JP5170186B2 - Iii族窒化物結晶基板の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、転位密度が低く、かつ製造コストが安いIII族窒化物結晶基板の製造方法に関する。
近年、半導体レーザ、LED(Light Emitting Diode)などの光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板として、転位密度が低くサイズの大きなIII族窒化物結晶基板が求められている。
III族窒化物結晶基板を製造する方法としては、気相法として、結晶の成長速度を100μm/hr以上にすることができ、気相法の中で結晶成長が速いハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy、以下HVPE法という)が有力な方法として用いられている(たとえば、非特許文献1を参照)。
また、下地基板上にIII族窒化物結晶の薄膜を成長させる方法としては、気相法として、結晶の成長速度の制御性がよく表面が平坦な薄膜の成長に適した有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下MOCVD法という)が有力な方法として用いられている(たとえば、非特許文献1を参照)。上記のような下地基板に薄膜を形成したものは、一般にテンプレートと呼ばれる。たとえば、下地基板としてのサファイア基板上にMOCVD法によりIII族窒化物結晶の薄膜を成長させたテンプレートが、III族窒化物結晶基板の代用品として用いられている。
しかし、上記HVPE法またはMOCVD法においては、いずれもIII族窒化物結晶を成長させるための下地基板が必要であり、III族窒化物結晶基板またはテンプレートのIII族窒化物結晶薄膜の転位密度は、下地基板の転位密度に依存し、また、下地基板としてIII族窒化物基板でなく、サファイア基板またはSiC基板などの異種基板を用いる場合には、格子不整合と熱膨張係数差により、III族窒化物結晶の転位密度はさらに増加する傾向にあった。
上記のように、HVPE法は結晶の成長が速く、MOCVD法は結晶の成長速度の制御性に優れるといった利点がそれぞれ有するが、結晶の転位密度を十分に小さくすることができない点で、III族窒化物結晶基板の実用的な製造方法ではなかった。
これに対して、フラックス法、高窒素圧溶液法に代表される液相法においては、反応性の高いガスを用いる気相法に比べて、熱力学的に平衡状態に近い準平衡状態で結晶成長が進行するため、成長中の核発生が抑制され、一般に転位密度が低く結晶性の高いIII族窒化物結晶が得られる(たとえば、非特許文献2〜非特許文献を4参照)。
また、液相法におけるIII族窒化物結晶以外のIII−V族結晶の例として、GaAsの基板上に自己フラックスを用いた液相法によりGaAsおよびAlGaAsの結晶層を成長させると、やはり準平衡状態で結晶成長が進行するため、下地基板よりも転位密度が低くなり、平坦な結晶層が得られている。この結晶層の転位密度の低さから、チップ化した後に電極などを形成すると耐久性の高い赤色発光素子を製造できるため、リモコンの発光部などに従来から広く利用されている。
しかし、上記のように、III族窒化物結晶においては、上記他材料と同様に液相法により低転位化することは確認されているが(たとえば、非特許文献3および非特許文献4参照)、窒素の平衡蒸気圧が高いために、液相への窒素の溶解量が一般に少ないことから、結晶の成長速度が10μm/hr程度と遅い。また、結晶の成長が遅いにもかかわらず、高温高圧で熱力学的な準安定状態を安定的に保つのが設備的にまた技術的に困難なことから、成長速度を十分に制御できず、表面においてはウルツ鉱型の六方晶系を反映した六角形状の突起部が見られるなど、表面の平坦性が悪いという問題があった。このため、液相法によって青紫色レーザ、青色LED、白色LEDなどの光デバイス、或いは電界効果トランジスタなどの電子デバイスの基板を得ようとすることは、結晶成長に長時間を要し、さらに結晶表面を研磨などにより平坦化する工程を経る必要があり、製造コストが高くなり実用化に至っていない。
赤崎勇編著,「III族窒化物半導体」,培風館,初版,1999年12月8日,p67−91 Hisanori Yamane,他5名,"Preparation of GaN Single Crystals Using a Na Flux",Chemistry of Materials,Vol.9,(1997),p413−416 Fumio Kawamura,他6名,"Growth of Large GaN Single Crystal Using the Liquid Phase Epitaxy (LPE) Technique",Japanese Journal of Applied Physics,Vol.42,(2003),pL4−L6 Takayuki Inoue,他5名,"Growth of Bulk GaN Single Crystals by the Pressure-Controlled Solution Growth",Japanese Journal of Applied Physics,Vol.39,(2000),p2394−2398
