JP3056695B2 - 成形材料およびその成形方法 - Google Patents

成形材料およびその成形方法

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JP3056695B2 JP32173696A JP32173696A JP3056695B2 JP 3056695 B2 JP3056695 B2 JP 3056695B2 JP 32173696 A JP32173696 A JP 32173696A JP 32173696 A JP32173696 A JP 32173696A JP 3056695 B2 JP3056695 B2 JP 3056695B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
シラップを含む成形材料およびその成形方法に関するも
のである。さらに詳しくは、耐水性や耐熱性等の物性に
優れ、かつ、巣やピンホール等の成形不良の少ない成形
品を得ることができ、特に人工大理石を製造するのに好
適な成形材料およびその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル系樹脂に無機充填剤
を充填したアクリル系人工大理石は、美しい外観と優れ
た特性を活かして、キッチン天板や各種カウンタートッ
プ、洗面化粧台等に広く使用されている。こうしたアク
リル系人工大理石の製造方法としては、注型法によって
成形する方法が一般的となっており、例えば、(メタ)
アクリルシラップと充填剤と硬化剤とを混合して得られ
た樹脂組成物を型に注入して、常圧下で成形する方法が
用いられている。
【0003】しかしながら、上記のアクリル系人工大理
石の製造方法では、注入ができる程度の流動性を有する
液状の樹脂組成物を調製する必要がある。また、クラッ
クの発生を抑制して、美しい外観を有するアクリル系人
工大理石を得るためには、低温で硬化させる必要があ
り、成形に長時間を要する。このように、注型法による
アクリル系人工大理石の製造方法は、生産性が低いとい
う欠点を有している。
【0004】そこで、生産性を向上させるために、(メ
タ)アクリルシラップと金属酸化物や金属水酸化物等の
増粘剤とを含む樹脂組成物に繊維補強材を混合したコン
パウンドを熟成して、シートモールディングコンパウン
ド(以下、SMCと記す)やバルクモールディングコン
パウンド(以下、BMCと記す)等の成形材料を加熱加
圧成形する成形方法が用いられている。
【0005】上記の成形材料の成形方法に用いられる成
形材料として、例えば、特公昭64-11652号公報には、カ
ルボキシル基を含有する架橋型のアクリルシラップと、
アルカリ土類金属酸化物または水酸化物と、重合開始剤
と、繊維補強材とを含むSMC及びBMCが開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の成形材料は、常圧下で製造されているので、その内
部に取り込まれた気泡によって、得られる成形品に巣や
ピンホール等の成形不良が生じたり、気泡中に含まれる
酸素によって成形材料の硬化が阻害されて耐水性や耐熱
性に優れた成形品を得ることができないことがあるとい
う問題点を有している。
【0007】また、上記従来の成形材料の成形方法で
は、金型内の空気によって充填不良が起こり、得られる
成形品に巣やピンホール等の成形不良が生じるという問
題点も有している。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その第1の目的は、(メタ)アクリルシ
ラップを含む成形材料を金型内で加熱加圧成形する成形
材料の成形方法において、耐水性、耐熱性等の各種物性
に優れた成形品を得ることができ、かつ、成形品に巣や
ピンホール等の成形不良が発生することを防止すること
ができる成形材料の成形方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の第2の目的は、(メタ)ア
クリルシラップを含む成形材料において、取り扱い性に
優れ、短時間で硬化させることができ、かつ、該成形材
料を成形してなる成形品の耐水性、耐熱性、強度等の各
種物性に優れ、しかも、成形品に巣やピンホール等の成
形不良が発生することを防止することができる成形材料
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
第1の目的を達成すべく、(メタ)アクリルシラップを
含む成形材料を金型内で加熱加圧成形する成形材料の成
形方法について鋭意検討した結果、上記成形材料とし
て、(メタ)アクリルシラップ 100重量部に対して、0.
01重量部〜10重量部の範囲内のコハク酸誘導体と、30重
量部〜 600重量部の範囲内の充填剤と、5重量部以下の
範囲内の増粘剤とを含むと共に、成形材料の全重量に対
して、2重量%〜40重量%の範囲内の繊維補強材を含む
成形材料を使用し、上記成形材料が硬化する時点までの
期間において、少なくとも一時的に金型内を減圧するこ
とにより、成形品に巣やピンホール等の成形不良が発生
することを防止することができることを見い出した。
【0011】また、上記の第2の目的を達成すべく、
(メタ)アクリルシラップを含む成形材料について鋭意
検討した結果、カルボキシル基を含有する(メタ)アク
リルシラップと、該(メタ)アクリルシラップ 100重量
部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内のコハク酸
誘導体と、30重量部〜 600重量部の範囲内の充填剤と、
5重量部以下の範囲内の増粘剤とを含むと共に、成形材
料の全重量に対して、2重量%〜40重量%の範囲内の繊
維補強材を含み、かつ、上記(メタ)アクリルシラップ
増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理してなる成形材料
が、(メタ)アクリルシラップを含む成形材料におい
て、取り扱い性に優れ、短時間で硬化させることがで
き、かつ、該成形材料を成形してなる成形品の耐水性、
耐熱性、強度等の各種物性に優れ、しかも、成形品に巣
やピンホール等の成形不良が発生することを防止するこ
とができることを見い出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0012】即ち、請求項1記載の発明の成形材料の成
形方法は、上記の課題を解決するために、(メタ)アク
リルシラップを含む成形材料を金型内で加熱加圧成形す
る成形材料の成形方法であって、上記成形材料として、
(メタ)アクリルシラップ 100重量部に対して、0.01重
量部〜10重量部の範囲内のコハク酸誘導体と、30重量部
〜 600重量部の範囲内の充填剤と、5重量部以下の範囲
内の増粘剤とを含むと共に、成形材料の全重量に対し
て、2重量%〜40重量%の範囲内の繊維補強材を含む成
形材料を使用し、上記成形材料を金型内に入れてから該
成形材料が硬化するまでの期間において、少なくとも一
時的に金型内を減圧することを特徴としている。
【0013】上記方法によれば、上記成形材料を金型内
に入れてから該成形材料が硬化するまでの期間におい
て、少なくとも一時的に金型内を減圧するので、金型内
の空気を除去して充填不良を防止することができる。こ
の結果、成形品における巣やピンホール等の成形不良を
防止することができる。また、上記方法によれば、耐水
性、耐熱性等の各種物性に優れた成形品を得ることがで
きる。
【0014】また、請求項2記載の発明の成形材料の成
形方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記載
の発明の成形材料の成形方法において、上記成形材料
が、(メタ)アクリルシラップに増粘剤を添加した後、
減圧脱泡処理してなることを特徴としている。
【0015】上記方法によれば、(メタ)アクリルシラ
ップと増粘剤との混練時等に発生した気泡を減圧脱泡処
理によって除去するので、得られる成形品における巣や
ピンホールの発生をより一層確実に防止することができ
る。また、成形材料内部の気泡が除去されているので、
酸素によって硬化が阻害されることを防止することがで
き、得られる成形品の耐水性および耐熱性を向上させる
ことができる。さらに、上記成形材料が(メタ)アクリ
ルシラップを増粘剤を用いて増粘させたものであるた
め、成形材料の取り扱い性が容易となる。
【0016】さらに、請求項3記載の発明の成形材料の
成形方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ま
たは2に記載の発明の成形材料の成形方法において、上
記(メタ)アクリルシラップが、カルボキシル基を含有
することを特徴としている。上記方法によれば、該成形
