JP4234871B2 - 除雪機の多段シュータ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロアで吹き飛ばした雪を所望の投雪箇所まで案内する除雪機の多段シュータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
除雪機は、例えば路面上の積雪をオーガで集め、集めた雪をブロアで吹き飛ばし、吹き飛ばした雪をシュータで案内して所望箇所に投雪するものである。雪の投雪方向や投雪距離は、シュータを旋回させることやシュータを折り曲げることにより制御する。
このシュータに関して、例えば実公昭56−40898号公報「小型除雪機における排雪装置」が知られている。この技術を、次図で詳しく説明する。以下、排雪装置、すなわち、シュータを説明する。
【0003】
図9(a)〜(c)は従来の除雪機に備えたシュータの折り曲げ状態を説明する側面図であり、(a)はシュータ100を折り曲げない状態を示し、(b)はシュータ100を僅かに折り曲げた状態を示し、(c)はシュータ100を十分に折り曲げた状態を示す。
(a)において、シュータ100は、ばね101の引張り作用で樋状体(以下、「中段シュータ部」という)102及び先端樋状体(以下、「上段シュータ部」という)103を復帰位置に保持する。
【0004】
(b)において、牽引用のワイヤ104を矢印aの如く牽引する。すると、止着杆(以下、「第1リンク」という)105が第1枢着軸106を支点にして矢印bの如く回転することで、中段シュータ部102が第1枢着軸106を支点にして第1リンク105と同じ方向に揺動する。中段シュータ部102の第2枢着軸107が中段シュータ部102と一体に移動することにより、作動板(第2リンク)108が第3枢着軸109を支点として矢印cの如く揺動する。
【0005】
従って、上段シュータ部103が第2枢着軸109を支点にして矢印cの如く揺動する。中段シュータ部102及び上段シュータ部103を僅かに折り曲げて投射角度を小さく設定することで、投雪距離を大きして雪を遠くに投雪する。
【0006】
(c)において、ワイヤ104を矢印aの如くさらに牽引することにより、中段シュータ部102を矢印bの如く、かつ上段シュータ部103を矢印cの如く十分に折り曲げる。
シュータ100を十分に折り曲げて投射角度を大きく設定することで、投雪距離を小さくして雪を除雪機の近くに投雪する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シュータ100は、雪を遠くまで投雪したいときでも、(b)に示すように2つのシュータ部(中段シュータ部102及び上段シュータ部103)を同時に折り曲げる構成になっている。このため、ブロアで吹き飛ばされた雪は、シュータ100の中段シュータ部102に当り、その後上段シュータ部103に当って上段シュータ部103の先端から白抜き矢印の如く投雪される。
【0008】
ブロアで吹き飛ばされた雪が、中段シュータ部102及び上段シュータ部103の2部材に当ることにより雪の勢いが抑えられる。
加えて、シュータ100は雪を遠くに投雪するときでも、中段シュータ部102及び上段シュータ部103の2部材を折り曲げるので、シュータ100の全高が比較的低くなる。
このように、雪の勢いが抑えられ、かつシュータ100の全高が低くなることで、投雪距離を十分に確保することは難しい。
【0009】
また、復帰用のばね101を中段シュータ部102に取付けたので、例えば(a)の状態のとき上段シュータ部103や第2リンク108にばね101のばね力がかからない。従って、除雪作業中に上段シュータ部103や第2リンク108が振動して騒音が発生する。