上記状況に鑑みて、本発明は、転位密度が低く、かつ製造コストが安いIII族窒化物結晶基板の製造方法を提供することを目的とする。
発明は、液相法により、下地基板上に第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程と、ハイドライド気相成長法により、第1のIII族窒化物結晶上に第2のIII族窒化物結晶を成長させる工程と、第1のIII族窒化物結晶および/または第2のIII族窒化物結晶を切断またはへき開によって分割する工程とを含み、第2のIII族窒化物結晶の厚さが1600μm以上であり、第2のIII族窒化物結晶の転位密度が3×106個/cm2以下であるIII族窒化物結晶基板の製造方法である。かかる製造方法は、成長する結晶の転位密度が低い利点と結晶の成長が遅く結晶表面の平坦性が低い欠点を有する液相法と、結晶の成長が速く結晶表面の平坦性が高いという利点と結晶の転位密度が高い欠点を有するハイドライド気相成長法とを組み合わせることにより、それぞれの利点である成長する結晶の転位密度が低く、結晶の成長が速く結晶表面の平坦性が高いという特徴を有するIII族窒化物結晶基板の製造を可能とするものである。
本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法において、第2のIII族窒化物結晶の厚さが3200μm以上であり、第2のIII族窒化物結晶の転位密度が4×105個/cm2以下であることが好ましい。
本発明によれば、転位密度が低く、かつ製造コストが安いIII族窒化物結晶基板の製造方法を提供することができる。
本発明において好ましい一のIII族窒化物結晶基板の製造方法を説明する断面概略図である。(a)は液相法により第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程を示し、(b)〜(d)は気相法により第2のIII族窒化物結晶を成長させる工程を示す。 液相法により基板上の一部に成長した第1のIII族窒化物結晶を示す概略図である。(a)は上面からみた平面概略を示し、(b)は(a)のIIBにおける断面概略を示す。 本発明において好ましい別のIII族窒化物結晶基板の製造方法を説明する断面概略図である。(a)は基板上に形成された第1のIII族窒化物結晶および第2のIII族窒化物結晶を示し、(b)は第2のIII族窒化物結晶を分割する工程を示す。 本発明において好ましいまた別のIII族窒化物結晶基板の製造方法を説明する概略断面図である。(a)は液相法により第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程を示し、(b)は気相法により第2のIII族窒化物結晶を成長させる工程を示し、(c)は第1および第2のIII族窒化物結晶を分割する工程を示す。 本発明において好ましい一のIII族窒化物結晶基板の製造方法における下地基板の配置を示す概略図である。(a)は上面図、(b)は(a)におけるVb−Vb方向からの断面図を示す。 本発明おいて好ましいまた別のIII族窒化物結晶基板の製造方法における下地基板の配置を示す概略図である。(a)は上面図、(b)は(a)におけるVIb−VIb方向からの断面図を示す。 本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法により得られる一のIII族窒化物半導体デバイスを示す概略断面図である。
本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法は、たとえば、図1を参照して、図1(a)に示すように、液相法により下地基板1上に第1のIII族窒化物結晶2を成長させる工程と、図1(b)〜図1(d)に示すように、気相法により上記第1のIII族窒化物結晶2上に第2のIII族窒化物結晶3を成長させる工程を含む。かかる工程を含むことによって、転位密度の低い第1のIII族窒化物結晶および第2のIII族窒化物結晶が得られる。
第1のIII族窒化物結晶および第2のIII族窒化物結晶の転位密度が低くなるのは、以下の理由によるものと考えられる。まず、基板1上に液相法により第1のIII族窒化物結晶の成長を行なうと、図1および図2を参照して、第1のIII族窒化物結晶2の表面は平坦ではなく、図2(a)に示すように上面から見ると幅(W)300μm程度の多角形状で、図2(b)および図1(a)に示すように断面が高さ(H)3μm程度の台形状である1以上(通常は複数)の第1のIII族窒化物結晶の突起部2aが、基底部2b上に形成される。液相法は、気相法に比べ熱力学的に平衡状態により近い状態で結晶成長をさせる方法であるため、初期に下地基板1上に発生する結晶核が少量であり、かかる少量の結晶核から準平衡状態で成長した第1のIII族窒化物結晶2は転位密度が低くなる。ここで、第1のIII族窒化物結晶の突起部2aは、基底部2bに比べてより結晶成長が進んでいるため転位密度はさらに低くなる。
