JP4219800B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させてなるSiC単結晶の製造方法に関する。
従来より、SiC単結晶を利用するSiC半導体は、Si半導体に代わる次世代パワーデバイスの候補材料として期待されている。高性能なSiCパワーデバイスを実現するためには、高品質かつ大口径で長尺のSiC単結晶が求められている。
上記SiC単結晶は、例えば昇華再析出法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させることにより得ることができる。
ここで、図23に、昇華再析出法によりSiC単結晶を作製する様子を示す。
同図に示すごとく、SiC単結晶90の作製は、例えば坩堝等の成長容器91内で行われる。この成長容器91は、一般に、SiC原料粉末93が供給される本体部911と、SiC種結晶を保持するための台座913が一体的に形成された上蓋912とを有する。
このような成長容器91内において、SiC種結晶は、SiC単結晶90を成長させるための成長面95をSiC原料粉末93側に向けた状態で上記台座913に固定される。そして、この状態で、SiC原料粉末93を加熱して昇華させると、SiC種結晶上にSiCが結晶となって堆積する。このようにして、SiC種結晶上にSiC単結晶90を得ることができる。また、このとき、SiC単結晶90の周辺においては、成長容器の内壁や上蓋912の内表面等から多結晶99が成長する。
ところが、上記のような方法により、SiC種結晶上へのSiCの堆積をさらに続け、SiC単結晶の大口径化や長尺化を図ろうとすると、図23に示すごとく、成長結晶90の先端部が先細りしてしまう。
良好な成長を継続し、長尺のSiC単結晶90を得るためには、単結晶部分の周辺に成長する多結晶99に比べて単結晶90からの放熱性を相対的に高く保たなければならないが、SiC単結晶90の成長と共に成長容器91内の温度分布が変化するため、単結晶90からの放熱性は相対的に低下していく。その結果、単結晶90の成長速度が低下し、周辺多結晶99の成長による単結晶部分の先細りや品質劣化が発生するという問題があった。
これまでに開発されている、SiC単結晶を長尺化させる方法としては、例えば下記の特許文献1〜3に開示されたものがある。
特許文献1においては、原料を収容する坩堝と種結晶を保持する支持部材とをそれぞれ独立に上下動かつ回転可能にして、原料の温度と単結晶の温度及びその温度差を単結晶の成長中に調整可能にした単結晶育成装置が提案されている。
また、特許文献2においては、種結晶の周りにガイドを設け、ガイド部と単結晶部が常に面一になるように、成長方向と逆方向に種結晶保持部を相対移動させることにより、周囲の多結晶の付着を防止できる単結晶製造装置が提案されている。
さらに、特許文献3においては、周辺に成長した多結晶を一旦除去し、再度成長行う方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法においては、単結晶の周りに多結晶が生じることを実際上回避できず、単結晶の先細りが発生するおそれがある。また、支持部材の可動時に上記成長容器内に塵が発生し、成長結晶に悪影響を及ぼすおそれがある。また、特許文献2の方法においては、単結晶の周囲に可動部があるため、発生したカーボン微粒子などが成長中の結晶に混入しやすく、結晶品質を劣化させてしまうおそれがある。また、特許文献3の方法においては、周辺多結晶の成長による単結晶部の先細りに対してはある程度の効果があるが、単結晶部の放熱性は成長と共に悪くなり、成長速度が急激に低下するおそれがある。
特開平6−298594号公報 特開2001−226197号公報 特開平6−48898号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、大口径及び長尺の、高品質なSiC単結晶を短時間で製造できるSiC単結晶の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、成長容器内にSiC種結晶を配置し、該SiC種結晶の成長面上にバルク状のSiC単結晶を成長させて、SiC単結晶を製造する方法において、
上記成長容器としては、SiC原料が供給される本体部とその上部に配置される上蓋とを有し、該上蓋に上記成長容器の外部に向けて凹んだ種収容部を形成したものを用い、
上記SiC種結晶としては、成長方向に20mm以上の厚さを有し、その側面部に該側面部を覆う保護材が接着剤により一体的に接合されたものを用い、
上記SiC種結晶を、その上記成長面とSiC原料の発生源とが対向するよう上記種収容部に埋め込み、上記成長面と反対側の裏面を上記上蓋の内表面から上記SiC原料の発生源と離れる方向に後退させて配置することを特徴とするSiC単結晶の製造方法にある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明の製造方法においては、上記SiC種結晶として成長方向に20mm以上の厚さを有する比較的長尺のものを用いる。そのため、上記SiC種結晶の上記成長面を上記成長容器内に露出させたまま、上記SiC種結晶を上蓋の上記種収容部に埋め込んだ配置構成を容易かつ確実に実現することができる。
また、上記の埋め込んだ配置構成の実現により、上記SiC種結晶は、その上記成長面と反対側の上記裏面を上記上蓋の内表面から後退させ、上記成長面の露出位置よりも低温となり易い位置に配置することができる。そのため、上記SiC種結晶上に成長するSiC単結晶の熱を上記裏面を介して効率的に放出することができる。それ故、上記SiC単結晶の成長中に上記SiC種結晶の周囲に成長する多結晶の放熱性よりも、上記SiC種結晶上に成長するSiC単結晶(以下、適宜成長結晶という)の放熱性を高くすることができる。したがって、上記SiC単結晶の成長速度の低下を防止することができ、また、上記SiC単結晶の先端に発生しうる先細りを防止することができる。
なお、上記SiC単結晶の放熱性は、上記種収容部を外部に連通する開口部とした場合に、より一層向上させることができる。
また、本発明の製造方法において、上記SiC種結晶は、その上記成長面と反対側の裏面を上記上蓋の内表面から上記SiC原料の発生源と離れる方向に後退させて配置する。
そのため、上記SiC種結晶の周囲に成長する多結晶が、上記SiC種結晶上に成長する成長結晶に悪影響を及ぼして、上記SiC単結晶の品質が劣化することを防止することができる。
特に、上記SiC種結晶上に繰り返しSiC単結晶を成長させてSiC単結晶の長尺化や大口径化を図る場合には、上記SiC種結晶上に成長した上記SiC単結晶を再び上記SiC種結晶として用い、該SiC種結晶の上記裏面を上記上蓋の内表面から後退させるように配置して成長させることができる。このとき、上記SiC種結晶は、その大部分を上記成長容器の内表面よりも後退させて配置することができるため、周囲にて成長する多結晶の影響をほとんど受けない。そのため、長尺又は大口径のSiC単結晶を高品質な状態で得ることができる。
一般に、長尺化や大口径化を図ると、SiC単結晶は放熱性が低下し成長速度が遅くなったり、周囲の多結晶からの悪影響を受けやすく品質が劣化し易くなる。しかし、本発明においては、上記のごとく、上記SiC種結晶の上記裏面を上記上蓋の内表面から後退させるように上記SiC種結晶を配置しているため、上記SiC種結晶及び該SiC種結晶上に成長する上記SiC単結晶の熱を上記成長容器の外部へ効率的に排出することができ、成長速度の低下を防止できる。それ故、大口径で長尺のSiC単結晶を短時間で製造できる。
