JP3732391B2 - 除雪機のシュータ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロアで吹き飛ばした雪をシュータで所望の投雪箇所まで案内する除雪機のシュータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
除雪機は、例えば路面上の積雪をオーガで集め、集めた雪をブロアで吹き飛ばし、吹き飛ばした雪をシュータで案内して所望箇所に投雪するものである。雪の投雪方向や投雪距離は、シュータを旋回させることやシュータを折り曲げることにより制御する。このシュータに関して、例えば実開昭63−76025号公報「除雪機のシューターガイドのヒンジ構造」が知られている。この除雪機のシューターガイドのヒンジ構造は、同公報の第3図によれば、シューター本体7a(符号は同公報に記載されたものを使用する。)にヒンジ部材9を介してシューターガイド7bを取付け、これらのシューター本体7a及びシューターガイド7bの残部で形成した巻部10でヒンジ部材9を覆うことで、ヒンジ部材9の隙間から雪が飛散するのを防ぐことができるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報の構造では雪の飛散防止の点で、課題がある。この課題を次図で説明する。
図9は従来のシュータ構造の課題説明図であり、上記公報の第3図を再掲したものである。
ヒンジ半体9a並びにヒンジ半体9b間に隙間104,104が不可避的に発生する。この隙間104,104から雪が漏れ飛散するので、シュータの飛散防止をさらに向上させる必要がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、十分な雪漏れ対策を講じた除雪機のシュータ構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、第1シュータ部に第1蝶番板を取付け、第2シュータ部に第2蝶番板を取付け、これらの第1蝶番板と第2蝶番板とを連結ピンで連結することで、第1シュータ部に対して第2シュータ部を折曲げ可能にした除雪機のシュータ構造において、連結ピンを通すために第1蝶番板に備える管部を第1シュータ部の幅とほぼ同一の長さに設定し、この長い管部の出入口に各々臨ませる第1・第2孔開き板を第2蝶番板に備え、こられの第1孔開き板から第2孔開き板に達するとともに、管部に被さるカバー部を第2蝶番板に一体形成し、このカバー部で蝶番からの雪の吹出しを防止するようにしたことを特徴とする。
【0006】
第1蝶番板に第1シュータ部の幅とほぼ同一の長さに設定した管部を形成したので、管部の中途に切断部がなく、雪が漏れる心配がない。
また、管部の出入口に各々臨ませる第1・第2孔開き板、及びこれらの第1孔開き板から第2孔開き板に達するとともに、管部に被さるカバー部を第2蝶番板に一体形成することで、管部を覆い、管部の周囲から雪が噴出するのを抑制する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るシュータ構造を備えた除雪機の側面図である。
除雪機10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に取付けたクローラ12と、車体フレーム11の後端に取付けたハンドルポスト13と、ハンドルポスト13に取付けたハンドル14と、車体フレーム11に搭載したエンジン15と、エンジン15で駆動する駆動軸16と、駆動軸16の先端に連結することで雪を集めるオーガ17と、オーガ17の後方で駆動軸16に連結することでオーガ17で集めた雪Sを吹き飛ばすブロア18と、オーガ17及びブロア18のケース19に旋回自在に取付けることでブロア18で吹き飛ばした雪Sを案内するシュータ20とからなる。
【0008】
図2は本発明に係る除雪機のシュータ構造の側面図である。