材料を短時間で硬化させることができ、生産性を向上さ
せることができ、また、該成形材料を成形してなる成形
品の強度、耐熱性等の各種物性を向上させることができ
る。
【0017】また、請求項4記載の発明の成形材料は、
上記の課題を解決するために、カルボキシル基を含有す
る(メタ)アクリルシラップと、該(メタ)アクリルシ
ラップ 100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範
囲内のコハク酸誘導体と、30重量部〜 600重量部の範囲
内の充填剤と、5重量部以下の範囲内の増粘剤とを含む
と共に、成形材料の全重量に対して、2重量%〜40重量
%の範囲内の繊維補強材を含み、かつ、上記(メタ)ア
クリルシラップに増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理し
てなることを特徴としている。
【0018】上記構成によれば、カルボキシル基を含有
する(メタ)アクリルシラップと増粘剤との混練時等に
発生した気泡が減圧脱泡処理によって除去されているの
で、成形品における巣やピンホールの発生を防止するこ
とができる。また、内部の気泡が除去されているので、
酸素によって硬化が阻害されることを防止することがで
き、成形品の耐水性および耐熱性を向上させることがで
きる。さらに、上記成形材料はカルボキシル基を含有す
る(メタ)アクリルシラップを増粘剤を用いて増粘させ
たものであるため、加熱加圧成形に好適な取り扱い性に
優れた成形材料となる。また、上記成形材料は、短時間
で硬化させることができ、また、該成形材料を成形して
なる成形品の強度、耐熱性等の各種物性に優れている。
従って、上記成形材料は、SMC、BMC、プレミック
ス材料等の加熱加圧成形用成形材料として好適である。
【0019】以下に本発明を詳しく説明する。尚、本発
明において、(メタ)アクリルシラップとは、(メタ)
アクリル酸エステルの重合体(単独重合体または共重合
体)とビニル単量体とからなる混合物を指すものとす
る。また、「(メタ)アクリルシラップがカルボキシル
基を含有する」とは、(メタ)アクリルシラップ中の
(メタ)アクリル酸エステルの重合体およびビニル単量
体の少なくとも一方がカルボキシル基を含有することを
指すものとする。
【0020】本発明にかかる成形材料の成形方法は、
(メタ)アクリルシラップを含む成形材料を金型内で加
熱加圧成形する成形材料の成形方法であって、上記成形
材料を金型内に投入してから該成形材料が硬化するまで
の期間において、少なくとも一時的に金型内を減圧する
方法である。
【0021】上記の(メタ)アクリルシラップとして
は、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリルシラッ
プが好ましい。これにより、(メタ)アクリルシラップ
を短時間で製造することができると共に、該(メタ)ア
クリルシラップを含む成形材料を成形してなる成形品の
耐熱性等の各種物性を向上させることができる。また、
該成形材料を短時間で硬化させることができると共に、
硬化物(成形品)の平均分子量が大きくなり、硬化物の
強度を向上させることができる。尚、上記の本発明にか
かる成形方法に用いる(メタ)アクリルシラップとして
は、特に限定されるものではなく、後述する(メタ)ア
クリル酸エステルを含む単量体成分を重合して得られる
カルボキシル基を含有しない(メタ)アクリルシラップ
を用いることもできる。
【0022】上記のカルボキシル基を含有する(メタ)
アクリルシラップ(以下、カルボキシル基含有(メタ)
アクリルシラップと称する)としては、(メタ)アクリ
ル酸エステルを含む単量体成分(以下、単に単量体成分
と称する)と、カルボキシル基を含有するビニル単量体
との混合物を重合してなる(メタ)アクリルシラップが
特に好ましい。これにより、成形材料の硬化特性をより
一層向上させることができる。尚、カルボキシル基含有
(メタ)アクリルシラップとして、(メタ)アクリル酸
エステルを含む単量体成分を重合した後、該反応混合物
にカルボキシル基を含有するビニル単量体を添加してな
る(メタ)アクリルシラップを用いることもできる。
【0023】上記の単量体成分は、(メタ)アクリル酸
エステルを含むと共に、必要に応じてビニル化合物(モ
ノマー)を含んでいる。上記の(メタ)アクリル酸エス
テルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。また、本発明におい
て、(メタ)アクリル酸エステルには、(メタ)アクリ
ルアミド等も含まれるものとする。これら(メタ)アク
リル酸エステルは、単独で用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示の化合物の
うち、メチルメタクリレート、および、メチルメタクリ
レートを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが特
に好ましい。メチルメタクリレートを主成分とすること
により、(メタ)アクリルシラップを含む成形材料を成
形してなる成形品の耐候性、透明性、表面の光沢等の各
種物性や、外観、安全性等を向上させることができる。
【0024】上記のビニル化合物としては、カルボキシ
ル基を含有しない化合物であればよく、具体的には、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、クロロスチレン、酢酸ビニル、アリルアルコール、
エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレング
リコールモノアリルエーテル等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらビニル化合物は、一種類
のみを混合してもよく、また、二種類以上を適宜組み合
わせて混合してもよい。(メタ)アクリル酸エステルに
ビニル化合物を混合する場合における両者の混合割合、
即ち、上記単量体成分におけるビニル化合物の含有量
は、ビニル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステル
との組み合わせ等にもよるが、50重量%以下が好まし
い。
【0025】単量体成分と混合されるカルボキシル基を
含有するビニル単量体(以下、単にビニル単量体と記
す)、或いは、単量体成分を重合した後の反応混合物に
添加されるビニル単量体は、一分子中に、重合可能な二
重結合と、カルボキシル基とを含有する化合物であれば
よい。上記ビニル単量体としては、具体的には、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和
モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、およびこれら不
飽和ジカルボン酸のモノエステル等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。これらビニル単量体は、単
独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0026】単量体成分とビニル単量体との割合(比
率)は、両者の合計量を 100重量%として、単量体成分
は80重量%〜99.5重量%の範囲内が好ましく、一方、ビ
ニル単量体は 0.5重量%〜20重量%の範囲内が好まし
く、 1.0重量%〜15重量%の範囲内がより好ましく、
1.5重量%〜10重量%の範囲内がさらに好ましい。ビニ
ル単量体を上記の範囲内で用いることにより、(メタ)
アクリルシラップを短時間で製造することができると共
に、該(メタ)アクリルシラップを含む成形材料を成形
してなる成形品の耐熱性等の各種物性を向上させること
ができる。また、該成形材料を従来と比較して短時間で
硬化させることができると共に、硬化物(成形品)の平
均分子量が大きくなり、硬化物の強度を向上させること
ができる。ビニル単量体の割合が 0.5重量%未満の場合
には、ビニル単量体を使用することにより期待される作
用・効果が乏しくなる。つまり、(メタ)アクリルシラ
ップを製造するのにかかる時間を短縮する効果が乏しく
なり、しかも、得られる成形品の耐熱性等の各種物性が
低下するので好ましくない。また、硬化物の平均分子量
が大きくならない。ビニル単量体の割合が20重量%を越
える場合には、得られる成形品の耐候性および耐水性が
低下するので好ましくない。
【0027】上記の単量体成分およびビニル単量体の混
合物(以下、単量体組成物と称する)、或いは、単量体
成分は、公知の溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の方法
