JP5398492B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関する。特に、本発明は、高耐圧・大電力用の光デバイスまたは半導体素子等に使用される高品質な炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素は、熱伝導度が高く、耐熱性及び機械的強度も優れ、放射線にも強いなど、物理的、化学的に安定であるとともに、エネルギーバンドギャップ(禁制帯幅)が広いという特徴を有する。
特に、4H型の炭化珪素単結晶は、室温で約3eVの広い禁制帯幅を有するため、高耐圧・低損失な整流素子及びスイッチング素子として利用することができるとともに、高温下でも使用可能な耐環境素子材料及び耐放射線素子などに利用することができる。
非特許文献1には、上記の優れた特性を有する炭化珪素単結晶を製造する方法として、原料の炭化珪素粉末を高温下で昇華させて、炭化珪素からなる種結晶の結晶成長面に炭化珪素単結晶を成長させる昇華法が開示されている。
前記昇華法による炭化珪素単結晶の製造においては、まず、種結晶(成長基板)を設置したルツボの内部に原料となる炭化珪素粉末を充填した後、このルツボを結晶成長用装置の内部に設置する。次に、前記結晶成長用装置の内部を不活性ガス雰囲気とした後、減圧する。その後、前記結晶成長用装置を1800〜2400℃に昇温する。これにより、ルツボ内部の炭化珪素粉末が分解・昇華して昇華化学種(ガス)が発生し、それが結晶成長温度域に保持された種結晶の結晶成長面に到達して炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させる。この方法により、現在では4インチ程度までの大きさの炭化珪素単結晶ウェーハが得られ、市販されている。
しかしながら、育成した結晶をウェーハに加工する段階でインゴット結晶にクラックがしばしば発生する。
このクラック発生は結晶成長時に発生する熱応力が主な原因と考えられている。この熱応力はインゴット結晶にクラックが発生しない場合においても結晶格子の湾曲を引き起こしているため、ウェーハ加工時のダメージがない場合においても、ウェーハの反りを発生させる。このような反りを有するウェーハを用いて素子を作製すると、リソグラフィ工程においてウェーハの真空吸着が困難になったり、露光精度の低下等を引き起こす。
また、結晶成長(育成)用種結晶として利用する場合にも、その種結晶ウェーハが反っていると種結晶の固定不良、それによる貼り付け界面からの欠陥の発生を引き起こす。さらに、研究を進めた結果、反りのある状態の種結晶の使用は結晶格子のさらなる大きな湾曲を誘発する原因となり、育成後のインゴット割れにも影響していることが確認された。
一方で、種結晶ウェーハを作製する際、形状が平坦でかつその結晶格子面も平坦な場合には、成長表面にステップが形成されにくく、適正な結晶成長が行われにくい。このような場合、形状を成長方向に対して凸形状にすることによって、結晶格子面をより平坦に補正することにより、適正な結晶成長が可能となる。
このような熱応力の低減、緩和策としては、特許文献1のような結晶育成後に処理を行うもの、特許文献2のように結晶成長中に対策を行うものがある。
特許文献1に開示された方法は、成長した結晶を所定の昇温速度で800から2400℃まで加熱し、所定の冷却速度で冷却するというものである。この過程で結晶内には欠陥が発生し、結果的に、結晶格子面の反り等の結晶の歪みを緩和することができる。
特許文献2に開示された方法は、種結晶とそれを固定する黒鉛部材(台座)との間に緩衝材を挟み、結晶育成時に発生する種結晶と黒鉛部材との熱膨張係数(又は線膨張係数)の違いに起因する応力を緩和するというものである。
特開2005−132703号公報 特開2004−269297号公報
Yu.M.Tairov and V.F.Tsvetkov,Journal of Crystal Growth,Vol.52(1981),p.146−p.150.