また、本発明の製造方法においては、従来のごとく、上記成長容器内に可動部等の装置を設ける必要がない。そのため、摩擦や振動によって上記成長容器内に塵が発生することがほとんどない。それ故、成長結晶中に異物などが混入することを防止でき、高品質のSiC単結晶を作製することができる。
以上のごとく、本発明によれば、大口径及び長尺の、高品質なSiC単結晶を短時間で製造できるSiC単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明(請求項1)において、上記SiC種結晶としては、その成長方向の厚みが20mm以上のものを用いる。上記SiC種結晶の厚みが20mm未満の場合には、上記種収容部に埋め込み、上記裏面を上記上蓋の内表面から後退させて配置することが困難になる。その結果、上述の作用効果が得られなくなるおそれがある。
また、上記成長容器は、その上記上蓋に、上記成長容器の外部に向けて凹んだ上記種収容部を有しており、上記SiC種結晶をこの種収容部に埋め込んで配置する。上記SiC種結晶の形状は、例えば円柱状、角柱状、及び直方体状等があり、上記上蓋の上記種収容部は、このSiC種結晶の形状に合わせて形成することができる。
また、上記成長容器の上記本体部には、上記SiC原料が供給される。後述の昇華再析出法によりSiC単結晶を成長させる場合には、上記SiC原料として、例えばSiC粉末等を供給することができる。また、後述のCVD法によりSiC単結晶を成長させる場合には、上記SiC原料として、例えばケイ素を含有するケイ素含有ガスと炭素を含有する炭素含有ガスとを供給することができる。ケイ素含有ガスとしては例えばSiH4等があり、また炭素含有ガスとしては例えばC38等がある。
上記SiC種結晶上にバルク上のSiC単結晶を成長させる方法としては、例えば昇華再析出法や、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを利用することができる。
好ましくは、昇華再析出法がよい。この場合には、充分な成長高さが得られるため、より短時間で、大口径で長尺のSiC単結晶を得ることができる。
また、本発明において、上記SiC種結晶としては、本発明の製造方法により作製したSiC単結晶を用いることができる。即ち、上記SiC種結晶の上記成長面上に上記SiC単結晶を成長させてSiC単結晶を作製し、該SiC単結晶を上記SiC種結晶として再び用いて、その上記成長面上に上記SiC単結晶を成長させることができる。このように繰り返してSiC単結晶を成長させることにより、上記SiC単結晶のさらなる大口径化及び長尺化が可能になる。
上記SiC種結晶としては、例えば昇華再析出法等により成長したSiC単結晶から切断・成形・研磨して作製された単結晶基板等を用いることができる。
上記SiC種結晶において、上記SiC単結晶の成長に用いる上記成長面は、化学洗浄等により付着物を除去し、RIE(Reactive Ion Etching)及び犠牲酸化等により切断や研磨に伴う加工変質層を除去しておくことが好ましい。このように、付着物や加工変質層を除去しておくことにより、成長結晶内に上記種結晶から欠陥が継承されるのを防止することができ、高品質のSiC単結晶を作製することができる。
次に、上記SiC種結晶の側面部の少なくとも一部には、該側面部を覆う保護材が配設されていることが好ましい
この場合には、上記成長容器の内側において、該成長容器の内表面から成長する多結晶が上記SiC種結晶に悪影響を及ぼして該SiC種結晶から成長するSiC単結晶に転位が発生することを防止できる。また、上記保護材が上記SiC種結晶の側面における上記成長容器の外側に位置する部分に配設されている場合には、上記成長容器の外側において、上記SiC種結晶からSiCが昇華してしまうことを防止することができる。
また、上記保護材は、上記SiC種結晶の側面のみならず、上記SiC種結晶における上記成長面と反対側の上記裏面に配設することもできる。この場合には、上記SiC種結晶の裏面からSiCが昇華してしまうことを防止できる。
また、上記保護材としては黒鉛よりなるものを用いることができる。この場合には、上記保護材は、上記SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させるときの例えば1800℃〜2500℃という高い温度においても安定に存在できる。また、上記保護材としては、例えば黒鉛よりなる板を上記SiC種結晶に貼付することにより配設することができる。また、上記保護材としては、黒鉛粉末を分散させたフェノール樹脂等を上記SiC種結晶に塗布し焼成して、膜状の黒鉛を形成させることによっても配設することができる。
また、上記SiC種結晶と、上記保護材とは一体的に接合されていることが好ましい。
この場合には、上記SiC種結晶と上記保護材との接着性が高まり、上記SiC種結晶の放熱性を向上させることができる。また、上記SiC種結晶と上記保護材とが一体的に接合されていない場合には、上記SiC種結晶と上記保護材との間でSiCの昇華再析出が起き、上記SiC種結晶上に成長する上記SiC単結晶に欠陥が発生するおそれがある。上記SiC種結晶と上記保護材とは、例えば接着剤等を用いて一体的に接合させることができる。
また、上記SiC種結晶と上記保護材との間に、後述の応力緩衝材を配設する場合には、上記SiC種結晶と上記保護材とを、上記応力緩衝材を介して一体的に接合させることができる。
また、上記保護材と上記SiC種結晶との間には、両者の間にはたらく熱応力を緩和するための応力緩衝材が配設されていることが好ましい(請求項)。
また、上記保護材と上記上蓋との間には、両者の間に働く熱応力を緩和するための応力緩衝材が配設されていることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記SiC種結晶と上記保護材との熱膨張差や、上記保護材と上記成長容器の上蓋との熱膨張差に起因した応力を緩衝することができる。即ち、上記応力緩衝材は、熱膨張差に起因した応力を歪みとして吸収することができる。そのため、上記SiC種結晶に応力がほとんどかからない状態でSiC単結晶を成長させることができ、格子面の反りやマクロ欠陥の発生を防止することができる。このような応力緩衝材としては、例えば一定の柔軟性を有するものを用いることができる。具体的には、後述するごとく、例えば一定の引張強度又は/及びヤング率を有するものを用いることができる。
上記応力緩衝材は、その引張強度が10MPa以下であることが好ましい。上記応力緩衝材の引張強度が10MPaを越える場合には、上記応力緩衝材と、上記SiC種結晶や上記保護材との間の熱膨張差に起因して応力が発生し、この応力が成長中のSiC単結晶に加えられることにより、得られるSiC単結晶の品質が劣化するおそれがある。
また、上記応力緩衝材は、そのヤング率が5GPa以下であることが好ましい。上記応力緩衝材のヤング率が5GPaを越える場合には、上記応力緩衝材と、上記SiC種結晶や上記保護材との間の熱膨張差に起因して発生する応力により、得られるSiC単結晶の品質が劣化するおそれがある。