除雪機のシュータ20は、除雪機10のケース19(図1参照)に下段シュータ部21を旋回自在に取付け、下段シュータ部21に、一対の側壁25a,25aとこれらの一端同士をつなぐ奥壁25bとからなる略コ字断面の第1シュータ部であるところの中段シュータ部25を第1蝶番28を介して折曲げ可能に連結し、中段シュータ部25に一対の側壁30a,30aとこれらの一端同士をつなぐ奥壁30bとからなる略コ字断面の第2シュータ部であるところの上段シュータ部30を第2蝶番32を介して折曲げ可能に連結したものである。
【0009】
また、シュータ20は、中段シュータ部25の一対の側壁25a,25aのうち一方の側壁(右側の側壁)25aの外方にワイヤ取付けピン33を介してワイヤ35を連結するとともにシュータ部相互(すなわち、下段シュータ部21並びに上段シュータ部30)をつなぐリンク38を掛け渡し、ワイヤ35の引き動作で下段シュータ部21に対し中段シュータ部25並びに上段シュータ部30が折曲げ状態になるようにし、下段シュータ部21並びに上段シュータ部30の奥壁25bの外方にリターンばね40を渡し、ワイヤ35を緩めたときにリターンばね40の引き動作で下段シュータ部21に対し中段シュータ部25並びに上段シュータ部30が非折曲げ状態に戻るように構成したものである。
【0010】
下段シュータ部21は、一対の側壁21a,21aとこれらの一端同士をつなぐ奥壁21bとからなる略コ字断面のシュータであり、奥壁21bから右側の側壁21aに渡って略L字断面の取付けブラケット42を備える。
取付けブラケット42の支持片42aを第1蝶番28の上方まで延し、延した支持片42aに固定ピン44を介してリンク38の下端38aを回転自在に取付け、上段シュータ部30の右側の側壁30aの外方に移動ピン45を介してリンク38の上端38bを回転自在につなぐ。これにより、下段シュータ部21並びに上段シュータ部30をリンク38でつないだ状態になる。
【0011】
取付けブラケット42の係止孔43にリターンばね40の下フック40aを係止し、上段シュータ部30の奥壁30bに係止ブラケット47を取付け、係止ブラケット47の係止孔48にリターンばね40の上フック40bを係止した。これにより、下段シュータ部21並びに上段シュータ部30の奥壁30bの外方にリターンばね40を渡した状態になる。
【0012】
下段シュータ部21並びに上段シュータ部30の奥壁30bの外方にリターンばね40を渡すことで、リターンばね40の引張り力を中段シュータ部25、上段シュータ部30やリンク38にかけて、中段シュータ部25、上段シュータ部30及びリンク38を確実に保持することができる。これで、除雪作業中に各々の部材が振動することを防ぐ。
【0013】
下段シュータ部21は、上端に左右の側壁21a,21aに各々第1ピン22(右側のみを図示する)を設け、第1ピン22を中段シュータ部25の第1ガイド孔26に移動自在に配置した。中段シュータ部25は、上端に左右の側壁25a,25aに第2ピン27(右側のみを図示する)を設け、第2ピン27を上段シュータ部30の第2ガイド孔31に移動自在に配置した。
【0014】
図3は本発明に係る除雪機のシュータ構造の背面図であり、リターンばね40を、下段シュータ部21の右側の側壁21a及び上段シュータ部30の右側の側壁30aの近傍まで寄せた位置にて、下段シュータ部21の奥壁21bの外方及び上段シュータ部30の奥壁30bの外方に取付けた状態を示す。W1は、中段シュータ部25の幅を示す。
【0015】
次に、シュータ20の動作を説明する。
図4(a)〜(c)は本発明に係るシュータ構造の動作説明図である。
(a)において、リターンばね40の引き動作で下段シュータ部21に対して中段シュータ部25並びに上段シュータ部30を非折曲げ状態に保持する。このとき、中段シュータ部25の第1ガイド孔26の下端が下段シュータ部21の第1ピン22に当り、上段シュータ部30の第2ガイド孔31の下端が中段シュータ部25の第2ピン27に当ることで、シュータ20は非折曲げ状態の姿勢を維持する。
