来の窒化物半導体膜で利用されているp型化アニールを行なわなくても、成長直後において既にp型の特性を示していた。また、p型電極112を形成したときに、そのコンタクト抵抗も低減していた。なお、従来と同様にp型化アニールをも施せば、成長膜中のMgの活性化率がさらに向上することはいうまでもない。
【0028】
次に、MOCVD装置から取出したエピタキシャルウェハをレーザダイオード素子に加工するプロセスについて説明する。
【0029】
まず、反応性イオンエッチング装置を用いてn型GaNコンタクト層102の一部を露出させ、この露出部分上にHf/Auの順の積層からなるn型電極111を形成する。このn型電極111の材料としては、Ti/Al、Ti/Mo、Hf/Alなどの積層を用いることもできる。Hfは、n型電極のコンタクト抵抗を下げるのに有効である。p型電極部分では、サファイア基板100の<1−100>方向に沿ってストライプ状にエッチングを行ない、SiO2誘電体膜113を蒸着し、p型GaNコンタクト層110を露出させ、Pd/Auの順序の積層を蒸着し、こうして幅2μmのリッジストライプ状のp型電極112を形成する。このp型電極の材料としては、Ni/Au、Pd/Pt/AuまたはPd/Mo/Auなどの積層を用いることもできる。
【0030】
最後に、劈開またはドライエッチングを利用して、共振器長が500μmのファブリ・ペロー共振器を作製する。この共振器長は、一般に300μmから1000μmの範囲内にあることが好ましい。共振器のミラー端面は、サファイア基板のM面と一致するように形成される(図2参照)。劈開とレーザ素子のチップ分割は、図2中の破線2Aと2Bに沿って基板側からスクライバを用いて行なわれる。こうすることによって、レーザ端面の平面性が得られるとともにスクライブによる削り滓がエピタキシャル層の表面に付着しないので、発光素子の歩留りが良好になる。
【0031】
なお、レーザ共振器の帰還法としては、ファブリ・ペロー型に限られず、一般に知られているDFB(分布帰還)型、DBR(分布ブラグ反射)型なども用い得ることはいうまでもない。
【0032】
ファブリ・ペロー共振器のミラー端面を形成した後には、そのミラー端面にSiO2とTiO2の誘電体膜を交互に蒸着し、70%の反射率を有する誘電体多層反射膜を形成する。この誘電体多層反射膜としては、SiO2/Al23などの多層膜を用いることもできる。
【0033】
なお、n型GaNコンタクト層102の一部を反応性イオンエッチングを用いて露出させたのは、絶縁性のサファイア基板100が使用されているからである。したがって、GaN基板、Si基板、またはSiC基板のような導電性を有する基板を使用する場合には、n型GaN層102の一部を露出させる必要はなく、その導電性基板の裏面上にn型電極を形成してもよい。
【0034】
次に、上述のようなレーザダイオードチップをパッケージに実装する方法について述べる。まず、上述のような発光層を含むレーザダイオードがその特性を生かして高密度記録用光ディスクに適した青紫色(波長410nm)の高出力(50mW)レーザとして用いられる場合、サファイア基板は熱伝導率が低いので、放熱対策に注意を払わなければならない。たとえば、In半田材を用いて半導体接合を下側にしてチップをパッケージ本体に接続することが好ましい。また、パッケージ本体やヒートシンク部に直接にチップを取付けるのではなくて、Si、AlN、ダイヤモンド、Mo、CuW、BN、Cu、Au、Feなどの良好な熱伝導性を有するサブマウントを介して接合させてもよい。
【0035】
他方、熱伝導率の高いSiC基板、窒化物半導体基板(たとえばGaN基板)、またはGaN厚膜基板(たとえば図8に示す基板800の種基板801を研削除去したもの)上に前述の発光層を含む窒化物半導体レーザダイオードを作製した場合には、たとえばIn半田材を用いて半導体接合を上側にしてパッケージ本体に接続することが好ましい。この場合にも、パッケージ本体やヒートシンク部に直接チップの基板を取付けるのではなくてSi、AlN、ダイヤモンド、Mo、CuW、BN、Cu、Au、Feなどのサブマウントを介して接続してもよい。
【0036】
以上のようにして、発光層を構成している井戸層にPを含む窒化物半導体を用いたレーザダイオードを作製することができる。
【0037】
次に、上述の実施例のレーザダイオードに含まれる発光層106に関連してさらに詳細に説明する。
【0038】
前述ように、InGaN量子井戸層を含む発光層を気相成長させる場合、その下地となるGaN層に対する格子不整合が大きいことと、InGaN層は化学的熱平衡状態が不安定であることから、目的とするIn含有率を有する井戸層を作製することが困難である。特に、In含有率が高い場合(井戸層に含まれるIII族元素のGaとInのうちでInの原子比率が約15%以上の場合)、InGaN混晶の組成制御が容易でない。すなわち、その混晶の組成比率は結晶成長温度に強く依存し、InGaN結晶中でIn成分の高い領域と低い領域とに相分離を生じやすい。このような相分離が生じることは、発光波長の半値幅が広くなることを意味し、色斑の原因となる。また、In成分の高い領域は非発光領域になりやすく、発光素子における発光効率の低下や歩留まりの低下の原因となる。
【0039】
InGaN結晶の相分離は、In自体の偏析(凝集)効果と、V族元素のNがその非常に高い揮発性のために結晶中に取込まれにくいことに起因している。
【0040】
V族元素のNが結晶中に取込まれにくいということは、NとInの結合が形成されにくいことを意味する。Nと結合できなかったInは、In同士が凝縮し合って(偏析)、In成分の高い領域を形成してしまう。これが相分離である。同様に、GaとNについても、Nと結合できなかったGaが存在するが、GaはInと異なりエピ表面をしばらく拡散した後に再蒸発する。したがって、Ga同士の偏析効果はInのそれと比べて極めて小さい。
【0041】
