JP2022098813A - 硬化性樹脂組成物、その硬化物及び人工大理石 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、その硬化物及び人工大理石 Download PDF

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崇生 新原
Takao Niihara
伸一郎 藤田
Shinichiro Fujita
賢一 青山
Kenichi Aoyama
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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂の良好な成形性を維持したうえで、成形品の強度と外観を劣悪な環境でも維持することができる硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】硬化性樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)エチレン性不飽和単量体、(C)低収縮剤、(D)無機充填材及び(E)硬化剤を含む。(A)熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂を含む。(C)低収縮剤は単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル系単量体とを含有する単量体組成物より形成される三次元共重合体である。単官能性ビニル系単量体組成物はスチレン誘導体及び(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する。不飽和ポリエステル樹脂の含有量は(A)熱硬化性樹脂中18~98質量%である。(D)無機充填材の含有量は(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して130~270質量部である。【選択図】なし

Description

本発明は硬化性樹脂組成物、その硬化物及び人工大理石に関する。
人工大理石成形品は、強度、耐水性、及び高い生産性を有することから、浴槽、キッチンカウンター、キッチンシンク、洗面カウンター等の住宅設備用途において、金属に代わって幅広く採用されている。人工大理石成形品の製造には、一般に、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等を含む樹脂コンパウンドが使用される。人工大理石成形品の成形方法としては、注型法、加熱圧縮成形法等が採用されている。中でも、不飽和ポリエステル樹脂をマトリックス樹脂として含むバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCともいう。)等の成形材料を加熱圧縮成形する手法は、生産性が高いため採用例が増加しており、近年様々な検討が進められている。
一方、熱硬化性樹脂は高い生産性を有する反面、成形品において熱又は衝撃によるクラックが発生することがある。
この問題を改善すべく、様々な検討が進められている。例えば、特許文献1では、シンク裏面にシート状繊維強化プラスチック板を一体成形することで、強度を向上させている。特許文献2では、3次元スチレンポリマを添加することで、クラックが入らず大量生産が可能な人造大理石が開示されている。
特開2008-285917号公報 特開昭63-56555号公報
特許文献1の方法ではマットの位置決め工程の煩雑さ、位置不良による外観不良などの課題がある。特許文献2の方法では着色剤を十分に分散させられず、成形品の色ムラが発生するなどの課題がある。
したがって、本発明は、熱硬化性樹脂の良好な成形性を維持したうえで、成形品の強度と外観を劣悪な環境でも維持することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
(A)熱硬化性樹脂、
(B)エチレン性不飽和単量体、
(C)低収縮剤、
(D)無機充填材、及び
(E)硬化剤
を含む硬化性樹脂組成物であって、
前記(A)熱硬化性樹脂は、(A1)不飽和ポリエステル樹脂及び(A2)ビニルエステル樹脂を含み、
前記(C)低収縮剤が、単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル系単量体とを含有する単量体組成物より形成される三次元共重合体であり、前記単官能性ビニル系単量体組成物が、スチレン誘導体及び(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有し、
前記(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂中、18~98質量%であり、
前記(D)無機充填材の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、130~270質量部である、硬化性樹脂組成物。
[2]
前記(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂中、30~90質量%である[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記(D)無機充填材の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、150~250質量部である[1]又は[2]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記(A2)ビニルエステル樹脂が、ビスフェノール型エポキシ化合物と不飽和一塩基酸との反応物である[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前記(C)低収縮剤の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、3~20質量部である[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
(F)離型剤を更に含む、[1]~[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
(G)繊維強化材を更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
(H)増粘剤を更に含む、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
前記硬化性樹脂組成物がバルクモールディングコンパウンドである[1]~[8]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
[11]
[10]に記載の硬化物を含む人工大理石。
本発明によれば、熱硬化性樹脂の良好な成形性を維持したうえで、成形品の強度と外観を劣悪な環境でも維持することができる硬化性樹脂組成物、並びに該硬化性樹脂組成物を用いて成形される高品質な人工大理石の成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
本開示において、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
「エチレン性不飽和結合」とは、芳香環を形成する炭素原子を除く炭素原子間で形成される二重結合を意味し、「エチレン性不飽和基」とは、エチレン性不飽和結合を有する基を意味し、「エチレン性不飽和単量体」とは、エチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。「ビニル基」とは、CH=CH-を示し、アリル基等の1-アルケニル基は含まない。但し、ビニルエステル樹脂における「ビニル」はこれに限定されない。
<硬化性樹脂組成物>