また、上記応力緩衝材としては、柔軟性黒鉛シートを用いることができる。柔軟性黒鉛シートは、該柔軟性黒鉛シートを構成している結晶粒子のc軸が厚さ方向に配向しているため、1〜10MPaという低い引張強度を示すことができる。そのため、この場合には、上記SiC種結晶と上記保護材との間、又は上記保護材と上記上蓋との間に生じる熱応力を充分に緩衝することができる。
また、上記柔軟性黒鉛シートは、上記SiC単結晶を成長させる際の例えば1800℃〜2500℃という高い温度においても安定に存在できるため、上記応力緩衝材として適している。
また、上記応力緩衝材は、その厚みが0.01〜3.0mmであることが好ましい。応力緩衝材の厚みが0.01mm未満の場合には、上記SiC種結晶と上記保護材との間、又は上記保護材と上記上蓋との間の熱膨張差に起因する応力を充分に緩衝することができないおそれがある。一方、3.0mm越える場合には、上記SiC種結晶の冷却効率が悪くなり、成長速度が遅くなるおそれがある。
また、上記SiC種結晶として、c面よりオフセット角度60°以内の面を上記成長面として露出させたものを用いることが好ましい(請求項
この場合には、上記SiC種結晶は、略c軸方向(<0001>方向)に成長し、所謂c面成長を行うことができる。そして、このようにc面成長をおこなうことにより、積層欠陥の少ないSiC単結晶を作製することができる。
また、上記SiC種結晶として、c面と略垂直な面を上記成長面として露出させたものを用いることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記SiC種結晶はc軸と略垂直な方向に成長し、所謂a面成長を行うことができる。そして、このようにa面成長をおこなうことにより、マイクロパイプ欠陥や螺旋転位の少ないSiC単結晶を作製することができる。また、本発明においては、上記のごとく、上記SiC種結晶を上記種収容部に埋め込んで配置するため、この場合には、略<1−100>軸又は略<11−20>軸方向に長尺なSiC単結晶を作製することができる。また、このようなSiC単結晶は、そのc面側から見るとc面が大口径化したものとなる。
具体的には、図22に示すごとく、SiC単結晶は、その主要な面方位として{0001}面(c面)と、{0001}面に垂直な{1−100}面(a面)及び{11−20}面(a面)とを有している。そして、一般的には、SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させる際には、{0001}面(c面)又は{0001}面からオフセット角度10°以内の面を種結晶の成長面として露出するSiC種結晶を用いてSiC単結晶を成長させるという、所謂c面成長が行われる。ところが、このようなc面成長を行って得られる成長結晶(c面成長結晶)中には、<0001>方向と略平行な方向にマイクロパイプ欠陥や螺旋転位等の欠陥が非常に多く発生する。
上記のごとく、上記SiC種結晶をc軸(<0001>方向)と略垂直な方向に成長させるという、所謂a面成長を行うことにより、マイクロパイプ欠陥や螺旋転位が少なく、略<1−100>軸又は略<11−20>軸方向に長尺なSiC単結晶が得られる。このようなSiC単結晶は、上記のごとく、そのc面側から見るとc面が大口径化したものとなる。
また、上記a面成長を繰り返しおこなうことにより、SiC単結晶中の欠陥や転位を一層低減させることができる。また、上記a面成長を繰り返し行うことにより、c面({0001}面)をさらに大口径化させることができる。即ち、上記SiC種結晶を略<1−100>方向(又は略<11−20>方向)に成長させてSiC単結晶を作製し、該SiC単結晶を種結晶として用いて、略<11−20>方向(又は略<1−100>方向)に成長させることにより、{0001}面(c面)の大口径化を図ることができる。
また、上記のごとく、c面と略垂直な面を上記成長面として露出させたSiC種結晶を成長させて得られるSiC単結晶、即ちa面成長を行って得られるSiC単結晶から、{0001}面又は{0001}面からオフセット角度60℃以内の面を成長面として露出させたSiC種結晶を作製し、該SiC種結晶上にさらにSiC単結晶を成長させることが好ましい。
この場合には、大口径化したc面を有し、かつ螺旋転位、マイクロパイプ欠陥、及び積層欠陥の少ない高品質のSiC単結晶を得ることができる。
即ち、a面成長においては、上記のごとく螺旋転位やマイクロパイプ欠陥を低減させることができるが、<1−100>方向(又は<11−20>方向)と略平行な向きに積層欠陥が発生する。上記のごとく、a面成長を行って螺旋転位やマイクロパイプ欠陥を低減させた後に、c面成長(略<0001>方向への成長)を行うことにより、螺旋転位及びマイクロパイプ欠陥がほとんどなく、さらに積層欠陥もほとんどない高品質なSiC単結晶を得ることができる。積層欠陥は、略<0001>方向への成長にはほとんど発生しないからである。
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面において、{0001}、{1−100}、及び{11−20}は、所謂結晶面の面指数を表している。上記面指数において、「−」記号は通常数字の上に付されるが、本明細書及び図面においては、書類作成の便宜のため数字の左側に付した。また、<0001>、<1−100>、及び<11−20>は、結晶内の方向を表し、「−」記号の取り扱いについては、上記面指数と同様である。
次に、上記SiC種結晶は、螺旋転位密度が100個/cm2以上の領域を少なくとも一部に有することが好ましい(請求項)。
この場合には、螺旋転位密度が100個/cm2以上の領域を有する上記SiC種結晶を、c軸方向(<0001>方向)と略垂直な方向に成長させることにより、螺旋転位密度が100個/cm2以上の領域と螺旋転位密度が100個/cm2未満の領域とを有するSiC単結晶を作製することができる。螺旋転位はc軸方向と略垂直な方向にはほとんど継承されないからである。そして、このSiC単結晶から螺旋転位密度が100個/cm2以上の領域と、螺旋転位密度が100個/cm2未満の領域とを含み、かつc面からオフセット角度60°以内の面が露出するように新たにSiC種結晶を切り出すことにより、後述の転位制御種結晶を作製することができる。また、本発明においては、上記のごとく、上記SiC種結晶を上記成長容器の上記種収容部に埋め込み、成長容器の内表面から後退させて配置するため、上記のごとく、c軸方向(<0001>方向)と略垂直な方向に成長させることにより、<0001>方向と略垂直な方向に長尺なSiC単結晶を得ることができる。したがって、該SiC単結晶から切り出して得られる上記転位制御種結晶を大口径のものにすることができる。
以下、上記転位制御種結晶について説明する。
上記転位制御種結晶は、{0001}面よりオフセット角度60°以内の面を成長面として有し、成長中のSiC単結晶に螺旋転位を螺旋転位密度100個/cm2以上で発生することができる螺旋転位発生可能領域を、上記成長面上の50%以下の領域に有すると共に、上記成長面上における上記螺旋転位発生可能領域以外の領域には、上記成長面上に露出している螺旋転位が螺旋転位密度100個/cm2未満である低密度螺旋転位領域を有する。
