JP4212704B2 - (メタ)アクリル系樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時(成形時)に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物、および、その製造方法に関するものである。また、本発明は、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた例えば人工大理石等の成形物を得ることができる成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、(メタ)アクリルシラップを主成分とする(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を成形することによって、例えば人工大理石等の成形物を製造することが行われている。人工大理石は、例えば、浴槽(バスタブ)や洗面台のカウンタートップとして好適に用いられる。そして、上記用途に用いられる人工大理石には、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性(耐ヒートサイクル性)等の物性に優れていることが要求されている。
【0003】
上記物性に優れた人工大理石を得るためには、成形材料に含まれる(メタ)アクリル系樹脂組成物(マトリクス樹脂)が実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時(成形時)に相分離を生じないことが必要である。尚、硬化時に相分離を生じると、得られる人工大理石の内部に界面(クラック)が生じるため、機械的強度が低下すると共に、該界面に水が入り込むので耐熱水性が低下する。
【0004】
しかしながら、上記従来の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、実質的に無着色である等の優れた色調を有し、かつ熱変色が小さいものの、耐熱性に劣っているため、得られる人工大理石等の成形物が耐熱水性に劣っているという問題点を有している。また、上記従来の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、熱可塑性を有しているので、耐溶剤性に劣っている。
【0005】
例えば、熱可塑性(メタ)アクリルシラップと多官能単量体との混合物からなる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、硬化時に相分離を生じる。また、酸基を有する単量体と(メタ)アクリル系単量体とを重合させてなる酸基含有単量体に不飽和エポキシ化合物を反応させてなる、側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物は、触媒としてアミン化合物や四級アンモニウム塩等を用いる必要があるので、熱変色が大きく、従って着色し易い。さらに、例えば特公昭64−11652号公報に開示されているような、メチルメタクリレートと多官能単量体とを部分重合させてなる、側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリルシラップを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物は、該部分重合によって重合性二重結合を主鎖に対して少量しか導入できないため、耐熱性に劣る。また、該部分重合物に多官能単量体を添加して得られる混合物からなる(メタ)アクリルシラップは、硬化時に相分離を生じる。尚、上記部分重合によって重合性二重結合を多量に導入しようとすると、該(メタ)アクリルシラップはゲル化する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
それゆえ、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物、および、その製造方法、並びに、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた例えば人工大理石等の成形物を得ることができる成形材料が嘱望されている。
【0007】
即ち、本発明の目的は、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物、および、その製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた例えば人工大理石等の成形物を得ることができる成形材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその製造方法について鋭意検討した。その結果、(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度が120℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上であると、該(メタ)アクリル系樹脂組成物が実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じないことを見い出した。そして、上記(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を成形することにより、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた例えば人工大理石等の成形物を得ることができることを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、液体状樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、該液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度が120℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、厚さ3mmの樹脂板における、25℃のアセトンに30分間浸漬した後の平行光線透過率が、浸漬する前の平行光線透過率に対して80%以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体と、単量体とからなる(メタ)アクリルシラップを含むことを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することができる。
【0013】
請求項4記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および/または、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、並びに、単量体からなる(メタ)アクリルシラップを含む、請求項1ないし3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒を用いることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および/または、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、並びに、単量体からなる(メタ)アクリルシラップを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、四級ホスホニウム塩を用いることを特徴としている。
【0015】
上記の方法によれば、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を製造することができる。
【0016】
請求項6記載の発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体と、単量体と、多官能単量体および/またはマレイミド化合物を含むことを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、液体状樹脂を含み、該液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度(熱変形温度(HDT))が120℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上である。上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップ(液体状樹脂)を得るときに、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒、または、四級ホスホニウム塩を用いることにより製造される。または、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、例えば、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップ(液体状樹脂)を得るときに、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒、または、四級ホスホニウム塩を用いることにより製造される。尚、上記(メタ)アクリルシラップに含まれる単量体としては、後述するカルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体、ビニル化合物等の各種単量体が挙げられる。
【0019】
上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基を有する単量体とを含む単量体成分(以下、単に単量体成分と記す)を重合することによって得られる。
【0020】
上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の塩基性(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら(メタ)アクリル酸エステルは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0021】
上記例示の化合物のうち、メチルメタクリレート、および、メチルメタクリレートを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。メチルメタクリレートを主成分とすることにより、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物(成形物)の耐候性、透明性、表面の光沢等の各種物性や、外観、安全性等をより一層向上させることができる。
【0022】
尚、(メタ)アクリル酸エステルとして塩基性(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合には、塩基性(メタ)アクリル酸エステルに対して、中性(メタ)アクリル酸エステルを100重量%以上、混合して用いる(併用する)ことが好ましい。上記の中性(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、前記例示の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等が挙げられる。
【0023】
上記カルボキシル基を有する単量体(以下、カルボキシル基含有単量体と記す)は、重合可能な二重結合と、カルボキシル基とを分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該カルボキシル基含有単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル;酸無水物のモノエステル等の長鎖カルボキシル基含有単量体;等が挙げられる。そして、上記不飽和ジカルボン酸のモノエステルとしては、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等が挙げられる。また、上記酸無水物のモノエステルとしては、例えば、コハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、ヘキサフタル酸モノエステル等が挙げられる。これらカルボキシル基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0024】
上記の長鎖カルボキシル基含有単量体は、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの該ヒドロキシル基を、酸無水物でエステル化することによって得られる。上記の酸無水物としては、具体的には、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。上記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン開環付加物、または、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのγ−ブチロラクトン開環付加物等を用いることができる。
【0025】
カルボキシル基含有単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシル基含有単量体との合計量を100重量%として、0.5重量%〜50重量%の範囲内であることがより好ましく、1重量%〜20重量%の範囲内であることがさらに好ましく、3重量%〜10重量%の範囲内であることが特に好ましい。カルボキシル基含有単量体の使用量が0.5重量%未満である場合には、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に不飽和エポキシ化合物を反応させることによって導入することができる重合性二重結合の数が制限される。従って、得られる硬化物の熱時強度等の物性が低下するおそれがある。カルボキシル基含有単量体の使用量が50重量%を越える場合には、得られる硬化物の耐候性および耐水性が低下するおそれがある。
【0026】