一実施形態の硬化性樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)エチレン性不飽和単量体、(C)低収縮剤、(D)無機充填材、及び(E)硬化剤を含む。硬化性樹脂組成物は、更に、(F)離型剤、(G)繊維強化材、及び(H)増粘剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有することができる。以下、硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
<(A)熱硬化性樹脂>
(A)熱硬化性樹脂は、(A1)不飽和ポリエステル樹脂及び(A2)ビニルエステル樹脂を含む。
(A)熱硬化性樹脂中の(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、18~98質量%であり、24~95質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましい。(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が18質量%未満であると、低収縮剤の分離による色ムラ又は成形品表面の平滑性の低下により成形品の外観が悪化する。(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が95質量%より大きいと、硬化物が脆くなり落球衝撃性又は熱時割れ性の低下が起こり易くなるおそれがある。
<(A1)不飽和ポリエステル樹脂>
(A1)不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸との重縮合体、又は多価アルコールと不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸との重縮合体である。(A1)不飽和ポリエステル樹脂は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、本開示では一般の不飽和ポリエステル樹脂に含有されるスチレンモノマー等は(B)エチレン性不飽和単量体に分類される。(A1)不飽和ポリエステル樹脂を用いることにより、機械的強度及び耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
多価アルコールは、2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に制限はない。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンタンジオール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等のアルキレングリコール;ビスフェノールA;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA;及びグリセリン等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の耐熱性、機械的強度及び成形時の硬化性樹脂組成物の流動性の観点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンタンジオール、水素化ビスフェノールA及びビスフェノールAが好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。多価アルコールは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
不飽和多塩基酸は、エチレン性不飽和結合を有し、かつ、2個以上のカルボキシ基を有する化合物又はその酸無水物であれば特に限定されず、公知ものを用いることができる。特に、炭素原子数4~6の不飽和多塩基酸又はその酸無水物がより低コストであり、かつ硬化物の機械的強度及び耐熱性により優れる硬化性樹脂組成物が得られるため好ましい。不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロロマレイン酸等が挙げられる。より好ましくは、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸から選ばれる不飽和多塩基酸である。不飽和多塩基酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
多価アルコールと不飽和多塩基酸との好ましい組み合わせとしては、例えば、フマル酸とネオペンタンジオールとの組み合わせ、マレイン酸とジプロピレングリコールとの組み合わせ、無水マレイン酸とプロピレングリコールとの組み合わせ、フマル酸とプロピレングリコールとの組み合わせ、フマル酸と水素化ビスフェノールAとプロピレングリコールとの組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、フマル酸とプロピレングリコールとの組み合わせ、フマル酸と水素化ビスフェノールAとプロピレングリコールとの組み合わせは、より低コストであり、かつ硬化物の熱変形温度がより高く、機械的強度及び耐熱性により優れる硬化性樹脂組成物が得られるため好ましい。
飽和多塩基酸は、エチレン性不飽和結合を有さず、かつ、2個以上のカルボキシ基を有する化合物又はその酸無水物であれば特に限定されず、公知ものを用いることができる。飽和多塩基酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、ニトロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸等の芳香族飽和多塩基酸又はその酸無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、アゼライン酸、グルタル酸等の脂肪族飽和多塩基酸;ヘキサヒドロ無水フタル酸が挙げられる。飽和多塩基酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A1)不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。(A1)不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000~25,000であり、より好ましくは3,000~20,000であり、更に好ましくは3,500~10,000である。重量平均分子量が2,000~25,000であれば、硬化性樹脂組成物の成形性がより一層良好となる。
本開示において「重量平均分子量」及び「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて下記条件にて常温(23℃)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値とする。
装置:昭和電工株式会社製Shodex(登録商標)GPC-101
カラム:昭和電工株式会社製LF-804
カラム温度:40℃
試料:試料の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI-71S
(A1)不飽和ポリエステル樹脂の不飽和度は50~100モル%であることが好ましく、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは70~100モル%である。不飽和度が上記範囲であると、(A1)不飽和ポリエステル樹脂を含む硬化性樹脂組成物の成形性がより良好となる。(A1)不飽和ポリエステル樹脂の不飽和度は、原料として用いた不飽和多塩基酸及び飽和多塩基酸のモル数を用いて、以下の式により算出可能である。
不飽和度(モル%)={(不飽和多塩基酸のモル数×不飽和多塩基酸1分子あたりのエチレン性不飽和結合の数)/(不飽和多塩基酸のモル数+飽和多塩基酸のモル数)}×100
(A1)不飽和ポリエステル樹脂を合成した後の未反応の不飽和多塩基酸及び任意の飽和多塩基酸は、除去されることなく、硬化性樹脂組成物中に存在してよい。本開示では残存した未反応物も、(A1)不飽和ポリエステル樹脂として数量に含める。
<(A2)ビニルエステル樹脂>