で重合させることができる。
【0028】上記の単量体組成物(または単量体成分)
の重合の際には、重合開始剤を使用することが望まし
い。上記の重合開始剤としては、具体的には、例えば、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパー
オキシ -2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ
ベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘ
キサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビ
ス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネ
ート等の有機過酸化物; 2,2'-アゾビスイソブチロニト
リル、2-フェニルアゾ -2,4-ジメチル -4-メトキシバレ
ロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられるが、特に限定
されるものではない。これら重合開始剤は、単独で用い
てもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。単量体組成物または単量体成分に対する重合開始剤
の添加量等は、特に限定されるものではない。
【0029】上記の単量体組成物(または単量体成分)
には、連鎖移動剤を添加するのが、より好ましい。上記
連鎖移動剤は、反応混合物中の重合体の平均分子量等を
調節する働きを備えている。上記連鎖移動剤としては、
具体的には、例えば、n-ドデシルメルカプタン等のアル
キルメルカプタン;チオグリコール酸、チオグリコール
酸アルキルエステル類、1分子中に2個以上のメルカプ
ト基を有する化合物等のチオール化合物が好適である
が、特に限定されるものではない。これら連鎖移動剤
は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。
【0030】単量体組成物に対する連鎖移動剤の添加
量、或いは、単量体成分に対する連鎖移動剤の添加量
は、該連鎖移動剤の種類や単量体組成物等との組み合わ
せ等に応じて選択すればよく、特に限定されるものでは
ないが、0.01重量%〜2重量%の範囲内が好適である。
連鎖移動剤を添加することにより、重合反応を極めて容
易に制御することができる。
【0031】上記の単量体組成物(または単量体成分)
の重合を行う際の反応温度や反応時間等の反応条件は、
特に限定されるものではなく、例えば、公知の反応条件
を採用することができるが、窒素雰囲気下で行うことが
好ましい。また、単量体組成物(または単量体成分)を
重合させる方法としては、重合を途中で停止させる方法
(いわゆる部分重合)が、一段階でカルボキシル基含有
(メタ)アクリルシラップを得ることができるので好ま
しい。単量体混合物を重合(部分重合)させることによ
り、カルボキシル基を含有する重合体を含む反応混合物
が得られる。また、単量体成分を重合(部分重合)させ
ることにより、カルボキシル基を含有しない重合体を含
む反応混合物が得られる。尚、単量体組成物(または単
量体成分)を重合(部分重合)させて得られる反応混合
物には、必要に応じて、単量体成分を追加してもよい。
【0032】上記反応混合物における重合体と未反応の
単量体組成物(または単量体成分)との割合(比率)
は、両者の合計量を 100重量%として、重合体は7重量
%〜80重量%の範囲内が好ましく、未反応の単量体組成
物(または単量体成分)は93重量%〜20重量%の範囲内
が好ましい。尚、重合体の平均分子量は、重量平均分子
量(Mw)を30,000〜 1,000,000程度、数平均分子量(Mn)を
10,000〜 200,000程度に調節することが好ましいが、特
に限定されるものではない。
【0033】ところで、不飽和ポリエステル樹脂組成物
に充填剤を配合してなる熱硬化性樹脂成形材料を金型内
で加熱加圧成形して成形品を製造する際には、加圧時に
金型内を減圧にする方法が用いられている(例えば、特
開平7-156168号公報に記載)。また、不飽和ポリエステ
ル樹脂の各原料を混練した後、減圧脱泡処理した不飽和
ポリエステル樹脂成形材料(特開平4-68062 号公報) も
知られている。
【0034】しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂成
形材料の場合には、単量体の一部が飛散して硬化不良を
引き起こし、得られる成形品の耐水性等の物性が低下す
る場合がある。これに対して、部分重合により得られた
(メタ)アクリルシラップを含む成形材料では、(メ
タ)アクリルシラップ中の単量体の一部が飛散したとし
ても、得られる成形材料の組成にほとんど影響を与えな
いため、得られる成形品における耐水性等の物性の低下
を防止できる。
【0035】単量体成分の重合時にチオール化合物を添
加した場合には、得られた反応混合物を無水マレイン酸
および塩基性化合物を用いて処理して、反応混合物中に
残存するチオール化合物を失活させるのが望ましい。従
って、本発明にかかるカルボキシル基含有(メタ)アク
リルシラップとしては、(メタ)アクリル酸エステルを
含む単量体成分と、カルボキシル基を含有するビニル単
量体とをチオール化合物の存在下で重合した後、該反応
混合物を無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて処
理してなる(メタ)アクリルシラップが特に好ましい。
これにより、成形材料を、より短時間で硬化させること
ができるようになる。また、成形材料を成形して得られ
る成形品の耐熱性、耐溶剤性、耐候性および耐水性等の
各種物性を向上させることができる。尚、単量体組成物
(または単量体成分)を重合した後に反応混合物にビニ
ル単量体を混合する場合、無水マレイン酸および塩基性
化合物による処理は、ビニル単量体を混合する前に行っ
てもよく、ビニル単量体を混合した後に行ってもよい。
【0036】上記の塩基性化合物としては、具体的に
は、例えば、メチルアミン、エチルアミン等の一級アミ
ン;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン;
トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン;
ジアザ化合物;トリアゾール化合物等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら塩基性化合物は、
単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して
用いてもよい。塩基性化合物は、重合時に添加されたチ
オール化合物に対して0.01倍モル〜 1.5倍モルの範囲内
で使用することが好ましく、0.03倍モル〜 1.2倍モルの
範囲内で使用することがより好ましい。
【0037】上記の塩基性化合物と併用される無水マレ
イン酸は、重合時に添加されたチオール化合物に対して
0.5倍モル〜 3.0倍モルの範囲内で使用することが好ま
しく、 0.7倍モル〜 2.8倍モルの範囲内で使用すること
がより好ましい。
【0038】重合時に添加されたチオール化合物に対す
る塩基性化合物の使用量が0.01倍モル未満である場合、
或いは、無水マレイン酸の使用量が 0.5倍モル未満であ
る場合には、チオール化合物が完全に処理されないこと
がある。反応混合物、つまり、カルボキシル基含有(メ
タ)アクリルシラップにチオール化合物が残存すると、
該カルボキシル基含有(メタ)アクリルシラップを成形
材料とした場合の貯蔵安定性が低下する。また、カルボ
キシル基含有(メタ)アクリルシラップを含む成形材料
を硬化させるのに長時間を有すると共に、硬化物の平均
分子量が大きくならないため、得られる成形品の強度が
低下する。
【0039】重合時に添加されたチオール化合物に対す
る塩基性化合物の使用量が 1.5倍モルを越える場合に
は、得られる成形品の耐候性が低下する。また、重合時
に添加されたチオール化合物に対する無水マレイン酸の
使用量が 3.0倍モルを越える場合には、得られる成形品
の耐水性が低下する。
【0040】尚、上記チオール化合物の処理を行う際の
処理温度や処理時間等の処理条件は、特に限定されるも
のではない。例えば、反応混合物に無水マレイン酸およ
び塩基性化合物を混合して攪拌するだけで、チオール化
合物を処理することができる。以上のようにして、カル
ボキシル基含有(メタ)アクリルシラップが得られる。
【0041】本発明にかかる成形方法に用いる成形材料
としては、(メタ)アクリルシラップを含んでいればよ
いが、(メタ)アクリルシラップに増粘剤を添加して加