本発明では、井戸層としてのInGaNPを用いることによって、Nに比べて揮発性の低いV族元素のPを容易にInと結合させることができる。なぜならば、PはNに比べてInとの結合力が強く、しかもNに比べて揮発性が低いために結晶中から抜け出にくいからである。このように、InとPとの結合が形成されることによって、In同士が凝縮し合って偏析することを防止する。また、本発明のInGaNP井戸層は、従来のInGaNに比べて、目的発光波長を得るために必要とされるIn含有率を低くすることができる。なぜならば、Inと同様にPがエネルギバンドギャップを調節するように作用し得るからである。もちろん、井戸層中におけるInの低い含有率は、In自体の偏析効果を低減するように作用する。さらに、InGaNP井戸層においては、Pの含有率変化によるエネルギバンドギャップのボウイング効果が非常に大きく、InGaN結晶に比べて下地のGaN層とのわずかな格子不整合で目的発光波長を得ることができる。このことは、そのような井戸層を含む発光層中の結晶欠陥を減少させ、高い結晶性を有する発光層の実現を可能にする。
【0042】
本発明による井戸層においてNの置換元素としてPを選択した理由は、Nに比べて揮発性の低いV族元素(たとえば、P、As、Sbなど)のうちで、Pが最もNの原子半径に近いからである。このことによって、窒化物半導体結晶中のV族原子の格子位置にPが容易に組込まれ、その結晶性を損なうことがない。もちろん、井戸層はキャリアが発光再結合を起こす層であるので、障壁層に比べても特に高い結晶性が望まれる。このような結晶性の観点からも、井戸層中においてNの置換元素としてPを含有させることは特に好ましい。
【0043】
また、InGaNP井戸層においては従来のInGaN井戸層に比べて電子とホールの有効質量が小さくなるので、InGaNP井戸層を含むレーザ素子においては従来に比べてレーザ発振しきい値電流密度を低くすることができる。このことによって、低消費電力かつ高出力で長寿命のレーザ素子を実現することができる。さらに、従来のInGaN井戸層を含む琥珀色発光ダイオードはその井戸層中のIn含有率が高くて信頼性と発光強度の観点から商品化レベルに達していなかったが、本発明によるInGaNP井戸層は、前述のように従来に比べてIn含有率が低くかつ格子整合性が良好であるので、長波長の色の発光ダイオードにも適している。
【0044】
次に、発光層に含まれる井戸層と障壁層の好ましい構成およびそれらの成長条件について述べる。
【0045】
まず、本発明によるInGaNP井戸層は、600℃以上900℃以下のもとで成長させるのが好ましい。また、InGaN1-xx井戸層中のPの平均含有率xは0<x<0.5の範囲内にあることが好ましく、0<x≦0.2の範囲内にあることがさらに好ましい。なぜならば、これらの条件から外れれば、Pを含有させることによる井戸層の相分離を抑制する効果よりも、Pが含まれたことによる結晶性の悪化が顕著になり始めるからである。
【0046】
すなわち、井戸層の成長温度が900℃より高くなれば、井戸層中において揮発性が高いNの抜けが顕著になり、局所的にPの含有率xが0.5以上になってしまう。Pの含有率xが高くて0.5≦x≦1の領域はxが小さい場合の六方晶系ではなくて立方晶系(閃亜鉛鉱構造)に属するので、同じ井戸層中に異なる結晶系が混在してその井戸層の結晶性が悪化することになる。このようなことから、井戸層が900℃以下の温度のもとで成長させられる場合であっても、それに含まれるPの平均含有率xは0.5未満であることが望まれる。なお、以後において、異なる結晶系(六方晶系と立方晶系)が混在する状態を結晶系分離と呼ぶことにする。一方、井戸層の成長温度が600℃より低くなれば、井戸層の結晶性が低下するため好ましくない。
【0047】
InGaNP井戸層の厚さについては、上記の成長条件の範囲内であれば従来のInGaN層に比べて厚く成長させても結晶欠陥が生じにくく、Inの含有率にも依存するが300nm程度の厚さまで成長させることが可能である。しかしながら、量子井戸効果を利用する発光素子の観点からは、InGaNP井戸層の厚さは20nm以下であることが好ましい。他方、井戸層は、0.4nm未満の厚さになれば発光作用を生じなくなるので、それ以上の厚さを有することが必要である。
【0048】
上述の好ましいInGaN1-xx(0<x≦0.2)井戸層に対して最も好ましい障壁層は、As、P、およびSbのいずれをも含まない窒化物半導体障壁層である。これは、以下のような理由による。
【0049】
上述のように、適正な条件のもとでInGaN1-xx(0<x≦0.2)井戸層を堆積すれば、その結晶成長の際に結晶系分離が生じることを防止し得る。しかしながら、発光素子を作製するためには発光層の堆積後にp型層を堆積しなければならず、このp型層の成長温度は少なくとも1000℃以上の高温にしなければならない。したがって、井戸層中のPの含有量にもよるが、井戸層がその成長中に結晶系分離を起こしていなくても、p型層の高温成長の際に結晶系分離を生じることがある。この結晶系分離が井戸層と障壁層との界面で生じた場合、その井戸層に接する障壁層へその結晶系分離の影響が伝播する。この影響が強い場合にはその伝播が発光層全体に広がり、多重量子井戸構造の形成が困難になる。ところが、障壁層自体がAs、P、およびSbのいずれをも含有していない場合には、結晶系分離を生じた井戸層にその障壁層が接していても、障壁層全体が異なる結晶系(立方晶系)に相転移することはなく、六方晶系を維持することができる。したがって、そのような障壁層は結晶系分離の影響が他の層に伝播することを防止するように作用し、多重量子井戸構造を支障なく作製することが可能になる。
【0050】
As、P、およびSbのいずれをも含まない窒化物半導体障壁層としては、たとえば、AlGaN、GaN、InGaN、またはInAlGaNなどを用いることができる。障壁層がAlGaNを含む場合、AlはV族元素との結合力が強いので、高い成長温度のもとでもその障壁層が安定であって結晶系分離の伝播を防止することができる。ただし、AlGaNは、高温で成長しなければ結晶性が良くないため、井戸層の適正成長温度との関連から900℃で成長することが好ましい。他方、GaN障壁層は、Inを含まないので、もともと相分離および結晶系分離とは無縁であるため好ましい。ただし、GaNは高温で成長しなければ結晶性が良くないため、井戸層の適正成長温度との関連から900℃で成長することが好ましい。