(A2)ビニルエステル樹脂は、一般的に、(a)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物中のエポキシ基と、(b)ラジカル重合性不飽和結合及びカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸のカルボキシ基との開環反応によって得られるラジカル重合性不飽和結合を有する化合物である。(A2)ビニルエステル樹脂に関しては、例えば、ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1988年発行)等に記載がある。(A2)ビニルエステル樹脂は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。(A2)ビニルエステル樹脂は、取り扱いの面から一般には、(B)エチレン性不飽和単量体で希釈して使用される。
(A2)ビニルエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は所望する物性によって調整することができるが、取り扱いの面からは500~5,000の範囲が好ましい。
≪(a)エポキシ化合物≫
(a)エポキシ化合物は、2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限はない。好ましくは、ビスフェノール型エポキシ化合物及びノボラックフェノール型エポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、より好ましくはビスフェノール型エポキシ化合物である。(a)エポキシ化合物を原料に用いる(A2)ビニルエステル樹脂を使用することにより、硬化物の機械的強度及び耐食性がより一層向上する。
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びテトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール化合物とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの;上記ビスフェノール化合物のいずれか1つ又は複数をグリシジルエーテル化した化合物と、上記ビスフェノール化合物のいずれか1つ又は複数との縮合物と、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。中でも、耐久性の観点から、ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応物が好ましく、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物がより好ましい。
ノボラックフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックとエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
≪(b)不飽和一塩基酸≫
(b)不飽和一塩基酸は、エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸であれば特に制限はない。好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等であり、より好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸であり、硬化物の耐食性の観点から、更に好ましくはメタクリル酸である。
≪(A2)ビニルエステル樹脂の合成方法≫
(A2)ビニルエステル樹脂は、公知の合成方法により合成することができる。例えば、加熱撹拌可能な反応容器内において、エステル化触媒、及び(a)エポキシ化合物の存在下で(b)不飽和一塩基酸を添加し、70~150℃、好ましくは80~140℃、更に好ましくは90~130℃で反応させる方法が挙げられる。
エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、若しくはジアザビシクロオクタンなどの三級アミン、トリフェニルホスフィン、又はジエチルアミン塩酸塩などの公知の触媒が使用できる。
(a)エポキシ化合物と(b)不飽和一塩基酸の配合比は、(a)エポキシ化合物のエポキシ基の総量1モルに対して、(b)不飽和一塩基酸のカルボキシ基の総量が0.3~1.2モルとなるように配合することが好ましく、0.4~1.1モルがより好ましく、0.5~1.0モルが更に好ましい。(b)不飽和一塩基酸のカルボキシ基の総量が0.3モル以上であると、硬化性樹脂組成物を硬化した際に、十分な硬度を持つ硬化物を得ることができる。一方で、(b)不飽和一塩基酸のカルボキシ基の総量が1.2モル以下であると、(A2)ビニルエステル樹脂を合成する際に、未反応の(b)不飽和一塩基酸を低減できるため、(A)成分及び(B)成分の混合物の酸価を小さくすることができ、密着性のより良好な硬化物を得ることができる。
(A2)ビニルエステル樹脂を合成した後の未反応の(b)不飽和一塩基酸は、除去されることなく、そのまま硬化性樹脂組成物の(B)エチレン性不飽和単量体として使用できる。硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる際に、未反応の(a)エポキシ化合物が残存し、硬化物の架橋密度を低下させ、強度等の物性低下を引き起こすことがあるため、未反応の(b)不飽和一塩基酸の含有量はできるだけ低減した方がよい。例えば、(A2)ビニルエステル樹脂と未反応の(b)不飽和一塩基酸の合計量に対して、未反応の(b)不飽和一塩基酸の含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。本開示では残存した未反応の(b)不飽和一塩基酸は、(B)エチレン性不飽和単量体として数量に含める。
<(B)エチレン性不飽和単量体>
(B)エチレン性不飽和単量体は、エチレン性不飽和結合を有する単量体であれば特に制限はない。(B)エチレン性不飽和単量体は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。(B)エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、アセナフチレン等のビニル化合物;及びメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、(A)熱硬化性樹脂との共重合性の観点から、ビニル化合物が好ましく、スチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、及びメトキシスチレンから選択される一種以上がより好ましく、スチレンが更に好ましい。
(B)エチレン性不飽和単量体の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、5~95質量部であることが好ましく、15~85質量部であることがより好ましく、25~75質量部であることが更に好ましい。(B)エチレン性不飽和単量体の含有量が5質量部以上であると、硬化性樹脂組成物の粘度を適正範囲に調整することができ、成形性が良好である。(B)エチレン性不飽和単量体の含有量が95質量部以下であると、硬化物の機械的強度が良好である。
<(C)低収縮剤>
(C)低収縮剤は、単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル系単量体とを含有する単量体組成物より形成される三次元共重合体である。単量体は、必要に応じて(A)熱硬化性樹脂と反応する反応基、例えばペルオキシ結合供与体を含有してもよい。
単官能性ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;フマル酸(ジ)メチル、フマル酸(ジ)エチル、フマル酸(ジ)イソプロピル、フマル酸(ジ)ブチル、フマル酸(ジ)シクロヘキシル等のフマル酸モノエステル又はフマル酸ジエステル;及び酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステルを挙げることができる。
