JP3004571B2 - (メタ)アクリルシラップおよびその製造方法並びに(メタ)アクリルシラップを含む成形材料 - Google Patents

(メタ)アクリルシラップおよびその製造方法並びに(メタ)アクリルシラップを含む成形材料

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JP3004571B2
JP3004571B2 JP7260530A JP26053095A JP3004571B2 JP 3004571 B2 JP3004571 B2 JP 3004571B2 JP 7260530 A JP7260530 A JP 7260530A JP 26053095 A JP26053095 A JP 26053095A JP 3004571 B2 JP3004571 B2 JP 3004571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
シラップおよびその製造方法、並びに、(メタ)アクリ
ルシラップを含む成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリルシラップを含む成形
材料が広く一般に用いられている。上記のアクリルシラ
ップとして、例えば、特公昭64-11652号公報には、カル
ボキシル基を含有する重合体と、複数の官能基を含有す
る架橋性単量体とを含む架橋型のアクリルシラップが開
示されており、また、特公昭61-24357号公報には、カル
ボキシル基を含有するアクリルシラップが開示されてい
る。さらに、例えば、特公昭 53-2189号公報には、シラ
ップに残存するチオール化合物を無水マレイン酸および
塩基性化合物を用いて処理してなるシラップが開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のアクリルシラップは、成形材料とした場合に、貯蔵
安定性(いわゆるシェルフライフ)に劣る。また、アク
リルシラップを含む成形材料を硬化させるのに長時間を
有すると共に、該成形材料を成形してなる成形品が耐熱
性および耐溶剤性に劣るという問題点を有している。さ
らに、カルボキシル基を含有しないアクリルシラップに
おいては、該アクリルシラップを製造するのに長時間を
有するという問題点も有している。そこで、これら問題
点が解消された(メタ)アクリルシラップ、およびその
製造方法、並びに、該(メタ)アクリルシラップを含む
成形材料が切望されている。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その第一の目的は、成形材料とした場合
の貯蔵安定性に優れた(メタ)アクリルシラップを提供
することにある。また、第二の目的は、該(メタ)アク
リルシラップを従来と比較して短時間で製造することが
できる製造方法を提供することにある。さらに、第三の
目的は、従来と比較して短時間で硬化させることがで
き、かつ、耐熱性、耐溶剤性、耐候性および耐水性等の
各種物性に優れた成形品を得ることができる成形材料を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく、(メタ)アクリルシラップおよびそ
の製造方法、並びに、(メタ)アクリルシラップを含む
成形材料について鋭意検討した。その結果、(メタ)ア
クリル酸エステルを含む単量体成分と、カルボキシル基
を含有するビニル単量体とをチオール化合物の存在下で
重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩基
性化合物を用いて処理してなる(メタ)アクリルシラッ
プ、並びに、上記の(メタ)アクリル酸エステルを含む
単量体成分をチオール化合物の存在下で重合した後、該
反応混合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用い
て処理すると共に、該反応混合物に上記のカルボキシル
基を含有するビニル単量体を添加してなる(メタ)アク
リルシラップが、成形材料とした場合の貯蔵安定性(い
わゆるシェルフライフ)に優れていることを見い出し
た。また、上記の(メタ)アクリルシラップを含む成形
材料を成形することにより、耐熱性、耐溶剤性、耐候性
および耐水性等の各種物性に優れた成形品を得ることが
できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】即ち、請求項1記載の発明の(メタ)アク
リルシラップの製造方法は、上記の課題を解決するため
に、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分と、
カルボキシル基を含有するビニル単量体とをチオール化
合物の存在下で重合した後、該反応混合物を無水マレイ
ン酸および塩基性化合物を用いて処理することを特徴と
している。
【0007】請求項2記載の発明の(メタ)アクリルシ
ラップの製造方法は、上記の課題を解決するために、
(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をチオー
ル化合物の存在下で重合した後、該反応混合物を無水マ
レイン酸および塩基性化合物を用いて処理すると共に、
該反応混合物にカルボキシル基を含有するビニル単量体
を添加することを特徴としている。
【0008】上記の方法によれば、カルボキシル基を含
有するビニル単量体を用いると共に、反応混合物を無水
マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理することに
より、成形材料とした場合の貯蔵安定性に優れた(メ
タ)アクリルシラップを従来と比較して短時間で製造す
ることができる。
【0009】また、請求項3記載の発明の(メタ)アク
リルシラップは、上記の課題を解決するために、請求項
1および請求項2の少なくとも何れか1項に記載の製造
方法によりなることを特徴としている。上記の構成によ
れば、成形材料とした場合の貯蔵安定性に優れた(メ
タ)アクリルシラップを提供することができる。
【0010】さらに、請求項4記載の発明の成形材料
は、上記の課題を解決するために、請求項1および請求
項2の少なくとも何れか1項に記載の製造方法によりな
る(メタ)アクリルシラップを含むことを特徴としてい
る。請求項5記載の発明の成形材料は、上記の課題を解
決するために、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量
体成分をチオール化合物の存在下で重合した後、該反応
混合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処
理してなる(メタ)アクリルシラップと、カルボキシル
基を含有するビニル単量体とを含むことを特徴としてい
る。請求項6記載の発明の成形材料は、上記の課題を解
決するために、請求項4または5記載の成形材料におい
て、増粘剤と、コハク酸誘導体とをさらに含むことを特
徴としている。
【0011】上記の構成によれば、従来と比較して短時
間で硬化させることができ、かつ、耐熱性、耐溶剤性、
耐候性および耐水性等の各種物性に優れた成形品を得る
ことができる成形材料を提供することができる。
【0012】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる(メタ)アクリルシラップは、(メタ)アクリル
酸エステルを含む単量体成分と、カルボキシル基を含有
するビニル単量体とをチオール化合物の存在下で重合し
た後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩基性化合
物を用いて処理してなっている。或いは、本発明にかか
る(メタ)アクリルシラップは、上記の(メタ)アクリ
ル酸エステルを含む単量体成分をチオール化合物の存在
下で重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸および
塩基性化合物を用いて処理すると共に、該反応混合物に
上記のカルボキシル基を含有するビニル単量体を添加し
てなっている。
【0013】上記の単量体成分は、(メタ)アクリル酸
エステルを含むと共に、必要に応じてビニル化合物(モ
ノマー)を含んでいる。上記の(メタ)アクリル酸エス
テルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。また、本発明におい
て、(メタ)アクリル酸エステルには、(メタ)アクリ
ルアミド等も含まれるものとする。これら(メタ)アク
リル酸エステルは、単独で用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示の化合物の
うち、メチルメタクリレート、および、メチルメタクリ
レートを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが特