次に、上記第1のIII族窒化物結晶上に、気相法により3μm/hr程度の成長速度で第2のIII族窒化物結晶のエピタキシャル成長を行なうと、図1(b)に示すように、第1のIII族窒化物結晶2の突起部2aの斜面22上における第2のIII族窒化物結晶3の成長速度Vは、基底部2bの平面21上および突起部2aの平面21上における第2のIII族窒化物結晶3の成長速度Vより大きいため、第2のIII族窒化物結晶3は、基底部2bの平面21上および突起部2aの平面21を覆うように成長して行き、図1(b)および図1(c)に示すように第2のIII族窒化物結晶3は表面段差部33が小さくなり、図1(c)または図1(d)に示すように平坦に近い表面または平坦な表面を有する第2のIII族窒化物結晶3が得られる。ここで、上記のように、第2のIII族窒化物結晶は、転位密度が低い第1のIII族窒化物結晶の突起部2aの斜面22から成長したものが多いことから、その転位密度も低いものが得られる。また、III族窒化物結晶の表面の平坦性が向上するため、半導体デバイス用基板とするための表面研磨などの加工コストを低減することができる。
本明細書においては、III族窒化物結晶基板の製造方法を説明するため、液相法で得られたIII族窒化物結晶を第1のIII族窒化物結晶と、気相法で得られたIII族窒化物結晶を第2のIII族窒化物結晶と区別して記載しているが、第2のIII族窒化物結晶は、整合性よく第1のIII族窒化物結晶上に成長していることから、ひとつのIII族窒化物結晶として用いることも可能である。
本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法において、下地基板に特に制限はなく、III族窒化物基板、サファイア基板、SiC基板などを用いることができる。しかし、III族窒化物結晶との格子不整合および熱膨張係数の差が小さく、転位密度の低いIII族窒化物結晶の成長が容易になる観点から、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法において用いられる下地基板1は、図1を参照して、III族窒化物基板、またはIII族窒化物結晶を成長させる面にIII窒化物結晶層1aが形成された基板であることが好ましい。すなわち、サファイア基板またはSiC基板などの異種基板を用いる場合には、これらの基板にIII族窒化物結晶層を形成したものを下地基板とすることが好ましい。ここで、サファイア基板またはSiC基板などへのIII族窒化物結晶層の形成は、HVPE法またはMOCVD法を用いて行なうことが好ましい。
また、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法において、上記液相法としてフラックス法または高窒素圧溶液法を用いることが好ましい。転位密度の低い第1のIII族窒化物結晶を容易に成長させることができる。
フラックス法とは、600〜1400℃程度の温度と0.1MPa〜10MPa程度の圧力下で、III族元素とフラックスとを含む融液に窒素を溶解させて、III族窒化物結晶の成長を行なうものである。フラックスとしては、アルカリ金属元素または遷移金属元素が用いられる。たとえば、III族元素がGaの場合はアルカリ金属元素であるNaが好ましく用いられ、III族元素がAlの場合には遷移金属元素であるFe、MnまたはCrが好ましく用いられる。また、高窒素圧溶液法は、約1500℃の高温と1GPa〜2GPa程度の高窒素圧力下で、III族元素融液(たとえばGa融液)に窒素を溶解させて、III族窒化物結晶(たとえばGaN結晶)の成長を行なうものである。
また、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法において、上記気相法として、HVPE法またはMOCVD法を用いることが好ましい。低転位密度という第1のIII族窒化物結晶の特性を受け継いで、転位密度の低い第2のIII族窒化物結晶を容易に成長させることができる。
HVPE法は、III族元素のハロゲン化物と、アンモニア(NH3)などの窒素含有物とを気相で反応させてIII族窒化物結晶を成長させる方法であり、GaN結晶を成長させる場合には、金属Gaと塩化水素(HCl)とを反応させて生成したGaClガスとNH3ガスとを反応させる。HVPE法は、液相法ほど低転位で結晶成長させることはできないが、結晶の成長速度を100μm/hr程度まで速くすることができるため厚みの大きいIII窒化物結晶が容易に得られる。
また、MOCVD法は、III族元素を含有する有機金属化合物(たとえば、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)など)と、NH3などの窒素含有物とを気相で反応させてIII族窒化物結晶を成長させる方法である。MOCVD法は、結晶の成長速度は3μm/hr程度と遅いが、結晶成長の制御性に優れ結晶表面を平坦に成長させ易い。
