JP3806551B2 - 道路標識板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、降雪地域に設置されて標示面に着雪する雪を自動的に除去させる道路標識板に関する。
【0002】
【従来の技術】
降雪地域に於いては、標識板に雪が付着して視認できなくなり円滑に流れる交通機関の障害となっており、従来から何らかの打開策が求められている。かかる問題を解決すべく、本出願人は実公平4−44650号公報に記載の先行技術によると道路標識板本体の上部に沿って傾斜板と抑止板とからなる防雪板が設けられ、前記傾斜板は傾斜板上に積もった雪が標識板本体の背面側に滑落されやすいようになされ、また抑止板は標識板本体の前面側に雪庇を突設させないようになされている。また、同出願人は更に特開平9−310316号公報に記載される標識板本体の前面が斜め下向きに傾斜させ、該標示面の上方前面側に更に角度を大きくして斜め下向きに傾斜させた庇が設けられて、庇部の内面に向かって吹き付ける雪がよどむことなく流れるので、着雪を防止することが出来る旨の技術が開示されている。また、標識板の裏面にモーターを取り付けて電気的に振動を加えることによって着雪を除去させる技術がべつに提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、標識板本体に傾斜板や抑止板が取付けられても無風状態で降雪があれば傾斜板や抑止板上に積雪して標識板には着雪されないが、むしろ無風状態は少なく往々にして風を伴って雪が降るので、傾斜板等の庇によって雪が舞い上がって標示面に着雪しやすくなっててしまう。また、一旦着雪すると庇に阻害されていつまでも残ってしまうという欠点がある。更に傾斜板や抑止板もしくは標識板本体が前傾させていると、傾斜部分の上面に積雪して重くなるばかりでなく一部が解けてつららが垂れ下がってしまうことがある。その為に標識板本体が脱落したり倒壊する怖れがあるので、取付金具の強度を増したり、支柱の外径や肉厚を増すなどの必要性が生まれ、またつららが視認性を損ねる事態が生じることがある。
【0004】
また標識板の裏面にモーターを取り付けて電気的に振動を加えると、取付金具に金属疲労が加わるために取付金具の強度と支柱の保持力を高める必要が出て、設備投資に多額な費用と商用電源工事及びかかる維持管理に莫大な費用が伴うことになってしまう。しかしかかる費用を考慮しても、着雪を防止し標識板の視認性を保つという観点からすれば、その効果は絶対的なものではない。また、標識板裏面に発熱体を貼設されて電気的に温熱させ、着雪を溶かす技術が提案されているが、これも電気容量が嵩み維持費が相当額かかる上に、一旦解けた雪も再び凍結してつららが発生するという欠点があった。
【0005】
以上の問題を解決すべく本発明は自然の風を有効利用して、アームの一端で風を受け、他端で標識板を叩くように揺動自在になされ、風が吹く度にその都度自動的に着雪を除去する安価な道路標識板を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は風を受ける受風面と標識板を叩く衝突部とが相対向してアームによって連結され、該アームが標識板面に対して揺動自在に取り付けられ、受風面が風を受けてアームが揺動することによって衝突部が標識板の裏面を叩き、その衝撃によって標識板の着雪が除去されるようになされる。
【0007】
かかるアームは受風面と衝突部との重量バランスがとられて揺動自在になされてもよい。前記アームが軸止部に重心を持たせると全重量が揺動する軸止部で受け止められてバランスがとれるので、僅かな風が吹いても揺動させることが出来る。従って、受風面は必ずしも上にして縦方向に標識板の上部に取り付けられなくてもよく、受風面が標識板の下部にあっても又はアームが横方向に形成されて受風面が標識板の横の位置にあってもその機能は損なうものではない。
【0008】
またアームの軸止部から衝突部を含めて柔軟性を有し、反発弾性で尚且つ重量を有する例えばスプリングで形成されれば、受風面が順風を受けて後方に傾き始めても衝突部のスプリング先端は慣性モーメントを受けて一瞬留まって後、スプリングのバネ作用で反発して力強く標識板を叩くことが出来る。また受風面が後方に傾く途中にストッパーが設けられれば、ストッパーで急停止した反動がスプリングの反発力と加わってより強い力が得られる。尚、スプリングは柔らかすぎると反発作用がなくて叩く力が弱く、またスプリングが硬すぎると反発せずに直接叩いてしまうので、スプリングの長さと揺動する振幅の大きさによって好適に選択されてよい。
【0009】