に好ましい。メチルメタクリレートを主成分とすること
により、(メタ)アクリルシラップを含む成形材料を成
形してなる成形品の耐候性、透明性、表面の光沢等の各
種物性や、外観、安全性等をより一層向上させることが
できる。
【0014】上記のビニル化合物としては、カルボキシ
ル基を含有しない化合物であればよく、具体的には、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、クロロスチレン、酢酸ビニル、アリルアルコール、
エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレング
リコールモノアリルエーテル等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらビニル化合物は、一種類
のみを混合してもよく、また、二種類以上を適宜組み合
わせて混合してもよい。(メタ)アクリル酸エステルに
ビニル化合物を混合する場合における両者の混合割合、
即ち、上記単量体成分におけるビニル化合物の含有量
は、ビニル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステル
との組み合わせ等にもよるが、50重量%以下が好まし
い。
【0015】上記カルボキシル基を含有するビニル単量
体(以下、単にビニル単量体と記す)としては、一分子
中に、重合可能な二重結合と、カルボキシル基とを含有
する化合物であればよく、具体的には、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボ
ン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸等の不飽和ジカルボン酸、およびこれら不飽和ジカル
ボン酸のモノエステル等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。これらビニル単量体は、単独で用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。
【0016】単量体成分とビニル単量体との割合(比
率)は、両者の合計量を 100重量%として、単量体成分
は80重量%〜99.5重量%の範囲内が好ましく、一方、ビ
ニル単量体は 0.5重量%〜20重量%の範囲内が好まし
く、 1.0重量%〜15重量%の範囲内がより好ましく、
1.5重量%〜10重量%の範囲内がさらに好ましい。ビニ
ル単量体を上記の範囲内で用いることにより、(メタ)
アクリルシラップを従来と比較して短時間で製造するこ
とができると共に、該(メタ)アクリルシラップを含む
成形材料を成形してなる成形品の耐熱性等の各種物性を
向上させることができる。また、該成形材料を従来と比
較して短時間で硬化させることができると共に、硬化物
(成形品)の平均分子量が大きくなる。ビニル単量体の
割合が 0.5重量%未満の場合には、ビニル単量体を使用
することにより期待される作用・効果が乏しくなる。つ
まり、(メタ)アクリルシラップを製造するのにかかる
時間を短縮する効果が乏しくなり、しかも、得られる成
形品の耐熱性等の各種物性が低下するので好ましくな
い。また、硬化物の平均分子量が大きくならない。ビニ
ル単量体の割合が20重量%を越える場合には、得られる
成形品の耐候性および耐水性が低下するので好ましくな
い。
【0017】ビニル単量体は、重合する前に単量体成分
に混合してもよく、また、添加したチオール化合物を処
理する前、即ち、重合した後に反応混合物に混合しても
よく、さらに、添加したチオール化合物を処理した後に
反応混合物に混合してもよい。或いは、添加したチオー
ル化合物を処理して(メタ)アクリルシラップを製造し
た後、成形材料を製造する際に、該(メタ)アクリルシ
ラップとビニル単量体とを混合してもよい。
【0018】重合する前にビニル単量体を混合すると、
カルボキシル基を含有する重合体、および未反応のビニ
ル単量体を含む(メタ)アクリルシラップが得られる。
該(メタ)アクリルシラップは、例えばシートモールデ
ィングコンパウンド(以下、SMCと記す)やバルクモ
ールディングコンパウンド(以下、BMCと記す)、プ
レミックス材料、注型材料として好適である。また、重
合した後、或いは、チオール化合物を処理した後にビニ
ル単量体を混合すると、カルボキシル基を含有しない重
合体、および該ビニル単量体を含む(メタ)アクリルシ
ラップが得られる。該(メタ)アクリルシラップは、例
えば注型材料やプレミックス材料として好適である。
尚、(メタ)アクリルシラップは、未反応の単量体成分
を含んでいてもよい。また、単量体成分をチオール化合
物の存在下で重合した後、該反応混合物を無水マレイン
酸および塩基性化合物を用いて処理してなる(メタ)ア
クリルシラップに、ビニル単量体を混合してなる成形材
料は、例えば注型材料として好適である。
【0019】上記のチオール化合物は、分子内にメルカ
プト基を有する連鎖移動剤であり、反応混合物中の重合
体の平均分子量等を調節する働きを備えている。チオー
ル化合物としては、具体的には、例えば、n-ドデシルメ
ルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール
酸、チオグリコール酸アルキルエステル類、1分子中に
2個以上のメルカプト基を有する化合物等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これらチオール化合
物は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混
合して用いてもよい。単量体成分およびビニル単量体の
混合物(以下、単量体組成物と称する)に対するチオー
ル化合物の添加量、或いは、単量体成分に対するチオー
ル化合物の添加量は、該チオール化合物の種類や単量体
組成物等との組み合わせ等に応じて選択すればよく、特
に限定されるものではないが、0.01重量%〜2重量%の
範囲内が好適である。チオール化合物を添加することに
より、重合反応を極めて容易に制御することができる。
【0020】上記の単量体組成物をチオール化合物の存
在下で塊状重合(バルク重合)させる際、或いは、単量
体成分をチオール化合物の存在下で塊状重合させる際に
は、重合開始剤を使用することが望ましい。上記の重合
開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチル
ケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ -2-エチル
ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-
ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキ
サイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パー
オキシジカーボネート等の有機過酸化物; 2,2'-アゾビ
スイソブチロニトリル、2-フェニルアゾ -2,4-ジメチル
-4-メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げら
れるが、特に限定されるものではない。これら重合開始
剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混
合して用いてもよい。単量体組成物または単量体成分に
対する重合開始剤の添加量等は、特に限定されるもので
はない。
【0021】上記の塊状重合を行う際の反応温度や反応
時間等の反応条件は、特に限定されるものではなく、例
えば、公知の反応条件を採用することができる。このう
ち、単量体組成物の重合を途中で停止させる方法(いわ
ゆる部分重合)が、一段階で(メタ)アクリルシラップ
を得ることができるので好ましい。これにより、カルボ
キシル基を含有する重合体を含む反応混合物が得られ
る。また、単量体成分を重合(部分重合)させることに
より、カルボキシル基を含有しない重合体を含む反応混
合物が得られる。尚、重合体の平均分子量は、重量平均
分子量(Mw)を30,000〜 1,000,000程度、数平均分子量(M
n)を10,000〜 200,000程度に調節することが好ましい
が、特に限定されるものではない。また、塊状重合は、
窒素雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、反応終了
時において、反応混合物における重合体と未反応の単量
体組成物(または単量体成分)との割合(比率)は、両
者の合計量を 100重量%として、重合体は7重量%〜80
重量%の範囲内が好ましく、未反応の単量体組成物(ま
たは単量体成分)は93重量%〜20重量%の範囲内が好ま
しい。
【0022】上記の塩基性化合物としては、具体的に