そして、該転位制御種結晶の上記成長面上にSiC単結晶を成長させるときにおいては、該SiC単結晶の成長途中の表面である途中表面に、平坦なc面ファセットが形成され、かつ該c面ファセットと、上記成長面上の上記螺旋転位発生可能領域をc軸方向又は上記成長面に垂直な方向において上記途中表面に投影した領域とが、少なくとも一部で重なるようにSiC単結晶を成長させることが好ましい(請求項)。
このように上記転位制御種結晶上にSiC単結晶を成長させた場合には、上記螺旋転位発生可能領域から成長中のSiC単結晶中に螺旋転位が発生すると共に、その少なくとも一部が成長中のSiC単結晶の上記c面ファセット内に位置するように、上記SiC単結晶が成長する。その結果、上記SiC単結晶中に異種多形結晶や異方位結晶が形成されることを防止することができる。また、成長中にランダムに螺旋転位が発生することを防止することができる。それ故、上記SiC単結晶の品質をさらに向上させることができる。
上記螺旋転位発生可能領域は、螺旋転位を螺旋転位密度100個/cm2以上で発生できる領域である。
上記螺旋転位発生領域から発生する螺旋転位が100個/cm2未満の場合には、成長中のSiC単結晶に異種多形や異方位結晶が形成されるおそれがある。
また、上記螺旋転位発生可能領域は、上記転位制御種結晶における上記成長面上の50%以下の領域にある。上記螺旋転位発生可能領域が50%を越える場合には、成長後に得られる上記SiC単結晶中に多くの螺旋転位が形成され、SiC単結晶の品質が劣化するおそれがある。好ましくは、上記螺旋転位発生可能領域は、上記成長面上の30%以下であることがよい。より好ましくは、10%以下である。
また、上記螺旋転位発生可能領域は、上記転位制御種結晶の端部に形成されていることが好ましい。
この場合には、上記螺旋転位発生可能領域から成長中のSiC単結晶中に発生する螺旋転位の位置を、上記SiC単結晶の端部にすることができる。そして、この場合には、上記SiC単結晶において、螺旋転位が発生したSiC単結晶の端部を切除することにより、螺旋転位がほとんどないSiC単結晶を作製することができる。
なお、螺旋転位が発生した部分は切除せずに、成長後の上記SiC単結晶をそのままSiC半導体等に用いることもできる。
また、上記転位制御種結晶は、上記成長面上に露出している螺旋転位が螺旋転位密度100個/cm2未満である低密度螺旋転位領域を有している。
上記低密度螺旋転位領域の螺旋転位密度が100個/cm2を越える場合には、成長後に得られる上記SiC単結晶中に、多くの螺旋転位が形成され、上記SiC単結晶の品質が低下するおそれがある。好ましくは、上記低密度螺旋転位領域は、螺旋転位密度が10個/cm2未満であることがよい。より好ましくは1個/cm2未満がよい。最も好ましくは0個/cm2がよい。
また、上記転位制御種結晶の上記成長面は、{0001}面よりオフセット角度60°以内の面である。60°を越える場合には、上記SiC単結晶の上記途中表面に、c面ファセットが形成されないおそれがある。また、上記SiC単結晶に積層欠陥が発生し、SiC単結晶の品質が低下するおそれがある。
また、上記螺旋転位発生可能領域は、例えばSiC種結晶の成長面上に、機械加工、研削加工、及びイオン注入処理等の表面処理を施し、その結晶構造に部分的に乱れを生じさせることにより形成することもできる。
次に、上記SiC種結晶上に成長したSiC単結晶を、上記SiC種結晶の上記成長面と略平行な方向に切断して取り外し、該SiC種結晶上に再びSiC単結晶を成長させることが好ましい(請求項
この場合には、上記SiC種結晶から連続的に高品質なSiC単結晶を得ることができる。
一般に、SiCの単結晶成長においては、成長中に成長結晶(SiC単結晶)に異種多形が混入し、成長結晶の品質を著しく劣化させるおそれがある。そのため、種結晶上に成長した成長結晶をスライスして新たに種結晶を作製すると、該種結晶中に、成長結晶に混入した異種多結晶が含まれ種結晶として用いることができないおそれがある。
そこで、上記のごとく、上記SiC種結晶上に成長したSiC単結晶を、上記SiC種結晶の上記成長面と略平行な方向に切断して取り外し、該SiC種結晶上に再びSiC単結晶を成長させると、たとえ成長中に異種多結晶が発生したとしても、成長したSiC単結晶は取り外されるため、繰り返しSiC単結晶の成長を行うことができる。即ち、上記SiC種結晶を繰り返し使い回すことが可能になる。
また、一般に厚みが1mm程度の薄い種結晶を、成長容器の台座に保持して成長させる場合においては、種結晶は台座の熱応力を受けて品質が劣化するため、これを種結晶として繰り返し使い回すことは困難である。しかし、本発明においては、上記のごとく、20mm以上の厚さを有するSiC種結晶を、上記種収容部に埋め込み、上記SiC原料の発生源と離れる方向に後退させて配置して成長を行っている。そのため、台座の熱応力をほとんど受けることはなく、SiC種結晶の品質はほとんど劣化しないため、上記のごとくSiC種結晶を使い回すことができる。
また、上記SiC種結晶上に成長した上記SiC単結晶には、そのSiC種結晶側に、上記SiC種結晶から継承されたc面に平行な積層欠陥が含まれる場合がある。
したがって、上記SiC種結晶から継承されたc面に平行な積層欠陥を完全に排出するため、上記SiC種結晶上に成長した上記SiC単結晶のうち、積層欠陥を含まない高品質な部分のみを取り外し、積層欠陥が含まれる部分をSiC種結晶側に残して新たなSiC種結晶として用いることが好ましい。即ち、上記SiC種結晶上に成長した上記SiC単結晶を取り外す際に、積層欠陥が含まれる成長高さ以上でSiC単結晶を取り外し、積層欠陥が含まれる成長高さ以下の部分をSiC種結晶に残し、該種結晶を再びSiC種結晶として利用することが好ましい。この場合には、再度成長を行って得られるSiC単結晶は全領域において積層欠陥を含まない高品質なものとなり、歩留まりが向上する。なお、上記の成長高さは、上記SiC単結晶における上記SiC種結晶の成長面からの高さである。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例は、成長容器内に20mm以上の厚さを有するSiC種結晶を配置し、該SiC種結晶の成長面上にバルク状のSiC単結晶を成長させてSiC単結晶を製造する例である。
まず、以下のようにして、厚さ20mm以上のSiC種結晶を準備する。具体的には、c面を成長面として露出する種結晶を準備し、該種結晶を成長させた後、20mm以上厚みで切り出してSiC種結晶を作製する。
種結晶の成長には、図1に示すごとく、成長容器2として、SiC原料粉末23が供給される本体部21と、該本体部21から取り外し可能な上蓋22とを有する坩堝を用いた。本体部21は、SiC原料粉末23や、種結晶、SiC単結晶等を出し入れするために、その上部を開口させてあり、上蓋22はこの開口部分を塞ぐように配置される。また、上蓋22は、周囲よりも突出した台座225を有しており、種結晶はこの台座225に配置される。
まず、本体部内の底部にSiC原料粉末23を配置した。また、種結晶1を上蓋22の台座225に接着剤により固定し、この上蓋22を本体部23の開口部分に配置した。このとき、SiC原料粉末23と種結晶1の成長面15とが対向するように、成長面15の反対側の面と台座225とを接着剤により固定した。種結晶1の厚みは、1mmである。