軸止部を支持する桿は、前記標識板が固定される支柱の一部に担持され、前記アームの軸止部が標識板の裏面を衝突部で叩くに必要な位置に保持されるようになされ、支柱から直接伸びた桿にアームが軸着される。このように固定した支柱にアームが担持されると、軸止部が揺れることなく安定した位置が保たれ、風を受けて揺動するアームはそれによって円滑な動きをなし、衝突部が標識板をより強く叩くことが出来る。また標識板は衝突した振動をもろに受け止めて着雪を除去させることが出来る。
【0010】
更に受風面によって揺動される衝突部は、標識板が支柱に固定される軸芯から離れた位置で標識板が叩かれるように設置されてよく、軸芯から離れる程衝突による振動がより大きくなる。また標識板が支柱に固定される治具には屈伸自在な固定治具が使用され、衝突部で叩かれた衝撃が標識板全体に伝わり易いようになされてよい。かかる屈伸自在な金具は衝突部の作用がなくても、風によって揺れ動いて着雪を除去する機能が付加される。また、固定金具が屈伸自在になされると、常に発生する標識板の振動によって固定金具や標識板に金属疲労が蓄積されることがなく、耐久性を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面により詳しく説明する。図1は本発明の実施の一形態を示す斜視図であり、図2は図1のアームの一部を含む衝突部がスプリングで形成されて受風面が後方に傾いた状態を示す断面図である。図3は本発明の他の一形態を示す斜視図である。図4は図3の標識板の固定金具が屈伸自在に形成された一例を示す組み付け断面図であり、図5は図4の設置を示す斜視図である。
【0012】
図1に於いて 標識板1が支柱2に固定金具3によって固着されており、該標識板1の上部端縁に担持された桿4は標識板1の裏面方向に垂直に伸び、該桿4の端部に軸止部41が設けられてアーム5のほぼ中程に遊貫されて標識板1の面と垂直方向に揺動自在になされ、前記アーム5の上端は標識板面の外側にあって受風面51が設けられ、アーム5の下端に衝突部52が設けられている。受風面51は標識板1への風向きが順風であっても逆風であってもアームが揺動されやすいように受け皿状に湾曲させた受風面51が相対向して取り付けられている。順風の風を受けるとアーム5が揺動して受風面51は標識板1から後退すると同時に衝突部52は標識板1を叩く動きを示す。また逆風を受けると受風面51は標識板1の前面に傾き、同時に衝突部52は標識板1から離れて揺動するが順風を受けると振幅を大きくして強く標識板1を叩くようになされている。かかる衝突部52が標識板1を叩くことによって標識板1に衝撃が加わり、標識板1の面に付着した雪が脱落する。
【0013】
雪は風の無いときには標識板に着雪しないが、風が吹くにつれて標識板に当たって付着される。特に標識板に順風を受けると標識板の標示面に着雪して標示内容を視認することが出来なくなるので、順風に対処させた受風面だけであってよい。即ち受け皿状の湾曲面が標識板の正面にのみ向いていてもよい。従って、吹雪に際しては常に受風面に強弱の風を受けてアームが揺動し、その都度衝突部が標識板を叩いて落雪させるので、着雪は積み重なることなく常時標識板が視認できる状態を維持させることが出来るのである。
【0014】
前記アームは受風面と衝突部とが両端に設けられ、軸止部によって支持されているので、アームの重量バランスがとれていればかかる重量が軸止部に集中的にかかり、受風面と衝突部は重量を受けることなく軽微な力で揺動することができる。よって、常に揺動している中で順風を受けると風力を損失せずに衝突部に力を及ぼして標識板が叩かれる。
【0015】
図2は、図1のアーム5の軸止部41から下の衝突部52に至る部分が重量のあるスプリング53で形成されていて、受風面51とバランスがとれて揺動自在になされている。標識板1に順風を受けると受風面51が後方に傾きスプリング53がムチのしなりとなって標識板1を力強く叩くので着雪がより効果的に除去される。また、受風面51が後方に傾く適正な位置にストッパーを設けてそれ以上後退しないようになされれば、その位置で揺動が急停止されてスプリング53の反発弾性が生じ、バネの力が加わってより強く標識板1を叩くことが出来る。尚、スプリング53の腰の強さは弱すぎると叩く力が得られず、また強すぎるとバネ作用が得られないので、吹く風の強さに対応させて設置場所に応じてスプリングの材質が選定されてよい。
【0016】
図3はアーム5が支持される桿4が支柱2に直接固定されて揺動自在になされた道路標識板である。桿4は支柱2から伸びてアーム5の受風面51と衝突部52とが好適な位置に担持されて、軸止部41が静止された状態でアーム5が揺動するようになされ、標識板1が衝突部52によって叩かれた振動が損なうことなく着雪を除去されやすいように配慮がなさたものである。
【0017】