は、例えば、メチルアミン、エチルアミン等の一級アミ
ン;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン;
トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン;
ジアザ化合物;トリアゾール化合物等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら塩基性化合物は、
単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して
用いてもよい。塩基性化合物は、重合時に添加するチオ
ール化合物に対して0.01倍モル〜 1.5倍モルの範囲内で
使用することが好ましく、0.03倍モル〜 1.2倍モルの範
囲内で使用することがより好ましい。
【0023】上記の塩基性化合物と併用される無水マレ
イン酸は、重合時に添加するチオール化合物に対して
0.5倍モル〜 3.0倍モルの範囲内で使用することが好ま
しく、0.7倍モル〜 2.8倍モルの範囲内で使用すること
がより好ましい。
【0024】重合時に添加するチオール化合物に対する
塩基性化合物の使用量が0.01倍モル未満である場合、或
いは、無水マレイン酸の使用量が 0.5倍モル未満である
場合には、チオール化合物が完全に処理されないことが
あるので好ましくない。反応混合物、つまり、(メタ)
アクリルシラップにチオール化合物が残存すると、該
(メタ)アクリルシラップを成形材料とした場合の貯蔵
安定性が低下する。また、(メタ)アクリルシラップを
含む成形材料を硬化させるのに長時間を有すると共に、
硬化物の平均分子量が大きくならない。重合時に添加す
るチオール化合物に対する塩基性化合物の使用量が 1.5
倍モルを越える場合には、得られる成形品の耐候性が低
下するので好ましくない。また、重合時に添加するチオ
ール化合物に対する無水マレイン酸の使用量が 3.0倍モ
ルを越える場合には、得られる成形品の耐水性が低下す
るので好ましくない。尚、上記チオール化合物の処理を
行う際の処理温度や処理時間等の処理条件は、特に限定
されるものではない。例えば、反応混合物に無水マレイ
ン酸および塩基性化合物を混合して攪拌するだけで、チ
オール化合物を処理することができる。
【0025】以上のように、単量体成分とビニル単量体
とをチオール化合物の存在下で重合した後、該反応混合
物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理す
る方法、或いは、単量体成分をチオール化合物の存在下
で重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩
基性化合物を用いて処理すると共に、該反応混合物にビ
ニル単量体を添加する方法により、液状の(メタ)アク
リルシラップが得られる。尚、本発明における(メタ)
アクリルシラップは、上記異なる二種類または三種類の
方法によって得られる(メタ)アクリルシラップの混合
物であってもよい。
【0026】本発明にかかる成形材料は、上記の(メ
タ)アクリルシラップを含んでなっている。また、本発
明にかかる成形材料は、(メタ)アクリル酸エステルを
含む単量体成分をチオール化合物の存在下で重合した
後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩基性化合物
を用いて処理してなる(メタ)アクリルシラップと、ビ
ニル単量体とを含んでなっている。さらに、本発明にか
かる成形材料は、必要に応じて、増粘剤や、コハク酸誘
導体、補強材等をさらに含んでなっている。該成形材料
は、従来と比較して短時間で硬化させることができる。
そして、該成形材料を成形することにより、耐熱性、耐
溶剤性、耐候性および耐水性等の各種物性に優れた成形
品を得ることができる。尚、以下の説明においては、成
形材料における補強材以外の成分をコンパウンドと称す
ることにする。
【0027】上記の増粘剤としては、具体的には、例え
ば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土
類金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム
等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。これら増粘剤は、単独で用い
てもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。増粘剤の使用量は、その種類や(メタ)アクリルシ
ラップとの組み合わせ、成形材料の用途等にもよるが、
(メタ)アクリルシラップ 100重量部に対して、5重量
部以下の範囲内が好ましい。上記の範囲内で増粘剤を使
用することにより、コンパウンドの増粘後の粘度を、成
形作業等に好適な所定の値に設定することができる。増
粘剤の使用量が5重量部よりも多い場合には、コンパウ
ンドの増粘後の粘度が高くなり過ぎ、成形作業等の作業
性が低下すると共に、得られる成形品の耐候性および耐
水性が低下するので好ましくない。
【0028】上記のコハク酸誘導体は、増粘剤による過
剰な増粘挙動、特に初期の増粘挙動を抑制する働きを備
えている。コハク酸誘導体は、分子内にコハク酸骨格ま
たはコハク酸無水物骨格を備え、かつ、該骨格のエチレ
ン基部分に、アルキル基、アルケニル基、脂環式炭化水
素基、芳香族炭化水素基等の置換基を有する化合物であ
ればよく、特に限定されるものではないが、全炭素数が
8〜30である化合物が好ましい。全炭素数が7以下のコ
ハク酸誘導体は、(メタ)アクリルシラップに対する溶
解性に劣るので好ましくない。また、全炭素数が31以上
のコハク酸誘導体は、該コハク酸誘導体を使用すること
により期待される作用・効果が乏しくなる。つまり、増
粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が低いので好
ましくない。
【0029】コハク酸誘導体としては、具体的には、例
えば、ヘキシルコハク酸、ヘプチルコハク酸、オクチル
コハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシル
コハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク
酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オ
クタデシルコハク酸、ペンタドデシルコハク酸、エイコ
シルコハク酸等の炭素数が4以上のアルキル基を有する
化合物;ヘキセニルコハク酸、ヘプテニルコハク酸、オ
クテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク
酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ペ
ンタデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプ
タデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ペンタ
ドデセニルコハク酸、エイコセニルコハク酸等のアルケ
ニル基を有する化合物;シクロドデシルコハク酸、シク
ロドデセニルコハク酸等の脂環式炭化水素基を有する化
合物;ジフェニルブテニルコハク酸等の芳香族炭化水素
基を有する化合物;およびこれらコハク酸の無水物等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。これらコ
ハク酸誘導体は、単独で用いてもよく、また、二種類以
上を適宜混合して用いてもよい。尚、コハク酸誘導体の
調製方法は、特に限定されるものではない。
【0030】コハク酸誘導体の添加量は、その種類や、
(メタ)アクリルシラップおよび増粘剤等との組み合わ
せ、成形材料の用途等にもよるが、(メタ)アクリルシ
ラップ 100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範
囲内が好ましい。コハク酸誘導体の添加量が0.01重量部
よりも少ない場合には、コハク酸誘導体を使用すること
により期待される作用・効果が乏しくなる。つまり、増
粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が乏しくなる
ので好ましくない。コハク酸誘導体の添加量が10重量部
よりも多い場合には、コンパウンドの増粘後の粘度が、
成形作業等に好適な所定の値に達しないか、若しくは達
するまでに長時間を有するので好ましくない。
【0031】上記の補強材としては、具体的には、例え
ば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックから
なる繊維等の無機繊維;アラミドやポリエステル等から