しかしながら、特許文献1の方法において発生した欠陥はSiC素子に対して性能の劣化や信頼性の低下の原因となるという問題があった。また、特許文献2の方法は応力緩和に関して有効な方法ではあるが、結晶格子面の反りを有する種結晶に対しては有効ではなかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、種結晶内の結晶格子面の反り量を測定し、その反りを補正して平坦にした状態でその種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることによって、結晶格子面の反りが小さく、欠陥密度が低く高品質であって、加工時にクラックが発生しない炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、結晶成長前の種結晶の形状及びその結晶内の結晶格子面の反り量に基づいて、結晶成長時の熱膨張による形状変形に起因した種結晶の結晶格子面の反り量を予測し、その予測された反り量を補正して平坦にするような熱膨張係数(又は線膨張係数)を有する材料からなる台座を選定することにより、種結晶の結晶格子面の反りがない状態で単結晶を成長させることによって、従来に比べて著しく結晶格子面の反りが低減された炭化珪素単結晶(ウェーハやインゴット)を製造できることに想到したのである。
本発明は、以下の手段を提供する
(1台座に装着された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを測定する工程と、前記成長時において、前記反りを解消する方向に炭化珪素種結晶を反らせる材料からなる台座を選択する工程と、前記台座に炭化珪素種結晶を装着する工程と、を備え、前記台座の材料は、前記結晶格子面の反りが成長面から見て凸形状である場合は、線膨張係数αC[/K]が、αCH−0.1×10−6<αC<αCH+0.1×10−6を満たすものを選択することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法:
ここで、αCH=αSiC+{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}であり、αC:台座材料の線膨張係数[/K]、αSiC:炭化珪素の線膨張係数[/K]、t:種結晶の厚さと台座の厚さの和[m]、D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量[m]、m:種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]/台座材料の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]、n:種結晶の厚さ[m]/台座の厚さ[m]、R:種結晶の直径[m]、T:室温[K]、T:成長温度[K]、である。
台座に装着された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを測定する工程と、前記成長時において、前記反りを解消する方向に炭化珪素種結晶を反らせる材料からなる台座を選択する工程と、前記台座に炭化珪素種結晶を装着する工程と、を備え、前記台座の材料は、前記結晶格子面の反りが成長面から見て凹形状である場合は、線膨張係数αC[/K]が、αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6を満たすものを選択することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法:
ここで、αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}であり、αC:台座材料の線膨張係数[/K]、αC:台座材料の線膨張係数[/K]、αSiC:炭化珪素の線膨張係数[/K]、t:種結晶の厚さと台座の厚さの和[m]、D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量[m]、M:台座材料の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]、N:台座の厚さ[m]/種結晶の厚さ[m]、R:種結晶の直径[m]、T:室温[K]、 :成長温度[K]、である
本発明の炭化珪素単結晶の製造方法において、製造される炭化珪素単結晶の結晶格子面の反りを低減する原理について説明する。
台座の材料が炭化珪素でない場合、台座の材料と種結晶の材料とは熱膨張係数が異なるため、加熱によるそれらの材料の膨張(伸び)は異なる。そのため、台座に炭化珪素種結晶を装着して互いを固定した状態で加熱を行うと、炭化珪素種結晶は台座と共にわん曲する(反る)。
すなわち、台座及び炭化珪素種結晶は異なる熱膨張係数に起因して異なる大きさで伸びようとするが、台座及び炭化珪素種結晶はその装着面が一体になっているため、台座と炭化珪素種結晶の装着面における伸びは等しい。他方、装着面以外の部分は熱膨張係数の差に起因して伸びの程度が異なる。その結果、台座及び炭化珪素種結晶はわん曲する(反る)ことになる。これは、バイメタルが温度変化に応じてわん曲する現象と同様の現象である。
本発明は、異なる熱膨張係数を有する台座と種結晶が一体となっているために、結晶成長時に台座及び種結晶がわん曲する(反る)という現象を利用するものである。
室温から昇温された結晶成長時において、炭化珪素種結晶がこのような反りを有する状態で炭化珪素種結晶上の単結晶成長が進むと、単結晶の結晶格子面も反ったまま成長していく。その後、冷却するとこの反りはある程度緩和されるが、完全にはもとに戻らず単結晶内に反りが残る。この反りが大きいと、単結晶インゴットの割れにつながる。割れない場合でも、反りによる応力はウェーハの反りを発生させることなる。