上記の単量体成分は、カルボキシル基を含有しないビニル化合物(モノマー)を必要に応じて含んでいる。上記のビニル化合物は、重合可能な二重結合を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該ビニル化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等のアリル化合物;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換(メタ)アクリルアミド;不飽和塩基性単量体;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド等のマレイミド系単量体;等が挙げられる。これらビニル化合物は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。(メタ)アクリル酸エステルにビニル化合物を混合する場合における両者の混合割合、即ち、上記単量体成分におけるビニル化合物の含有量は、ビニル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせ等にもよるが、50重量%以下が好ましい。
【0027】
上記の単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を使用することが望ましい。上記の重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。単量体成分に対する重合開始剤の添加量等は、特に限定されるものではない。
【0028】
上記単量体成分を重合させる際には、重合体の平均分子量等を調節するために、連鎖移動剤を単量体成分に添加することがより望ましい。上記の連鎖移動剤は、特に限定されるものではないが、単量体成分の重合反応を極めて容易に制御できることから、チオール化合物が最適である。上記のチオール化合物としては、具体的には、例えば、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノール、チオナフトール等の芳香族メルカプタン;チオグリコール酸;チオグリコール酸オクチル、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)等のチオグリコール酸アルキルエステル;β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネート)等のβ−メルカプトプロピオン酸アルキルエステル;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら連鎖移動剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、連鎖移動剤として、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素等を用いることもできる。
【0029】
連鎖移動剤の使用量は、該連鎖移動剤の種類や、(メタ)アクリル酸エステル等との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、単量体成分に対して0.1重量%〜15重量%の範囲内が好適である。
【0030】
単量体成分の重合方法は、特に限定されるものではないが、単量体成分の重合を途中で停止させる方法、即ち、部分重合がより好ましい。これにより、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体(以下、カルボキシル基含有重合体と記す)と、未反応の単量体成分との混合物が得られるので、一段階でカルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体と単量体とからなる(メタ)アクリルシラップを製造することができる。
【0031】
上記単量体成分の重合方法としては、例えば、塊状重合(バルク重合)、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができるが、塊状重合が特に好ましい。懸濁重合を採用する場合には、ポリビニルアルコール等の分散安定剤を用いて、単量体成分を水等の分散媒中に懸濁させればよい。上記重合を行う際の反応温度や反応時間等の反応条件は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の反応条件を採用することができる。尚、上記の重合は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0032】
以上の方法によって、カルボキシル基含有重合体を含む反応混合物が得られる。上記カルボキシル基含有重合体の平均分子量は、重量平均分子量(Mw)が6,000〜1,000,000程度、数平均分子量(Mn)が3,000〜500,000程度であることが特に好ましい。
【0033】
本発明にかかる(メタ)アクリルシラップは、カルボキシル基含有重合体と、ビニル単量体とからなっている。上記のビニル単量体は、重合可能な二重結合を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該ビニル単量体としては、具体的には、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体、ビニル化合物等が挙げられる。これら化合物のうち、メタクリル酸アルキルエステル、スチレン系単量体が特に好ましい。さらに、該メタクリル酸アルキルエステルのうち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、 sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが特に好ましい。該スチレン系単量体のうち、スチレンが特に好ましい。これらビニル単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これにより、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物の耐候性、透明性、表面の光沢等の各種物性や、外観、安全性等をより一層向上させることができる。
【0034】
上記のビニル単量体は、前記の単量体成分と同一であってもよく、異なっていてもよい。単量体成分の部分重合によって得られる、未反応の単量体成分を含む反応混合物は、(メタ)アクリルシラップとして好適に用いることができる。また、ビニル単量体が単量体成分と異なる(メタ)アクリルシラップは、例えば、前記の反応混合物から単離したカルボキシル基含有重合体と、ビニル単量体とを混合する方法等によって得ることができる。
【0035】
本発明にかかる(メタ)アクリルシラップにおけるカルボキシル基含有重合体とビニル単量体との割合(比率)は、両者の合計量を100重量%として、カルボキシル基含有重合体が7重量%〜80重量%の範囲内、ビニル単量体が93重量%〜20重量%の範囲内となるように調節することが好ましい。
【0036】
本発明にかかる不飽和エポキシ化合物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体が有する該カルボキシル基と反応可能なエポキシ基と、重合性の二重結合とを有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。上記の不飽和エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、アリルグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート;エポキシ樹脂のモノ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これら化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0037】
上記不飽和エポキシ化合物の使用量は、不飽和エポキシ化合物の種類や、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体の原料として用いたカルボキシル基含有単量体に対して、0.5倍モル〜2倍モルの範囲内がより好ましく、0.8倍モル〜1.5倍モルの範囲内がさらに好ましい。
【0038】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、上記のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体および単量体からなる(メタ)アクリルシラップと、不飽和エポキシ化合物とを、重合性二重結合の導入を促進するための触媒としての、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒、または、四級ホスホニウム塩の存在下で反応させることによって製造することができる。つまり、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体が有するカルボキシル基に対して、不飽和エポキシ化合物が有するエポキシ基を開環反応させることによって、即ち、エステル化反応させることよって、該カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に重合性二重結合を導入することができる。カルボキシル基含有重合体を含むカルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に重合性二重結合を導入すると、重合性二重結合を有する側鎖がエステル結合を介して主鎖に結合した(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物が得られる。
【0039】
上記の触媒はエステル化触媒であり、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する金属化合物(以下、単に金属化合物と記す)、並びに、四級ホスホニウム塩である。上記の金属化合物並びに四級ホスホニウム塩は、触媒活性が高く、主に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体が有するカルボキシル基と、不飽和エポキシ化合物との反応を促進することができる。即ち、上記の触媒は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体への重合性二重結合の導入を促進することができる。また、金属化合物並びに四級ホスホニウム塩は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を着色させることが無い。さらに、該金属化合物並びに四級ホスホニウム塩を用いることにより、従来の(一般的な)触媒によって生じる(メタ)アクリル系樹脂組成物の貯蔵安定性の低下を、抑制することができる。
【0040】
上記の金属化合物としては、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する無機金属化合物、オキソ酸金属塩、ポリオキソ酸金属塩、有機金属化合物、有機酸金属塩、金属錯塩等が挙げられる。
【0041】
上記の無機金属化合物としては、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物等の金属ハロゲン化物;金属酸化物、金属硫化物等の金属カルコゲン化物;金属窒化物;金属リン化物;金属砒化物;金属炭化物;金属ケイ化物;金属ホウ化物;金属シアン化物;金属水酸化物;金属塩化酸化物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。該無機金属化合物としては、具体的には、例えば、塩化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化スズ等が挙げられる。
【0042】
上記のオキソ酸金属塩としては、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の、硫酸金属塩、硝酸金属塩、リン酸金属塩、ホスフィン酸金属塩、ホスホン酸金属塩、メタリン酸金属塩、ホウ酸金属塩、塩素酸金属塩、臭素酸金属塩、ヨウ素酸金属塩、ケイ酸金属塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。該オキソ酸金属塩としては、具体的には、例えば、硫酸スズ、リン酸亜鉛、硝酸ジルコニウム等が挙げられる。尚、本発明において、オキソ酸金属塩には、リン酸水素亜鉛等の水素塩も含まれるものとする。
【0043】
上記のポリオキソ酸金属塩としては、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の、ポリリン酸金属塩、ポリホウ酸金属塩、ポリニオブ酸金属塩、ポリタンタル酸金属塩、ポリモリブデン酸金属塩、ポリバナジン酸金属塩、ポリタングステン酸金属塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。該ポリオキソ酸金属塩としては、具体的には、例えば、ポリリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0044】
上記の有機金属化合物としては、下記一般式(1)
M−(R)n ……(1)
(式中、MはZn、SnおよびZrからなる群より選ばれる1つの元素であり、Rはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ等の有機基であり、nは1〜6の整数である)
で表される化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。該有機金属化合物としては、具体的には、例えば、ジエチル亜鉛、テトラエトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0045】