なる有機繊維;天然繊維等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。また、繊維の形態は、例えば、ロー
ビング、チョップトストランド、マット、クロス(織
物)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
これら補強材は、単独で用いてもよく、また、二種類以
上を適宜混合して用いてもよい。補強材の使用量は、そ
の種類や(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ、
成形材料の用途や所望される物性等に応じて設定すれば
よく、特に限定されるものではない。また、補強材とコ
ンパウンドとを混合する方法は、特に限定されるもので
はなく、該補強材の形態に応じて適宜設定すればよい。
例えば、補強材の形態がマットやクロス等である場合に
は、該補強材にコンパウンドを含浸させればよい。ま
た、例えば、補強材の形態がロービングやチョップトス
トランド等である場合には、該補強材とコンパウンドと
を混練すればよい。補強材を含む成形材料は、例えばS
MCやBMCとして好適である。
【0032】本発明にかかる成形材料は、硬化剤(重合
開始剤)を含んでいることが望ましく、また、必要に応
じて、充填剤、架橋性単量体、添加剤等をさらに含んで
いてもよい。上記の硬化剤としては、例えば、前記(メ
タ)アクリルシラップを製造する際に用いられる前記例
示の重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。硬化剤の添加量は、その種類や(メタ)アクリ
ルシラップ等との組み合わせ等に応じて設定すればよ
く、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル
シラップ 100重量部に対して、 0.1重量部〜5重量部の
範囲内が好適である。
【0033】上記の充填剤としては、具体的には、例え
ば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナ、クレー、タルク、ミルドファイバー、シ
リカ(珪砂)、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、寒水
石、アスベスト粉、ガラス粉、ガラス球、ポリマービー
ズ等の、無機充填剤および有機充填剤が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら充填剤は、単独で
用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いて
もよい。尚、充填剤の平均粒径等の形態は、特に限定さ
れるものではない。
【0034】充填剤の配合量は、その種類や(メタ)ア
クリルシラップ等との組み合わせ、成形材料の用途や所
望される物性等に応じて設定すればよく、特に限定され
るものではないが、(メタ)アクリルシラップ 100重量
部に対して、30重量部〜 600重量部の範囲内が好適であ
る。そして、成形材料がSMCとして用いられる場合に
は、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ 100
重量部に対して、30重量部〜 300重量部の範囲内がより
好ましい。成形材料がBMCとして用いられる場合に
は、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ 100
重量部に対して、150重量部〜 600重量部の範囲内がよ
り好ましい。成形材料が注型材料として用いられる場合
には、充填剤の配合量は、(メタ)アクリルシラップ 1
00重量部に対して、30重量部〜 350重量部の範囲内がよ
り好ましい。
【0035】上記の架橋性単量体は、硬化物の架橋密度
を増加させる働きを備えている。架橋性単量体は、(メ
タ)アクリルシラップに含まれる官能基と反応する官能
基を複数含有する化合物であればよい。該架橋性単量体
としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、
ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリア
リルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。架橋性単量
体の添加量は、その種類や(メタ)アクリルシラップ等
との組み合わせ、成形材料の用途や所望される物性等に
応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0036】上記の添加剤は、一般に用いられている各
種の添加剤を採用することができ、特に限定されるもの
ではないが、例えば、低収縮剤、(内部)離型剤、着色
剤、重合禁止剤等が挙げられる。これら添加剤は、例え
ば、成形材料の用途や所望される物性等に応じて適宜添
加すればよい。また、添加剤の添加量は、該添加剤の種
類や(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ等に応
じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0037】低収縮剤としては、具体的には、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、セルロ
ースブチレート、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢
酸ビニル、ポリカプロラクトン、飽和ポリエステル等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。低収縮剤
を添加することにより、成形品の寸法安定性をより一層
向上させることができる。離型剤としては、具体的に
は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸バリウム、ステアリン酸アミド、トリフェニルホ
スフェート、アルキルホスフェート;一般に用いられて
いるワックス類、シリコーンオイル等の離型剤等が挙げ
られる。着色剤としては、公知の無機顔料や有機顔料が
挙げられる。
【0038】上記構成の成形材料は、SMC、BMC、
注型材料等として好適である。SMCは、いわゆるSM
C製造装置を用いて容易に製造することができる。BM
Cは、双腕型ニーダ等の混練機を用いて容易に製造する
ことができる。注型材料は、混合機を用いて容易に製造
することができる。そして、SMCやBMCは、例えば
60℃〜 160℃で加熱・加圧成形(プレス成形)すること
により成形品とされる。また、注型材料は、例えば室温
〜70℃でセル内に注入(注型)することにより成形品と
される。尚、成形材料の硬化方法、つまり、成形品の製
造方法は、特に限定されるものではない。本発明にかか
る成形材料は、種々の成形方法に適用可能である。
【0039】以上のように、本発明にかかる(メタ)ア
クリルシラップの製造方法は、単量体成分とビニル単量
体とをチオール化合物の存在下で重合した後、該反応混
合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理
する方法である。また、単量体成分をチオール化合物の
存在下で重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸お
よび塩基性化合物を用いて処理すると共に、該反応混合
物にビニル単量体を添加する方法である。これにより、
成形材料とした場合の貯蔵安定性に優れた(メタ)アク
リルシラップを従来と比較して短時間で製造することが
できる。また、成形材料とした場合の貯蔵安定性に優れ
た(メタ)アクリルシラップを提供することができる。
【0040】また、以上のように、本発明にかかる成形
材料は、上記の(メタ)アクリルシラップを含む構成で
ある。また、本発明にかかる成形材料は、(メタ)アク
リル酸エステルを含む単量体成分をチオール化合物の存
在下で重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸およ
び塩基性化合物を用いて処理してなる(メタ)アクリル
シラップと、ビニル単量体とを含む構成である。さら
に、成形材料は、増粘剤をさらに含む構成であり、コハ
ク酸誘導体をさらに含む構成であり、必要に応じて、補
強材をさらに含む構成である。これにより、従来と比較
して短時間で硬化させることができ、かつ、耐熱性、耐
溶剤性、耐候性および耐水性等の各種物性に優れた成形
品を得ることができる成形材料を提供することができ
る。
【0041】本発明にかかる成形材料を成形してなる成
形品としては、例えば、いわゆる採光ドーム、ベンチ、
テーブル、タンク、公告板、防水板等の、屋外で使用さ
れる各種物品;浄化槽、自動車、鉄道車両、船舶等を構