そこで、本発明は、結晶成長前の種結晶の形状及びその結晶内の結晶格子面の反り量と、台座と種結晶の熱膨張係数の差とに基づいて、その後の結晶成長時の種結晶の熱膨張による形状変形に起因した結晶格子面の反り量を予測し、その予測反り量を補正して平坦にするような熱膨張係数を有する材料からなる台座を選定することにより、種結晶に結晶格子面の反りがない状態で単結晶を成長させることによって、従来に比べて著しく結晶格子面の反りを低減する。
以下、より詳細に説明する。
<種結晶の形状の反り量の測定>
まず、結晶成長前の種結晶の形状の反り量を測定する。
<種結晶の結晶格子面の反り量の測定>
次に、結晶成長前の種結晶の結晶格子面の反り量を測定する。
結晶格子面の反りはX線ロッキングカーブ測定を利用して求めることができる。
ロッキングカーブ測定において、種結晶内に反り(この曲率半径をRとする)があると、試料内の位置によって結晶格子面に対するX線の入射角が異なるため、種結晶を回転させると、種結晶内の特定の地点の近傍だけがブラッグの反射条件を満足することになる。ブラッグの反射条件を満足するある点から、種結晶を軸回りにΔωだけ回転させてブラッグの反射条件を満たす他の点が得られたとき、この2点の距離をLとすると、反りの曲率半径rはΔωとLとを用いて以下の式により求めることができる。
r=L/sinΔω
この曲率半径rを用いて、結晶格子面の反り量Dは以下の式により求めることができる。
=(r−D)+(L/2)
<適正な熱膨張係数の算出>
高膨張金属と低膨張金属を接合したバイメタルにおいて、そのわん曲係数Kは、以下の式により求めることができる。
K=(α−α)/{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}
ここで、
αは低膨張金属の熱膨張係数、
αは高膨張金属の熱膨張係数、
m=E/E(E:低膨張金属の縦弾性係数(ヤング率)、E:高膨張金属の縦弾性係数(ヤング率))、n=h/h(h:低膨張金属の厚み、h:高膨張金属の厚み)、
である。
また、円形平板のわん曲係数Kと反り量Dとの間には以下の関係が成立する。
D=KR2(T−T)/4t
ここで、
(T−T)は温度差(T:高温、T:低温)、
Rは円形平板の直径、
tは円形平板の厚さ、
である。
以上の関係式を、本発明に適用して、台座材料の適正な熱膨張係数を算出する。
すなわち、結晶成長前の種結晶の結晶格子面の反り量(台座に装着したときの反り量)を、この関係式の反り量に当てはめて、結晶成長時に相殺する熱膨張係数を算出する。
尚、本発明に上式を適用するのに際して、熱膨張係数としては固体の場合に一般に用いられる線膨張係数を用いる。
ここで、種結晶の形状が反っている場合は、結晶成長前の種結晶の結晶格子面の反り量を補正する必要がある。例えば、結晶格子面の反りと形状の反りが逆向きに反っているときは、種結晶を台座に平坦に装着した際に、その結晶格子面の反りは形状を平坦にした分、さらに反ることになるので、種結晶の結晶格子面の反り量(台座に装着したときの反り量)は測定された結晶格子面の反り量と測定された形状の反り量との和と考えることができる。他方、結晶格子面の反りと形状の反りが同じ向きに反っているときは、種結晶を台座に平坦に装着した際に、その結晶格子面の反りは形状を平坦にした分、反りが小さくなるので、種結晶の結晶格子面の反り量(台座に装着したときの反り量)は測定された結晶格子面の反り量と測定された形状の反り量との差と考えることができる。
ここで、種結晶(ウエーハ)の形状とその結晶格子面の凹凸の向きを次のように定義する。
種結晶(ウエーハ)の形状については、成長面を上側にして置いた場合に、その側面側から見て、種結晶(ウエーハ)形状が上側に凸の場合を、成長面から見て種結晶(ウエーハ)が凸であるとする。
また、結晶格子面についても、成長面を上側にして種結晶(ウエーハ)を置いた場合に、その側面側から見て、結晶格子面が上側に凸の場合、成長面からみて結晶格子面が凸であるとする。
この定義は、種結晶(ウエーハ)を台座に装着後にも同様に適用する。
また、Si面から見た場合及びC面から見た場合にも同様に適用する。
結晶格子面の反りが成長面からみて凸の場合は、この凸形状の反りを補正する(平坦にする)ために、台座材料の線膨張係数αCは炭化珪素の線膨張係数αSiCより高い必要があるため、
αCH=αSiC+{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}とすると、
αCH−0.1×10−6<αC<αCH+0.1×10−6
を満たす台座材料を選択する。
ここで、αC:台座材料の線膨張係数、αSiC:炭化珪素の線膨張係数、t:種結晶の厚さと台座の厚さの和、D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量、m:種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数/台座材料の縦弾性係数、n:種結晶の厚さ/台座の厚さ、R:種結晶の直径、T:室温、T:成長温度、である。
算出された線膨張係数αCHに完全に合致する台座材料が見つからなくても、この範囲内であれば、本発明の主目的であるクラックの発生を防止できる。
また、結晶格子面の反りが成長面からみて凹の場合は、この凹形状の反りを補正する(平坦にする)ために、台座材料の線膨張係数αCは炭化珪素の線膨張係数αSiCより低い必要があるため、
αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}とすると、
αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6
を満たす台座材料を選択する。
ここで、M:台座材料の縦弾性係数/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数、N:台座の厚さ/種結晶の厚さ、である。