さらに、中段シュータ部102及び上段シュータ部103を折り曲げるために、第1リンク105及び第2リンク108の2個のリンクを使用するので、部品点数が多くなり、そのことがコストアップの要因になる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、投雪距離を十分に大きく確保することができ、シュータのガタをなくし、コストを抑えることができる除雪機の多段シュータ構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、下段シュータ部に第1ヒンジを介して中段シュータ部を折曲げ可能に載せ、この中段シュータ部に第2ヒンジを介して上段シュータ部を折曲げ可能に載せ、前記下段シュータ部に且つ前記第1ヒンジの近傍にリンクプレートの下部を支えるリンク支点を設け、前記上段シュータ部にリンクプレート上部の長孔に嵌まるリンク作用点を設け、中段シュータ部を迂回させる形で下段シュータ部と上段シュータ部とを前記リンクプレートで結び、このリンクプレートの下部と下段シュータ部とに弾性部材を掛け渡し、この弾性部材の引張り作用で前記リンクプレートを介して、下段シュータ部、中段シュータ部及び上段シュータ部をほぼ一直線に保ち、下段シュータ部にケーブルの中継支点、上段シュータ部にケーブルの一端を結びつけ、ケーブルの基部側を引くことで先ず上段シュータ部が折れ曲がり、更にケーブルを引くことで上段シュータ部・中段シュータ部共に折れ曲がる除雪機の多段シュータ構造であって、前記上段シュータ部のみが折れ曲がるときのリンク作用点の移動範囲をM、前記リンク支点と第2ヒンジとを通る線を基準線Lとしたときに、この基準線Lが前記移動範囲Mのほぼ中間に位置する様に、リンク支点及び第2ヒンジの位置を設定したことを特徴とする。
【0012】
基準線Lが移動範囲Mのほぼ中間に位置する様にリンク支点及び第2ヒンジの位置を設定した。このため、リンク作用点をリンクプレートの長孔の軌跡に沿って移動させることにより、第2ヒンジを静止させた状態で上段シュータ部のみを折り曲げる。従って、ブロアで吹き飛ばされた雪を、上部シュータのみに当てるだけで上部シュータの先端から投雪する。
加えて、中段シュータ部を折り曲げないで、上段シュータ部のみを折り曲げることで、シュータの全高を比較的高く保つ。
【0013】
また、リンクプレートで下段シュータ部と上段シュータ部とを結び、リンクプレートに弾性部材を取付けた。この弾性部材の引張り力をリンクプレート、上段シュータ部、中段シュータ部にかけて各々の部材を確実に保持する。これで、各除雪作業中に各々の部材が振動することを防ぐ。
さらに、上段シュータ部及び中段シュータ部の折り曲げをリンクプレートのみで操作する構成にした。リンクプレートを1本にすることで部品点数を減らす。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る多段シュータ構造を備えた除雪機の側面図である。
除雪機10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に取付けたクローラ12と、車体フレーム11の後端に取付けたハンドルポスト13と、ハンドルポスト13に取付けたハンドル14と、車体フレーム11に搭載したエンジン15と、エンジン15で駆動する駆動軸16と、駆動軸16の先端に連結することで雪を集めるオーガ17と、オーガ17の後方で駆動軸16に連結することでオーガ17で集めた雪を吹き飛ばすブロア18と、オーガ17及びブロア18のケース19に旋回自在に取付けることでブロア18で吹き飛ばした雪を案内する多段シュータ構造20とからなる。
【0015】
図2は本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の斜視図である。
除雪機の多段シュータ構造20は、ケース19(図1に示す)に旋回自在に下段シュータ部21を取付け、下段シュータ部21に第1ヒンジ23を介して中段シュータ部30を折曲げ可能に載せ、この中段シュータ部30に第2ヒンジ33を介して上段シュータ部35を折曲げ可能に載せ、下段シュータ部21に且つ第1ヒンジ23の近傍にリンクプレート40の下部41を支えるリンク支点O1(図3に示す)となる下ピン42を設け、上段シュータ部35にリンクプレート上部45の長孔47に嵌まるリンク作用点O2(図3に示す)となる上ピン46を設け、中段シュータ部30を迂回させる形で下段シュータ部21と上段シュータ部35とをリンクプレート40で結び、このリンクプレート40の下部41と下段シュータ部21とに弾性部材(ばね)50を掛け渡し、ばね50の引張り作用でリンクプレート40を介して、下段シュータ部21、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保つものである。