【0051】
InGaN障壁層については、Inを含有することによってその成長温度を井戸層と同程度(600℃〜900℃)まで低くすることができる。したがって、発光層の結晶成長中に井戸層が結晶系分離を生じる高温にされることがなく、障壁層の結晶性も良好になる。なお、このInGaN障壁層におけるIII族元素のうちでInの原子比率は15%未満であることが望まれる。さらに好ましくは、8%以下である。このようなInの含有率であれば、上述のようなInGaN層中の相分離(In成分の高い領域と低い領域に分離すること)が生じない。
【0052】
InAlGaN障壁層は、Alを含有しているため上記AlGaNと同様の特性を有する。しかも、Inも含有されているため、井戸層と同程度(600℃〜900℃)の成長温度で作製できる。したがって、井戸層が結晶成長中に、結晶系分離を生じることなく、かつ障壁層の結晶性も良好であるため好ましい。
【0053】
他方、窒化物半導体障壁層がAs、P、またはSbの少なくともいずれかを含有する場合には、その障壁層に含まれるV族元素のうちでAsは原子比率で7%以下、Pは10%以下、そしてSbは2%以下であることを要する。なぜならば、上述のように、障壁層がAs、P、またはSbを含有する場合には結晶系分離の影響を他の層へ伝播させる可能性があり、このような伝播を防止するためにはAs、P、およびSbの含有率を制限しなければならないからである。
【0054】
このような制限のもとにおいて、障壁層にあえてAs、P、またはSbを含有させることが好ましい点は、第1に、これらの元素を含有する障壁層はInGaNP井戸層とほぼ同一の温度で結晶成長させることができるので、発光層全体の結晶性が良好になることである。第2に、As、P、またはSbを含有する障壁層は屈折率が大きくなる傾向を有するので、光閉じ込め効率が向上して、レーザ発振しきい値電流密度の低減や光学特性の向上を図り得ることである。
【0055】
このような障壁層として、たとえばInGaNX(XはAs、P、およびSbから選択された1以上のもの、以下同じ)、GaNX、AlGaNX、InAlGaNXなどが用いられ得る。なお、InGaNX障壁層においては、基本的には本発明によるInGaNP井戸層と同様の効果が得られる。他方、AlGaNはその結晶性をよくするためには一般に成長温度を高くしなければならないが、AlGaNXはAs、P、またはSbのいずれかの元素を含んでいるので、その結晶成長温度をInGaNP井戸層の場合と同様に低くすることができる。
【0056】
障壁層の厚さについては、それがAs、P、またはSbを含むか否かに関わらず、1〜20nmの範囲内にあることが好ましい。障壁層の厚さが1nmよりも薄いと、井戸層に結晶系分離が生じた場合にその影響を遮蔽することが非常に困難であるため好ましくない。一方、障壁層の厚さが20nmよりも厚くなると、多重量子井戸構造のエネルギサブバンドを構成するのが困難になるため好ましくない。
【0057】
また、井戸層と障壁層との層厚の関係については、障壁層の厚さが井戸層の厚さと同じかまたは薄くすることによって多重量子井戸構造のエネルギサブバンドを構成しやすくなるため好ましい。一方、障壁層の厚さが井戸層の厚さと同じかまたは厚くなると井戸層の結晶系分離の影響を遮蔽する効果が大きくなるため好ましい。
【0058】
発光層の不純物の添加に関しては、本実施例では井戸層と障壁層の両方に不純物としてSiH4(Si)を添加したが、片方の層のみに添加してもよいし、両層ともに添加されなくてもレーザ発振は可能である。しかし、フォトルミネッセンス(PL)測定によれば、井戸層と障壁層との両方にSiH4を添加した場合に、添加しない場合に比べてPL発光強度が約1.2倍から1.4倍程度強くなった。このことから、発光ダイオードにおいては、発光層中にSiH4などの不純物を添加する方が好ましい。
【0059】
この理由としては、本発明によるInGaNP井戸層はPを含むことによって従来のInGaN層中の相分離(In偏析など)による非発光部(In成分の高い領域)の発生を抑制できる代わりに、全くPを含まないInGaN井戸層に比べて、適度に形成されるべきInの局在準位(量子ドット)が形成されにくくなることが考えられる。このような局在準位はキャリアをトラップする働きを有するので、井戸層中に結晶欠陥が多く存在していても、効率的な発光再結合に寄与することができる。したがって、そのような局在準位が形成されにくいInGaNP井戸層の発光強度を高めるためには、その結晶性をよくすることが必要である。したがって、Siなどの不純物を添加することは、InGaNP井戸層の結晶成長のための核を形成し、その核を元にして結晶性の良好な井戸層の成長が可能になるので好ましい。本実施例ではSi(SiH4)を1×1018/cm3の濃度で添加したが、Si以外にO、S、C、Ge、Zn、Cd、Mgなどを添加しても同様の効果が得られる。また、これらの添加原子の濃度は約1×1016〜1×1020/cm3程度が好ましい。添加濃度が1×1016/cm3よりも低いと、前記核形成が十分に行なわれないために結晶性が低下して好ましくない。一方、添加濃度が1×1020/cm3よりも高いと、不純物自体を添加したことによる結晶欠陥が増大し始め、結晶性が低下して好ましくない。
【0060】
一般に、レーザダイオードの場合には、障壁層のみに不純物を添加する変調ドープを行なえば、井戸層内でのキャリア吸収がないためにしきい値電流密度が低下するが、むしろ本発明の井戸層においては不純物を添加した方がレーザのしきい値が低かった。これは、本実施例においては窒化物半導体基板と異なるサファイア基板から出発して結晶成長を進めているので、結晶欠陥が多く(貫通転位密度が約1×1010/cm2)、井戸層内での不純物によるキャリア吸収を考慮するよりも不純物を添加して結晶性を向上させた方がレーザしきい値電流密度の低減に有効であったと考えられる。
【0061】