上記の有機酸金属塩としては、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の、金属石鹸、酢酸金属塩、安息香酸金属塩、サリチル酸金属塩、シュウ酸金属塩、酒石酸金属塩、乳酸金属塩、クエン酸金属塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記の金属石鹸としては、脂肪酸金属塩(例えば、ラウリル酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレイン酸金属塩等)、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属塩、スルホン酸金属塩、硫酸エステル金属塩、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。該金属石鹸としては、具体的には、例えば、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸スズ等が挙げられる。また、金属石鹸以外の有機酸金属塩としては、具体的には、例えば、酢酸亜鉛、サリチル酸スズ等が挙げられる。
【0046】
上記の金属錯塩としては、下記一般式(2)
M−(L)n ……(2)
(式中、MはZn、SnおよびZrからなる群より選ばれる1つの元素であり、Lはアセチルアセトン等の配位子であり、nは1〜6の整数である)
で表される化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。該金属錯塩としては、具体的には、例えば、アセチルアセトン亜鉛等が挙げられる。
【0047】
上記の四級ホスホニウム塩としては、具体的には、例えば、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等が挙げられる。上記例示の四級ホスホニウム塩のうち、エステル化反応にかかる時間を短縮することができるので、テトラフェニルホスホニウム塩がより好ましく、テトラフェニルホスホニウムブロマイドが特に好ましい。
【0048】
四級ホスホニウム塩は、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する上記各種化合物と比較して、触媒活性が高い。従って、触媒として四級ホスホニウム塩を用いてエステル化反応を行うことにより、エステル結合を介して重合性二重結合が導入された(メタ)アクリル系重合体の分子量分布を、より小さく(狭く)することができる。より具体的には、四級ホスホニウム塩を用いてエステル化反応を行うことにより、該(メタ)アクリル系重合体の分子量分布を示すd値(Mw/Mn)を、1〜2の範囲内に調節することができる。
【0049】
上記触媒の使用量は、その種類や、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体等との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、▲1▼触媒が金属化合物である場合、つまり、上記各種化合物である場合には、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、0.005重量部〜5重量部の範囲内がより好ましく、0.05重量部〜3重量部の範囲内がさらに好ましい。また、▲2▼触媒が四級ホスホニウム塩である場合には、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、0.005重量部〜5重量部の範囲内がより好ましく、0.05重量部〜4重量部の範囲内がさらに好ましく、0.1重量部〜3重量部の範囲内が特に好ましい。
【0050】
上記のエステル化反応を行う際には、必要に応じて、重合禁止剤を共存させてもよい。該重合禁止剤としては、具体的には、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、上記のエステル化反応を行う際には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。該溶媒としては、水および/または有機溶媒が好適である。
【0051】
上記のエステル化反応において、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体と単量体とからなる(メタ)アクリルシラップ、不飽和エポキシ化合物、および、金属化合物または四級ホスホニウム塩を混合する順序や方法は、特に限定されるものではなく、該(メタ)アクリルシラップと不飽和エポキシ化合物との反応時に、金属化合物または四級ホスホニウム塩が存在していればよい。
【0052】
ところで、(メタ)アクリルシラップに含まれる(メタ)アクリル系重合体にエステル結合を介して重合性二重結合を導入する方法としては、上記の方法の他に、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体が有する該グリシジル基に対して、不飽和酸が有するカルボキシル基を反応させる(グリシジル基を開環反応させる)方法を採用することができる。即ち、グリシジル基を有する(メタ)アクリルシラップと、不飽和酸とをエステル化反応させることよって、該グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体に重合性二重結合を導入することができる。
【0053】
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルと、グリシジル基を有する単量体とを含む単量体成分を重合することによって得られる。上記グリシジル基を有する単量体(以下、グリシジル基含有単量体と記す)は、重合可能な二重結合と、グリシジル基とを分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該グリシジル基含有単量体としては、例えば、前記の不飽和エポキシ化合物が挙げられる。
【0054】
上記の不飽和酸は、グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体が有する該グリシジル基と反応可能なカルボキシル基と、重合性の二重結合とを有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。上記の不飽和酸としては、例えば、前記のカルボキシル基含有単量体が挙げられる。
【0055】
グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体の製造方法やその反応条件等は、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体の製造方法やその反応条件等を適用することができる。また、該グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体と不飽和酸とのエステル化反応の反応条件等は、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体と不飽和エポキシ化合物とのエステル化反応の反応条件等を適用することができる。
【0056】
以上の方法により、エステル結合を介して重合性二重結合が導入された(メタ)アクリル系重合体と単量体とからなる(メタ)アクリルシラップと、触媒(金属化合物または四級ホスホニウム塩)とを含む反応混合物が得られる。即ち、本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物が得られる。つまり、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップ(液体状樹脂)と、上記の触媒とを含んでいる。または、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップ(液体状樹脂)と、上記の触媒とを含んでいる。尚、以下の説明においては、便宜上、エステル結合を介して重合性二重結合が導入された(メタ)アクリル系重合体、および単量体からなる(メタ)アクリルシラップを、単に(メタ)アクリルシラップと記す。
【0057】
(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量、即ち、重合性二重結合1つ当たりの分子量は、200〜10,000の範囲内であることが好ましく、1,000〜8,000の範囲内であることがより好ましく、2,000〜5,000の範囲内であることが最も好ましい。上記の二重結合当量は、「(メタ)アクリル系重合体の分子量/該重合体1分子に含まれる重合性二重結合の数」で求められる。(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量を上記範囲内に設定することによって、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物に界面(クラック)が発生することを抑制することができる。(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量が200未満であると、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物が、表面平滑性や光沢等の表面性に劣る場合がある。一方、上記二重結合当量が10,000を超えると、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物の熱時強度が低下するおそれがある。
【0058】
また、上記硬化物が、例えば高耐熱性等を要求される浴槽(バスタブ)等である場合には、(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量および重量平均分子量の組み合わせを、より一層考慮する必要がある。
【0059】
(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、3,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜100,000の範囲内であることがより好ましく、10,000〜40,000の範囲内であることがさらに好ましい。そして、特に、上記硬化物が、例えば高耐熱性等を要求される浴槽等である場合には、該(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、10,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜150,000の範囲内であることがより好ましく、30,000〜120,000の範囲内であることがさらに好ましく、40,000〜90,000の範囲内であることが最も好ましい。(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が3,000未満であると、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させて得られる硬化物の物性が低下する。また、該重量平均分子量が15,000未満であると、浴槽等の高耐熱性等を要求される用途に該硬化物を使用することが難しくなる。一方、上記重量平均分子量が500,000を超えると、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、成形作業等の作業性が低下する。
【0060】
さらに、本発明においては、(メタ)アクリル系重合体に導入されるべき重合性二重結合の量が所望の量よりも少ない場合には、該(メタ)アクリルシラップに、多官能単量体および/またはマレイミド化合物を必要に応じて添加することができる。即ち、本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、必要に応じて、多官能単量体および/またはマレイミド化合物を含んでいてもよい。
【0061】
上記の多官能単量体は、(メタ)アクリルシラップに含まれる官能基と反応する重合性二重結合を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該多官能単量体としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート;等が挙げられる。多官能単量体の添加量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、或いは、(メタ)アクリル系樹脂組成物の用途や所望される物性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0062】
上記のマレイミド化合物としては、具体的には、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−トリメチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド等のN−置換マレイミド等が挙げられるが、特に限定されるものではない。マレイミド化合物の添加量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、或いは、(メタ)アクリル系樹脂組成物の用途や所望される物性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0063】
また、多官能単量体とマレイミド化合物とを併用する場合における各々の添加量(割合)は、両者の組み合わせ、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、或いは、(メタ)アクリル系樹脂組成物の用途や所望される物性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0064】
多官能単量体並びにマレイミド化合物は、(メタ)アクリル系単量体に対して、重合性二重結合を導入する反応(エステル化反応)を行う前に添加してもよく、該反応を行っている途中で添加してもよく、該反応を行った後に添加してもよいが、反応を行った後に添加する方がより好ましい。つまり、多官能単量体並びにマレイミド化合物は、(メタ)アクリルシラップに含まれる(メタ)アクリル系重合体の構成成分となっていてもよく、(メタ)アクリル系樹脂組成物に単に含まれていてもよい。(メタ)アクリルシラップに多官能単量体および/またはマレイミド化合物を添加することにより、前記二重結合当量を大きくすることができる。