熱加圧成形に好適な粘度となるように増粘させてなる成
形材料が望ましい。
【0042】上記の増粘剤は、(メタ)アクリルシラッ
プを加熱加圧成形に好適な粘度となるように増粘させる
作用を有している。増粘剤としては、(メタ)アクリル
シラップを増粘させることができるものであればよい
が、アルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土
類金属水酸化物が特に好ましい。上記アルカリ土類金属
酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等
が挙げられ、上記アルカリ土類金属水酸化物としては、
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら化合物は、単
独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0043】増粘剤の使用量は、その種類や(メタ)ア
クリルシラップとの組み合わせ、成形材料の用途等にも
よるが、(メタ)アクリルシラップ 100重量部に対し
て、5重量部以下の範囲内が好ましい。上記の範囲内で
増粘剤を使用することにより、(メタ)アクリルシラッ
プの増粘後の粘度を、加熱加圧成形に好適な所定の値に
設定することができる。増粘剤の使用量が5重量部より
も多い場合には、(メタ)アクリルシラップの増粘後の
粘度が高くなり過ぎ、加熱加圧成形の作業性が低下する
と共に、得られる成形品の耐候性および耐水性が低下す
るので好ましくない。
【0044】本発明にかかる成形方法に用いる成形材料
としては、(メタ)アクリルシラップを含む混合物を減
圧脱泡処理してなる成形材料が好ましい。成形材料とし
て(メタ)アクリルシラップを含む混合物を減圧脱泡処
理してなる成形材料を用いることにより、得られる成形
品における巣やピンホールの発生をより一層確実に防止
することができる。また、成形材料内部の気泡が除去さ
れるので、酸素によって硬化が阻害されることを防止す
ることができ、得られる成形品の耐水性および耐熱性を
向上させることができる。
【0045】上記成形材料において、(メタ)アクリル
シラップを含む混合物を減圧脱泡処理する方法は、(メ
タ)アクリルシラップを含む混合物を密閉可能な容器に
入れた後、容器を密閉状態とし、減圧装置を用いて容器
内を減圧状態にすることにより、該混合物中の気泡を除
去する方法であればよい。
【0046】また、上記の(メタ)アクリルシラップを
含む混合物を減圧脱泡処理してなる成形材料としては、
(メタ)アクリルシラップに増粘剤を添加した後、減圧
脱泡処理してなる成形材料がより好ましい。
【0047】上記成形材料において、(メタ)アクリル
シラップに増粘剤を添加した後に減圧脱泡処理する方法
としては、例えば、(メタ)アクリルシラップと増粘剤
とを容器中で混練しながら容器内を減圧する方法;(メ
タ)アクリルシラップと増粘剤とを混練した後、得られ
た混練物を容器に入れて容器内を減圧する方法等を用い
ることができる。また、混練しながら容器内を減圧する
場合には、初めから減圧下で混練してもよく、常圧下で
混練した後に減圧下で混練してもよい。
【0048】減圧脱泡処理の条件は、特に限定されるも
のではないが、容器内の圧力が50〜600 mmHgの範囲内と
なるように容器内を減圧することが好ましく、容器内の
圧力が100 〜500 mmHgの範囲内となるように容器内を減
圧することがより好ましく、200〜450 mmHgの範囲内と
なるように容器内を減圧することがさらに好ましい。容
器内の圧力が50mmHg未満である場合には、単量体が飛散
するおそれがある。また、容器内の圧力が600 mmHgを越
えると、(メタ)アクリルシラップ中の気泡を充分に除
去することができなくなるおそれがある。尚、減圧状態
を保つ時間は、容器内の圧力等にもよるが、5分間程度
で充分である。
【0049】さらに、(メタ)アクリルシラップに増粘
剤を添加した後、減圧脱泡処理してなる成形材料のうち
でも、前記のカルボキシル基含有(メタ)アクリルシラ
ップに増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理してなる成形
材料が特に好ましい。
【0050】上記構成によれば、カルボキシル基含有
(メタ)アクリルシラップと増粘剤との混練時等に発生
した気泡が減圧脱泡処理によって除去されているので、
成形品における巣やピンホールの発生を防止することが
できる。また、上記成形材料は、内部の気泡が除去され
ているので、酸素によって硬化が阻害されることを防止
することができ、成形品の耐水性および耐熱性を向上さ
せることができる。さらに、上記成形材料は、カルボキ
シル基含有(メタ)アクリルシラップを増粘剤を用いて
増粘させたものであるため、加熱加圧成形に好適な取り
扱い性に優れた成形材料となる。また、上記成形材料
は、短時間で硬化させることができ、また、該成形材料
を成形してなる成形品の強度、耐熱性等の各種物性に優
れている。従って、上記成形材料は、SMC、BMC、
プレミックス材料等の加熱加圧成形用成形材料として好
適である。
【0051】尚、上記のカルボキシル基含有(メタ)ア
クリルシラップに増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理し
てなる成形材料は、上述のように優れた性能を有してい
るので、本発明にかかる成形方法以外の成形方法で成形
した場合にも、各種物性に優れた成形品を得ることがで
きる。
【0052】上記成形材料は、必要に応じて、繊維補強
材、コハク酸誘導体等をさらに含んでいる。尚、以下の
説明においては、成形材料における繊維補強材以外の成
分をコンパウンドと称することにする。
【0053】上記の繊維補強材としては、(メタ)アク
リルシラップの硬化物の強度を向上させることができる
ものであればよい。繊維補強材としては、具体的には、
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、窒化ホウ素
や炭化ケイ素等のセラミックからなる繊維等の無機繊
維;アラミド繊維やポリエステル繊維等の有機繊維;天
然繊維等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これらのうち、強度や経済性の面から、ガラス繊維
が特に好ましい。また、繊維の形態としては、例えば、
ロービング、チョップドストランド、マット、クロス
(織物)等が挙げられるが、チョップドストランドが特
に好ましい。これら繊維補強材は、単独で用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0054】繊維補強材の使用量は、その種類やシラッ
プ等との組み合わせ、成形材料の用途や所望される物性
等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではな
いが、成形材料の全重量に対して、2重量%〜40重量%
の範囲内が好適である。そして、成形材料がSMCであ
る場合には、繊維補強材の使用量は、成形材料の全重量
に対して、10重量%〜40重量%の範囲内がより好まし
い。成形材料がBMCである場合には、繊維補強材の使
用量は、成形材料の全重量に対して、2重量%〜30重量
%の範囲内がより好ましい。繊維補強材を上記範囲内で
用いることにより、成形材料を成形品とした場合の強度
や弾性率等に優れた成形材料が得られる。
【0055】また、補強材とコンパウンドとを混合する
方法は、特に限定されるものではなく、該補強材の形態
に応じて適宜設定すればよい。例えば、補強材の形態が
マットやクロス等である場合には、該補強材にコンパウ
ンドを含浸させればよい。また、例えば、補強材の形態
がロービングやチョップトストランド等である場合に
は、該補強材とコンパウンドとを混練するか、あるいは
該補強材を2層のコンパウンドの間に挟み込んで含浸さ
せればよい。
【0056】上記のコハク酸誘導体は、増粘剤による過
剰な増粘挙動、特に初期の増粘挙動を抑制する働きを備
えている。コハク酸誘導体は、分子内にコハク酸骨格ま
たはコハク酸無水物骨格を備え、かつ、該骨格のエチレ
ン基部分に、アルキル基、アルケニル基、脂環式炭化水
素基、芳香族炭化水素基等の置換基を有する化合物であ
ればよく、特に限定されるものではないが、全炭素数が
8〜30である化合物が好ましい。全炭素数が7以下のコ
ハク酸誘導体は、(メタ)アクリルシラップに対する溶
解性に劣るので好ましくない。また、全炭素数が31以上
のコハク酸誘導体は、該コハク酸誘導体を使用すること
により期待される作用・効果が乏しくなる。つまり、増
粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が低いので好
ましくない。
【0057】コハク酸誘導体としては、具体的には、例
えば、ヘキシルコハク酸、ヘプチルコハク酸、オクチル
コハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシル
コハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク
酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オ
クタデシルコハク酸、ペンタドデシルコハク酸、エイコ
シルコハク酸等の炭素数が4以上のアルキル基を有する
化合物;ヘキセニルコハク酸、ヘプテニルコハク酸、オ
クテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク
酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ペ
ンタデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプ
タデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ペンタ
ドデセニルコハク酸、エイコセニルコハク酸等のアルケ
ニル基を有する化合物;シクロドデシルコハク酸、シク
ロドデセニルコハク酸等の脂環式炭化水素基を有する化
合物;ジフェニルブテニルコハク酸等の芳香族炭化水素
基を有する化合物;およびこれらコハク酸の無水物等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。これらコ
ハク酸誘導体は、単独で用いてもよく、また、二種類以
上を適宜混合して用いてもよい。尚、コハク酸誘導体の
調製方法は、特に限定されるものではない。
【0058】コハク酸誘導体の添加量は、その種類や、
(メタ)アクリルシラップおよび増粘剤等との組み合わ
せ、成形材料の用途等にもよるが、(メタ)アクリルシ
ラップ 100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範
囲内が好ましい。コハク酸誘導体の添加量が0.01重量部
よりも少ない場合には、コハク酸誘導体を使用すること
により期待される作用・効果が乏しくなる。つまり、増
粘剤による過剰な増粘挙動を抑制する効果が乏しくなる
ので好ましくない。コハク酸誘導体の添加量が10重量部
よりも多い場合には、コンパウンドの増粘後の粘度が、
成形作業等に好適な所定の値に達しないか、若しくは達
するまでに長時間を有するので好ましくない。
【0059】本発明にかかる成形材料は、(メタ)アク
リルシラップが硬化する際の収縮を抑制するために、低
収縮剤を含んでいてもよい。上記低収縮剤としては、具
体的には、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、セルロースブチ
レート、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリカプロラクトン、飽和ポリエステル等の熱可塑
性重合体や、例えば、単量体と架橋性単量体とを、塊状
重合、溶液重合、乳化重合、あるいは懸濁重合すること
によって得られる架橋重合微粉末などが挙げられるが、
特に限定されるものではない。
【0060】低収縮剤として用いる熱可塑性重合体の重
量平均分子量は、200,000 以下であることが好ましい。
これにより、成形材料中において、低収縮剤が局在化す
ることなく、均一に分散する。その結果、成形材料の線
収縮率を効率的に抑制することができる。従って、成形
材料の成形性をさらに向上させることができる。また、
上記成形材料を成形して得られる成形品の寸法安定性を
向上させるとともに、表面平滑性および光沢を向上させ
ることができる。尚、熱可塑性重合体の重量平均分子量
は、1,000 以上であることがより好ましい。
【0061】また、低収縮剤として用いる架橋重合微粉
末は、その製造方法を問わず、その二次粒子径が 0.1〜
100 μm、好ましくは1〜50μmの範囲にあることで、
その粒子の表面積が増大し、極めて優れた低収縮性を発
現する。二次粒子径が 100μmを越えると、成形品の表
面性が悪く、かつ、低収縮性に劣り、また、二次粒子径
が 0.1μm未満であると、取り扱い性が悪く、また、製
造困難になるので好ましくない。
【0062】低収縮剤の配合量は、その種類や(メタ)
アクリルシラップ等との組み合わせ、成形材料の用途や
所望される物性等に応じて設定すればよく、特に限定さ
れるものではないが、(メタ)アクリルシラップ 100重
量部に対して、5重量部〜50重量部の範囲内が好適であ
る。
【0063】本発明にかかる成形材料は、さらに、硬化
剤(重合開始剤)を含んでいることが望ましく、また、
必要に応じて、充填剤、架橋性単量体、添加剤等をさら
に含んでいてもよい。上記の硬化剤としては、例えば、
前記(メタ)アクリルシラップを製造する際に用いられ
る前記例示の重合開始剤が挙げられるが、特に限定され
るものではない。硬化剤の添加量は、その種類や(メ
タ)アクリルシラップ等との組み合わせ等に応じて設定
すればよく、特に限定されるものではないが、(メタ)
アクリルシラップ 100重量部に対して、 0.1重量部〜5
重量部の範囲内が好適である。
【0064】上記の充填剤としては、特に限定されるも
のではなく、具体的には、例えば、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレ
ー、タルク、ミルドファイバー、シリカ(珪砂)、川
砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、寒水石、アスベスト粉、
ガラス粉、ガラス球、ポリマービーズ等の、無機充填剤
および有機充填剤が挙げられる。上記例示の充填剤のう
ち、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ガラス粉が
特に好ましい。これにより、美観に優れた人工大理石を
製造することができる。これら充填剤は、単独で用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。尚、充填剤の平均粒径等の形態は、特に限定される
ものではない。
【0065】充填剤の配合量は、その種類や(メタ)ア
クリルシラップ等との組み合わせ、成形材料の用途や所
望される物性等に応じて設定すればよく、特に限定され
るものではないが、(メタ)アクリルシラップ 100重量
部に対して、30重量部〜 600重量部の範囲内が好適であ
る。
【0066】上記の架橋性単量体は、硬化物の架橋密度
を増加させる働きを備えている。架橋性単量体は、(メ
タ)アクリルシラップに含まれる官能基と反応する官能
基を複数含有する化合物であればよい。該架橋性単量体
としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、
ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリア
リルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。架橋性単量
体の添加量は、その種類や(メタ)アクリルシラップ等
との組み合わせ、成形材料の用途や所望される物性等に
応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0067】上記の添加剤としては、一般に用いられて
いる各種の添加剤を採用することができ、特に限定され
るものではないが、例えば、(内部)離型剤、着色剤、
重合禁止剤等が挙げられる。これら添加剤は、例えば、
成形材料の用途や所望される物性等に応じて適宜添加す
ればよい。また、添加剤の添加量は、該添加剤の種類や
(メタ)アクリルシラップ等との組み合わせ等に応じて
設定すればよく、特に限定されるものではない。離型剤
としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アミ
ド、トリフェニルホスフェート、アルキルホスフェー
ト;一般に用いられているワックス類、シリコーンオイ
ル等の離型剤等が挙げられる。着色剤としては、公知の
無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0068】本発明にかかる成形方法では、成形材料を
金型内で加熱加圧成形する際に、上記成形材料を金型内
に入れてから該成形材料が硬化するまでの期間におい
て、少なくとも一時的に金型内を減圧して、成形品を製
造する。
【0069】上記の加熱加圧成形の方法は、加熱して流