図3において、発光層(多重量子井戸構造)に含まれる井戸層の数とレーザしきい値電流密度との関係が示されている。すなわち、このグラフの横軸は井戸層の数を表わし、縦軸はしきい値電流密度(kA/cm2)を表わしている。また、○印はサファイア基板を用いた場合のレーザしきい値電流密度を表わし、●印はGaN基板を用いた場合を表わしている。図3からわかるように、井戸層数が10層以下のときにしきい値電流密度が10kA/cm2以下になり、室温連続発振が可能となる。また、発振しきい値電流密度をさらに低減するためには、井戸層数が2層以上で6層以下であることが好ましい。さらに、サファイア基板よりもGaN基板を用いた場合にしきい値電流密度が低くなることがわかる。
【0062】
GaN基板(窒化物半導体基板)を用いた本発明の発光層を有するレーザ素子の方がサファイア基板を用いたそれと比べてしきい値電流密度が低くなったのは、結晶欠陥(特に貫通位)が減少したことによると考えられる。
【0063】
発明者らの実験によれば、InGaNP井戸層中に添加したPは、窒化物半導体膜の貫通転位近傍に偏析しやすいことがわかった。このようなPの偏析は井戸層の結晶性を低下させ、ひいては結晶系分離に発展してしまう。また、結晶系分離が生じてしまうと、多層積層構造を有する多重量子井戸構造の作製も困難になってしまう。したがって、本発明の発光層を有する発光素子の発光効率をさらに向上させるためには、前述の不純物添加の他に、貫通転位密度の低い(貫通転位密度1×107/cm2以下)窒化物半導体基板(たとえばGaN基板)を用いることは特に好ましい。
【0064】
発光層106上には、p型AlGaN遮蔽層107とp型層108がこの順に積層するように設けられている。このp型層108は、レーザダイオードの場合にはp型光ガイド層に対応するが、発光ダイオードの場合にはp型クラッド層またはp型コンタクト層に対応する。
【0065】
PL測定によれば、遮蔽層107がない場合とある場合との比較では、遮蔽層がある場合の方が設計発光波長からのシフト量が小さくてPL発光強度も強かった。上述のレーザダイオードの発光層に関連して述べたように、発光層106に比べてその上のp型層108の成長温度は高いので発光層の結晶系分離を促すように作用することがある。しかし、発光層とその上のp型層との間に接する界面にAlを含有する遮蔽層107を設けることによって、発光層の結晶系分離を抑制しかつPを含有する井戸層106からの影響(結晶系分離など)がp型層108へ伝播することをも防止し得ると考えられる。AlはV族元素に対して強い結合力を有していて高い結晶成長温度でもその結合が安定であるので、たとえ発光層からV族原子の抜けが生じたとしてもそれが遮断層内部に拡散していくことを防止し得る。特に、多重量子井戸構造を有する発光層106が井戸層で開始して井戸層で終了する図4(b)の構造を有する場合に、遮蔽層107の効果が顕著に認められた。
【0066】
以上のことから、遮蔽層107は、少なくともAlを含有していることが重要である。また、遮蔽層の極性はp型であることが好ましい。なぜならば、遮蔽層がp型でなければ発光層近傍のpn接合の位置が変化して発光効率が低下するからである。
【0067】
上述の場合と同様に、n型AlGaN遮蔽層を発光層106とn型層105との間に接するように設けてもよい。このn型層105は、レーザダイオードの場合にはn型光ガイド層に相当するが、発光ダイオードの場合にはn型クラッド層またはn型コンタクト層に相当する。そのようなn型AlGaN遮蔽層の効果は、p型AlGaN遮蔽層107とほぼ同様である。
【0068】
次に、発光層のバンドギャップ構造に関しては、図6におけるバンドギャップ構造では、光ガイド層と障壁層が同一の窒化物半導体材料であるので、それらのエネルギバンドギャップと屈折率も同じである。したがって、この場合にはサブバンドによる多重量子井戸効果を得にくく、レーザダイオードの場合には利得の減少(しきい値電流密度の増加)を、発光ダイオードの場合には波長の半値幅の増加(色斑の原因)を招きやすい。
【0069】
そこで、本実施例においては、図4(a)に示されているように、光ガイド層に比べて障壁層のエネルギバンドギャップが小さくされる。これによって、図6に示されたバンドギャップ構造と比べてサブバンドによる多重量子井戸効果が得やすくなり、かつ光ガイド層よりも障壁層の屈折率が大きくなって光閉じ込め効果が向上し、垂直横モードの特性(単峰化)が改善される。特に、障壁層がAs、P、またはSbを含有している場合に、その屈折率が大きくなる傾向が顕著であって好ましい。
【0070】
上述のように光ガイド層に比べて障壁層のエネルギバンドギャップを小さくする発光層の構成は、図4(a)と(b)に示されているように2種類が可能である。すなわち、多重量子井戸構造を有する発光層が障壁層で始まって障壁層で終わる構成と井戸層で始まって井戸層で終わる構成のいずれであってもよい。また、遮蔽層を用いない場合の発光層のバンドギャップ構造は、図5(a)と(b)に示された状態になる。
【0071】
(実施例2)
実施例2では、実施例1で述べられた多重量子井戸構造を有する発光層中の障壁層の窒化物半導体材料が種々に変えられた。これらの障壁層の窒化物半導体材料が表2に示されている。
【0072】
このような実施例2による発光素子におけるその他の条件は実施例1の場合と同様にされたが、実施例1と同様な効果が得られた。
【0073】
【表2】
Figure 0004346218
【0074】
(実施例3)
図7に示された実施例3においては、実施例1で用いられたサファイア基板100の代わりに主面としてC面({0001}面)を有するn型GaN基板700が用いられた。GaN基板を用いる場合、GaNバッファ層101を省略してn型GaN層102を直接GaN基板上に成長させてもよい。しかし、現在商業的に入手可能なGaN基板はその結晶性や表面モホロジーが十分に良好ではないので、これらの改善のためにGaNバッファ層101を挿入する方が好ましい。
【0075】