成する構成材;屋根・壁等の、構造物の外装材;バスタ
ブやキッチンカウンタとして好適な人工大理石;電気部
品等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載
の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」
を示す。
【0043】〔実施例1〕温度計、冷却器、窒素ガス導
入管、および攪拌機を備えた反応器に、(メタ)アクリ
ル酸エステルとしてのメチルメタクリレート 196部と、
ビニル単量体としてのメタクリル酸4部とを仕込んだ
後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物
を攪拌しながら80℃に昇温した後、重合開始剤としての
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル 0.1部と、チオール
化合物としてのn-ドデシルメルカプタン 1.0部とを添加
して重合反応を開始した。
【0044】重合反応を開始してから 420分後に、反応
液の粘度が30〜35ポイズ(25℃)となったので、この時
点で反応を終了(つまり、反応時間は 420分)し、該反
応液にメチルメタクリレート35部をさらに加えた後、40
℃に冷却(急冷)した。
【0045】次いで、得られた反応混合物に、無水マレ
イン酸 0.7部と、塩基性化合物としてのトリエチルアミ
ン0.04部とを添加した後、15分間攪拌して、該反応混合
物に添加したn-ドデシルメルカプタンを処理した。上記
の無水マレイン酸は、添加したn-ドデシルメルカプタン
に対して 1.4倍モルとなるように添加した。また、上記
のトリエチルアミンは、添加したn-ドデシルメルカプタ
ンに対して0.08倍モルとなるように添加した。
【0046】これにより、本発明にかかる(メタ)アク
リルシラップを得た。該(メタ)アクリルシラップの粘
度は7ポイズ(25℃)であり、(メタ)アクリルシラッ
プ中の重合体の割合、即ち、固形分濃度は23.5%であっ
た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)を用いて測定した上記(メタ)アクリルシラ
ップの重量平均分子量(Mw)は61,000であった。
【0047】続いて、上記の(メタ)アクリルシラップ
100部に、硬化剤としてのベンゾイルパーオキサイド2
部を添加して溶解させた。これにより、成形材料として
の注型材料を得た。得られた注型材料は、減圧すること
により脱泡した。この注型材料、つまり、コンパウンド
は、貯蔵安定性に優れていた。
【0048】次いで、注型材料を、互いの間隔(隙間)
が3mmとなるようにして対向配置された2枚のガラス板
の周囲をいわゆる弾力ガスケットにて閉鎖してなるセル
を用いて注型した。即ち、注型材料を上記のセル内に注
入した後、60℃に加熱して硬化させた。
【0049】60℃におけるゲルタイム(ゲル化時間)
は、JIS K 6901に基づいて測定した。即ち、
試料である注型材料を、直径18mmの試験管に深さ 100mm
となるように入れた後、温度60℃に調節された恒温槽に
保持し、次いで、該注型材料の温度が45℃から反応熱に
よって65℃に昇温するまでの時間を測定し、この時間を
ゲルタイムとした。その結果、60℃におけるゲルタイム
は45分であった。
【0050】そして、脱型後、 100℃で後硬化(いわゆ
る、アフターキュア)させることにより、成形品である
樹脂板を得た。得られた樹脂板は、テトラヒドロフラン
(以下、THFと記す)中、および、アセトン中に25℃
で24時間放置しても不溶であった。つまり、樹脂板の耐
溶剤性は良好であった。従って、樹脂板、即ち、注型材
料は、GPCを用いて測定できない程に、高分子量化
(3次元化)していると考えられる。上記の主な反応条
件、および結果をまとめて表1に示す。
【0051】〔実施例2〕実施例1におけるメチルメタ
クリレートの使用量(仕込み量)を 196部から 184部に
変更すると共に、メタクリル酸の使用量を4部から16部
に変更した以外は、実施例1と同様の反応・処理等を行
い、(メタ)アクリルシラップを調製した。反応時間は
300分であった。また、得られた(メタ)アクリルシラ
ップの粘度は8ポイズ(25℃)であり、固形分濃度は2
2.3%であり、重量平均分子量(Mw)は64,000であった。
【0052】続いて、実施例1と同様の操作を行い、注
型材料を得た。得られた注型材料は、貯蔵安定性に優れ
ていた。次に、実施例1と同様の注型を行い、樹脂板を
得た。ゲルタイムは30分であった。また、得られた樹脂
板は、THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は
良好であった。上記の主な反応条件、および結果をまと
めて表1に示す。
【0053】〔比較例1〕実施例1において、無水マレ
イン酸とトリエチルアミンとを用いない以外は、実施例
1と同様の反応等を行い、比較用の(メタ)アクリルシ
ラップを調製した。即ち、添加したn-ドデシルメルカプ
タンを処理しないことによって比較用(メタ)アクリル
シラップを調製した。得られた比較用(メタ)アクリル
シラップの粘度は7ポイズ(25℃)であり、固形分濃度
は24.1%であり、重量平均分子量(Mw)は62,000であっ
た。
【0054】続いて、実施例1と同様の操作を行い、比
較用の注型材料を得た。次に、得られた比較用注型材料
を用いて、実施例1と同様の注型を行い、比較用の樹脂
板を得た。ゲルタイムは58分であった。また、得られた
比較用樹脂板は、THFおよびアセトンに不溶であり、
耐溶剤性は良好であった。ところが、上記の比較用注型
材料は、貯蔵安定性に劣っていた。上記の主な反応条
件、および結果をまとめて表1に示す。
【0055】〔比較例2〕実施例1におけるメチルメタ
クリレートの使用量(仕込み量)を 196部から 200部に
変更すると共に、メタクリル酸を用いない以外は、実施
例1と同様の反応・処理等を行い、比較用の(メタ)ア
クリルシラップを調製した。反応時間は 500分であっ
た。また、得られた比較用(メタ)アクリルシラップの
粘度は6ポイズ(25℃)であり、固形分濃度は21.9%で
あり、重量平均分子量(Mw)は61,000であった。
【0056】続いて、実施例1と同様の操作を行い、比
較用の注型材料を得た。得られた比較用注型材料は、貯
蔵安定性に優れていた。次に、実施例1と同様の注型を
行い、比較用の樹脂板を得た。ゲルタイムは69分であっ
た。ところが、得られた比較用樹脂板は、THFおよび
アセトンに可溶であり、耐溶剤性は不良であった。上記
の主な反応条件、および結果をまとめて表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】〔実施例3〕先ず、実施例1と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、該(メタ)アクリルシラップ 100部に、増粘
剤としての酸化マグネシウム1部、コハク酸誘導体とし
てのペンタドデセニルコハク酸1部、硬化剤としてのt-
ブチルパーオキシ -2-エチルヘキサノエート1部、離型
剤としてのステアリン酸亜鉛4部、および、充填剤とし
ての水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、ハイジ
ライト HS−320) 150部を混合して、コンパウン
ドを得た。
【0059】次いで、該コンパウンドをポリエチレンフ
ィルム表面に一定の厚みとなるように塗布した後、この
塗布物の上に、補強材としてのガラス繊維(長さ1イン
チのチョップトストランド)を均一に撒布した。そし
て、この上に、コンパウンドをポリエチレンフィルム表
面に一定の厚みとなるように塗布してなる塗布物を重ね
合わせた。つまり、コンパウンドにてガラス繊維を挟ん
だ。これにより、成形材料としてのSMCを得た。該S
MCにおける上記ガラス繊維の割合は、25%となるよう
に調節した。その後、得られたSMCを、セロファンフ
ィルムで包装し、40℃で1日間熟成させた。熟成後にお
いて、コンパウンド、即ちSMCは硬化しておらず、ま
た、SMCの表面はべとついていなかった。
【0060】次に、上記のSMCを加熱・加圧成形し
た。即ち、所定の大きさの金型を用い、上側の金型の温
度を 110℃、下側の金型の温度を 100℃に設定した。そ
して、所定の大きさに切断したSMCを上記の金型に充
填して圧力6MPaで型締めし、10分間、加熱・加圧成形
することにより、成形品である厚さ3mmの板を作成し
た。
【0061】110℃におけるゲルタイムは、キュラスト
メーターV型(株式会社オリエンテック製)を測定装置
として用いて測定した。即ち、試料であるSMCを 110
℃に加熱し、該温度に到達した時点(加熱開始時点)か
ら、上記測定装置によって計測されるトルクが立ち上が
るまでの時間を測定し、この時間をゲルタイムとした。