動させた成形材料を、金型内で加圧しながら加熱して硬
化させる方法であれば、特に限定されるものではない。
加熱加圧成形の方法としては、圧縮成形法、射出成形
法、トランスファ成形法等が挙げられるが、圧縮成形法
が好適である。
【0070】上記加熱加圧成形の成形温度については、
成形品の用途や所望される物性等に応じて設定すればよ
く、特に限定されるものではないが、50℃〜150 ℃が好
ましく、60℃〜140 ℃がより好ましく、70℃〜130 ℃が
さらに好ましい。上記の範囲内の成形温度で加熱加圧成
形を行うことにより、成形品の耐熱性等の物性を向上さ
せることができる。
【0071】また、加熱加圧成形の成形圧力について
は、製造する成形品の形状や大きさ、成形材料の形状等
に応じて設定すればよいが、0.1MPa〜20MPa が好まし
い。上記の範囲内の成形温度で成形を行うことにより、
より一層表面平滑性に優れた成形品を製造することがで
きる。加熱加圧成形の成形時間については、成形温度や
成形圧力等の成形条件や成形材料の硬化速度等を考慮し
て適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0072】本発明にかかる成形方法では、減圧できる
程度の密閉状態にすることが可能な金型と、金型内を減
圧できる減圧装置を備えた加熱加圧成形機とを用い、ま
ず、金型を一定温度に加熱した状態で、下型内に成形材
料を投入した後、上型を下降させて型締めを行う。型締
め工程においては、上型の下降に従って、まず、上型と
下型が噛み合って金型内が密閉空間となり、次いで、上
下金型間で成形材料が加圧されて金型内に成形材料が行
き渡っていき、金型内に成形材料が充填される。そし
て、金型内が充填された時点で上型の下降を停止して型
締めを終了し、そのまま一定時間保持して硬化させた
後、金型を開いて成形品を取り出す。
【0073】そして、本発明にかかる成形方法では、上
記成形材料を金型内に入れてから該成形材料が硬化する
までの期間において、少なくとも一時的に金型内を減圧
して金型内の気泡を除去する。金型内を減圧する期間に
ついては、金型内が減圧可能な程度の密閉状態にある期
間のうち、少なくとも成形材料が流動性を有し、金型内
の気泡が除去可能な期間を含んでいればよい。金型内を
減圧する期間としては、一般に、金型内を密閉空間にし
てから型締めを終了するまでの期間で十分であるが、特
に限定されるものではなく、例えば、上記成形材料を金
型内に入れて金型内を密閉空間とした時点から型開き工
程において金型内が開放空間となる時点までとしてもよ
い。
【0074】金型内の減圧度については、特に限定され
るものではないが、減圧脱泡処理の条件は、特に限定さ
れるものではないが、容器内の圧力が50〜600 mmHgの範
囲内となるように容器内を減圧することが好ましく、容
器内の圧力が100 〜500 mmHgの範囲内となるように容器
内を減圧することがより好ましく、 200〜450 mmHgの範
囲内となるように容器内を減圧することがさらに好まし
い。。金型内の圧力が50mmHg未満である場合には、単量
体が飛散するおそれがある。また、金型内の圧力が600
mmHgを越えると、金型内の気泡を充分に除去することが
できなくなるおそれがある。
【0075】以上のようにして、上記成形材料を金型内
に入れてから該成形材料が硬化するまでの期間におい
て、少なくとも一時的に金型内を減圧することにより、
金型内の空気を除去して充填不良を防止することができ
る。この結果、成形品における巣やピンホール等の成形
不良を防止することができる。
【0076】本発明にかかる成形材料の成形方法により
得られる成形品は、成形不良が防止されており、美観を
要求される用途に適している。美観を要求される用途と
しては、具体的には、例えば、いわゆる採光ドーム、ベ
ンチ、テーブル、広告板、防水板等の、屋外で使用され
る各種物品;バスタブ、キッチン天板、各種カウンター
トップ、洗面化粧台等に用いる人工大理石等の用途が挙
げられる。充填剤を含む成形材料を加熱加圧成形して得
られる成形品は、大理石調の美しい模様を有するため、
人工大理石として特に好適である。
【0077】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載
の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」
を示す。
【0078】〔実施例1〕温度計、冷却器、窒素ガス導
入管、および攪拌機を備えた反応器に、(メタ)アクリ
ル酸エステルとしてのメチルメタクリレート78部、ビニ
ル単量体としてのメタクリル酸2部、および、ビニル化
合物としてのスチレン20部を仕込んだ後、反応器内を窒
素ガス置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら90
℃に昇温した後、重合開始剤としての 2,2'-アゾビスイ
ソブチロニトリル0.02部と、連鎖移動剤としてのn-ドデ
シルメルカプタン 0.2部とを添加して重合反応を開始し
た。重合反応を開始してから 360分後に、反応液の25℃
における粘度が 100〜 110ポイズとなったので、この時
点で反応を終了(つまり、反応時間は 360分間)し、該
反応液に重合禁止剤としてのハイドロキノンを添加した
後、冷却した。尚、ハイドロキノンは、反応液の重量に
対して50ppm となるように添加した。
【0079】次いで、得られた反応混合物 100部に、無
水マレイン酸 0.1部と、塩基性化合物としてのトリエチ
ルアミン 0.005部とを添加した後、15分間攪拌して、該
反応混合物中に残存するn-ドデシルメルカプタンを処理
した。これにより、本発明にかかる(メタ)アクリルシ
ラップを得た。該(メタ)アクリルシラップ中の重合体
の割合、即ち、固形分濃度は40.5%であった。また、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いて測定した上記(メタ)アクリルシラップの重量平均
分子量(Mw)は 91,000 であった。
【0080】続いて、上記(メタ)アクリルシラップ90
部、架橋性単量体としてのトリメチロールプロパントリ
メタクリレート10部、コハク酸誘導体としてのペンタド
デセニルコハク酸1部、硬化剤としてのt-ブチルパーオ
キシ -2-エチルヘキサノエート1部、増粘剤としての酸
化マグネシウム 0.3部、離型剤としてのステアリン酸亜
鉛2部、充填剤としての水酸化アルミニウム(昭和電工
株式会社製、ハイジライト HS−310) 250部、お
よび、繊維補強材としてのガラス繊維(長さ3mm)を
双腕型ニーダーを用いて20分間かけて混練した後、双腕
型ニーダー内の圧力が 400mmHgとなるように双腕型ニー
ダー内を減圧し、減圧状態を保ったまま5分間かけて混
練して減圧脱泡処理した。これにより、成形材料として
のコンパウンドを得た。尚、ガラス繊維は、コンパウン
ドの全重量に対する含有量が5%となるように添加し
た。その後、得られたコンパウンドを密閉容器に入れ、
40℃で1日間熟成させた。熟成後において、コンパウン
ドは、表面のべたつきがなく、取り扱い性が良好であっ
た。
【0081】次に、上型と下型とからなり、外形寸法が
幅38cm、奥行き28cm、高さ9cmである箱型成形品用金型
を用いて、上記のコンパウンドを圧縮成形した。そし
て、上記金型の上型の温度を 125℃、下型の温度を 110
℃に加熱して、上記の熟成後のコンパウンド2300gを下
型内に投入した後、上型を下降させて型締めした。そし
て、コンパウンドが金型内に行き渡る間、金型内の圧力
が 400mmHgとなるように金型内を減圧して金型内の気泡
を取り除き、コンパウンドが金型内に充填された時点で
型締めを終了した。尚、金型内の減圧状態は、型締めを
終了するまで保った。その後、成形圧力6MPaで7分間
かけて圧縮成形することにより、厚みが8mmの箱型成形
品を得た。
【0082】得られた箱型成形品は、脱型がスムーズ
で、割れやクラック、反り、充填不良、変形等の成形不
良が見られず、成形性が良好であった。また、得られた
箱型成形品の光沢をJIS K 7105に基づいて測
定したところ、箱平面部の光沢(60度グロス)が85、箱
側面部の光沢(60度グロス)が82であり、光沢は良好で
あった。さらに、箱型成形品の表面には、凹凸が認めら
れず、表面平滑性に優れていた。
【0083】また、得られた箱型成形品の箱平面部から
切り出した試験片を用いて、耐熱性試験を行った。即
ち、上記の試験片を 170℃に設定されたオーブン中で1
時間静置し、JIS K 7105に基づいて色差(以
下、ΔEと記す)および黄色度変化(以下、ΔYIと記
す)を測定した。その結果、上記試験片は、ΔEが 1.