【0016】
また、除雪機の多段シュータ構造20は、下段シュータ部21にケーブル52の中継支点O3となるケーブル用ブラケット27を取り付け、上段シュータ部35にケーブル52の一端(インナワイヤ先端)54aを結びつけ、ケーブル52の基部側を引くことで先ず上段シュータ部35が折れ曲がり、更にケーブル52を引くことで上段シュータ部35及び中段シュータ部30が共に折れ曲がるものである。
【0017】
下段シュータ部21は、前方を開口させた略コ字型の部材で、背壁22aの上端に第1ヒンジ23を介して中段シュータ部30の背壁31aの下端を連結し、左右の側壁22b,22cのボルト24,24を中段シュータ部30の左右のガイド孔32,32に差し込み、右側壁22cの上端に支点用ブラケット25を備え、右側壁22cの下端にばね用ブラケット26を取付け、左側壁22bの略中央に中継支点O3となるケーブル用ブラケット27を備える。
【0018】
支点用ブラケット25は、下段シュータ部21の右側壁22cに基端を取付け、リンク支点O1となる下ピン42を差し込む孔25aを先端に形成したものである。
ばね用ブラケット26は、下段シュータ部21の右側壁22cに基端を取付け、ばねの下端を掛ける孔26aを先端に形成したものである。
【0019】
中段シュータ部30は、前方を開口させるように略コ字型に形成し且つ左右の側壁31b,31cを下段シュータ部21の左右の側壁22b,22cの外側に配置し、左右の側壁31b,31cの下端に各々左右のガイド孔32,32を形成し、背壁31aの上端に第2ヒンジ33を介して上段シュータ部35の背壁36aの下端を連結し、左右の側壁31b,31cのボルト34,34を上段シュータ部35のガイド孔37,37に差込む。
【0020】
上段シュータ部35は、前方を開口させるように略コ字型に形成し且つ左右の側壁36b,36cを中段シュータ部30の左右の側壁31b,31cの外側に配置し、左右の側壁36b,36cの下端に各々左右のガイド孔37,37を形成し、右側壁36cの上端に作用点用ブラケット38を備え、左側壁36bの下端にケーブル用ブラケット39を備える。
作用点用ブラケット38は、上段シュータ部35の右側壁36cに基端を取付け、リンク作用点O2となる上ピン46を差し込む孔38aを先端に形成したものである。
【0021】
リンクプレート40は、ほぼL字型に形成した部材で、下部41にリンク支点O1となる下ピン42を差し込む孔43を形成し、下部41の後端にばねの上端を掛ける凹部44を形成し、上部45にリンク作用点O2となる上ピン46を差し込む長孔47を形成したものである。
【0022】
ばね50は、リンクプレート40の下部41の凹部44に上端を掛け、ばね用ブラケット26の孔26aに下端を掛けることにより、リンクプレート40の下段41と下段シュータ部21とに掛け渡したものである。
このばね50の引張り作用でリンクプレート40を介して、下段シュータ部21、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保つ。
【0023】
ケーブル52は、ケーブル52の中継支点となるケーブル用ブラケット27にアウタチューブ53の先端をナット56,56で取付け、アウタチューブ53の内部に収納したインナワイヤ54の先端54aをピン57を介してケーブル用ブラケット39に取付けたものである。
インナワイヤ54の基部側を引くことで、先ず上段シュータ部35を折り曲げ、更にインナワイヤ54を引くことで上段シュータ部35及び中段シュータ部30を共に折り曲げる。
なお、58はピンの抜けを防止するためのピンである。
【0024】
図3は本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の側面図である。