その結果、 110℃におけるゲルタイムは 200秒であっ
た。
【0062】得られた成形品は、その表面に光沢を有し
ており、平滑性に優れていた。また、成形品は、THF
およびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好であっ
た。さらに、JIS A 1415に基づいて、サンシ
ャインウェザーメーターを用いた1000時間の促進耐候性
試験を行った結果、成形品には、実質的な変色やチョー
キングが認められなかった。また、煮沸試験を90℃で 1
00時間行って、耐水性を評価した結果、試験後の成形品
は、その表面に光沢を有しており、実質的な変化が認め
られなかった。さらに、成形品を、 170℃に設定された
オーブン内に1時間放置して、耐熱性を評価した結果、
成形品には、黄変等の外観の変化が認められず、また、
表面の光沢も失われていなかった。上記の主な反応条
件、および結果をまとめて表2に示す。
【0063】〔実施例4〕先ず、実施例2と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、この(メタ)アクリルシラップを用いて、実
施例3における酸化マグネシウムの使用量を1部から2
部に変更すると共に、ペンタドデセニルコハク酸の使用
量を1部から3部に変更した以外は、実施例3と同様の
操作・成形等を行い、成形品を作成した。ゲルタイムは
165秒であった。
【0064】得られた成形品は、その表面に光沢を有し
ており、平滑性に優れていた。また、成形品は、THF
およびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好であっ
た。さらに、成形品は、耐熱性、耐候性および耐水性に
優れていた。上記の主な反応条件、および結果をまとめ
て表2に示す。
【0065】〔比較例3〕先ず、比較例1と同様の反応
・処理等を行い、比較用の(メタ)アクリルシラップを
調製した。次に、この比較用(メタ)アクリルシラップ
を用いて、実施例3と同様の操作等を行い、比較用のS
MCを得た。得られた比較用SMCを40℃で1日間熟成
させた。ところが、該比較用SMCは硬化していた。上
記の主な反応条件をまとめて表2に示す。
【0066】〔比較例4〕先ず、比較例2と同様の反応
・処理等を行い、比較用の(メタ)アクリルシラップを
調製した。次に、この比較用(メタ)アクリルシラップ
を用いて、実施例3と同様の操作等を行い、比較用のS
MCを得た。得られた比較用SMCを40℃で1日間熟成
させた。ところが、該比較用SMCは増粘しなかった。
また、比較用SMCの表面はべとついていた。
【0067】次に、この比較用SMCを用いて、実施例
3と同様の操作・成形等を行い、比較用の成形品を作成
した。ゲルタイムは 250秒であった。ところが、得られ
た比較用成形品は、THFおよびアセトンに可溶であ
り、耐溶剤性は不良であった。さらに、耐熱性を評価し
た結果、比較用成形品は、黄変等の外観の変化が認めら
れ、また、表面の光沢も失われており、ムラが生じてい
た。上記の主な反応条件、および結果をまとめて表2に
示す。
【0068】〔比較例5〕実施例1におけるメチルメタ
クリレートの使用量(仕込み量)を 196部から 199.4部
に変更すると共に、メタクリル酸の使用量を4部から
0.6部に変更した以外は、実施例1と同様の反応・処理
等を行い、比較用の(メタ)アクリルシラップを調製し
た。反応時間は 480分であった。また、得られた比較用
(メタ)アクリルシラップの粘度は6ポイズ(25℃)で
あり、固形分濃度は22.8%であり、重量平均分子量(Mw)
は66,000であった。
【0069】続いて、実施例1と同様の操作・注型を行
い、比較用の樹脂板を得た。ゲルタイムは65分であっ
た。ところが、得られた比較用樹脂板は、THFおよび
アセトンに可溶であり、耐溶剤性は不良であった。
【0070】次に、上記の比較用(メタ)アクリルシラ
ップを用いて、実施例3と同様の操作等を行い、比較用
のSMCを得た。得られた比較用SMCを40℃で1日間
熟成させた。ところが、該比較用SMCの表面はややべ
とついていた。
【0071】次に、この比較用SMCを用いて、実施例
3と同様の操作・成形等を行い、比較用の成形品を作成
した。ゲルタイムは 230秒であった。ところが、得られ
た比較用成形品は、THFおよびアセトンに徐々に溶解
し、耐溶剤性は不良であった。さらに、耐熱性を評価し
た結果、比較用成形品は、黄変等の外観の変化が若干認
められた。上記の主な反応条件、および結果をまとめて
表2に示す。
【0072】〔比較例6〕実施例1におけるメチルメタ
クリレートの使用量(仕込み量)を 196部から 150部に
変更すると共に、メタクリル酸の使用量を4部から50部
に変更した以外は、実施例1と同様の反応・処理等を行
い、比較用の(メタ)アクリルシラップを調製した。反
応時間は 240分であった。また、得られた比較用(メ
タ)アクリルシラップの粘度は8ポイズ(25℃)であ
り、固形分濃度は23.9%であり、重量平均分子量(Mw)は
68,000であった。
【0073】続いて、実施例1と同様の操作・注型を行
い、比較用の成形品を得た。ゲルタイムは17分であっ
た。また、得られた比較用成形品は、THFおよびアセ
トンに不溶であり、耐溶剤性は良好であった。
【0074】次に、上記の比較用(メタ)アクリルシラ
ップを用いて、実施例3と同様の操作・成形等を行い、
比較用の成形品を作成した。尚、熟成後において、コン
パウンド、即ち比較用のSMCの表面はべとついていな
かった。ゲルタイムは 120秒であった。得られた比較用
成形品は、THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤
性は良好であった。さらに、成形品は、耐熱性に優れて
いた。ところが、比較用成形品は、耐候性および耐水性
に劣っていた。上記の主な反応条件、および結果をまと
めて表2に示す。
【0075】〔比較例7〕実施例1における無水マレイ
ン酸の添加量を 0.7部から 0.2部に変更すると共に、ト
リエチルアミンの添加量を0.04部から 0.004部に変更し
た以外は、実施例1と同様の反応・処理等を行い、比較
用の(メタ)アクリルシラップを調製した。上記の無水
マレイン酸は、添加したn-ドデシルメルカプタンに対し
て 0.4倍モルとなるように添加した。また、上記のトリ
エチルアミンは、添加したn-ドデシルメルカプタンに対
して 0.008倍モルとなるように添加した。得られた比較
用(メタ)アクリルシラップの粘度は7ポイズ(25℃)
であり、固形分濃度は21.1%であり、重量平均分子量(M
w)は63,000であった。
【0076】次に、この比較用(メタ)アクリルシラッ
プを用いて、実施例3と同様の操作等を行い、比較用の
SMCを得た。得られた比較用SMCを40℃で1日間熟
成させた。ところが、該比較用SMCは硬化していた。
上記の主な反応条件をまとめて表2に示す。
【0077】〔実施例5〕先ず、実施例2と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、この(メタ)アクリルシラップを用いて、実
施例3における酸化マグネシウムの使用量を1部から2
部に変更すると共に、ペンタドデセニルコハク酸の使用
量を1部から3部に変更し、かつ、水酸化アルミニウム
150部の代わりに、該水酸化アルミニウム 100部と充填
剤としての炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式
会社製、ホワイトン P−70)50部とを混合した以外
は、実施例3と同様の操作・成形等を行い、成形品を作
成した。尚、熟成後において、コンパウンド、即ちSM
Cの表面はべとついていなかった。ゲルタイムは 160秒
であった。
【0078】得られた成形品は、その表面に光沢を有し
ており、平滑性に優れていた。また、成形品は、THF
およびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好であっ
た。さらに、成形品は、耐熱性に優れていた。また、耐
候性および耐水性を評価した結果、該成形品は、実施例
4の成形品と比較して、僅かな変色、および光沢の若干
の低下が認められるものの、これら物性に優れていた。
上記の主な反応条件、および結果をまとめて表2に示
す。
【0079】〔実施例6〕先ず、実施例2と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、この(メタ)アクリルシラップを用いて、実
施例3における酸化マグネシウムの使用量を1部から2
部に変更すると共に、ペンタドデセニルコハク酸の使用
量を1部から3部に変更し、かつ、水酸化アルミニウム
150部の代わりに、該水酸化アルミニウム 100部と充填
剤としてのガラスパウダー(日東紡績株式会社製、FM