【0065】
以上の方法によって得られる(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、液体状樹脂を含み、該液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度が120℃以上、より好ましくは127℃以上、さらに好ましくは130℃以上、最も好ましくは135℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上である。ハーゼン色数が50を越える液体状樹脂は着色している(実質的に無着色ではない)ので、該液体状樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を用いても、実質的に無着色である等の優れた色調を有する人工大理石等の成形物を得ることができない。樹脂板の荷重たわみ温度が120℃未満であると、耐熱性に優れた成形物を得ることができない。樹脂板の平行光線透過率が80%未満であると、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた成形物を得ることができない。
【0066】
また、本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、より好ましくは、厚さ3mmの樹脂板における、25℃のアセトンに30分間浸漬した後の平行光線透過率が、浸漬する前の平行光線透過率に対して80%以上である。浸漬した後の平行光線透過率が浸漬する前の平行光線透過率に対して80%未満である樹脂板は、耐溶剤性に劣っている。従って、該液体状樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を用いても、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた成形物を得ることができない。尚、ハーゼン色数、荷重たわみ温度、および、平行光線透過率の測定方法については、後段にて詳述する。
【0067】
上記の構成によれば、従来の(一般的な)触媒によって生じる(メタ)アクリル系樹脂組成物の着色を抑制することができるので、実質的に無着色である(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。また、上記の構成によれば、(メタ)アクリルシラップにより多くの重合性二重結合が導入されているので、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。つまり、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させることにより、熱時強度に優れた硬化物(成形物)を得ることができる。さらに、(メタ)アクリル系樹脂組成物は、従来の触媒によって生じる(メタ)アクリル系樹脂組成物の貯蔵安定性の低下を抑制することができるので、貯蔵安定性に優れている。
【0068】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCと記す)やバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと記す)、プレミックス材料、注型材料、引抜き材料、射出成形材料、押出し成形材料等の成形材料として特に好適である。つまり、本発明にかかる成形材料は、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物を含んでなっている。
【0069】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、およびゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子(以下、熱可塑性高分子と記す)が添加されてもよい。即ち、本発明にかかる成形材料は、必要に応じて、熱可塑性高分子を含んでいてもよい。そして、成形材料が熱可塑性高分子を含む場合においては、該熱可塑性高分子が(メタ)アクリル系樹脂組成物中、つまり、(メタ)アクリルシラップ中に分散していることがより望ましい。
【0070】
上記の構成によれば、熱可塑性高分子が(メタ)アクリルシラップ中に分散しているので、該熱可塑性高分子が硬化時に熱膨張することによって(メタ)アクリル系樹脂組成物の収縮を効率的に抑制することができる。それゆえ、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、硬化時の体積収縮率が低い。また、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化させることにより、表面平滑性、光沢等の表面性に優れた硬化物を得ることができる。
【0071】
上記の熱可塑性高分子は、(メタ)アクリルシラップ中に分散し、(メタ)アクリル系樹脂組成物の加熱硬化時に膨張して、(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、成形材料の収縮を抑制することができる、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、およびゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子であればよい。
【0072】
ここで、熱可塑性エラストマーは、分子構造として、弾性を有するゴム成分(軟質成分)と、塑性変形を防止するための樹脂成分(硬質成分)とを有し、かつ、常温でゴム弾性を示す一方、高温で可塑性を示す熱可塑性の高分子である。また、熱可塑性樹脂は、分子構造として樹脂成分(硬質成分)のみを有し、常温でゴム弾性を示さない熱可塑性の高分子である。さらに、ゴムは、常温および高温でゴム弾性を示す高分子である。これら熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、およびゴムは、(メタ)アクリル系樹脂組成物の種類に応じて選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0073】
上記の熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、例えば、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、無水マレイン酸変性スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(MA変性SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・プロピレン共重合体(SEP)等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;等が挙げられる。上記例示の熱可塑性エラストマーのうち、スチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
【0074】
上記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有率は、(メタ)アクリルシラップ中に含まれるビニル単量体がメチルメタクリレートおよび/またはスチレンである場合には、10%〜25%の範囲内が好ましく、13%〜20%の範囲内がより好ましい。一方、(メタ)アクリルシラップ中に含まれるビニル単量体がメチルメタクリレートおよびスチレン以外の単量体、例えばt−ブチルメタクリレートである場合には、上記スチレン含有率は、10%〜40%の範囲内が好ましく、13%〜30%の範囲内がより好ましい。これにより、熱可塑性エラストマーが(メタ)アクリルシラップ中にさらに安定的に分散するので、(メタ)アクリル系樹脂組成物の加熱硬化時に該熱可塑性エラストマーが効率的に膨張することができる。従って、(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、成形材料の収縮をさらに効率的に抑制することができる。これら熱可塑性エラストマーは、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、上記スチレン系熱可塑性エラストマーの分子鎖は、直鎖状であってもよく、ラジアル状であってもよい。
【0075】
上記の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、酸変性ポリ酢酸ビニル(酸変性PVAc)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VCl−VAc)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、アクリロニトリル・エチレンプロピレンジエンゴム・スチレン共重合体(AES)、アクリルゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合体(AAS)等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0076】
上記のゴムとしては、具体的には、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム、イソプレンゴム等のジエン系ゴム;クロロプレンゴム;ブチルゴム;エチレン−プロピレンゴム;アクリルゴム(ACM);ウレタンゴム;等が挙げられる。これらゴムは、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0077】
上記熱可塑性高分子のガラス転移温度(以下、Tgと記す)は、−100℃〜80℃であることが好ましく、−70℃〜30℃であることがより好ましく、−60℃〜0℃であることが最も好ましい。上記熱可塑性高分子のTgが−100℃未満であると、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む成形材料を硬化して得られる硬化物の表面光沢が低下する。一方、上記熱可塑性高分子のTgが80℃を超えると、熱可塑性高分子が熱膨張し難くなり、(メタ)アクリル系樹脂組成物を低収縮化させる効果が不充分となる。尚、上記の説明において、熱可塑性高分子が熱可塑性エラストマーである場合には、熱可塑性高分子のTgとは、ゴム成分のTg、即ち、低温側のTgを表すものとする。
【0078】
上記熱可塑性高分子の添加量は、(メタ)アクリルシラップと熱可塑性高分子との合計量を100重量%として、2重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、5重量%〜30重量%の範囲内であることがより好ましく、10重量%〜20重量%の範囲内であることが最も好ましい。熱可塑性高分子の添加量が2重量%未満であると、(メタ)アクリル系樹脂組成物の収縮を抑制する効果が不充分となる。従って、硬化時の体積収縮率を充分に低下させることができず、表面性に優れた硬化物を得ることができないおそれがある。一方、上記の添加量が50重量%を超えると、粘度が上昇し過ぎてコンパウンド(後述する)の作成が困難となる。
【0079】
上記の熱可塑性高分子は、(メタ)アクリルシラップ中に分散していればよいが、粒径が、好ましくは5nm〜800μm、より好ましくは50nm〜500μm、さらに好ましくは100nm〜100μmの分散相を形成していることが望ましい。
【0080】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物には、熱可塑性高分子が(メタ)アクリルシラップに分散した状態を安定化させるために、必要に応じて、分散安定剤が添加されてもよい。即ち、本発明にかかる成形材料は、必要に応じて、分散安定剤を含んでいてもよい。これにより、(メタ)アクリルシラップと熱可塑性高分子との、さらに広範囲な組み合わせが可能となる。上記の分散安定剤は、分子内に、(メタ)アクリルシラップとの親和性が高い部分と、熱可塑性高分子との親和性が高い部分とを有する重合体であればよい。例えば(メタ)アクリルシラップが(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、熱可塑性高分子がスチレン系熱可塑性エラストマーである場合には、該分散安定剤としては、具体的には、例えば、スチレン・酢酸ビニル共重合体やスチレン・メチルメタクリレート共重合体等が好適である。
【0081】
本発明にかかる(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、(メタ)アクリルシラップに熱可塑性高分子を分散させる方法としては、例えば、(メタ)アクリルシラップに熱可塑性高分子を添加して撹拌する方法;前記単量体成分に熱可塑性高分子を添加して撹拌した後、該単量体成分を重合する方法;ビニル単量体に熱可塑性高分子を添加して撹拌した後、(メタ)アクリル系重合体をさらに添加する方法;ビニル単量体に熱可塑性高分子を添加して撹拌した後、(メタ)アクリルシラップをさらに添加する方法;等を用いることができる。上記例示の方法のうち、(メタ)アクリルシラップに熱可塑性高分子を添加して撹拌する方法が、製造する上において(メタ)アクリル系樹脂組成物を最も簡便で効率良く得ることができるので、特に好ましい。上記の方法においては、撹拌速度は、例えば、高速撹拌機を用いて10,000rpm程度に設定すればよい。また、撹拌時間は、撹拌速度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、1分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。
【0082】