算出された線膨張係数αCLに完全に合致する台座材料が見つからなくても、この範囲内であれば、本発明の主目的であるクラックの発生を防止できる。
本発明の上記構成の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、結晶格子面の反りが著しく低減され、割れが発生しにくい炭化珪素単結晶(インゴット)を育成できる。また、インゴットからウェーハへの加工時の割れも生じにくい。さらにまた、ウェーハ加工後に、結晶格子面の反りに起因して発生するウェーハ形状の反りも小さいので素子作製工程で発生する不具合が発生しくい。
本発明の上記構成の炭化珪素単結晶ウェーハによれば、結晶格子面の反りに起因して発生するウェーハ形状の反りが小さいので素子作製工程で発生する不具合が発生しくい。また、形状の反り量が30μm以下である構成を備えたものを種結晶として用いる場合は、台座に密着して取り付けやすい。
本発明の上記構成の炭化珪素単結晶インゴットによれば、インゴットからウェーハへの加工時の割れも生じにくい。
本発明の炭化珪素単結晶成長用種結晶を備えた結晶成長装置の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本発明に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、台座に装着された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを測定する工程と、前記成長時において、前記反りを解消する方向に炭化珪素種結晶を反らせる材料からなる台座を選択する工程と、前記台座に炭化珪素種結晶を装着する工程と、を備える。
<種結晶の形状の反り量の測定>
まず、炭化珪素種結晶の形状の反りを測定する。
この反りは公知の方法を用いることができる。例えば、日本工業規格JIS H0611に準じて決定するか、光学式の測定器で測定してもよい。
ここで、炭化珪素種結晶は使用する結晶表面に加工によるダメージ層がないことが前提となる。このダメージ層を取り除く方法としては結晶表面に酸化膜を形成しそれをフッ酸で除去する等の方法が知られている。加工ダメージのない種結晶の形状の反りを測定する。
<種結晶の結晶格子面の反り量の測定>
次に、種結晶の結晶格子面の反りを測定する。
上述の通り、結晶格子面の反りはX線ロッキングカーブ測定を利用して求めることができる。
ロッキングカーブ測定において、得られたピークのピーク位置の差△ωとその距離Lから曲率半径rを次式により求める。
r=L/sin△ω
次いで、この曲率半径rより反り量Dを次式により求める。
=(r−D)+(L/2)
<種結晶の結晶格子面の反り量の補正>
得られた種結晶の結晶格子面の反り量を、測定した種結晶の形状の反り量によって補正する。
具体的には例えば、結晶格子面の反りの向きと形状の反りの向きが逆である場合には、結晶格子面の反り量から形状の反り量の差をとることにより補正し、結晶格子面の反りの向きと形状の反りの向きが同じ場合には、結晶格子面の反り量に形状の反り量の和をとることにより補正することができる。
他の方法によって補正してもよい。
<適正な線膨張係数を有する台座材料の決定>
種結晶の結晶格子面の反りが成長面からみて凸の場合は、結晶成長時におけるこの凸形状の反りを平坦にするために、台座材料の線膨張係数αCは炭化珪素の線膨張係数αSiCより高い必要がある。
まず、
αCH=αSiC+{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}、
を算出する:
ここで、αC:台座材料の線膨張係数、αSiC:炭化珪素の線膨張係数、t:種結晶の厚さと台座の厚さの和、D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量、m:種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数/台座材料の縦弾性係数、n:種結晶の厚さ/台座の厚さ、R:種結晶の直径、T:室温、T:成長温度、である。
そして、台座材料の線膨張係数として、
αCH−0.1×10−6<αC<αCH+0.1×10−6
を満たすものを選択する。
算出された線膨張係数αCHに完全に合致する台座材料が見つからなくても、この範囲内であれば、本発明の主目的であるクラックの発生を防止できる。
また、適当な線膨張係数が見つからない場合には、適当な線膨張係数を見つけることができるように、設計上のt(種結晶の厚さと台座の厚さの和)、及び、n(種結晶の厚さと台座の厚さの比)を調整する。このような調整が可能なので、本発明は様々な状況に適用可能となる。
例えば、黒鉛等の炭素材からなるものを選択することができる。
種結晶の結晶格子面の反りが成長面からみて凹の場合は、結晶成長時におけるこの凹形状の反りを平坦にするために、台座材料の線膨張係数αCは炭化珪素の線膨張係数αSiCより低い必要がある。
まず、
αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}、
を算出する:
ここで、αC:台座材料の線膨張係数、αSiC:炭化珪素の線膨張係数、t:種結晶の厚さと台座の厚さの和、D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量、M:台座材料の縦弾性係数/炭化珪素の縦弾性係数、N:台座の厚さ/種結晶の厚さ、R:種結晶の直径、T:室温、T:成長温度、である。
そして、台座材料の線膨張係数として、
αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6
を満たすものを選択する。
算出された線膨張係数αCLに完全に合致する台座材料が見つからなくても、この範囲内であれば、本発明の主目的であるクラックの発生を防止できる。