B 30W−001)50部とを混合した以外は、実施例
3と同様の操作・成形等を行い、成形品を作成した。
尚、熟成後において、コンパウンド、即ちSMCの表面
はべとついていなかった。ゲルタイムは 170秒であっ
た。
【0080】得られた成形品は、その表面に光沢を有し
ており、平滑性に優れていた。また、成形品は、THF
およびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好であっ
た。さらに、成形品は、耐熱性、耐候性および耐水性に
優れていた。上記の主な反応条件、および結果をまとめ
て表2に示す。
【0081】〔実施例7〕実施例1において、重合反応
終了後に添加するメチルメタクリレート35部の代わり
に、メチルメタクリレート25部と架橋性単量体としての
トリメチロールプロパントリメタクリレート10部とを添
加した以外は、実施例1と同様の反応・処理等を行い、
(メタ)アクリルシラップを調製した。得られた(メ
タ)アクリルシラップの粘度は8ポイズ(25℃)であ
り、固形分濃度は21.7%であり、重量平均分子量(Mw)は
62,000であった。
【0082】次に、この(メタ)アクリルシラップを用
いて、実施例3と同様の操作・成形等を行い、成形品を
作成した。ゲルタイムは 180秒であった。得られた成形
品は、その表面に光沢を有しており、平滑性に優れてい
た。また、成形品は、THFおよびアセトンに不溶であ
り、耐溶剤性は良好であった。さらに、成形品は、耐熱
性、耐候性および耐水性に優れていた。上記の主な反応
条件、および結果をまとめて表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】〔実施例8〕先ず、実施例1と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、該(メタ)アクリルシラップ 100部に、酸化
マグネシウム1部、ペンタドデセニルコハク酸2部、t-
ブチルパーオキシ -2-エチルヘキサノエート1部、ステ
アリン酸亜鉛4部、水酸化アルミニウム(昭和電工株式
会社製、ハイジライト H−320) 350部、および、
補強材としてのガラス繊維(長さ 1/4インチのチョップ
トストランド)を混合した後、この混合物を双腕型ニー
ダを用いて混練した。これにより、成形材料としてのB
MCを得た。該BMCにおける上記ガラス繊維の割合
は、5%となるように調節した。その後、得られたBM
Cを、ビニロンフィルムで包装し、40℃で1日間熟成さ
せた。熟成後において、コンパウンド、即ちBMCは硬
化しておらず、また、BMCの表面はべとついていなか
った。
【0085】次に、上記のBMCを所定の方法で加熱・
加圧成形することにより、成形品を作成した。ゲルタイ
ムは 190秒であった。得られた成形品は、その表面に光
沢を有しており、平滑性に優れていた。また、成形品
は、THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良
好であった。さらに、成形品は、耐熱性、耐候性および
耐水性に優れていた。上記の主な反応条件、および結果
をまとめて表3に示す。
【0086】〔比較例8〕先ず、比較例2と同様の反応
・処理等を行い、比較用の(メタ)アクリルシラップを
調製した。次に、この比較用(メタ)アクリルシラップ
を用いて、実施例8と同様の操作等を行い、比較用のB
MCを得た。得られた比較用BMCを40℃で1日間熟成
させた。ところが、該比較用BMCは増粘しなかった。
また、比較用BMCの表面はべとついていた。
【0087】次に、この比較用BMCを用いて、実施例
8と同様の成形等を行い、比較用の成形品を作成した。
ゲルタイムは 260秒であった。ところが、得られた比較
用成形品は、THFおよびアセトンに対して可溶であ
り、耐溶剤性は不良であった。さらに、耐熱性を評価し
た結果、比較用成形品は、黄変等の外観の変化が認めら
れた。上記の主な反応条件、および結果をまとめて表3
に示す。
【0088】〔実施例9〕先ず、実施例2と同様の反応
・処理等を行い、(メタ)アクリルシラップを調製し
た。次に、該(メタ)アクリルシラップ 100部に、硬化
剤としてのビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキ
シジカーボネート1部、および、水酸化アルミニウム
(昭和電工株式会社製、ハイジライト H−320S
T) 200部を混合した後、この混合物を混練し、脱泡し
た。これにより、成形材料としての注型材料を得た。
【0089】次に、得られた注型材料を、ガラス製のセ
ルを用いて注型した。即ち、注型材料を上記のセル内に
注入した後、60℃で1時間硬化させた。そして、脱型
後、 100℃で2時間、後硬化させることにより、成形品
である人工大理石板を得た。
【0090】得られた人工大理石板は、その表面に光沢
を有しており、平滑性に優れていると共に、いわゆる高
級感および質感を備えていた。また、人工大理石板は、
THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好で
あった。さらに、人工大理石板は、耐熱性、耐候性およ
び耐水性に優れていた。上記の主な反応条件、および結
果をまとめて表3に示す。
【0091】〔比較例9〕先ず、比較例2と同様の反応
・処理等を行い、比較用の(メタ)アクリルシラップを
調製した。次に、この比較用(メタ)アクリルシラップ
を用いて、実施例9と同様の操作・成形等を行い、比較
用の人工大理石板を作成した。
【0092】ところが、得られた比較用人工大理石板
は、THFおよびアセトンに可溶であり、耐溶剤性は不
良であった。さらに、耐熱性を評価した結果、比較用人
工大理石板は、黄変等の外観の変化が認められ、また、
表面の光沢も失われており、ムラが生じていた。上記の
主な反応条件、および結果をまとめて表3に示す。
【0093】〔実施例10〕実施例1の反応器と同様の
反応器に、メチルメタクリレート 200部を仕込んだ後、
反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記のメチルメタ
クリレートを攪拌しながら80℃に昇温した後、 2,2'-ア
ゾビスイソブチロニトリル 0.1部と、n-ドデシルメルカ
プタン 1.0部とを添加して重合反応を開始した。重合反
応を開始した後、反応液の粘度が30〜35ポイズ(25℃)
となった時点で反応を終了し、該反応液にメチルメタク
リレート35部をさらに加えた後、40℃に冷却(急冷)し
た。
【0094】次いで、得られた反応混合物に、無水マレ
イン酸 0.7部と、トリエチルアミン0.04部とを添加した
後、15分間攪拌して、該反応混合物に添加したn-ドデシ
ルメルカプタンを処理した。上記の無水マレイン酸は、
添加したn-ドデシルメルカプタンに対して 1.4倍モルと
なるように添加した。また、上記のトリエチルアミン
は、添加したn-ドデシルメルカプタンに対して0.08倍モ
ルとなるように添加した。そして、上記処理後の反応混
合物95部に、メタクリル酸5部を添加することにより、
本発明にかかる(メタ)アクリルシラップを得た。
【0095】次に、該(メタ)アクリルシラップ 100部
に、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート1部、および、水酸化アルミニウム(昭和電
工株式会社製、ハイジライト H−320ST) 200部
を混合した後、この混合物を混練し、脱泡した。これに
より、成形材料としての注型材料を得た。この注型材
料、つまり、コンパウンドは、貯蔵安定性に優れてい
た。
【0096】次に、得られた注型材料を、ガラス製のセ
ルを用いて注型した。即ち、注型材料を上記のセル内に
注入した後、60℃で1時間硬化させた。そして、脱型
後、 100℃で2時間、後硬化させることにより、成形品
である人工大理石板を得た。
【0097】得られた人工大理石板は、その表面に光沢
を有しており、平滑性に優れていると共に、いわゆる高
級感および質感を備えていた。また、人工大理石板は、
THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好で
あった。さらに、人工大理石板は、耐熱性、耐候性およ
び耐水性に優れていた。上記の主な反応条件、および結
果をまとめて表3に示す。
【0098】〔実施例11〕実施例1の反応器と同様の
反応器に、メチルメタクリレート 200部を仕込んだ後、
反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記のメチルメタ
クリレートを攪拌しながら80℃に昇温した後、 2,2'-ア
ゾビスイソブチロニトリル 0.1部と、n-ドデシルメルカ
プタン 1.0部とを添加して重合反応を開始した。重合反
応を開始した後、反応液の粘度が30〜35ポイズ(25℃)
となった時点で反応を終了し、該反応液にメチルメタク