上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形材料として用いる場合には、必要に応じて、増粘剤やコハク酸誘導体、架橋重合体粒子、酸化防止剤、補強材等を添加すればよい。即ち、本発明にかかる成形材料は、必要に応じて、増粘剤やコハク酸誘導体、架橋重合体粒子、酸化防止剤、補強材等を含んでいる。尚、以下の説明においては、成形材料における補強材以外の成分をコンパウンドと称することにする。
【0083】
上記の増粘剤としては、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら増粘剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。増粘剤の使用量は、その種類や、(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、成形材料の用途等にもよるが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、5重量部以下の範囲内がより好ましい。上記の範囲内で増粘剤を使用することにより、コンパウンドの増粘後の粘度を、成形作業等に好適な所定の値に設定することができる。増粘剤の使用量が5重量部を越える場合には、コンパウンドの増粘後の粘度が高くなり過ぎ、成形作業等の作業性が低下すると共に、得られる成形品(成形物)の耐候性および耐水性が低下するおそれがある。
【0084】
上記のコハク酸誘導体は、増粘剤による過剰な増粘挙動、特に初期の増粘挙動を抑制する働きを備えている。コハク酸誘導体は、分子内にコハク酸骨格またはコハク酸無水物骨格を備え、かつ、該骨格のエチレン基部分に、アルキル基やアルケニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等の置換基を有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、全炭素数が8〜30である化合物がより好ましい。全炭素数が7以下のコハク酸誘導体は、(メタ)アクリルシラップに対する溶解性に劣る。また、全炭素数が31以上のコハク酸誘導体は、該コハク酸誘導体を使用することによって得られる作用・効果に乏しい。つまり、増粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が低くなる。
【0085】
上記のコハク酸誘導体としては、具体的には、例えば、ヘキシルコハク酸、ヘプチルコハク酸、オクチルコハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、ペンタドデシルコハク酸、エイコシルコハク酸等の、炭素数が4以上のアルキル基を有する化合物;ヘキセニルコハク酸、ヘプテニルコハク酸、オクテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ペンタドデセニルコハク酸、エイコセニルコハク酸等の、アルケニル基を有する化合物;シクロドデシルコハク酸、シクロドデセニルコハク酸等の、脂環式炭化水素基を有する化合物;ジフェニルブテニルコハク酸等の、芳香族炭化水素基を有する化合物;および、これらコハク酸の無水物;等が挙げられる。これらコハク酸誘導体は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、コハク酸誘導体の調製方法は、特に限定されるものではない。
【0086】
コハク酸誘導体の添加量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップおよび増粘剤等との組み合わせ、成形材料の用途等にもよるが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内がより好ましい。コハク酸誘導体の添加量が0.01重量部よりも少ない場合には、コハク酸誘導体を使用することによって得られる作用・効果が乏しくなる。つまり、増粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が乏しくなるおそれがある。上記の添加量が10重量部よりも多い場合には、コンパウンドの増粘後の粘度が、成形作業等に好適な所定の値にまで達しないか、若しくは達するまでに長時間を有するおそれがある。
【0087】
上記の架橋重合体粒子は、例えば、重合性二重結合を1つ有する化合物である単官能単量体と、該単官能単量体が有する重合性二重結合と共重合可能な重合性二重結合を複数有する化合物である架橋性単量体とを共重合させることによって得られる。該単官能単量体としては、具体的には、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステルやビニル化合物等が挙げられる。これら単官能単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。該架橋性単量体としては、具体的には、例えば、前記多官能単量体や、多官能スチレン系単量体、多官能アリルエステル系単量体等が挙げられる。これら架橋性単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0088】
そして、(メタ)アクリル酸エステルを含む(メタ)アクリル系単官能単量体と架橋性単量体とを共重合して得られる架橋重合体粒子がより好ましい。この場合、(メタ)アクリル系単官能単量体は、(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含んでいることが好ましく、80重量%以上含んでいることがより好ましい。また、(メタ)アクリル系単官能単量体を用いる場合には、架橋性単量体として多官能(メタ)アクリレートが好適であり、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが最適である。一方、ビニル化合物を含むビニル系単官能単量体を用いる場合には、架橋性単量体として多官能スチレン系単量体が好適である。
【0089】
単官能単量体と架橋性単量体との重量比は、97/3〜40/60の範囲内であることが好ましく、90/10〜50/50の範囲内であることがより好ましく、80/20〜50/50の範囲内であることが最も好ましい。単官能単量体と架橋性単量体とを上記重量比で以て共重合して得られる架橋重合体粒子を、必要に応じて用いることにより、(メタ)アクリル系樹脂組成物の収縮を効率的に抑制することができる。
【0090】
架橋重合体粒子の平均粒径は、その種類や、(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、成形材料の用途等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、5μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、10μm〜60μmの範囲内であることがさらに好ましく、20μm〜50μmの範囲内であることが最も好ましい。
【0091】
架橋重合体粒子の使用量は、その種類や、(メタ)アクリル系樹脂組成物、即ち、(メタ)アクリルシラップとの組み合わせ、成形材料の用途等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、1重量部〜50重量部の範囲内であることがより好ましく、3重量部〜40重量部の範囲内であることがさらに好ましく、10重量部〜30重量部の範囲内であることが最も好ましい。
【0092】
上記の酸化防止剤としては、具体的には、例えば、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスファイト等のリン系酸化防止剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら酸化防止剤は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤がより好ましく、また、フェノール系酸化防止剤のうち、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)がより好ましい。
【0093】
酸化防止剤の添加量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップおよび増粘剤等との組み合わせ、成形材料の用途等にもよるが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内がより好ましく、0.01重量部〜2重量部の範囲内がさらに好ましく、0.03重量部〜1重量部の範囲内が特に好ましい。酸化防止剤の添加量が0.001重量部よりも少ない場合には、酸化防止剤を使用することによって得られる作用・効果が乏しくなる。
【0094】
酸化防止剤は、(メタ)アクリルシラップに対して、前記重合性二重結合を導入する反応(エステル化反応)を行う前に添加してもよく、該反応を行っている途中で添加してもよく、該反応を行った後に添加してもよい。
【0095】
上記の補強材としては、具体的には、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックからなる繊維等の無機繊維;アラミドやポリエステル等からなる有機繊維;天然繊維;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、繊維の形態としては、例えば、ロービング、クロス、マット、織物、チョップドロービング、チョップドストランド等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら補強材は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。補強材の使用量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ、成形材料の用途、該成形材料に所望される物性等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。また、補強材とコンパウンドとを混合する方法は、特に限定されるものではなく、該補強材の形態に応じて適宜設定すればよい。例えば、補強材の形態がマットやクロス等である場合には、該補強材にコンパウンドを含浸させればよい。また、例えば、補強材の形態がロービングやチョップドストランド等である場合には、該補強材とコンパウンドとを混練すればよい。補強材を含む成形材料は、例えばSMCやBMCとして好適である。
【0096】
本発明にかかる成形材料は、硬化剤(重合開始剤)を含んでいることが望ましく、また、必要に応じて、充填剤や添加剤等をさらに含んでいてもよい。上記の硬化剤としては、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体を製造する際に用いる前記例示の重合開始剤が好適であるが、特に限定されるものではない。硬化剤の添加量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部の範囲内が好適である。
【0097】
上記の充填剤としては、具体的には、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ミルドファイバー、珪砂、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、寒水砂、アスベスト粉、ガラス粉(ガラスフィラー)、ジルコニア化合物等の無機系充填剤;および、ポリマービーズ等の有機系充填剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら充填剤は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の充填剤のうち、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラス粉、ジルコニア化合物がより好ましい。尚、充填剤における平均粒径等の形態は、特に限定されるものではない。
【0098】
充填剤の配合量は、その種類や、(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ、成形材料の用途、該成形材料に所望される物性等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、10重量部〜600重量部の範囲内が好適である。そして、成形材料をSMCとして用いる場合には、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、30重量部〜300重量部の範囲内がより好ましい。成形材料をBMCとして用いる場合には、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、150重量部〜600重量部の範囲内がより好ましい。成形材料を注型材料として用いる場合には、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、30重量部〜250重量部の範囲内がより好ましい。成形材料を引抜き成形用の成形材料として用いる場合には、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ100重量部に対して、10重量部〜200重量部の範囲内がより好ましい。
【0099】
上記の添加剤としては、一般に用いられている各種の添加剤を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、(内部)離型剤、着色剤、重合禁止剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これら添加剤は、例えば、成形材料の用途や該成形材料に所望される物性等に応じて適宜添加すればよい。また、添加剤の添加量は、該添加剤の種類や、(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0100】