5、ΔYIが 2.5であり、耐熱性に優れていた。
【0084】さらに、得られた箱型成形品の箱平面部か
ら切り出した試験片を用いて、耐水性試験を行った。即
ち、上記の試験片を90℃のイオン交換水中に 300時間静
置し、JIS K 7105に基づいて色差(ΔE)お
よび黄色度変化(ΔYI)を測定した。その結果、上記
試験片は、ΔEが 0.6、ΔYIが 1.1であり、耐水性に
優れていた。
【0085】〔実施例2〕まず、実施例1と同様にして
コンパウンドを製造し、得られたコンパウンドを密閉容
器に入れ、40℃で1日間熟成させた。熟成後のコンパウ
ンドは、表面のべたつきがなく、取り扱い性が良好であ
った。次に、上記の熟成後のコンパウンドを、型締め時
の減圧を行わない以外は実施例1と同様にして成形し、
厚みが8mmの箱型成形品を得た。
【0086】得られた箱型成形品は、脱型がスムーズ
で、割れやクラック、反り、変形は見られなかったが、
その一隅に充填不良による小さな巣が見られた。また、
得られた箱型成形品の光沢をJIS K 7105に基
づいて測定したところ、箱平面部の光沢(60度グロス)
が84、箱側面部の光沢(60度グロス)が83であり、光沢
は良好であった。さらに、箱型成形品の表面には、凹凸
が認められず、表面平滑性に優れていた。
【0087】また、得られた箱型成形品の箱平面部から
切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法で耐
熱性試験および耐水性試験を行った。その結果、試験片
は、耐熱性試験におけるΔEが 1.6、ΔYIが 2.7であ
り、耐熱性に優れていた。また、試験片は、耐水性試験
におけるΔEが 0.7、ΔYIが 1.3であり、耐水性に優
れていた。
【0088】〔比較例1〕まず、混練時の減圧脱泡処理
を行わない以外は実施例1と同様にしてコンパウンドを
製造し、得られたコンパウンドを密閉容器に入れ、40℃
で1日間熟成させた。次に、上記の熟成後のコンパウン
ドを、型締め時の減圧を行わない以外は実施例1と同様
にして成形し、厚みが8mmの箱型成形品を得た。
【0089】得られた箱型成形品は、脱型がスムーズ
で、割れやクラック、反り、変形は見られなかったが、
その四隅に充填不良による巣が見られた。また、得られ
た箱型成形品の光沢をJIS K 7105に基づいて
測定したところ、箱平面部の光沢(60度グロス)が82、
箱側面部の光沢(60度グロス)が80であり、光沢は良好
であった。さらに、箱型成形品の表面には、凹凸が認め
られず、表面平滑性に優れていた。
【0090】また、得られた箱型成形品の箱平面部から
切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法で耐
熱性試験および耐水性試験を行った。その結果、試験片
は、耐熱性試験におけるΔEが 4.8、ΔYIが 8.3であ
り、耐熱性に劣っていた。また、試験片は、耐水性試験
におけるΔEが 2.5、ΔYIが 4.7であり、耐水性に劣
っていた。
【0091】〔実施例3〕温度計、冷却器、窒素ガス導
入管、および攪拌機を備えた反応器に、(メタ)アクリ
ル酸エステルとしてのメチルメタクリレート98部と、ビ
ニル単量体としてのメタクリル酸2部とを仕込んだ後、
反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を攪
拌しながら80℃に昇温した後、重合開始剤としての 2,
2'-アゾビスイソブチロニトリル0.05部と、連鎖移動剤
としてのn-ドデシルメルカプタン 0.5部とを添加して重
合反応を開始した。
【0092】重合反応を開始してから 420分後に、反応
液の25℃における粘度が30〜35ポイズとなったので、こ
の時点で反応を終了(つまり、反応時間は 420分間)
し、メチルメタクリレート35部を添加した後、冷却し
た。
【0093】次いで、得られた反応混合物 100部に対し
て、無水マレイン酸0.35部と、塩基性化合物としてのト
リエチルアミン0.02部とを添加した後、15分間攪拌し
て、該反応混合物中に残存するn-ドデシルメルカプタン
を処理した。これにより、本発明にかかる(メタ)アク
リルシラップを得た。該(メタ)アクリルシラップ中の
重合体の割合、即ち、固形分濃度は23.5%であった。ま
た、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いて測定した上記(メタ)アクリルシラップの
重量平均分子量(Mw)は 61,000 であった。
【0094】続いて、上記(メタ)アクリルシラップ90
部、架橋性単量体としてのトリメチロールプロパントリ
メタクリレート10部、コハク酸誘導体としてのペンタド
デセニルコハク酸2部、硬化剤としてのt-ブチルパーオ
キシ -2-エチルヘキサノエート1部、増粘剤としての酸
化マグネシウム1部、離型剤としてのステアリン酸亜鉛
2部、充填剤としての水酸化アルミニウム(昭和電工株
式会社製、ハイジライト HS−320) 150部混練
し、成形材料としてのコンパウンドを得た。
【0095】次いで、該コンパウンドをポリエチレンフ
ィルム表面に一定の厚みとなるように塗布した後、この
塗布物の上に、補強材としてのガラス繊維(長さ1イン
チのチョップドストランド)を均一に撒布した。そし
て、この上に、コンパウンドをポリエチレンフィルム表
面に一定の厚みとなるように塗布してなる塗布物を重ね
合わせた。これにより、成形材料としてのSMCを得
た。該SMCにおける上記ガラス繊維の割合は、25%と
なるように調節した。その後、得られたSMCを、セロ
ファンフィルムで包装し、40℃で1日間熟成させた。熟
成後において、SMCの表面はべとつきがなく、取り扱
い性が良好であった。
【0096】次に、上型と下型とからなり、外形寸法が
幅38cm、奥行き28cm、高さ9cmである箱型成形品用金型
を用いて、上記のSMCを圧縮成形した。そして、上記
金型の上型の温度を 120℃、下型の温度を 110℃に加熱
して、上記の熟成後のコンパウンド1300gを下型内に投
入した後、上型を下降させて型締めした。そして、コン
パウンドが金型内に行き渡る間、金型内の圧力が 400mm
Hgとなるように金型内を減圧して金型内の気泡を取り除
き、コンパウンドが金型内に充填された時点で型締めを
終了した。尚、金型内の減圧状態は、型締めを終了する
まで保った。その後、成形圧力6MPaで5分間かけて圧
縮成形することにより、厚みが3mmの箱型成形品を得
た。
【0097】得られた箱型成形品は、脱型がスムーズ
で、割れやクラック、反り、充填不良、変形等の成形不
良が見られず、成形性が良好であった。
【0098】〔実施例4〕まず、攪拌機、温度計、窒素
導入管、および冷却管を備えた反応容器に、トルエン10
00部を仕込んだ後、反応容器内を充分に窒素ガスで置換
した。次いで、反応容器内に、攪拌機で攪拌しながら、
(メタ)アクリル酸エステルとしてのメチルメタクリレ