例えば、黒鉛等の炭素材からなるものを選択することができる。
<台座の作製>
算出された線膨張係数になるべく近い材料を選定して、台座を作製する。
台座の状態はるつぼの蓋と一体でも、台座だけをねじ止めのような形態にして固定するものでもよい。
<種結晶の作製及び台座への装着>
まず、略円柱状の炭化珪素単結晶インゴットから、0.3〜5mm程度の厚さに切断した後、その表面を研磨するとともに成型して略円板状の炭化珪素種結晶ウェーハを形成する。この炭化珪素単結晶ウェーハ(種結晶)の略円状の一面が、昇華法により炭化珪素単結晶を結晶成長させる結晶成長面とされる。この結晶成長面としては、(0001)面あるいは(000−1)面を用いる。ここで、(000−1)面なる表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。なお、結晶成長面は{0001}から30°程度まで傾いていても差し支えない。
また、炭化珪素単結晶インゴットとしては、たとえば、アチソン法、レーリー法または昇華法などで作られたものを用いる。
次に、炭化珪素単結晶ウェーハ(種結晶)を、有機溶剤、酸または/およびアルカリで洗浄して、その表面上の汚れを除去する。
次に、たとえば、酸素雰囲気中で1000〜1200℃程度に加熱して、炭化珪素単結晶ウェーハの表面に酸化膜(以下、犠牲酸化膜)を形成する。次に、犠牲酸化膜をフッ酸で除去することにより、前段階の有機溶剤、酸または/およびアルカリによる洗浄で落とせなかった汚れを完全に除去する。
これにより、炭化珪素単結晶ウェーハからなる種結晶を形成する。洗浄を終了した種結晶は前述した台座に接着剤等を用いて固定(装着)する。
<結晶成長工程>
次に、昇華法により、炭化珪素単結晶を結晶成長させる結晶成長工程について説明する。
図1は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶の結晶成長方法で用いる炭化珪素単結晶の結晶成長装置の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、結晶成長装置100は、ガス導入口7及びガス排出口8が備えられた真空容器1と、真空容器1の外部に配置された加熱装置3とから概略構成されている。なお、真空容器1は、石英またはステンレス等の高真空を保つ材料で作られている。また、真空装置1の内部にルツボ6が配置されている。
ルツボ6は、一端側のみが開口された円筒状の本体部6aと、本体部6aの蓋をする円板状の蓋部6bとからなる。蓋部6bの一部は円柱状に突出されて、種結晶を装着する台座6cとされている。ルツボ6の材料としては、たとえば、黒鉛などの炭素材料を用いることができる。炭素材料は、ハロゲンガスなどによる精製処理を行うことが好ましい。これにより、不純物ガスの発生を抑制することができる。
まず、ルツボ6の蓋部6bの台座6cに、種結晶4を接着剤またはビスなどで固定する。このとき、種結晶4のエッチング処理面4aがルツボ6の本体部6aの底面側に向くように配置する。
次に、ルツボ6の本体部6aの底面側に、原料として、炭化珪素単結晶の結晶成長に十分な量の炭化珪素粉末5を、種結晶4に対して対向するように充填する。そして、本体部6aを蓋部6bで蓋をする。
次に、ルツボ6を断熱材2で取り囲む。断熱材2の材料としては、たとえば、炭素繊維などの炭素材料を用いることができる。前記炭素材料も、ハロゲンガスなどによる精製処理を行うことが好ましい。これにより、不純物ガスの発生を抑制することができる。このように断熱材2でルツボ6を取り巻くことによって、高温状態にしたルツボ6の温度制御が容易となる。
次に、真空容器1の内部に種結晶4と炭化珪素粉末5とを備えたルツボ6を配置する。
次に、ガス排出口8に接続されたターボ分子ポンプ(図示略)を用いて、真空容器1内の空気を排気して、真空容器1内を、たとえば、4.0×10−3Pa〜6.7×10−3Paに減圧する。
次に、高純度アルゴン(Ar)ガスのような不活性ガスをガス導入口7から真空容器1内に導入して真空容器の内部を常圧として、不活性ガス雰囲気とする。
次に、ガス排出口より6.7×10−3Paまで再度減圧して、真空容器1の内部を不活性ガス雰囲気の減圧状態とする。
次に、高純度アルゴン(Ar)ガスのような不活性ガスをガス導入口7より再度導入して、真空容器1の内部を93.3Paとする。これにより、たとえば、不活性ガス雰囲気93.3Paという環境とする。
次に、真空容器1を取り巻くように配置した高周波加熱コイルからなる加熱装置3を加熱して、真空容器1及びその内部のルツボ6を加熱する。なお、加熱装置3は高周波加熱コイルに限られるものではなく、抵抗加熱方式の装置でも良い。
このとき、加熱装置3の高周波加熱コイルの位置等を調節して、ルツボ6の上部を低温部、ルツボ6の下部を高温部とするように設定する。これにより、ルツボ6の下部で効率的に炭化珪素粉末5から昇華ガスを発生させ、ルツボ6の上部で昇華ガスを冷却して、種結晶4のエッチング処理面4aに炭化珪素単結晶を結晶成長させることができる。
高温部の温度は、ルツボ6に充填した炭化珪素粉末5から昇華ガスが発生する温度、たとえば、1900℃以上とする。2000℃〜2400℃とすることが好ましく、2250〜2300℃とすることがより好ましい。
また、低温部の温度は、前記高温部の温度より低温とし、1800〜2300℃とすることが好ましい。
なお、高温部及び低温部の温度は、真空容器1の外側に上下に配置した放射温度計9により測定する。
この時、種結晶と台座との線膨張係数の差から反りが発生するが、この反りによって結晶格子面の反りを相殺するように台座材料の線膨張係数を選定しているので、結晶格子面は平坦に近い形状をしている。
次に、ルツボ6を上記設定温度とした状態で、不活性ガスをガス排出口8より再度排出して、真空容器1の内部を133.3〜13332.2Paの減圧状態とすることにより、種結晶4のエッチング処理面4a上に炭化珪素単結晶の結晶成長を行う。一定時間、結晶成長を行うことにより、所定の大きさの炭化珪素単結晶を結晶成長させることができる。