離型剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アミド、トリフェニルホスフェート、アルキルホスフェート;一般に用いられているワックス類、シリコーンオイル等の離型剤;等が挙げられる。着色剤としては、公知の無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0101】
本発明にかかる成形材料は、SMC、BMC、注型材料等の用途に最適である。SMCは、いわゆるSMC製造装置を用いて容易に製造することができる。BMCは、双腕型ニーダ等の混練機を用いて容易に製造することができる。注型材料は、混合機を用いて容易に製造することができる。そして、SMCやBMCは、例えば60℃〜160℃で加熱・加圧成形(プレス成形)することにより、成形品とすることができる。また、注型材料は、例えば室温〜70℃でセル内に注入(注型)することにより成形品とすることができる。尚、成形材料の成形方法(硬化方法)は、特に限定されるものではない。本発明にかかる成形材料は、種々の成形方法に適用可能である。
【0102】
本発明にかかる成形材料を成形してなる成形品としては、例えば、いわゆる採光ドーム、ベンチ、テーブル、タンク、公告板、防水板等の、屋外で使用される各種物品;浄化槽、自動車、鉄道車両、船舶等を構成する構成材;屋根・壁等の、構造物の外装材;浴槽(バスタブ)や洗面台のカウンタートップ、キッチンカウンターとして好適な人工大理石;電気部品;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明にかかる成形材料は、上記例示の成形品のうち、人工大理石、つまり、浴槽や洗面台のカウンタートップ、キッチンカウンターを得るのに最適である。
【0103】
以上のように、本発明にかかる成形材料は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を含む構成である。これにより、実質的に無着色である等の優れた色調を有すると共に、耐熱性、耐熱水性、耐溶剤性および靭性等の物性に優れた例えば人工大理石等の成形物を得ることができる成形材料を提供することができる。
【0104】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示す。
【0105】
(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる液体状樹脂としての(メタ)アクリルシラップのハーゼン色数、該(メタ)アクリルシラップを硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度(熱変形温度(HDT))、および、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率は、下記方法によって測定した。また、成形材料を成形してなる成形品の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性(靭性)は、下記方法によって測定し、評価した。
【0106】
〔ハーゼン色数〕
(メタ)アクリルシラップのハーゼン色数は、JIS K 6901 適用箇条4.2.1に準じて測定した。
【0107】
〔荷重たわみ温度〕
(メタ)アクリルシラップを硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度(℃)は、JIS K 6911 適用箇条5.35.1に準じて測定した。
【0108】
〔平行光線透過率〕
厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率(%)は、光線透過率測定器(日本電色株式会社製;シグマ90システム)を用いて所定の条件下で測定した。また、厚さ3mmの樹脂板における、25℃のアセトンに30分間浸漬した後の平行光線透過率(%)も、該光線透過率測定器を用いて所定の条件下で測定した。そして、アセトンに浸漬する前の平行光線透過率に対する、浸漬した後の平行光線透過率の割合から、平行光線透過率保持率(%)を算出した。
【0109】
〔色調〕
成形品の色調は、色差計(日本電色株式会社製;シグマ90システム)を用いて所定の条件下で測定した。つまり、成形品の色調を、イエローインデックス(以下、YIと記す)で評価した。実質的に無着色である等の優れた色調を示す成形品のYIは、9以下である。即ち、本発明におけるYIの好ましい値は、9以下である。
【0110】
〔耐熱水性〕
成形品の耐熱水性は、50mm×50mm×9mm(厚さ)の成形板(試験片)を90℃の熱水に1000時間浸漬した後と、浸漬する前との色差(以下、ΔE1 と記す)で評価した。該ΔE1 は、上記の色差計を用いて所定の条件下で測定した。耐熱水性に優れた成形品のΔE1 、即ち、本発明におけるΔE1 の好ましい値は、4以下である。
【0111】
〔耐溶剤性〕
成形品の耐溶剤性は、色差および光沢保持率( gloss retention;以下、GRと記す)で評価した。つまり、50mm×50mm×9mm(厚さ)の成形板(試験片)を25℃のアセトンに20時間浸漬した後と、浸漬する前との色差(以下、ΔE2 と記す)を、上記の色差計を用いて所定の条件下で測定した。また、浸漬した後の成形板の光沢度と、浸漬する前の成形板の光沢度との比から、GR(%)を求めた。上記の光沢度は、JIS K 7105 適用箇条5.2に準じて測定した。そして、GRは、「(浸漬した後の光沢度/浸漬する前の光沢度)×100」で算出した。耐溶剤性に優れた成形品のΔE2 およびGR、即ち、本発明におけるΔE2 およびGRの好ましい値は、ΔE2 が2以下、かつ、GRが30%以上である。
【0112】
〔耐ヒートサイクル性〕
成形品の耐ヒートサイクル性は、加熱・冷却を交互に行ういわゆる冷熱サイクルを実施することによって評価した。即ち、試験片として、その中央部に100mm×100mmの正方形状の穴を設けた、300mm×300mm×9mm(厚さ)の成形板を用いた。該穴は、コーナー部(隅部)を5Rに仕上げると共に、エッジ部(辺部)を2Rに仕上げた。そして、上記のコーナー部に180℃に加熱したアイロンを10分間押し当てた後、該コーナー部に氷を10分間押し当てる工程を1サイクルとする冷熱サイクルを、成形品にクラックが発生するまで繰り返し実施した。従って、繰り返し回数が多いほど、成形品が耐ヒートサイクル性に優れていることになる。耐ヒートサイクル性に優れた成形品の繰り返し回数、即ち、本発明における繰り返し回数の好ましい値は、5回以上である。尚、上記冷熱サイクルは、クラックの発生が認められない場合には、10回で打ち切った。
【0113】
〔実施例1〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、(メタ)アクリル酸エステルとしてのメチルメタクリレート(以下、MMAと記す)92部と、カルボキシル基含有単量体としてのメタクリル酸(以下、MAAと記す)8部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと記す)0.03部と、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン0.4部とを添加して、4時間共重合反応を行い、(メタ)アクリル系重合体としてのMMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0114】
次いで、上記のメタクリルシラップに、不飽和エポキシ化合物としてのグリシジルメタクリレート(以下、GMAと記す)13部と、触媒としてのオクチル酸亜鉛0.1部と、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で7時間かけてエステル化反応を行った。
【0115】
これにより、(メタ)アクリルシラップとしてのメタクリルシラップA(液体状樹脂)を得た。該メタクリルシラップAは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量が105,000であり、固形分が43重量%であり、酸価が20mgKOH/gであった。また、エステル化反応する前の酸価と、エステル化反応した後の酸価との差から求めた二重結合当量は、1,600であった。メタクリルシラップAの組成並びに物性を表1にまとめた。
【0116】
次いで、上記のメタクリルシラップA100部に、トリフェニルホスフィン0.5部と、ベンゾイルパーオキサイド1部とを添加した後、該メタクリルシラップAを、互いの間隔(隙間)が7mmとなるようにして対向配置させた2枚のガラス板の周囲をいわゆる弾力ガスケットにて封止してなるセルを用いて注型した。即ち、該メタクリルシラップAを上記セル内に注入した後、60℃に加熱して硬化させた。さらに、硬化したメタクリルシラップAを脱型後、120℃で2時間かけて後硬化(いわゆる、アフターキュア)させることにより、厚さ7mmの樹脂板を作成した。該樹脂板を用いて上記の方法によって測定した荷重たわみ温度は130℃であった。また、上記の方法によって測定したメタクリルシラップAのハーゼン色数は0であった。
【0117】
また、上記間隔を3mmに設定したセルを用い、同様の操作を行って注型し、後硬化させることにより、厚さ3mmの樹脂板を作成した。該樹脂板を用いて上記の方法によって測定した平行光線透過率は87%であり、平行光線透過率保持率は100%であった。
【0118】
続いて、上記のメタクリルシラップA100部に、充填剤としての水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製;商品名 ハイジライトHBT−320)350部、増粘剤としての酸化マグネシウム0.2部、シランカップリング剤(日本ユニカー株式会社製;商品名 A−174)3.5部、硬化剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(化薬アクゾ株式会社製;商品名 カヤエステルO)1部、および、補強材としてのガラス繊維(繊維長2mm)50部を添加した後、双腕型ニーダを用いて混練することにより、本発明にかかる成形材料を得た。次いで、上記の成形材料を25℃で一晩熟成(増粘)させた。
【0119】
得られた増粘物を加熱加圧成形した。即ち、300mm×300mmの大きさのキャビティを有する金型を用いて、上側の金型の温度を120℃、下側の金型の温度を110℃に設定した。そして、上記の増粘物1,700gを上記の金型に充填して圧力6MPaで型締めし、所定時間、加熱加圧成形することにより、厚さ9mmの成形板(成形品)を作成した。
【0120】
得られた成形板の色調(YI)、耐熱水性(ΔE1 )、耐溶剤性(ΔE2 およびGR)、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。その結果、YIは5.3であり、ΔE1 は0.81であり、ΔE2 は0.15であり、GRは85%であり、冷熱サイクルの繰り返し回数は10回(クラック発生せず)であった。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0121】
〔実施例2〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA62部と、MAA8部と、ビニル化合物としてのN−シクロヘキシルマレイミド(以下、CHMIと記す)20部およびスチレン(以下、Stと記す)10部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、(メタ)アクリル系重合体としてのMMA/MAA/CHMI/St共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0122】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA13部と、オクチル酸亜鉛0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で7時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップBを得た。該メタクリルシラップBの組成並びに物性を表1にまとめた。
【0123】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりにメタクリルシラップB100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、メタクリルシラップBのハーゼン色数を測定した。
【0124】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりにメタクリルシラップB100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0125】
〔実施例3〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、MAA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0126】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA5部と、オクチル酸亜鉛0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップCを得た。該メタクリルシラップCの組成並びに物性を表1にまとめた。
【0127】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップC70部と、多官能単量体としてのトリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、TMPTMAと記す)30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップCとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0128】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップC70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0129】