成形品の色ムラ及び変色を改善する観点から、単官能性ビニル系単量体は、スチレン誘導体及び(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する。単官能性ビニル系単量体は、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルを含有することが好ましい。単官能性ビニル系単量体は、三種以上を併用してもよい。
多官能性ビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等のジビニルベンゼン化合物;エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル、アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル等の一分子中に重合可能なエチレン性不飽和結合が二つ以上存在するものを挙げることができる。多官能性ビニル系単量体は、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジビニルベンゼン化合物、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート及びアリル(メタ)アクリレートが好ましく、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
三次元共重合体には、必要に応じて(A)熱硬化性樹脂と反応する反応基が導入されていてもよい。反応基の種類としては特に限定されないが、三次元共重合体の製造に使用される単量体としてペルオキシ結合供与体を使用することにより、ペルオキシ結合の形で三次元共重合体に導入されていることが好ましい。この実施形態では、硬化性樹脂組成物の硬化時に、ペルオキシ結合が分解する際に発生する遊離ラジカルにより(A)熱硬化性樹脂と(C)低収縮剤とが界面で反応するため、両者の界面剥離が抑制される。その結果、成形品のクラックが抑制され、透明性、耐煮沸性等が大幅に向上する。
三次元共重合体中にペルオキシ結合を導入する方法は特に限定されず、ペルオキシ結合が三次元共重合体にペンダントしていてもよく、三次元共重合体の主鎖中に組み込まれていてもよく、三次元共重合体の分子末端に結合していてもよい。以下、ビニル系三次元共重合体中にペルオキシ結合を導入する一般的な三種類の方法について説明する。
第一の方法は、ペルオキシ結合供与体としてペルオキシ結合含有ビニル系単量体を共重合させて三次元共重合体を生成させる方法である。この方法ではペルオキシ結合が三次元共重合体にペンダントした形で導入される。ペルオキシ結合含有ビニル系単量体としては、例えば、t-ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t-アミルペルオキシメタクロイロキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシアリルカーボネート、t-アミルペルオキシアリルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシアリルカーボネート、t-ブチルペルオキシアリルオキシエチルカーボネート、t-アミルペルオキシアリルオキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシアリルオキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシエチルフマレート、t-アミルペルオキシエチルフマレート、t-ヘキシルペルオキシエチルフマレート、t-ブチルペルオキシイソプロピルフマレート、t-アミルペルオキシイソプロピルフマレート、t-ヘキシルペルオキシイソプロピルフマレート、t-ブチルペルオキシシクロヘキシルフマレート、t-アミルペルオキシシクロヘキシルフマレート、t-ヘキシルペルオキシシクロヘキシルフマレート、t-ブチルペルオキシクロトネート、及びt-アミルペルオキシクロトネートを挙げることができる。ペルオキシ結合含有ビニル系単量体は、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
第二の方法は、一分子中に二個以上のペルオキシ結合を有するポリメリックペルオキシドをペルオキシ結合供与体として用いるものである。この方法では、ポリメリックペルオキシド中のペルオキシ結合の一部を開裂させて三次元共重合体を生成させ、三次元共重合体中にポリメリックペルオキシド中のペルオキシ結合を残存させる形で三次元共重合体中にペルオキシ結合が導入される。ポリメリックペルオキシドとしては、特に限定されないが、例えば、式(1)及び(2)で示されるものが代表的である。ポリメリックペルオキシドは、三次元共重合体の重合時の重合温度等を考慮して、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
Figure 2022098813000001
Figure 2022098813000002
第三の方法は、特開平5-194621号公報及び特開平5-213863号公報に開示されたペルオキシケタールをペルオキシ結合供与体として用いて三次元共重合体の重合を行うものである。この方法では、ペルオキシケタールの熱分解により新たに生成するペルオキシエステル結合が三次元共重合体の分子末端に導入される。ペルオキシケタールとしては、例えば、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-アミルペルオキシ-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ヘキシルペルオキシ-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-オクチルペルオキシ-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-プロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-アミルペルオキシ-2-プロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ヘキシルペルオキシ-2-プロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-オクチルペルオキシ-2-プロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-アミルペルオキシ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ヘキシルペルオキシ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-オクチルペルオキシ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-ブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-アミルペルオキシ-2-ブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ヘキシルペルオキシ-2-ブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-オクチルペルオキシ-2-ブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-アミルペルオキシ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ヘキシルペルオキシ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-オクチルペルオキシ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-メチルシクロペンタン、及び1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-2-プロピルシクロペンタンが挙げられる。ペルオキシケタールは、三次元共重合体の重合時の重合温度等を考慮して、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