この実施例3ではn型GaN基板700を用いているので、n型電極111はGaN基板700の裏面に形成することができる。また、GaN基板は劈開端面が非常に平滑であるので、共振器長が300μmのファブリ・ペロー共振器を低いミラー損失で作製することができる。なお、実施例1の場合と同様に、共振器長は、一般に300μmから1000μmの範囲内にあることが好ましい。共振器のミラー端面は、GaN基板700の{1−100}面に対応するように形成される。また、レーザ素子の劈開とチップ分割は、前述の図2の場合と同様に基板側からスクライバによって行なわれる。さらに、レーザ共振器の帰還手法として、前述のDFBやTBRを用いることももちろん可能であり、さらにミラー端面に実施例1の場合と同様の誘電多層反射膜が形成されてもよいことも言うまでもない。
【0076】
サファイア基板の代わりにGaN基板を用いることによって、エピタキシャルウェハ中にクラックを生じることなく、n型AlGaNクラッド層104とp型AlGaNクラッド層109の厚さを大きくすることができる。好ましくは、これらのAlGaNクラッド層の厚さは、0.8〜1.0μmの範囲内に設定される。これによって、垂直横モードの単峰化と光閉じ込め効率が改善され、レーザ素子の光学特性の向上とレーザしきい値電流密度の低減を図ることができる。
【0077】
ところで、前述のように本発明による発光層に含まれる井戸層の特性はその井戸層の結晶性(結晶欠陥)に強く依存するので、本実施例におけるようにGaN基板を用いて該井戸層を含む窒化物半導体レーザダイオード素子を作製すれば、その発光層中の結晶欠陥密度(たとえば貫通転位密度)が低減され、サファイア基板が用いられた実施例1に比べてレーザ発振しきい値電流密度が低減する(図3参照)。
【0078】
なお、本実施例における発光層に関するその他の条件については、実施例1の場合と同様である。ただし、発光層中の不純物濃度に関しては、障壁層中のみに不純物を添加する変調ドープ、または井戸層に3×1018/cm3以下の濃度の不純物を添加することによって、レーザしきい値電流密度が実施例1に比べて低減した。これは、前述のように発光層の結晶性がサファイア基板を用いた場合に比べて向上したためであると考えられる。
【0079】
(実施例4)
実施例4は、実施例1のサファイア基板100を図8に示された基板800に置き換えたことを除いて、実施例1または実施例3と同様である。図8の基板800は、順次積層された種基板801、バッファ層802、n型GaN膜803、誘電体膜804、およびn型GaN厚膜805を含んでいる。
【0080】
このような基板800の作製においては、まず、種基板801上にMOCVD法によって550℃の比較的低温でバッファ層802を積層する。その上に、1050℃の温度においてSiをドーピングしながら厚さ1μmのn型GaN膜803が形成される。
【0081】
n型GaN膜803の形成されたウェハをMOCVD装置から取出し、スパッタ法、CVD法、またはEB蒸着法を利用して誘電体膜804を厚さ100nmに形成し、リソグラフィ技術を用いてその誘電体膜804が周期的なストライプ状パターンに加工される。これらのストライプはn型GaN膜803の<1−100>方向に沿っており、この方向に直交する方向の<11−20>方向に10μmの周期的ピッチと5μmのストライプ幅とを有している。
【0082】
次に、ストライプ状に加工された誘電体膜804が形成されたウェハがHVPE装置内にセットされ、1×1018/cm3のSi濃度と350μmの厚さを有するn型GaN厚膜805が1100℃の成長温度において堆積される。
【0083】
n型GaN厚膜805が形成されたウェハはHVPE装置から取出され、その上に実施例1(図1参照)と同様のレーザダイオードが作製された。ただし、この実施例4においては、レーザダイオードのリッジストライプ部分1Aが図8のライン810と811の直上に位置しないように作製された。これは、貫通転位密度(すなわち結晶欠陥密度)の少ない部分にレーザ素子を作製するためである。このようにして作製された実施例4のレーザダイオードの特性は、基本的に実施例3の場合と同様であった。
【0084】
なお、基板800は、研磨機で種基板801を除去した後にレーザダイオード用基板として用いられてもよい。また、基板800はバッファ層802以下のすべての層を研磨機で除去した後にレーザダイオード基板として用いられてもよい。さらに、基板800は、誘電体膜804以下のすべての層を研磨機で除去した後にレーザダイオード用基板として用いられもよい。種基板801が除去される場合、実施例3の場合と同様に、その基板の裏面上にn型電極111を形成することができる。なお、種基板801は、レーザダイオードが作製された後に除去することも可能である。
【0085】
上記の基板800の作製において、種基板801としては、C面サファイア、M面サファイア、A面サファイア、R面サファイア、GaAs、ZnO、MgO、スピネル、Ge、GaAs、Si、6H−SiC、4H−SiC、3C−SiCなどのいずれが用いられてもよい。バッファ層802としては、450℃から600℃の比較的低温で成長させられたGaN層、AlN層、AlxGa1-xN(0<x<1)層、またはInyGa1-yN(0<y≦1)層のいずれが用いられてもよい。n型GaN膜803の代わりとして、n型AlzGa1-zN(0<z<1)膜が用いられ得る。誘電体膜804としては、SiO2膜、SiNx膜、TiO2膜、またはAl23膜のいずれが用いられてもよい。n型GaN厚膜805の代わりとして、n型AlwGa1-wN(0<w≦1)厚膜であってもよく、その膜厚は20μm以上であればよい。
【0086】
(実施例5)
実施例5においては、実施例1の光ガイド層の材料が種々変えられた。実施例1ではn型光ガイド層105とp型光ガイド層108の両方がGaNで形成されていたが、それらのGaN層の窒素原子の一部がAs、P、またはSbのいずれかの元素で置換されてもよい。すなわち、GaN1-x-y-zAsxySbz(0≦x≦0.07、0≦y≦0.1、0≦z≦0.02、x+y+z>0)の光ガイド層を用いることができる。
【0087】