【0016】
この状態で、ワイヤ35を矢印▲1▼の如く引張ることにより、中段シュータ部25が第1蝶番28を軸にして矢印▲2▼の如く折れ曲がり、リンク38が固定ピン44を軸にして矢印▲3▼の如く下方にスイングする。
従って、リンク38の引張り力で上段シュータ部30が第2蝶番32を軸にして矢印▲4▼の如く折れ曲がる。
【0017】
(b)において、ワイヤ35を矢印▲1▼の如く継続して引張ることにより、中段シュータ部25が第1蝶番28を軸にして矢印▲2▼の如くさらに折れ曲がり、リンク38が固定ピン44を軸にして矢印▲3▼の如くさらにスイングする。これにより、上段シュータ部30が第2蝶番32を軸にして矢印▲4▼の如くさらに折れ曲がる。
【0018】
(c)において、下段シュータ部21の第1ピン22に中段シュータ部25の第1ガイド孔26の上端が当り、中段シュータ部25が静止する。同時に中段シュータ部25の第2ピン27に上段シュータ部30の第2ガイド孔31の上端が当り、上段シュータ部30も静止する。
【0019】
この状態で、ワイヤ35を緩めると、リターンばね40による矢印▲5▼方向への引き動作で上段シュータ30が第2蝶番32を軸にして矢印▲6▼の如く起き上がり、これによりリンク38が固定ピン44を軸にして矢印▲7▼の如く上方にスイングし、中段シュータ部25が第1蝶番28を軸にして矢印▲8▼の如く起き上がる。これにより、シュータ20は、(a)に示す非折曲げ状態に戻る。
【0020】
図5は本発明に係るシュータ及び蝶番の分解図であり、第2蝶番32を分解して中段シュータ部25から上段シュータ30を切り離したことを示す。また、図は中段シュータ部25の側壁25aと奥壁25bとが交わる角25cを所定のアール半径R1で成形し、上段シュータ30の側壁30aと奥壁30bとが交わる角30cを所定のアール半径R2で成形したことを示す。
【0021】
アール半径R1は、アール半径R2より大きい寸法であり、R1>R2に設定した。
第2蝶番32は、中段シュータ部25に取付けた第1蝶番板51と、上段シュータ30に取付けた第2蝶番板52と、これらの第1蝶番板51と第2蝶番板52とを連結する連結ピン53と、からなる。なお、第1蝶番28(図3参照)は、第2蝶番32と同様であり、説明を省略する。
【0022】
第1蝶番板51は、本体部55の端部56に管部57を成形したものである。また、管部57は、長さがL1であり、この長さL1を中段シュータ部25の幅W1とほぼ同一に設定した長いものである。
【0023】
第2蝶番板52は、本体部61の一端62に第1孔開き板63を形成し、他端64に第2孔開き板65を形成し、こられの第1孔開き板63から第2孔開き板65に達するとともに、管部57に被さるカバー部66を一体形成したものである。
【0024】
図6は図3の6−6線断面図であり、長い管部57の入口71及び出口72に各々第1・第2孔開き板63,65を臨ませ、且つ管部57にカバー部66を被せたことを示し、また、中段シュータ部25のアール半径R1を上段シュータ30のアール半径R2より大きく設定したことを示す。
【0025】
図7は図3の7−7線断面図であり、第1蝶番板51に管部57を成形し、第2蝶番板52に第1孔開き板63を形成し、管部57に被さるカバー部66を一体形成しことを示す。
【0026】
次に除雪機のシュータ構造の作用を図6及び図7で説明する。
図6に示すように、第2蝶番32の第1蝶番板51に中段シュータ部25の幅W1とほぼ同一に設定した長い管部57を成形したので、管部57に分割による隙間がなく、雪Sが漏れることはない。
【0027】
また、図6において、アール半径R2で示した上段シュータ30のコーナから、アール半径R1で示した中段シュータ部25のコーナを中央Cへ寄せた。具体的には、R2<R1とすることで、中央Cへ中段シュータ部25のコーナを寄せた。雪Sが、図6の表から裏へ流れるとすると、流れる雪Sがアール半径R1を流れた後に、第2蝶番32を通ってアール半径R2へ乗り移ることになるが、中段シュータ部25のコーナが十分に中央Cへ寄っていて、第1・第2孔開き板63,65からは離れていることになるため、結果的に第1・第2孔開き板63,65の回りの隙間から雪Sが漏れる心配はなくなる。