除雪機の多段シュータ構造20は、第2ヒンジ33を静止させて上段シュータ部35のみが折れ曲がるときのリンク作用点O2の移動範囲をM、リンク支点O1と第2ヒンジ33とを通る線を基準線Lとしたときに、この基準線Lが移動範囲Mのほぼ中間に位置する様に、リンク支点O1及び第2ヒンジ33の位置を設定したものである。
【0025】
また、除雪機の多段シュータ構造20は、リンクプレート40で下段シュータ部21と上段シュータ部35とを結び、リンクプレート40と下段シュータ部21とにばね50を掛け渡して下段シュータ部21、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保つ構成にした。
このため、ばね50の引張り力をリンクプレート40、上段シュータ部35、中段シュータ部30にかけることができる。従って、除雪作業中に各々の部材が振動することを抑えることができるので、ガタによる騒音の発生を防ぐことができる。
【0026】
なお、下段シュータ部21、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保つために、上段シュータ部35のガイド孔37の下端を中段シュータ部30のボルト34に当接し、中段シュータ部30のガイド孔32の下端を下段シュータ部21のボルト24に当接する。
【0027】
さらに、除雪機の多段シュータ構造20は、上段シュータ部35及び中段シュータ部30の折り曲げを1本のリンクプレート40のみで操作する構成にした。従来の2本のリンクを1本にすることにより、部品点数を減らすことができる。従って、コストアップを抑えることができる。
【0028】
次に、除雪機の多段シュータ構造20の作用を説明する。
図4は本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第1作用説明図であり、下段シュータ部21(図3に示す)、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保った位置p1、上段シュータ部35のみの折り曲げた位置p2、上段シュータ部35及び中段シュータ部30を共に途中まで折り曲げた位置p3、上段シュータ部35及び中段シュータ部30を共に最大に折り曲げた位置p4を示す。
【0029】
リンクプレート40はリンク支点O1を支点として矢印▲1▼の方向に揺動することにより、リンクプレート40の長孔47は半径r1の円弧c1に沿って移動する。また、中段シュータ部30は第1ヒンジ23を支点として矢印▲2▼の方向に揺動することにより、第2ヒンジ33は半径r2の円弧c2に沿って移動する。さらに、上段シュータ部35は第2ヒンジ33を支点として矢印▲3▼の方向に揺動することにより、リンク作用点O2となる上ピン46は半径r3の円弧c3に沿って移動する。
ここで、上段シュータ部35の上ピン46をリンクプレート40の長孔47に配置したので、上ピン46は半径r1の円弧c1から最大s1ずれるだけで、円弧c1に沿って移動する。
【0030】
上段シュータ部35の上ピン46が位置p1〜位置p2(すなわち、移動範囲M)を移動する場合、リンクプレート40は位置p1で基準線Lの後方に位置し、位置p2で基準線Lの前方に位置する。
すなわち、リンクプレート40は第2ヒンジ33を越えるように揺動する。従って、上段シュータ部35の上ピン46の円弧c3はリンクプレート40の長孔47の円弧c1から最大s1ずれるだけに抑えることができ、このずれs1はリンクプレート40の長孔47で吸収することができる。
このため、第2ヒンジ33を静止させた状態で、上段シュータ部35のみを折り曲げることができる。
【0031】
上段シュータ部35の上ピン46が位置p2に到達した場合、上段シュータ部35の上ピン46の円弧c3とリンクプレート40の長孔47の円弧c1とが交差して、円弧c3が円弧c1から大きくずれる。このずれを補正するために、第2ヒンジ33を静止状態から円弧c2に沿って矢印▲2▼の如く移動させて、上段シュータ部35の上ピン46をリンクプレート40の長孔47の円弧c1に沿って移動させる。
【0032】