特に、本発明において好ましい一のIII族窒化物結晶基板の製造方法は、図1を参照して、図1(a)に示すように液相法により基板1上に第1のIII族窒化物結晶2を成長させる工程と、図1(b)〜図1(d)に示すようにHVPE法またはMOCVD法により、第1のIII族窒化物結晶2上に第2のIII族窒化物結晶3を成長させる工程とを含むIII族窒化物結晶基板の製造方法であって、第2のIII族窒化物結晶を成長させる工程において、第2のIII族窒化物結晶の表面を、表面粗さRP-Vで0.5μm以下に平坦化することである。窒化物結晶の表面が表面粗さRP-Vで0.5μm以下に平坦化されることによって、光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの製造に適したIII族窒化物結晶が得られる。ここで、表面粗さRP-Vとは、結晶の主平面の中央部に位置する1辺1.25mmの正方形領域内の表面における凸部と凹部と間の垂直方向の最大距離と定義する。
上記のIII族窒化物結晶基板の製造方法により、転位密度が1×107個/cm2以下のIII族窒化物結晶基板を得ることができる。
また、本発明において好ましい別のIII族窒化物結晶基板の製造方法は、図1および図3を参照して、図1(a)に示すように液相法により基板1上に第1のIII族窒化物結晶2を成長させる工程と、図1(b)〜図1(d)に示すようにHVPE法により第1のIII族窒化物結晶2上に第2のIII族窒化物結晶3を成長させる工程と、図3(a)および図3(b)に示すように第2のIII族窒化物結晶3を切断またはへき開によって分割する工程とを含む。
上述のように、HVPE法においては、結晶の成長速度を100μm/hr程度まで大きくすることができるため厚みの大きいIII窒化物結晶が容易に得られるため、厚いIII族窒化物結晶を分割することによって複数のIII族窒化物結晶基板を同時に得ることができる。ここで、分割の方法としては、切断またはへき開の方法を用いる。切断とは、電着ダイヤモンドホイールの外周刃を持つスライサーなどで機械的に結晶を分割することをいい、へき開とは結晶格子面に沿って結晶を分割することをいう。
上記のIII族窒化物結晶基板の製造方法により、転位密度が1×107個/cm2以下のIII族窒化物結晶基板を同時に多数枚得ることができる。
なお、本発明においては、液相法によって、下地基板上に第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程においては、下地基板の面方位は特定されることはない。すなわち、たとえば、図1を参照して、液相法により下地基板1の(0001)面上に第1のIII族窒化物結晶を成長させた後、気相法により第1のIII族窒化物結晶の(0001)面に第2のIII族窒化物結晶を成長させることもできる。また、図4を参照して、液相法により下地基板1の(1−100)面上に第1のIII族窒化物結晶を成長させた後、気相法により第1のIII族窒化物結晶の(0001)面に第2のIII族窒化物結晶を成長させることもできる。
ここで、図4に示す本発明における好ましいまた別のIII族窒化物結晶基板の製造方法においては、図4(a)に示すように下地基板1上に第1のIII族窒化物結晶2を成長させる工程と、図4(b)に示すように第1のIII族窒化物結晶2上に第2のIII族窒化物結晶3を成長させる工程と、図4(c)に示すように第1のIII族窒化物結晶2および第2のIII族窒化物結晶3を切断またはへき開によって分割する工程とが含まれている。
上記のように、本発明は、転位密度の低い結晶が得られるが結晶の成長速度が小さく結晶表面の平坦化が困難な液相法に、HVPE法またはMOCVD法などの気相法を組み合わせることにより、転位密度が低くかつ製造コストが安いIII族窒化物結晶およびその製造方法ならびにIII族窒化物結晶基板およびその製造方法を提供するものである。
すなわち、上記III族窒化物結晶基板の製造方法においては、液相法および気相法によってIII族窒化物結晶の成長を2回に分けて行なうため、見かけ上は工程が増えているが、液相法によって転位密度の低減が図られ、気相法によって表面が平坦化され研磨などの表面処理が省力化されたり、III族窒化物結晶の高速成長により同時に多数のIII族窒化物結晶基板が得られるようになるため、結果として、高品質のIII族窒化物結晶基板が低コストで得られる。
本発明にかかるIII族窒化物結晶基板は、上記III族窒化物結晶基板の製造方法によって製造されたIII族窒化物結晶基板である。上記製造方法により、転位密度の低いIII族窒化物結晶基板が得られる。また、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の転位密度は1×107個/cm2以下であることが好ましい。III族窒化物結晶基板の転位密度が低いほど、基板上に転位密度の低いエピタキシャル層を形成することができ、特性のよい半導体デバイスが得られる。
本発明にかかるIII族窒化物半導体デバイスは、上記のIII族窒化物結晶基板を含む。転位密度が低い上記III族窒化物結晶基板を含むことにより、特性のよい半導体デバイスとなる。本III族窒化物半導体デバイスの構造には、とくに制限はないが、たとえば以下の構造を有するIII族窒化物半導体デバイスが挙げられる。