このとき、必要に応じて窒素やアルミニウムといった不純物を加えて結晶の電気伝導性を調節することができる。
成長が終了し1〜5℃/時で冷却し室温に戻す。従来の方法では成長時の結晶格子面の反りが残留し結果としてインゴットの割れやウェーハの反りを発生させていた。本発明の方法では結晶成長時の結晶格子面の反りが小さいため、冷却後も結晶格子面の反りが小さくそのような不具合が発生しない。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶の製造方法は、結晶成長時の結晶格子面の反りを小さくし、冷却後の残留反りを小さくすることにより、インゴット割れやウェーハの反りを小さくした炭化珪素単結晶を結晶成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶ウェーハ及びインゴットは、先に記載の炭化珪素単結晶の結晶成長方法を用いて結晶成長され、結晶にクラックがない。そして、ロッキングカーブの半値幅が20sec以下となるので、高耐圧・大電力用の光デバイスまたは半導体素子等に使用される高品質な炭化珪素単結晶として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
<種結晶の格子の反り状態の測定と台座材料の線膨張係数の決定>
直径75mm、厚さ0.5mmの種結晶の形状の反り量および結晶格子面の反り量を測定した結果を表に示した。
種結晶の形状はSi面側から見た時に、凹形状をしており、その反り量は2μmであった。一方、結晶格子面((0004)基底面)の反りはSi側から見て凸形状に膨らんでおり、その反り量は7μmであった。この種結晶を厚さ15mmの台座に平坦になるように貼り付けた。この形状の反りを0μmとしたとき(種結晶を平坦にしたとき)の結晶格子面の反りはSi面側から見て凸形状であり、その反り量は9μmとなる。
結晶成長はC面を用いる。
そのため、結晶格子面の反りは成長面から見て凹形状となる。
結晶成長時にこの結晶格子面の反りを相殺する線膨張係数を以下の式、
αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}、
から算出すると、αCLは、4.232×10−6[/K]となった。
ここで、
αSiC(炭化珪素の線膨張係数)は、4.3×10−6[/K]
t(種結晶の厚さと台座の厚さの和)は、15.5×10−3[m]、
D(種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量)は、9×10−6[m]、
M(台座材料の縦弾性係数/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数)は、0.02326、
尚、種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)としては430GPaを用い、台座材料の縦弾性係数(ヤング率)としては等方性黒鉛のヤング率10GPaを用いた。
N(台座の厚さ/種結晶の厚さ)は、30、
R(種結晶の直径)は、75×10−3[m]、
(室温)は、25[℃]=298[K]
(成長温度)は、2260[℃]=2533[K]
であった。
そこで、αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6、を満たす線膨張係数αCを有する台座材料として、線膨張係数4.2×10−6[/K]の東洋炭素社製ISEM-1(カーボン材)を選定し、蓋形状に加工した。
Figure 0005398492
<結晶成長面清浄化処理工程>
まず、直径75mmの4H−炭化珪素種結晶基板(厚さ0.5mm)を、100〜130℃とした硫酸−過酸化水素混合溶液で10分間洗浄し、超純水による流水洗浄を5分間行い、75〜85℃としたアンモニア−過酸化水素混合溶液で10分間洗浄し、再び超純水による流水洗浄を5分間行い、75〜85℃とした塩酸−過酸化水素混合溶液で10分間洗浄し、再び超純水による流水洗浄を5分間行い、さらにHF溶液で洗浄した。
その後、1200℃で表面を酸化(犠牲酸化)した後、再度HF洗浄を行い、種結晶の結晶成長面の清浄化処理を行った。
<結晶成長工程>
内径100mm、深さ125mmの黒鉛製ルツボに、原料して炭化珪素粉末(昭和電工株式会社製#240)を深さ60mmになるよう充填した。ついで、前記黒鉛製ルツボの蓋の下面に前記種結晶を貼り付け保持した。
蓋で黒鉛製ルツボの開口部の蓋をした後、黒鉛製ルツボ全体を炭素繊維製断熱材で包み、高周波加熱炉内の真空容器の内部にセットした。
次に、真空容器のガス排出口より空気を排気して、真空容器の内部を6.7×10−3Paに減圧後、ガス導入口よりアルゴンガスを導入して、真空容器の内部を常圧とした後、再度ガス排出口より6.7×10−3Paまで減圧して、真空容器の内部をアルゴン雰囲気の減圧状態とした。
そして、ガス導入口よりアルゴンガスを再度導入して、真空容器の内部を93.3Paとした状態で、前記黒鉛製ルツボの上部を2200℃、下部を2250〜2300℃となるように昇温した。
その後、再度ガス排出口より前記アルゴンガスを排出して、133.3〜13332.2Paの範囲の減圧下で炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。この時の結晶成長速度は、0.05〜1.0mm/hであった。
このようにして得られた炭化珪素単結晶にはクラックがなく、円筒加工、切断加工、研摩加工を実施してもクラックが入ることなく良好な状態であった。
X線ロッキングカーブの半値幅はウェーハ面内で10〜20secの間にあり、格子間隔の乱れがなく、良好な結晶であった。
(実施例2)