ここで、円弧c2の中心となる中段シュータ部30の第1ヒンジ23は、円弧c1の中心であるリンクプレート40のリンク支点O1より前方にs2ずれている。このため、円弧c2が前方に近づくにしたがって円弧c1との間隔が狭くなる。この間隔の変化を補正するために、上段シュータ部35の上ピン46と第2ヒンジ33を結んだ線L1は、上段シュータ部35の上ピン46が位置p2から位置p4に近づくにしたがって傾斜が大きくなる。
一例として、位置p3の線L1は位置p2の線L1と比べて傾斜が大きい。このことは、中段シュータ部30が折れ曲がるとともに上段シュータ部35も折れ曲がることを示す。
【0033】
図5(a),(b)は本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第2作用説明図である。
(a)において、ばね50の引張力がリンクプレート40にかかることにより上段シュータ部35の上ピン46に矢印▲4▼の如く復帰力がかかる。
上段シュータ部35のガイド孔37の下端を中段シュータ部30のボルト34に当接し、中段シュータ部30のガイド孔32の下端を下段シュータ部21のボルト24に当接することで、下段シュータ部21、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線に保つ。
【0034】
この状態で、ケーブル52のインナワイヤ54を矢印▲5▼の如く牽引することにより、第2ヒンジ33を静止させた状態で上段シュータ部35のみを矢印▲6▼の如く折り曲げる。
このとき、上段シュータ部35の上ピン46が位置p1から位置p2まで矢印▲3▼の如く円弧c3上を移動する。上段シュータ部35の上ピン46の円弧c3はリンクプレート40の長孔47の円弧c1からs1(図4に示す)ずれるだけであり、このずれs1はリンクプレート40の長孔47で吸収する。
【0035】
このように、上段シュータ部35のみを折り曲げることができる。従って、ブロアで吹き飛ばされた雪を、上部シュータ35のみに当てるだけで上部シュータ35の先端から投雪することができる。
加えて、中段シュータ部30を折り曲げないで、上段シュータ部35のみを折り曲げるだけなので、シュータの全高を比較的高く保つことができる。
従って、雪の投雪距離を十分に大きく確保することができる。
【0036】
(b)において、上段シュータ部35の上ピン46が位置p2に到達すると、第2ヒンジ33が円弧c2に沿って矢印▲2▼の如く移動する。これで、中段シュータ部30が第1ヒンジ23を支点にして矢印▲7▼の如く折れ曲がる。このとき、上段シュータ部35の上ピン46を円弧c1に沿って引続き矢印▲1▼の如く移動する。
【0037】
図6(a),(b)は本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第3作用説明図であり、(a)は上段シュータ部35の上ピン46が位置p3に到達した状態を示し、(b)は上段シュータ部35の上ピン46が位置p4に到達した状態を示す。
(a)において、円弧c2の中心となる第1ヒンジ23は、円弧c1の中心となるリンク支点O1より前方にs2ずれている。
【0038】
このため、第2ヒンジ33が円弧c2上を矢印▲2▼の如く移動すると、第2ヒンジ33は円弧c1に近づく。このため、上段シュータ部35の上ピン46と第2ヒンジ33を結んだ線L1は、上段シュータ部35の上ピン46が位置p2から位置p4に近づくにしたがって傾斜が大きくなる。
従って、中段シュータ部30を矢印▲7▼の如く折り曲げるとともに上段シュータ部35を矢印▲6▼の如く折り曲げることができる。
【0039】
このように、中段シュータ部30を折り曲げるとともに上段シュータ部35も折り曲げることができるので、ブロアで吹き飛ばした雪をスムーズに案内して所望箇所に効率よく投雪することができる。
【0040】
(b)において、中段シュータ部30のガイド孔32の上端が下段シュータ部21のボルト24に当ることにより、中段シュータ部30が静止する。同時に上段シュータ部35も静止する。
位置p2〜位置p4間を、中段シュータ部30を折り曲げるとともに上段シュータ部35も折り曲げることで、位置p4において上段シュータ部35を十分に折り曲げることができる。従って、雪の投雪距離を小さく抑えることができる。
【0041】