三次元共重合体にペルオキシ結合が導入される場合、三次元共重合体中における活性酸素量は0.01質量%~1質量%であることが好ましい。三次元共重合体中における活性酸素量が0.01質量%以上であれば、三次元共重合体に反応点が十分に存在して、成形品を製造した時に硬化後の樹脂と三次元共重合体の間で界面剥離が生じない。そのため、透明性及び機械強度が良好な成形品を得ることができる。三次元共重合体中における活性酸素量が1%以下であれば、硬化が均一に進行してクラック発生を抑制することができる。本開示における活性酸素量とは、三次元共重合体のペルオキシ結合が分解する際に発生する遊離ラジカルの数量を示す指針となる値であり、以下の測定方法及び式により決定される。
(活性酸素量の測定方法)
三次元共重合体(試料)を0.2g精秤し、300mL容量の梨型フラスコに入れる。これにベンゼン20mLを加え、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌する。これにイソプロピルアルコール20mLと氷酢酸2mLと飽和ヨウ化カリウム2mLを加え、3分間煮沸する。得られた煮沸物をN/100チオ硫酸ナトリウム溶液にてヨードの色が消えるまで滴定して、以下の式により活性酸素量を求める。
活性酸素量(%)=(A×F×0.00008/S)×100
A:N/100チオ硫酸ナトリウム溶液の滴下量(mL)
F:N/100チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
S:試料(g)
多官能性ビニル系単量体は、三次元共重合体の架橋密度が好ましくは0.01~10%、更に好ましくは0.1~5%になるような量で使用される。三次元共重合体の架橋密度が0.01%以上であれば、(B)エチレン性不飽和単量体に対する三次元共重合体の溶解度が適度に抑制されて三次元共重合体が膨潤しやすくなり、得られる成形品におけるクラック発生を抑制することができる。三次元共重合体の架橋密度が10%以下であれば、三次元共重合体が(B)エチレン性不飽和単量体で膨潤して収縮防止能を呈するため、成形品におけるクラック発生を抑制することができる。本開示における架橋密度とは、架橋剤として最も一般的に用いられているジビニルベンゼンの質量基準の添加量に換算して、以下の式より決定される。
架橋密度(%)=(a/100)×(130/b)×(c/2)×100
a:単官能性ビニル系単量体100質量部に対する多官能性ビニル系単量体の添加量(質量部)
b:多官能性ビニル系単量体の分子量
c:多官能性ビニル系単量体中の、単官能性ビニル系単量体と重合可能なエチレン性不飽和結合の数
単官能性ビニル系単量体、多官能性ビニル系単量体及び任意で使用されるペルオキシ結合供与体の種類及び割合は、三次元共重合体の屈折率(nD)が1.50~1.58の範囲になるように選択されることが好ましい。屈折率が上記範囲であれば硬化後の樹脂成分及び充填材との屈折率の差が小さくなり、透明性の良好な成形品を得ることができる。
三次元重合体の平均粒子径は好ましくは1~100μmの範囲、より好ましくは10~75μmの範囲である。平均粒子径が1μm以上であると作業性が良好であり、100μm以下であると、成形品の表面平滑性が良好である。
三次元共重合体の製造方法としては、ラジカル重合開始剤を用いる、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等の任意の重合法を挙げることができる。工業的には懸濁重合法が最も好ましい。上記第一の方法で使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物;及び過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物を挙げることができる。ラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。ラジカル重合開始剤の選択としては、10時間半減期温度が50~130℃であるものが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量は三次元共重合体を構成する単量体の全成分に対して0.1~5質量%であることが好ましい。上記第二の方法ではポリメリックペルオキシドがラジカル重合開始剤としても作用し、上記第三の方法ではペルオキシケタールがラジカル重合開始剤としても作用する。第二の方法及び第三の方法において、第一の方法で用いるラジカル重合開始剤を併用してもよい。この場合、ラジカル重合開始剤の使用量は三次元共重合体を構成する単量体の全成分に対して0.1~30質量%であることが好ましい。本開示における有機過酸化物の10時間半減期温度とは、ラジカルに対して比較的不活性な溶媒(例えばベンゼン)中で有機過酸化物の熱分解を行ったときに、10時間で有機過酸化物の活性酸素量が半分になる温度を意味する。10時間半減期温度は、所望する重合温度に適した重合開始剤を選択するときの目安になる。
重合に際して懸濁剤を用いてもよい。懸濁剤としては、特に限定されないが、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の親水性有機高分子;及び第三リン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の難溶性無機塩が挙げられる。難溶性無機塩を使用する場合は、陰イオン界面活性剤を併用することが好ましい。陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、及びアルキルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。懸濁剤及び陰イオン界面活性剤の種類及び使用量は、目的とする三次元共重合体の平均粒子径に応じて適宜選択することができる。三次元共重合体の平均粒子径の調整は、生成した三次元共重合体の機械的手段による粉砕等により行うこともできる。
硬化性樹脂組成物を製造する場合に、三次元共重合体を組成物中に均一に分散かつ膨潤させるために、(A)熱硬化性樹脂等の成分に三次元共重合体を直接配合して混合及び撹拌してもよく、予め三次元共重合体をスチレン等の(B)エチレン性不飽和単量体で膨潤させて得られたゲル状物を配合してもよい。
(C)低収縮剤の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、3~20質量部であることが好ましく、3~15質量部であることがより好ましく、3~13質量部であることが更に好ましい。(C)低収縮剤の含有量が3質量部以上であれば、成形品の収縮率が抑制されクラックが入り難くなる。(C)低収縮剤の含有量が20質量部以下であれば、硬化性樹脂組成物が適度な粘度となり作業性が良好となる。
<(D)無機充填材>
(D)無機充填材としては、本発明の技術分野において公知の粒子状物質を用いることができる。(D)無機充填材を使用することで、成形品の成形収縮率を小さくする、硬化性樹脂組成物の粘度を調整して作業性を向上させる、あるいは成形品の強度を向上させることができる。(D)無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、クレー、カオリン、マイカ、石膏、無水ケイ酸、ガラス粉末等が挙げられる。これらの中でも、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムが安価であるため好ましい。(D)無機充填材は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(D)無機充填材の平均粒子径は、1~100μmであることが好ましく、1~60μmであることがより好ましく、1~50μmであることが更に好ましい。(D)無機充填材の平均粒子径が1μm以上であれば、粒子の凝集を抑制することができる。一方、(D)無機充填材の平均粒子径が100μm以下であれば、硬化性樹脂組成物の成形性が良好である。本開示において「平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会製、FRA)によって測定される体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)である。