すなわち、本発明にかかる一のIII族窒化物半導体デバイスは、図7を参照して、III族窒化物結晶基板70の一方の主面上に、エピタキシャル層としてn型GaN層71、Al0.3Ga0.7N層72、Al0.04Ga0.96N層73、Al0.08Ga0.92N層74、Al0.3Ga0.7N層75、p型GaN層76が順次形成されている。さらに、p型GaN層76上の一部にはp側電極77であるPd/Au積層電極(Au層がp型GaN層76と接触)が形成され、III族窒化物結晶基板70の他方の主面上にはn側電極78であるAl/Au積層電極(Au層がIII族窒化物結晶基板70と接触)が形成されている。本III族窒化物半導体デバイス700は、LEDとしての機能を有する。
本発明にかかるIII族窒化物結晶基板およびその製造方法について、参照例1〜参照例3、実施例〜実施例5、参考例1〜参考例2および比較例1〜比較例3によりさらに具体的に説明する。
参照例1)
図1を参照して、フラックス法により、下地基板1として転位密度が1×108個/cm2、サイズが10mm×10mm×厚さ300μmであり、10mm×10mmの面が(0001)面であるウルツ鉱型GaN基板の(0001)面上に、第1のIII族窒化物結晶2としてのGaN結晶を成長させた。具体的には、図5に示すように、反応容器4であるアルミナ坩堝の中央部に上記GaN基板を、その(0001)面を上に向けて配置し、このアルミナ坩堝に2.0gの金属Gaと1.0gの金属Na(Naフラックス)を入れて加熱することにより、GaN基板の(0001)面上に融液7として800℃のGa−Na融液(融液面の高さは2mm)を形成し、このGa−Na融液中にN2ガスを50MPaとなるように3時間供給することにより、図2に示すように、第1のIII族窒化物結晶2として、上面から見ると六角形状で断面が台形状の突起部2aを有するGaN結晶が得られた。この第1のIII族窒化物結晶の厚さは9μm〜12μm程度であった。また、この第1のIII族窒化物結晶の転位密度を透過型電子顕微鏡により測定したところ、突起部2aの転位密度は6×105個/cm2であり、突起部2aおよび基底部2b全体の平均の転位密度は5×106個/cm2であった。また、この第1のIII族窒化物結晶の表面粗さRP-Vを接触式段差計を用いて一辺が1.25mmの正方形の範囲内で測定したところ、3μmであった。
次に、MOCVD法により、第1のIII族窒化物結晶2上に、第2のIII族窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させた。具体的には、第1のIII族窒化物結晶が成長した基板に、1100℃、101kPaで、TMGガスとNH3ガスとH2ガス(キャリアーガス)とN2ガス(キャリアーガス)と(モル比は1:2000:7000:9000)を、全ガス流量40000sccm(ここで、sccmとは標準状態(1013hPa、273℃)におけるガス流量(cm3/min)を示す)で、2時間供給することにより、第2のIII族窒化物結晶として厚さ6μmのGaN結晶を成長させて、III族窒化物結晶基板としてのGaN結晶基板を得た。ここで、第2のIII族窒化物結晶の転位密度は2×106個/cm2であり、結晶表面は表面粗さRP-Vで0.1μmにまで平坦化した。結果を表1にまとめた。
(比較例1)
第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程を行なわず、MOCVD法により、基板1としてのGaN基板(参照例1のGaN基板と同じサイズ、以下の実施例、参照例、参考例および比較例における基板のサイズはすべて同じ)に直接、第2のIII族窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させて、GaN結晶基板を得た。MOCVD法による成長条件は、参照例1と同様とした。ここで、得られたGaN結晶の厚さは6μm、転位密度は6×107個/cm2であった。また、このGaN結晶の表面粗さRP-Vは0.1μmであり、表面には目視で明瞭な段差は認められなかった。結果を表1にまとめた。
参照例2)
参照例1と同様にして、フラックス法によりGaN基板上に第1のIII族窒化物結晶としてGaN結晶を成長させた。この第1のIII族窒化物結晶の突起部の転位密度は7×105個/cm2であり、基底部および基底部全体の平均の転位密度は8×106個/cm2であった。
次に、HVPE法により、第1のIII族窒化物結晶上に、第2のIII族窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させた。具体的には、第1のIII族窒化物結晶が成長した基板に、1030℃、101kPaで、GaClガスとNH3ガスとH2ガス(キャリアーガス)と(モル比は10:1000:7000)を、全ガス流量8010sccmで、1時間供給することにより、第2のIII族窒化物結晶として厚さ5μmのGaN結晶を成長させて、GaN結晶基板を得た。ここで、第2のIII族窒化物結晶の転位密度は7×106個/cm2であった。また、表面粗さRP-Vは0.5μmであり表面には目視で六角形状の突起が観察された。結果を表1にまとめた。
(比較例2)
第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程を行なわず、HVPE法により、基板1としてのGaN基板に直接、第2のIII窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させて、GaN結晶基板を得た。HVPE法による成長条件は、参照例2と同様とした。得られたGaN結晶の厚さは5μm、転位密度は8×107個/cm2であった。また、表面粗さRP-Vは0.5μmであった。結果を表1にまとめた。