〔実施例4〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、GMA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、(メタ)アクリル系重合体としてのMMA/GMA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0130】
次いで、上記のメタクリルシラップに、不飽和酸としてのMAA2.9部と、オクチル酸亜鉛0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で7時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップDを得た。該メタクリルシラップDの組成並びに物性を表1にまとめた。
【0131】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップD70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップDとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0132】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップD70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0133】
〔実施例5〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、MAA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.03部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0134】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA5部と、触媒としてのオクチル酸スズ0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップEを得た。該メタクリルシラップEの組成並びに物性を表2にまとめた。
【0135】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップE70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップEとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0136】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップE70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0137】
〔実施例6〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、MAA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.03部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0138】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA5部と、触媒としてのオクチル酸ジルコニウム0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップFを得た。該メタクリルシラップFの組成並びに物性を表2にまとめた。
【0139】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップF70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップFとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0140】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップF70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0141】
〔実施例7〕
実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、実施例3にて得られたメタクリルシラップC70部と、St10部と、マレイミド化合物としてのN−シクロヘキシルマレイミド(以下、CHMIと記す)20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップCとStとCHMIとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0142】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップC70部とSt10部とCHMI20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表4にまとめた。
【0143】
〔実施例8〕
実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、実施例4にて得られたメタクリルシラップD70部と、St10部と、CHMI20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップDとStとCHMIとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0144】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップD70部とSt10部とCHMI20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0145】
〔実施例9〕
実施例1にて得られたメタクリルシラップA100部に、充填剤としてのガラスフィラー(日本フリット株式会社製;商品名 ガラスフィラーGF−23−20G)350部、酸化マグネシウム0.2部、シランカップリング剤(日本ユニカー株式会社製;商品名 A−174)3.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(化薬アクゾ株式会社製;商品名 カヤエステルO)1部、および、ガラス繊維(繊維長2mm)50部を添加した後、双腕型ニーダを用いて混練することにより、本発明にかかる成形材料を得た。次いで、上記の成形材料を25℃で一晩熟成(増粘)させた。
【0146】
得られた増粘物を用いて実施例1と同様の加熱加圧成形を行うことにより、厚さ9mmの成形板(成形品)を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0147】
〔実施例10〕
実施例9において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、実施例3にて得られたメタクリルシラップC70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例9と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得た。次いで、上記の成形材料を25℃で一晩熟成(増粘)させた。
【0148】
得られた増粘物を用いて実施例1と同様の加熱加圧成形を行うことにより、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0149】
〔実施例11〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、MAA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、連鎖移動剤としてのβ−メルカプトプロピオン酸0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0150】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA5部と、オクチル酸亜鉛0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップGを得た。該メタクリルシラップGの組成並びに物性を表2にまとめた。
【0151】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップG70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップGとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0152】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップG70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0153】
〔実施例12〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、MAA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0154】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA5部と、オクチル酸亜鉛0.1部と、酸化防止剤としての2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップHを得た。該メタクリルシラップHの組成並びに物性を表2にまとめた。
【0155】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップH70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップHとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0156】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップH70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0157】
〔実施例13〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA98.5部と、MAA1.5部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行った。これにより、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップIを得た。従って、メタクリルシラップIには、重合性二重結合が導入されていない。該メタクリルシラップIの組成並びに物性を表3にまとめた。
【0158】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップI60部と、St10部と、CHMI30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップIとStとCHMIとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0159】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップI60部とSt10部とCHMI30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0160】
〔実施例14〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA92部と、MAA8部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.03部と、n−ドデシルメルカプタン0.4部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0161】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA13部と、触媒としてのテトラフェニルホスホニウムブロマイド(四級ホスホニウム塩)0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で3時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップNを得た。該メタクリルシラップNの組成並びに物性を表3にまとめた。
【0162】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップN100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、並びに平行光線透過率を測定した。また、上記メタクリルシラップNのハーゼン色数を測定した。
【0163】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップN100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表5にまとめた。
【0164】
〔実施例15〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA97部と、GMA3部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.1部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/GMA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0165】