次いで、成長容器2を減圧不活性雰囲気中で温度2100〜2400℃に加熱した。このとき、SiC原料粉末23側の温度を種結晶1側の温度よりも20〜200℃高く設定した。これにより、図2に示すごとく、成長容器2内のSiC原料粉末23が加熱により昇華し、このSiC原料粉末23よりも低温の種結晶1上にSiCが堆積し、SiC単結晶10を得た(昇華再析出法)。
次いで、このSiC単結晶10を立方体状に成形し、図3に示すごとく、c面を成長面35として露出させてSiC種結晶3を作製した。その厚みは30mmであった。
続いて、図3及び図4に示すような成長容器4を用いて、上記SiC種結晶3を成長させる。
同図に示すごとく、成長容器4は、SiC原料粉末43が供給される本体部41と上蓋42とからなる坩堝である。上蓋42は、本体部41から取り外し可能になっており、本体部41の上部の開口部分を塞ぐ上蓋の役割を果たしている。また、上蓋42は、その略中央に、成長容器4の外部に向けて凹んだ種収容部425としての開口部を有しており、SiC種結晶は、この開口部425に配置される。
まず、上記のようにして作製したSiC種結晶3の成長面(c面)以外の面に、黒鉛板よりなる保護材38を接着剤で貼付した。
次いで、保護材38を貼付したSiC種結晶3を、その成長面35とSiC原料粉末43とが対向するように、成長容器4における上蓋42の開口部425に埋め込んで配置した。このとき、SiC種結晶3は、その上記成長面35と反対側の裏面36を上記上蓋42の内表面421からSiC原料の発生源、即ち本体部41内のSiC原料粉末43と離れる方向に後退させて配置した。
次に、成長容器4を加熱して、上記と同様の昇華再析出法によりSiC種結晶3上にSiC原料を堆積させて、図4に示すごとくSiC単結晶30を得た。
続いて、上記のようにして得られたSiC単結晶30を成形し、これを種結晶として用いてさらにSiC単結晶を成長させる。
即ち、図5に示すごとく、上記にて得られたSiC単結晶30を立方体状に成形し、そのc面を成長面55として露出させてSiC種結晶5を作製した。その厚み(高さ)は60mmであった。
このSiC種結晶5の成長面55(c面)以外の面に、上記と同様にして黒鉛板よりなる保護材58を接着剤を用いて貼付し、図5に示すごとく、このSiC種結晶5を成長容器4における上蓋42の開口部425に埋め込んで配置した。このとき、同図に示すごとく、SiC種結晶5は、上記成長面55の反対側の裏面56が上蓋42の内表面421からSiC原料粉末43と離れる方向に後退するよう配置した。そして、成長容器4を加熱して、図6に示すごとく、上記と同様の昇華再析出法によりSiC種結晶5上にSiC原料を堆積させて、SiC単結晶50を得た。
本例においては、上記のごとく、SiC種結晶からSiC単結晶を作製し、該SiC単結晶を上記SiC単結晶として再び用いてSiC単結晶の成長を繰り替えし行うことにより、SiC単結晶の長尺化を図ることができた。また、SiC単結晶を繰り返して成長させたときの平均の成長速度は、第1回目の単結晶の成長時とほとんど変わらなかった。即ち、SiC単結晶を繰り替えし成長させても成長速度の低下はほとんどなく、短期間で長尺のSiC単結晶を作製することができた。
また、成長結晶の先細りがなかったことから、SiC種結晶からは熱が効率的に放熱されていたと考えられる。また、SiC単結晶を成長方向と平行にスライスし、透過光学顕微鏡にて観察を行って結晶性を評価した結果、カーボンインクルージョンやクラック等の発生は観察されず、高品質であった。
また、本例においては、例えば図3及び図4に示すごとく、SiC種結晶3の側面部に、該側面部を覆う保護材38を配設した。
そのため、成長容器4の内側において、該成長容器4の内表面から成長する多結晶がSiC種結晶3に悪影響を及ぼして該SiC種結晶3から成長するSiC単結晶30に転位が発生することを防止でき、上記のごとく高品質のSiC単結晶を得ることができた。
また、本例においては、例えば図3及び図4に示すごとく、SiC種結晶3の側面における成長容器4の外側に位置する部分にも保護材4を配設した。即ち、開口部425にSiC種結晶3を埋め込んで配置したことにより、SiC種結晶3における成長容器4の外側に露出した部分にも、その側面に保護材4を配設してある。また、SiC種結晶3の裏面36にも保護材4を配設してある。そのため、成長容器4の外側において、SiC種結晶からSiCが昇華してしまうことを防止できた。
(実施例2)
実施例1においては、c軸方向に繰り返し成長させてSiC単結晶の長尺化を図ったが、本例は、SiC種結晶をc軸と垂直な方向(a面方向)に繰り返し成長させてSiC単結晶のc面の大口径化を図った例である。
まず、SiC単結晶から、成長面として{1−100}面を露出した、厚み30mmのSiC種結晶を切り出した。
続いて、図7に示すごとく、上記にて準備したSiC種結晶6の成長面65({1−100}面)以外の面に、黒鉛板よりなる保護材68を接着剤を用いて貼付した。
次いで、実施例1と同様の成長容器4を準備し、上記SiC種結晶6は、成長容器4における上蓋42の開口部425に埋め込み、その成長面65と反対側の裏面66を上蓋42の内表面421からSiC原料粉末43と離れる方向に後退させて配置した。そして、図8に示すごとく、成長容器4を加熱して、実施例1と同様に昇華再析出法によりSiC種結晶6上にSiC原料を堆積させてSiC単結晶60を得た。
次いで、上記のようにして得られたSiC単結晶60を立方体状に成形し、図9に示すごとく、{11−20}面を成長面615として露出するSiC種結晶61を作製した。このSiC種結晶61の成長面615({11−20}面)以外の面に、上記と同様に保護材68を貼付した。そして、図9に示すごとく、この{11−20}面を成長面615として露出するSiC種結晶61を、成長容器4における上蓋42の開口部425に埋め込んで、SiC種結晶61における成長面615と反対側の裏面616が上蓋42の内表面421からSiC原料粉末43と離れる方向に後退するようにこれを配置した。そして、成長容器4を加熱して、図10に示すごとく上記と同様の昇華再析出法によりSiC種結晶61上にSiC原料を堆積させて、SiC単結晶62を得た。
次いで、上記のようにして得られたSiC単結晶62を立方体状に成形し、図11に示すごとく、{0001}面を成長面635と露出させたSiC種結晶63を作製した。このSiC種結晶63の成長面635({0001}面)以外の面に、上記と同様にして黒鉛板よりなる保護材68を接着剤を用いて貼付し、このSiC種結晶63を、成長容器4における上蓋42の開口部425に埋め込み、その成長面635と反対側の裏面636が上蓋42の内表面421からSiC原料粉末43と離れる方向に後退するように配置した。そして、成長容器4を加熱して、図12に示すごとく、上記と同様の昇華再析出法によりSiC種結晶63上にSiC原料を堆積させて、SiC単結晶64を得た。
上記のごとく、本例においては、まず、成長面としてa面({11−20}面及び{1−100}面)を露出させてSiCの成長を行っている。これは所謂a面成長であり、このa面成長を繰り返し行うことにより、得られるSiC単結晶のc面の大口径化を図ることができる。また、螺旋転位やマイクロパイプ欠陥のほとんどないSiC単結晶を得ることができる。
また、本例においては、a面成長を繰り返した後、さらにc面成長を行っている。そのため、螺旋転位やマイクロパイプ欠陥に加えて、積層欠陥のほとんどないSiC単結晶64を得ることができる。また、SiC単結晶64は、図12に示すごとく、大口径で長尺のものとすることができる。