(D)無機充填材の形状は、特に制限されない。例えば、略真球、楕円体、鱗片状、無定形等が挙げられる。
(D)無機充填材の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、130~270質量部であり、150~250質量部であることが好ましい。(D)無機充填材の含有量が130質量部未満であると、硬化性樹脂組成物の加熱硬化時に粘度が著しく低下することで低収縮剤の分離が起こり易くなり、成形品の色ムラが発生するとともに、表面平滑性が悪化する。(D)無機充填材の含有量が270質量部より大きいと、成形品に熱がかかるとクラックが発生するおそれがある。
<(E)硬化剤>
(E)硬化剤としては、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート等の過酸化物が挙げられる。これらの過酸化物の中でも、1,1-ジ-t-ヘキシルパーオキシ-シクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、及びジ-t-ブチルパーオキサイドが好ましい。(E)硬化剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(E)硬化剤の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~10質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることが更に好ましい。(E)硬化剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性樹脂組成物の成形時の硬化反応が均一に進行し、硬化物の物性及び外観が良好となる。(E)硬化剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好となり、取り扱い性が向上する。
<(F)離型剤>
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて(F)離型剤を含有してもよい。(F)離型剤としては、例えば、炭素原子数10~30の脂肪酸及びその塩、シリコーンオイル、合成ワックスなどを用いることができる。これらの中でも、(A1)不飽和ポリエステル樹脂との相溶性に優れることから、炭素原子数10~30の脂肪酸又はその塩を用いることが好ましい。炭素原子数10~30の脂肪酸及びその塩としては、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アミド、及びオレイン酸アミドが挙げられる。(F)離型剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(F)離型剤を使用する場合、(F)離型剤の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましく、2~8質量部であることがより好ましく、3~7質量部であることが更に好ましい。(F)離型剤の含有量が1質量部以上であると、硬化物の離型性が良好である。(F)離型剤の含有量が10質量部以下であると、金型への離型剤成分の付着が少なく生産性に優れた熱硬化性樹脂を得ることができる。
<(G)繊維強化材>
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて(G)繊維強化材を含有してもよい。(G)繊維強化材としては、アスペクト比が3以上の繊維状物質であれば特に限定されない。アスペクト比は、JIS Z 8900-1:2008「粒子径測定装置検定用粒子」に記載されている顕微鏡法によって測定することができる。(G)繊維強化材としては、具体的には、ガラス繊維、好ましくはチョップドストランドガラスが挙げられる。
(G)繊維強化材の繊維長は、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。繊維長が20mm以下であると、硬化性樹脂組成物の成形性が良好であり、硬化物の外観が良好である。繊維長は、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることが更に好ましい。繊維長が0.1mm以上であると、硬化物の強度が良好である。(G)繊維強化材の平均繊維径は、3~100μmであることが好ましく、5~30μmであることがより好ましい。
(G)繊維強化材を使用する場合、(G)繊維強化材の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、1~300質量部であることが好ましく、5~100質量部であることがより好ましく、10~50質量部であることが更に好ましい。(G)繊維強化材の含有量が1質量部以上であれば、硬化性樹脂組成物により得られる成形品の機械的特性がより良好である。(G)繊維強化材の含有量が300質量部以下であれば、硬化性樹脂組成物中で(G)繊維強化材がより均一に分散し、均質な成形品を製造することができる。
<(H)増粘剤>
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて(H)増粘剤を含有してもよい。(H)増粘剤としては、増粘効果を示す化合物を用いることができる。(H)増粘剤としては、例えば、金属化合物、及びイソシアネート化合物が挙げられる。金属化合物としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び酸化カルシウムが挙げられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートのアロファネート体、ビュレット体、トリマー体;及びフェニルイソシアネート、イアソシアナトエチルメタクリレート等のモノイソシアネートが挙げられる。
(H)増粘剤としては、硬化性樹脂組成物の酸化を抑制して、金型表面と硬化性樹脂組成物との反応を抑制することによる離型性向上効果が得られるため、金属化合物の中でも、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つを用いることが好ましく、酸化マグネシウムを用いることがより好ましい。(H)増粘剤としては、上記化合物を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(H)増粘剤の含有量は、(A)熱硬化性樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることが更に好ましい。(H)増粘剤の含有量が0.1質量部以上であると、(H)増粘剤を含有させることによる増粘効果及び離型性向上効果を得ることができる。(H)増粘剤の含有量が5質量部以下であると、流動性の低下による成形性の劣化を抑制することができる。
<(I)その他添加剤>
硬化性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、着色剤、重合禁止剤、減粘剤などの粘度調整剤等の本発明の技術分野において公知の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において含むことができる。
着色剤は、硬化物を着色する場合等に用いられる。着色剤として、各種の染料、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。着色剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。着色剤の添加量は、硬化物に所望される着色度合いによって適宜調整することができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、ナフトキノン、t-ブチルハイドロキノン、カテコール、p-t-ブチルカテコール、及び2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールが挙げられる。重合禁止剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。重合禁止剤の添加量は、硬化性樹脂組成物の保管環境及び期間、硬化条件等に応じて適宜調整することができる。