ところで、多段シュータ構造の上段シュータ部のみを折り曲げる方法として、先ず上段シュータ部のみを折り曲げ、次に中段シュータ部のみを折り曲げる方法も考えられる。次図に、この方法を多段シュータ構造の比較例として説明する。
【0042】
図7(a),(b)は除雪機の多段シュータ構造(比較例)の折り曲げ状態を説明する側面図である。
(a)は、上段シュータ部110を第2ヒンジ111を支点として中段シュータ部112の頂部112aに当るまで折り曲げた状態を示す。
(b)は、中段シュータ部112を第1ヒンジ113を支点としてガイド孔114の上端が下段シュータ部115のボルト116に当るまで折り曲げた状態を示す。
【0043】
雪の投雪距離を小さく抑えるために、上段シュータ部110及び中段シュータ部112を(b)の状態まで折り曲げることが要求される。この要求を満たすためには、上段シュータ部110を(a)の段階で十分に折り曲げる必要がある。しかし、(a)の段階で上段シュータ部110を折り曲げすぎると、中段シュータ部112まで案内された雪が矢印の如く上段シュータ部110に当って効率よく投雪することができない。
【0044】
この対策として、(a)の想像線で示すように上段シュータ部100の折り曲げ量を小さく抑えることが考えられるが、これでは中段シュータ部112を折り曲げたときに、(b)の想像線で示すように上段シュータ部100の折り曲げ量が不足する。このため、雪の投雪距離を小さく抑えることができない。
【0045】
従って比較例のように、先ず上段シュータ部100のみを折り曲げ、次に中段シュータ部112のみを折り曲げる方法では、上段シュータ部100を好適に折り曲げることができない。
【0046】
図8(a),(b)は除雪機の多段シュータ構造(実施例)の折り曲げ状態を説明する側面図であり、実施の形態を示す。
(a)は、上段シュータ部35を第2ヒンジ33を支点として折り曲げることにより、上段シュータ部35の上ピン46が位置p2に到達した状態を示す。
上部シュータ部35の折り曲げ量を比較的小さく抑えることができるので、中段シュータ部30まで案内された雪の勢いを衰えさせないで矢印の如く上段シュータ部35で案内して効率よく投雪することができる。
【0047】
(b)は、上段シュータ部35の折曲げを継続させながら中段シュータ部30を第1ヒンジ23を支点として折り曲げることにより、上段シュータ部35の上ピン46が位置p4に到達した状態を示す。
中段シュータ部30を折り曲げるとともに上段シュータ部35も折り曲げることができるので、上段シュータ部35を十分に折り曲げることができる。このため、雪の投雪距離を小さく抑えることができる。
【0048】
従って実施例のように、先ず上段シュータ部35のみを折り曲げ、次に中段シュータ部30を折り曲げるとともに上段シュータ部35も折り曲げることにより、上段シュータ部35を好適に折り曲げることができる。
【0049】
なお、前記実施の形態では、中段シュータ部30及び上段シュータ部35をほぼ一直線(折り曲げる前の状態)に保つために弾性部材として引張ばね50を使用した例を説明したが、その他に圧縮ばねを使用してもよい。
また、弾性部材に代えて油圧シリンダや空圧シリンダを使用してもよい。油圧・空圧シリンダを使用することで、折曲げ用のケーブル52を不要にすることもできる。
【0050】
さらに、前記実施の形態では、中段シュータ部30及び上段シュータ部35を各々ガイド孔32,37の端部をボルト24,34に当てることで略一直線に静止させた例を説明したが、その他にストッパで中段シュータ部30及び上段シュータ部35を静止させてもよい。
また、前記実施の形態では、折曲げ用のケーブル52の中継支点O3を下段シュータ部21に備えた、下段シュータ部21が旋回しない構成の場合は、除雪機本体のケースに取付けてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、基準線Lが移動範囲Mのほぼ中間に位置する様にリンク支点及び第2ヒンジの位置を設定した。このため、リンク作用点をリンクプレートの長孔の軌跡に沿って移動させることにより、第2ヒンジを静止させた状態で上段シュータ部のみを折り曲げることができる。従って、ブロアで吹き飛ばされた雪を、上部シュータのみに当てるだけで上部シュータの先端から投雪することができる。