また、実施例1と同様に、本例においてもSiC単結晶の平均の成長速度は通常の単結晶成長時とかわず、SiC単結晶を繰り返して成長させても成長速度の低下はほとんどおこらなかった。その結果、大口径かつ長尺のSiC単結晶を短時間で作製することができた。
また、成長結晶の先細りがなかったことから、SiC種結晶からは熱が効率的に放熱されていたと考えられる。また、SiC単結晶を成長方向と平行にスライスし、透過光学顕微鏡にて観察を行って結晶性を評価した結果、カーボンインクルージョンやクラック等の発生は観察されず、高品質であった。
(実施例3)
本例は、成長面に螺旋転位発生可能領域を有する転位制御種結晶を作製し、該転位制御種結晶を用いて、SiC単結晶を作製する例である。
以下、本例について図13〜図17を用いて説明する。まず、以下のようにして上記転位制御種結晶を準備する。
具体的には、まず図13に示すごとく、<0001>方向と略平行な面({1−100}面)を成長面715として露出した、厚さ30mmのSiC種結晶71を準備した。
このSiC種結晶71は、c面成長により作製された4H多形のSiC単結晶より、<0001>方向と平行な面である{1−100}面を露出するようにして切り出されて作製されたものである。SiC種結晶71は、その内部に螺旋転位79を螺旋転位密度100個/cm2以上有している。
次に、実施例2と同様の成長容器を準備し、実施例2と同様に該成長容器における上蓋の開口部に上記SiC単結晶71を埋め込み、その裏面を上蓋の内表面から後退させて配置し、昇華再析出法によりSiC種結晶71上にSiC単結晶を成長させた(図7〜図10参照)。なお、SiC種結晶の成長面以外の面には、実施例2と同様に予め黒鉛よりなる保護材を貼付しておく。このようにして、図14に示すごとく、上記SiC種結晶71を<1−100>方向に成長させて、さらに、図15に示すごとく、<11−20>方向に成長させてSiC単結晶72を作製した。
このSiC単結晶72は、上記SiC種結晶71以外の領域には、螺旋転位79をほとんど含有していない。続いて、このSiC単結晶72より、その{0001}面から8°傾いた面が成長面として露出するように種結晶を切り出し、図16に示すごとく、これを転位制御種結晶7とした。
このとき、SiC種結晶71の少なくとも一部が残るように上記転位制御種結晶7を切り出すことにより、転位制御種結晶7は、図16に示すごとく、上記螺旋転位発生可能領域75として、螺旋転位密度100個/cm2以上で螺旋転位を露出する領域を有すると共に、螺旋転位密度100個/cm2未満の低密度螺旋転位領域76を有するものとなる。また、螺旋転位発生可能領域75は、上記転位制御種結晶7における端部の成長面上の約25%の領域に形成されていた。
本例においては、上記のごとく、まず、実施例1及び実施例2と同様の、上蓋に種収容部を有した成長容器を用い、該種収容部に上記SiC種結晶を埋め込み、上蓋の内表面からSiC原料の発生源と離れる方向に後退させて配置し、a面成長を行ってSiC単結晶を作製した。そのため、c面が大口径のSiC単結晶を得ることができ、さらに上記のごとく、該SiC単結晶から種結晶を切り出すことにより、大口径の転位制御種結晶を得ることができた。
次に、上記転位制御種結晶7を用いて、SiC単結晶を作製する。
図17に示すごとく、螺旋転位制御結晶7は、{0001}面よりオフセット角度60°以内の面を上記成長面77として有し、成長中の上記SiC単結晶70に螺旋転位79を螺旋転位密度100個/cm2以上で発生することができる螺旋転位発生可能領域75を、上記成長面77上の50%以下の領域に有すると共に、上記成長面77上における上記螺旋転位発生可能領域77以外の領域には、上記成長面77上に露出している螺旋転位が螺旋転位密度100個/cm2未満である低密度螺旋転位領域76を有する。
そして、該転位制御種結晶7の上記成長面上に上記SiC単結晶を成長させるときにおいては、上記転位制御種結晶7の成長途中の表面である途中表面703に、平坦なc面ファセット705が形成され、かつ該c面ファセット705と、上記成長面77上の上記螺旋転位発生可能領域75をc軸方向又は上記成長面77に垂直な方向において上記途中表面703に投影した領域とが、少なくとも一部で重なるようにSiC単結晶70を成長させる。
上記転位制御種結晶上へのSiC単結晶の成長は、昇華再析出法によりおこなう。また、成長容器としては、図1に示すものと同様の、上蓋22に周囲よりも突出した台座225を有した成長容器2を用いた(図1及び図2参照)。
具体的には、まず、図17に示すごとく、成長容器の上蓋22の台座225に上記転位制御種結晶7を配置した。このとき、該転位制御種結晶7を、その上記成長面77とSiC原料の発生源とが対向するように配置した。
次いで、実施例1と同様に、昇華再析出法により転位制御種結晶7の成長面77上に、SiCを堆積させ、SiC単結晶70を成長させた(昇華再析出法)。
このとき、図17に示すごとく、成長中のSiC単結晶70の途中表面703には、{0001}面と略平行なc面ファセット705が形成される。上記転位制御種結晶7は、{0001}面より8°傾いた面を成長面77としているため、成長と共に形成されるc面ファセット105は、途中表面703の端部に形成される。
一方、上記転位制御種結晶7の上記螺旋転位発生可能領域75からは、成長中のSiC単結晶70中に螺旋転位79が継承される。
本例においては、上記のごとく、螺旋転位発生可能領域75を転位制御種結晶7の端部に形成し、{0001}面からオフセット角度8°の面を成長面としたことにより、成長と共に形成されるc面ファセット705と、上記成長面77上の上記螺旋転位発生可能領域75をc軸方向又は上記成長面77に垂直な方向において上記途中表面703に投影した領域とが、少なくとも一部で重なるようにSiC単結晶70が成長する。なお、図17においては、上記螺旋転位発生可能領域75をc軸方向において途中表面703に投影した領域を矢印aで示し、上記成長面77に垂直な方向において途中表面703に投影した領域を矢印bで示した。
そのため、図17に示すごとく、SiC単結晶70の成長中においては、常にc面ファセット705内には螺旋転位79(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能した。
その結果、本例において得られたSiC単結晶70には、異種多形結晶の二次元核生成が発生することなく、異方位結晶が生じることはなかった。
また、本例においては、螺旋転位79は、螺旋転位発生可能領域75とc面ファセット705との間の局所的な領域に発生しており、低密度螺旋転位領域76からは螺旋転位はほとんど継承されていなかった。
そのため、本例において得られたSiC単結晶70は、螺旋転位が少なく、高品質でSiC半導体などの用途に適したものであった。
(実施例4)
本例は、成長面に螺旋転位発生可能領域を有する転位制御種結晶上に、SiC単結晶を繰り返し作製する例である。
以下、本例について、図18及び図19を用いて説明する。
まず、上記実施例3と同様にして、SiC種結晶として転位制御種結晶7を準備した。この転位制御種結晶7は、{0001}面よりオフセット角度8°の面を成長面77として有し、螺旋転位発生可能領域75として、螺旋転位密度100個/cm2以上で螺旋転位を露出する領域を有すると共に、螺旋転位密度100個/cm2未満の低密度螺旋転位領域76を有するものである。また、螺旋転位発生可能領域75は、転位制御種結晶7における端部の成長面上の約25%の領域に形成されている。また、本例においては、転位制御種結晶7の厚みは30mmである。