従来のAlGaNクラッド層/GaN光ガイド層では、たとえクラッド層中のAl含有量を増大させたとしても、これらの互いの層の屈折率差が小さく、逆に格子不整合が増加してクラックの発生や結晶性の低下を招く。他方、AlGaNクラッド層とGaNAsPSb光ガイド層との組合せの場合、As、P、またはSbによるバンドギャップにおける非常に大きなボウイング効果のために、従来に比べてわずかな格子不整合でエネルギギャップ差が大きくなるとともに屈折率差も大きくなる。このことによって、窒化物半導体レーザダイオード素子においてレーザ光を効率よく閉じ込めることができ、垂直横モード特性(単峰化)が向上する。
【0088】
GaN1-x-y-zAsxySbz(0≦x≦0.07、0≦y≦0.1、0≦z≦0.02、x+y+z>0)光ガイド層における組成比率に関しては、その光ガイド層が発光層中の障壁層に比べてエネルギバンドギャップが大きくなるようにx、y、およびzの組成比を調整すればよい。たとえば、青紫色レーザ(波長410nm)素子中のGaN1-xAsx光ガイド層の場合にはAsの組成比率xが0.02以下、GaN1-yy光ガイド層の場合にはPの組成比率yが0.03以下、そしてGaN1-zSbz光ガイド層の場合にはSbの組成比率zが0.01以下に調整される。なお、この実施例5における発光層に関する他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0089】
(実施例6)
実施例6は、窒化物半導体発光ダイオード素子に関するものである。図9において、この実施例6の窒化物半導体発光ダイオード素子の模式的な縦断面図(a)と上面図(b)が示されている。
【0090】
図9(a)の発光ダイオード素子は、C面(0001)サファイア基板900、GaNバッファ層901(膜厚30nm)、n型GaN層コンタクト902(膜厚3μm、Si不純物濃度1×1018/cm3)、n型Al0.1Ga0.9N遮蔽層兼クラッド層903(膜厚20nm、Si不純物濃度1×1018/cm3)、発光層904、p型Al0.1Ga0.9N遮蔽層兼クラッド層905(膜厚20nm、Mg不純物濃度6×1019/cm3)、p型GaNコンタクト層906(膜厚200nm、Mg不純物濃度1×1020/cm3)、透光性電極907、p型電極908、n型電極909、および誘電体膜910を含んでいる。
【0091】
ただし、このような発光ダイオード素子において、n型Al0.1Ga0.9N遮蔽層兼クラッド層903は省略されてもよい。また、透光性電極907はNiまたはPdで形成され、p型電極908はAuで形成され、そしてn型電極909はHf/Au、Ti/Al、Ti/Mo、またはHf/Alの積層体で形成され得る。
【0092】
この実施例の発光層においては、井戸層と障壁層のそれぞれにSiH4(Si不純物濃度5×1017/cm3)が添加されている。なお、これらの井戸層と障壁層の窒化物半導体材料については、実施例1と2の場合と同様である。また、サファイア基板900の代わりにGaN基板を用いた場合は実施例3と同様の効果が得られ、図8に示す基板を用いた場合には実施例4と同様の効果が得られる。さらに、GaN基板は導電性基板であるので、図9(b)のように発光素子の片面側にp型電極908とn型電極909の両方を形成してもよいし、GaN基板の裏面上にn型電極を形成してエピタキシャル最外表面上にp型電極を形成してもよい。
【0093】
なお、この実施例6における発光層904に含まれる井戸層と障壁層に関するその他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0094】
図10においては、発光ダイオード素子の発光層に含まれる井戸層数と発光強度の関係が示されている。すなわち、このグラフにおいて横軸は井戸層数を表わし、縦軸は発光強度(arb.units:規格化された任意単位)を表わしている。すなわち、図10において、発光ダイオードの発光強度は、従来のInGaN井戸層を用いた場合を基準(破線)にして規格化されて示されている。また、グラフ中の○印はサファイア基板を用いた場合の発光強度を示し、●印はGaN基板を用いた場合の発光強度を示している。このグラフから、発光ダイオードに含まれる井戸層の好ましい数は2層以上で10層以下であることがわかる。また、サファイア基板よりもGaN基板を用いた場合に発光強度が向上することがわかる。実施例4で説明した基板800を用いても、図10のGaN基板を用いたときの結果とほぼ同様であった。GaN基板(または基板800)を用いると発光強度が向上する理由については実施例1と同じである。
【0095】
(実施例7)
実施例7は、窒化物半導体スーパールミネッセントダイオード素子に関するものである。この発光素子における構成や結晶成長方法は実施例1の場合と同様である。なお、サファイア基板の代わりにGaN基板を用いた場合には実施例3と同様の効果が得られ、図8に示された基板を用いた場合には実施例4と同様の効果が得られる。また、発光層に含まれる井戸層数と発光強度との関係については、実施例6の場合と同様である。
【0096】
(実施例8)
実施例8においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層中の井戸層と障壁層に不純物Siの代わりに1×1020/cm3のCが添加された。このように、井戸層と障壁層において不純物Siの代わりにCを用いた場合にも同様の効果が得られた。
【0097】
(実施例9)
実施例9においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層中の井戸層と障壁層に不純物としてSiの代わりに1×1016/cm3のMgが添加された。このように、井戸層と障壁層において不純物としてSiの代わりにMgを用いた場合にも同様の効果が得られた。
【0098】
(実施例10)
実施例10においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.05Ga0.950.990.01井戸層(厚さ4nm)/In0.05Ga0.95N障壁層(厚さ8nm)に変更されたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0099】
(実施例11)