参照例3)
図1を参照して、下地基板1として、サイズが10mm×10mm×厚さ300μmであり、10mm×10mmの面が(0001)面であるサファイア基板の(0001)面に、III族窒化物結晶層1aであるGaN結晶層(10mm×10mmの面が(0001)面)を形成した基板を用いた他は、参照例1と同様にして、第1のIII族窒化物結晶(転位密度:突起部で6×105個/cm2、突起部および基底部全体の平均で7×106個/cm2)および第2のIII窒化物結晶(転位密度:6×106個/cm2)としてのGaN結晶を成長させてGaN結晶基板を得た。ここで、サファイア基板上へのGaN結晶層の形成は、MOCVD法を用いて行なった。具体的には、参照例1と同様の条件で1時間ガス(TMGガス、NH3ガス、H2ガス(キャリアーガス)およびN2ガス(キャリアーガス))を供給することにより、厚さが約3μm、表面粗さRP-Vが0.1μmのGaN結晶層を形成した。結果を表1にまとめた。
(実施例4)
図1を参照して、参照例3と同様にして、第1のIII族窒化物結晶2を成長させた。この第1のIII族窒化物結晶の転位密度は、突起部で8×105個/cm2であり、突起部および基底部全体の平均で8×106個/cm2であった。
次に、HVPE法により、第1のIII族窒化物結晶2上に、第2のIII族窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させた。具体的には、第1のIII族窒化物結晶が成長した基板に、1030℃、101kPaで、GaClガスとNH3ガスとH2ガス(キャリアーガス)と(モル比は120:1000:7000)を、全ガス流量8120sccmで、15時間供給することにより、厚さ1.6mmの第2のIII族窒化物結晶が得られた。この第2のIII族窒化物結晶の(0001)面の表面粗さRP-Vは12μmであった。
次に、第1のIII族窒化物結晶2および第2のIII族窒化物結晶3を成長させた基板1をガラス製の円板に固定し、電着ダイヤモンドホイールの厚さ200μmの外周刃を持つスライサーを用いて520μmのピッチでスライスを行ない、厚さ320μmのIII族窒化物結晶基板3a,3b,3cが3枚得られた。スライス加工後のIII族窒化物結晶基板の表面粗さRP-Vはいずれも1μmであり、さらに厚さ300μmまで研磨加工することにより、III窒化物結晶基板の表面粗さRP-Vをいずれも0.01μmとした。また、上記3つのIII族窒化物基板3a,3b,3cの転位密度はそれぞれ3×106個/cm2、8×105個/cm2、3×105個/cm2であった。このようにして、転位密度が低く表面粗さRP-Vが小さく、光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイス用基板として好適なIII族窒化物結晶基板を効率よく製造できた。また、結果を表1にまとめた。
(比較例3)
第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程を行なわず、HVPE法により、基板1としてのGaN基板に直接、第2のIII窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させて、GaN結晶基板を得た。HVPE法による成長条件は、成長時間を3時間とした以外は実施例4と同様とした。得られたGaN結晶の厚さは300μm、転位密度は3×107個/cm2であった。また、表面粗さRP-Vは3μmであった。結果を表1にまとめた。
(実施例5)
図4を参照して、フラックス法により、下地基板1として、転位密度が1×108個/cm2、サイズが2mm×10mm×厚さ300μmであり、2mm×10mmの面が(1−100)面であり、10mm×300μmの面が(0001)面であるウルツ鉱型GaN基板の(1−100)面上に、第1のIII族窒化物結晶2としてのGaN結晶を成長させた。具体的には、図6に示すように、反応容器4であるアルミナ坩堝の中央部に、一辺10mmで高さが2mmのアルミナ製の枠5と一辺9.3mmで厚さ0.3mmのアルミナ製の板6によって、下地基板1であるGaN基板の(0001)面が水平になるように保持して、このアルミナ坩堝に2.0gの金属Gaと1.0gの金属Na(Naフラックス)を入れて加熱することにより、GaN基板の(1−100)面に接するように融液7として800℃のGa−Na融液(融液面の高さは2mm)を形成し、このGa−Na融液中にN2ガスを50MPaとなるように250時間供給することにより、図4(a)を参照して、第1のIII族窒化物結晶2としてのGaN結晶が得られた。
この第1のIII族窒化物結晶2としてのGaN結晶は、下地基板1の(1−100)面からGa−Na融液の液面に対して平行な<1−100>軸方向に10mm成長して、2mm×10mm×厚さ10mmのGaN結晶となった。このGaN結晶の転位密度を測定したところ、4×105個/cm2と低転位であった。