【0028】
図7に示すように、第1蝶番板51に管部57を成形し、この管部57に被さるカバー部66を第2蝶番板52に一体形成したので、管部57と上段シュータ30の奥壁30bとの間から雪Sが漏れる心配はなく、雪Sの吹出しを防止することができる。
なお、第2蝶番32は、図4(b),(c)のように折曲げても、同様の効果を発揮することができる。
【0029】
図8(a),(b)は除雪機のシュータ構造の比較図である。
(a)は、図9と同じもので、比較例を示し、従来の除雪機のシュータ100は、第1シュータ部101に蝶番102を介して第2シュータ部103を連結したものである。蝶番102の隙間104,104から雪S,Sが矢印のように漏れて飛散する。
【0030】
(b)は実施例を示し、本発明のシュータ構造では、中段シュータ部25に第2蝶番32を介して上段シュータ30を連結したので、第2蝶番32から雪Sが漏れることはない。従って、雪漏れのない除雪機のシュータ構造を得ることができる。
【0031】
尚、本発明の実施の形態に示した図7の管部57とカバー部66との間にシールを設けることも可能である。
連結ピン53の形態は、図5に示すような長円形に限定するものではなく、任意である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、連結ピンを通すために第1蝶番板に備える管部を第1シュータ部の幅とほぼ同一の長さに設定し、この長い管部の出入口に各々臨ませる第1・第2孔開き板を第2蝶番板に備え、こられの第1孔開き板から第2孔開き板に達するとともに、管部に被さるカバー部を第2蝶番板に一体形成したので、管部の中途に分割を設ける必要がなく、管部からの雪漏れを防止することができる。
また、管部を第1・第2孔開き板、及びカバー部で覆ったので、管部の周囲から雪が漏れるのを抑制することができる。従って、雪漏れのない除雪機のシュータ構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシュータ構造を備えた除雪機の側面図
【図2】本発明に係る除雪機のシュータ構造の側面図
【図3】本発明に係る除雪機のシュータ構造の背面図
【図4】本発明に係るシュータ構造の動作説明図
【図5】本発明に係るシュータ及び蝶番の分解図
【図6】図3の6−6線断面図
【図7】図3の7−7線断面図
【図8】除雪機のシュータ構造の比較図
【図9】従来のシュータ構造の課題説明図
【符号の説明】
10…除雪機、20…シュータ、25…第1シュータ部(中段シュータ部)、28…蝶番(第1蝶番)、30…第2シュータ部(上段シュータ部)、32…蝶番(第2蝶番)、51…第1蝶番板、52…第2蝶番板、53…連結ピン、57…管部、63…第1孔開き板、65…第2孔開き板、66…カバー部、71…入口、72…出口、L1…管部の長さ、W1…第1シュータ部の幅。

Claims (1)

  1. 第1シュータ部に第1蝶番板を取付け、第2シュータ部に第2蝶番板を取付け、これらの第1蝶番板と第2蝶番板とを連結ピンで連結することで、第1シュータ部に対して第2シュータ部を折曲げ可能にした除雪機のシュータ構造において、
    前記連結ピンを通すために第1蝶番板に備える管部を第1シュータ部の幅とほぼ同一の長さに設定し、この長い管部の出入口に各々臨ませる第1・第2孔開き板を第2蝶番板に備え、こられの第1孔開き板から第2孔開き板に達するとともに、前記管部に被さるカバー部を第2蝶番板に一体形成し、このカバー部で蝶番からの雪の吹出しを防止するようにしたことを特徴とする除雪機のシュータ構造。
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