実施例11においては、実施例1、3、4、6、および7の発光層に含まれる井戸層と障壁層は5周期のIn0.02Ga0.980.980.02井戸層(厚さ2nm)/GaN障壁層(厚さ4nm)に変更されたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0100】
(実施例12)
実施例12においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.02Ga0.980.980.02井戸層(厚さ4nm)/GaN障壁層(7nm)に変更されたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0101】
(実施例13)
実施例13においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が10周期のIn0.35Ga0.650.940.06井戸層(厚さ0.4nm)/GaN障壁層(1nm、Al濃度5×1018/cm3)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0102】
(実施例14)
実施例14においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.05Ga0.950.980.02井戸層(厚さ4nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(厚さ8nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0103】
(実施例15)
実施例15においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が2周期のIn0.1Ga0.90.960.04井戸層(厚さ6nm)/GaN0.960.04障壁層(厚さ6nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0104】
(実施例16)
実施例16においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が4周期のIn0.2Ga0.80.980.02井戸層(厚さ3nm)/GaN0.99As0.01障壁層(厚さ6nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0105】
(実施例17)
実施例17においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が6周期のIn0.2Ga0.80.960.04井戸層(厚さ4nm)/In0.02Ga0.980.98As0.02障壁層(厚さ10nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0106】
(実施例18)
実施例18においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が4周期のIn0.35Ga0.650.940.06井戸層(厚さ4nm)/Al0.01Ga0.990.99As0.01障壁層(厚さ10nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0107】
(実施例19)
実施例19においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.1Ga0.90.990.01井戸層(厚さ18nm)/Al0.01Ga0.990.980.02障壁層(厚さ20nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0108】
(実施例20)
実施例20においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.35Ga0.650.940.06井戸層(厚さ5nm)/In0.01Ga0.990.940.06障壁層(厚さ5nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0109】
(実施例21)
実施例21においては、実施例1、3、4、6、および7における発光層に含まれる井戸層と障壁層が2周期のIn0.5Ga0.50.960.04井戸層(厚さ6nm)/GaN障壁層(厚さ6nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0110】
(実施例22)
実施例22においては、実施例1から5による窒化物半導体レーザを利用した光学装置が作製された。本発明によるたとえば青紫色(400〜410nmの発光波長)窒化物半導体レーザを利用した光学装置では、従来の窒化物半導体レーザに比べてレーザ発振しきい値電流密度が低くて、レーザ光中の自然放出光が減少してノイズ光も低減する。また、そのようなレーザ素子は高出力(50mW)でかつ高温雰囲気中で安定して動作し得るので、高密度記録再生用光ディスクの記録再生用光学装置に適している。
【0111】
図11において、本発明によるレーザ素子1を含む光学装置の一例として、光ピックアップ装置2を含む光ディスク情報記録再生装置が模式的なブロック図で示されている。この光学情報記録再生装置において、レーザ光3は入力情報に応じて光変調器4で変調され、走査ミラー5およびレンズ6を介してディスク7上に記録される。ディスク7は、モータ8によって回転させられる。再生時にはディスク7上のピット配列によって光学的に変調された反射レーザ光がビームスプリッタ9を通して検出器10で検出され、これによって再生信号が得られる。これらの各要素の動作は、制御回路11によって制御される。レーザ素子1の出力については、通常は記録時に30mWであり、再生時には5mW程度である。
【0112】
本発明によるレーザ素子は上述のような光ディスク記録再生装置に利用され得るのみならず、レーザプリンタ、バーコーリーダ、光の三原色(青色、緑色、赤色)レーザダイオードによるプロジェクタなどに利用し得る。
【0113】
(実施例23)