<硬化性樹脂組成物の製造方法>
硬化性樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)エチレン性不飽和単量体、(C)低収縮剤、(D)無機充填材、及び(E)硬化剤を混合することにより製造することができる。硬化性樹脂組成物には、更に(F)離型剤、(G)繊維強化材、(H)増粘剤、及びその他添加剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分を混合することができる。混合方法としては、例えば、混練が挙げられる。混練方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、ディスパー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。混練温度は、好ましくは5℃~50℃であり、より好ましくは10~40℃である。
硬化性樹脂組成物を製造する際の各成分を混合する順番については特に制限はない。例えば、(A)熱硬化性樹脂と、(B)エチレン性不飽和単量体の一部又は全部を混合してから他の成分を混合すると、各成分が十分に分散、あるいは均一に混合された硬化性樹脂組成物が得られやすいため好ましい。(B)エチレン性不飽和単量体の少なくとも一部が、溶媒、分散媒等として作用するように、(A)熱硬化性樹脂と予め混合されていてもよい。
(G)繊維強化材を使用する場合の混合方法としては、あらかじめ所定の繊維長分布を有する(G)繊維強化材を用意し、(G)繊維強化材以外の各成分を含む組成物に(G)繊維強化材を混合する方法が挙げられる。この方法によれば、(G)繊維強化材の繊維長分布を微調整することができる。他に、(G)繊維強化材を含む硬化性樹脂組成物を調製した後、混練により(G)繊維強化材を折損させて所定の繊維長分布を実現する方法が挙げられる。(G)繊維強化材の繊維長分布は、混練する他の成分の種類及び量、撹拌機の種類、撹拌速度、撹拌温度、撹拌時間などの条件で制御可能である。この方法は(G)繊維強化材の折損を予め行う必要がないため、工程が簡易である。
一実施形態では、硬化性樹脂組成物は、バルクモールディングコンパウンドの形態で提供される。
<硬化物の製造方法>
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて加熱することにより硬化させることができる。硬化性樹脂組成物を硬化させる条件は、用いる材料によって適宜設定することができ、好ましい条件の一例としては、温度120~180℃、より好ましくは温度120℃~160℃及び硬化時間1~30分である。
<成形品の製造方法>
硬化性樹脂組成物を、所望の形状に成形して硬化することによって、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む成形品を製造することができる。成形及び硬化方法としては、特に限定されず、本発明の技術分野において通常行われる方法、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等を用いることができる。
一実施形態によれば、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む人工大理石が提供される。人工大理石は成形品であってもよい。
硬化性樹脂組成物の成形及び硬化方法としては、特に制限されないが、例えば、金型を開き、金型内に硬化性樹脂組成物を注ぎ込み、硬化させる方法、金型内を減圧下、又は射出成形に代表されるような、金型の外側から圧力をかけた状態で、スプルー等の金型に設けられた孔を通じて、閉じた金型内に外部から硬化性樹脂組成物を注入し、硬化させる方法等がある。金型内で硬化性樹脂組成物を硬化させる条件は、用いる材料によって適宜設定することができ、好ましい条件の一例としては、温度120~180℃、より好ましくは温度120℃~160℃及び硬化時間1~30分である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(A)熱硬化性樹脂の合成例を以下に示す。
[合成例1] (A1)不飽和ポリエステル樹脂の合成
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、無水マレイン酸0.93kg(9.5モル)と、無水フタル酸0.07kg(0.5モル)と、プロピレングリコール0.76kg(10モル)とを仕込んだ。そして、窒素ガス気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温してエステル化反応を行い、不飽和ポリエステル樹脂を得た。その後スチレンモノマーを、不飽和ポリエステル樹脂とスチレンモノマーの合計に対して30質量%となるように添加し、不飽和ポリエステル樹脂とスチレンの混合物を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和度95モル%、重量平均分子量8,000であった。
[合成例2] (A2)ビニルエステル樹脂の合成
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER-2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)478.9g、及びメチルハイドロキノン0.35gを溶解させたメタクリル酸73.1gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100~110℃になった時点で、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(セイクオール(登録商標)TDMP、精工化学株式会社製)1.4gを溶解させたメタクリル酸146.2gを30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が30mgKOH/g以下になった時点で冷却し、スチレン389gとハイドロキノン0.1gを加え、スチレンを47質量%含むビスフェノールA型ビニルエステル樹脂を合成した。数平均分子量は620であった。
「重量平均分子量」及び「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて下記条件にて常温(23℃)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値とした。
装置:昭和電工株式会社製Shodex(登録商標)GPC-101
カラム:昭和電工株式会社製LF-804
カラム温度:40℃
試料:試料の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI-71S
その他成分については、以下のものを用いた。
(B)エチレン性不飽和単量体:
スチレン(出光興産株式会社製)
(C)低収縮剤:
モディパーM202S(反応性基を有するスチレン・アクリル系多元共重合物、日油株式会社製)
デュオマスターMS-200(ポリスチレン、積水化成品工業株式会社製)
SGP-70C(架橋ポリスチレン、綜研化学株式会社製)
(D)無機充填材:
B103(水酸化アルミニウム、平均粒子径7μm、日本軽金属業株式会社製)
(E)硬化剤:
パーヘキシルI(t-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、日油株式会社製)
(F)離型剤:
ステアリン酸カルシウム(日油株式会社製)
(G)繊維強化材:
CS 3 E-227(チョップドストランドガラス、繊維径11μm、繊維長3mm、日東紡績株式会社製)
(H)増粘剤:
マグミック(酸化マグネシウム、協和化学工業株式会社製)
(I)その他添加剤:着色剤
タイペークA-220(二酸化チタン、石原産業株式会社製)
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物の作製)