この転位制御種結晶7の成長面77以外の面には、黒鉛板よりなる保護材78を接着剤にて貼付した。
また、図18に示すごとく、実施例1と同様の上蓋に種収容部425としての開口部を有する成長容器を準備し、成長容器の本体部には、SiC原料粉末を供給した。
次いで、保護材78を貼付した転位制御種結晶7を、実施例1と同様に、成長容器における上蓋42の開口部425に埋め込んで配置した。このとき、転位制御種結晶7は、その成長面77と反対側の裏面711を上蓋42の内表面421からSiC原料の発生源、即ち本体部内のSiC原料粉末と離れる方向に後退させて配置した。
次に、成長容器を加熱して、実施例1と同様の昇華再析出法により、転位制御種結晶7上にSiC原料を堆積させて、SiC単結晶70を成長させた。
本例においては、実施例3と同様に、螺旋転位発生可能領域75を転位制御種結晶7の端部に形成し、{0001}面からオフセット角度8°の面を成長面としたことにより、成長と共に形成されるc面ファセット705と、上記成長面77上の上記螺旋転位発生可能領域75をc軸方向又は上記成長面77に垂直な方向において上記途中表面703に投影した領域とが、少なくとも一部で重なるようにSiC単結晶70が成長する。なお、図18においては、螺旋転位発生可能領域75をc軸方向において途中表面703に投影した領域を矢印aで示し、上記成長面77に垂直な方向において途中表面703に投影した領域を矢印bで示してある。
そのため、実施例3と同様に、SiC単結晶70の成長中においては、常にc面ファセット705内には螺旋転位79(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能した。それ故、異方位結晶や螺旋転位が非常に少なく、高品質なSiC単結晶を得ることができた。
続いて、図19に示すごとく、転位制御種結晶7上に成長したSiC単結晶を、転位制御種結晶7の成長面77と略平行な方向に切断して取りはずした。
そして、SiC単結晶を取り外した後の転位制御種結晶7を用いて、その成長面77上に再びSiC単結晶を成長させた。
このようにして、SiC種結晶としての転位制御種結晶7上にSiC単結晶を繰り返し成長させることができ、また得られたSiC単結晶は非常に高品質なものであった。なお、図19においては、切断して取り外したSiC単結晶を点線で表してある。
また、本例においては、図19に示すごとく、転位制御種結晶7上に成長したSiC単結晶をすべて切断して取り外したが、成長したSiC単結晶のうちの一部をSiC種結晶側に残して切断し、これを新たな種結晶として用いることもできる。
(実施例5)
本例においては、保護材とSiC種結晶との間に、両者の間に働く熱応力を緩和するための応力緩衝材を配設した例につき、図20を用いて説明する。
まず、SiC単結晶から、厚み30mmのSiC種結晶8を切り出した。図20に示すごとく、上記にて準備したSiC種結晶8の側面及び成長面85と反対側の裏面86に、応力緩衝材87として柔軟性黒鉛シートを接着剤を用いて貼付した。さらに、SiC種結晶8の側面と保護材とで応力緩衝材87を挟むように、応力緩衝材87に保護材88を接着剤で貼付した。また、SiC種結晶8の成長面85と反対側の裏面86にも、応力緩衝材87を挟むように保護材88を貼付した。
次いで、図20に示すごとく、実施例1と同様の上蓋42に開口部425を有する成長容器4を準備し、応力緩衝材87及び保護材88を貼付したSiC種結晶8を、上蓋42の開口部425に埋め込んで配置した。このとき、SiC種結晶8は、その成長面85と反対側の裏面86を上蓋42の内表面421からSiC原料の発生源、即ち本体部内のSiC原料粉末43と離れる方向に後退させて配置した。次に、成長容器4を加熱して、上記と同様の昇華再析出法によりSiC種結晶8上にSiC原料を堆積させて、図20に示すごとくSiC単結晶80を得た。
本例においては、保護材88とSiC種結晶8との間に応力緩衝材87を配設した。そのため、SiC種結晶8と保護材88との熱膨張差に起因した応力を緩衝することができる。そのため、SiC種結晶8に応力がほとんどかからない状態でSiC単結晶80を成長させることができ、格子面の反りやマクロ欠陥の発生を防止することができる。そのため、非常に高品質なSiC単結晶80を得ることができた。
上記の例においては、応力緩衝材を種結晶と保護材との間に配設したが、図21に示すごとく、応力緩衝材87を保護材88と上蓋42との間に配設することもできる。
この場合には、保護材88と上蓋42との熱膨張差に起因した応力を緩衝することができる。そのため、SiC種結晶に応力がほとんどかからない状態でSiC単結晶を成長させることができ、高品質なSiC単結晶を得ることができる。
(比較例1)
次に、成長容器の上蓋に一体的に形成した台座上にSiC種結晶を配置して、該SiC種結晶上にSiC単結晶を繰り返し成長させた例について説明する。
本例においては、図23に示すごとく、成長容器91として、SiC原料粉末93が供給される本体部911と、該本体部911から取り外し可能な上蓋912とを有する坩堝を用いた。本体部911は、SiC原料粉末93や、種結晶、SiC単結晶等を出し入れするために、その上部を開口させてあり、上蓋912はこの開口部分を塞ぐように配置される。また、上蓋912は、周囲よりも突出した台座913を有しており、種結晶はこの台座913に配置される。
上記成長容器91の本体部911内にSiC原料粉末93を配置した。また、成長面95としてc面を露出した種結晶9を上蓋912の台座913に接着剤を用いて固定し、この上蓋912を本体部911の開口部分に配置した。このとき、SiC原料粉末93と種結晶9の成長面95とが対向するように、種結晶9は、成長面95の反対側の面と台座913とを接着剤により固定した。
次いで、成長容器91を減圧不活性雰囲気中で温度2100〜2400℃に加熱した。このとき、SiC原料粉末93側の温度を種結晶9側の温度よりも20〜200℃高く設定した。これにより、図23に示すごとく、成長容器91内のSiC原料粉末93が加熱により昇華し、このSiC原料粉末93よりも低温の種結晶9上にSiCが堆積し、SiC単結晶90が成長した(昇華再析出法)。
さらに成長を続けると、SiC原料粉末93が昇華により枯渇したため、原料を交換し改めて同じ時間だけ昇華再析出法による成長を行った。
その結果、二回目の成長時の成長速度は、一回目の成長速度と比較して極端に遅くなった。また、図23に示すごとく、本例にて得られたSiC単結晶90は、その先端部905が先細りしていた。これは成長と共に、単結晶90からの放熱性が低下したためと考えられる。
また、得られたSiC単結晶90を成長方向にスライスし、透過光学顕微鏡にて観察を行って結晶性を評価したところ、継ぎ足し界面にカーボンインクルージョンが観察され、また先端部905には、微小なクラックが発生していた。これは、SiC単結晶90の周囲に成長した多結晶99がSiC単結晶90に悪影響を及ぼしたためであると考えられる。なお、図23においては、SiC単結晶の周囲に成長した多結晶99を2種類のハッチングを用いて表しており、縦線と横線との格子で示した部分は1回目の成長時に発生した多結晶であり、斜め線の格子で表された部分は2回目の成長時に発生した多結晶99である。