実施例23においては、実施例6と7による窒化物半導体発光ダイオードが光学装置に利用された。一例として、本発明による発光層を用いた光の三原色(赤色、緑色、青色)による発光ダイオードまたはスーパールミネッセントダイオードを用いて白色光源を作製することができ、またそれらの三原色を用いたディスプレイを作製することもできた。さらに、400nm以下の発光波長を有する本発明の発光ダイオードもしくはスーパールミネッセントダイオードを作製し、蛍光塗料を塗布して白色光源装置としてもよい。特に、窒化物半導体を利用した赤色発光ダイオードは、InGaN井戸層を用いて作製することが困難であったが、InGaNP井戸層を用いることによってそれが容易となる。
【0114】
従来の液晶ディスプレイに用いられていたハロゲン光源に代わってこのような本発明による発光素子を利用した白色光源を用いることによって、低消費電力でかつ高輝度のバックライトを得ることができる。すなわち、本発明の発光素子を利用した白色光源は、携帯ノートパソコン、携帯電話などによるマン・マシンインターフェイスの液晶ディスプレイ用バックライトとして利用でき、小型化されかつ高鮮明な液晶ディスプレイを提供することが可能になる。
【0115】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数の量子井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する発光層を含む窒化物半導体発光素子において、その量子井戸層をInGaNで形成することにより、その発光素子の発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による窒化物半導体レーザ素子の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】 実施例によるレーザ素子のチップ分割を説明するための模式的な上面図である。
【図3】 レーザ素子の井戸層数としきい値電流密度との関係を示すグラフである。
【図4】 実施例による発光素子中のエネルギバンドギャップ構造を模式的に示す図である。
【図5】 実施例による発光素子中のエネルギバンドギャップ構造の他の例を模式的に示す図である。
【図6】 従来の発光素子中のエネルギバンドギャップ構造を模式的に示す図である。
【図7】 実施例として窒化物半導体基板を用いたレーザ素子の構造を示す模式的な断面図である。
【図8】 本発明による発光素子において利用され得る窒化物半導体厚膜基板を示す模式的な断面図である。
【図9】 (a)は本発明による発光ダイオード素子の一例を示す模式的な断面図であり、(b)は(a)のダイオード素子に対応する模式的な上面図である。
【図10】 本発明による発光ダイオード素子の井戸層数と発光強度との関係を示すグラフである。
【図11】 本発明による発光素子が用いられた光学装置の一例としての光ディスク記録再生装置を示す模式的なブロック図である。
【符号の説明】
100,900 サファイア基板、101,901 GaNバッファ層、102,902 n型GaN層、103 n型In0.07Ga0.93Nクラック防止層、104 n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、105 n型GaN光ガイド層、106,904 発光層、107 p型Al0.2Ga0.8N遮蔽層、108 p型GaN光ガイド層、109 p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、110,906 p型GaNコンタクト層、111,909 n型電極、112 p型電極、113 SiO2誘電体膜、700 n型GaN基板、800 基板、801 種基板、802 バッファ層、803 n型GaN膜、804,910 誘電体膜、805 n型GaN厚膜、903 n型Al0.1Ga0.9N遮蔽層兼クラッド層、905 p型Al0.1Ga0.9N遮蔽層兼クラッド層、907 透光性電極、908 p型電極、1A リッジストライプ部、2A 劈開面、2B チップ分割面、1 レーザ素子、2 光ピックアップ、3 レーザ光、4 光変調器、5 走査ミラー、6 レンズ、7 ディスク、8 モータ、9 ビームスプリッタ、10 光検出器、11 制御回路。

Claims (4)

  1. 1×10 7 /cm 2 以下の貫通転位密度を有する窒化物半導体基板上に、または種基板上で20μm以上の厚さを有するn型Al w Ga 1-w N(0<w≦1)もしくはn型GaNの厚膜上に、
    複数の量子井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された発光層と、
    前記発光層上に接してp型AlGaN層が設けられており
    前記量子井戸層はIn y Ga 1-y 1-x x (0.01≦y≦0.5、0.001≦x≦0.116)からなりかつ0.4nm以上20nm以下の厚さを有し
    前記障壁層は1nm以上20nm以下の範囲で前記井戸層より大きな厚さを有しかつIII族元素中のIn原子比率が8%以下のInGaNまたはGaNからなり、
    前記p型のAlGaN層は複数の井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された前記発光層の最上層の障壁層上に接していることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 前記井戸層と前記障壁層の少なくとも一方は、Si、O、S、C、Ge、Zn、Cd、およびMgから選択された少なくとも1種のドーパントが添加されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記ドーパントの添加量は1×1016〜1×1020/cm3の範囲内にあることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 請求項1からのいずれかの項に記載された前記窒化物半導体発光素子を含むことを特徴とする光学装置。
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