(A)熱硬化性樹脂として合成例1で合成した不飽和ポリエステル樹脂41部、合成例2で合成したビニルエステル樹脂16部、(B)エチレン性不飽和単量体としてスチレン43部、(C)低収縮剤13質量部、(D)無機充填材210質量部、(E)硬化剤1.8質量部、(F)離型剤5質量部、(G)繊維強化材35質量部、(H)増粘剤0.8質量部、及び(I)着色剤1質量部を双腕式ニーダーに投入し、30分間30℃にて混練して硬化性樹脂組成物を調製した。
(成形品の作製)
下記条件にて硬化性樹脂組成物を成形することにより得た成形品を各種試験に利用した。
成形機:150トン圧縮成形機(株式会社大阪ジャッキ製作所製)
成形金型:320mm×220mm t6mm平板成形用金型
成形金型温度:意匠面側140℃、裏面側120℃
成形圧力:80kgf/cm
加圧時間:420秒
試料量:720g
(成形時のクラック)
上記成形品に対し、表面を染色浸透探傷剤(株式会社タセトカラーチェック 浸透液 FP-S 450型 FPS450)で染色した後に乾いたウエスで拭き取り、成形品に生じうるクラックに染色液が浸透したか否かを確認した。染色液の浸透によるクラックが確認できないものを良、確認できたものを不良とした。
(成形品外観-色ムラ)
上記成形品に対し、意匠面側の表面に目視で色ムラが確認できず均一なものを良、若干の色ムラを確認できるものを可、顕著な色ムラを確認できるものを不良とした。
(成形品外観-平滑性)
上記成形品に対し、意匠面側に蛍光灯を映し、映した蛍光灯の歪みが少ないものを良、中程度の歪みのものを可とした。歪みが大きい又は成形品表面の凹凸により蛍光灯が映らないものを不良とした。
(熱水浸漬後変色)
上記成形品から約80mm角の試験片を切り出し、約98℃の熱水に48時間浸漬した後に試験片表面の水分を拭き取り、23℃/50%RHの環境に72時間静置した。試験前後の意匠面側の試験片の変色を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製 CM-2600d)を用いて確認した。ΔEが1.5以下のものを良、ΔEが1.5よりも大きいものを不良とした。
(落球衝撃高さ)
上記成形品に対し、意匠面側の中央部に1kgの鋼球を高さを変化させながら自由落下させ、意匠面側にクラックが生じない最大高さを落球衝撃高さ(cm)とした。
(熱時割れ性)
上記成形品に対し、意匠面側に280℃に加熱した油を入れた鍋を20分間置き、成形品の表裏を貫通するクラックがないものを良、貫通するクラックが生じたものを不良とした。
[実施例2~3、比較例1~7]
表1に記載の組成を用いる以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして成形品を作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022098813000003
表1に示すとおり、実施例1~3では、熱又は湿度による変色及び平滑性低下といった外観不良が抑制されており、且つ熱又は衝撃に対する耐クラック性も有する成形品が得られている。
比較例1では(C)低収縮剤を加えていないため、成形品にクラックが発生し、平滑性も不良であった。(C)低収縮剤を添加しないため成形品の収縮率が大きいためと考えられる。
比較例2及び3では(C)低収縮剤としてスチレン・アクリル系多元共重合物の架橋粉末の代わりに、ポリスチレン又は架橋ポリスチレンを添加した。これらの例では色ムラが生じ、熱水浸漬後の変色も大きかった。スチレン・アクリル系多元共重合物の架橋粉末のアクリル成分により着色性が改善され、反応性基により変色も抑制されたものと考えられる。
比較例4は(A1)不飽和ポリエステル樹脂が少ない系である。比較例4では成形品外観(色ムラ及び平滑性)が劣る。
比較例5は(A2)ビニルエステル樹脂を含まない系である。比較例5では落球衝撃の耐久性及び熱時割れ性が低下し、熱水浸漬後の変色も大きかった。ビニルエステル樹脂を含むことで、成形品の耐久性が向上すると考えられる。
比較例6及び7は(D)無機充填材が少ない又は多い系である。無機充填材が少ないと、成形品外観(色ムラ及び平滑性)が劣る(比較例6)。無機充填材が多いと熱時割れ性が低下する。
実施例1~3の組成は人工大理石成形品向けのBMC(バルクモールディングコンパウンド)として用いられるのに適しており、外観に優れ耐久性が高い高品質な成形品を提供することができる。
本発明によれば、圧縮成形による高い生産性を有するBMC材料において、人工大理石用成形品に優れた外観及び高い耐久性を付与することができる。このような人工大理石用成形品は浴槽、キッチンカウンター、キッチンシンク、洗面カウンター等の住宅設備用途に好適に用いられる。

Claims (11)

  1. (A)熱硬化性樹脂、
    (B)エチレン性不飽和単量体、
    (C)低収縮剤、
    (D)無機充填材、及び
    (E)硬化剤
    を含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記(A)熱硬化性樹脂は、(A1)不飽和ポリエステル樹脂及び(A2)ビニルエステル樹脂を含み、
    前記(C)低収縮剤が、単官能性ビニル系単量体と多官能性ビニル系単量体とを含有する単量体組成物より形成される三次元共重合体であり、前記単官能性ビニル系単量体組成物が、スチレン誘導体及び(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有し、
    前記(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂中、18~98質量%であり、
    前記(D)無機充填材の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、130~270質量部である、硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A1)不飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂中、30~90質量%である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(D)無機充填材の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、150~250質量部である請求項1又は2のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(A2)ビニルエステル樹脂が、ビスフェノール型エポキシ化合物と不飽和一塩基酸との反応物である請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(C)低収縮剤の含有量が、前記(A)熱硬化性樹脂及び前記(B)エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、3~20質量部である請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. (F)離型剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. (G)繊維強化材を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. (H)増粘剤を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記硬化性樹脂組成物がバルクモールディングコンパウンドである請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  11. 請求項10に記載の硬化物を含む人工大理石。
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WO2024024213A1 (ja) * 2022-07-29 2024-02-01 株式会社レゾナック 熱硬化性樹脂組成物、及び成形品

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