次いで、上記のメタクリルシラップに、不飽和酸としてのMAA2.9部と、テトラフェニルホスホニウムブロマイド0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で3時間かけてエステル化反応を行った。これにより、メタクリルシラップOを得た。該メタクリルシラップOの組成並びに物性を表3にまとめた。
【0166】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップO70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップOとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。
【0167】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップO70部とTMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、本発明にかかる成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。これら測定結果等を表6にまとめた。
【0168】
〔比較例1〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA92部と、MAA8部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.03部と、n−ドデシルメルカプタン0.4部とを添加して、4時間共重合反応を行い、MMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。
【0169】
次いで、上記のメタクリルシラップに、GMA13部と、従来の触媒であるトリエチルアミン0.1部と、p−メトキシフェノール0.02部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で4時間かけてエステル化反応を行った。これにより、比較用のメタクリルシラップJを得た。該メタクリルシラップJの組成並びに物性を表3にまとめた。
【0170】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりにメタクリルシラップJ100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップJのハーゼン色数を測定した。メタクリルシラップJは、ハーゼン色数並びに平行光線透過率に劣っていた。
【0171】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりにメタクリルシラップJ100部を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、比較用の成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。比較用の成形材料から得られた成形板は、色調並びに耐熱水性に劣っていた。これら測定結果等を表6にまとめた。
【0172】
〔比較例2〕
実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、実施例13にて得られたメタクリルシラップI60部と、TMPTMA40部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップIとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。該混合物は、平行光線透過率に劣っていた。
【0173】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップI60部と、TMPTMA40部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、比較用の成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。比較用の成形材料から得られた成形板は、耐熱水性、耐溶剤性並びに耐ヒートサイクル性に劣っていた。これら測定結果等を表6にまとめた。
【0174】
〔比較例3〕
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、および撹拌機を備えた反応器に、MMA93.4部と、MAA1.6部と、TMPTMA5部とを仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を撹拌しながら80℃に昇温した後、AIBN0.03部と、n−ドデシルメルカプタン0.7部とを添加して、2時間共重合反応を行い、MMA/TMPTMA/MAA共重合体を含むメタクリルシラップを得た。そして、該メタクリルシラップを、比較用のメタクリルシラップKとした。該メタクリルシラップKの組成並びに物性を表3にまとめた。
【0175】
次いで、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップK70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップKとTMPTMAとの混合物のハーゼン色数を測定した。該混合物は、平行光線透過率に劣っていた。
【0176】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップK70部と、TMPTMA30部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、比較用の成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。比較用の成形材料から得られた成形板は、耐熱水性並びに耐ヒートサイクル性に劣っていた。これら測定結果等を表6にまとめた。
【0177】
〔比較例4〕
実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、実施例13にて得られたメタクリルシラップI70部と、St10部と、CHMI20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、2枚の樹脂板を作成し、荷重たわみ温度、平行光線透過率並びに平行光線透過率保持率を測定した。また、上記メタクリルシラップとStとCHMIとの混合物のハーゼン色数を測定した。該混合物は、荷重たわみ温度に劣っていた。
【0178】
続いて、実施例1において用いたメタクリルシラップA100部の代わりに、メタクリルシラップI70部と、St10部と、CHMI20部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作等を行うことにより、比較用の成形材料を得ると共に、厚さ9mmの成形板を作成した。得られた成形板の色調、耐熱水性、耐溶剤性、および、耐ヒートサイクル性を上記の方法によって測定した。比較用の成形材料から得られた成形板は、耐熱水性並びに耐ヒートサイクル性に劣っていた。これら測定結果等を表6にまとめた。
【0179】
【表1】
Figure 0004212704
【0180】
【表2】
Figure 0004212704
【0181】
【表3】
Figure 0004212704
【0182】
【表4】
Figure 0004212704
【0183】
【表5】
Figure 0004212704
【0184】
【表6】
Figure 0004212704
【0185】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、以上のように、液体状樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、該液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の荷重たわみ温度が120℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上である構成である。
【0186】
本発明の請求項2記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、以上のように、厚さ3mmの樹脂板における、25℃のアセトンに30分間浸漬した後の平行光線透過率が、浸漬する前の平行光線透過率に対して80%以上である構成である。
【0187】
本発明の請求項3記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、以上のように、重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体と、単量体とからなる(メタ)アクリルシラップを含む構成である。
【0188】
これにより、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することができるという効果を奏する。
【0189】
本発明の請求項4記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法は、以上のように、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および/または、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、並びに、単量体からなる(メタ)アクリルシラップを含む、請求項1ないし3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒を用いる方法である。
【0190】
本発明の請求項5記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法は、以上のように、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、および/または、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、並びに、単量体からなる(メタ)アクリルシラップを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、上記重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、四級ホスホニウム塩を用いる方法である。
【0191】
これにより、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を製造することができるという効果を奏する。
【0192】
本発明の請求項6記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、以上のように、重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体と、単量体と、多官能単量体および/またはマレイミド化合物を含む構成である。
【0193】
これにより、実質的に無着色であり、耐熱性に優れると共に、硬化時に相分離を生じない(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することができるという効果を奏する。

Claims (4)

  1. 液体状樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、
    該液体状樹脂は、
    重量平均分子量が30,000〜120,000であり、
    二重結合当量が1,000〜8,000であり、
    重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体を含み、
    該(メタ)アクリル系重合体は、
    重合性二重結合の導入を促進するための触媒として、Zn、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒、
    および/または、
    四級ホスホニウム塩を用い、
    カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和エポキシ化合物を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体、
    および/または、
    グリシジル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して不飽和酸を用いて重合性二重結合を導入してなる(メタ)アクリル系重合体であって、かつ、
    該液体状樹脂のハーゼン色数が50以下であり、
    該液体状樹脂を硬化して得られる樹脂板の、JIS K 6911 適用箇条5.35.1に準じて測定した荷重たわみ温度が120℃以上であり、厚さ3mmの樹脂板の平行光線透過率が80%以上であることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  2. 厚さ3mmの樹脂板における、25℃のアセトンに30分間浸漬した後の平行光線透過率が、浸漬する前の平行光線透過率に対して80%以上であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  3. 重合性二重結合を分子内に複数有する(メタ)アクリル系重合体と、単量体と、多官能単量体および/またはマレイミド化合物とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物を硬化させることによって得られる硬化物。
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