直径75mm、厚さ0.5mmの種結晶の形状および格子の反りを測定した結果を表に示した。
種結晶の形状はSi面側から見た時に、凸形状をしており、その反り量は50μmであった。一方、結晶格子面((0004)基底面)の反りはSi側から見て凹形状になっており、その反り量は4μmであった。この種結晶を厚さ15mmの台座に平坦になるように貼り付けた。この形状の反りを0μmとしたとき(種結晶を平坦にしたとき)の結晶格子面の反りはSi面側から見て凸形状であり、その反り量は54μmとなる。
結晶成長はC面を用いた。
そのため、結晶格子面の反りは成長面から見て凸形状となる。
結晶成長時にこの結晶格子面の反りを相殺する線膨張係数を以下の式、
αCH=αSiC+{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}、
から算出すると、αCLは、4.708×10−6[/K]となった。
ここで、
αSiC(炭化珪素の線膨張係数)は、4.3×10−6[/K]
t(種結晶の厚さと台座の厚さの和)は、15.5×10−3[m]、
D(種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量)は、54×10−6[m]、
m(種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数/台座材料の縦弾性係数)は、43、
尚、種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)としては430GPaを用い、台座材料の縦弾性係数(ヤング率)としては等方性黒鉛のヤング率10GPaを用いた。
n(種結晶の厚さ/台座の厚さ)は、0.03、
R(種結晶の直径)は、75×10−3[m]、
(室温)は、298[K]
(成長温度)は、2533[K]
であった。
そこで、αCH−0.1×10−6<αC<αCH+0.1×10−6、を満たす線膨張係数αCを有する台座材料として、線膨張係数4.7×10−6[/K]の東洋炭素社製 IG-12を選定し、蓋形状に加工した。
そして、実施例1と同じ結晶成長方法で成長を行なった。育成結晶にはクラックがなくその後の加工工程においても実施例1同様、クラックは発生しなかった。
Figure 0005398492
(実施例3)
直径80mm、厚さ0.8mmの種結晶の形状および格子の反りを測定した結果を表に示した。
種結晶の形状はSi面側から見た時に、凹形状をしており、その反り量は4μmであった。一方、結晶格子面((0004)基底面)の反りはSi側から見て凸形状になっており、その反り量は10μmであった。この種結晶を厚さ15mmの台座に平坦になるように貼り付けた。この形状の反りを0μmとしたとき(種結晶を平坦にしたとき)の結晶格子面の反りはSi面側から見て凸形状であり、その反り量は14μmとなる。
結晶成長はC面を用いた。
そのため、結晶格子面の反りは成長面から見て凹形状となる。
結晶成長時にこの結晶格子面の反りを相殺する線膨張係数を以下の式、
αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}、
から算出すると、αCLは、4.211×10−6[/K]となった。
ここで、
αSiC(炭化珪素の線膨張係数)は、4.3×10−6[/K]
t(種結晶の厚さと台座の厚さの和)は、15.8×10−3[m]、
D(種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量)は、14×10−6[m]、
M(台座材料の縦弾性係数/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数)は、0.02326、
尚、種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)としては430GPaを用い、台座材料の縦弾性係数(ヤング率)としては等方性黒鉛のヤング率10GPaを用いた。
N(台座の厚さ/種結晶の厚さ)は、18.8、
R(種結晶の直径)は、80×10−3[m]、
(室温)は、298[K]
(成長温度)は、2533[K]
であった。
そこで、αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6、を満たす線膨張係数αCを有する台座材料として、線膨張係数4.2×10−6[/K]の東洋炭素社製ISEM-1(カーボン材)を選定し、蓋形状に加工した。
そして、実施例1と同じ結晶成長方法で成長を行なった。育成結晶にはクラックがなくその後の加工工程においても実施例1同様、クラックは発生しなかった。
Figure 0005398492
(比較例1)
直径75mm、厚さ0.5mmの種結晶の形状の反り量および結晶格子面の反り量を測定した結果を表に示した。
種結晶の形状はSi面側から見た時に、凹形状をしており、その反り量は6μmであった。一方、結晶格子面((0004)基底面)の反りはSi側から見て凸形状に膨らんでおり、その反り量は11μmであった。この種結晶を厚さ15mmの台座に平坦になるように貼り付けた。この形状の反りを0μmとしたとき(種結晶を平坦にしたとき)の結晶格子面の反りはSi面側から見て凸形状であり、その反り量は17μmとなる。
結晶成長はC面を用いた。
そのため、結晶格子面の反りは成長面から見て凹形状となる。
結晶成長時にこの結晶格子面の反りを相殺する線膨張係数を以下の式、
αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+NM)/(3MN(1+N))}、
から算出すると、αCLは、4.187×10−6[/K]となった。
ここで、
αSiC(炭化珪素の線膨張係数)は、4.3×10−6[/K]
t(種結晶の厚さと台座の厚さの和)は、15.5×10−3[m]、