次に、図4(a)および図4(b)を参照して、下地基板1を実施例4で用いた外周刃のスライサーによって切断し、HVPE法により第1のIII族窒化物結晶2としてのGaN結晶の(0001)面上に、成長時間を30時間とした以外は実施例4と同様にして、第2のIII族窒化物結晶3としてのGaN結晶を成長させた。この第2のIII族窒化物結晶3であるGaN結晶の<0001>軸方向の厚さは、最も厚い部分で3.5mmであり、最も薄い部分で3.2mmであった。
次に、図4(b)および図4(c)を参照して、第1のIII族窒化物結晶2と第2のIII族窒化物結晶3が一体化しているIII族窒化物結晶の(0001)面をガラス製の円板(図示せず)に密着させて、実施例4の外周刃を有するスライサーを用いてスライスおよび研磨加工を行ない、第1のIII族窒化物結晶2および第2のIII族窒化物結晶3から、厚さが300μmで表面粗さRP-Vが0.01μmであるIII族窒化物結晶基板2c,2d,2e,2f,3d,3e,3f,3g,3h,3iを得た。これらのIII族窒化物結晶基板の転位密度は、III族窒化物結晶基板2c,2d,2e,2fが4×105個/cm-2、III族窒化物結晶基板3d,3e,3fが2×105個/cm-2、III族窒化物結晶基板3g,3h,3iが1×105個/cm-2と低くなった。結果を表1にまとめた。
このように、本実施例においては、下地基板の(0001)面以外の面である(1−100)面に、液相法であるフラックス法によって第1のIII族窒化物結晶としての低転位のGaN結晶を成長させることができ、この第1のIII族窒化物結晶に気相法であるHVPE法によってさらに低転位のGaN結晶を液相法に比べて速く成長させることができる。すなわち、下地基板の面方位にかかわらず、転位密度の低いIII族窒化物結晶基板を短時間で多数枚得ることができる。
(参考例1)
参照例1と同様にして成長させた第1のIII族窒化物結晶であるGaN結晶(転位密度:突起部で6×105個/cm2、突起部および基底部全体の平均で3×106個/cm2)上に、HVPE法により第2のIII族窒化物結晶としてAlN結晶を成長させた。すなわち、1030℃、101kPaで、AlCl3ガスとNH3ガスとH2ガス(キャリアガス)と(モル比は10:3000:8000)を、全ガス流量11010sccmで、14時間供給することにより、第2のIII族窒化物結晶として厚さ520μmのAlN結晶を成長させた。ここで、第2のIII族窒化物結晶の転位密度は6×105個/cm2であり、結晶表面の表面粗さRP-Vは4μmであった。結果を表1にまとめた。
(参考例2)
参照例1と同様にして成長させた第1のIII族窒化物結晶であるGaN結晶(転位密度:突起部で5×105個/cm2、突起部および基底部全体の平均で6×106個/cm2)上に、HVPE法により第2のIII族窒化物結晶としてAl0.3Ga0.7N結晶を成長させた。すなわち、1030℃、101kPaで、GaClガスとAlCl3ガスとNH3ガスとH2ガス(キャリアガス)と(モル比は25:10:3000:8000)を、全ガス流量11035sccmで、15時間供給することにより、第2のIII族窒化物結晶として厚さ480μmのAl0.3Ga0.7N結晶を成長させた。ここで、第2のIII族窒化物結晶の転位密度は4×105個/cm2であり、結晶表面の表面粗さRP-Vは3μmであった。結果を表1にまとめた。
Figure 0005170186
表1に明らかなように、下地基板上に液相法により第1のIII族窒化物結晶を成長させ、次いで気相法により第2のIII族窒化物結晶を成長させた場合のIII族窒化物結晶の転位密度は、基板上に直接III族窒化物結晶を成長させた場合のIII族窒化物結晶の転位密度に比べて低くでき、1×107個/cm2以下とすることができた。ここで、III族窒化物結晶として化学組成の異なる結晶を成長させた場合でも、III族窒化物結晶の転位密度を1×107個/cm2以下とすることができた。
また、第1のIII族窒化物結晶上に、HVPE法で第2のIII族窒化物結晶を高速度で成長させて厚さの大きなIII族窒化物結晶を作製してスライスすることにより、転位密度が1×107個/cm2以下と低いIII族窒化物結晶基板を複数枚同時に得ることができた。
次に、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の製造方法により製造されたIII族窒化物結晶基板を含むIII族窒化物半導体デバイスについて、比較例4、参考例3〜5によりさらに具体的に説明する。
(比較例4)
比較例3においてGaN基板に直接成長させた第2のIII窒化物結晶であるGaN結晶をGaN基板から切り離し、表面を研磨して、サイズが10mm×10mm×厚さ250μmで表面粗さPP-Vが2nm以下のGaN結晶基板(転位密度:3×107個/cm2)を得た。
次に、図7を参照して、III族窒化物結晶基板70である上記GaN結晶基板の一方の主面上に、MOCVD法により、厚さ1μmのn型GaN層71、厚さ10nmのAl0.3Ga0.7N層72、厚さ3nmのAl0.04Ga0.96N層73、厚さ3nmのAl0.08Ga0.92N層74、厚さ10nmのAl0.3Ga0.7N層75、厚さp型GaN層76を順次エピタキシャル成長させた。