ート78部、ビニル単量体としてのメタクリル酸2部、ビ
ニル化合物としてのスチレン20部、重合開始剤としての
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.25部、および連鎖
移動剤としてのn-ドデシルメルカプタン 0.2部とを混合
してなる混合物を4時間かけて滴下して重合を行った。
尚、上記混合物を滴下している間、反応容器内の温度は
90℃に維持した。
【0099】滴下終了後、 2,2'-アゾビスイソブチロニ
トリル0.15部を加え、さらに3時間かけて重合反応を行
った。重合反応終了後、得られた反応混合物を、減圧下
で加熱してトルエンをある程度除去した上で、大量のメ
タノール中に少量ずつ滴下し、ポリマーを沈澱させた。
さらに、得られた沈澱(ポリマー)をメタノールで数回
洗浄し、60℃で12時間かけて乾燥させることにより、乾
燥ポリマーを得た。また、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)を用いて測定した上記乾燥ポリ
マーの重量平均分子量(Mw)は 98,000 であった。上記乾
燥ポリマー30部を、メチルメタクリレート70部に溶解
し、(メタ)アクリルシラップを得た。
【0100】この(メタ)アクリルシラップを用いて、
実施例3と同様にSMCの製造、成形を行った。得られ
た箱型成形品は、脱型がスムーズで、割れやクラック、
反り、充填不良、変形等の成形不良が見られず、成形性
が良好であった。
【0101】〔比較例2〕まず、実施例3と同様にして
コンパウンドを製造し、得られたコンパウンドを密閉容
器に入れ、40℃で1日間熟成させた。熟成後のコンパウ
ンドは、表面のべたつきがなく、取り扱い性が良好であ
った。次に、上記のSMCを、型締め時の減圧を行わな
い以外は実施例3と同様にして成形し、厚みが3mmの箱
型成形品を得た。
【0102】得られた箱型成形品は、脱型がスムーズ
で、割れやクラック、反り、変形は見られなかったが、
箱の四隅には、充填不良による巣が見られた。
【0103】実施例1〜4および比較例1〜2から明ら
かなように、本発明にかかる成形材料は、取り扱い性に
優れており、また、該成形材料を成形して得られる成形
品が、耐水性および耐熱性に優れており、しかも、上記
成形品における巣やピンホール等の成形不良の発生が防
止されていることが分かる。
【0104】
【発明の効果】本発明の成形材料の成形方法は、以上の
ように、上記成形材料として、(メタ)アクリルシラッ
プ 100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内
のコハク酸誘導体と、30重量部〜 600重量部の範囲内の
充填剤と、5重量部以下の範囲内の増粘剤とを含むと共
に、成形材料の全重量に対して、2重量%〜40重量%の
範囲内の繊維補強材を含む成形材料を使用し、上記成形
材料を金型内に入れてから該成形材料が硬化するまでの
期間において、少なくとも一時的に金型内を減圧する方
法である。
【0105】上記方法によれば、耐水性、耐熱性等の各
種物性に優れた成形品を得ることができ、かつ、成形品
に巣やピンホール等の成形不良が発生することを防止す
ることができるという効果を奏する。
【0106】また、本発明の成形材料は、以上のよう
に、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリルシラッ
プと、該(メタ)アクリルシラップ 100重量部に対し
て、0.01重量部〜10重量部の範囲内のコハク酸誘導体
と、30重量部〜 600重量部の範囲内の充填剤と、5重量
部以下の範囲内の増粘剤とを含むと共に、成形材料の全
重量に対して、2重量%〜40重量%の範囲内の繊維補強
材を含み、かつ、上記(メタ)アクリルシラップに増粘
剤を添加した後、減圧脱泡処理してなる構成である。
【0107】上記構成によれば、取り扱い性に優れ、短
時間で硬化させることができ、かつ、該成形材料を成形
してなる成形品の耐水性、耐熱性、強度等の各種物性に
優れ、しかも、成形品に巣やピンホール等の成形不良が
発生することを防止することができるという効果を奏す
る。従って、上記成形材料は、SMC、BMC、プレミ
ックス材料等の加熱加圧成形用成形材料として好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高畠 耕治 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平9−194673(JP,A) 特開 昭63−212515(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 43/00 - 43/58

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(メタ)アクリルシラップを含む成形材料
    を金型内で加熱加圧成形する成形材料の成形方法であっ
    て、上記成形材料として、(メタ)アクリルシラップ 100重
    量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内のコハク
    酸誘導体と、30重量部〜 600重量部の範囲内の充填剤
    と、5重量部以下の範囲内の増粘剤とを含むと共に、成
    形材料の全重量に対して、2重量%〜40重量%の範囲内
    の繊維補強材を含む成形材料を使用し、 上記成形材料を金型内に入れてから該成形材料が硬化す
    るまでの期間において、少なくとも一時的に金型内を減
    圧することを特徴とする成形材料の成形方法。
  2. 【請求項2】上記成形材料が、(メタ)アクリルシラッ
    プに増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理してなることを
    特徴とする請求項1記載の成形材料の成形方法。
  3. 【請求項3】上記(メタ)アクリルシラップが、カルボ
    キシル基を含有することを特徴とする請求項1または2
    に記載の成形材料の成形方法。
  4. 【請求項4】カルボキシル基を含有する(メタ)アクリ
    ルシラップと、該(メタ)アクリルシラップ 100重量部
    に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内のコハク酸誘
    導体と、30重量部〜 600重量部の範囲内の充填剤と、5
    重量部以下の範囲内の増粘剤とを含むと共に、成形材料
    の全重量に対して、2重量%〜40重量%の範囲内の繊維
    補強材を含み、かつ、上記(メタ)アクリルシラップに
    増粘剤を添加した後、減圧脱泡処理してなることを特徴
    とする成形材料。
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