リレート25部とメタクリル酸10部とをさらに加えた後、
40℃に冷却(急冷)した。
【0099】次いで、得られた反応混合物に、無水マレ
イン酸 0.7部と、トリエチルアミン0.04部とを添加した
後、15分間攪拌して、該反応混合物に添加したn-ドデシ
ルメルカプタンを処理した。上記の無水マレイン酸は、
添加したn-ドデシルメルカプタンに対して 1.4倍モルと
なるように添加した。また、上記のトリエチルアミン
は、添加したn-ドデシルメルカプタンに対して0.08倍モ
ルとなるように添加した。これにより、本発明にかかる
(メタ)アクリルシラップを得た。
【0100】次に、該(メタ)アクリルシラップを用い
て、実施例10と同様の操作・成形等を行い、人工大理
石板を作成した。尚、注型材料、つまり、コンパウンド
は、貯蔵安定性に優れていた。
【0101】得られた人工大理石板は、その表面に光沢
を有しており、平滑性に優れていると共に、いわゆる高
級感および質感を備えていた。また、人工大理石板は、
THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好で
あった。さらに、人工大理石板は、耐熱性、耐候性およ
び耐水性に優れていた。上記の主な反応条件、および結
果をまとめて表3に示す。
【0102】〔実施例12〕実施例1の反応器と同様の
反応器に、メチルメタクリレート 200部を仕込んだ後、
反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記のメチルメタ
クリレートを攪拌しながら80℃に昇温した後、 2,2'-ア
ゾビスイソブチロニトリル 0.1部と、n-ドデシルメルカ
プタン 1.0部とを添加して重合反応を開始した。重合反
応を開始した後、反応液の粘度が30〜35ポイズ(25℃)
となった時点で反応を終了し、該反応液にメチルメタク
リレート35部をさらに加えた後、40℃に冷却(急冷)し
た。
【0103】次いで、得られた反応混合物に、無水マレ
イン酸 0.7部と、トリエチルアミン0.04部とを添加した
後、15分間攪拌して、該反応混合物に添加したn-ドデシ
ルメルカプタンを処理した。上記の無水マレイン酸は、
添加したn-ドデシルメルカプタンに対して 1.4倍モルと
なるように添加した。また、上記のトリエチルアミン
は、添加したn-ドデシルメルカプタンに対して0.08倍モ
ルとなるように添加した。これにより、本発明にかかる
(メタ)アクリルシラップを得た。
【0104】次に、該(メタ)アクリルシラップ95部に
メタクリル酸5部を添加した後、実施例10と同様の操
作・成形等を行い、人工大理石板を作成した。尚、注型
材料、つまり、コンパウンドは、貯蔵安定性に優れてい
た。
【0105】得られた人工大理石板は、その表面に光沢
を有しており、平滑性に優れていると共に、いわゆる高
級感および質感を備えていた。また、人工大理石板は、
THFおよびアセトンに不溶であり、耐溶剤性は良好で
あった。さらに、人工大理石板は、耐熱性、耐候性およ
び耐水性に優れていた。上記の主な反応条件、および結
果をまとめて表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】表1〜3から明らかなように、本実施例に
かかる方法により、成形材料とした場合の貯蔵安定性に
優れた(メタ)アクリルシラップを従来と比較して短時
間で製造することができることがわかる。また、本実施
例にかかる成形材料は、加熱・加圧成形に好適であり、
比較的、短時間で硬化させることができることがわか
る。さらに、得られる成形品が、耐熱性、耐溶剤性、耐
候性および耐水性等の各種物性に優れていることがわか
る。
【0108】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の(メタ)アクリ
ルシラップの製造方法は、以上のように、(メタ)アク
リル酸エステルを含む単量体成分と、カルボキシル基を
含有するビニル単量体とをチオール化合物の存在下で重
合した後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩基性
化合物を用いて処理する方法である。
【0109】本発明の請求項2記載の(メタ)アクリル
シラップの製造方法は、以上のように、(メタ)アクリ
ル酸エステルを含む単量体成分をチオール化合物の存在
下で重合した後、該反応混合物を無水マレイン酸および
塩基性化合物を用いて処理すると共に、該反応混合物に
カルボキシル基を含有するビニル単量体を添加する方法
である。
【0110】これにより、成形材料とした場合の貯蔵安
定性に優れた(メタ)アクリルシラップを従来と比較し
て短時間で製造することができるという効果を奏する。
【0111】また、本発明の請求項3記載の(メタ)ア
クリルシラップは、以上のように、請求項1および請求
項2の少なくとも何れか1項に記載の製造方法によりな
る構成である。これにより、成形材料とした場合の貯蔵
安定性に優れた(メタ)アクリルシラップを提供するこ
とができるという効果を奏する。
【0112】さらに、本発明の請求項4記載の成形材料
は、以上のように、請求項1および請求項2の少なくと
も何れか1項に記載の製造方法によりなる(メタ)アク
リルシラップを含む構成である。本発明の請求項5記載
の成形材料は、以上のように、(メタ)アクリル酸エス
テルを含む単量体成分をチオール化合物の存在下で重合
した後、該反応混合物を無水マレイン酸および塩基性化
合物を用いて処理してなる(メタ)アクリルシラップ
と、カルボキシル基を含有するビニル単量体とを含む構
成である。本発明の請求項6記載の成形材料は、以上の
ように、増粘剤と、コハク酸誘導体とをさらに含む構成
である。
【0113】これにより、従来と比較して短時間で硬化
させることができ、かつ、耐熱性、耐溶剤性、耐候性お
よび耐水性等の各種物性に優れた成形品を得ることがで
きる成形材料を提供することができるという効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹部 昌純 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 昭54−24993(JP,A) 特開 昭50−35278(JP,A) 特開 昭53−21288(JP,A) 特開 昭47−39261(JP,A) 特開 昭62−39318(JP,A) 特開 平3−285854(JP,A) 特開 平5−194651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/02 C08F 2/38 - 2/42 C08L 33/06 - 33/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体
    成分と、カルボキシル基を含有するビニル単量体とをチ
    オール化合物の存在下で重合した後、該反応混合物を無
    水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理すること
    を特徴とする(メタ)アクリルシラップの製造方法。
  2. 【請求項2】(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体
    成分をチオール化合物の存在下で重合した後、該反応混
    合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理
    すると共に、該反応混合物にカルボキシル基を含有する
    ビニル単量体を添加することを特徴とする(メタ)アク
    リルシラップの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1および請求項2の少なくとも何れ
    か1項に記載の製造方法によりなることを特徴とする
    (メタ)アクリルシラップ。
  4. 【請求項4】請求項1および請求項2の少なくとも何れ
    か1項に記載の製造方法によりなる(メタ)アクリルシ
    ラップを含むことを特徴とする成形材料。
  5. 【請求項5】(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体
    成分をチオール化合物の存在下で重合した後、該反応混
    合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処理
    してなる(メタ)アクリルシラップと、カルボキシル基
    を含有するビニル単量体とを含むことを特徴とする成形
    材料。
  6. 【請求項6】増粘剤と、コハク酸誘導体とをさらに含む
    ことを特徴とする請求項4または5記載の成形材料。
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