次に、p型GaN層76上の一部には、p側電極77として直径80μmのPd(厚さ5nm)/Au(厚さ5nm)積層電極(Au層がp型GaN層76と接触)を形成した。また、III族窒化物結晶基板70の他方の主面上にはn側電極78としてAl(厚さ10nm)/Au(厚さ10nm)積層電極(Au層がIII族窒化物結晶基板70と接触)を形成した。
こうして得られた半導体デバイス700であるLEDの発光ピーク波長を分光光度計により測定したところ、360nmであった。また、本比較例におけるLEDの発光ピークの相対強度を1として、以下の実施例におけるLEDの発光ピークの相対強度を求めた。
(参考例3)
図3を参照して、実施例4において得られた第2のIII族窒化物結晶からスライスされたIII族窒化物結晶基板3cである厚さ320μmのGaN結晶基板の表面を研磨して、サイズが10mm×10mm×厚さ250μmで表面粗さPP-Vが2nm以下GaN結晶基板(転位密度:3×105個/cm2)を得た。III族窒化物結晶基板として上記GaN結晶基板を用いて、比較例4と同様にして、III族窒化物半導体デバイスであるLEDを製造した。得られたLEDの発光ピーク波長は360nm、発光ピークの相対強度は1.2であった。
(参考例4)
参考例1において成長させた第2のIII族窒化物結晶である厚さ520μmのAlN結晶を第1のIII窒化物結晶であるGaN結晶から切り離し、表面を研磨して、サイズが10mm×10mm×厚さ250μmで表面粗さPP-Vが2nm以下のGaN結晶基板(転位密度:6×105個/cm2)を得た。III族窒化物結晶基板として上記AlN結晶基板を用いて、比較例4と同様にして、III族窒化物半導体デバイスであるLEDを製造した。得られたLEDの発光ピーク波長は360nm、発光ピークの相対強度は1.5であった。
(参考例5)
参考例2において成長させた第2のIII族窒化物結晶である厚さ480μmのAl0.3Ga0.7N結晶を第1のIII窒化物結晶であるGaN結晶から切り離し、表面を研磨して、サイズが10mm×10mm×厚さ250μmで表面粗さPP-Vが2nm以下のAl0.3Ga0.7N結晶基板(転位密度:4×105個/cm2)を得た。III族窒化物結晶基板として上記Al0.3Ga0.7N結晶基板を用いて、比較例4と同様にして、III族窒化物半導体デバイスであるLEDを製造した。得られたLEDの発光ピーク波長は360nm、発光ピークの相対強度は1.5であった。
参考例3〜参考例5と比較例4とを対比すると明らかなように、下地基板上に液相法により成長させた第1のIII族窒化物結晶上に気相法により成長させた第2のIII族窒化物結晶から得られたIII族窒化物結晶基板を含むLEDの発光ピークの強度は、下地基板上に直接気相法により成長させたIII族窒化物結晶から得られたIII族窒化物結晶基板を含むLEDの発光ピークの強度よりも大きくなった。これは、第2のIII族窒化物結晶から得られたIII族窒化物結晶基板の転位密度が、下地基板上に直接気相法により成長させたIII族窒化物結晶から得られたIII族窒化物結晶基板の転位密度よりも、低くなったためと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、転位密度が低く、かつ製造コストの安いIII族窒化物結晶、III族窒化物結晶基板およびそれらの製造方法、ならびにそのIII族窒化物結晶基板を含むIII族窒化物半導体デバイスに広く利用することができる。
1 基板、1a III族窒化物結晶層、2 第1のIII族窒化物結晶、2a 突起部、2b 基底部、3 第2のIII族窒化物結晶、4 反応容器、5 枠、6 板、7 融液、2c,2d,2e,2f,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,70 III族窒化物結晶基板、21 平面、22 斜面、33 表面段差部、71 n型GaN層、72,75 Al0.3Ga0.7N層、73 Al0.04Ga0.96N層、74 Al0.08Ga0.92N層、76 p型GaN層、77 p側電極、78 n側電極、700 III族窒化物半導体デバイス。

Claims (2)

  1. 液相法により、下地基板上に第1のIII族窒化物結晶を成長させる工程と、ハイドライド気相成長法により、前記第1のIII族窒化物結晶上に第2のIII族窒化物結晶を成長させる工程と、前記第1のIII族窒化物結晶および/または前記第2のIII族窒化物結晶を切断またはへき開によって分割する工程とを含み、前記第2のIII族窒化物結晶の厚さが1600μm以上であり、前記第2のIII族窒化物結晶の転位密度が3×106個/cm2以下であるIII族窒化物結晶基板の製造方法。
  2. 記第2のIII族窒化物結晶の厚さが3200μm以上であり、前記第2のIII族窒化物結晶の転位密度が4×105個/cm2以下である請求項に記載のIII族窒化物結晶基板の製造方法。
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