図4は標識板1にアルミ型材11が溶着され、アルミ型材11に挿通可能な部材A31と支柱を貫通して螺着できる部材B32とが合成ゴム33によって一体化された固定金具3が使用されて図5の道路標識板が形成されている。合成ゴム33はゴム弾性を有し部材A31と部材B32とが強固に接着されて合成ゴム33の部分で屈伸されるようになされている。かかる標識板1は衝突部52によって叩かれると、固定金具3が標識板1の振動に対応して屈伸するので、標識板全体が振動の波を受けて揺れ動き、着雪を振り落としてしまう。かかる合成ゴムは形状面で必ずしもブロック体でなくてもよく、中空体又は発泡体であってもよい。合成ゴムが材質的に柔軟で且つ標識板の保持能力を有しておれば、衝突部によって引き起こされる振動がなくても標識板に直接受ける風によって標識板が揺れ動き、着雪を除去又は防止することが出来る。このように合成ゴム33は標識板を衝突による振動や直接受ける風によって揺れやすくするばかりでなく、振動吸収能力があるので、標識板が激しく振動しても固定金具3が損傷することがなく、また支柱2に振動が伝わりにくいので桿4で結合されたアーム本体5や支柱2に損害を及ぼしにくいので、耐久性の面で向上する。
【0018】
【発明の効果】
以上、本発明の道路標識板は、標識板の視認性に影響を及ぼす表面の着雪を防止する対策として、自然の風を有効に利用して簡易な方式で着雪を除去させることが出来るようになされたものである。即ち揺動自在になされたアームの一端にある受風面で風を受けて他端の衝突部にて標識板の裏面を叩くようになされたものであるので、電気を必要とせず簡単な構造にて自然の風力を利用して自動的に作動させることが出来る。更に、標識板の標示面に吹き付ける雪が視認性を損ねるが、この順風の吹雪が強くなればなるほど、衝突部はより高い頻度で、また強い力で標識板を叩き続けるので、着雪されやすい条件に比例させて自動的に着雪を防止出来るのである。
【0019】
また、受風面と衝突部とが両端に取り付けられたアームの軸止部に重心を持たせると重量バランスが保たれ、微風であってもアームが揺動し易くなり、またアームの衝突部がスプリングで形成されることによってバネの反発弾性が得られ、少ない風でも標識板に強い力を加えることが出来る。更に又アームが支柱に固定された桿に支持されれば、標識板の振動と関係なく安定して揺動させることが出来るし、また標識板の固定金具が屈伸構造を有することによって衝突部の衝撃を弱めることなく標識板全体に振動を行き渡らせることが出来る上、衝突部の衝撃を受けなくても標識板に直接風を受けて揺れ動くので、着雪を除去或いは防止することが出来る。以上のように自然の風をより有効に且つ効果的に利用して風の力を増幅させ標識板に付着する雪を除去又は着雪防止させることが出来るのである。一方、屈伸できる固定金具は防振効果を有するので、支柱や支柱に取り付けたアーム本体が損壊されることがないので、耐久性の面でも向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の図1の衝突部がスプリングで形成された断面図である。
【図3】本発明の他の形態を示す斜視図である。
【図4】図3の標識板の固定金具が弾性体を介在させた一例を示す組み付け断面図である。
【図5】図4の設置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 標識板
11 アルミ型材
2 支柱
3 固定金具
31 アルミ型材11に挿通可能な部材A
32 支柱を貫通して螺着できる部材B
33 合成ゴム
4 桿
41 軸止部
5 アーム
51 受風面
52 衝突部
53 スプリング
Claims (5)
- 風を受ける受風面と標識板を叩く衝突部とが相対向されてアームによって連結されると共に該アームが標識板に対して揺動自在に取り付けられ、受風面で風を受けるとアームが揺動することによって衝突部が標識板を叩いて標識板の着雪を除去させることを特徴とする道路標識板。
- 前記アームの受風面と衝突部との重量バランスがとれて揺動自在になされていることを特徴とする請求項1に記載の道路標識板。
- アームが軸止部によって支持されると共に前記軸止部から衝突部を含むアームが柔軟性を有し、反発弾性且つ重量有る材料で形成されたことを特徴とする請求項1、または2に記載の道路標識板。
- アームが支持される軸止部は棹に支持されると共に棹が支柱に担持されて、標識板がアームの揺動に影響を受けることなく衝突部にて衝撃が加えられることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の道路標識板。
- 少なくとも衝突部が標識板の軸芯から外れていて、支柱に標識板が固定される治具が屈伸自在に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいづれか1項に記載の道路標識板。
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