【0052】
加えて、中段シュータ部を折り曲げないで、上段シュータ部のみを折り曲げるだけなので、シュータの全高を比較的高く保つことができる。
このように、雪を上部シュータのみに当てるだけにすることができ、かつシュータの全高を比較的高く設定することができるので、雪の投雪距離を十分に大きく確保することができる。
【0053】
また、リンクプレートで下段シュータ部と上段シュータ部とを結び、リンクプレートと下段シュータ部とに弾性部材を掛け渡して下段シュータ部、中段シュータ部及び上段シュータ部をほぼ一直線に保つ構成にした。
このため、弾性部材の引張り力をリンクプレート、上段シュータ部、中段シュータ部にかけることができる。従って、除雪作業中に各々の部材が振動することを抑えることができるので、ガタによる騒音の発生を防ぐことができる。
【0054】
さらに、上段シュータ部及び中段シュータ部の折り曲げを1本のリンクプレートのみで操作する構成にしたので、部品点数を減らすことができる。従って、コストアップを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多段シュータ構造を備えた除雪機の側面図
【図2】本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の斜視図
【図3】本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の側面図
【図4】本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第1作用説明図
【図5】本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第2作用説明図
【図6】本発明に係る除雪機の多段シュータ構造の第3作用説明図
【図7】除雪機の多段シュータ構造(比較例)の折り曲げ状態を説明する側面図
【図8】除雪機の多段シュータ構造(実施例)の折り曲げ状態を説明する側面図
【図9】従来の除雪機に備えたシュータの折り曲げ状態を説明する側面図
【符号の説明】
10…除雪機、20…多段シュータ構造、21…下段シュータ部、23…第1ヒンジ、27…ケーブル用ブラケット、30…中段シュータ部、33…第2ヒンジ、35…上段シュータ部、39…中継支点(ケーブル用ブラケット)、40…リンクプレート、41…下部、42…下ピン、45…リンクプレート上部(上部)、46…上ピン、47…長孔、50…弾性部材(ばね)、52…ケーブル、54…インナワイヤ、54a…ケーブルの一端(インナワイヤの先端)、O1…リンク支点、O2…リンク作用点、O3…中継支点、M…移動範囲、L…基準線。
Claims (1)
- 下段シュータ部に第1ヒンジを介して中段シュータ部を折曲げ可能に載せ、この中段シュータ部に第2ヒンジを介して上段シュータ部を折曲げ可能に載せ、前記下段シュータ部に且つ前記第1ヒンジの近傍にリンクプレートの下部を支えるリンク支点を設け、前記上段シュータ部にリンクプレート上部の長孔に嵌まるリンク作用点を設け、中段シュータ部を迂回させる形で下段シュータ部と上段シュータ部とを前記リンクプレートで結び、このリンクプレートの下部と下段シュータ部とに弾性部材を掛け渡し、この弾性部材の引張り作用で前記リンクプレートを介して、下段シュータ部、中段シュータ部及び上段シュータ部をほぼ一直線に保ち、
下段シュータ部にケーブルの中継支点、上段シュータ部にケーブルの一端を結びつけ、ケーブルの基部側を引くことで先ず上段シュータ部が折れ曲がり、更にケーブルを引くことで上段シュータ部・中段シュータ部共に折れ曲がる除雪機の多段シュータ構造であって、
前記上段シュータ部のみが折れ曲がるときのリンク作用点の移動範囲をM、前記リンク支点と第2ヒンジとを通る線を基準線Lとしたときに、この基準線Lが前記移動範囲Mのほぼ中間に位置する様に、リンク支点及び第2ヒンジの位置を設定したことを特徴とする除雪機の多段シュータ構造。
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