D(種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量)は、17×10−6[m]、
M(台座材料の縦弾性係数/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数)は、0.02326、
尚、種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数(ヤング率)としては430GPaを用い、台座材料の縦弾性係数(ヤング率)としては等方性黒鉛のヤング率10GPaを用いた。
N(台座の厚さ/種結晶の厚さ)は、30、
R(種結晶の直径)は、75×10−3[m]、
(室温)は、298[K]
(成長温度)は、2533[K]
であった。
しかしながら、αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6、を満たさない線膨張係数αCが3.9×10−6[/K]を有する台座材料として、SGLカーボン社製R6500(カーボン材)を選定し、蓋形状に加工した。
この場合、結晶成長時に、種結晶の結晶格子面に反りがある状態で単結晶を成長させたことになる。
結晶成長(育成)方法は、実施例1と同じ方法で成長を行なった。育成結晶(インゴット)にはクラックは観察されなかったが、インゴットの円筒加工の過程でクラックが発生していた。
Figure 0005398492
このように、結晶成長時の炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを補正した場合でも、本発明の範囲外で行った場合には、育成された炭化珪素単結晶(インゴット)にクラックが観察されない場合でも、その加工時にクラックが発生してしまうことがわかった。
本発明の炭化珪素単結晶(インゴット)の製造方法は、種結晶の結晶格子面の状態に合わせた材料の台座を選定することにより結晶成長後に割れの発生がない炭化珪素単結晶の製造に利用することができる。また、本発明の炭化珪素単結晶、炭化珪素単結晶ウェーハ及び炭化珪素単結晶インゴットは、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等種々の炭化珪素半導体装置の製造に利用することができる。
1…真空容器、2…断熱材、3…加熱装置(高周波加熱コイル)、4…種結晶、4a…エッチング処理面、5…炭化珪素粉末、6…ルツボ、6a…本体部、6b…蓋部、6c…台部、7…ガス導入口、8…ガス排出口、9…放射温度計、

Claims (2)

  1. 台座に装着された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
    炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを測定する工程と、
    前記成長時において、前記反りを解消する方向に炭化珪素種結晶を反らせる材料からなる台座を選択する工程と、
    前記台座に炭化珪素種結晶を装着する工程と、を備え、
    前記台座の材料は、前記結晶格子面の反りが成長面から見て凸形状である場合は、線膨張係数αC[/K]が、
    αCH−0.1×10−6<αC<αCH+0.1×10−6
    を満たすものを選択することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
    ここで、αCH=αSiC+{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+mn)(1+nm)/(3mn(1+n))}であり、
    αC:台座材料の線膨張係数[/K]、
    αSiC:炭化珪素の線膨張係数[/K]、
    t:種結晶の厚さと台座の厚さの和[m]、
    D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量[m]、
    m:種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数[Pa]/台座材料の縦弾性係数[Pa]、
    n:種結晶の厚さ[m]/台座の厚さ[m]、
    R:種結晶の直径[m]、
    :室温[K]、
    :成長温度[K]、
    である。
  2. 台座に装着された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
    炭化珪素種結晶の結晶格子面の反りを測定する工程と、
    前記成長時において、前記反りを解消する方向に炭化珪素種結晶を反らせる材料からなる台座を選択する工程と、
    前記台座に炭化珪素種結晶を装着する工程と、を備え、
    前記台座の材料は、前記結晶格子面の反りが成長面から見て凹形状である場合は、線膨
    張係数αC[/K]が、
    αCL−0.1×10−6<αC<αCL+0.1×10−6
    を満たすものを選択することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
    ここで、αCL=αSiC−{4tD/(R2(T−T))}{1+(1+MN)(1+
    M)/(3MN(1+N))}であり、
    αC:台座材料の線膨張係数[/K]、
    αSiC:炭化珪素の線膨張係数[/K]、
    t:種結晶の厚さと台座の厚さの和[m]、
    D:種結晶を台座に装着されたときの結晶格子面の反り量[m]、
    M:台座材料の縦弾性係数[Pa]/種結晶材料(炭化珪素)の縦弾性係数[Pa]、
    N:台座の厚さ[m]/種結晶の厚さ[m]、
    R:種結晶の直径[m]、
    :室温[K]、
    :成長温度[K]、
    である。
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