実施例1にかかる、上蓋に種結晶を配置するための台座を有する成長容器の概略を示す説明図。 実施例1にかかる、上蓋に種結晶を配置するための台座を有する成長容器を用いて、種結晶上にSiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 実施例1にかかる、成長容器の上蓋に形成された種収容部に、SiC種結晶を上蓋の内表面から後退させるように配置した様子を示す説明図。 実施例1にかかる、成長容器の上蓋の種収容部に配置したSiC種結晶上に第1回目のSiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 実施例1にかかる、第1回目の成長後に得られたSiC単結晶を種結晶とし、該種結晶を成長容器の上蓋の種収容部に、上蓋の内表面から後退させるように配置した様子を示す説明図。 実施例1にかかる、SiC種結晶上に第2回目のSiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 実施例2にかかる、成長面として{11−20}面を露出したSiC種結晶を成長容器の上蓋に形成された種収容部に、上蓋の内表面から後退させるように配置した様子を示す説明図。 実施例2にかかる、SiC種結晶を<11−20>方向に成長させる様子を示す説明図。 実施例2にかかる、<11−20>方向に成長させて得られるSiC単結晶の{1−100}面を成長面として露出させ、これを種結晶とし、該SiC種結晶を成長容器の上蓋に形成された種収容部に、上蓋の内表面から後退させるように配置した様子を示す説明図。 実施例2にかかる、SiC種結晶を<1−100>方向に成長させる様子を示す説明図。 実施例2にかかる、<11−20>方向及び<1−100>方向に成長させたSiC単結晶の{0001}面を成長面として露出させ、これを種結晶とし、該SiC種結晶を成長容器の上蓋に形成された種収容部に、上蓋の内表面から後退させるように配置した様子を示す説明図。 実施例2にかかる、SiC種結晶を<0001>方向に成長させる様子を示す説明図。 実施例3にかかる、螺旋転位を含有するSiC種結晶を示す説明図。 実施例3にかかる、SiC種結晶をa面成長(1回目)させる様子を示す説明図。 実施例3にかかる、SiC種結晶をa面成長(2回目)させる様子を示す説明図。 実施例3にかかる、転位制御種結晶を示す説明図。 実施例3にかかる、転位制御種結晶を用いてSiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 実施例4にかかる、成長容器の上蓋に形成された種収容部に、SiC種結晶をとして転位制御種結晶を配置し、該転位制御種結晶上にSiC単結晶を成長させるた様子を示す説明図。 実施例4にかかる、転位制御種結晶上に成長したSiC種結晶を切断して取り外した様子を示す説明図。 実施例5にかかる、SiC種結晶と保護材との間に応力緩衝材を配設して、SiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 実施例5にかかる、保護材と上蓋との間に応力緩衝材を配設して、SiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。 SiC単結晶の主要な面方位を示す説明図。 比較例にかかる、SiC種結晶上に連続してSiC単結晶を成長させる様子を示す説明図。
符号の説明
3 SiC種結晶
35 成長面
30 SiC単結晶
38 保護材
4 成長容器
41 本体部
42 上蓋
425 種収容部(開口部)

Claims (8)

  1. 成長容器内にSiC種結晶を配置し、該SiC種結晶の成長面上にバルク状のSiC単結晶を成長させて、SiC単結晶を製造する方法において、
    上記成長容器としては、SiC原料が供給される本体部とその上部に配置される上蓋とを有し、該上蓋に上記成長容器の外部に向けて凹んだ種収容部を形成したものを用い、
    上記SiC種結晶としては、成長方向に20mm以上の厚さを有し、その側面部に該側面部を覆う保護材が接着剤により一体的に接合されたものを用い、
    上記SiC種結晶を、その上記成長面とSiC原料の発生源とが対向するよう上記種収容部に埋め込み、上記成長面と反対側の裏面を上記上蓋の内表面から上記SiC原料の発生源と離れる方向に後退させて配置することを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  2. 請求項1において、上記保護材と上記SiC種結晶との間には、両者の間にはたらく熱応力を緩和するための応力緩衝材が配設されていることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  3. 請求項1又は2において、上記保護材と上記上蓋との間には、両者の間に働く熱応力を緩和するための応力緩衝材が配設されていることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記SiC種結晶として、c面よりオフセット角度60°以内の面を上記成長面として露出させたものを用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記SiC種結晶として、c面と略垂直な面を上記成長面として露出させたものを用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  6. 請求項5において、上記SiC種結晶は、螺旋転位密度が100個/cm 2 以上の領域を少なくとも一部に有することを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  7. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記SiC種結晶として、{0001}面よりオフセット角度60°以内の面を上記成長面として有し、成長中の上記SiC単結晶に螺旋転位を螺旋転位密度100個/cm 2 以上で発生することができる螺旋転位発生可能領域を、上記成長面上の50%以下の領域に有すると共に、上記成長面上における上記螺旋転位発生可能領域以外の領域には、上記成長面上に露出している螺旋転位が螺旋転位密度100個/cm 2 未満である低螺旋転位密度領域を有する転位制御種結晶を用い、該転位制御種結晶の上記成長面上に上記SiC単結晶を成長させるときにおいては、該SiC単結晶の成長途中の表面である途中表面に、平坦なc面ファセットが形成され、かつ該c面ファセットと、上記成長面上の上記螺旋転位発生可能領域をc軸方向又は上記成長面に垂直な方向において上記途中表面に投影した領域とが、少なくとも一部で重なるようにSiC単結晶を成長させることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記SiC種結晶上に成長したSiC単結晶を、上記SiC種結晶の上記成長面と略平行な方向に切断して取り外し、該SiC種結晶上に再びSiC単結晶を成長させることを特徴とするSiC単結晶の製造方法
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